意匠拒絶査定不服審判
2017-014663
自転車用キャリヤー
- 審判番号
- 2017-014663
- 法域
- 意匠
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 意願2016-016340外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2017年10月03日
- 審決日
- 2018年03月23日
- 公報発行日
- 2018年05月25日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】ブリヂストンサイクル株式会社
- 【請求人代理人】長谷川 芳樹
- 【請求人代理人】野間 悠
- 【請求人代理人】布施 哲也
- 分類
- D18 .113-WY (G2-4)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 意匠法3条1項3号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 意匠法第3条第1項第3号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
意願2016- 16340「自転車用キャリヤー」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。
結論
【結 論】
原査定を取り消す。
本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は,平成28年7月12日付けの意匠登録出願であって,平成29年3月28日付けの拒絶理由の通知に対し,平成29年5月16日に意見書が提出されたが,平成29年6月29日付けで拒絶査定がなされ,これに対して,平成29年10月3日に拒絶査定不服審判の請求がなされ,平成29年11月2日に審判請求書の請求の理由を変更する手続補正書が提出されたものである。
第2 本願意匠
本願意匠は,意匠に係る物品を「自転車用キャリヤー」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形態」という。)を,願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである(別紙第1参照)。
第3 原査定の拒絶の理由及び引用意匠
原査定の拒絶の理由は,本願意匠は,その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった意匠(以下「引用意匠」という。)に類似するものであるから,意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠(先行の公知意匠に類似するため,意匠登録を受けることのできない意匠)に該当する,というものである。
引用意匠は,特許庁意匠課が2007年4月13日に受け入れた,電気通信回線の種類:インターネット,掲載確認日(公知日):2007年3月17日,掲載者:ブリヂストンサイクル株式会社,表題:Relaxy Bike Project | VELTRO 製品情報,掲載ページのアドレス:http://www.relaxybike.jp/veltro/option.htmlに掲載された「自転車用キャリヤー」の意匠(特許庁意匠課公知資料番号第HJ18026237号)であり,その形態を,同掲載ページに記載されたとおりとしたものである(別紙第2参照)。
第4 対比
1 意匠に係る物品の対比
本願意匠と引用意匠(以下「両意匠」という。)の意匠に係る物品は,いずれも「自転車用キャリヤー」であるから,一致するものである。
2 形態の対比
両意匠を対比する(以下,対比のため,本願意匠の図面における正面,平面等の向きを,引用意匠にもあてはめることとする。)と,両意匠の形態については,以下のとおり,共通点及び相違点がある。
(1)形態の共通点
(共通点1)両意匠は,いずれも丸棒材によって構成されたものであり,全体の態様が,水平に配された荷置き台(以下「荷台部」という。),荷台部の前方側から自転車の前方に向かって延びた,その先端部分に取付け用孔部を形成した,シートクランプ若しくはシートステーに固定される一対の荷台部支持ステー(以下「前ステー」という。),及び荷台部の後方側から下方に延びた,先端部分に取付け用孔部を形成した,後輪の軸を保持する後輪支持部に固定される一対の荷台部支持ステー(以下「後ステー」という。)から構成されたものであり,各部の態様についても,荷台部は,外側に設けられた平面視略隅丸横長長方形状の枠体部(以下「外枠部」という。)と,荷台部の内側に設けられた前ステーと一体的に構成された平面視略扁平横長逆コの字状の枠体部(以下「内枠部」という。)を,これらの枠体底面側の両端部付近で,短手方向に設けた連結部材(以下「連結部」という。)により固定したものであり,自転車前方側の連結部(以下「前連結部」という。)は,その両端部を略直角となるように下方に折曲して荷紐を留めるフック部とし,自転車後方側の連結部(以下「後連結部」という。)は,その両端部を略直角となるように下方に折曲して後ステーを揺動自在に取付けたものである点で共通するものである。
(2)形態の相違点
(相違点1)本願意匠の外枠部,内枠部及びそれと一体となった前ステー,並びに後ステーが,太いパイプ材で構成され,前後の連結部のみが細い線材であるのに対し,引用意匠を構成する各部位が,すべて細い線状材で構成されている点で,両意匠は相違する。
(相違点2)本願意匠の外枠部の形態が,カーブの大きな略長円形状の形態であるのに対し,引用意匠の外枠部の形態が,角部のみ隅丸の略隅丸長方形状の形態である点で,両意匠は相違する。
(相違点3)本願意匠の前ステー及び後ステーの先端部の形態が,パイプ材を潰し,パイプ材と同幅の板状に形成しているのに対し,引用意匠の前ステー及び後ステーの先端部の形態が,細い線状材を圧延し,線状材より幅広の円板状に形成している点で,両意匠は相違する。
第5 判断
1 意匠に係る物品の類否判断
本願意匠と引用意匠の意匠に係る物品は,同一である。
2 形態の共通点及び相違点の評価
(1)形態の共通点
(共通点1)の全体の態様及び各部の形態は,この自転車用キャリヤーの分野における態様として既に極普通に見られるものに過ぎないから,両意匠のみに認められる格別の特徴とはいえず,この(共通点1)が意匠全体の美感に与える影響は小さいといえる。
(2)形態の相違点
(相違点1)の構成材の相違,及び(相違点2)の外枠部の形態についての相違は,本願意匠が太いパイプ材を用いることで外枠部の形態のみならず全体として丸みを強調した柔らかな印象を与えるのに対して,引用意匠は細い線状材を用いることで全体として細身でシャープな印象を与えるものであるから,これらの(相違点1)及び(相違点2)は,この種物品の需要者に異なる美感を与えるものである。
(相違点3)は,前ステー及び後ステーの先端部の形態についての相違であるが,(相違点1)及び(相違点2)の相違と相俟って目に付く相違であるから,該部位の形態の違いも,需要者に異なる美感を与えるものである。
3 両意匠の類否判断
両意匠の形態における共通点及び相違点の評価に基づき,意匠全体として総合的に観察した場合,両意匠は,各部位を構成する構成材の違いから生じる印象が与える美感において大きな相違があり,加えて外枠部の形態,及び前ステー及び後ステーの先端部の形態の相違も需要者に異なる美感を与えるものである。そうすると,意匠全体として観察した際に,これらの相違点は,この種物品分野において極普通に見られる両意匠の全体の態様及び各部の形態の共通性を凌駕して,需要者に異なる美感を起こさせるものといえる。
したがって,両意匠は,意匠に係る物品は同一であるが,その形態において,需要者に異なる美感を起こさせるものであるから,両意匠は類似しないものである。
第6 むすび
以上のとおり,本願意匠は,引用意匠に類似せず,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当しないものである。したがって,本願については,原査定における拒絶の理由によって拒絶すべきものとすることはできない。
また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
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