意匠拒絶査定不服審判
2025-020392
自転車用フレーム
- 審判番号
- 2025-020392
- 法域
- 意匠
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 意願2024-024478外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 登録番号
- 1824363
- 請求日
- 2025年12月19日
- 審決日
- 2026年03月24日
- 公報発行日
- 2026年04月24日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】ブリヂストンサイクル株式会社
- 【請求人代理人】長谷川 芳樹
- 【請求人代理人】野村 信三郎
- 【請求人代理人】松本 良太
- 分類
- D18 .113-WY (G2-4)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 意匠法第3条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
意願2024- 24478「自転車用フレーム」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
原査定を取り消す。
本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和6年(2024年)11月27日の意匠登録出願であって、その後の手続の主な経緯は以下のとおりである。
令和7年(2025年) 8月18日付け :拒絶理由の通知
同年 9月29日 :意見書の提出
同年 10月21日付け :拒絶査定
同年 12月19日 :審判請求書の提出
第2 本願の意匠
本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は、意匠に係る物品を「自転車用フレーム」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状等」という。)を願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである。(別紙第1参照)
第3 原査定における拒絶の理由及び引用の意匠
原査定の拒絶の理由は、本願意匠は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の意匠(以下「引用意匠」という。別紙第2参照)に類似するものであるから、意匠法3条1項3号に掲げる意匠(先行の公知意匠に類似するため、意匠登録を受けることのできない意匠)に該当する、というものである。
「引用意匠
独立行政法人工業所有権情報・研修館が2020年 8月24日に受け入れた
サイクルスポーツ 2020年 8月20日11号
第166頁所載
自転車用フレームの意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第RA02009687号)
この手の自転車のフレームにおいては、トップチューブ後端と、シートステー上端は、シートチューブのほぼ同じ高さ位置で接続されているものがほとんどであるところ、本願の意匠と引用した意匠を比較しますと、シートステー上端が、トップチューブ後端よりも低い位置でシートチューブと接続されています。この特徴により、本願の意匠は引用した意匠に類似しているといえます。」
第4 当審の判断
1 本願意匠と引用意匠の対比
(1)意匠に係る物品
本願意匠と引用意匠(以下「両意匠」という。)の意匠に係る物品は、どちらも、「自転車用フレーム」であるから、両意匠の意匠に係る物品は、一致する。
(2)両意匠の形状等
両意匠の形状等については、主として、以下のとおりの共通点及び相違点がある。
なお、引用意匠の図の向きは、本願意匠の図の向きに合わせて認定する。
ア 共通点
両意匠は、正面視において、左側に傾いた縦向き略円筒形のパイプ(以下「シートチューブ」という。)の上端近くから、右側斜め上に向かって略管状のパイプ(以下「トップチューブ」という。)が設けられ、シートチューブとほぼ並行な略円筒形の短パイプ(以下「ヘッドチューブ」という。)に接合されている。また、シートチューブの下端から右側斜め上に向かって設けられた略菅状のパイプ(以下「ダウンチューブ」という。)は、ヘッドチューブ及びトップチューブと接合されており、シートチューブ、トップチューブ及びダウンチューブにより略三角形状を形成している。また、シートチューブにおけるトップチューブとの接合部よりやや下側の位置から、左側斜め下に向かって略円筒形のパイプ(以下「シートステー」という。)が設けられ、シートチューブ下端からは、左側やや斜め上に向かって略筒形のパイプ(以下「チェーンステー」という。)が設けられており、接合部材を介して左端部でシートステー左端部と接合され、シートチューブ、シートステー及びチェーンステーにより、正面側と背面側に同形状の略三角形を形成している点において共通する。
イ 相違点
(ア)トップチューブの構成態様
本願意匠は、正面視において、トップチューブ右端下方が略三角形状に拡幅しヘッドチューブと接合し、トップチューブは左端に向かって僅かに縮小しながらシートチューブと約87度で接合する態様であって、その上側においては平坦な面を構成しているのに対して、引用意匠は略円柱状のトップチューブが、左端に向かって僅かに縮径しながらシートチューブと約82度で接合した、構成態様が相違している点、
(イ)ダウンチューブの態様
本願意匠は、ダウンチューブの断面が、「カムテール形状」とも呼ばれる略倒切頭しずく形状であるのに対して、引用意匠は略円形状である点、
(ウ)チェーンステーの構成態様
本願意匠は、正面視において、チェーンステー右端から左端にかけて、縮径しながら断面形状を略角丸長方形状から略円形状に変形しているのに対して、引用意匠は右端から左端にかけて、略円形状の断面形状のまま縮径している点、
(エ)正面視左側三角構造各部の態様
a シートステーの構成態様
本願意匠は、正面視において、シートステー右端がシートチューブと約75度で接合し、緩やかに湾曲した弧状であるのに対して、引用意匠はシートチューブと約62度で接合して直線状である点、
b シートステーとチェーンステーの長さ
正面視において、シートステーとチェーンステーの左右両端部間の直線長さの比率が、本願意匠は、約1:1.07であるのに対して、引用意匠は約1:0.95である点、
c シートチューブにおけるシートステーの接合箇所の位置
正面視において、本願意匠のシートステーは、シートチューブの全長に対して、上端から約24%下がった位置に接合しているのに対して、引用意匠は約15%下がった位置に接合している点、
において相違する。
2 両意匠の類否判断
以上の共通点及び相違点が両意匠の類否判断に与える影響を評価するとともに、評価に基づき、総合的に観察して、両意匠の類否を意匠全体として検討し、判断する。
(1)意匠に係る物品
両意匠の意匠に係る物品は、一致するから、同一である。
(2)両意匠の形状等の共通点及び相違点の評価
ア 共通点の評価
(ア)両意匠の正面視、略円筒形又は管状のパイプを用いて、シートチューブを中心にして左右に略三角形状を構成する態様は、ロードバイクの自転車において、例を挙げるまでもなくごく普通に見受けられる三角構造の基本的な構成態様であるから、この共通点が類否判断に与える影響は小さい。また、トップチューブ左端よりも下側に、シートステー右端が設けてある態様は、ドロップシートステー又はドロップドシートステーと称される態様であって、下記参考意匠1(別紙第3参照)のように、本願出願前にも見られる構成態様であるから、この共通点は、両意匠のみが有する特徴とは言えず、共通点が類否判断に与える影響は小さい。
参考意匠1
特許庁発行の意匠公報記載
意匠登録第1394679号の意匠
(意匠に係る物品、自転車用フレーム)の意匠
イ 相違点の評価
(ア)自転車用フレームを用いて構成したロードバイクの自転車を使用する際に、トップチューブは需要者の視界に入りやすい箇所にあり、一見して異なる視覚的印象となって、需要者に異なる美感を起こさせるものといえるから、トップチューブの構成態様の相違が、両意匠の類否判断に与える影響は大きい。
(イ)本願意匠に見られる略倒切頭しずく形状の断面は、下記参考意匠2(別紙第4参照)のように、本願出願前にも見られる態様であるから、本願意匠のみが有する特徴とは言えず、ダウンチューブにおける断面形状の相違点が類否判断に与える影響は小さい。
参考意匠2
特許庁発行の意匠公報記載
意匠登録第1682103号の意匠
(意匠に係る物品、自転車用フレーム)の意匠
(ウ)正面視において右端から左端にかけて、縮径しながら断面形状を略角丸長方形状から略円形状に変形している態様は、下記参考意匠3(別紙第5参照)のように、本願出願前にも見られる態様であるから、本願意匠のみが有する特徴とは言えず、チェーンステーにおける態様の相違点が類否判断に与える影響は小さい。
参考意匠3
特許庁発行の意匠公報記載
意匠登録第1549144号の意匠
(意匠に係る物品、自転車用フレーム)の意匠
(エ)の態様の相違は、正面視、左側三角構造の態様に係るものであり、本願意匠のシートステーは湾曲した態様であって、引用意匠に比べてシートステーがチェーンステーに対して長く設けてあり、その右端が引用意匠に比べて低い位置でシートチューブと接合していることから、引用意匠よりも三角構造の態様が、左端を鋭角な略三角形状で表しており、フレームの外形を形作る一部として需要者の注意を惹く箇所であるから、両意匠の類否判断に与える影響は大きい。
(4)形状等の類否判断
両意匠の形状等における共通点及び相違点の評価に基づき、意匠全体として総合的に観察し判断した場合、共通点が両意匠の類否判断に与える影響は小さいのに対して、相違点の内、相違点(イ)及び(ウ)の影響は小さいものの、相違点(ア)並びに相違点(エ)が両意匠の類否判断に与える影響は大きい。
したがって、両意匠の形状等を全体として総合的に観察した場合、両意匠の形状等は、共通点に比べて、相違点が両意匠の類否判断に与える影響の方が大きいものであるから、両意匠の形状等は類似しない。
(5)小括
そうすると、両意匠は、意匠に係る物品は一致するが、その形状等においては類似しないから、本願意匠は引用意匠に類似しない。
第5 むすび
以上のとおりであって、原査定の引用意匠をもって、本願意匠は、意匠法3条1項3号に掲げる意匠に該当するものとすることはできないから、原査定の拒絶の理由によって、本願意匠を拒絶すべきものとすることはできない。
また、当審において、更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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