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特許拒絶査定不服審判

2017-014155

遊技機

審判番号
2017-014155
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2015-103702外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2017年09月25日
審決日
2018年09月19日
公報発行日
2018年12月28日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .575-Z (A63F) / P18 .121-Z (A63F)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第17条の2第6項、特許法第17条の2第5項第2号
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2015-103702号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成28年12月22日出願公開、特開2016-214616号〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 本願は、平成27年5月21日に出願された特願2015-103702号であって、平成28年3月22日付け(発送 同年同月29日)で拒絶の理由が通知され、同年5月27日に意見書及び手続補正書が提出され、同年11月28日付け(発送 同年12月6日)で拒絶の理由(最後)が通知され、平成29年1月27日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、同年6月16日付けで、前記平成29年1月27日付けの手続補正が却下されるとともに、同日付け(発送日:平成29年6月27日)で拒絶査定がなされ、それに対して、同年9月25日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。 第2 平成29年9月25日付けの手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成29年9月25日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 補正の内容 本件補正は、特許請求の範囲を補正する内容を含んでおり、本件補正により、特許請求の範囲は、 「【請求項1】 遊技機本体の後側に、ワンチップマイコンを装着した装着面を後側に向けた状態で特定基板を配置した 遊技機において、 前記ワンチップマイコンは前記装着面に対して略垂直な板状部を備え、 前記板状部が略水平となるように前記ワンチップマイコンを配置し、 前記ワンチップマイコンは、前記板状部に該ワンチップマイコンに関する製品情報を表示する表示部を備え、 前記板状部の上面側に、所定情報が表示されたシート状の所定情報表示体を、前記表示部と重ならない位置に貼付した ことを特徴とする遊技機。 【請求項2】 前記特定基板を、前記遊技機本体の後側に配置された特定基板ケースに格納し、 前記所定情報は当該遊技機に関する第1情報を含み、 前記第1情報を含む特定情報が表示されたシート状の特定情報表示体を、前記特定基板ケースに、前記所定情報表示体と前後に重ならないように貼付した ことを特徴とする請求項1に記載の遊技機。 【請求項3】 前記装着面における前記所定情報表示体の上側に対応する領域に、前記所定情報に被らない高さの電子部品を配置した ことを特徴とする請求項1又は2に記載の遊技機。 【請求項4】 前記装着面における前記所定情報表示体の上側に対応する領域にはコネクタを配置しない ことを特徴とする請求項1~3の何れかに記載の遊技機。 【請求項5】 遊技機本体の後側に、ワンチップマイコンを装着した装着面を後側に向けた状態で特定基板を配置した 遊技機において、 前記ワンチップマイコンは前記装着面に対して略垂直な板状部を備え、 前記板状部が略水平となるように前記ワンチップマイコンを配置し、 前記板状部の上面側に、所定情報が表示されたシート状の所定情報表示体を貼付し、 前記装着面における前記所定情報表示体の上側に対応する領域に、前記所定情報に被らない高さの電子部品を配置した ことを特徴とする遊技機。 【請求項6】 遊技機本体の後側に、ワンチップマイコンを装着した装着面を後側に向けた状態で特定基板を配置した 遊技機において、 前記ワンチップマイコンは前記装着面に対して略垂直な板状部を備え、 前記板状部が略水平となるように前記ワンチップマイコンを配置し、 前記板状部の上面側に、所定情報が表示されたシート状の所定情報表示体を貼付し、 前記装着面における前記所定情報表示体の上側に対応する領域にはコネクタを配置しない ことを特徴とする遊技機。」(平成28年5月27日付けの手続補正) から、 「【請求項1】 遊技機本体の後側に、ワンチップマイコンを装着した装着面を後側に向けた状態で特定基板を配置した 遊技機において、 前記ワンチップマイコンは前記装着面に対して略垂直な板状部を備え、 前記板状部が略水平となるように前記ワンチップマイコンを配置し、 前記ワンチップマイコンは、前記板状部に該ワンチップマイコンに関する製品情報を表示する表示部を備え、 前記板状部の上面側に、所定情報が表示されたシート状の所定情報表示体を、前記表示部と重ならない位置に貼付し、 前記装着面における前記所定情報表示体の上側に対応する領域に、前記装着面からの後向き突出高さが前記ワンチップマイコンよりも低い電子部品を配置し、 前記特定基板が、前記遊技機本体の後側に配置される特定基板ケースに格納され、 特定情報が表示されたシート状の特定情報表示体を、前記特定基板ケースにおける前記ワンチップマイコンよりも後側の面であって、前記所定情報表示体の後側及び上側以外の位置に貼付している ことを特徴とする遊技機。」(平成29年9月25日付けの手続補正) に補正された(下線は、補正箇所を明示するために当審にて付した。)。 2 補正の適否について 本件補正は、補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「所定情報表示体」に関して、「前記装着面における前記所定情報表示体の上側に対応する領域に、前記装着面からの後向き突出高さが前記ワンチップマイコンよりも低い電子部品を配置」すると限定するとともに、補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「特定基板」に関して、「前記特定基板が、前記遊技機本体の後側に配置される特定基板ケースに格納され、特定情報が表示されたシート状の特定情報表示体を、前記特定基板ケースにおける前記ワンチップマイコンよりも後側の面であって、前記所定情報表示体の後側及び上側以外の位置に貼付している」と限定するものであり、かつ、補正前の請求項に記載された発明と補正後の請求項に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、本件補正は、新規事項を追加するものではない。 3 独立特許要件について そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について、以下に検討する。 (1)引用文献及び引用発明 原査定の拒絶の理由に引用文献1として引用された、本願の出願前に頒布された刊行物である特開2015-24294号公報(以下「引用文献1」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。 ア 「【技術分野】 【0001】 本発明は、パチンコ遊技機等の弾球遊技機やスロットマシン等の回胴式遊技機に代表される遊技機に係り、特に遊技を司る制御手段を備えた遊技機に関する。」 イ 「【0094】 前記遊技盤3の後部に設けられた機構盤の上部には、主たる電源(電源電圧)が供給される電源スイッチ基板61が設けられているとともに、機構盤の下部には、前記電源スイッチ基板61からの電源を適宜供給するための電源分配基板62が設けられている。前記主基板51の基板ボックス51Bは、機構盤の後部において、前記表示装置19の背面側に設けられた図柄表示装置制御基板53の下方に設けられている。図4に示すように、機構盤には、表示装置19を覆うようにして樹脂製の保護部材としての保護カバー63が装着されており、これにより、上部のタンク64等から落下してくる遊技球B等から表示装置19及び図柄表示装置制御基板53が保護されるようになっている。そして、主基板51の基板ボックス51Bの大部分は、前記保護カバー63からはみ出すようにして横長に配置されている(これについては後述する)。・・・ 【0096】 主基板51、払出制御基板52をはじめとする各種基板には、制御用のICパッケージが実装されている。ここで、図8に示すように、基板ボックス51B内の主基板51に実装されるICパッケージ71は、回路、制御手段を構成するICチップ72と、複数本のリード73と、これらを封止する封止体74とによって構成されており、リード73が主基板51に対しハンダ接合により実装されている(ハンダは固着手段を構成する)。本実施の形態では、このようにリード73が主基板51に対し強固に固着されていることで、ICパッケージ71が主基板51から取外し不能又は困難となっており、ICパッケージ71の取外し、交換による不正行為の抑制が図られている。もちろん、主基板51に設けられた図示しないソケット等の「中間部材」を介して装着される構成としてもよい。 【0097】 本実施の形態において、ICチップ72は、リード73の大部分とともに封止体74にてパッケージングされている。封止体74は透明なエポキシ樹脂材料によって構成されている。これにより、ICチップ72及びリード73は、外部から透視可能となっている。なお、リード73とICチップ72とはワイヤでボンディングされることにより電気的な導通が可能となっている。また、ICパッケージ71は、ZIP(Zig-zag Inline Package)構造を有している。すなわち、ICパッケージ71は、リード73の引出面(リード73が外部に突出している面)が封止体74の1側面であるいわゆる縦型タイプである。これにより、封止体74が表裏両面から視認可能となっている。また特に、本実施の形態の封止体74は透明であるため、その内部のICチップ72及びリード73についても表裏両面から視認可能となっている。 【0098】 また、特に、本実施の形態ではICパッケージ71の周辺には、プリント配線等を除いて主基板51上にほぼ何も配設されていない。これにより、ICパッケージ71をより一層視認しやすくなっている。この場合、「回路、制御手段の周辺において、視認を阻害する他部材の配設を規制したこと」が特徴点となる。なお、ICパッケージ71の視認をより容易ならしめるべく、照明手段、ミラー、或いはレンズ(いずれも図示せず)等の「視認補助手段」を設けることとしてもよい。 【0099】 さらに、上記ICパッケージ71に関しては、ZIP構造の中でもリード73間のピッチが狭く、かつ、特殊なSZIP(Shrink Zig-zag Inline Package)構造が採用されている。すなわち、上記SZIP構造におけるリード73間のピッチは、例えば0.82mmに設定されている。 【0100】 さて、図9は、ICチップ72の電気的構成を示すブロック図である。同図に示すように、ICチップ72には、中央処理装置(CPU)81を中心して、プログラムROM82、HWパラメータ83、ユーザワークRAM84、内部I/Oブロック85、I/Oポート86等が備えられており、これらは互いにバス87によって接続されている。また、これらはバスモニタ88を介して管理ブロック89に接続されている。」 ウ 「【0117】 ボックス本体101には、前記主基板51が固定されている。そして、該主基板51を覆うようにしてボックス蓋体102が取着固定されている。より詳しくは、ボックス本体101及びボックス蓋体102の一側部には、相互に係合可能なヒンジ機構103が設けられており、該ヒンジ機構103にて両者の係合及び位置合わせ等が行われるようになっている(図5,6参照)。上述したように、ボックス本体101及びボックス蓋体102は透明な樹脂材料により構成されており、内部の主基板51、特に、ICパッケージ71を容易に外部から視認できるようになっている。・・・ 【0135】 なお、本実施の形態では、基板ボックス51Bを透明の樹脂素材により構成していること、並びに、ZIPタイプのICパッケージ71としたこと、及び、ICパッケージ71の封止体74を透明樹脂材料により構成していることから、パッケージ71を主基板51から剥離することなく表面側のみならず裏面側も視認することができ、しかも、封止体74内部のICチップ72をも容易に識別することができる。このため、外観上明らかな不正行為を、上記検査を行うまでもなく容易に発見することができ、さらなる不正行為の間接的な抑制を図ることができる。」 エ 図4ないし8は次のものである。 オ 上記アないしウの記載を踏まえて、上記エの図8を見ると、ICパッケージ71は板状部を備えることが見てとれる。 また、上記アないしウの記載を踏まえて、上記エの図4、5及び7を見ると、主基板51のICパッケージ71を装着した装着面は遊技盤3の後側を向いているとともに、主基板51は、ボックス蓋体102にほぼ格納されていることが見てとれる。 さらに、上記アないしウの記載を踏まえて、上記エの図7を見ると、ICパッケージ71は主基板51に対して略垂直に実装され、前記ICパッケージ71の板状部が略水平となるように前記ICパッケージ71を配置するものであることが見てとれる。 カ 上記ア及びオの記載事項を総合すると、引用文献1には、次の発明が記載されていると認められる(以下「引用発明」という。)。 「主基板51の基板ボックス51Bは、遊技盤3の後部に設けられた機構盤の後部において、前記表示装置19の背面側に設けられた図柄表示装置制御基板53の下方に設けられ、 前記基板ボックス51B内の主基板51に実装されるICパッケージ71は、いわゆる縦型タイプであり、封止体74が表裏両面から視認可能となっていて、 前記ICパッケージ71の周辺には、プリント配線等を除いて主基板51上にほぼ何も配設されていないことにより、ICパッケージ71をより一層視認しやすくなっていて、回路、制御手段の周辺において、視認を阻害する他部材の配設を規制しており、 前記ICパッケージ71は板状部を備え、 前記主基板51のICパッケージ71を装着した装着面は遊技盤3の後側を向いているとともに、主基板51は、ボックス蓋体102にほぼ格納され、 前記ICパッケージ71は主基板51に対して略垂直に実装され、前記ICパッケージ71の板状部が略水平となるように前記ICパッケージ71を配置するものである、 遊技機。」 (2)対比 本願補正発明と引用発明とを対比する。 ア 引用発明の「ICパッケージ71」は、引用文献1によれば、実体的には、「中央処理装置(CPU)81を中心して、プログラムROM82、HWパラメータ83、ユーザワークRAM84、内部I/Oブロック85、I/Oポート86等が備えられ」る「ICチップ72」「によって構成され」るから(上記「(1)」「ア」「(イ)」段落【0096】及び【0100】参照)、本願補正発明の「ワンチップマイコン」に相当する。 イ 引用発明の「ICパッケージ71」が「実装される」「主基板51」は、「ICパッケージ71を装着した装着面は遊技盤3の後側を向いてい」るから、本願補正発明の「遊技機本体の後側に、ワンチップマイコンを装着した装着面を後側に向けた状態で」「配置した」「特定基板」に相当する。 ウ 引用発明の「遊技盤3」及び「遊技機」は、本願補正発明の「遊技機本体」及び「遊技機」に相当する。 エ 上記アないしウを踏まえると、引用発明の「主基板51の基板ボックス51Bは、遊技盤3の後部に設けられた機構盤の後部において、前記表示装置19の背面側に設けられた図柄表示装置制御基板53の下方に設けられ」、「前記主基板51のICパッケージ71を装着した装着面は遊技盤3の後側を向いてい」る「遊技機」は、本願補正発明の「遊技機本体の後側に、ワンチップマイコンを装着した装着面を後側に向けた状態で特定基板を配置した」「遊技機」に相当する。 オ 引用発明の「板状部を備え」、「前記主基板51のICパッケージ71を装着した装着面は遊技盤3の後側を向いていて」、「主基板51に対して略垂直に実装され、前記ICパッケージ71の板状部が略水平となるように」「配置する」「ICパッケージ71」は、本願補正発明の「装着面に対して略垂直な板状部を備え、前記板状部が略水平となるように」「配置」する「ワンチップマイコン」に相当する。 カ 引用発明の「前記ICパッケージ71の周辺には、プリント配線等を除いて主基板51上にほぼ何も配設されていないことにより、ICパッケージ71をより一層視認しやすくなっていて、回路、制御手段の周辺において、視認を阻害する他部材の配設を規制して」いることは、ICパッケージ71の装着面の周辺の領域に、視認を阻害する他部材の配設を規制して、装着面からの後向き突出高さがICパッケージ71よりも低い部材(プリント配線等)を配置することといえる。 したがって、引用発明の「前記ICパッケージ71の周辺には、プリント配線等を除いて主基板51上にほぼ何も配設されていないことにより、ICパッケージ71をより一層視認しやすくなっていて、回路、制御手段の周辺において、視認を阻害する他部材の配設を規制して」いることは、本願補正発明の「前記装着面における前記所定情報表示体の上側に対応する領域に、前記装着面からの後向き突出高さが前記ワンチップマイコンよりも低い電子部品を配置」することと、「前記装着面における上側を含む周辺の領域に、前記装着面からの後向き突出高さが前記ワンチップマイコンよりも低い部材を配置」することの点で一致する。 キ 引用発明の「ICパッケージ71を装着した装着面は遊技盤3の後側を向いているとともに、主基板51は、ボックス蓋体102にほぼ格納され」る「主基板51」は、「遊技盤3の後側」に配置される「ボックス蓋体102にほぼ格納され」るから、引用発明の「ボックス蓋体102」は、本願補正発明の「特定基板ケース」に相当する。 したがって、引用発明の「ICパッケージ71を装着した装着面は遊技盤3の後側を向いているとともに、主基板51は、ボックス蓋体102にほぼ格納され」ることは、本願補正発明の「前記特定基板が、前記遊技機本体の後側に配置される特定基板ケースに格納され」ることに相当する。 ク したがって、本願補正発明と引用発明とは、 「遊技機本体の後側に、ワンチップマイコンを装着した装着面を後側に向けた状態で特定基板を配置した 遊技機において、 前記ワンチップマイコンは前記装着面に対して略垂直な板状部を備え、 前記板状部が略水平となるように前記ワンチップマイコンを配置し、 前記装着面における上側を含む周辺の領域に、前記装着面からの後向き突出高さが前記ワンチップマイコンよりも低い部材を配置し、 前記特定基板が、前記遊技機本体の後側に配置される特定基板ケースに格納される遊技機。」 である点で一致し、以下の点で相違する。 [相違点] (ア)本願補正発明の「ワンチップマイコン」は、「板状部に該ワンチップマイコンに関する製品情報を表示する表示部を備え、前記板状部の上面側に、所定情報が表示されたシート状の所定情報表示体を、前記表示部と重ならない位置に貼付する」のに対して、引用発明の「ICパッケージ71」は、当該「表示部」及び「所定情報表示体」を備えるか明らかではない点(以下「相違点1」という。)。 (イ)本願補正発明の「ワンチップマイコン」は、装着面における「前記所定情報表示体の」上側に対応する領域に、前記装着面からの後向き突出高さが前記ワンチップマイコンよりも低い「電子部品」を配置しているのに対して、引用発明の「ICパッケージ71」は、装着面における「上側に対応する領域」に、ICパッケージ71よりも低い「電子部品」を配置しているのか明らかではない点(以下「相違点2」という。)。 (ウ)本願補正発明の「特定基板ケース」は、「特定情報が表示されたシート状の特定情報表示体を、前記特定基板ケースにおける前記ワンチップマイコンよりも後側の面であって、前記所定情報表示体の後側及び上側以外の位置に貼付している」のに対して、引用発明は、当該「特定情報表示体」を備えるか明らかではない点(以下「相違点3」という。)。 (3)判断 ア 上記相違点1について検討する。 (ア)引用文献1には「ICパッケージ71」に関して、「ボックス本体101及びボックス蓋体102は透明な樹脂材料により構成されており、内部の主基板51、特に、ICパッケージ71を容易に外部から視認できるようになっている。」(上記「(1)」「ウ」【0117】)、及び、「基板ボックス51Bを透明の樹脂素材により構成していること、並びに、ZIPタイプのICパッケージ71としたこと、及び、ICパッケージ71の封止体74を透明樹脂材料により構成していることから、パッケージ71を主基板51から剥離することなく表面側のみならず裏面側も視認することができ、しかも、封止体74内部のICチップ72をも容易に識別することができる。このため、外観上明らかな不正行為を、上記検査を行うまでもなく容易に発見することができ、さらなる不正行為の間接的な抑制を図ることができる。」(上記「(1)」「ウ」【0135】)と記載されており、ボックス本体101及びボックス蓋体102を透明な樹脂材料により構成するとともに、ICパッケージ71の封止体74も透明樹脂材料により構成することで、ICチップ72を外部から視認できるよう構成し、外観上明らかな不正行為を容易に発見することができるとされている。 そうすると、引用発明の「ICパッケージ71」は、外部から視認するだけで外観上明らかな不正行為を容易に発見することができるものであるから、当該「ICパッケージ71」には外部から視認するだけで判別できる特徴があるものと理解される。 (イ)そして、原査定の拒絶の理由に引用文献3として引用された、本願の出願前に頒布された刊行物である特開2002-883号公報(以下「引用文献3」という。)に記載されているように、遊技機の分野において、「パッケージ51の外側からでもリードフレーム52や集積回路チップ53が視認できるようにな」(【0023】)すために、「CPU42のパッケージ51の上面の左側には、CPU42の製造業者名61及び品番62等のマーキングがなされ、CPU42のパッケージ51の上面の右側には、このCPU42が使用されるパチンコ機1の製造業者名81及びパチンコ機1の機種名82が記されたラベル70が貼付されている」(【0024】)「遊技機の集積回路のパッケージ用ラベル」(【0001】)の構成が公知の事項であるところ、当該CPU42の「パッケージ51の上面」の左側に「CPU42の製造業者名61及び品番62等のマーキング」がなされていることは、CPU42のパッケージ51の板状部に該CPU42に関する製品情報を表示する表示部を備えたことであり、また、当該「パチンコ機1の製造業者名81及びパチンコ機1の機種名82」が記されたラベル70は、「所定情報」が表示されたシート状の所定情報表示体といえるものである。 したがって、引用文献3と同じ遊技機の分野である引用発明の「ICパッケージ71」の上面に、当該ICパッケージ71に関する製品情報を表示する表示部を備えたものを採用して、「ICパッケージ71」に外部から視認するだけで判別できる特徴があるものとなすことは当業者が当然に考慮すべき事項にすぎないとともに、業界における常識として、視認される必要のある情報を視認の邪魔にならないように配置することは当然であって、引用文献3と同じ遊技機の分野の、引用発明の「ICパッケージ71」の上面に遊技機の製品としての規格上「ICパッケージ71」に表示シールを貼る必要が生じた場合には、外部から視認するだけで判別できる特徴としての表示部の視認の邪魔にならない(重ならない)「ICパッケージ71」の上面箇所に、「所定情報」が表示されたシート状の所定情報表示体としてのラベルを貼付ることは当業者が容易になし得ることである。 (ウ)以上(ア)及び(イ)での検討によれば、引用発明において、上記相違点1に係る本願補正発明の構成となすことに格別の発明性があるとは認められない。 イ 上記相違点2について検討する。 引用発明は、「ICパッケージ71をより一層視認しやすく」するために、「ICパッケージ71の周辺には、プリント配線等を除いて主基板51上にほぼ何も配設されていない」が、「回路、制御手段の周辺において、視認を阻害する他部材の配設を規制」することからみて、視認を阻害しない他部材(電子部品)であれば配設することを妨げるものではない。 そして、原査定の拒絶の理由に引用文献2として引用された、本願の出願前に頒布された刊行物である特開2012-95881号公報(以下「引用文献2」という。)に記載されているように、「遊技制御基板110の一側部(右側部)側から目視検査するだけで、主電子部品111Aに付された識別子と制御デバイス112に付された識別情報との双方を確認することができる」(【0308】)ようになす「ため、制御デバイス112は、上面に個体を識別するための識別子が付された面実装部品であるその他の電子部品111とは異なり、遊技制御基板110に立設され・・・て、遊技制御基板110に実装されている制御デバイス112は、遊技制御基板110に実装されているその他の電子部品111よりも高さが高く、上方に突出している」(【0035】)構成が公知の事項であることも踏まえれば、引用発明のICパッケージ71の上側を含む周辺の領域に、ICパッケージ71よりも低い電子部品を配置する構成とすることは当業者が容易になし得ることである。 さらに、当該ICパッケージ71よりも低い電子部品をどこに配置するかは当業者が必要に応じて適宜選択し得る程度の設計的事項であるところ、引用発明のICパッケージ71の上側に「表示部」及び「ラベル」(上記「ア」「(イ)」)を備えたものにおいて当該表示部及びラベルの視認を阻害しないように、ICパッケージ71の上側を含む周辺の領域に当該ICパッケージ71よりも低い電子部品を配置して、上記相違点2に係る本願補正発明の構成となすことに格別の困難性は認められない。 ウ 上記相違点3について検討する。 (ア)遊技機において、遊技機の製品としての規格上適宜の箇所に表示シールを貼る必要が生じることは上記アと同様に本願出願前に周知の事項であるところ、(平成29年6月16日付けの補正却下の決定で引用された)本願の出願前に頒布された刊行物である特開平10-314415号公報(以下「引用文献4」という。)には、「遊技機の」(【0001】)「基板ボックス15の・・・上蓋部材26の天板部44の表面には、・・・透明なシール等に遊技機メーカー名、機種名、電圧、容量、注意書き等の各仕様を記載した機種名表示票76、ならびに所定のシール等に製造業者記号を含んだ基板管理番号を記載・・・すると共に公的機関がROM31等の電子部品の検査の際に基板ボックス15を正規に開放したことを証明する記載を可能な欄を設けた検査履歴書77を取付け」(【0056】)、「機種名表示票76は、上蓋部材26の天板部44の蝶着部40側に、検査履歴書77は天板部44の重合結合部54~57の識別符号に沿う側に、制御回路基板30のROM31を上蓋部材26を通して視認するのに支障のないよう、ROM31を覆う部位を除くよう、天板部44のほぼ中央にROM31の大きさと略同等以上の面を空けて、貼着により取付ける」(【0057】)ことが記載されている。 (イ)そうすると、引用発明の「ボックス蓋体102」の表面に、引用文献4に記載されるような、必要な特定情報表示体(機種名表示票76、検査履歴書77等)を貼付することに格別の発明性があるとは認められず、その際、業界における常識として、視認される必要のある情報を視認の邪魔にならないように配置することは、当業者が当然に考慮すべき事項にすぎない(上記「ア」「(イ)」)。 したがって、引用発明において、上記相違点3に係る本願補正発明の構成となすことに格別の困難性は認められない。 (4)本願補正発明が奏する効果について 上記相違点によって本願補正発明が奏する効果は、当業者が引用発明及び引用文献2、3、4に記載された事項から予測し得る程度のものであって、格別のものではない。 (5)請求人の主張について ア 上記相違点によって本願補正発明が奏する効果に関して、請求人は審判請求書の「(3)本願発明が特許されるべき理由」「ハ)本願発明と各引用文献に記載の発明との対比」の「a)」の項において、 「a)本願発明は、上記(3)ロ)Iに示すように、特定情報が表示されたシート状の特定情報表示体を、特定基板ケースにおけるワンチップマイコンよりも後側の面であって、そのワンチップマイコン上の所定情報表示体の後側及び上側以外の位置に貼付した構成を採用しております。ここで、ワンチップマイコン上の所定情報表示体や特定基板ケース上の特定情報表示体を目視にて確認する場合、視点は特定基板ケースの後側かそれよりも上側にある場合が多いと考えられるため、上記のように構成することにより、その視点と所定情報表示体とを結ぶ視線が特定情報表示体によって遮られることなく、ワンチップマイコン上の所定情報表示体を目視することができるという格別の効果を奏するものです。」 と主張する。 しかしながら、「特定基板ケースの後側かそれよりも上側」の「視点と所定情報表示体とを結ぶ視線が特定情報表示体によって遮られることなく、ワンチップマイコン上の所定情報表示体を目視することができる」ことは、引用発明及び引用文献2、3、4に記載された事項から予測し得る程度の効果である。 したがって、上記請求人の主張は採用できない。 (6)まとめ 以上のように、本願補正発明は、当業者が引用発明及び引用文献2、3、4に記載された事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。 4 むすび したがって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3 本願発明について 1 本願発明 本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、上記「第2」[理由]「1 補正の内容」において、平成28年5月27日付けの手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1として記載したとおりのものである。 2 原査定の概要 原査定は、概略、 「(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 記   (引用文献等については引用文献等一覧参照) ・請求項 1-3、5 ・引用文献等 1-3 (・・・省略・・・) ・請求項 4、6 ・引用文献等 1-4 (・・・省略・・・) <最後の拒絶理由通知とする理由> この拒絶理由通知は、最初の拒絶理由通知に対する応答時の補正によって通知することが必要になった拒絶理由のみを通知するものである。 <引用文献等一覧> 1.特開2015-24294号公報 2.特開2012-95881号公報 3.特開2002-883号公報 4.特開2014-212937号公報」 というものである。 3 引用文献及び引用発明 上記「第2」「3」「(1)」における引用文献1ないし3は、上記2の原査定の引用文献1ないし3と同じものであるところ、引用発明は、上記「第2」[理由]「3」「(1)」のとおりである。 4 対比・判断 本願発明は、本願補正発明を特定するために必要な事項である「所定情報表示体」に関して、「前記装着面における前記所定情報表示体の上側に対応する領域に、前記装着面からの後向き突出高さが前記ワンチップマイコンよりも低い電子部品を配置」するとの限定を省くとともに、「特定基板」に関して、「前記特定基板が、前記遊技機本体の後側に配置される特定基板ケースに格納され、特定情報が表示されたシート状の特定情報表示体を、前記特定基板ケースにおける前記ワンチップマイコンよりも後側の面であって、前記所定情報表示体の後側及び上側以外の位置に貼付している」との限定を省くものである。 そうすると、本願発明と引用発明とは、上記「第2」[理由]「3」「(3)」で検討した相違点のうちの相違点1でのみ相違するところ、上記「第2」[理由]「3」「(3)」「ア」で検討した理由と同じ理由により、本願発明は、当業者が引用発明及び引用文献3に記載された事項に基づいて容易に発明をすることができたものである。 5 むすび 以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、他の請求項について判断するまでもなく、本願は、拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2017-014155

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