特許拒絶査定不服審判
2017-013077
遊技機
- 審判番号
- 2017-013077
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2013-160917外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2017年09月05日
- 審決日
- 2018年06月25日
- 公報発行日
- 2018年09月28日
- 結論
- 請求不成立
- 分類
- P18 .121-Z (A63F) / P18 .575-Z (A63F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第17条の2第6項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第29条第1項第3号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2013-160917号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成27年2月16日出願公開、特開2015-29657号〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、平成25年8月2日の出願であって、平成29年3月17日付けの拒絶理由通知に対し、同年5月22日に意見書及び手続補正書が提出され、同年6月7日付け(発送日:6月13日)で拒絶査定(以下、「原査定」という。)がなされ、これに対して、平成29年9月5日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正(以下、「本件補正」という。)がなされたものである。
第2 本件補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
本件補正を却下する。
[理由]
1.本件補正の概要
本件補正は、本件補正前の特許請求の範囲の請求項2及び請求項3を削除し、請求項1に請求項4に係る構成を加えるとともに、サブ制御装置の制御について限定を加えることを主旨とする内容の補正を含むものであって、平成29年5月22日付けの手続補正と本件補正の特許請求の範囲の請求項1の記載はそれぞれ、以下のとおりである(下線部は、補正箇所を示す。)。
(本件補正前:平成29年5月22日付け手続補正)
「【請求項1】
遊技球が流下可能な遊技領域を形成する遊技盤と、
前記遊技盤に配置され、遊技に係る第1演出画像を表示可能な第1表示領域を有する演出表示装置と、
前記遊技に係る第2演出画像を表示可能な第2表示領域を有し、前記演出表示装置の前記第1表示領域を隠蔽可能な隠蔽位置及び前記隠蔽位置において隠蔽した前記第1表示領域を視認可能とする開放位置に移動可能な可動演出表示装置とを備え、
前記可動演出表示装置は、前記隠蔽位置で前記第2表示領域に前記第2演出画像を表示可能とし、
前記演出表示装置は、前記可動演出表示装置が前記開放位置に移動したことによって視認可能となる前記第1表示領域に前記第1演出画像を表示可能とし、
前記可動演出表示装置が前記開放位置に移動して前記演出表示装置と並列することによって、連続する前記第1表示領域及び前記第2表示領域に亘って第3演出画像を表示可能とすることを特徴とする遊技機。」
(本件補正後:平成29年9月5日付け手続補正)
「【請求項1】
遊技球が流下可能な遊技領域を形成する遊技盤と、
前記遊技盤に配置され、サブ制御装置の制御により遊技に係る第1演出画像を表示可能な第1表示領域を有する演出表示装置と、
前記遊技に係る第2演出画像を表示可能な第2表示領域を有し、前記演出表示装置の前記第1表示領域を隠蔽可能な隠蔽位置及び前記隠蔽位置で隠蔽した前記第1表示領域を視認可能とする開放位置に移動可能な可動演出表示装置とを備え、
前記可動演出表示装置は、前記隠蔽位置で前記第2表示領域に前記第2演出画像を表示可能とし、
前記演出表示装置は、前記可動演出表示装置が前記開放位置に移動したことによって視認可能となる前記第1表示領域に前記第1演出画像を表示可能とし、
前記可動演出表示装置が前記開放位置に移動して前記演出表示装置と並列することによって、連続する前記第1表示領域及び前記第2表示領域に亘って第3演出画像を表示可能とし、
前記サブ制御装置は、前記可動演出表示装置が前記隠蔽位置にあるとき、前記演出表示装置の周囲に設けた補助ランプを点灯制御するとともに、前記第1表示領域に前記第1演出画像を非表示状態とし、当該非表示状態から即時前記第1演出画像を前記第1表示領域に表示可能な省電力設定状態に制御することを特徴とする遊技機。」
2.補正の適否
(以下では、本件補正後や本件補正前を単にそれぞれ「補正後」や「補正前」ともいう。)
(1)補正後の請求項1は、補正前の請求項1に記載された発明特定事項である「前記遊技盤に配置」される「演出表示装置」について、「サブ制御装置の制御により」「遊技に係る第1演出画像を表示可能な第1表示領域を有する」と特定することにより、補正前の請求項1に記載の「遊技に係る第1演出画像を表示可能な第1表示領域」を限定するものである。
(2)補正後の請求項1は、「前記遊技に係る第2演出画像を表示可能な第2表示領域を有」する「可動演出表示装置」について、「前記演出表示装置の前記第1表示領域を隠蔽可能な隠蔽位置及び前記隠蔽位置で隠蔽した前記第1表示領域を視認可能とする開放位置に移動可能な」と特定しているところ、これは、補正前の請求項1に記載の「前記隠蔽位置において隠蔽した前記第1表示領域」を「前記隠蔽位置で隠蔽した前記第1表示領域」とする補正を含むものであり、その内容において実質的な変更を伴わないものである。
(3)補正後の請求項1は、「前記可動演出表示装置が前記開放位置に移動して前記演出表示装置と並列することによって、連続する前記第1表示領域及び前記第2表示領域に亘って第3演出画像を表示可能とし、」と特定しているところ、これは、補正前の請求項1に記載の「・・・第3演出画像を表示可能とする」を「・・・第3演出画像を表示可能とし、」とする補正を含むものであり、その内容において実質的な変更を伴わないものである。
(4)補正後の請求項1は、「前記サブ制御装置は、前記可動演出表示装置が前記隠蔽位置にあるとき、前記演出表示装置の周囲に設けた補助ランプを点灯制御するとともに、前記第1表示領域に前記第1演出画像を非表示状態とし、当該非表示状態から即時前記第1演出画像を前記第1表示領域に表示可能な省電力設定状態に制御すること」と特定することにより、補正前の請求項1に記載された発明特定事項である「遊技機」の行う制御に係る事項を限定するものである。
そして、補正前の請求項1に記載された発明と、補正後の請求項1に記載される発明とは、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。
そして、本件補正は、出願当初の明細書の段落【0070】、【0081】~【0082】の記載に基づいており、いわゆる新規事項を追加するものではない。
3.独立特許要件
そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下、「本件補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か、すなわち、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか否か、について以下検討する。
(1)本件補正発明
本件補正発明は、上記「1.本件補正の概要」において示した次に特定されるとおりのものである(A~Gについては、発明特定事項を分説するため当審で付した。)。
「A 遊技球が流下可能な遊技領域を形成する遊技盤と、
B 前記遊技盤に配置され、サブ制御装置の制御により遊技に係る第1演出画像を表示可能な第1表示領域を有する演出表示装置と、
C 前記遊技に係る第2演出画像を表示可能な第2表示領域を有し、前記演出表示装置の前記第1表示領域を隠蔽可能な隠蔽位置及び前記隠蔽位置で隠蔽した前記第1表示領域を視認可能とする開放位置に移動可能な可動演出表示装置とを備え、
D 前記可動演出表示装置は、前記隠蔽位置で前記第2表示領域に前記第2演出画像を表示可能とし、
E 前記演出表示装置は、前記可動演出表示装置が前記開放位置に移動したことによって視認可能となる前記第1表示領域に前記第1演出画像を表示可能とし、
F 前記可動演出表示装置が前記開放位置に移動して前記演出表示装置と並列することによって、連続する前記第1表示領域及び前記第2表示領域に亘って第3演出画像を表示可能とし、
G 前記サブ制御装置は、前記可動演出表示装置が前記隠蔽位置にあるとき、前記演出表示装置の周囲に設けた補助ランプを点灯制御するとともに、前記第1表示領域に前記第1演出画像を非表示状態とし、当該非表示状態から即時前記第1演出画像を前記第1表示領域に表示可能な省電力設定状態に制御することを特徴とする遊技機。」
(2)刊行物に記載された事項
(2-1)刊行物1に記載された事項
原査定の拒絶の理由に引用された本願の出願前に頒布された刊行物である特開2002―102451号公報(以下、「刊行物1」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審で付した。)。
ア 「【0012】
【発明の実施の形態】以下、実施の形態を示す図面に基づいて本発明を詳細に説明する。図1は、本発明に係る遊技機の一実施形態であるパチンコ機の遊技盤を示すものである。このパチンコ機1の遊技盤2には、ガイドレール3で囲まれる遊技領域4に特別図柄表示装置10を設けてある。
【0013】特別図柄表示装置10は、遊技者に対して数字、記号、絵などの複数の図柄を可変表示するためのもので、横長の主ベース11に唯一の第1表示手段12を備えているとともに、この主ベース11において第1表示手段12の左右となる位置にそれぞれ可動体100を備えている。
【0014】第1表示手段12は、図2(b)の拡大図に示すように、比較的大型の矩形状を成すドットマトリクス型の液晶表示器であり、その表示面が主ベース11の表面とほぼ同一となる状態で当該主ベース11の中央部に取り付けてある。この第1表示手段12は、後述する制御手段50の遊技制御用CPU501から与えられた制御信号に基づいて図柄、背景、キャラクタ等、任意の画像を表示することが可能である。特に、図柄の表示に関しては、例えばあたかもドラムが回転するように複数の図柄をスクロール表示させたり、同じ表示領域において複数の図柄を順次切り換えて表示することもできる。」
イ 「【0015】一方、可動体100は、図3の斜視図に示すように、それぞれ補助ベース101と上下一対のガイドピン102とを一体に成形したものである。
【0016】補助ベース101は、第1表示手段12の表示面に対してその約半分となる大きさを有したプレート状部材であり、個々の前面に第2表示手段110およびガイド手段120を備えている。第2表示手段110は、7つの発光セグメント110aを「日」の字状に配置することによって構成したもので、個々の前面において相互に内方側となる位置に設けてある。各第2表示手段110は、後述する制御手段50の遊技制御用CPU501から与えられた制御信号に基づいてこれらの発光セグメント110aを適宜点灯/消灯させ、複数の図柄を切り換え表示することが可能である。ガイド手段120は、第2表示手段110の上方部および外側部を囲うように設けた第1ガイド壁121と、補助ベース101の外側部に沿って設けた第2ガイド壁122とを有して構成したものである。各ガイド手段120は、第1ガイド壁121によって遊技球が第2表示手段110の前面を通過するのを阻止する一方、第1ガイド壁121と第2ガイド壁122との間において遊技球の流下方向を規制する作用を成す。なお、本実施形態のガイド手段120においては、第1ガイド壁121における第2ガイド壁122に対向する部位の中間部に該第2ガイド壁122に向けて突起121aを設けてあるとともに、第2ガイド壁122の下端部を内方に向けて屈曲してあり、これらガイド壁121,122の間を通過した遊技球のほとんどが内方に案内されるようになっている。
【0017】一対のガイドピン102は、それぞれ補助ベース101の後面外側部から後方に向けて互いに平行に突設した円柱状部材である。各ガイドピン102は、主ベース11に設けたスライド溝13を貫通しており、可動体100をスライド溝13の延在方向に沿って左右に案内する作用を成す。図3および図4からも明らかなように、これらガイドピン102には、それぞれの突出端部に駆動機構130を介してアクチュエータ140に連結してある。駆動機構130は、アクチュエータ140の駆動を可動体100の左右方向に沿った往復運動に変換するためのものである。本実施形態では、アクチュエータ140としてモータ等のロータリアクチュエータ140を適用し、さらに駆動機構130としてロータリアクチュエータ140の回転駆動軸141に連結した円板131と、一対のガイドピン102の突出端部間を連結するカムフォロア132と、円板131の周縁部から突設し、かつカムフォロア132のカム溝132aに係合するカムピン133とを備えたものを適用している。この駆動機構130は、ロータリアクチュエータ140が互いに同期して逆方向に1回転する間において、可動体100が最も内方に移動した場合、図2(a)に示すように、互いの間にわずかな間隙を確保した状態で第1表示手段12の表示面を覆い隠した位置(以下、単に隠蔽位置という)に占位する一方、可動体100が最も外方に移動した場合、図2(b)に示すように、第1表示手段12の表示面がすべて開放される位置(以下、単に開放位置という)に占位するように構成してある。」
ウ 「【0026】図5は、上述したパチンコ機1の制御手段50を示すブロック図である。この制御手段50は、それぞれ個別のCPU501,511を備えた遊技制御装置500および本体制御装置510を具備するもので、例えばパチンコ機1の背面側に配設してある。
【0027】遊技制御装置500の遊技制御用CPU501は、主に遊技盤側の制御を行う部分である。すなわち、この遊技制御用CPU501は、始動手段30に設けた特図始動スイッチ31、変動入賞装置20に設けた入賞カウントスイッチ24および継続スイッチ25、入賞球処理装置に設けた入賞球確認スイッチ70からの出力信号を監視し、これら各スイッチからの出力信号と、ROM502およびRAM503に格納したプログラムやデータ、さらには乱数発生手段504から抽出した乱数等とに基づいて、上述した特別電役駆動ソレノイド23や特別図柄表示装置10の第1表示手段12、第2表示手段110、ロータリアクチュエータ140等の駆動制御を行うためのものである。」
エ 「【0029】以下、上記のように構成したパチンコ機1のパチンコ遊技について説明する。なお、以下の説明においては、初期状態において変動入賞装置20が第一入賞状態にあるものとする。また、特別図柄表示装置10においては、ロータリアクチュエータ140が適宜回転した状態で停止し、図2(a)に示すように、一対の可動体100が第1表示手段12の表示面を覆い隠した隠蔽位置に占位されているものとする。
【0030】このパチンコ機1では、図示していない操作ハンドルの操作によって打ち出された遊技球が、ガイドレール3によって遊技盤2の遊技領域4上方に案内され、ガイド釘5、命釘6、誘導釘7、規制釘8、障害釘、風車によって適宜方向を転換しながら遊技領域4内を順次流下することになる。」
オ 「【0034】乱数発生手段504から乱数が抽出されると、遊技制御用CPU501から当該抽出した乱数に応じた制御信号が特別図柄表示装置10の第1表示手段12、第2表示手段110およびロータリアクチュエータ140に対して出力され、当該特別図柄表示装置10において所望の表示制御が実施される。この特別図柄表示装置10で実施される表示制御は、第1表示手段12および第2表示手段110のそれぞれにおいて図柄を所定の可変時間だけ可変表示させた後、例えば向かって左側の第2表示手段110、向かって右側の第2表示手段110、第1表示手段12の順で、これらの表示手段110,12に図柄をひとつずつ停止表示させるまでの制御処理である。
【0035】
(省略)
【0036】一方、抽出した乱数がリーチ状態を創出するものであった場合には、まず、第1表示手段12の可変表示が継続している状態においてそれぞれの第2表示手段110に互いに一致する図柄が停止表示されるようになり、遊技者に対してリーチ状態であることが報知される。その後、直ちにロータリアクチュエータ140が適宜駆動し、図2(b)に示すように、一対の可動体100が第1表示手段12の表示面を開放した開放位置に変位してそのまま停止するようになる。
【0037】この状態においては、それ以前まで一対の可動体100によって覆い隠されていた第1表示手段12の表示面が突然に大きく開放されるため、そのこと自体が遊技者に対して大きなインパクトを与えることになる。しかも、第2表示手段110のそれぞれが既に停止した図柄を表示したままの状態で第1表示手段12の表示視認領域が数倍(図示の実施例では約6倍)にも達することになるため、つまり、特別図柄表示装置10としての図柄の表示視認領域が物理的に大きく拡大することになるため、当該第1表示手段12での表示態様を多彩なものとすることができ、より華やかで変化に富んだリーチ演出を表示することが可能になる。これらの結果、上記パチンコ機1によれば、遊技者に対して他の遊技機との間に明確な相違を印象づけ、その差別化を図ることが可能になる。
【0038】さらに、抽出した乱数が大当たりに対応したものであった場合には、上述したリーチ演出の表示終了後、第1表示手段12に第2表示手段110の図柄と同一の図柄が停止表示され、その後特別遊技に移行する。この特別遊技では、通常時に閉成している変動入賞装置20が所定の期間、例えば30秒経過、もしくは入賞カウントスイッチ24が10個の遊技球を検出する、のいずれかが達成されるまでの間を1ラウンドとして第二入賞状態となり、しかもこのラウンド中に継続スイッチ25が遊技球を検出する毎に最大16ラウンドまで更新することが可能となる。従って、変動入賞装置20に対する入賞数が短時間で大量となり、遊技者に対してきわめて多くの利益を与えることができるようになる。
【0039】この特別遊技の間においても上記パチンコ機1によれば、大きく開放した第1表示手段12と一対の第2表示手段110とを利用し、従前のものには期待することのできない多彩な演出表示を行うことで特別遊技を一層盛り上げることが可能となり、遊技者の興趣を著しく高めることができるようになるとともに、遊技者に与える印象もきわめて強烈なものとなる。
」
カ 「【0042】このように、上記パチンコ機1では、第1表示手段12および第2表示手段110を具備し、かつ第1表示手段12の表示視認領域が増減する態様で第2表示手段110を左右方向に移動させることにより、図柄の表示視認領域を物理的に変化させるようにした特別図柄表示装置10を適用しているため、まず、第1表示手段12が隠蔽された状態においては主ベース11の前面側にも遊技球の流下領域を確保することができるようになり、「遊技球の動きの変化を楽しむ」といった遊技機本来の遊技性を保証することが可能となる。一方、第1表示手段12が開放された場合には、その時点で遊技者に大きなインパクトを与えることができる。さらに、図柄の表示視認領域が物理的に拡大した後においては、その後のリーチ演出や特別遊技の演出においても迫力のある画面を通じてより華やかで変化に富んだ表示を行うことが可能であり、遊技者に与える印象も強烈なものとなる。これらの結果、遊技者に対して従前にはないパチンコ遊技を提供することができるようになり、他のパチンコ機に対して明確な差別化を図ることが可能になる。」
キ 「【0044】また、上述した実施の形態では、唯一の第1表示手段と一対の第2表示手段とを備えた表示装置を例示しているが、これら第1表示手段および第2表示手段の数は少なくとも一つずつあればいくつであっても構わない。なお、第1表示手段として液晶表示器を例示しているが、必ずしも液晶表示器を適用する必要はなく、例えば、CRTやランプ・LEDを用いた電気的表示手段であってもよいし、回転するドラムの周面に複数の図柄を描いたものであっても構わない。また、第1表示手段として電気的表示手段を適用する場合には、必ずしもドットマトリクス型のものである必要はなく、セグメント型のものであっても構わない。同様に、第2表示手段としても、発光セグメントによるものである必要はなく、ドットマトリクス型の液晶表示器等、その他のものを適用してもよい。
【0045】さらに、上述した実施の形態では、リーチ状態となった場合に第1表示手段の表示視認領域を変化させるようにしているが、第1表示手段の表示視認領域を変化させる条件は、その他のものであってもよい。例えば、第1表示手段および第2表示手段がいずれも可変表示を実施している間に第1表示手段の表示視認領域を増大させ、その後、通常時よりも高い確率でリーチ状態を創出するようにすれば、遊技者に対してリーチ予告を報知することが可能となる。また、第2表示手段の可変表示が停止した場合、常に第1表示手段の表示視認領域を増大させるようにしても構わない。なお、第1表示手段の表示視認領域を最も減少させた場合においてもわずかにその表示視認領域を残すようにしているが、完全に覆い隠すようにすることも可能である。」
上記ア~キの記載事項から、以下の事項が導かれる。
(2-1-a)上記ア【0012】には、「パチンコ機1」が記載されている。
また、上記エ【0030】には、「パチンコ機1」では、「遊技球が、ガイドレール3によって遊技盤2の遊技領域4上方に案内され」、「遊技領域4内を順次流下する」ことが記載されており、「遊技盤2」は「遊技球」が「順次流下する」「遊技領域4」を有している。
そうすると、刊行物1には、「パチンコ機1」及び「遊技球が順次流下する遊技領域4を有している遊技盤2」が記載されているといえる。
(2-1-b)上記ア【0012】には、「パチンコ機1の遊技盤2には、・・・特別図柄表示装置10を設けてある」ことが記載されており、【0013】には、「特別図柄表示装置10」は、「第1表示手段12を備えている」ことが記載されていることから、「第1表示手段12」は「遊技盤2」に設けられているといえる。
また、【0014】には、「第1表示手段12は、・・・比較的大型の矩形状を成すドットマトリクス型の液晶表示器であり、・・・制御手段50の遊技制御用CPU501から与えられた制御信号に基づいて図柄、背景、キャラクタ等、任意の画像を表示することが可能」であると記載されている。
そうすると、刊行物1には、「遊技盤2に設けられ、遊技制御用CPU501から与えられた制御信号に基づいて、図柄、背景、キャラクタ等、任意の画像を表示することが可能な、比較的大型の矩形状を成すドットマトリクス型の液晶表示器である第1表示手段12」が記載されているといえる。
(2-1-c)上記ア【0013】には、「特別図柄表示装置10」は、「第1表示手段12の左右となる位置にそれぞれ可動体100を備えている」ことが記載されており、上記イ【0015】には、「可動体100は、・・・それぞれ補助ベース101と上下一対のガイドピン102とを一体に成形したものである」ことが記載されており、【0016】には、「補助ベース101は、第1表示手段12の表示面に対してその約半分となる大きさを有したプレート状部材であり、個々の前面に第2表示手段110・・・を備えて」いると記載されているから、「第1表示手段12の左右となる位置にそれぞれ備えられた可動体100が、第2表示手段110を備えること」が記載されているといえる。
また、上記イ【0016】には、「第2表示手段110は、7つの発光セグメント110aを「日」の字状に配置することによって構成したもので」であり、「各第2表示手段110は、・・・制御手段50の遊技制御用CPU501から与えられた制御信号に基づいてこれらの発光セグメント110aを適宜点灯/消灯させ、複数の図柄を切り換え表示することが可能である」ことが記載されている。
そうすると、刊行物1には、「7つの発光セグメント110aを「日」の字状に配置させ、これらの発光セグメント110aを適宜点灯/消灯させることによって、複数の図柄を切り換え表示することが可能な第2表示手段110を、第1表示手段12の左右となる位置にそれぞれ備える可動体100」が記載されているといえる。
(2-1-d)上記イ【0017】には、「可動体100が最も内方に移動した場合、・・・第1表示手段12の表示面を覆い隠した位置(以下、単に隠蔽位置という)に占位する一方、可動体100が最も外方に移動した場合、・・・第1表示手段12の表示面がすべて開放される位置(以下、単に開放位置という)に占位するように構成してある」ことが記載されている。
上記キ【0045】には、「第1表示手段の表示視認領域を・・・完全に覆い隠すようにすることも可能である」ことが記載されている。
そうすると、刊行物1には、「最も内方に移動した場合、第1表示手段12の表示面を完全に覆い隠した位置(隠蔽位置)に占位する一方、最も外方に移動した場合、第1表示手段12の表示面がすべて開放される位置(開放位置)に占位するように構成した可動体100」が記載されているといえる。
(2-1-e)上記エ【0029】には、「一対の可動体100が第1表示手段12の表示面を覆い隠した隠蔽位置に占位されている」場合が記載されており、上記オ【0034】には、その場合に、「第1表示手段12および第2表示手段110のそれぞれにおいて図柄を所定の可変時間だけ可変表示させた後、例えば向かって左側の第2表示手段110、向かって右側の第2表示手段110、第1表示手段12の順で、これらの表示手段110,12に図柄をひとつずつ停止表示させるまでの制御処理」が「特別図柄表示装置10で実施される」ことが記載されている。
そうすると、刊行物1には、「一対の可動体100が第1表示手段12の表示面を覆い隠した隠蔽位置に占位されている場合には、第1表示手段12および第2表示手段110のそれぞれにおいて図柄を所定の可変時間だけ可変表示させること」が記載されているといえる。
(2-1-f)上記オ【0036】には、「リーチ状態」の場合には、「まず、第1表示手段12の可変表示が継続している状態においてそれぞれの第2表示手段110に互いに一致する図柄が停止表示されるように」なり、「その後、直ちにロータリアクチュエータ140が適宜駆動し、・・・一対の可動体100が第1表示手段12の表示面を開放した開放位置に変位してそのまま停止するようになる」ことが記載されている。
また、【0037】には、「この状態においては、それ以前まで一対の可動体100によって覆い隠されていた第1表示手段12の表示面が突然に大きく開放され」ることが記載されている。
そうすると、刊行物1には、「リーチ状態の場合には、第1表示手段12の可変表示が継続している状態において、それぞれの第2表示手段110に互いに一致する図柄が停止表示されるようになり、その後、一対の可動体100が第1表示手段12の表示面を開放した開放位置に変位してそのまま停止し、それ以前まで一対の可動体100によって覆い隠されていた第1表示手段12の表示面が大きく開放されること」が記載されているといえる。
(2-1-g)上記オ【0038】には、「抽出した乱数が大当たりに対応したものであった場合」には、「リーチ演出の表示終了後、第1表示手段12に第2表示手段110の図柄と同一の図柄が停止表示され、その後特別遊技に移行する」ことが記載されている。
また、【0039】には、「特別遊技の間においても上記パチンコ機1によれば、大きく開放した第1表示手段12と一対の第2表示手段110とを利用し、従前のものには期待することのできない多彩な演出表示を行うことで特別遊技を一層盛り上げることが可能とな」ることが記載されている。
また、上記カ【0042】には、「上記パチンコ機1では、第1表示手段12および第2表示手段110を具備し、かつ第1表示手段12の表示視認領域が増減する態様で第2表示手段110を左右方向に移動させることにより、図柄の表示視認領域を物理的に変化させるようにした特別図柄表示装置10を適用して」おり、「第1表示手段12が開放された場合には、その時点で遊技者に大きなインパクトを与えることができ」、「図柄の表示視認領域が物理的に拡大した後においては、その後のリーチ演出や特別遊技の演出においても迫力のある画面を通じてより華やかで変化に富んだ表示を行うことが可能であ」ることが記載されている。
そうすると、刊行物1には、「抽出した乱数が大当たりに対応したものであった場合には、リーチ演出の表示終了後、第1表示手段12に第2表示手段110の図柄と同一の図柄が停止表示され、その後移行した特別遊技の間においても、大きく開放した第1表示手段12と一対の第2表示手段110とを利用して、多彩な演出表示を行い、迫力のある画面を通じてより華やかで変化に富んだ表示を行うことが可能であること」が記載されているといえる。
上記(2-1-a)~(2-1-g)の認定事項を総合すれば、刊行物1には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる(a~fは発明の構成を分説するため当審で付した。)。
「a 遊技球が順次流下する遊技領域4を有している遊技盤2と、
b 遊技盤2に設けられ、遊技制御用CPU501から与えられた制御信号に基づいて、図柄、背景、キャラクタ等、任意の画像を表示することが可能な、比較的大型の矩形状を成すドットマトリクス型の液晶表示器である第1表示手段12と、
c 7つの発光セグメント110aを「日」の字状に配置させ、これらの発光セグメント110aを適宜点灯/消灯させることによって、複数の図柄を切り換え表示することが可能な第2表示手段110を、第1表示手段12の左右となる位置にそれぞれ備え、最も内方に移動した場合、第1表示手段12の表示面を完全に覆い隠した位置(隠蔽位置)に占位する一方、最も外方に移動した場合、第1表示手段12の表示面がすべて開放される位置(開放位置)に占位するように構成した可動体100とを備え、
d 一対の可動体100が第1表示手段12の表示面を完全に覆い隠した隠蔽位置に占位されている場合には、第1表示手段12および第2表示手段110のそれぞれにおいて図柄を所定の可変時間だけ可変表示させ、
e リーチ状態の場合には、第1表示手段12の可変表示が継続している状態において、それぞれの第2表示手段110に互いに一致する図柄が停止表示されるようになり、その後、一対の可動体100が第1表示手段12の表示面を開放した開放位置に変位してそのまま停止し、それ以前まで一対の可動体100によって覆い隠されていた第1表示手段12の表示面が大きく開放されるようになり、
f 抽出した乱数が大当たりに対応したものであった場合には、リーチ演出の表示終了後、第1表示手段12に第2表示手段110の図柄と同一の図柄が停止表示され、その後移行した特別遊技の間においても、大きく開放した第1表示手段12と一対の第2表示手段110とを利用して、多彩な演出表示を行い、迫力のある画面を通じてより華やかで変化に富んだ表示を行うことが可能であるパチンコ機1。」
(2-2)刊行物2に記載された事項
原査定の拒絶の理由に引用された本願の出願前に頒布された刊行物である特開2007―296004号公報(以下、「刊行物2」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審で付した。)。
ク 「【0044】
(途中省略)
(演出制御装置220)
次に、演出制御装置220について詳述する。
【0045】
演出制御装置220は、遊技制御装置210からの出力信号、スタートスイッチ30等の操作信号を受信して、演出表示部66及びシャッター装置20の作動を制御するためのものである。そして、演出制御装置220は、図4に示すように、次の(1)乃至(4)の手段を有している。
(1)遊技作動判定手段150
(2)液晶表示制御手段160
(3)シャッター制御手段170
(4)デモ表示制御手段180
なお、演出制御装置220としては、上記した(1)乃至(4)の手段に限定されるものではなく、他の手段を含んでいてもよい。ここで、本実施の形態では、液晶表示装置67を用いた演出及びシャッター装置20の制御について説明するが、演出制御装置220が、それ以外の演出、例えばランプ68の点灯・点滅、スピーカ69からの音声出力等による演出の実行を制御可能であることはいうまでもない。」
ケ 「【0047】
(途中省略)
(液晶表示制御手段160)
液晶表示制御手段160は、液晶表示装置67に所定の演出表示を行わせるためのものである。
【0048】
具体的には、液晶表示制御手段160は、複数の演出データを有しており、所定の条件、例えば当選フラグの成立や演出抽選の結果に基づいて演出データを決定し、液晶表示装置67に所定の画像(動画を含む)を表示させる。
また、液晶画面の表示中に、前記遊技作動判定手段150から非作動判定信号を受信した場合には、液晶表示装置67をOFFにして表示画面の演出表示を中止し、液晶表示装置67がOFFのときに前記作動判定信号を受信した場合には、液晶表示装置67をONにして、表示画面の演出表示を再開させる。
なお、再開される演出表示については、中止時に行われていた演出の続きから行われるようにしてもよいし、中止時に行われていた演出を最初から始めるようにしてもよい。
【0049】
(シャッター制御手段170)
シャッター制御手段170は、前記遊技作動判定手段160からの非作動判定信号及び作動判定信号に基づいて、シャッター装置20の作動を制御するためのものである。
具体的には、移動板22が開いた状態(図3(A)参照)で非作動判定信号を受信した場合には、シャッター駆動部21の駆動モータ23を移動板22が閉じる方向に駆動させて、液晶表示装置67の表示画面が移動板22で覆い隠されるようにし(図3(B)参照)、移動板22が閉じた状態のときに作動判定信号を受信した場合には、駆動モータ23を移動板22が開く方向に駆動させて、液晶表示装置67の表示画面を正面側から視認できる位置まで移動板22を退避させる。
【0050】
(デモ表示制御手段180)
デモ表示制御手段180は、前記遊技作動判定手段160からの非作動判定信号及び作動判定信号に基づいて、デモ表示装置27の表示を制御するためのものである。
具体的には、デモ表示装置27でのデモ表示を行っていないときに非作動判定信号を受信した場合には、デモ表示装置27をONにしてLED素子28を所定のパターンで点滅させて予め設定されたデモ表示を行い、デモ表示装置27でデモ表示中に作動判定信号を受信した場合には、デモ表示装置27をOFFにしてデモ表示を終了させる。」
コ 「【0055】
前記ステップ201において、精算スイッチ17がONとなった場合には、ステップ202を飛び越してステップ203に進む。
ステップ203において、シャッター装置20の移動板22を閉じて液晶表示装置67の表示画面を覆うとともに、デモ表示装置27をONにしてLED素子28の点滅によるデモ表示を開始させる(図3(B)参照)。すなわち、演出表示窓19からは、デモ表示画面が視認可能となる。このように、精算スイッチ17の操作でクレジットを払い戻した場合、すなわち遊技者の意志で遊技を終わりにした場合や、クレジットの有無にかかわらずスタートスイッチ30が一定時間操作されなかった場合、すなわち遊技者が遊技台を離れている場合には、演出表示窓19ではデモンストレーション表示が開始されるものとなる。そして、次のステップ204に進む。
【0056】
ステップ204において、液晶表示装置67をOFFにする。そして、次のステップ205に進む。
ステップ205において、メダルが投入されたかどうかが判断される。具体的には、投入スイッチ15がONとなったか、ベットスイッチ16がONとなったかを判断する。メダル投入がされていない場合には、ステップ205に戻る。一方、メダル投入がなされた場合には、次のステップ206に進む。
ステップ206において、デモ表示装置27をOFFにしてデモ表示を終了させるとともに、シャッター装置20の移動板22を開いて液晶表示装置67の表示画面が見えるようにする。すなわち、シャッター装置20が閉じている場合には、メダル投入を行うこと、すなわち遊技開始の最初の操作がなされない限り、演出表示窓19にはデモンストレーション表示が表示され続けるものとなる。そして、次のステップ207に進む。」
サ 「【0064】
なお、以上述べた実施の形態では、移動板22は、閉じた状態のときに液晶表示画面の全面を覆うように形成されているが、液晶表示画面がOFFであっても演出表示窓19から所定のデモ表示が視認できるようになっていれば、必ずしも移動板22が液晶表示画面の全面を覆っていなくてもよい。例えば、液晶表示画面の中央部を移動板22が覆うような形態としてもよい。
また、液晶表示装置67の電力の遮断について、上記実施の形態では、移動板22が遮蔽位置にある場合には、液晶表示装置67を完全な電力供給停止状態とするものであったが、本発明においては、液晶表示装置67本体には電力が供給されるが液晶表示画面に動画等が表示されるのに必要な電力の供給を遮断することも、「電力の遮断」に含まれる。すなわち、移動板22の遮蔽時には、液晶表示装置67に対して、液晶表示画面の表示の復帰が迅速に行われる程度の微弱な電力を供給し、電力供給制限状態(円滑復帰モードあるいは節電モード)にするようにしてもよいものである。」
シ 「【0065】
そして、本発明が、スロットマシン以外の遊技機にも応用できることは言うまでもない。例えば、特に図示しないが、図柄表示手段として液晶表示装置を備え、この液晶表示装置の表示画面を視認可能な図柄表示窓を有する遊技機(例えばパチンコ遊技機)において、図柄表示窓の裏側に、上記実施の形態で述べたようなシャッター装置20を設けることができる。そして、遊技が行われていない場合(例えば弾発射装置が一定時間作動していない場合)には、図柄表示窓を移動板22で閉じてデモンストレーション表示を行うようにすることができる。」
上記ク~シの記載事項から、以下の事項が導かれる。
(2-2-a)上記ク【0045】には、「演出制御装置220」は、「液晶表示制御手段160」、「シャッター制御手段170」、「デモ表示制御手段180」等を有しており、「演出表示部66」、「シャッター装置20」の「作動」を制御したり、「ランプ68」の「点灯・点滅」を制御することが記載されている。
また、上記シ【0065】には、「図柄表示手段として液晶表示装置を備え、この液晶表示装置の表示画面を視認可能な図柄表示窓を有する遊技機(例えばパチンコ遊技機)」が記載されている。
そうすると、刊行物2には、「図柄表示手段として液晶表示装置を備え、この液晶表示装置の表示画面を視認可能な図柄表示窓を有するパチンコ遊技機において、演出制御装置220は、液晶表示制御手段160、シャッター制御手段170、デモ表示制御手段180等を有しており、演出表示部66、シャッター装置20の作動を制御したり、ランプ68の点灯・点滅を制御すること」が記載されているといえる。
(2-2-b)上記ケ【0048】には、「液晶表示制御手段160は、液晶表示装置67に所定の演出表示を行わせるためのもの」であり、「液晶表示装置67に所定の画像(動画を含む)を表示させる」ことが記載されている。
【0049】には、「シャッター制御手段170」は、「シャッター装置20の作動を制御するためのもので」あり、「液晶表示装置67の表示画面が移動板22で覆い隠されるようにし」たり、「液晶表示装置67の表示画面を正面側から視認できる位置まで移動板22を退避させ」たりすることが記載されている。
【0050】には、「デモ表示制御手段180」は、「デモ表示装置27の表示を制御するためのもの」であり、「デモ表示装置27をONにしてLED素子28を所定のパターンで点滅させて予め設定されたデモ表示を行い」、「デモ表示装置27をOFFにしてデモ表示を終了させる」ことが記載されている。
そうすると、刊行物2には、「液晶表示制御手段160は、液晶表示装置67に所定の演出表示を行わせるためのものであり、液晶表示装置67に所定の画像(動画を含む)を表示させ、シャッター制御手段170は、シャッター装置20の作動を制御するためのものであり、液晶表示装置67の表示画面が移動板22で覆い隠されるようにしたり、液晶表示装置67の表示画面を正面側から視認できる位置まで移動板22を退避させたりし、デモ表示制御手段180は、デモ表示装置27の表示を制御するためのものであり、デモ表示装置27をONにしてLED素子28を所定のパターンで点滅させて予め設定されたデモ表示を行い、デモ表示装置27をOFFにしてデモ表示を終了させること」が記載されているといえる。
(2-2-c)上記コ【0055】及び【0056】には、「シャッター装置20の移動板22を閉じて液晶表示装置67の表示画面を覆うとともに、デモ表示装置27をONにしてLED素子28の点滅によるデモ表示を開始させる」場合には、「液晶表示装置67をOFFにする」ことが記載されている。
また、【0056】には、「デモ表示装置27をOFFにしてデモ表示を終了させる」場合には、「シャッター装置20の移動板22を開いて液晶表示装置67の表示画面が見えるようにする」ことが記載されている。
そうすると、刊行物2には、「シャッター装置20の移動板22を閉じて液晶表示装置67の表示画面を覆うとともに、デモ表示装置27をONにしてLED素子28の点滅によるデモ表示を開始させる場合には、液晶表示装置67をOFFにし、デモ表示装置27をOFFにしてデモ表示を終了させる場合には、シャッター装置20の移動板22を開いて液晶表示装置67の表示画面が見えるようにすること」が記載されているといえる。
(2-2-d)上記サ【0064】には、「液晶表示装置67本体には電力が供給されるが液晶表示画面に動画等が表示されるのに必要な電力の供給を遮断することも、「電力の遮断」に含まれ」、「移動板22の遮蔽時には、液晶表示装置67に対して、液晶表示画面の表示の復帰が迅速に行われる程度の微弱な電力を供給し、電力供給制限状態(円滑復帰モードあるいは節電モード)にする」ことが記載されている。
そうすると、刊行物2には、「移動板22の遮蔽時に、液晶表示装置67に対して、液晶表示画面に動画等が表示されるのに必要な電力の供給を遮断して、液晶表示画面の表示の復帰が迅速に行われる程度の微弱な電力を供給し、電力供給制限状態(円滑復帰モードあるいは節電モード)にすること」が記載されているといえる。
上記(2-2-a)~(2-2-d)の認定事項を総合すれば、刊行物2には、以下の事項(以下、「刊行物2記載事項」という。)が記載されていると認められる。
「図柄表示手段として液晶表示装置を備え、この液晶表示装置の表示画面を視認可能な図柄表示窓を有するパチンコ遊技機において、
演出制御装置220は、液晶表示制御手段160、シャッター制御手段170、デモ表示制御手段180等を有し、演出表示部66、シャッター装置20の作動を制御したり、ランプ68の点灯・点滅を制御し、
液晶表示制御手段160は、液晶表示装置67に所定の演出表示を行わせるためのものであり、液晶表示装置67に所定の画像(動画を含む)を表示させ、
シャッター制御手段170は、シャッター装置20の作動を制御するためのものであり、液晶表示装置67の表示画面が移動板22で覆い隠されるようにしたり、液晶表示装置67の表示画面を正面側から視認できる位置まで移動板22を退避させたりし、
デモ表示制御手段180は、デモ表示装置27の表示を制御するためのものであり、デモ表示装置27をONにしてLED素子28を所定のパターンで点滅させて予め設定されたデモ表示を行い、デモ表示装置27をOFFにしてデモ表示を終了させ、
シャッター装置20の移動板22を閉じて液晶表示装置67の表示画面を覆うとともに、デモ表示装置27をONにしてLED素子28の点滅によるデモ表示を開始させる場合には、液晶表示装置67をOFFにし、
デモ表示装置27をOFFにしてデモ表示を終了させる場合には、シャッター装置20の移動板22を開いて液晶表示装置67の表示画面が見えるようにし、
移動板22の遮蔽時に、液晶表示装置67に対して、液晶表示画面に動画等が表示されるのに必要な電力の供給を遮断して、液晶表示画面の表示の復帰が迅速に行われる程度の微弱な電力を供給し、電力供給制限状態(円滑復帰モードあるいは節電モード)にすること。」
(3)対比
本件補正発明と引用発明とを対比する。
なお、見出しは(a)~(g)とし、本件補正発明、引用発明の分説に対応させている。
(a)引用発明の「遊技球」、「順次流下」、「遊技領域4」及び「遊技盤2」は、それぞれ本件補正発明の「遊技球」、「流下可能」、「遊技領域」及び「遊技盤」に相当する。
したがって、引用発明の「a 遊技球が順次流下する遊技領域4を有している遊技盤2」は、本件補正発明の「A 遊技球が流下可能な遊技領域を形成する遊技盤」に相当する。
(b)引用発明の「遊技制御用CPU501」は、本件補正発明の「サブ制御装置」に相当する。
また、引用発明の「図柄、背景、キャラクタ等、任意の画像」は、本件補正発明の「遊技に係る第1演出画像」に相当する。
さらに、引用発明の「遊技盤2に設けられ」た「第1表示手段12」は、本件補正発明の「前記遊技盤に配置され」た「演出表示装置」に相当する。
ここで、引用発明では、「遊技制御用CPU501から与えられた制御信号に基づいて、図柄、背景、キャラクタ等、任意の画像を表示することが可能」としているところ、これは、本件補正発明の「サブ制御装置の制御により遊技に係る第1演出画像を表示可能」とすることに相当する。
そして、引用発明の「第1表示手段12」は、「比較的大型の矩形状を成すドットマトリクス型の液晶表示器である」ことから、所定の表示領域を有していることは明らかであり、この「所定の表示領域」は、本件補正発明の「第1の表示領域」に相当する。
よって、引用発明の「b 遊技盤2に設けられ、遊技制御用CPU501から与えられた制御信号に基づいて、図柄、背景、キャラクタ等、任意の画像を表示することが可能な、比較的大型の矩形状を成すドットマトリクス型の液晶表示器である第1表示手段12」は、本件補正発明の「B 前記遊技盤に配置され、サブ制御装置の制御により遊技に係る第1演出画像を表示可能な第1表示領域を有する演出表示装置」に相当する。
(c)引用発明の「第2表示手段110」は、「可動体100」に備えられており、「可動体100」の移動に伴って移動可能であるといえるから、引用発明の「第2表示手段110を、第1表示手段12の左右となる位置にそれぞれ備え」た「可動体100」は、本件補正発明の「可動演出表示装置」に相当する。
また、引用発明の「第2表示手段110」は、「7つの発光セグメント110aを「日」の字状に配置させ、これらの発光セグメント110aを適宜点灯/消灯させることによって、複数の図柄を切り換え表示することが可能」であるところ、この「日」の字状に配置された7つの発光セグメントで構成される表示領域は、本件補正発明の「第2表示領域」に相当する。
また、引用発明の「複数の図柄を切り換え表示すること」は、遊技に係る演出を表示することを意味するから、本件補正発明と引用発明とは、「前記遊技に係る第2演出を表示可能な第2表示領域を有する」点で共通する。
引用発明では、「可動体100」が「最も内方に移動した場合、第1表示手段12の表示面を完全に覆い隠した位置(隠蔽位置)に占位」しており、この「第1表示手段12の表示面」及び「第1表示手段12の表示面を完全に覆い隠した位置(隠蔽位置)」は、本件補正発明の「前記演出表示装置の前記第1表示領域」及び「前記演出表示装置の前記第1表示領域を隠蔽可能な隠蔽位置」にそれぞれ相当する。
同様に、引用発明では、「可動体100」が「最も外方に移動した場合、第1表示手段12の表示面がすべて開放される位置(開放位置)に占位」しており、この「第1表示手段12の表示面がすべて開放される位置(開放位置)」は、本件補正発明の「前記隠蔽位置で隠蔽した前記第1表示領域を視認可能とする開放位置」に相当する。
そして、引用発明の「可動体100」は、「最も内方に移動」したり、「最も外方に移動」したりすることができるから、「隠蔽位置」及び「開放位置」に「移動可能」な「可動演出表示装置」であると認められる。
よって、本件補正発明の構成Cと引用発明の構成cとは、「前記遊技に係る第2演出を表示可能な第2表示領域を有し、前記演出表示装置の前記第1表示領域を隠蔽可能な隠蔽位置及び前記隠蔽位置で隠蔽した前記第1表示領域を視認可能とする開放位置に移動可能な可動演出表示装置とを備え」る点で共通する。
(d)引用発明では、「一対の可動体100が第1表示手段12の表示面を完全に覆い隠した隠蔽位置に占位されている場合」に、「第2表示手段110」において「図柄を所定の可変時間だけ可変表示させ」ている。
ここで、本件補正発明の「第2演出画像」と、引用発明の「第2表示手段110」において「可変表示」される「図柄」とは、「隠蔽位置で前記第2表示領域」に表示される「第2演出」である点で共通する。
よって、本件補正発明の構成Dと引用発明の構成dとは、「前記可動演出表示装置は、前記隠蔽位置で前記第2表示領域に前記第2演出を表示可能とし」ている点で共通する。
(e)引用発明では、「リーチ状態の場合」に、「第1表示手段12の可変表示が継続している状態において」、「一対の可動体100」が「第1表示手段12の表示面を開放した開放位置に変位してそのまま停止し」、「第1表示手段12の表示視認領域が数倍に達するように」なることから、「第1表示手段12」は、「可動体100」が「開放位置」に「変位」したことによって「開放」される「表示面」である「表示視認領域」において、「可変表示」を行っており、この「可動体100が開放位置に変位したことによって開放される表示面である表示視認領域」は、本件補正発明の「前記可動演出表示装置が前記開放位置に移動したことによって視認可能となる前記第1表示領域」に相当する。。
また、引用発明の「第1表示手段12」において表示される「可変表示」は、上記(b)から、本件補正発明の「第1演出画像」に相当する。
よって、引用発明の「 e リーチ状態の場合には、第1表示手段12の可変表示が継続している状態において、それぞれの第2表示手段110に互いに一致する図柄が停止表示されるようになり、その後、一対の可動体100が第1表示手段12の表示面を開放した開放位置に変位してそのまま停止し、それ以前まで一対の可動体100によって覆い隠されていた第1表示手段12の表示面が大きく開放され」ることは、本件補正発明の「E 前記演出表示装置は、前記可動演出表示装置が前記開放位置に移動したことによって視認可能となる前記第1表示領域に前記第1演出画像を表示可能とし」ていることに相当する。
(f)引用発明の「パチンコ機1」は、本件補正発明の「遊技機」に相当する。
また、引用発明では、「抽出した乱数が大当たりに対応したものであった場合」の「特別遊技の間」において、「大きく開放した第1表示手段12と一対の第2表示手段110とを利用して、多彩な演出表示を行い、迫力のある画面を通じてより華やかで変化に富んだ表示を行うことが可能」であり、このとき、「第2表示手段110」を備える「可動体100」は、「第1表示手段12」を「大きく開放」する位置に移動して、「第1表示手段12」と並列配置されている。
また、引用発明における「多彩な演出表示を行う」ことは、本件補正発明と「第3演出を表示」することで共通する。
よって、本件補正発明の構成Fと引用発明の構成fとは、「前記可動演出表示装置が前記開放位置に移動して前記演出表示装置と並列することによって、第3演出を表示可能とし」ている点で共通する。
上記(a)~(f)の対比により、本件補正発明と引用発明とは、
「A 遊技球が流下可能な遊技領域を形成する遊技盤と、
B 前記遊技盤に配置され、サブ制御装置の制御により遊技に係る第1演出画像を表示可能な第1表示領域を有する演出表示装置と、
C’前記遊技に係る第2演出を表示可能な第2表示領域を有し、前記演出表示装置の前記第1表示領域を隠蔽可能な隠蔽位置及び前記隠蔽位置で隠蔽した前記第1表示領域を視認可能とする開放位置に移動可能な可動演出表示装置とを備え、
D’前記可動演出表示装置は、前記隠蔽位置で前記第2表示領域に前記第2演出を表示可能とし、
E 前記演出表示装置は、前記可動演出表示装置が前記開放位置に移動したことによって視認可能となる前記第1表示領域に前記第1演出画像を表示可能とし、
F’前記可動演出表示装置が前記開放位置に移動して前記演出表示装置と並列することによって、第3演出を表示可能とする遊技機。」
である点で一致し、以下の点で相違する。
[相違点1]
「可動演出表示装置」が表示可能な「第2演出」、及び、「可動演出表示装置」が「演出表示装置と並列することによって」表示可能な「第3演出」について、本件補正発明では、両演出がいずれも「画像」であり、「第3演出」については、「連続する前記第1表示領域及び前記第2表示領域に亘って」表示されるものであるのに対し、引用発明では、そのような特定がされていない点(構成C、D、F)。
[相違点2]
本件補正発明では、「前記サブ制御装置は、前記可動演出表示装置が前記隠蔽位置にあるとき、前記演出表示装置の周囲に設けた補助ランプを点灯制御するとともに、前記第1表示領域に前記第1演出画像を非表示状態とし、当該非表示状態から即時前記第1演出画像を前記第1表示領域に表示可能な省電力設定状態に制御する」という構成を有するのに対し、引用発明では、そのような構成を備えていない点(構成G)。
(4)判断
上記相違点について検討する。
ア 相違点1について
遊技機の技術分野において、第1演出画像を第1表示領域に表示可能な演出表示装置と、その左右に配置され第2演出を第2表示領域に表示可能な一対の可動演出表示装置とを備える遊技機において、当該第2演出を「画像」として表示し、当該一対の可動演出表示装置が移動して、当該演出表示装置の表示面を開放する位置にあるとき、当該一対の可動演出表示装置が当該演出表示装置と「並列することによって」、第1表示領域と第2表示領域を「連続」したものとし、当該連続した表示領域に「亘って」「演出画像」を表示することは、周知の技術(以下、「周知の技術事項1」という。)である。
(必要ならば、例えば、特開2006-304848号公報の【0075】~【0076】、【図14】、【図15】、特開2007-307252号公報の【0339】~【0367】、【図33】~【図37】、特開2012-45303号公報の【0364】~【0375】、【0437】~【0443】、【図29】、【図37】等の記載を参照。)
そして、引用発明の「第2表示手段110」 について、上記(2-1)の記載事項 (キ)において「第2表示手段としても、発光セグメントによるものである必要はなく、ドットマトリクス型の液晶表示器等、その他のものを適用してもよい。」と示唆されており、かかる示唆に従って、「第2表示手段110」を、ドットマトリクス型の液晶表示器とした際、上記周知の技術事項1を適用して、「第1表示手段12」に加え、「第2表示手段110」にも演出画像を表示し、上記相違点1に係る本件補正発明の構成を得るようにしたことに当業者ならば格別の困難性はない。
イ 相違点2について
まず、補助ランプの点灯制御について検討する。
遊技機の技術分野において、サブ制御装置が、可動演出表示装置が隠蔽位置にあるとき、演出表示装置の周囲に設けた補助ランプを点灯制御することは、周知の技術である(以下、「周知の技術事項2」という。)。
(必要ならば、例えば、特開2011-110170号公報の【0077】~【0078】、【0148】~【0155】、【図9】には、表示制御基板80に設けられた表示制御用マイクロコンピュータが、シャッター役物26a、26bの駆動制御、周辺ランプ25a~25dやシャッターランプ26cの発光制御、液晶表示装置9の表示制御を行い、変動パターンとしてスーパーリーチBが選択された場合のリーチ表示態様として、シャッター役物26a、26bが一旦閉じられ、液晶表示装置9の画像を遊技者が視認できなくなる状態で、周辺ランプ25a~25dが暗めに点灯されるとともに、シャッター役物26a、26bに配置されたシャッターランプ26cが点灯されることにより×字描画演出を行うことが記載されている。
また、例えば、特開2013-102782号公報の【0390】~【0395】、【図101】には、演出制御装置300が、シャッターユニット(遮蔽部材)1500を遮蔽状態に変換するとともに、表示装置41を通常状態から当該通常状態よりも電力消費を抑えた省電力状態(低輝度状態)に変換するように構成され、シャッターユニット1500が遮蔽状態となって各シャッターで表示装置41の表示領域Rが遮蔽されたとき、演出制御装置300は、当該表示装置41の周囲に設けられたLEDが所定の発光態様で発光するように制御することが記載されている。)
次に、省電力設定状態制御について検討する。
上記刊行物2記載事項における「パチンコ遊技機」、「演出制御装置220」、「液晶表示装置67」、「(液晶)表示画面」及び「所定の画像」は、それぞれ本件補正発明の「遊技機」、「サブ制御装置」、「演出表示装置」、「第1表示領域」及び「第1演出画像」に相当する。
また、上記刊行物2記載事項では、移動板22の遮蔽時に、液晶表示装置67本体への電力を遮断する場合には、液晶表示装置67に対して、液晶表示画面に動画等が表示されるのに必要な電力の供給を遮断しているから、液晶表示装置67の表示画面には所定の画像は表示されていない状態にあり、これは、本件補正発明の「第1表示領域に第1演出画像を非表示状態」とすることに相当する。
そして、上記刊行物2記載事項では、「液晶表示画面の表示の復帰が迅速に行われる程度の微弱な電力を供給し、電力供給制限状態(円滑復帰モードあるいは節電モード)」にしており、所定の画像が表示されていない状態から液晶表示画面の表示の復帰が迅速に行われるから、この「電力供給制限状態(円滑復帰モードあるいは節電モード)」は、本件補正発明の「当該非表示状態から即時前記第1演出画像を前記第1表示領域に表示可能な省電力設定状態」に相当する。
さらに、補助ランプの点灯制御とともに省電力設定状態に制御することについて検討する。
補助ランプ点灯制御に係る上記周知の技術事項2及び上記刊行物2記載事項は、いずれも、遊技機の演出表示装置が可動する部材により隠蔽されたときの、演出制御装置が行う演出制御に関するものであり、上記点灯制御は補助ランプに対して行われる制御であり、省電力設定状態制御は演出表示装置に対して行われる制御であって、それぞれが独立して行われる演出制御である。
そして、引用発明、上記周知の技術事項2及び上記刊行物2記載事項は、いずれも、遊技機の演出表示装置の表示面が可動する部材により隠蔽されたり、開放されたりしたときの、遊技機の演出制御装置が行う演出制御に関するものである点で共通し、また、上述の演出制御により遊技者の興趣を高めるという課題を有している点で共通する。
よって、引用発明において、パチンコ機1の第1表示手段12が隠蔽されているときの第1表示手段12の表示状態の制御について、上記刊行物2記載事項を適用し、当該第1表示手段12の周囲における演出制御について、上記周知の技術事項2を適用して、第1表示手段12の周囲に設けられた補助ランプの点灯制御とともに第1表示手段12を省電力設定状態に制御するように構成することにより、上記相違点2に係る本件補正発明の構成を得るようにしたことに当業者ならば格別の困難性はない。
(5)審判請求人の主張について
審判請求書において、請求人は、
「補正後の本願発明は、補正後の構成要件を具備することにより、次のような効果を奏します。
(a)可動演出表示装置が、通常遊技状態において隠蔽位置で演出画像を表示しつつ、演出表示装置の表示領域を隠蔽し、通常遊技状態から特定遊技状態に移行したことに基づいて開放位置に移動して、演出表示装置の表示領域の演出画像を視認可能とすることによって、通常遊技状態から特定遊技状態に移行すること、あるいはその前兆を明瞭に表現すると共に、斬新な演出や変化に富んだ多彩な演出を実行することができる。
(b)演出表示装置は、可動演出表示装置により隠蔽されているときに、即時第1演出画像を表示可能な省電力設定状態となるため、不要な電力の消費を抑えることができる。
(c)演出表示装置が省電力設定状態であっても、演出表示装置の周囲に設けた補助ランプの点灯により、視覚的に起動している状態とほぼ変わらない状態(明るさや色彩等)を維持しつつ省エネルギー状態を保つことができる。
これに対し、引用文献2には、移動板が退避したときにはすぐに液晶表示画面に動画が表示されるために、液晶表示装置の画面表示の復帰が迅速に行われる程度の微弱な電力を供給する点の開示があることに異論はありません。
しかしながら、本願発明のように、可動演出表示装置が隠蔽位置にあるとき、演出表示装置の周囲に設けた補助ランプを点灯する点については、引用文献1、2には開示も示唆もありません。
よって、引用文献1、2に記載された発明では、上記した本願発明の効果のうち(c)の効果を奏することはありません。このことから、本願発明は、引用文献1、2には開示も示唆もない独自の技術的思想であり、引用文献1、2には本願発明に至る動機付けもないものであります。」
と主張している。
(「3.本願発明が特許されるべき理由」「(4)補正後の本願発明と引用文献との対比」を参照)
この主張について検討すると、上記(4)「イ 相違点2について」で検討したように、遊技機の演出表示装置が可動する部材により隠蔽されたときの演出制御装置が行う演出制御として、補助ランプを点灯制御することは、周知の技術であり、また、演出表示装置を省電力設定状態に制御することは、刊行物2に記載された事項である。
そして、引用発明、上記周知の技術事項2及び上記刊行物2記載事項は、いずれも、遊技機の演出表示装置の表示面が可動する部材により隠蔽されたり、開放されたりしたときの、遊技機の演出制御装置が行う演出制御に関するものである点で共通し、また、上述の演出制御により遊技者の興趣を高めるという課題を有している点で共通するから、引用発明において、パチンコ機1の第1表示手段12が隠蔽されているときの第1表示手段12の表示状態の制御について、上記刊行物2記載事項を適用し、当該第1表示手段12の周囲における演出制御について、上記周知の技術事項2を適用して、第1表示手段12の周囲に設けられた補助ランプの点灯制御とともに第1表示手段12を省電力設定状態に制御するように構成することにより、上記相違点2に係る本件補正発明の構成を得るようにしたことに当業者ならば格別の困難性はない。
さらに、上記請求人が主張する効果は、引用発明、刊行物2記載事項並びに上記周知の技術事項1及び2から当業者が予測し得た範囲のものであり格別なものとはいえない。
よって、請求人の主張は採用できない。
(6)小括
よって、本件補正発明は、引用発明、刊行物2記載事項並びに周知の技術事項1及び2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができない。
4.むすび
以上より、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
第3 本願発明について
1.本願発明
本件補正発明は、上記第2において述べたとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成29年5月22日付けの手続補正書により補正された、上記第2の「1.本件補正の概要」において本件補正前として記載された次のとおりのものである。
「【請求項1】
遊技球が流下可能な遊技領域を形成する遊技盤と、
前記遊技盤に配置され、遊技に係る第1演出画像を表示可能な第1表示領域を有する演出表示装置と、
前記遊技に係る第2演出画像を表示可能な第2表示領域を有し、前記演出表示装置の前記第1表示領域を隠蔽可能な隠蔽位置及び前記隠蔽位置において隠蔽した前記第1表示領域を視認可能とする開放位置に移動可能な可動演出表示装置とを備え、
前記可動演出表示装置は、前記隠蔽位置で前記第2表示領域に前記第2演出画像を表示可能とし、
前記演出表示装置は、前記可動演出表示装置が前記開放位置に移動したことによって視認可能となる前記第1表示領域に前記第1演出画像を表示可能とし、
前記可動演出表示装置が前記開放位置に移動して前記演出表示装置と並列することによって、連続する前記第1表示領域及び前記第2表示領域に亘って第3演出画像を表示可能とすることを特徴とする遊技機。」
2.原査定における拒絶の理由の概要
原査定の拒絶の理由は、
理由1(新規性)
この出願の請求項1~3に係る発明は、その出願前に日本国内において、頒布された以下の引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
理由2(進歩性)
この出願の請求項1~3に係る発明は、その出願前に日本国内において、頒布された以下の引用文献1に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
この出願の請求項4に係る発明は、その出願前に日本国内において、頒布された以下の引用文献1~2に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
というものである。
引用文献1.特開2002-102451号公報
引用文献2.特開2007-296004号公報
3.引用文献
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1の記載事項及び引用発明は、上記第2の[理由]3.(2)(2-1)「刊行物1に記載された事項」に記載したとおりである。
4.対比・判断
本願発明は、本件補正発明の発明特定事項から、上記第2の「1.本件補正の概要」で示した下線部に係る事項を省いたものであるから、本件補正の前後でその内容において実質的な変更を伴わないものを除けば、上記第2の3.(3)で示した[相違点2]に係る構成(「サブ制御装置」の制御に係る事項)が省かれることとなる。
そうすると、本願発明と引用発明とは、上記第2の3.(3)で示した[相違点1]と同様の相違点のみで相違し、当該相違点1については、(4)「ア 相違点1について」で示したとおりであるから、本願発明は、本件補正発明と同様に、引用発明及び周知の技術事項1に基づいて、当業者が容易になし得たものである。
第4 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2017-013077