特許拒絶査定不服審判
2017-012733
遊技機
- 審判番号
- 2017-012733
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2013-046370外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2017年08月29日
- 審決日
- 2018年05月21日
- 公報発行日
- 2018年08月31日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社三共
- 分類
- P18 .121-Z (A63F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条、特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2013-46370号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成26年9月22日出願公開、特開2014-171645号〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
1 手続の経緯の概要
本願は、平成25年3月8日の出願であって、平成28年9月8日に手続補正書が提出され、同年11月4日付けで拒絶の理由が通知され、同年12月22日に意見書が提出されたところ、平成29年5月31日付けで拒絶査定がなされ(発送日:同年6月6日)、それに対し、同年8月29日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。
2 本願発明
本願の請求項1に係る発明は、平成28年9月8日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。
「A 遊技が可能な遊技機であって、
B 第1表示装置と、該第1表示装置と異なる表示面積と表示画素密度とを有する第2表示装置と、
C 前記第1表示装置に表示される画像の画像データと前記第2表示装置に表示される画像の画像データとが読み出し可能に格納されるフレームバッファと、
を備え、
D 少なくとも前記第1表示装置に表示される第1連携画像の画像データを格納する第1画像バッファ領域と前記第2表示装置に表示される第2連携画像の画像データを格納する第2画像バッファ領域とは、対応する前記第1表示装置と前記第2表示装置の表示面積の比率に対応した領域として前記フレームバッファ内に設定されて、共通の画像を描画可能とされており、
E 第1画像バッファ領域に格納されている画像データの画像を拡大または縮小せずに前記第1表示装置に表示し、第2画像バッファ領域に格納されている画像データの画像を前記第2表示装置の表示画素密度に応じた倍率にて拡大または縮小して表示し、
F 前記遊技が行われていないときに、前記第1表示装置および前記第2表示装置において特定演出画像を表示可能である、
ことを特徴とする遊技機。」(A~Fは、当審にて分説して付与した。)
3 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、この出願の請求項1に係る発明は、本願の出願前に頒布された下記の刊行物1~2の記載に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない、というものである。
刊行物1:特開2010-22741号公報
刊行物2:特開2001-87500号公報
4 刊行物に記載された発明
(1)原査定の拒絶の理由で引用された、本願の出願日前に頒布された刊行物である特開2010-22741号公報には、次の事項が記載されている。
ア 「【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技の進行に応じて演出表示を実行する遊技機に関する。」
イ 「【0017】
そこで本発明は、1つの映像表示プロセッサにより複数の表示装置に画像を表示させる場合であって、そのうちの一部の表示装置の解像度が異なる場合であっても、表示される映像の大きさを揃えて描画処理を行うことが可能な遊技機を提供することを目的とする。」
ウ 「【0074】
(3-1-1.VDP330の構成例)
次に、装飾図柄表示装置16、26に対する映像表示を行うためのVDP330の構成を図4を参照して説明する。
【0075】
VDP330は、図4に示されるように、CPU I/F(インタフェース)331、データ転送回路332、バス I/F(インタフェース)333、伸張回路(デコーダ)334、描画回路335、データ格納メモリ336、フレームバッファメモリ337、表示回路338を含んでいる。
・・・
【0080】
フレームバッファメモリ337は、データ格納メモリ336と同様にVRAMにより実現され、描画回路335により描画された映像データを揮発的に一旦格納することが可能な構成となっている。なお、フレームバッファメモリ337は、2フレーム分の映像データを描画して格納することが可能となっており、描画回路335により1フレーム分の映像データが描画されて格納されている間に、既に描画処理が終了したフレームのデータを表示回路338を介して装飾図柄表示装置16、26に表示させることができる。
【0081】
描画回路335は、CPUインタフェース331により受信された図柄CPU311からのコマンドリストに基づいて、データ格納メモリ336に格納されている、スプライトデータ、動画像データ等の素材画像データを用いて描画処理を行い、表示すべき映像を構成するフレーム毎に映像データを生成してフレームバッファメモリ337に格納する。
【0082】
表示回路338は、装飾図柄表示装置16、26への同期信号(Vブランク信号など)を生成するとともに、この同期信号に同期させつつ、フレームバッファメモリ337のフレームバッファエリアに生成されたイメージデータに基づいた映像信号を装飾図柄表示装置16に直接出力するとともにスケーラ342を介して装飾図柄表示装置26に出力する。また、表示回路338は、出力する画像を拡大するための拡大部339を備えている。拡大部339は、フレームバッファメモリ337に格納された画像データを予め設定された倍率で拡大する。なお、拡大部339における倍率を1未満とした場合、出力する画像を縮小して出力することになるため、拡大部339には画像の拡大機能とともに縮小機能が備えられていることになる。」
エ 「【0123】
(6-2-1.装飾図柄表示装置16、26の画像サイズ)
まず、装飾図柄表示装置16、26の画像サイズを図12を参照して説明する。本実施形態における装飾図柄表示装置16は、図12(A)に示されるように、横幅が1024ドット(ピクセル)、縦が768ドットとなっている。また、装飾図柄表示装置26は、図12(B)に示されるように、横幅が480ドット、縦が288ドットとなっている。このように装飾図柄表示装置16と装飾図柄表示装置26は、お互いに画像サイズが異なっている。
・・・
【0125】
一般的に、同じ画素数のデータを表示した場合でも、DPI(Dot Per Inch)等により現される装飾図柄表示装置16、26の解像度によって最終的に表示される画像の物理的大きさは変化してしまう。しかし、VDP330にとっては装飾図柄表示装置16、26の物理的なサイズは関係なく、VDP330は、装飾図柄表示装置16、26における縦方向および横幅の画素数のみに基づいて画像の描画を行う。
【0126】
なお、本実施形態における装飾図柄表示装置16と装飾図柄表示装置26とでは、物理的なサイズだけでなく解像度も異なる。具体的には、装飾図柄表示装置26の解像度は、装飾図柄表示装置16の解像度の約1.2倍となっている。そのため、図13に示すように、横幅が480ドット、縦が288ドットとである装飾図柄表示装置26の物理的なサイズは、横幅が400ドット、縦が240ドットとで装飾図柄表示装置16と解像度が同一の表示装置96と同一のサイズとなる。
【0127】
そして、装飾図柄表示装置26がこのような構成となっていることにより、装飾図柄表示装置16と装飾図柄表示装置26とに同一の画像を表示させた場合、実際に表示される画像の大きさは異なることになってしまう。例えば、装飾図柄表示装置16と装飾図柄表示装置26とに同一サイズの人物を表現した画像を表示させた場合、図14に示すように、解像度が高い装飾図柄表示装置26に表示される画像は、装飾図柄表示装置16に表示される画像よりも小さくなってしまうこととなる。」
オ 「【0128】
(6-2-2.描画処理の具体例)
次に、1つのVDP330により2つの装飾図柄表示装置16、26に対して描画処理を行う場合の動作を具体例をあげて説明する。
【0129】
この具体例では、VDP330の描画回路335は、図15に示すような合成画像を生成する。この合成画像は、横幅が1024ドット、縦が600ドットの画像となっている。そして、この合成画像は、画像Aと画像Bというサイズの異なる2つの画像が1フレーム内において空間的に合成された構成となっている。そのため、この合成画像には、いずれの表示装置によっても表示されない非表示領域が含まれている。ここで、画像Aは横幅が736ドット、縦が552ドットの画像であり、画像Bは横幅が288ドット、縦が173ドットの画像である。そして、画像Aは、装飾図柄表示装置16に表示させるための画像であり、画像Bは、装飾図柄表示装置26に表示させるための画像である。
【0130】
そして、図16に示すように、VDP330の描画回路335により生成された合成画像は、フレームバッファメモリ337に一旦格納された後に、拡大部339により拡大率1.39倍で拡大処理される。生成された合成画像が1.39倍される様子を図17に示す。
【0131】
装飾図柄表示装置16用の画像Aは、図17に示すように1.39倍されることにより横幅が1024ドット、縦が768ドットの画像A’となり、装飾図柄表示装置26用の画像Bは、横幅が400ドット、縦が240ドットの画像B’となる。そして、拡大部339により1.39倍された合成画像は、そのまま装飾図柄表示装置16に対して出力される。
【0132】
また、拡大部339により1.39倍された合成画像は、スケーラ342にも入力される。そして、スケーラ342では、切り出し部361により、VDP330からの合成画像のうち、装飾図柄表示装置26用の画像B’が切り出される。そして、切り出し部361により切り出された画像B’は、フレームメモリ362に格納された後に、図17に示されるように、拡大部363により、拡大率1.2倍で画像拡大処理が行われる。
【0133】
横幅が400ドット、縦が240ドットの画像B’が12倍されることにより、横幅が480ドット、縦が288ドットの画像B’’となり、装飾図柄表示装置26のサイズと同一サイズの画像が得られることとなる。そして、このようにして拡大部363により拡大された後の画像B’’は、装飾図柄表示装置26に対して出力される。解像度が装飾図柄表示装置16とは異なる装飾図柄表示装置26は、拡大部363により拡大された後の画像に基づいて映像表示を行う。
・・・
(7.本発明の第1の実施形態による有用性についての言及)
【0136】
本実施形態では、VDP330は、2つの装飾図柄表示装置16、26に対してそれぞれ表示させるための2つ画像を1フレーム内に空間的に合成した合成画像を生成し、その合成画像の一部の領域をスケーラ342の切り出し部361により切り出し、切り出された画像を拡大部363によって、解像度が装飾図柄表示装置16とは異なる装飾図柄表示装置26に表示される画像の大きさが、装飾図柄表示装置16に表示される画像の大きさと同じとなるような拡大率により拡大する。そのため、本実施形態によれば、2つの装飾図柄表示装置16、26の画像サイズおよび解像度が異なり、1つのVDP330によりこの2つの装飾図柄表示装置16、26に対する描画処理を行う場合でも、装飾図柄表示装置16、26に表示される画像の大きさを同一にすることができる。」
上記ア~オから、刊行物1には、次の発明(以下「刊行物発明」という。)が記載されているものと認められる。
「a 遊技の進行に応じて演出表示を実行する遊技機であって(【0001】)、
b 装飾図柄表示装置16と、装飾図柄表示装置16と物理的なサイズだけでなく、DPI(Dot Per Inch)により現される解像度も異なる装飾図柄表示装置26と(【0125】、【0126】)、
c 装飾図柄表示装置16に表示させるための画像であって、横幅が736ドット、縦が552ドットの画像である画像Aと、装飾図柄表示装置26に表示させるための画像であって、横幅が288ドット、縦が173ドットの画像である画像Bというサイズの異なる2つの画像が1フレーム内において空間的に合成された構成となっている合成画像を一旦格納するフレームバッファメモリ337(【0129】、【0130】)と
を備え、
d 装飾図柄表示装置16の画像サイズは、横幅が1024ドット(ピクセル)、縦が768ドットであり、装飾図柄表示装置26の画像サイズは、横幅が480ドット、縦が288ドットであって(【0123】)、
横幅が480ドット、縦が288ドットである装飾図柄表示装置26の物理的なサイズは、横幅が400ドット、縦が240ドットであり、装飾図柄表示装置16と解像度が同一の表示装置96と同一のサイズとなっており(【0126】)、
装飾図柄表示装置16と装飾図柄表示装置26とに同一の画像を表示させることが可能であり(【0127】)、
e フレームバッファメモリ337に一旦格納された装飾図柄表示装置16用の画像Aは、拡大部339により1.39倍され画像A’となり、そのまま装飾図柄表示装置16に対して出力され(【0130】、【0131】)、
フレームバッファメモリ337に一旦格納された装飾図柄表示装置26用の画像Bは、拡大部339により1.39倍され画像B’となり、フレームメモリ362に格納された後に、装飾図柄表示装置26のサイズと同一サイズの画像を得るべく、拡大部363により拡大率1.2倍で画像拡大処理が行われ画像B’’となり、画像B’’が、装飾図柄表示装置26に対して出力される(【0130】~【0133】)
遊技機。」
(2)同じく、原査定の拒絶の理由で引用された、本願の出願日前に頒布された刊行物である特開2001-87500号公報には、次の事項が記載されている。
ア 「【0047】このほか、主表示部30や副表示部50には、遊技機10が非稼働状態のとき、各種の広告など表示されるようになっている。なお、主表示部30および副表示部50には、液晶ディスプレイのほか、CRTディスプレイ、TFT型ディスプレイなど各種の表示装置を用いることができる。」
5 対比
本願発明と刊行物発明とを対比する。
(a)刊行物発明における「遊技の進行に応じて演出表示を実行する」こと、「遊技機」は、それぞれ、本願発明における「遊技が可能な」こと、「遊技機」に相当する。
したがって、刊行物発明における構成aは、本願発明における構成Aに相当する。
(b)刊行物発明における「装飾図柄表示装置16」は、本願発明における「第1表示装置」に相当する。
そして、刊行物発明における「物理的なサイズ」、「DPI(Dot Per Inch)により現される解像度」は、それぞれ、本願発明における「表示面積」、「表示画素密度」に相当することから、刊行物発明における「装飾図柄表示装置16と物理的なサイズだけでなく解像度も異なる」ことは、本願発明における「第1表示装置と異なる表示面積と表示画素密度とを有す」ることに相当する。
したがって、刊行物発明における「装飾図柄表示装置16と物理的なサイズだけでなく、DPI(Dot Per Inch)により現される解像度も異なる装飾図柄表示装置26」は、本願発明における「第2表示装置」に相当する。
ゆえに、刊行物発明における構成bは、本願発明における構成Bに相当する。
(c)刊行物発明における「装飾図柄表示装置16に表示させるための画像であって、横幅が736ドット、縦が552ドットの画像である画像A」、「装飾図柄表示装置26に表示させるための画像であって、横幅が288ドット、縦が173ドットの画像である画像B」は、それぞれ、本願発明における「第1表示装置に表示される画像の画像データ」、「第2表示装置に表示される画像の画像データ」に相当する。
そして、刊行物発明における「一旦格納する」ことは、本願発明における「読み出し可能に格納される」ことに相当する。
したがって、刊行物発明における構成cの「フレームバッファメモリ337」は、本願発明における構成Cの「フレームバッファ」に相当する。
(d)刊行物発明において、構成c、dより、装飾図柄表示装置16に表示させるべくフレームバッファメモリ337に格納される画像Aは、「横幅が736ドット、縦が552ドット」のデータであり、装飾図柄表示装置26に表示させるべくフレームバッファメモリ337に格納される画像Bは、「横幅が288ドット、縦が173ドット」のデータである。
そうすると、画像A、画像Bのデータがフレームバッファメモリ337の記憶領域を占める割合の比は、736×552:288×173となる。
一方、刊行物発明における構成dは、装飾図柄表示装置26の「物理的なサイズ」に関して、「横幅が400ドット、縦が240ドットであり、装飾図柄表示装置16と解像度が同一の表示装置96と同一のサイズ」であることを特定するものである。
ここで、「装飾図柄表示装置16の画像サイズは、横幅が1024ドット(ピクセル)、縦が768ドット」であることから、装飾図柄表示装置16の物理的なサイズは、上記表示装置96のサイズと等倍な、装飾図柄表示装置26の物理的なサイズの(1024×768)/(400×240)倍の大きさであるといえる。
そうすると、装飾図柄表示装置16の物理的なサイズと、装飾図柄表示装置26の物理的なサイズとの比は、1024×768:400×240となる。これは、画像A、画像Bのデータがフレームバッファメモリ337の記憶領域に占める割合の比である、736×552:288×173のそれぞれの値を1.39倍したものであるから、画像A、画像Bのフレームバッファメモリ337の記憶領域を占める割合の比と、装飾図柄表示装置16の物理的なサイズと、装飾図柄表示装置26の物理的なサイズとの比とは同じであるといえる。
したがって、刊行物発明における構成dは、本願発明における「少なくとも第1表示装置に表示される第1連携画像の画像データを格納する第1画像バッファ領域と第2表示装置に表示される第2連携画像の画像データを格納する第2画像バッファ領域とは、対応する第1表示装置と第2表示装置の表示面積の比率に対応した領域としてフレームバッファ内に設定され」ることに相当する。
また、刊行物発明は、「装飾図柄表示装置16と装飾図柄表示装置26とに同一の画像を表示させることが可能」であるから、フレームバッファメモリ337に記憶される画像Aと画像Bとに同一の画像データを格納可能であることは明らかである。
したがって、刊行物発明における「装飾図柄表示装置16と装飾図柄表示装置26とに同一の画像を表示させることが可能」であることは、本願発明における「第1画像バッファ領域」と「第2画像バッファ領域」とに「共通の画像を描画可能とされて」いることに相当する。
ゆえに、刊行物発明における構成dは、本願発明における構成Dに相当する。
(e)刊行物発明における「フレームバッファメモリ337に一旦格納された装飾図柄表示装置16用の画像A」、「装飾図柄表示装置16に対して出力され」ることは、それぞれ、本願発明における「第1画像バッファ領域に格納されている画像データの画像」、「第1表示装置に表示」することに相当する。
したがって、刊行物発明における「フレームバッファメモリ337に一旦格納された装飾図柄表示装置16用の画像Aは、拡大部339により1.39倍され画像A’となり、そのまま装飾図柄表示装置16に対して出力され」ることと、本願発明における「第1画像バッファ領域に格納されている画像データの画像を拡大または縮小せずに第1表示装置に表示」することとは、「第1画像バッファ領域に格納されている画像データの画像を第1表示装置に表示」することで共通する。
また、刊行物発明における「フレームバッファメモリ337に一旦格納された装飾図柄表示装置26用の画像B」、「装飾図柄表示装置26に対して出力され」ることは、それぞれ、本願発明における「第2画像バッファ領域に格納されている画像データの画像」、「第2表示装置に表示」することに相当する。
そして、刊行物発明における「装飾図柄表示装置26のサイズと同一サイズの画像を得るべく、拡大部363により拡大率1.2倍で画像拡大処理が行われ」ることは、構成bより「DPI(Dot Per Inch)により現される解像度」が異なることによるものであるから、本願発明における「第2表示装置の表示画素密度に応じた倍率にて拡大」することに相当する。
したがって、刊行物発明における「フレームバッファメモリ337に一旦格納された装飾図柄表示装置26用の画像Bは、拡大部339により1.39倍され画像B’となり、フレームメモリ362に格納された後に、装飾図柄表示装置26のサイズと同一サイズの画像を得るべく、拡大部363により拡大率1.2倍で画像拡大処理が行われ画像B’’となり、画像B’’が、装飾図柄表示装置26に対して出力される」ことと、本願発明における「第2画像バッファ領域に格納されている画像データの画像を第2表示装置の表示画素密度に応じた倍率にて拡大または縮小して表示」することとは、「第2画像バッファ領域に格納されている画像データの画像を、少なくとも、第2表示装置の表示画素密度に応じた倍率にて拡大して表示」することで共通する。
したがって、刊行物発明における構成eと、本願発明における構成Eとは、「第1画像バッファ領域に格納されている画像データの画像を第1表示装置に表示し、第2画像バッファ領域に格納されている画像データの画像を、少なくとも、第2表示装置の表示画素密度に応じた倍率にて拡大して表示」することで共通する。
上記(a)~(e)における対比から、本願発明と刊行物発明とは、
「A 遊技が可能な遊技機であって、
B 第1表示装置と、該第1表示装置と異なる表示面積と表示画素密度とを有する第2表示装置と、
C 前記第1表示装置に表示される画像の画像データと前記第2表示装置に表示される画像の画像データとが読み出し可能に格納されるフレームバッファと、
を備え、
D 少なくとも前記第1表示装置に表示される第1連携画像の画像データを格納する第1画像バッファ領域と前記第2表示装置に表示される第2連携画像の画像データを格納する第2画像バッファ領域とは、対応する前記第1表示装置と前記第2表示装置の表示面積の比率に対応した領域として前記フレームバッファ内に設定されて、共通の画像を描画可能とされており、
E 第1画像バッファ領域に格納されている画像データの画像を前記第1表示装置に表示し、第2画像バッファ領域に格納されている画像データの画像を、少なくとも、前記第2表示装置の表示画素密度に応じた倍率にて拡大して表示する遊技機。」
である点で一致し、構成E、Fに関し、次の点で相違する。
[相違点1](構成Eについて)
本願発明は、第1画像バッファ領域に格納されている画像データの画像を拡大または縮小せずに第1表示装置に表示し、第2画像バッファ領域に格納されている画像データの画像を第2表示装置の表示画素密度に応じた倍率にて拡大または縮小して表示するのに対して、刊行物発明は、本願発明は、第1画像バッファ領域に格納されている画像データの画像を1.39倍に拡大して第1表示装置に表示し、第2画像バッファ領域に格納されている画像データの画像を1.39倍に拡大し、その後、第2表示装置の表示画素密度に応じた倍率にて拡大または縮小して表示する点。
[相違点2](構成Fについて)
本願発明は、遊技が行われていないときに、第1表示装置および第2表示装置において特定演出画像を表示可能であるのに対して、刊行物発明は、このような構成を備えるか否か不明である点。
6 当審の判断
(1)相違点1(構成E)について
上記相違点1について検討する。
ア 相違点1が相違点であるか否かについて
まず、刊行物1には、構成eの「拡大部339」に関して、【0082】に「拡大部339における倍率を1未満とした場合、出力する画像を縮小して出力することになるため、拡大部339には画像の拡大機能とともに縮小機能が備えられていることになる。」こと、すなわち、「拡大部339」が、画像データの拡大機能のみならず、縮小機能も有することが記載されている。この記載からみて、「拡大部339」は、画像データを倍率が1のままの状態、すなわち、等倍のままの状態で出力する機能も有することは明らかである。
この場合、刊行物発明における構成eは、本願発明における構成Eに相当することになるので、相違点1は、実質的な相違点ではなく、一致点である。
イ 相違点1について
相違点1が、実質的な相違点でなく一致点であることは、上記したとおりであるが、ここでは、仮に、一致点でないとした場合について検討を進める。
刊行物1には、構成eの「拡大部339」に関して、上記アにおいて指摘したように、「拡大部339における倍率を1未満とした場合、出力する画像を縮小して出力することになるため、拡大部339には画像の拡大機能とともに縮小機能が備えられている」との記載がある。この記載から、「拡大部339」の「拡大」には、「縮小」の意味まで含むものとなっている。
そうすると、刊行物1には、拡大部339における倍率を1とすることが示唆されている。
そして、刊行物発明は、「1つの映像表示プロセッサにより複数の表示装置に画像を表示させる場合であって、そのうちの一部の表示装置の解像度が異なる場合であっても、表示される映像の大きさを揃えて描画処理を行うことが可能な遊技機を提供する」(【0017】)なる課題を解決するものである。
また、刊行物1には、「拡大部339」と同じ機能を有する「拡大部363」に関して、【0136】に「合成画像の一部の領域をスケーラ342の切り出し部361により切り出し、切り出された画像を拡大部363によって、解像度が装飾図柄表示装置16とは異なる装飾図柄表示装置26に表示される画像の大きさが、装飾図柄表示装置16に表示される画像の大きさと同じとなるような拡大率により拡大する。そのため、・・・2つの装飾図柄表示装置16、26の画像サイズおよび解像度が異なり、1つのVDP330によりこの2つの装飾図柄表示装置16、26に対する描画処理を行う場合でも、装飾図柄表示装置16、26に表示される画像の大きさを同一にすることができる」と記載されている。この記載から、刊行物1に記載された「拡大部339」は、画像サイズを調節する機能を有するといえる。
ところで、表示装置の表示制御一般の技術分野において、画像データを予め記憶しておく記憶手段のメモリ容量、記憶手段から読み出された画像データを一時的に格納するフレームバッファの容量等を考慮して、必要とされる画像データを予め調節したうえで記憶手段に記憶させておき、記憶手段からフレームバッファへ拡大処理等を施さずに直接、画像データを読み出すことは、本願出願前における技術常識である。
これらのことからみて、刊行物発明において、拡大部339における画像データの拡大率を1として、フレームバッファメモリ337に一旦格納された装飾図柄表示装置16、26用の画像A、Bの画像データを、拡大または縮小せずにそのまま装飾図柄表示装置16に対して出力できるように画像データを予め調節して記憶手段に記憶させ、上記相違点1に係る本願発明の構成Eとすることは、当業者が容易になし得たものである。
(2)相違点2(構成F)について
本願発明の構成Fと刊行部2に記載された技術事項とを対比する。
刊行物2に記載された技術事項の「主表示部30」、「副表示部50」、「遊技機10が非稼働状態のとき」、「各種の広告など」は、それぞれ、本願発明における「第1表示装置」、「第2表示装置」、「遊技が行われていないとき」、「特定演出画像」に相当する。
そうすると、刊行物2に記載された技術事項の「主表示部30や副表示部50には」「各種の広告など表示される」ことは、本願発明における「第1表示装置および第2表示装置において特定演出画像を表示可能」であることに相当する。
したがって、刊行物2に記載された技術事項は、本願発明における構成Fに相当する。
そして、刊行物発明と刊行物2に記載された技術事項とは、第1表示装置と第2表示装置との各種の表示装置を用いた遊技機である点で共通するものである。
また、刊行物2に記載された技術事項は、「主表示部30および副表示部50には、液晶ディスプレイのほか、CRTディスプレイ、TFT型ディスプレイなど各種の表示装置を用いることができる」ことができるというものであるから、主表示部30、副表示部50として用いることのできる表示装置の汎用性を高めたものである。
そうすると、刊行物発明と刊行物2に記載された技術事項とは、第1表示装置、第2表示装置として用いる表示装置の汎用性を高めるという同一の課題を解決するものである。
したがって、刊行物発明に刊行物2に記載された技術事項を適用して、第1表示装置と第2表示装置とに各種の広告などの画像を表示させ、上記相違点2に係る本願発明の構成とすることは当業者が容易になし得たものである。
(3)請求人の主張について
平成29年8月29日付け審判請求書において、請求人は、刊行物1に関して、「フレームバッファメモリ337に格納された画像全てが、拡大部339により拡大率1.39倍で拡大処理され、その後、更に、拡大部363により、拡大率1.2倍で画像拡大処理がなされるものであって、全ての画像を拡大することで表示制御が複雑化してしまうものでしかないばかりか、これら画像拡大処理によって装飾図柄表示装置16の画像も劣化してしまうとともに、拡大部339に不具合が生じた場合には、装飾図柄表示装置16と装飾図柄表示装置26のいずれにも画像が表示されなくなって、遊技が継続不能となってしまうものに過ぎません。」と(第4頁第6~15行参照。)主張する。
しかしながら、上記(1)アにおいて検討したように、刊行物発明における構成eの「拡大部339」は、画像データを倍率が1のままの状態、すなわち、等倍のままの状態で出力する機能も有するものである。
さらに、上記(1)イにおいて検討したように、刊行物発明において、拡大部339における画像データの拡大率を1として、フレームバッファメモリ337に一旦格納された装飾図柄表示装置16、26用の画像A、Bの画像データを、拡大または縮小せずにそのまま装飾図柄表示装置16に対して出力できるように画像データを予め調節して記憶手段に記憶させ、上記相違点1に係る本願発明の構成Eとすることは、当業者が容易になし得たものである。
したがって、請求人の上記主張を採用することはできない。
(4)小括
本願発明により奏される効果は、当業者が、刊行物発明及び刊行物2に記載された技術事項から予測し得た効果の範囲内のものであって、格別のものではない。
よって、本願発明は、刊行物発明及び刊行物2に記載された技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
7 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2017-012733