特許拒絶査定不服審判
2017-012398
遊技機
- 審判番号
- 2017-012398
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2016-049412外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2017年08月22日
- 審決日
- 2018年06月04日
- 公報発行日
- 2018年09月28日
- 結論
- 請求不成立
- 分類
- P18 .575-Z (A63F) / P18 .121-Z (A63F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2016-49412号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成28年7月21日出願公開、特開2016-129689号〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯の概要
本願は、平成23年10月26日に出願された特願2011-235319号の一部を平成28年3月14日に新たな特許出願(特願2016-49412号)としたものであって、平成29年2月13日付け拒絶理由通知に対して、同年4月19日付けで意見書、及び、手続補正書が提出されたところ、同年6月22日付けで拒絶査定がなされ(同年6月27日発送)、これに対して、同年8月22日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに、その審判の請求と同時に手続補正書が提出されたものである。
第2 平成29年8月22日付けの手続補正についての補正却下の決定
平成29年8月22日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 補正の内容
本件補正により、平成29年4月19日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1における
「遊技機本体に着脱可能に取り付けられた遊技盤を備えた遊技機であって、
前記遊技盤に取り付けられ、複数の駆動手段によって動作する装飾部材と、
遊技盤面に設けられた始動入賞口に遊技球が入賞することで抽選を実行すると共に、前記抽選が当選のとき、前記遊技盤面上に設けられた大入賞口を、所定期間開放することにより遊技球の入賞を可能とする特別遊技の進行を制御する遊技進行制御手段と、
前記抽選の結果に基づき、前記装飾部材を所定の動作パターンで動作するように前記駆動手段の駆動を制御する駆動制御手段とを有し、
前記動作パターンは、前記装飾部材を水平状態で昇降させるパターンを含み、動作態様の異なる複数の動作パターンを有するものであり、
前記動作パターンの演出位置での前記装飾部材の背面側には表示部が配置され、
前記装飾部材の動作パターンに加え、前記表示部の画像による演出として、前記装飾部材にオーバーラップさせて前記装飾部材の動作を誇張する補助的な表示画像を表示すると共に、
前記装飾部材の動作パターンに電飾制御動作パターンを組み合わせることを特徴とする
遊技機。」は、
審判請求時に提出された手続補正書(平成29年8月22日付け)における
「遊技機本体に着脱可能に取り付けられた遊技盤を備えた遊技機であって、
前記遊技盤に取り付けられ、複数の駆動手段によって動作する装飾部材と、
遊技盤面に設けられた始動入賞口に遊技球が入賞することで抽選を実行すると共に、前記抽選が当選のとき、前記遊技盤面上に設けられた大入賞口を、所定期間開放することにより遊技球の入賞を可能とする特別遊技の進行を制御する遊技進行制御手段と、
前記抽選の結果に基づき、前記装飾部材を所定の動作パターンで動作するように前記駆動手段の駆動を制御する駆動制御手段とを有し、
前記動作パターンは、前記装飾部材を水平状態で昇降させるパターンを含み、動作態様の異なる複数の動作パターンを有し、複数の動作パターンの中から前記抽選の結果の当選の期待度に応じた動作パターンが選択され、当該抽選の結果の報知に連動して動作指示がなされるものであり、
前記動作パターンの演出位置での前記装飾部材の背面側には表示部が配置され、
前記装飾部材の動作パターンに加え、前記表示部の画像による演出として、前記装飾部材にオーバーラップさせて前記装飾部材の動作を誇張する補助的な表示画像を表示すると共に、
前記装飾部材の動作パターンに装飾部材自体に取り付けられた電飾を点灯させる電飾制御動作パターンを組み合わせ、
前記駆動制御手段により前記抽選の結果に応じて選択された動作パターンを実行することで、前記抽選の結果の当選の期待度を報知することを特徴とする遊技機。」に補正された(下線は、補正箇所を明示するために当審にて付した。)。
2 補正の適否
本件補正は、補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「動作パターン」について、「複数の動作パターンの中から前記抽選の結果の当選の期待度に応じた動作パターンが選択され、当該抽選の結果の報知に連動して動作指示がなされる」ことを加えると共に、「前記駆動制御手段により前記抽選の結果に応じて選択された動作パターンを実行することで、前記抽選の結果の当選の期待度を報知する」ことを加え、
さらに、補正前の請求項1に「前記装飾部材の動作パターンに電飾制御動作パターンを組み合わせる」とあったものを、「前記装飾部材の動作パターンに装飾部材自体に取り付けられた電飾を点灯させる電飾制御動作パターンを組み合わせ、」と補正することを含むものである。
そして、補正後の請求項1に係る発明は、補正前の請求項1に係る発明と、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、本件補正のうち特許請求の範囲の請求項1についてする補正は、特許法第17条の2第5項第2号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とする補正に該当する。
また、本件補正は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の段落【0682】~【0684】、【図105】、及び、【図106】等の記載からみて、新規事項を追加するものではない。
3 独立特許要件
そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本件補正発明」という。)が特許出願の際に独立して特許を受けることができるものであるか、すなわち、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するかについて、以下に検討する。
(1)本件補正発明
本件補正発明は、次のとおりのものであると認める(記号A~Iは、分説するため当審で付した。)。
「A 遊技機本体に着脱可能に取り付けられた遊技盤を備えた遊技機であって、
B 前記遊技盤に取り付けられ、複数の駆動手段によって動作する装飾部材と、
C 遊技盤面に設けられた始動入賞口に遊技球が入賞することで抽選を実行すると共に、前記抽選が当選のとき、前記遊技盤面上に設けられた大入賞口を、所定期間開放することにより遊技球の入賞を可能とする特別遊技の進行を制御する遊技進行制御手段と、
D 前記抽選の結果に基づき、前記装飾部材を所定の動作パターンで動作するように前記駆動手段の駆動を制御する駆動制御手段とを有し、
E 前記動作パターンは、前記装飾部材を水平状態で昇降させるパターンを含み、動作態様の異なる複数の動作パターンを有し、複数の動作パターンの中から前記抽選の結果の当選の期待度に応じた動作パターンが選択され、当該抽選の結果の報知に連動して動作指示がなされるものであり、
F 前記動作パターンの演出位置での前記装飾部材の背面側には表示部が配置され、
G 前記装飾部材の動作パターンに加え、前記表示部の画像による演出として、前記装飾部材にオーバーラップさせて前記装飾部材の動作を誇張する補助的な表示画像を表示すると共に、
H 前記装飾部材の動作パターンに装飾部材自体に取り付けられた電飾を点灯させる電飾制御動作パターンを組み合わせ、
I 前記駆動制御手段により前記抽選の結果に応じて選択された動作パターンを実行することで、前記抽選の結果の当選の期待度を報知することを特徴とする遊技機。」
(2)刊行物に記載された事項
当審において新たに提示された、本願の出願前に頒布された刊行物である特開2010-110415号公報(以下「刊行物」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている(下線部は当審で付した。以下同様。)。
・記載事項
ア 「【請求項1】
可動演出体(24,26)と、該可動演出体(24,26)を支持部(25)を介して支持する支持枠(19,26)と、前記可動演出体(24,26)を駆動する駆動手段(45,87,120,123)とを備えた遊技機において、前記可動演出体(24,26)と前記支持枠(19,26)との一方に磁性体(68)を、他方に前記磁性体(68)を吸引して前記可動演出体(24,26)を原点に固定する磁石(69)を夫々設け、前記磁性体(68)及び前記磁石(69)は前記支持部(25)よりも前記可動演出体(24,26)の遊端側に配置したことを特徴とする遊技機。」
イ 「【0012】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳述する。図1~図11は本発明をパチンコ機に採用した第1の実施例を例示している。図1において、遊技機本体1は、矩形状の外枠2と、この外枠2の前側にヒンジ3により縦軸廻りに開閉自在に枢着された前枠4とを備えている。前枠4の前側にはガラス扉5と前面板6とが上下に配置され、前枠4に対してヒンジ3と同じ側のヒンジにより縦軸廻りに開閉自在に枢支されている。
【0013】
前面板6の前側には発射用の遊技球を貯留する球供給皿7と、余剰球を受ける受け皿8とが上下に配置され、その受け皿8の側方に遊技球を発射する発射手段(図示省略)の発射ハンドル9が設けられている。ガラス扉5の裏側には、このガラス扉5に対応するように前枠4に遊技盤10が着脱自在に装着されている。
【0014】
遊技盤10の前面には、発射手段から発射された遊技球を案内するガイドレール11が略円弧状に配置されると共に、そのガイドレール11の内側の遊技領域12に画像表示手段13、普通図柄始動手段14、特別図柄始動手段15、大入賞手段16、普通入賞手段17等の各種の遊技部品が配置されている。なお、遊技領域12はガラス扉5の窓孔18に対応している。
【0015】
画像表示手段13は遊技領域12の略中央に配置されており、図2、図3に示すように遊技盤10の裏面に装着された保持枠19と、この保持枠19の略中央に配置された液晶式等の画像表示部20と、遊技盤10の前面に装着され且つ画像表示部20の外周を前側から覆う前飾り体21とを備えている。前飾り体21の前面に普通図柄表示手段22と特別図柄表示手段23が夫々設けられている。なお、画像表示手段13は保持枠19と前飾り体21とを一体に結合して、遊技盤10に前側から装着してもよい。
【0016】
保持枠19と前飾り体21との間には、図2~図4に示すように、左右方向に配置された第1可動演出体24と、この第1可動演出体24の裏側に左右方向に配置され且つ略中央の支持部25を介して第1可動演出体24を支持する第2可動演出体26と、画像表示部20の左右両側に配置され且つ第2可動演出体26の両端を同一方、逆方向に昇降駆動自在に支持する昇降支持手段27とが設けられている。可動演出体24,26は昇降支持手段27の駆動により、図4に示すように画像表示部20の上側の退避位置Xと、画像表示部20の上下中間の前側の演出位置Yとの間で昇降自在である。」
ウ 「【0021】
特別図柄始動手段15は固定式入賞口29と電動チューリップ等の可変式入賞口30とを上下に備えている。可変式入賞口30は普通図柄表示手段22の変動後の普通図柄が当たり態様を停止表示したときに所定時間開放するようになっている。
・・・
【0024】第1可動演出体24は飛行機の正面形状を模した横長形状であって、図2~図4に示すように、正面視において左右方向の略中央に配置され且つ機首部に相当する主体部38と、この主体部38から左右両側に突出する翼部39とを有し、その後端は第2可動演出体26の前側に近接して略平行になっている。」
エ 「【0042】
図10はパチンコ機の制御系を示す。パチンコ機の制御系は主制御基板96と演出制御基板97とを備えている。主制御基板96はパチンコ機全体の遊技動作の制御を司るもので、普通図柄始動手段14が遊技球を検出したときに乱数値を抽選して当たりか否かを判定し、当たりの場合に普通図柄表示手段22の変動後の普通図柄が当たり態様で停止した後に特別図柄始動手段15の可変式入賞口30を所定時間開放させる普通図柄系制御手段98の他に、乱数抽選手段99、判定手段100、特別図柄制御手段101、停止態様決定手段102、変動パターン決定手段103、コマンド送信手段104、特別遊技発生手段105を備えている。
【0043】
乱数抽選手段99は特別図柄始動手段15が遊技球を検出したときに乱数値を抽選し、判定手段100は乱数抽選手段99で抽選された乱数値を大当たり乱数値と照合して大当たりか否かを判定するようになっている。特別図柄制御手段101は特別図柄始動手段15の遊技球の検出を契機に特別図柄表示手段23の特別図柄を所定時間変動させて、判定手段100の判定結果が大当たりのときに大当たり態様で、外れのときに外れ態様で夫々停止すべく特別図柄を制御するようになっている。
【0044】
停止態様決定手段102は判定手段100の判定結果が大当たりのときに演出図柄20a~20cの停止態様を抽選し決定するためのものである。変動パターン決定手段103は判定手段100の判定結果が大当たりのときの大当たり変動パターンを、外れのときの外れ変動パターンを抽選し決定するためのものであり、判定手段100の判定結果に応じて予め定められた複数種類の大当たり変動パターン、外れ変動パターンの中から、そのときの演出図柄20a~20cの変動に供する1つの変動パターンを選択し決定するようになっている。
・・・
【0048】
特別遊技発生手段105は判定手段100が大当たりと判定した場合に、特別図柄が大当たり態様で停止した後に遊技者に有利な特別遊技(大当たり遊技)を発生させるためのもので、例えば大入賞手段16を所定時間ずつ複数回開放させるようになっている。なお、特別遊技での大入賞手段16の開閉パターン等は適宜決定することが可能である。また特別遊技では大入賞手段16の開放に加えて、又は大入賞手段16の開放とは別に、特別図柄の大当たり態様の種類を条件に大当たりの抽選確率を変える確率変動、その他の遊技者に有利な要素を付加してもよい。」
オ 「【0051】
予告演出決定手段109は大当たり変動パターンの一部又は全てと、大当たり変動パターンの変動時間に近い変動時間を有するリーチあり外れ変動パターンの一部である1種類若しくは複数種類又は全ての変動パターンコマンドがあったときに、その変動パターンコマンドを条件に乱数値を抽選して予告演出を行うか否かを決定するようになっている。なお、大当たり変動パターンの場合は外れ変動パターンよりも予告演出の抽選率が高くなるようにしてもよい。その場合、各変動パターン毎に抽選率を変えてもよい。
・・・
【0053】
可動演出制御手段111は駆動手段45、87の制御により可動演出体24,26の可動演出を制御するためのもので、例えば予告演出決定手段109が予告演出を決定して演出図柄20a~20cがリーチになった後に、所定の予告演出パターンに従って各駆動手段45,87を正転、逆転制御するようになっている。
【0054】
予告演出には1種類、又は予告演出パターン1、予告演出パターン2、・・・等の複数種類の予告演出パターンがある。また特別遊技演出にも1種類又は特別遊技演出パターン1、特別遊技演出パターン2、・・・等の複数種類の特別遊技演出パターンがある。
【0055】
これらの各演出パターンは、退避位置Xと画像表示部20の前側の演出位置Yとの間で第2可動演出体26が昇降する昇降動作、演出位置Yで第2可動演出体26の左右の一方が昇降して第2可動演出体26が傾斜する傾斜動作、第1可動演出体24が第2可動演出体26に対して支軸44廻りに正転、逆転する揺動動作とを組み合わせて構成されている。可動演出制御手段111は複数の予告演出パターンがある場合には、その何れか1を抽選してそれに従って各駆動手段45,87を制御する。」
カ 「【0061】
判定手段100の大当たりの判定により変動パターン決定手段103が大当たり変動パターンの何れかを選択した場合、又は大当たり変動パターンの変動時間に近い特定のリーチあり外れ変動パターンの何れかを選択した場合には、予告演出決定手段109が予告演出を行うか否かを決定する。
【0062】
そして、予告演出決定手段109が予告演出を決定すれば、演出図柄20a~20cがリーチになった後に、各可動演出体24,26による可動演出、発光部43等による発光演出、及び画像表示部20の予告演出画像28による画像演出との組み合わせにより予告演出を行う。
【0063】
即ち、可動演出体24,26は通常は図11(A)に示すように退避位置Xにある。そして、3個の演出図柄20a~20cが所定の変動パターンで変動する間に、図11(B)に示すように1個の演出図柄20bを除く他の演出図柄20a,20cが揃うリーチになれば、可動演出制御手段111が何れかの予告演出パターンに従って各駆動手段45,87を制御して可動演出を行う。
【0064】
例えば、左右の昇降支持手段27の各昇降駆動手段87が同方向に起動すると、固定手段46により第1可動演出体24を略平行に固定した状態で第2可動演出体26が退避位置Xから演出位置Yへと下降し、次いで揺動駆動手段45が起動して、図11(B)に示す実線と仮想線との間で第1可動演出体24が第2可動演出体26に対して支軸44廻りに揺動する可動演出を行う。
・・・
【0067】
この可動演出体24,26による可動演出に同期して、図11(C)に示すように発光演出制御手段112の制御により第1可動演出体24の発光部43等が発光し、また演出画像制御手段110の制御により画像表示部20が稲妻等の所定の予告演出画像28を表示する。従って、各可動演出体24,26による可動演出と、発光部43等による発光演出と、予告演出画像28による画像演出とが一体となって一つの纏まりのある予告演出を行うため、可動演出体24,26による演出効果が著しく向上する。なお、図11(C)では発光部43等の発光状態を斜線で示す。」
キ 「【0075】
可動演出時には第2可動演出体26の前側で第1可動演出体24が支軸44廻りに揺動する他、左右の昇降駆動手段87の駆動により第2可動演出体26の両端部が同一方向又は逆方向に昇降して、第2可動演出体26を略水平状態で昇降させたり任意の方向に傾斜させたりすることができるので、両可動演出体24,26の動きを組み合わせて複雑な可動演出を行うことができる。
【0076】
例えば、各昇降支持手段27の昇降駆動手段87が同一の正転方向に起動すると、各巻き掛け体90が逆方向に回動して昇降体85が案内棒84に沿って退避位置Xから演出位置Yへと移動し、可動演出体24,26を略水平に保ちながら下降させることができる。また演出位置Yで各昇降駆動手段87を逆転方向に起動すると、各昇降体85が上昇して可動演出体24,26を退避位置Xへと戻すことができる。これにより可動演出体24,26を一体に昇降させる可動演出が可能である。このとき第1可動演出体24は原点位置にあれば、固定手段46により第2可動演出体26に固定されているが、支軸44廻りに左上がり、右上がりに傾斜させたり、左上がりと右上がりとの間で往復揺動させてもよい。」
・認定事項
ク 【0043】に「・・・判定手段100は乱数抽選手段99で抽選された乱数値を大当たり乱数値と照合して大当たりか否かを判定する・・・判定手段100の判定結果・・・」と記載され、【0051】に「予告演出決定手段109は大当たり変動パターンの一部又は全てと、大当たり変動パターンの変動時間に近い変動時間を有するリーチあり外れ変動パターンの一部である1種類若しくは複数種類又は全ての変動パターンコマンドがあったときに、その変動パターンコマンドを条件に乱数値を抽選して予告演出を行うか否かを決定するようになっている。なお、大当たり変動パターンの場合は外れ変動パターンよりも予告演出の抽選率が高くなるようにしてもよい。その場合、各変動パターン毎に抽選率を変えてもよい。」と記載されていることから、刊行物には、「判定手段100の判定結果に基づいて、予告演出を行うか否かを決定すること」が記載されている。
また、【0055】に「・・・可動演出制御手段111は複数の予告演出パターンがある場合には、その何れか1を抽選してそれに従って各駆動手段45,87を制御する。」と記載されている。
したがって、刊行物には、「可動演出制御手段111は、判定手段100の判定結果に基づいて、複数の予告演出パターンの何れか1を抽選し、それに従って各駆動手段45,87を制御すること」が記載されているものと認められる。
上記ア~キの記載事項、上記クの認定事項、及び、図面の図示内容を総合勘案すると、刊行物には、次の発明(以下「刊行物発明」という。)が記載されていると認められる(a~iは、本件補正発明のA~Iに対応させて付与した。)。
「a 遊技機本体1の前枠4に着脱自在に装着されている遊技盤10を備えているパチンコ機において(【0012】~【0013】)、
b 遊技盤10に装着された保持枠19と前飾り体21との間に設けられている、飛行機の正面形状を模した第1可動演出体24と、第1可動演出体24を支持する第2可動演出体26(【0015】~【0016】、【0024】、【0064】)と、
可動演出体(24,26)を駆動する駆動手段(揺動駆動手段45,左右の昇降支持手段27の各昇降駆動手段87)(【請求項1】、【0064】)と、
c 遊技盤10の前面に配置されている特別図柄始動手段15が遊技球を検出したときに乱数値を抽選し、判定手段100により大当たりと判定された場合に、遊技盤10の前面に配置されている大入賞手段16を所定時間ずつ複数回開放させる大当たり遊技を発生させる、パチンコ機全体の遊技動作の制御を司る主制御基板96(【0014】、【0042】~【0044】、【0048】)と、
d 判定手段100の判定結果に基づいて、変動パターン決定手段103により、大当たり変動パターンの何れかが決定された場合、又は大当たり変動パターンの変動時間に近い特定のリーチあり外れ変動パターンの何れかが決定された場合に、予告演出を行うことが決定されると、
演出図柄20a~20cがリーチになった後に、何れかの予告演出パターンに従って各駆動手段45,87を正転・逆転制御して可動演出を行う可動演出制御手段111(【0044】、【0053】、【0061】~【0063】)とを有し、
e、i 各予告演出パターンは、可動演出体24,26の昇降動作、傾斜動作、揺動動作を組み合わせて構成される複数種類の予告演出パターン1~3からなり(【0054】~【0055】)、
可動演出時には、可動演出体24,26を略水平に保ちながら下降させることができ(【0075】~【0076】)、
可動演出制御手段111は、判定手段100の判定結果に基づいて、複数の予告演出パターンの何れか1を抽選し、それに従って各駆動手段45,87を制御し(認定事項ク)、
f 可動演出体24,26は、画像表示部20の上側の退避位置Xと、画像表示部20の上下中間の前側の演出位置Yとの間で昇降自在であり(【0016】)、
g、h 可動演出体24,26による可動演出に同期して、演出画像制御手段110の制御により画像表示部20が稲妻等の所定の予告演出画像28を表示し、また、発光演出制御手段112の制御により第1可動演出体24の発光部43が発光し、
各可動演出体24,26による可動演出と、発光部43等による発光演出と、予告演出画像28による画像演出とが一体となって一つの纏まりのある予告演出を行うため、可動演出体24,26による演出効果が著しく向上する(【0067】)
パチンコ機。」
(3)対比
本件補正発明と刊行物発明とを対比する(対比にあたっては、本件補正発明の構成A~Iと刊行物発明の構成a~iについて、それぞれ(a)~(i)の見出しを付して行った。)。
(a)刊行物発明における「遊技機本体1」、「遊技盤10」は、それぞれ、本件補正発明における「遊技機本体」、「遊技盤」に相当する。
したがって、刊行物発明における「遊技機本体1の前枠4に着脱自在に装着されている遊技盤10」は、本件補正発明における「遊技機本体に着脱可能に取り付けられた遊技盤」に相当する。
また、刊行物発明における「パチンコ機」は、本件補正発明における「遊技機」に相当する。
ゆえに、刊行物発明における構成aは、本件補正発明における構成Aに相当する。
(b)刊行物発明における「遊技盤10に装着された保持枠19と前飾り体21との間に設けられている」ことは、本件補正発明における「遊技盤に取り付けられ」ることに相当する。
そして、刊行物発明における「駆動手段(揺動駆動手段45,左右の昇降支持手段27の各昇降駆動手段87)」は、本件補正発明における「複数の駆動手段」に相当する。
また、刊行物発明における「駆動手段」によって「駆動する」ことは、本件補正発明における「駆動手段によって動作する」ことに相当する。
さらに、刊行物発明における「飛行機の正面形状を模した第1可動演出体24」及び「第2可動演出体26」は、本件補正発明における「装飾部材」に相当する。
したがって、刊行物発明における構成bの「飛行機の正面形状を模した第1可動演出体24」及び「第2可動演出体26」は、本件補正発明における構成Bの「遊技盤に取り付けられ、複数の駆動手段によって動作する装飾部材」に相当する。
(c)刊行物発明における
「遊技盤10の前面に配置されている特別図柄始動手段15」、
「遊技球を検出したとき」、
「乱数値を抽選し、判定手段により大当たりと判定された場合」、
「遊技盤10の前面に配置されている大入賞手段16」、
「所定時間ずつ複数回開放させる大当たり遊技を発生させる」こと
「パチンコ機全体の遊技動作の制御を司る主制御基板96」は、それぞれ、本件補正発明における
「遊技盤面に設けられた始動入賞口」、
「遊技球が入賞すること」、
「抽選を実行すると共に、抽選が当選のとき」、
「遊技盤面上に設けられた大入賞口」、
「所定期間開放することにより遊技球の入賞を可能とする特別遊技の進行を制御する」こと、
「遊技進行制御手段」に相当する。
したがって、刊行物発明における構成cの「パチンコ機全体の遊技動作の制御を司る主制御基板96」は、本件補正発明における構成Cの「遊技盤面に設けられた始動入賞口に遊技球が入賞することで抽選を実行すると共に、抽選が当選のとき、遊技盤面上に設けられた大入賞口を、所定期間開放することにより遊技球の入賞を可能とする特別遊技の進行を制御する遊技進行制御手段」としての機能を有する。
(d)上記(c)より、「判定手段100」は、「乱数値を抽選」することにより判定を行うものであるから、刊行物発明における「判定手段100の判定結果に基づ」くことは、本件補正発明における「抽選の結果に基づ」くことに相当する。
そして、刊行物発明における「予告演出パターン」は、構成e、iより、「可動演出体24,26を昇降動作、傾斜動作」させるものであるから、本件補正発明における「所定の動作パターン」に相当する。
また、刊行物発明における「可動演出を行う」ために「各駆動手段45,87を正転・逆転制御」することは、本件補正発明における「駆動手段の駆動を制御する」ことに相当する。
したがって、刊行物発明における「可動演出制御手段111」は、本件補正発明における「駆動制御手段」に相当する。
(e、i)上記(d)より、刊行物発明における「予告演出パターン」は、本件補正発明における「所定の動作パターン」に相当することから、刊行物発明における「可動演出体24,26の昇降動作、傾斜動作、揺動動作を組み合わせて構成される複数種類の予告演出パターン1~3」は、本件補正発明における「動作態様の異なる複数の動作パターン」に相当する。
そして、刊行物発明における「可動演出」は、構成dより、「予告演出パターンに従って」行われることから、刊行物発明における「可動演出時には、可動演出体24,26を略水平に保ちながら下降させることができ」ることは、「予告演出パターン」に「可動演出体24,26を略水平に保ちながら下降させる」パターンを含むことを意味する。
したがって、刊行物発明における「可動演出時には、可動演出体24,26を略水平に保ちながら下降させることができ」ることは、本件補正発明における「動作パターンは、装飾部材を水平状態で昇降させるパターンを含」むことに相当する。
また、刊行物発明における「判定手段100の判定結果に基づいて、複数の予告演出パターンの何れか1を抽選」することと、本件補正発明における「複数の動作パターンの中から抽選の結果の当選の期待度に応じた動作パターンが選択され」ることとは、「複数の動作パターンの中から抽選結果に基づいて動作パターンが選択され」ることで共通する。
さらに、刊行物発明における「それ(予告演出パターンの何れか1)に従って各駆動手段45,87を制御」することについて検討する。
刊行物発明において、構成dより、「可動演出」が行われるのは、「演出図柄20a~20cがリーチになった後」のタイミングである。
そして、「リーチ」が、変動表示中に行われる演出であり、リーチ後に導出表示される演出図柄の組合せにより抽選の結果を報知することは、当業者における技術常識である。
そうすると、刊行物発明における「それ(予告演出パターンの何れか1)に従って各駆動手段45,87を制御」ことは、本件補正発明における「当該抽選の結果の報知に連動して動作指示がなされる」ことに相当する。
ゆえに、刊行物発明における構成eと本件補正発明における構成Eとは、「動作パターンは、装飾部材を水平状態で昇降させるパターンを含み、動作態様の異なる複数の動作パターンを有し、複数の動作パターンの中から抽選の結果に基づいて動作パターンが選択され、当該抽選の結果の報知に連動して動作指示がなされるものであ」ることで共通する。
同様に、刊行物発明における構成iと、本件補正発明における構成Iの「駆動制御手段により抽選の結果に応じて選択された動作パターンを実行することで、抽選の結果の当選の期待度を報知する」こととは、「駆動制御手段により抽選の結果に基づいて選択された動作パターンを実行することで、抽選の結果を報知する」ことで共通する。
(f)刊行物発明における「演出位置Y」は、本件補正発明における「動作パターンの演出位置」に相当する。
さらに、刊行物発明は、「演出位置Y」において、「可動演出体24,26は」「画像表示部20の上下中間の前側」にあることから、本件補正発明における「装飾部材の背面側には表示部が配置され」ることに相当する。
したがって、刊行物発明における構成fは、本件補正発明における構成Fに相当する。
(g)刊行物発明における「可動演出体24,26による可動演出に同期して」は、本件補正発明における「装飾部材の動作パターンに加え」ることに相当する。
そして、刊行物発明における「稲妻等の所定の予告演出画像28」は、「各可動演出体24,26による可動演出と、発光部43等による発光演出と、予告演出画像28による画像演出とが一体となって一つの纏まりのある予告演出を行うため、可動演出体24,26による演出効果が著しく向上する」ことから、「各可動演出体24,26による可動演出」の動作を強調し、補助する画像であるといえる。
したがって、刊行物発明における「稲妻等の所定の予告演出画像28」は、本件補正発明における「装飾部材の動作を誇張する補助的な表示画像」に相当する。
そうすると、刊行物発明における「演出画像制御手段110の制御により画像表示部20が稲妻等の所定の予告演出画像28を表示」することと、本件補正発明における「表示部の画像による演出として、装飾部材にオーバーラップさせて装飾部材の動作を誇張する補助的な表示画像を表示する」こととは、「表示部の画像による演出として、装飾部材の動作を誇張する補助的な表示画像を表示する」ことで共通する。
ゆえに、刊行物発明における構成gと、本件補正発明における構成Gとは、「装飾部材の動作パターンに加え、表示部の画像による演出として、装飾部材の動作を誇張する補助的な表示画像を表示する」ことで共通する。
(h)刊行物発明における「第1可動演出体24の発光部43」、「発光」することは、それぞれ、本件補正発明における「装飾部材自体に取り付けられた電飾」、「点灯させる」ことに相当する。
したがって、刊行物発明における構成g、hの「可動演出体24,26による可動演出に同期して」「発光演出制御手段112の制御により第1可動演出体24の発光部43が発光」することは、本件補正発明における構成Hの「装飾部材の動作パターンに装飾部材自体に取り付けられた電飾を点灯させる電飾制御動作パターンを組み合わせ」ることに相当する。
よって、両者の一致点および相違点は、次のとおりである。
[一致点]
「A 遊技機本体に着脱可能に取り付けられた遊技盤を備えた遊技機であって、
B 前記遊技盤に取り付けられ、複数の駆動手段によって動作する装飾部材と、
C 遊技盤面に設けられた始動入賞口に遊技球が入賞することで抽選を実行すると共に、前記抽選が当選のとき、前記遊技盤面上に設けられた大入賞口を、所定期間開放することにより遊技球の入賞を可能とする特別遊技の進行を制御する遊技進行制御手段と、
D 前記抽選の結果に基づき、前記装飾部材を所定の動作パターンで動作するように前記駆動手段の駆動を制御する駆動制御手段とを有し、
E’前記動作パターンは、前記装飾部材を水平状態で昇降させるパターンを含み、動作態様の異なる複数の動作パターンを有し、複数の動作パターンの中から前記抽選の結果に基づいて動作パターンが選択され、当該抽選の結果の報知に連動して動作指示がなされるものであり、
F 前記動作パターンの演出位置での前記装飾部材の背面側には表示部が配置され、
G’ 前記装飾部材の動作パターンに加え、前記表示部の画像による演出として、前記装飾部材の動作を誇張する補助的な表示画像を表示すると共に、
H 前記装飾部材の動作パターンに装飾部材自体に取り付けられた電飾を点灯させる電飾制御動作パターンを組み合わせ、
I’前記駆動制御手段により前記抽選の結果に基づいて選択された動作パターンを実行することで、前記抽選の結果を報知する
遊技機。」
[相違点1](構成E、I)
抽選の結果に基づいて選択された動作パターンに関して、本件補正発明は、複数の動作パターンの中から抽選の結果の当選の期待度に応じた動作パターンが選択され、動作パターンを実行することで、抽選の結果の当選の期待度を報知するのに対して、刊行物発明は、そのような構成を備えない点。
[相違点2](構成G)
装飾部材の動作を誇張する補助的な表示画像に関して、本件補正発明は、装飾部材にオーバーラップさせるのに対して、刊行物発明は、そのような構成を備えているか明らかでない点。
(4)当審の判断
ア 相違点1(構成E、I)について
上記相違点1について検討する。
遊技機の技術分野において、抽選の結果の当選の期待度に応じた装飾部材の動作パターンを選択し、選択された動作パターンを実行することで、抽選の結果の当選の期待度を報知することは、本願の遡及日前に周知の技術事項である(例えば、特開2011-172645号公報の【0001】、【0069】~【0073】、【0172】、【図15】には、センター飾り(役物)22の動作として、第1動作パターンと、第1動作パターンに比べて大当たりの信頼度の低い第2動作パターンとを選択的に実行することにより興趣を向上させる遊技機について記載され、特開2005-375号公報の【0001】、【0006】~【0007】、【0042】~【0043】には、ゲームに意外性が付与されるように信頼度の報知を行うことを目的として、第1演出役物22及び第2演出役物23による信頼度の報知を行う場合に、いずれの可動パターンで第1演出役物22及び第2演出役物23を可動させるかを決定する遊技機について記載されている。以下「周知の技術事項1」という。)。
そして、刊行物発明と上記周知の技術事項1とは、複数の動作パターンの中から抽選の結果に応じて動作パターンが選択され、動作パターンを実行することで、抽選の結果を報知する遊技機である点で共通する。
また、遊技機の技術分野において、動作可能な装飾部材を備えることで、遊技者に遊技の興趣を向上させる効果を奏することは、当業者にとって自明である。
したがって、刊行物発明の動作パターンにに上記周知の技術事項1を適用して、複数の動作パターンの中から動作パターンを選択するに際して、抽選の結果の当選の期待度に応じて動作パターンを選択し、選択された動作パターンを実行することで、抽選の結果の当選の期待度を報知し、上記相違点に係る本件補正発明の構成E、Iとすることは当業者が容易になし得たものである。
イ 相違点2(構成G)について
上記相違点2について検討する。
刊行物発明は、「稲妻等の所定の予告演出画像28」が「可動演出体24,26による可動演出に同期して」、「画像表示部20」に表示されるものである。
刊行物発明における「稲妻等の所定の予告演出画像28」は、「各可動演出体24,26による可動演出と、発光部43等による発光演出と、予告演出画像28による画像演出とが一体となって一つの纏まりのある予告演出を行うため、可動演出体24,26による演出効果が著しく向上する」ものであることから、「各可動演出体24,26による可動演出」の動作を強調し、補助する画像であるといえる。
また、刊行物発明において、「各可動演出体24,26」は、動作可能であり、さらに、構成fより、「演出位置Y」において「可動演出体24,26」が「画像表示部20」の「前側」にあるものである。
一方、本件補正発明において、「オーバーラップ」は、「輪郭画像」(【0131】を参照。)なので、必ずしも、「表示部の画像」と「装飾部材」が完全に重なることを意味するものではなく、「装飾部材」と「表示部の画像」が、部分的に重なることを含むものである。
そして、本件補正発明において、装飾部材の背面に位置する「表示部の画像」(実施例に記載された「輪郭画像」)は、遊技者から視認困難であるため、その画像表示内容に格別の意義を有するものではない。
これらのことからみて、刊行物発明において、「稲妻等の所定の予告演出画像28」を「可動演出体24,26による可動演出に同期して」、「可動演出体24,26」の背面部分にも表示し、「可動演出体24,26」にオーバーラップするように表示することは、当業者が必要に応じてなし得たものである。
次に、相違点2について、さらに、別の観点から検討する。
遊技機の技術分野において、装飾部材の動作パターンに加え、表示部の画像による演出として、装飾部材にオーバーラップさせて装飾部材の動作を誇張する補助的な表示画像を表示することは、本願の遡及日前に周知の技術事項である(例えば、原査定の拒絶理由において提示された特開2004-160053号公報の【0001】、【0011】、【0020】、【図3】には、画面にクモの巣が出現するときにクモ可動部材を素早い早さで画面の前面に降下させて遊戯者を驚かせ、遊技者の興趣を増大させるパチンコ機について記載され、特開2011-115392号公報の【0001】、【0198】、【0224】、【図23】には、可動体701を退避位置から前面位置に移動させる際に、前面位置に位置する可動体701に重畳する位置に、該可動体701を正面から見た場合の画像を表示する制御を行うと共に、可動体701の動きを多様化して、遊戯の興趣を高める遊技機について記載されている。以下「周知の技術事項2」という。)。
そして、刊行物発明と上記周知の技術事項2とは、装飾部材の動作パターンに加え、表示部の画像による演出を行う遊技機である点で共通する。
また、遊技機の技術分野において、装飾部材の動作パターンに加え、表示部の画像による演出を行うことで、遊技者に遊技の興趣を向上させる効果を奏することは、当業者にとって自明である。
したがって、刊行物発明において、装飾部材の動作パターンに加え、表示部の画像による演出を行う際に、上記周知の技術事項2を適用して、装飾部材の動作を誇張する補助的な表示画像を装飾部材にオーバーラップさせ、上記相違点2に係る本件補正発明の構成Gとすることは当業者が容易になし得たものである。
ウ 請求人の主張について
請求人は、平成29年8月22日付け審判請求書において、「(本審判請求と同時に提出した手続補正書で補正した本願発明の請求項1と引用文献1との対比)
引用文献1には、可動部材(クモ可動部材)は、クモの糸21aによって吊り下げられた構成であり、モータ23を駆動して吊り下げたクモ可動部材を遊戯領域の画面の前で昇降させると共に、揺動手段26で揺動することが記載されています。
しかしながら、引用文献1では、クモ可動部材及びその駆動系は、遊技盤ではなく、遊技機本体(ガラス枠)に取り付けられた構造となっています。 これに対して、本願発明は、パチンコ機本体に着脱可能に取り付けられた遊技盤を備え、当該遊技盤に装飾部材及び駆動手段が設けられた構造となっています。
すなわち、遊技盤は、それぞれテーマを備え、演出のためのキャラクタ等が設定されることは、当業者であれば周知の構成です。
この場合、遊技盤という一体構成物の範囲内で、キャラクタ等(本願発明で言えば装飾部材)、及びその駆動系(本願発明で言えば駆動手段)を集約させることで、遊技機本体は、他のテーマの遊技盤であっても共通に利用可能となります。
従って、本願発明は、引用文献1から容易に想到し得るものではありません。
また、引用文献1は、遊技機本体(ガラス枠)にクモ可動部材が取り付けられており、クモ可動部材自体に電飾が備えられた構成ではありません。
これに対して、本願発明は、電飾制御動作パターンが、装飾部材自体に取り付けられた電飾を点灯させるパターンを含んでおり、引用文献1から容易に想到し得るものではないことは明白です。」(第5頁下第3行~第6頁第18行)と主張する。
そこで、請求人の上記主張について検討する。
まず、本件補正発明の構成Bは、「装飾部材」が「遊技盤に取り付けられ」ることを特定するが、「複数の駆動手段」が「遊技盤に取り付けられ」ることまでを特定するものではない。
次に、当審により新たに提示された上記刊行物(特開2010-110415号公報)から認定される刊行物発明は、第1可動演出体24、第2可動演出体26、及び、その駆動手段が、着脱自在に装着されている遊技盤10に設けられたものである(構成a~b)。
また、刊行物発明は、「第1可動演出体24」に設けられた「発光部43が発光」するものである(構成g~h)。
したがって、請求人の上記主張を採用することはできない。
エ 小括
本件補正発明により奏される効果は、刊行物発明、及び、上記周知の技術事項1~2から当業者が予測できる効果の範囲内のものであり、新たな効果を奏するものとはいえない。
そうすると、上記ア~ウにおいて検討したとおり、本件補正発明は、刊行物発明、及び、上記周知の技術事項1~2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際に独立して特許を受けることができないものである。
(5)まとめ
上記(1)~(4)より、本件補正発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際に独立して特許を受けることができないものであるから、本件補正は、同法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項に規定する要件を満たさないものであり、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は、上記のとおり却下されることとなったので、本願の請求項1に係る発明は、平成29年4月19日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。記号A~H’は、分説するため当審で付した。)は、次のとおりのものと認める。
「A 遊技機本体に着脱可能に取り付けられた遊技盤を備えた遊技機であって、
B 前記遊技盤に取り付けられ、複数の駆動手段によって動作する装飾部材と、
C 遊技盤面に設けられた始動入賞口に遊技球が入賞することで抽選を実行すると共に、前記抽選が当選のとき、前記遊技盤面上に設けられた大入賞口を、所定期間開放することにより遊技球の入賞を可能とする特別遊技の進行を制御する遊技進行制御手段と、
D 前記抽選の結果に基づき、前記装飾部材を所定の動作パターンで動作するように前記駆動手段の駆動を制御する駆動制御手段とを有し、
E’’前記動作パターンは、前記装飾部材を水平状態で昇降させるパターンを含み、動作態様の異なる複数の動作パターンを有するものであり、
F 前記動作パターンの演出位置での前記装飾部材の背面側には表示部が配置され、
G 前記装飾部材の動作パターンに加え、前記表示部の画像による演出として、前記装飾部材にオーバーラップさせて前記装飾部材の動作を誇張する補助的な表示画像を表示すると共に、
H’前記装飾部材の動作パターンに電飾制御動作パターンを組み合わせることを特徴とする
遊技機。」
2 拒絶の理由(平成29年2月13日付け)
原査定の拒絶の理由は、
1.(新規性)この出願の請求項1に係る発明は、本願の出願前に日本国内において、頒布された下記の引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない、
2.(進歩性)この出願の請求項1に係る発明は、本願の出願前に日本国内において、頒布された下記の引用文献1に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない、というものである。
引用文献1:特開2004-160053号公報
3 刊行物に記載された事項
原査定の拒絶理由において提示された、引用文献1である特開2004-160053号公報(以下「刊行物1」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている。
・記載事項
ア 「【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、前面枠又は前面板に備える透明板扉枠等の2重透明板の透明板間で可動部材を可動して遊戯の興趣を高めるようにしたパチンコ機に関する。」
イ 「【0013】
【発明の実施の形態】
この発明のパチンコ機の実施形態を図面に基づいて説明する。図1ないし図7はこの発明のクモの可動部材を備えたパチンコ機であって、図1は同パチンコ機の斜視図、図2はクモ可動部材が隠れた状態のガラス扉枠の正面図、図3はクモ可動部材が中央に出現した状態のガラス扉枠の正面図、図4はクモ可動部材が下方に降下した状態のガラス扉枠の正面図、図5はクモ可動部材を揺動した状態のガラス扉枠の正面図、図6はクモ可動部材の駆動装置を備えたガラス扉枠を示す斜視図、図7は同断面図である。
【0014】
図において、1は縦長の長方形状に枠組みされた機枠であり、該機枠1の前面に中央部に方形状の開口2を設けて額縁状に形成される前面枠3が配置される。該前面枠3は前記機枠1の一側に支持手段で開閉可能に装着され、該前面枠3の前面にはガラス扉枠4と、その下方に前板5とが支持手段により開閉自在に装着される。そして、ガラス扉枠4は、合成樹脂製等の枠体に2枚の透明板、例えばガラス板6を空間Aを存して収容する2列のガラス収容部を有するガラス枠4aが一体的或いは脱着可能に装着され、上部が開放されていて2枚のガラス板6、6が上方よりガラス収容部に挿入される。透明板はガラス板6に限るものでなく、合成樹脂製の透明板でもよい。実施形態では、ガラス板の場合で説明する。また、前板5の前面には打球発射部(図示せず)に供給される打球を貯留するための打球供給皿(上皿)7が設けられ、かつ該打球供給皿の下方であって、前板の下部前面には、前記打球供給皿から溢れるパチンコ球を貯留するための余剰球受皿8(下皿)が装着され、その一側には操作ハンドル9が設けられている。ガラス扉枠は合成樹脂製枠体に限られるものでなく、木製の枠体にガラス枠を装着するものでもよい。図では、前面枠にガラス扉枠を開閉可能に備えた場合を説明したが、これに限られるものでなく、遊戯盤が視認可能な窓孔を有する前面板(図示せず)に2枚の透明板を相互間に空間を存して装着した透明板枠(例えば、ガラス枠)を開閉可能に備えたパチンコ機にも適用できる。
【0015】
10は前記前面枠3の裏側に配置されガラス扉枠4のガラス枠4aの窓孔に臨む遊戯盤であり、該遊戯盤10の前面には適宜色彩に着色された所望の図柄・模様が設けられる。該図柄・模様は通常、遊戯盤10の前面に貼着されるいわゆるセル板に描かれる。また、遊戯盤10の前面に敷設される渦巻き状の球誘導レール11で囲まれる遊戯領域12には、その中央部に例えば、表示部13aを備えた図柄表示装置13、各種盤面部品が装着され、その下方には打球が入賞することにより図柄表示装置13を電気的に作動させるための始動入賞口14及び大入賞口の変動入賞装置15が設けられている。図柄表示装置13として、例えば、特別図柄表示の液晶画面と普通図柄表示の表示面が設けられたものでは、打球が遊戯盤の任意の位置に備えられるゲート(図示せず)を通過すると普通図柄表示装置の数字が変動し、特定の数字で停止すると、始動入賞口14が設定時間開放されて打球が入賞すると特別図柄表示装置の画面13aが変動して停止し、特定の図柄の組み合わせが揃うと、大入賞口の変動入賞装置15が所定時間開放され、その間に大入賞口の特定の入賞口に入賞すると大当たりとなるものがある。16は一般入賞口、17は装飾板である。遊戯盤の中央部に図柄表示装置を備えた場合を示したが、これに限られるものではなく、他の役物でも良い。
【0016】
この発明は、上記したパチンコ機において、前記2枚のガラス板6、6間の空間Aに1又は複数個の可動部材20を可動自由に介在させ、該可動部材20を可動する駆動手段23を備える。ガラス扉枠4はガラス板6、6間の間隔を広くとり、可動部材20を空間Aで自由に可動できるようにするのが好ましい。実施形態では、駆動手段等をガラス扉枠に備えた場合を示すが、これに限られるものでなく、例えばガラス枠の隠れた位置に取り付けることもできる。
可動部材20は、合成樹脂製、織物製、金属製等適宜の材質で、吊り下げ物体、或いは前記遊戯盤の遊戯面の視認を妨げない回転可能部材等とする。吊り下げ物体は遊戯面の一部分を覆う大きさで、ガラス板6、6間の狭い空間で動作できるように薄型で軽量とし、種々の形状の装飾的なもの或いはキャラクター的なものなどとする。少なくとも遊戯盤10、図柄表示装置13、入賞装置15のうちの1つの図柄・模様等と関連を持たせた物体とするのが好ましい。遊戯盤の図柄表示装置に出現する画像、役物、各種部品或いは遊戯領域等に合わせた形状の物体とするのが好ましい。実施形態では、吊り下げ物体をクモ可動部材21として、図柄表示装置13の表示部の液晶画面13aの演出で出現するクモの巣或いは物体が爆発などの演出もの(図示せず)に合わせられている。また、前記遊戯盤の遊戯面の視認を妨げない回転可能部材としては、遊戯領域の前面を透視でき、その盤面に装飾、キャラクター等を施した透明回転体22、或いは中空とした透明板、或いは中空とした不透明板などとする。透明回転体に表示する図柄、模様等は、少なくとも遊戯盤10、図柄表示装置13、入賞装置15のうちの1つの図柄・模様等と関連を持たせる、例えば、遊戯盤の図柄表示装置に出現する画像、役物、各種部品等に合わせるのが好ましい。実施形態では、回転可能部材を透明回転体22として、透明回転体の材質は合成樹脂製、ガラス製等で、遊戯面を透視でき、その盤面に飛行機の操縦席のパネル等が表示され、液晶画面13aに出現する飛行機のような動く物体に合わせられる。
【0017】
前記吊り下げ物体21を可動する駆動手段23として、モータがガラス扉枠4の上部に備えられ、該モータ23の駆動で吊り下げ物体21が可動され、吊り下げ物体21が2枚のガラス板6、6間の空間Aで動くようにする。吊り下げ物体の駆動手段23は、該吊り下げ物体を昇降させるための昇降手段24と、該昇降手段24を駆動する駆動機構とが備えられ、可動部材20を遊戯盤10の遊戯領域外のガラス扉枠4の周囲に隠し、その位置より遊戯領域10aに降下して飛び出すようにし、可動部材の動きを上下方向に変化させる。図5の実施形態では、可動部材20の吊り下げ物体21を揺動する揺動手段26が備えられ、駆動手段25で揺動手段26を揺動して吊り下げる可動部材20を揺動し左右方向に変化させる。揺動手段26として、クモの糸を通すスライド部材が左右にスライド可能にガラス扉枠等に備えられている。これらの駆動手段、昇降手段、揺動手段等はガラス扉枠又はガラス枠の隠れた位置に取り付けられる。
【0018】
前記可動部材の駆動手段23を、遊戯盤の図柄表示装置13と入賞装置15のいずれか或いはその両方を制御装置18と接続し、図柄表示装置と入賞装置のいずれか或いはその両方の特定状態の動作と可動部材の動作を関連させ、立体的かつ躍動的な動きとして遊戯者に臨場感を持たせる。
この発明で図柄表示装置13の特定の状態とは、例えば、始動入賞口14が設定時間開放されて打球が入賞すると図柄表示装置13の画面13aが変動して停止し、特定の図柄の組み合わせが揃ったときである。この図柄が揃ったときに、例えば液晶画面にクモの巣等を出現させ、それと同時或いはその前後に可動部材のクモを動作させる。或いは入賞装置の特定状態は大入賞口が開放されたときとする。特定状態としては、表示装置が特定状態の図柄が揃って入賞装置の大入賞口が開放状態となった大当たりのときとするのが好ましい。特定状態は、かならずしも図柄が揃った場合に限るものではなく、各種予告等の遊戯状態、例えば図柄がリーチとなった場合でもよい。」
ウ 「【0020】
図13ないし図15はクモ可動物の駆動手段と図柄表示装置と入賞装置を関連させたブロック図である。
図13に示すように、駆動手段23を昇降手段24でクモ可動部材21を昇降し、駆動手段23を遊戯盤10の図柄表示装置13、入賞装置14等の制御装置18と接続し、図柄表示装置13の特定状態でクモ可動部材21の動作を関連させた場合について説明する。
クモ可動部材21の場合には、制御装置18で、例えば、図柄表示装置13の図柄が揃った特定の入賞状態にクモの巣が出現するとともにモータ23の駆動でプーリ33よりクモの糸21aが繰り出されてクモ可動部材21が降下して遊戯盤10の遊戯領域に突然表れるようにして遊戯者の興趣を高める。
すなわち、通常時は図2に示すようにクモ可動部材21を見えない位置に隠すために、モーター23でクモの糸21aを巻き上げてクモ可動部材21を遊戯盤の遊戯領域外の上方に引き上げてガラス枠の裏面に隠す。
図3に示すように、図柄表示装置13が特定状態の入賞時或いはリーチ等各種予告に中央の液晶画面の演出とリンクさせ、モータ23を駆動して吊り下げた可動部材を素早い速さで遊戯盤の遊戯領域の画面中央に降下させ驚かせる。例えば、画面にクモの巣が出現するときに、クモの糸を繰り出して、クモ可動部材を素早い速さで画面の前面に降下させて遊戯者を驚かせる。クモ可動部材は遊戯盤の遊戯領域の任意の位置で昇降させて躍動させる。図4はモータ23でクモの糸をさらに繰り出して下方の大入賞口14の開放に合わせてその大入賞口の前面まで降下させ大入賞口の前面で動作させ、遊戯者の目を引かせる。
・・・
【0022】
図15に示す別の実施形態では、駆動手段23の昇降手段24と、駆動手段25で揺動手段26を介してクモ可動部材を昇降と揺動可能にし、駆動手段23、25を遊戯盤10の図柄表示装置13、入賞装置14等の制御装置18と接続し、図柄表示装置13の特定状態でクモ可動部材21の動作を関連させた場合について説明する。クモ可動部材21の場合には、制御装置18で、例えば、図柄表示装置13の図柄が揃った特定の入賞状態にクモの巣が出現するとともにモータ23の駆動でプーリ33よりクモの糸21aが繰り出されてクモ可動部材21を遊戯盤10の遊戯領域の前面で上下に昇降動作させ、かつ揺動手段26でそのクモの糸を左右に移動してクモ可動部材を左右に揺動動作させ、上下左右の変化で遊戯者の興趣を高める。」
エ 「【0032】
この発明のパチンコ機は、駆動手段で昇降手段により吊り下げる可動部材を2枚の透明板間で昇降でき、また、前記可動部材を揺動手段で揺動でき、遊戯領域で上下、或いは左右、或いは上下左右に変化させて遊戯者の興趣を高めることができる。」
・認定事項
オ 【0032】の「・・・駆動手段で昇降手段により吊り下げる可動部材を2枚の透明板間で昇降でき、・・・」との記載、可動部材20が中央に出現した状態のガラス扉枠の正面図を示す【図3】の図示内容、可動部材が下方に降下した状態のガラス扉枠の正面図を示す【図4】の図示内容、及び、可動部材の駆動装置を示す斜視図である【図6】の図示内容より、刊行物1には、「可動部材20を水平状態にしたまま、上下に昇降動作を行う」ことが示されているものと認められる。
上記ア~エの記載事項、上記オの認定事項、及び、図面の図示内容を総合勘案すると、刊行物1には、次の発明(以下「刊行物1発明」という。)が記載されていると認められる(a1~g1は、本願発明のA~Gに対応させて付与した。)。
「a1 機枠1の前面枠3の裏側に配置され遊戯盤10を備えたパチンコ機(【0001】、【0014】~【0015】)において、
b1 ガラス扉枠に取り付けられた駆動手段23、25により、遊戯盤10の遊戯領域の前面で昇降と揺動可能にされるクモ可動部材21(【0017】、【0022】)と、
c1 遊戯盤10に設けられている図柄表示装置13と大入賞口の変動入賞装置15の両方を制御装置18と接続し、遊戯盤10に設けられている始動入賞口14に打球が入賞し、表示装置に大当たりとなる特定状態の図柄が揃うと、変動入賞装置15の大入賞口を開放状態とし(【0015】、【0018】)、
d1 図柄表示装置13と大入賞口の変動入賞装置15の両方の特定状態の動作と可動部材20の動作を関連させ、駆動手段により可動部材を遊戯領域で上下、或いは左右、或いは上下左右に変化させることが可能であり(【0018】、【0032】)、
e1 上記可動部材を「上下」、「上下左右」に変化させる際には、可動部材20を水平状態にしたまま、上下に昇降動作を行い(【0032】、認定事項 )、
f1、g1 制御装置18は、遊戯領域12の中央部に設けられている、図柄表示装置13の図柄が揃った特定の入賞状態にクモの巣が出現するとともにクモの糸21aが繰り出されてクモ可動部材21が降下して遊戯盤10の遊戯領域に突然表れるようにした(【0020】)
パチンコ機。」
4 対比
本願発明と刊行物1発明とを対比する(対比にあたっては、本願発明の構成A~Gと刊行物1発明の構成a1~g1について、それぞれ(a1)~(g1)の見出しを付して行った。)。
(a1)刊行物1発明における「機枠1」、「遊戯盤10」、「パチンコ機」は、それぞれ、本願発明における「遊技機本体」、「遊技盤」、「遊技機」に相当する。
したがって、刊行物1発明における構成a1の「機枠1の前面枠3の裏側に配置され遊戯盤10を備えたパチンコ機」と、本願発明における構成Aの「遊技機本体に着脱可能に取り付けられた遊技盤を備えた遊技機」とは、「遊技機本体に取り付けられた遊技盤を備えた遊技機」である点で共通する。
(b1)刊行物1発明における「駆動手段23、25」、「昇降と揺動可能にされる」こと、「クモ可動部材21」は、それぞれ、本願発明における「複数の駆動手段」、「動作する」こと、「装飾部材」に相当する。
したがって、刊行物1発明における構成b1の「ガラス扉枠に取り付けられた駆動手段23、25により昇降と揺動可能にされるクモ可動部材21」と、本願発明における構成Bの「遊技盤に取り付けられ、複数の駆動手段によって動作する装飾部材」とは、「複数の駆動手段によって動作する装飾部材」である点で共通する。
(c1)刊行物1発明における「遊戯盤10に設けられている始動入賞口14」、「打球が入賞」することは、それぞれ、本願発明における「遊技盤面に設けられた始動入賞口」、「遊技球が入賞する」ことに相当する。
そして、刊行物1発明において、「表示装置に大当たりとなる特定状態の図柄が揃う」のは、大当たり抽選により大当たりが当選した結果、生じる現象であることは、当業者における技術常識である。
したがって、刊行物1発明における「表示装置に大当たりとなる特定状態の図柄が揃う」ことは、本願発明における「抽選を実行すると共に、抽選が当選のとき」に相当する。
また、刊行物1発明における「変動入賞装置15の大入賞口を開放状態と」することは、大入賞口を開放状態とする大当たり遊技を進めることであるから、本願発明における「遊技盤面上に設けられた大入賞口を、所定期間開放することにより遊技球の入賞を可能とする特別遊技の進行を制御する」ことに相当する。
さらに、刊行物1発明は、「遊戯盤10に設けられている」「大入賞口の変動入賞装置15」「を制御装置18と接続」するものであるから、刊行物1発明において、「変動入賞装置15の大入賞口を開放状態と」する制御は、「制御装置18」により行われるものである。
そうすると、刊行物1発明における「変動入賞装置15の大入賞口を開放状態と」することは、本願発明における「遊技盤面上に設けられた大入賞口を、所定期間開放することにより遊技球の入賞を可能とする特別遊技の進行を制御する遊技進行制御手段」を備えることに相当する。
ゆえに、刊行物1発明における構成c1は、本願発明における構成Cに相当する。
(d1)刊行物1発明における「可動部材を遊戯領域で上下、或いは左右、或いは上下左右に変化させる」ことは、本願発明における「装飾部材を所定の動作パターンで動作する」ことに相当する。
そして、刊行物1発明において、「可動部材の動作」は、「図柄表示装置13と大入賞口の変動入賞装置15の両方の特定状態の動作」と「関連させ」られており、上記(c1)より、「制御装置18」によって制御されるものである。
また、上記(c1)より、刊行物1発明における「表示装置に大当たりとなる特定状態の図柄が揃う」ことは、本願発明における「抽選を実行すると共に、抽選が当選のとき」に相当することから、「特定状態の動作」と「関連」する「可動部材の動作」も、同様に、本願発明における「抽選を実行すると共に、抽選が当選のとき」に実行されるものであるといえる。
したがって、刊行物1発明における「図柄表示装置13と大入賞口の変動入賞装置15の両方の特定状態の動作と可動部材の動作を関連させ、駆動手段により可動部材を遊戯領域で上下、或いは左右、或いは上下左右に変化させることが可能であ」ることは、本願発明における「抽選の結果に基づき、装飾部材を所定の動作パターンで動作するように駆動手段の駆動を制御する」ことに相当する。
(e1)上記(d1)より、刊行物1発明における「可動部材を遊戯領域で上下、或いは左右、或いは上下左右に変化させる」ことは、本願発明における「装飾部材を所定の動作パターンで動作する」ことに相当する。
また、刊行物1発明において、構成d1より、「可動部材を遊戯領域で上下」「に変化させる」こと、「可動部材を遊戯領域で」「左右」「に変化させる」こと、「可動部材を遊戯領域で」「上下左右に変化させる」ことは、互いに異なる動作パターンに基づいて可動部材を動作させることであるといえる。
そうすると、刊行物1発明における「可動部材を遊戯領域で上下」「に変化させる」こと、「可動部材を遊戯領域で」「左右」「に変化させる」こと、「可動部材を遊戯領域で」「上下左右に変化させる」ことは、本願発明における「動作態様の異なる複数の動作パターンを有する」ことに相当する。
そして、刊行物1発明における「可動部材20を水平状態にしたまま、上下に昇降動作を行」う「可動部材を遊戯領域で上下」「に変化させる」パターン、「可動部材を遊戯領域で」「上下左右に変化させる」パターンとは、本願発明における「装飾部材を水平状態で昇降させるパターン」に相当する。
したがって、刊行物1発明における「上記可動部材を「上下」、「上下左右」に変化させる際には、可動部材20を水平状態にしたまま、上下に昇降動作を行」うことは、本願発明における構成E’’の「動作パターンは、装飾部材を水平状態で昇降させるパターンを含み、動作態様の異なる複数の動作パターンを有する」ことに相当する。
(f1)刊行物1発明における「クモの糸21aが繰り出されて」「降下して遊戯盤10の遊戯領域に突然表れる」「クモ可動部材21」は、本願発明における「動作パターンの演出位置での装飾部材」に相当する。
そして、刊行物1発明の「クモ可動部材21」は、構成b1より、「遊戯盤10の遊戯領域の前面で昇降と揺動可能にされる」ものであることから、「クモの糸21aが繰り出されてクモ可動部材21が降下して遊戯盤10の遊戯領域に突然表れる」状態では、「クモ可動部材21」は、「図柄表示装置13」の「前面」に位置するものといえる。
したがって、刊行物1発明における構成f1、g1の「クモの糸21aが繰り出されて」「降下して遊戯盤10の遊戯領域に突然表れる」「クモ可動部材21」は、本願発明における構成Fの「動作パターンの演出位置での装飾部材の背面側には表示部が配置され」ることに相当する。
(g1)刊行物1発明における構成f1、g1の「図柄表示装置13」「にクモの巣が出現する」ことは、「クモの巣」が、降下した「クモ可動部材21」と重なることにより、「クモ可動部材21」の降下動作を強調するものであり、「クモ可動部材21」の降下動作する演出に加えて、図柄表示装置13にクモの巣の画像を表示する演出である。
したがって、刊行物1発明における構成f1、g1の「図柄表示装置13の図柄が揃った特定の入賞状態にクモの巣が出現するとともにクモの糸21aが繰り出されてクモ可動部材21が降下して遊戯盤10の遊戯領域に突然表れる」ことは、本願発明における構成Gの「装飾部材の動作パターンに加え、表示部の画像による演出として、装飾部材にオーバーラップさせて装飾部材の動作を誇張する補助的な表示画像を表示する」ことに相当する。
よって、両者の一致点および相違点は、次のとおりである。
[一致点]
「A’遊技機本体に取り付けられた遊技盤を備えた遊技機であって、
B’複数の駆動手段によって動作する装飾部材と、
C 遊技盤面に設けられた始動入賞口に遊技球が入賞することで抽選を実行すると共に、前記抽選が当選のとき、前記遊技盤面上に設けられた大入賞口を、所定期間開放することにより遊技球の入賞を可能とする特別遊技の進行を制御する遊技進行制御手段と、
D 前記抽選の結果に基づき、前記装飾部材を所定の動作パターンで動作するように前記駆動手段の駆動を制御する駆動制御手段とを有し、
E’’前記動作パターンは、前記装飾部材を水平状態で昇降させるパターンを含み、動作態様の異なる複数の動作パターンを有するものであり、
F 前記動作パターンの演出位置での前記装飾部材の背面側には表示部が配置され、
G 前記装飾部材の動作パターンに加え、前記表示部の画像による演出として、前記装飾部材にオーバーラップさせて前記装飾部材の動作を誇張する補助的な表示画像を表示する
遊技機。」
[相違点1](構成A、B)
本願発明では、遊技盤が、遊技機本体に着脱可能に取り付けられ、装飾部材が、遊技盤に取り付けられるのに対して、刊行物1発明では、遊技盤が、遊技機本体に取り付けられるが、遊技機本体に着脱可能に取り付けられたものであるか否か明らかでなく、装飾部材が、ガラス扉枠に取り付けられたものであり、遊技盤に取り付けられたものでない点。
[相違点2](構成H’)
本願発明では、装飾部材の動作パターンに電飾制御動作パターンを組み合わせるのに対して、刊行物発明はそのような構成を備えない点。
5 当審の判断
(1)相違点1、2(構成A、B、H)について
上記相違点1、2は、装飾部材に関する点で関連するのでまとめて検討する。
遊技機の技術分野において、遊技盤を遊技機本体に着脱可能に取り付け、さらに、遊技盤に装飾部材を取り付け、遊技の進行に応じて装飾部材を動作させると共に、装飾部材の動作のパターンに電飾制御動作のパターンを組み合わせることは、本願の遡及日前に周知の技術事項である(例えば、特開2008-246014号公報の【0001】、【0016】、【0018】、【0021】、【0041】~【0042】、【図1】には、収納枠に遊技盤10を着脱可能にセットし、さらに、遊技盤10にセンター飾り15を介して電飾看板100を備え、遊技の進行に応じて電飾看板100を遊技者に露出するように落下移動、もしくは、上昇移動可能とし、電飾看板100の看板蓋部材130に形成された文字をLEDを発光させることにより強調して遊技者に視認可能とした遊技機について記載され、特開2011-104249号公報の【0001】、【0015】~【0016】、【0020】、【0027】、【0029】~【0030】、【図2】、【図3】には、前面枠2に収納保持された遊技盤3に可動役物装置13を備え、電子抽選の結果に応じて可動役物装置13の役物本体30を揺らし動作や上下動作可能とし、例えば、役物本体30が落下している途中や最下位置で停止したとき、LEDを点灯あるいは点滅させることにより、落下動作する役物本体30の前面からLEDの光が放射されるというライティング演出を行う弾球遊技機について記載されている。また、前記刊行物の【0012】~【0013】、【0015】~【0016】、【0024】、【0064】、【0067】の記載により特定される刊行物発明の構成a~b、g~hを参照。以下「周知の技術事項3」という。)。
そして、刊行物1発明と上記周知の技術事項3とは、遊技の進行に応じて装飾部材を動作させる遊技機である点で共通する。
また、遊技機の技術分野において、動作可能な装飾部材を備えることで、遊技者に遊技の興趣を向上させる効果を奏することは、当業者にとって自明である。
したがって、刊行物1発明に上記周知の技術事項3を適用して、遊技盤を遊技機本体に着脱可能に取り付けると共に、装飾部材を遊技盤に取り付け、さらに、装飾部材の動作パターンに電飾制御動作パターンを組み合わせて、上記相違点1、2に係る本願発明の構成A、B、H’とすることは当業者が容易になし得たものである。
(2)小括
本願発明により奏される効果は、刊行物1発明、及び、上記周知の技術事項3から当業者が予測できる効果の範囲内のものであり、新たな効果を奏するものとはいえない。
そうすると、上記(1)において検討したとおり、本願発明は、刊行物1発明、及び、上記周知の技術事項3に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
6 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2017-012398