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特許拒絶査定不服審判

2017-011011

遊技機

審判番号
2017-011011
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2015-042278外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2017年07月25日
審決日
2018年06月11日
公報発行日
2018年09月28日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-WZ (A63F)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2015- 42278「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 9月 5日出願公開、特開2016-158989〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

【理 由】 1 手続の経緯 本願は、平成27年3月4日の出願であって、平成28年1月21日付けで拒絶の理由が通知され、平成28年3月23日に意見書及び手続補正書が提出され、平成28年8月30日付けで最後の拒絶の理由が通知され、平成28年11月4日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、平成29年4月21日付けで、平成28年11月4日付け手続補正が却下されるとともに拒絶査定がなされ、それに対して、平成29年7月25日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされ、これに対し、当審において、平成30年2月13日付けで拒絶の理由が通知され、平成30年4月17日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。 2 本願発明 この出願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成30年4月17日付けの手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める(下線は、補正箇所を明示するために審決にて付した。また、当審においてA~Gに分説した。)。 「【請求項1】 A 第1役物及び第2役物と、 B 前記第1役物及び前記第2役物それぞれに1つ以上配置される複数の発光素子と、 C 前記第1役物及び前記第2役物のうち少なくとも一方を移動させる移動機構と、 D 前記複数の発光素子を発光させることによる発光演出と、前記移動機構の制御と、を実行する制御手段と、 を備え、 E 前記制御手段は、前記移動機構を制御することにより、前記第1役物及び前記第2役物を、前記第1役物が第1位置に位置した状態となることによって前記第1役物と前記第2役物とが接近した隣接状態と、前記第1役物が前記第1位置とは異なる第2位置に位置した状態となることによって前記第1役物と前記第2役物とが離れた離間状態と、に遷移させることが可能であり、 F また前記制御手段は、前記第1役物及び前記第2役物のいずれもが前記発光演出を実行する期間内に、前記隣接状態から前記離間状態に遷移させ、前記離間状態において前記第1役物が回動し、更に前記隣接状態に遷移させる演出である複合演出を実行し、 G 前記隣接状態においては、前記第1役物及び前記第2役物により有意の形状が構成されることを特徴とする遊技機。」 3 刊行物 原査定の拒絶の理由に引用文献1として引用された特開2010-279547号公報(以下、「刊行物1」という。)には、次の事項が図面とともに記載されている。 (1-a)「【発明が解決しようとする課題】 ・・・ 【0007】 そこで、本発明は上記の実情に鑑み、装飾体の移動範囲を可及的に長くすると共に装飾体の動きを楽しませて、遊技に対する興趣が低下するのを抑制することが可能な遊技機の提供を課題とするものである。」 (1-b)「【0543】 また、センター役物2300は、上棚部2301の右側で左右方向の略中央に円形状の開口窓2316を備えており、この開口窓2316から後述する裏ユニット3000の回転装飾体3102が望むようになっている。 【0544】 [2-4.パネルレンズ部材] 本例のパチンコ機1におけるパネルレンズ部材2500は、遊技パネル600における遊技領域605内でセンター役物2300が挿入される開口部600eよりも外側の位置に円形や×形状で前後方向へ貫通するように形成された複数の発光装飾孔600fを発光装飾させるものである。このパネルレンズ部材2500は、センター役物2300の外周で左上側に形成された複数の発光装飾孔600fと対応した透明な上パネルレンズ2510と、上パネルレンズ2510の後側に配置され表面に複数のLEDが実装された上パネルレンズ基板2512と、センター役物2300の外周で左下側に形成された複数の発光装飾孔600fと対応した透明な下パネルレンズ2520と、下パネルレンズ2520の後側に配置され表面に複数のLEDが実装された下パネルレンズ基板2522とを備えている。」 (1-c)「【0562】 この上部ユニット3002は、前面で左右方向の略中央に配置された回転装飾体ユニット3100を上下方向へ昇降させることができ、上昇位置の時には回転装飾体ユニット3100の回転装飾体3102が、センター役物2300の開口窓2316から遊技者側へ臨むようになっている。また、回転装飾体ユニット3100が下降位置の時には、上部ユニットカバー3004の左右方向略中央が、センター役物2300の開口窓2316を通して遊技者側から視認できるようになっており(図186を参照)、この上部ユニットカバー3004の後側に配置された後述する揺動装飾体ユニット3200におけるカバー部材3210の前面に取付けられた上部ユニット後装飾基板3214によって発光装飾されるようになっている。 【0563】 [2-5A-1.回転装飾体ユニット] 上部ユニット3002における回転装飾体ユニット3100は、図164乃至図167に示すように、所定円内に配置され四つ巴状で手裏剣形状を四分割した四つの回転装飾体3102を備えており、これら四つの回転装飾体3102が所定の回転軸を中心に回転することで、夫々の回転装飾体3102が回転軸から遠ざかる方向へ、つまり、所定円から突出するように移動し、全体的に大きく広がったような状態で回転可能とされたものである。詳述すると、昇降機構3150に支持され前後方向へ延びると共に後端が閉鎖された浅い円筒状の回転装飾体ユニットベース3104と、回転装飾体ユニットベース3140の後側で回転装飾体ユニットベース3104の中心軸から偏芯した所定位置に配置される回転装飾体駆動モータ3106と、回転装飾体駆動モータ3106によって回転駆動する駆動ギア3108と、駆動ギア3108と噛合し回転装飾体ユニットベース3104と略同軸上に配置された従動ギア3110と、従動ギア3110と共に回転し回転装飾体ユニットベース3104の前端付近で回転軸に対して直角方向へ広がる円盤状の回転面3112aを有した第一回転部材3112と、第一回転部材3112の外周に略同軸上で相対回転可能に支持されたリング状の第二回転部材3114と、を備え、四つの回転装飾体3012が第一回転部材3112及び第二回転部材3114の前側に夫々支持されている。」 (1-d)「【0567】 更に、回転装飾体ユニット3100は、回転保持部材の後側に配置され略矩形状の開口部3122aを有した基板支持部材3122と、基板支持部材3122の後側に固定され開口部3122aから前側へ臨むように複数のLEDが実装された回転装飾体装飾基板3124と、を更に備えている。本例では、回転装飾体3102、第一回転部材3112、及び第二回転部材3114等が透光性を有するように形成されており、回転装飾体装飾基板3124によって回転する回転装飾体3102等を発光装飾させることができるようになっている。また、第一回転部材3112、第二回転部材3114、回転保持部材3120、基板支持部材3122、及び回転装飾体装飾基板3124は、筒状の回転装飾体ユニットベース3104内に収容されるようになっている。」 (1-e)「【0582】 [2-5A-2.昇降機構] 上部ユニット3002における回転装飾体ユニット3100を昇降させる昇降機構3150は、図162や図168等に示すように、上部ユニットカバー3004の前面にスライド可能に支持されると共に、左右方向略中央を通る上下方向へ延びた移動軸線に対して対称に配置された一対の透明で円弧状のスライド部材3152と、スライド部材3152における内周側の側面と回動可能に当接すると共に内周側の側面に沿って所定距離離反して配置され、スライド部材3152が内周側(中心方向)へ移動するのを阻止する二つの第一スライド保持部材3154と、二つの第一スライド保持部材3154の間と対応した位置に配置されスライド部材3152が中心方向及び半径方向外側へ移動するのを阻止する一つの第二スライド保持部材3156と、を主に備えている。 ・・・ 【0586】 また、昇降機構3150は、左右方向中央よりも外側に配置された第一スライド保持部材3154を通り円弧状のスライド軸線に対して略直角方向へ延びる軸線上に配置されスライド部材3152のラックギア3152bと噛合するピニオンギア3158と、ピニオンギア3158を回転駆動させ上部ユニットカバー3004の後側に固定された昇降駆動モータ3160と、スライド部材3152の検知部3152dと当接可能とされた当接部3162a及び扇状の検知片3162bを有し当接部3162aと検知片3162bとの間で上部ユニットカバー3004に回動可能に軸支された検知部材3162と、検知部材3162の検知片3162bを検知可能とされ上部ユニットカバー3004に固定された昇降検知センサ3164と、を更に備えている。」 (1-f)「【0590】 次に、本例の上部ユニット3100における昇降機構3150の動きについて、主に図170を参照して説明する。まず、通常の状態では、図170(A)に示すように、回転装飾体ユニット3100が上昇位置に位置しており、この状態では、昇降機構3150における二つのスライド部材3152は、回転装飾体ユニット3100を支持しない他端側が互いに遠ざかった位置となっていると共に、回転装飾体ユニット3100を支持する一端側が上昇して上部ユニットカバー3004の中央下端と略同じ高さの位置となっている。これにより、二つのスライド部材3152は、遊技パネル600の外周とセンター役物2300の内周との間の配置範囲内に位置しており、遊技者側からほとんど見えないようになっている(図151を参照)。 ・・・ 【0594】 この昇降駆動モータ3160の回転駆動により、スライド部材3152の一端側が下方へスライドし、スライド部材3152におけるスリットの他端側の端部が第二スライド保持部材3156に当接すると、第二スライド保持部材3156によってスライド部材3152のスライドが規制され、スライド部材3152の下降方向への移動が停止すると共に、昇降駆動モータ3160の回転駆動が停止して、回転装飾体ユニット3100が下降位置に位置した状態となる(図170(B)を参照)。 【0595】 そして、回転装飾体ユニット3100が、下降位置に到達すると、上述したように、ロックソレノイド3127を駆動してロック部材3128のロック片3128aを解除した上で、回転装飾体駆動モータ3106を回転駆動させて、第一回転部材3112、第二回転部材3114、及び回転装飾体3102を回転させると共に、その遠心力により各回転装飾体3102を第一軸部材3116回りに回動させて外側へ突出させ、その状態で回転演出を遊技者に提示することとなる(図170(C)を参照)。なお、回転装飾体ユニット3100が下降位置に到達する前に、回転装飾体3102の回転を開始させるようにしても良い。 【0596】 一方、回転装飾体ユニット3100を下降位置から上昇位置へ移動させる場合は、各将校駆動モータ3160を上記とは逆の方向へ夫々回転駆動させることで、スライド部材3152の一端側が上昇方向へとスライドし、回転装飾体ユニット3100が上昇を開始する。そして、スライド部材3152の検知部3152dが検知部材3162の当接部3162aと当接すると、検知部材3162の検知片3162bが回動し、昇降検知センサ3164による検知片3162bの検知が不能となると、昇降駆動モータ3160の回転駆動が停止させられてスライド部材3152のスライドが停止し、回転装飾体ユニット3100が上昇位置に位置した状態となる(図170(A)を参照)。」 (1-g)「【0675】 このランプ駆動基板3031は、受信した扉枠側点灯点滅コマンドに基いて点灯信号又は点滅信号を、副ドロワ中継基板1108を介して扉枠5に備えられた各装飾基板126,190,206,224,225,296等のLEDに出力したり、受信した遊技盤側点灯点滅コマンドに基いて点灯信号又は点滅信号を遊技盤4に備えられた各装飾基板3012,3014,3124,3216,3320,3328,3432,3456,3482,3526,3530のLEDや、扉枠5のガラスユニット450におけるガラス装飾基板453のLED453aに出力したりする。また、ランプ駆動基板3031は、受信した扉枠側モータ駆動コマンドに基いて回転駆動信号を、副ドロワ中継基板1108を介して扉枠5に備えられた左回転灯モータ245、右回転灯モータ265、及び中央回転灯モータ285に出力したり、受信した遊技盤側モータ駆動コマンドに基いて回転駆動信号を遊技盤4に備えられた回転装飾体駆動モータ3106、昇降駆動モータ3160、揺動駆動モータ3212、天井駆動モータ3312、キャラクタ体駆動モータ3418、右腕駆動モータ3472、歯車駆動モータ3514に出力したり、更には、受信した遊技盤側ソレノイド駆動コマンドに基いて駆動信号を遊戯盤に備えられたロックソレノイド3127や頭部ソレノイド3455に出力したりする。」 (1-h)段落【0590】には「通常の状態では、図170(A)に示すように、回転装飾体ユニット3100が上昇位置に位置しており、」と記載され、段落【0594】には「昇降駆動モータ3160の回転駆動により、・・・回転装飾体ユニット3100が下降位置に位置した状態となる」と記載されている。 また、段落【0562】には「上昇位置の時には回転装飾体ユニット3100の回転装飾体3102が、センター役物2300の開口窓2316から遊技者側へ臨むようになっている。また、回転装飾体ユニット3100が下降位置の時には、・・・(図186を参照)」と記載されており、図151には、回転装飾体3102が、センター役物2300の開口窓2316から遊技者側へ臨むようになっている上昇位置において、回転装飾体ユニット2300が回転装飾体ユニット3100と近接した位置にあることが示されており、図186には、回転装飾体ユニット3100が下降位置に位置した状態においてセンター役物2300と離間していることが示されている。 よって、刊行物1には、回転装飾体ユニット3100は、通常の状態ではセンター役物2300と近接した上昇位置に位置しており、昇降機構3150の昇降駆動モータ3160の回転駆動により、センター役物2300と離間した下降位置に位置した状態となることが記載されているといえる。 よって、以上の記載事項(1-a)~(1-g)及び認定事項(1-h)を総合すると、刊行物1には、次の発明が記載されていると認められる(以下、この発明を「刊行物1発明」という。)。 「a 回転装飾体3102を備えた回転装飾体ユニット3100、及び開口窓2316を備えたセンター役物2300と(段落【0563】、【0543】)、 b 回転装飾体ユニット3100に備えた回転装飾体装飾基板3124に実装された複数のLEDと(段落【0567】)、 c 前記回転装飾体ユニット3100を昇降させる昇降機構3150と(段落【0582】)、 d 点灯信号又は点滅信号を前記回転装飾体装飾基板3124のLEDに出力したり、回転駆動信号を回転装飾体駆動モータ3106、及び前記昇降機構3150の昇降駆動モータ3160に出力するランプ駆動基板3031と(段落【0675】、【0586】)、 を備え、 e 前記回転装飾体ユニット3100は、通常の状態ではセンター役物2300と近接した上昇位置に位置しており、昇降機構3150の昇降駆動モータ3160の回転駆動により、センター役物2300と離間した下降位置に位置した状態となり(認定事項(1-h))、 f 前記回転装飾体ユニット3100が下降位置に到達すると、回転装飾体駆動モータ3106を回転駆動させて、回転装飾体3102を回転させ、更に回転装飾体ユニット3100を下降位置から上昇位置へ移動させ(段落【0595】、【0596】)、 g 上昇位置の時には回転装飾体ユニット3100の回転装飾体3102が、センター役物2300の開口窓2316から遊技者側へ臨むようになっているパチンコ機1(段落【0562】、【0544】)」 4 対比 本願発明と刊行物1発明とを対比する(下記の見出しの(a)~(g)は、刊行物1発明の構成a~gに対応している。)。 (a)刊行物1発明の「回転装飾体ユニット3100」、「センター役物2300」は、それぞれ、本願発明の「第1役物」、「第2役物」に相当する。 よって、刊行物1発明の「回転装飾体3102を備えた回転装飾体ユニット3100、及び開口窓2316を備えたセンター役物2300」は、本願発明の「第1役物及び第2役物」に相当する。 (b)刊行物1発明の「回転装飾体ユニット3100」(第1の役物)は、複数のLEDが実装されているから、「複数の発光素子」が「1つ以上配置され」ているといえる。 よって、刊行物1発明の「回転装飾体ユニット3100に備えた回転装飾体装飾基板3124に実装された複数のLED」と、本願発明の「前記第1役物及び前記第2役物それぞれに1つ以上配置される複数の発光素子」とは、「少なくとも前記第1の役物に1つ以上配置される複数の発光素子」という点で共通する。 (c)刊行物1発明の「昇降機構3150」が「回転装飾体ユニット」(第1の役物)を昇降させることは、本願発明の「移動機構」が、「第1役物及び第2役物のうち少なくとも一方を移動させる」ことに相当する。 よって、刊行物1発明の「前記回転装飾体ユニット3100を昇降させる昇降機構3150」は、本願発明の「前記第1役物及び前記第2役物のうち少なくとも一方を移動させる移動機構」に相当する。 (d)刊行物1発明の「点灯信号又は点滅信号を前記回転装飾体装飾基板3124のLEDに出力」することは、本願発明の「複数の発光素子を発光させることによる発光演出」を「実行する」ことに相当する。 また、刊行物1発明の「回転駆動信号を前記昇降機構3150の昇降駆動モータ3160に出力する」ことは、本願発明の「移動機構の制御」を「実行する」ことに相当する。 よって、刊行物1発明の「点灯信号又は点滅信号を遊技盤4に備えられた前記回転装飾体装飾基板3124のLEDに出力したり、回転駆動信号を回転装飾体駆動モータ3106、及び前記昇降機構3150の昇降駆動モータ3160に出力するランプ駆動基板3031」は、本願発明の「前記複数の発光素子を発光させることによる発光演出と、前記移動機構の制御と、を実行する制御手段」に相当する。 (e)刊行物1発明の「上昇位置」、「下降位置」は、それぞれ、本願発明の「第1位置」、「第2位置」に相当する。 また、刊行物1発明の「上昇位置」において、「回転装飾体ユニット3100」が「センター役物2300と近接」した状態が、本願発明の「第1役物と第2役物とが接近した隣接状態」に相当し、刊行物1発明の「下降位置」において、「回転装飾体ユニット3100」が「センター役物2300と離間した」した状態が、本願発明の「第1役物と第2役物とが離れた離間状態」に相当する。 そして、刊行物1発明の構成c、dにより「ランプ駆動基板3031」(制御手段)は、昇降機構3150(昇降機構)を制御することにより「回転装飾体ユニット3100」(第1役物)を制御しているといえる。 よって、刊行物1発明の「前記回転装飾体ユニット3100は、通常の状態ではセンター役物2300と近接した上昇位置に位置しており、昇降機構3150の昇降駆動モータ3160の回転駆動により、センター役物2300と離間した下降位置に位置した状態とな」る点は、本願発明の「前記制御手段は、前記移動機構を制御することにより、前記第1役物及び前記第2役物を、前記第1役物が第1位置に位置した状態となることによって前記第1役物と前記第2役物とが接近した隣接状態と、前記第1役物が前記第1位置とは異なる第2位置に位置した状態となることによって前記第1役物と前記第2役物とが離れた離間状態と、に遷移させることが可能であ」る点に相当する。 (f)刊行物1発明の「回転装飾体ユニット3100が下降位置に到達すると、回転装飾体駆動モータ3106を回転駆動」する点は、本願発明の「離間状態において第1役物が回動」する点に相当する。 そして、刊行物1発明の構成dにより「ランプ駆動基板3031」(制御手段)は「回転装飾体駆動モータ3106」を制御しているといえる。 よって、刊行物1発明の「前記回転装飾体ユニット3100が下降位置に到達すると、回転装飾体駆動モータ3106を回転駆動させて、回転装飾体3102を回転させ、更に回転装飾体ユニット3100を下降位置から上昇位置へ移動させ」る点と、本願発明の「前記制御手段は、前記第1役物及び前記第2役物のいずれもが前記発光演出を実行する期間内に、前記隣接状態から前記離間状態に遷移させ、前記離間状態において前記第1役物が回動し、更に前記隣接状態に遷移させる演出である複合演出を実行」する点とは、「前記制御手段は、前記隣接状態から前記離間状態に遷移させ、前記離間状態において前記第1役物が回動し、更に前記隣接状態に遷移させる演出を実行」する点で共通する。 (g)刊行物1発明の「回転装飾体ユニット3100の回転装飾体3102が、センター役物2300の開口窓2316から遊技者側へ臨むように」なることは、回転装飾体3102とセンター役物2300とが一体化された構成となることを意味するから、本願発明の「第1役物及び前記第2役物により有意の形状が構成される」ことに相当する。 よって、刊行物1発明の「上昇位置の時には回転装飾体ユニット3100の回転装飾体3102が、センター役物2300の開口窓2316から遊技者側へ臨むようになっている」点は、本願発明の「前記隣接状態においては、前記第1役物及び前記第2役物により有意の形状が構成される」点に相当する。 また、刊行物1発明の「パチンコ機1」は、本願発明の「遊技機」に相当する。 したがって、本願発明と刊行物1発明とは、 「A 第1役物及び第2役物と、 B’ 少なくとも前記第1の役物に1つ以上配置される複数の発光素子と、 C 前記第1役物及び前記第2役物のうち少なくとも一方を移動させる移動機構と、 D 前記複数の発光素子を発光させることによる発光演出と、前記移動機構の制御と、を実行する制御手段と、 を備え、 E 前記制御手段は、前記移動機構を制御することにより、前記第1役物及び前記第2役物を、前記第1役物が第1位置に位置した状態となることによって前記第1役物と前記第2役物とが接近した隣接状態と、前記第1役物が前記第1位置とは異なる第2位置に位置した状態となることによって前記第1役物と前記第2役物とが離れた離間状態と、に遷移させることが可能であり、 F’ また前記制御手段は、前記隣接状態から前記離間状態に遷移させ、前記離間状態において前記第1役物が回動し、更に前記隣接状態に遷移させる演出を実行し、 G 前記隣接状態においては、前記第1役物及び前記第2役物により有意の形状が構成される遊技機。」 である点で一致し、以下の点で相違する。 [相違点1] 複数の発光素子に関して、本願発明は、第1役物及び第2役物に配置されるのに対し、刊行物1発明は、第1役物に配置されるものの、第2役物には配置されていない点。(構成B) [相違点2] 演出に関して、本願発明は、第1役物及び第2役物のいずれもが発光演出を実行する期間内に実行する複合演出であるのに対しして、刊行物1発明は、そのように特定されていない点。(構成F) 5 判断 ア 上記相違点1、2について検討する。 遊技機の技術分野において、複数の役物を備えた遊技機において、複数の役物に発光素子を配置し、いずれの役物も発光演出を実行する期間内に隣接、離間状態となるように動作する演出を行うことは、周知の技術である。 (例えば、特開2012-175993号公報の第1アーム側役物本体部176R及び第1ステージ側役物本体部176Fのそれぞれに第1昇降発光体177を実装し(段落【0051】、図21)、第1アーム側役物本体部176R及び第1ステージ側役物本体部176Fを構成する第1昇降ユニット171の昇降動作に応じて、全ての第1昇降発光体177を発光させる点(段落【0050】、【0051】、【0089】、【0090】、図21、図36)、特開2011-110376号公報のギミック完成体21の分割電飾片22、23は、それぞれ、前部LED40と後部LED45を備え、分割電飾片22、23の回動に応じて前部LED40又は後部LED45を発光させる点(段落【0012】、【0013】、【0018】、図6)を参照のこと。) そして、本願発明と上記周知の技術とは、共に複数の役物を備えた遊技機であるとともに、複数の役物が隣接、離間状態となるように動作する点で共通するものである。 よって、上記周知の技術を勘案すれば、刊行物1発明において、第1役物(回転装飾体ユニット3100)及び第2役物(センター役物2300)のそれぞれに複数の発光素子を配置するとともに、それらの役物のいずれもが発光演出を実行する期間内に第1役物及び第2役物を隣接状態や離間状態に遷移させる複合演出を実行するように構成し、もって上記相違点1、2に係る本願発明の構成とすることは、当業者であれば容易になし得たことである。 イ 本願発明が奏する効果について 上記相違点1、2によって本願発明が奏する効果は、当業者が刊行物1発明及び周知の技術から予測し得る程度のものであって、格別のものではない。 ウ 請求人の主張 請求人は、平成30年4月17日付け意見書において、「また刊行物1では、上記(a)~(c)にて説明したような「一体感と独立感とを1つの演出で与える」という目的については着目していません。また[0597]~[0598]から明らかなように、刊行物1の発明は、回転装飾体ユニット3100を目立たせることを目的としており、他のユニットとの組み合わせにより演出を行うことの示唆はありません。このような刊行物1に基づいて、複数の役物が発光しつつ駆動するという周知技術を考慮しても、演出効果という点で全く注目されていないセンター役物2300に発光素子を設け、さらにその上で、回転装飾体ユニット3100が下降して回転演出を行い上昇するまでの間、センター役物2300が発光を継続するという構成に想到することが容易であるとは言えません。 つまり、本願発明の課題に着目していない刊行物1の発明に、単に複数の役物が発光しつつ駆動するという周知技術を組み合わせる動機付けはありません。また仮に組み合わせたとしても、上記構成[3]のように、第1役物及び第2役物の両方が発光したまま複合演出を行うという、いずれの刊行物にも記載されていない本願の特徴的な構成に想到することが容易であるとは言えません。」と主張する(第2頁第41行~第3頁第4行)。 しかしながら、刊行物1においてセンター役物の演出効果について注目されていないとしても、上記アで述べたとおり、刊行物1発明と周知の技術とは、共に複数の役物を備えた遊技機であるとともに、それらの役物が隣接、離間状態となるように動作する点で共通するものであるから、刊行物1発明に周知の技術を適用する動機付けを有しているといえる。 さらに言えば、遊技機の分野において、演出効果の向上のため遊技機のセンター役物を発光させることは技術常識であるから(必要であれば、特開2011-240200号公報の段落【0014】のセンター役物8に複数のライン発光部11を設けた点、特開2013-75123号公報の段落【0005】のセンター役物に多数の発光ダイオード等の電飾部材が設けられている点、特開2014-168667号公報の段落【0142】のセンター役物247に発光文字装飾体271を設けた点を参照のこと。)、刊行物1発明の「回転装飾体ユニット3100」及び「センター役物2300」を複数の役物と捉えて、当該刊行物1発明に複数の役物が発光しつつ駆動するという周知の技術を適用することを妨げる特別な事情は見当たらない。 したがって、刊行物1発明に周知の技術を適用し、第1役物(回転装飾体ユニット3100)及び第2役物(センター役物2300)の両方が発光したまま、第1役物(回転装飾体ユニット3100)が離間状態において回動し、更に隣接状態となる複合演出を行うように構成することは当業者が容易になし得たことである。 よって、請求人の主張は採用できない。 6 むすび 以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、本願は、拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2017-011011

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