特許拒絶査定不服審判
2017-010536
遊技機
- 審判番号
- 2017-010536
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2015-004225外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2017年07月14日
- 審決日
- 2018年06月19日
- 公報発行日
- 2018年09月28日
- 結論
- 請求不成立
- 分類
- P18 .121-WZ (A63F) / P18 .575-WZ (A63F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第17条の2第6項、特許法第17条の2第5項第2号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2015-4225号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成28年7月21日出願公開、特開2016-129559号〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、平成27年1月13日の出願であって、平成28年12月6日付けで拒絶の理由が通知され、平成29年2月10日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、平成29年4月13日付け(発送日:平成29年4月18日)で拒絶査定がなされ、それに対して、平成29年7月14日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされ、前置審査において平成29年8月30日付けで最後の拒絶の理由が通知され、平成29年11月2日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。
第2 平成29年11月2日付け手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成29年11月2日付け手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1.本件補正について
本件補正は、特許請求の範囲の補正を含んでおり、本件補正により、審判請求時に提出された平成29年7月14日付けの手続補正書における特許請求の範囲の請求項1の記載
「【請求項1】
可変表示を行い表示結果を導出表示する可変表示手段を備え、該可変表示手段に導出表示された表示結果にもとづいて、遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機であって、
遊技者が操作可能な操作手段と、
遊技者の操作を促す促進画像を表示させる促進画像表示制御手段と、
前記有利状態に制御するか否かと、前記有利状態の種別を決定する決定手段と、
前記決定手段により第1有利状態に決定された場合には、前記有利状態として前記第1有利状態に制御した後に前記有利状態に制御される確率が向上する高確率状態に制御可能であり、前記決定手段により第2有利状態に決定された場合には、前記有利状態として遊技者が獲得可能な遊技価値の大きさが前記第1有利状態とは異なる前記第2有利状態に制御した後に前記高確率状態に制御可能であり、前記決定手段により第3有利状態に決定された場合には、前記有利状態として遊技者が獲得可能な遊技価値の大きさが前記第2有利状態と同等である前記第3有利状態に制御した後に前記有利状態に制御される確率が向上しない低確率状態に制御する遊技状態制御手段と、
前記決定手段により前記第1有利状態に決定された場合に特定演出を実行するとともに、前記決定手段により前記第2有利状態に決定された場合と前記第3有利状態に決定された場合とにおいて共通の演出を実行する演出実行手段とを備え、
前記促進画像表示制御手段は、所定の事前画像を経て前記促進画像を表示させ、
前記可変表示手段には、前記有利状態の種別に応じた表示結果が導出表示され、
前記可変表示手段に導出表示される前記第1有利状態に対応する表示結果の数は、前記可変表示手段に導出表示される前記第2有利状態に対応する表示結果の数、および前記可変表示手段に導出表示される前記第3有利状態に対応する表示結果の数よりも少なく、
前記促進画像表示制御手段は、遊技者の操作の検出を有効とする有効期間が開始されるより前に、前記操作手段を模した前記所定の事前画像を、前記促進画像よりも薄く表示させ、
前記可変表示手段は、複数の発光部材が組み合わされて構成されており、
前記決定手段により前記第2有利状態に決定された場合と、前記決定手段により前記第3有利状態に決定された場合とで、前記複数の発光部材のうち少なくとも一部の発光部材が共通の発光態様にて発光される
ことを特徴とする遊技機。」
は、平成29年11月2日付け手続補正書における
「【請求項1】
A 可変表示を行い表示結果を導出表示する可変表示手段を備え、該可変表示手段に導出表示された表示結果にもとづいて、遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機であって、
B 遊技者が操作可能な操作手段と、
C 遊技者の操作を促す促進画像を表示させる促進画像表示制御手段と、
D 前記有利状態に制御するか否かと、前記有利状態の種別を決定する決定手段と、
E 前記決定手段により第1有利状態に決定された場合には、前記有利状態として前記第1有利状態に制御した後に前記有利状態に制御される確率が向上する高確率状態に制御可能であり、
F 前記決定手段により第2有利状態に決定された場合には、前記有利状態として遊技者が獲得可能な遊技価値の大きさが前記第1有利状態とは異なる前記第2有利状態に制御した後に前記高確率状態に制御可能であり、
G 前記決定手段により第3有利状態に決定された場合には、前記有利状態として遊技者が獲得可能な遊技価値の大きさが前記第2有利状態と同等である前記第3有利状態に制御した後に前記有利状態に制御される確率が向上しない低確率状態に制御する遊技状態制御手段と、
H 前記決定手段により前記第1有利状態に決定された場合に特定演出を実行するとともに、
I 前記決定手段により前記第2有利状態に決定された場合と前記第3有利状態に決定された場合とにおいて共通の演出を実行する演出実行手段とを備え、
J 前記促進画像表示制御手段は、所定の事前画像を経て前記促進画像を表示させ、
K 前記可変表示手段には、前記有利状態の種別に応じた表示結果が導出表示され、
L 前記可変表示手段に導出表示される前記第1有利状態に対応する表示結果の数は、前記可変表示手段に導出表示される前記第2有利状態に対応する表示結果の数、および前記可変表示手段に導出表示される前記第3有利状態に対応する表示結果の数よりも少なく、
M 前記促進画像表示制御手段は、遊技者の操作の検出を有効とする有効期間が開始されるより前に、前記操作手段を模した前記所定の事前画像を、前記促進画像よりも薄く表示させた後に徐々に濃くなるよう変化させ、
N 前記可変表示手段は、複数の発光部材が組み合わされて構成されており、
O 前記決定手段により前記第2有利状態に決定された場合と、前記決定手段により前記第3有利状態に決定された場合とで、前記複数の発光部材のうち少なくとも一部の発光部材が共通の発光態様にて発光され、
P 前記決定手段により前記第2有利状態に決定された場合に発光される発光部材の組み合わせである第1パターンおよび第2パターンと、前記決定手段により前記第3有利状態に決定された場合に発光される発光部材の組み合わせである第3パターンおよび第4パターンとのうち、前記第1パターンおよび前記第3パターンにて発光態様が共通しない発光部材と、前記第2パターンおよび前記第4パターンにて発光態様が共通しない発光部材とが同じ発光部材である
Q ことを特徴とする遊技機。」
に補正された(下線は、補正箇所を明示するために当審にて付した。また、A~Qは分説のため当審にて付与した。以下「構成A」などという。)。
2.補正の適否
(1)本件補正
本件補正は、特許請求の範囲について、以下に挙げる補正事項を含むものである。
ア 本件補正前の請求項1に記載された発明特定事項である、促進画像表示制御手段が、遊技者の操作の検出を有効とする有効期間が開始されるより前に、前記操作手段を模した前記所定の事前画像を表示する際の表示形態に関し、本件補正前においては単に「促進画像よりも薄く表示」と特定していたものを、「促進画像よりも薄く表示させた後に徐々に濃くなるよう変化させ」ると変更する補正。(以下「補正事項ア」という。)
イ 本件補正前の請求項1に記載された発明特定事項である、第2有利状態に決定された場合と第3有利状態に決定された場合とにおける複数の発光部材の発光態様について、本件補正前においては単に上記構成Oに係る「複数の発光部材のうち少なくとも一部の発光部材が共通の発光態様にて発光」する点のみ特定していたものに加え、上記構成Pに係る、前記両場合において共通しない発光部材の関係についてもさらに限定するとともに、これに伴って前記構成Oの末尾の平仄を整える補正。(以下「補正事項イ」という。)
(2)補正の適否について
上記補正事項アは、上記本件補正前の請求項1に記載された発明特定事項である「表示形態」について特定事項を追加するものであるから、当該「表示形態」について限定するものである。
また、上記補正事項イは、上記本件補正前の請求項1に記載された発明特定事項である「発光態様」について、特定事項を追加するものであるから、当該「発光態様」について限定するものである。
そして、上記補正事項アについては願書に最初に添付した明細書(以下「当初明細書」という。)の【0317】に、上記補正事項イについては当初明細書の【0152】及び図11に、それぞれ根拠となる記載があるから、当該各限定は、当初明細書及び図面に記載された事項の範囲内においてしたものである。
また、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1に記載された発明と本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一である。
よって、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当し、新規事項を追加するものでもない。
そこで、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に係る発明は、その請求項1に記載された事項により特定されるものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下「本件補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について以下に検討する。
3.本件補正発明の独立特許要件についての検討
(1)本件補正発明について
本件補正発明は、平成29年11月2日付け手続補正書における請求項1の記載として上記1.に示したとおりのものである。
(2)刊行物1に記載された発明
本願の出願日前に頒布され、上記前置審査における最後の拒絶理由通知で引用された刊行物である特開2013-102873号公報(以下「刊行物1」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている(下線は当審にて付した。以下同じ。)。
ア 刊行物1の明細書には次の事項が記載されている。
「【0016】
[第1の実施形態] 以下、本発明をパチンコ遊技機に具体化した第1の実施形態について図1~図26を参照して説明する。
・・・
【0018】
また、演出表示装置11の左下には、複数個(本実施形態では7個)の第1特図発光部を有する第1特別図柄表示装置12aが、第1特別図柄表示装置12aの右下には、複数個(本実施形態では7個)の第2特図発光部を有する第2特別図柄表示装置12bが、それぞれ配設されている。第1特別図柄表示装置12a又は第2特別図柄表示装置12bでは、特別図柄(以下、「特図」と示す)を変動させて表示する変動ゲームが行われる。特図は、大当りか否かの内部抽選(大当り抽選)の結果、小当りか否かの内部抽選(小当り抽選)の結果を示す報知用の図柄である。本実施形態において、変動ゲームは、各表示装置12a,12bにおいて、特図の変動表示が開始されてから確定停止表示される迄を1回として実行される。以下、第1特別図柄表示装置12aで行われる変動ゲームを「第1変動ゲーム(第1図柄変動ゲーム)」と示すことがあり、第2特別図柄表示装置12bで行われる変動ゲームを「第2変動ゲーム(第2図柄変動ゲーム)」と示すことがある。
【0019】
本実施形態において各表示装置12a,12bには、複数種類(本実施形態では、105種類)の特図の中から、大当り抽選の抽選結果又は小当り抽選の抽選結果に対応する1つの特図が選択され、その選択された特図が変動ゲームの終了によって個別に確定停止表示される。105種類の特図は、大当りを認識し得る図柄となる100種類の大当り図柄(大当り表示結果)と、小当りを認識し得る図柄となる4種類の小当り図柄(小当り表示結果)と、はずれを認識し得る図柄となる1種類のはずれ図柄(はずれ表示結果)とに分類される。また、大当り図柄が確定停止表示された場合、遊技者には、大当り遊技が付与される。また、小当り図柄が確定停止表示された場合、遊技者には、小当り遊技が付与される。
【0020】
また、本実施形態において演出表示装置11には、複数の図柄列毎に[1]~[7]の7種類の数字が飾図として表示されるようになっている。そして、本実施形態において演出表示装置11は、各表示装置12a,12bに比較して大きい表示領域で構成されるとともに、飾図は特図に比較して遥かに大きく表示されるようになっている。このため、遊技者は、演出表示装置11に確定停止表示された図柄から当り(大当り及び小当り)又ははずれを認識し得る。
【0021】
そして、演出表示装置11には、各表示装置12a,12bの表示結果に応じた表示結果が表示される。具体的に言えば、第1特別図柄表示装置12a又は第2特別図柄表示装置12bに大当り図柄(大当り表示結果)が確定停止表示される場合には、原則として、演出表示装置11にも大当り図柄(大当り表示結果)が確定停止表示される。本実施形態において、飾図による大当り図柄としては、全列の図柄が同一図柄となる図柄組み合わせである(例えば、[222][777]など)。」
「【0040】
また、パチンコ遊技機の遊技盤10の下方には、遊技者により操作可能な演出ボタン70が配設されている。演出用操作手段としての演出ボタン70は、押しボタン式であり、操作されると、演出ボタン70に接続されている統括制御基板31(図5に示す)に操作信号が出力される。
【0041】
次に、本実施形態のパチンコ遊技機に規定する大当り遊技について図2を参照して以下に説明する。
本実施形態のパチンコ遊技機では、大当り抽選に当選した場合、図2に示す10種類の大当りの中から1つの大当りが決定され、その決定された大当りに対応する大当り遊技が付与されるようになっている。そして、10種類の大当りのうち、何れの大当りが付与されるかは、大当り抽選に当選した場合に決定する特図(大当り図柄)に応じて決定されるようになっている。本実施形態において各表示装置12a,12bに確定停止表示される100種類の特図の大当り図柄は、図2に示すように、特図毎に分類される。なお、図中においては、第1特別図柄表示装置12aに確定停止表示される図柄を「特図1」、第2特別図柄表示装置12bに確定停止表示される図柄を「特図2」と示す。
【0042】
そして、第1特別図柄表示装置12aに確定停止表示される大当り図柄のうち、図柄Aには10種類の大当り図柄が振分けられている。また、図柄Bには10種類の大当り図柄が、図柄Cには2種類の大当り図柄が、図柄Dには4種類の大当り図柄が、図柄Eには14種類の大当り図柄が、図柄Fには13種類の大当り図柄が、図柄Gには12種類の大当り図柄が、それぞれ振分けられている。また、図柄Hには2種類の大当り図柄が、図柄Iには11種類の大当り図柄が、図柄Jには22種類の大当り図柄が、それぞれ振分けられている。また、図2に示す図柄Kには、小当り遊技に対応する4種類の特図(小当り図柄)が振分けられている。」
「【0052】
また、15R確変大当り、実質10R確変大当り、特別10R確変大当り、第1~第3の10R確変大当り、又は短縮10R確変大当りに当選した場合、大当り遊技の終了後には、大当り抽選の当選時における遊技状態を問わず、次回の大当り遊技が付与されるまで(「次回まで」と示す)確変状態が付与されるようになっている。その一方で、第1~第3の10R非確変大当りに当選した場合、大当り遊技の終了後には、大当り抽選の当選時における遊技状態を問わず、確変状態が付与されないようになっている。」
「【0095】
次に、パチンコ遊技機の制御構成について図5を参照して説明する。
本実施形態のパチンコ遊技機の機裏側には、パチンコ遊技機全体を制御する主制御基板30が配設されている。主制御手段としての主制御基板30は、パチンコ遊技機全体を制御するための各種処理を実行するとともに、該処理結果に応じた各種の制御信号(制御コマンド)を出力する。また、機裏側には、統括制御基板31と表示制御基板32とが配設されている。演出制御手段としての統括制御基板31は、主制御基板30が出力した制御信号(制御コマンド)に基づいて、表示制御基板32を制御する。演出制御手段としての表示制御基板32は、主制御基板30と統括制御基板31が出力した制御信号(制御コマンド)に基づいて、演出表示装置11の表示態様(図柄、各種背景画像、文字、キャラクタなどの表示画像など)を制御する。」
「【0097】
主制御基板30には、制御動作を所定の手順で実行する主制御用CPU30aと、主制御用CPU30aのメイン制御プログラムを格納する主制御用ROM30bと、必要なデータの書き込み及び読み出しができる主制御用RAM30cが設けられている。そして、主制御用CPU30aには、各種スイッチSW1~SW4が遊技球を検知して出力する検知信号を入力可能に接続されている。また、主制御用CPU30aには、第1特別図柄表示装置12a、第2特別図柄表示装置12b、第1特別図柄保留表示装置13a、第2特別図柄保留表示装置13b、普通図柄表示装置20、ラウンド表示装置21、普通電動役物ソレノイドSOL1、及び大入賞口ソレノイドSOL2が接続されている。」
「【0122】
この大当り判定の判定結果が肯定の場合、主制御用CPU30aは、大当りとなる変動ゲームであることを示す大当りフラグに「1」を設定し、大当りとなる変動ゲームを実行させるための第1大当り時変動処理を実行する。第1大当り時変動処理において主制御用CPU30aは、第1保留記憶数に対応付けられた特図振分乱数の値を主制御用RAM30cから読み出し、該特図振分乱数の値に基づいて、第1特別図柄表示装置12aに確定停止表示させる特図(最終停止図柄)として大当り図柄を決定する。続いて、主制御用CPU30aは、決定した大当り図柄から大当り遊技の種類を特定し、確変フラグ及び作動フラグから値を読み出し、該値に基づいて、その大当り遊技の種類に対応する変動パターンを決定する。具体的には、主制御用CPU30aは、大当り遊技の種類が15R大当り遊技、実質10R大当り遊技、又は10R大当り遊技であると特定した場合、大当り変動用の変動パターンの中から何れかを選択し、決定する。その一方で、主制御用CPU30aは、短縮10R大当り遊技であると特定した場合、確変示唆変動用の変動パターンの中から何れかを選択し、決定する。また、主制御用CPU30aは、以下の各種変動処理においても同じように、特殊条件(第1特殊条件、第2特殊条件)が成立したか否かに基づいても、変動パターンを決定する。その後、主制御用CPU30aは、特別図柄開始処理を終了する。」
「【0136】
また、主制御用CPU30aは、確変フラグ、作動フラグ、又は作動回数の制御により、確変状態、変短状態に関する遊技状態の制御を行うこととなる。
具体的には、主制御用CPU30aは、大当り遊技の種類に拘わらず、大当り遊技の開始時に、確変フラグ、作動フラグ、及び作動回数をクリアする(「0」を設定する)。この作動回数は、変短状態が付与された回数を計数するためのカウンタである。」
「【0167】
ここで、飾図決定テーブルについて図11を参照して以下に説明する。
この飾図決定テーブルは、15R確変大当り、実質10R確変大当り、及び10R大当りのうち何れかに当選するときに参照され、確定停止表示させる飾図を決定するためのテーブルであり、統括制御用ROM31bに記憶されている。飾図決定テーブルには、図11に示すように、大当りの種類と、変動パターンと、飾図と、飾図を決定するための乱数とが対応付けられている。
【0168】
大当りの種類は、主制御基板30からの特図指定コマンドにより特定可能である。この大当りの種類としては、15R確変大当り(図柄A)と、実質10R確変大当り(図柄B)と、に分類される。更に、大当りの種類としては、特別10R確変大当り(図柄C)、及び第1の10R確変大当り(図柄D)と、第2の10R確変大当り(図柄E)、及び第3の10R確変大当り(図柄F)と、第1の10R非確変大当り(図柄H)、第2の10R非確変大当り(図柄I)、及び第3の10R非確変大当り(図柄J)と、に分類される。
【0169】
また、変動パターンとしては、主制御基板30からの変動パターン指定コマンドにより特定可能であり、非変短状態における変動パターンP14と、変短状態における変動パターンP24,P34と、変短状態における変動パターンP44と、に分類される場合と、変動パターンを問わない場合とがある。
【0170】
飾図としては、大当り図柄としての[111][222][333][444][555][666][777]から構成されている。なお、以下、大当り図柄を左列の飾図のみで示す。」
イ 刊行物1の図面には以下の事項が記載されている。
(ア)上記【0168】の記載を参酌すると、大当り時の飾図決定テーブルに関する図11からは、15R確変大当りに対応する図柄Aに対し飾図「3」と「7」のいずれかが、第2・第3の10R確変大当りに対応する図柄E、Fに対しては飾図「1」、「2」、「4」、「5」、「6」のいずれかが、第1~第3の10R非確変大当りに対応する図柄H~Jに対しては飾図「1」、「2」、「4」、「5」、「6」のいずれかが、それぞれ割り当てられることを読み取ることができる。
ウ 上記アの各記載事項及び上記イで認定した図面の記載事項から、以下の事項が導かれる。
(ア)上記【0018】には「複数個(本実施形態では7個)の第1特図発光部を有する第1特別図柄表示装置12aが・・・配設されている。第1特別図柄表示装置12a・・・では、特別図柄(以下、「特図」と示す)を変動させて表示する変動ゲームが行われる。」と記載され、【0019】には「各表示装置12a・・・には、複数種類(本実施形態では、105種類)の特図の中から、大当り抽選の抽選結果又は小当り抽選の抽選結果に対応する1つの特図が選択され、その選択された特図が変動ゲームの終了によって個別に確定停止表示される。・・・大当り図柄が確定停止表示された場合、遊技者には、大当り遊技が付与される。」と記載されている。
また、上記【0016】には、前記【0018】~【0019】の記載が「パチンコ遊技機に具体化した第1の実施形態」についてのものであることが記載されている。
よって、刊行物1には、以下のa.、b.の事項が記載されているといえる。
a.「複数個(本実施形態では7個)の第1特図発光部を有する第1特別図柄表示装置12aが配設され、該表示装置12aに大当り図柄が確定停止表示された場合、遊技者には、大当り遊技が付与される、パチンコ遊技機」
b.「第1特別図柄表示装置12aが、複数個(本実施形態では7個)の第1特図発光部からな」ること。
(イ)上記【0040】には、「パチンコ遊技機の遊技盤10の下方には、遊技者により操作可能な演出ボタン70が配設されている。」との記載がある。
よって、刊行物1には、パチンコ遊技機は「遊技者により操作可能な演出ボタン70」を備えることが記載されているといえる。
(ウ)上記【0122】には「主制御用CPU30aは、・・・第1特別図柄表示装置12aに確定停止表示させる特図(最終停止図柄)として大当り図柄を決定する。続いて、主制御用CPU30aは、決定した大当り図柄から大当り遊技の種類を特定し」と記載されている。
よって、刊行物1には「第1特別図柄表示装置12aに確定停止表示させる特図(最終停止図柄)として大当り図柄を決定し、決定した大当り図柄から大当り遊技の種類を特定する、主制御用CPU30a」が記載されているといえる。
(エ)a.上記【0168】には「大当りの種類は、主制御基板30からの特図指定コマンドにより特定可能である。この大当りの種類としては、15R確変大当り(図柄A)・・・に分類される。更に、大当りの種類としては、・・・第2の10R確変大当り(図柄E)、及び第3の10R確変大当り(図柄F)と、・・・第2の10R非確変大当り(図柄I)、及び第3の10R非確変大当り(図柄J)と、に分類される。」と記載されている。
b.上記【0052】には「15R確変大当り、・・・第1~第3の10R確変大当り・・・に当選した場合、大当り遊技の終了後には、大当り抽選の当選時における遊技状態を問わず、次回の大当り遊技が付与されるまで(「次回まで」と示す)確変状態が付与されるようになっている。・・・第1~第3の10R非確変大当りに当選した場合、大当り遊技の終了後には、・・・確変状態が付与されないようになっている。」と記載されている。
c.上記【0097】には「主制御基板30には、制御動作を所定の手順で実行する主制御用CPU30a・・・が設けられている。」と記載されている。
d.上記【0136】には「主制御用CPU30aは・・・確変状態・・・の制御を行う」との記載があることから、前記b.において「確変状態が付与」された場合には、主制御用CPU30aによって確変状態に制御されることが可能であるといえる。また、逆に、「確変状態が付与」されていない場合には確変状態に制御されないことは明らかであるといえる。
e.よって、刊行物1には、以下の(a)~(c)の各事項が記載されているといえる。
(a)「主制御基板30の主制御用CPU30aからの特図指定コマンドにより15R確変大当りが特定された場合には、15R確変大当りの大当り遊技の終了後に確変状態が付与され、次回の大当り遊技が付与されるまで確変状態に制御可能であ」る、主制御用CPU30a
(b)「主制御基板30の主制御用CPU30aからの特図指定コマンドにより第2・第3の10R確変大当りが特定された場合には、第2・第3の10R確変大当りの大当り遊技の終了後に確変状態が付与され、次回の大当り遊技が付与されるまで確変状態に制御可能であ」る、主制御用CPU30a
(c)「主制御基板30の主制御用CPU30aからの特図指定コマンドにより第2・第3の10R非確変大当りが特定された場合には、第2・第3の10R非確変大当りの大当り遊技の終了後に確変状態が付与されず、確変状態に制御しない、主制御用CPU30a」
(オ)a.上記イ(ア)で認定したとおり、大当り時の飾図決定テーブルを示す図11からは「15R確変大当りに対応する図柄Aに対し飾図「3」と「7」のいずれかが、第2・第3の10R確変大当りに対応する図柄E、Fに対しては飾図「1」、「2」、「4」、「5」、「6」のいずれかが、第1~第3の10R非確変大当りに対応する図柄H~Jに対しては飾図「1」、「2」、「4」、「5」、「6」のいずれかが、それぞれ割り当てられること」を看取できる。
b.ここで、上記【0020】には「演出表示装置11には、複数の図柄列毎に[1]~[7]の7種類の数字が飾図として表示される」と記載され、上記【0021】には「第1特別図柄表示装置12a・・・に大当り図柄(大当り表示結果)が確定停止表示される場合には、原則として、演出表示装置11にも大当り図柄(大当り表示結果)が確定停止表示される。本実施形態において、飾図による大当り図柄としては、全列の図柄が同一図柄となる図柄組み合わせである(例えば、[222][777]など)。」と記載されていることと、【0167】に「飾図としては、大当り図柄としての[111][222][333][444][555][666][777]から構成されている。なお、以下、大当り図柄を左列の飾図のみで示す。」と記載されていることとを合わせ読むと、前記図11の「飾図」欄の「1」~「7」はそれぞれ、大当り図柄として演出表示装置11に表示される[111][222][333][444][555][666][777]を左列の飾図のみで示したものであるといえる。
c.よって、前記b.の認定事項をふまえれば、前記a.に示した図11からの看取事項は、「15R確変大当りに対応する図柄Aに対し飾図[333]と[777]なる大当り図柄のいずれかが、第2・第3の10R確変大当りに対応する図柄E、Fに対しては飾図[111]、[222]、[444]、[555]及び[666]なる大当り図柄のいずれかが、第1~第3の10R非確変大当りに対応する図柄H~Jに対しても飾図[111]、[222]、[444]、[555]及び[666]なる大当り図柄のいずれかが、それぞれ割り当てられること」と読み替えることができる。
d.上記【0167】には「飾図決定テーブルは、15R確変大当り、実質10R確変大当り、及び10R大当りのうち何れかに当選するときに参照され、確定停止表示させる飾図を決定するためのテーブルであり」と記載されており、大当りの種類を決定するのが「主制御用CPU30a」であることは上記(ウ)で認定したとおりである。
e.上記【0095】には「演出制御手段としての表示制御基板32は、主制御基板30と統括制御基板31が出力した制御信号(制御コマンド)に基づいて、演出表示装置11の表示態様を制御する」と記載されていることから、前記b.における、大当り図柄を演出表示装置11に表示する処理は該演出制御手段が担っているといえる。
f.以上a.~e.より、刊行物1には、以下の(a)、(b)の事項が記載されているといえる。
(a)「15R確変大当りの場合には、演出表示装置11に飾図[333]と[777]の何れかの大当り図柄を確定停止表示する」演出制御手段
(b)「第2・第3の10R確変大当りの場合と、第2・第3の10R非確変大当りとの場合には、演出表示装置11に飾図[111]、[222]、[444]、[555]及び[666]のいずれかの大当り図柄を確定停止表示する演出制御手段」
(カ)a.上記【0041】~【0042】には、以下の各記載がある。
(a)「10種類の大当りのうち、何れの大当りが付与されるかは、大当り抽選に当選した場合に決定する特図(大当り図柄)に応じて決定される」
(b)「表示装置12a・・・に確定停止表示される100種類の特図の大当り図柄は、図2に示すように、特図毎に分類される」
(c)「図中においては、第1特別図柄表示装置12aに確定停止表示される図柄を「特図1」・・・と示す」
(d)「第1特別図柄表示装置12aに確定停止表示される大当り図柄のうち、図柄Aには10種類の大当り図柄が振分けられている」
(e)「図柄Eには14種類の大当り図柄が、図柄Fには13種類の大当り図柄が・・・それぞれ振分けられている」
(f)「図柄Iには11種類の大当り図柄が、図柄Jには22種類の大当り図柄が、それぞれ振分けられている」
b.前記a.の各記載事項から、刊行物1には以下の(a)、(b)の事項が記載されているといえる。
(a)「第1特別図柄表示装置12aには、何れの大当りが付与されるかを決定づける特図1の種類毎に分類された、大当り図柄が確定停止表示され」ること((カ)a.(a)~(c))
(b)「第1特別図柄表示装置12aに確定停止表示される大当り図柄のうち、15R確変大当りに対応する図柄Aには10種類の大当り図柄が振分けられ、第2の10R確変大当りに対応する図柄Eには14種類の、第3の10R確変大当りに対応する図柄Fに対しては13種類の大当り図柄が振分けられ、第2の10R非確変大当りに対応する図柄Iには11種類の、第3の10R非確変大当りに対応する図柄Jには22種類の大当り図柄が振り分けられる」こと((オ)a.、(カ)a.(d)~(f))
(キ)上記認定事項(カ)b.(b)によれば、第1特別図柄表示装置12aには、図柄ごとに複数種類の大当り図柄が振分けられ、そのうち第2の10R確変大当りに対応する図柄Eには14種類の、第3の10R確変大当りに対応する図柄Fに対しては13種類の、第2の10R非確変大当りに対応する図柄Iには11種類の、第3の10R非確変大当りに対応する図柄Jには22種類の大当り図柄がそれぞれ振分けられている。このことと、上記認定事項(ア)b.の「第1特別図柄表示装置12aが、複数個(本実施形態では7個)の第1特図発光部からな」ること、及び、複数の発光部からなる特別図柄表示装置においては、異なる大当り図柄ごとに異なった発光態様で発光部が発光することが技術常識であることから、刊行物1には「第2・第3の10R確変大当りの場合と、第2・第3の10R非確変大当りの場合とで、前記第1特別図柄表示装置12aの複数個の第1特図発光部は、前記各大当りに対応する複数の大当り図柄ごとに異なった発光態様で発光すること」及び、「第2・第3の10R確変大当りの場合には複数種類の、第2・第3の10R非確変大当りの場合にも複数種類の大当り図柄が振り分けられ、前記第1特別図柄表示装置12aの複数個の第1特図発光部は、前記各大当り図柄ごとに異なった発光態様で発光すること」が記載されているといえる。
エ 上記アの各記載事項、上記イ・ウの認定事項から、刊行物1には次の発明(以下「刊行物1発明」という。)が記載されていると認められる(a~qは、本件補正発明のA~Qに対応させて付与した。)。
「a 複数個(本実施形態では7個)の第1特図発光部を有する第1特別図柄表示装置12aが配設され、該表示装置12aに大当り図柄が確定停止表示された場合、遊技者には、大当り遊技が付与される、パチンコ遊技機であって、(ウ(ア)a.)
b 遊技者により操作可能な演出ボタン70と、(ウ(イ))
d 第1特別図柄表示装置12aに確定停止表示させる特図(最終停止図柄)として大当り図柄を決定し、決定した大当り図柄から大当り遊技の種類を特定する、主制御用CPU30aと、(ウ(ウ))
e 主制御基板30の主制御用CPU30aからの特図指定コマンドにより15R確変大当りが特定された場合には、大当り遊技の終了後に確変状態が付与され、次回の大当り遊技が付与されるまで確変状態に制御可能であり、(ウ(エ)e.(a))
f 主制御基板30の主制御用CPU30aからの特図指定コマンドにより第2・第3の10R確変大当りが特定された場合には、第2・第3の10R確変大当りの大当り遊技の終了後に確変状態が付与され、次回の大当り遊技が付与されるまで確変状態に制御可能であり、(ウ(エ)e.(b))
g 主制御基板30の主制御用CPU30aからの特図指定コマンドにより第2・第3の10R非確変大当りが特定された場合には、第2・第3の10R非確変大当りの大当り遊技の終了後に確変状態が付与されず、確変状態に制御しない、主制御用CPU30aと、(ウ(エ)e.(c))
h 15R確変大当りの場合には、演出表示装置11に飾図[333]と[777]の何れかの大当り図柄を確定停止表示するとともに、(ウ(オ)f.(a))
i 第2・第3の10R確変大当りの場合と、第2・第3の10R非確変大当りとの場合には、演出表示装置11に飾図[111]、[222]、[444]、[555]及び[666]のいずれかの大当り図柄を確定停止表示する、演出制御手段とを備え、(ウ(オ)f.(b))
k 第1特別図柄表示装置12aには、何れの大当りが付与されるかを決定づける特図1の種類毎に分類された、大当り図柄が確定停止表示され、(ウ(カ)b.(a))
l 第1特別図柄表示装置12aに確定停止表示される大当り図柄のうち、15R確変大当りに対応する図柄Aには10種類の大当り図柄が振分けられ、第2の10R確変大当りに対応する図柄Eには14種類の、第3の10R確変大当りに対応する図柄Fに対しては13種類の大当り図柄が振分けられ、第2の10R非確変大当りに対応する図柄Iには11種類の、第3の10R非確変大当りに対応する図柄Jには22種類の大当り図柄が振り分けられ、(ウ(カ)b.(b))
n 第1特別図柄表示装置12aが、複数個(本実施形態では7個)の第1特図発光部からなり、(ウ(ア)b.)
o 第2・第3の10R確変大当りの場合と、第2・第3の10R非確変大当りの場合とで、前記第1特別図柄表示装置12aの複数個の第1特図発光部は、前記各大当りに対応する複数の大当り図柄ごとに異なった発光態様で発光し、(ウ(キ))
p 第2・第3の10R確変大当りの場合には複数種類の、第2・第3の10R非確変大当りの場合にも複数種類の大当り図柄が振り分けられ、前記第1特別図柄表示装置12aの複数個の第1特図発光部は、前記各大当り図柄ごとに異なった発光態様で発光する、(ウ(キ))
q パチンコ遊技機。(ウ(ア)a.)」
(3)刊行物2に記載された技術事項
本願の出願日前に頒布され、上記前置審査における最後の拒絶理由通知で引用された刊行物である特開2013-248040号公報(以下「刊行物2」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている(下線は当審にて付した。以下同じ。)。
ア 刊行物2の明細書には次の事項が記載されている。
「【0052】
図3に示すように、本実施形態のパチンコ遊技機10では、大当り抽選に当選した場合、3種類の大当りの中から1つの大当りが決定される。そして、決定された大当りの種類に対応付けられた開放態様で大入賞口23が開放制御されることにより大当り遊技が付与される。それとともに、大当り遊技終了後は、決定された大当りの種類に対応付けられた制御期間を上限に、変短状態とされる。そして、3種類の大当りのうち何れの種類が決定されるかは、大当り抽選に当選した場合に決定する特図(大当り図柄)の種類に応じて決定されるようになっている。本実施形態において各特図表示装置12,13に確定停止表示される30種類の大当り図柄は、図3に示すように、特図(大当りの種類)毎に分類されている。なお、図3では、第1特図表示装置12に確定停止表示される特図を「特図1」、第2特図表示装置13に確定停止表示される特図を「特図2」と示す。
【0053】
そして、第1特図表示装置12に確定停止表示される大当り図柄のうち、図柄Aには10種類の大当り図柄が、図柄Bには12種類の大当り図柄が、図柄Cには8種類の大当り図柄が、それぞれ振り分けられている。その一方で、第2特図表示装置13に確定停止表示される大当り図柄のうち図柄aには16種類の大当り図柄が、図柄bには6種類の大当り図柄が、図柄cには8種類の大当り図柄が、それぞれ振り分けられている。
【0054】
図3に示すように、図柄Aに分類される大当り図柄が第1特図表示装置12に確定停止表示されたとき、又は図柄aに分類される大当り図柄が第2特図表示装置13に確定停止表示されたときに付与される大当り遊技は、大当り遊技の終了後が確変状態となる大当り遊技である。以下、図柄Aに分類される大当り図柄が第1特図表示装置12に確定停止表示されたとき、及び図柄aに分類される大当り図柄が第2特図表示装置13に確定停止表示されたときに付与される大当り遊技を「16R大当り」という。なお、図3には図示しないが、16R大当りでは、各ラウンド遊技における大入賞口23の開放回数として「1回」が設定され、1回のラウンド遊技の入球上限個数として「9球」が設定されている。また、16R大当りの終了後は、次の大当り遊技が付与されるまで(図3では、「次回まで」と示す)変短状態となる。
【0055】
16R大当りでは、オープニング時間として「10(秒)」が設定されている。また、16R大当りでは、全てのラウンド遊技(図3では、「1R~16R」と示す)の最大時間として「25(秒)」が設定されている。また、16R大当りでは、ラウンド間のインターバル時間(ラウンド間インターバル)として「2(秒)」が設定されている。また、16R大当りでは、エンディング時間として「10(秒)」が設定されている。因みに、各ラウンド遊技のラウンド遊技時間は、各ラウンド遊技が入球上限個数分の遊技球が入球することにより終了する場合もあることから、それぞれ最大時間となる。
【0056】
また、図柄Bに分類される大当り図柄が第1特図表示装置12に確定停止表示されたとき、又は図柄bに分類される大当り図柄が第2特図表示装置13に確定停止表示されたときに付与される大当り遊技は、大当り遊技の終了後が確変状態となる大当り遊技である。以下、図柄Bに分類される大当り図柄が第1特図表示装置12に確定停止表示されたとき、及び図柄bに分類される大当り図柄が第2特図表示装置13に確定停止表示されたときに付与される大当り遊技を「実質5R確変大当り」という。なお、図示しないが、実質5R確変大当りでは、各ラウンド遊技における大入賞口23の開放回数として「1回」が設定され、1回のラウンド遊技の入球上限個数として「9球」が設定されている。また、実質5R確変大当りの終了後は、次の大当り遊技が付与されるまで変短状態となる。
【0057】
また、図柄Cに分類される大当り図柄が第1特図表示装置12に確定停止表示されたとき、又は図柄cに分類される大当り図柄が第2特図表示装置13に確定停止表示されたときに付与される大当り遊技は、大当り遊技の終了後が非確変状態となる大当り遊技である。以下、図柄Cに分類される大当り図柄が第1特図表示装置12に確定停止表示されたとき、及び図柄cに分類される大当り図柄が第2特図表示装置13に確定停止表示されたときに付与される大当り遊技を「実質5R非確変大当り」という。なお、図示しないが、実質5R非確変大当りでは、各ラウンド遊技における大入賞口23の開放回数として「1回」が設定され、1回のラウンド遊技の入球上限個数として「9球」が設定されている。また、実質5R非確変大当りの終了後は、変短回数として設定される50回の特図変動ゲームの実行が終了するまでの間、若しくは、それまでに大当り遊技が付与されるまでの間、変短状態となる。
【0058】
実質5R確変大当り及び実質5R非確変大当りでは、オープニング時間として「10(秒)」が設定されている。また、実質5R確変大当り及び実質5R非確変大当りでは、1回目~5回目のラウンド遊技(図3では、「1R~5R」と示す)の最大時間として「25(秒)」が設定されている。また、実質5R確変大当り及び実質5R非確変大当りでは、6回目~16回目のラウンド遊技(図3では、「6R~16R」と示す)の最大時間として「0.04(秒)」が設定されている。また、実質5R確変大当り及び実質5R非確変大当りでは、ラウンド間のインターバル時間(ラウンド間インターバル)として「2(秒)」が設定されている。また、実質5R確変大当り及び実質5R非確変大当りでは、エンディング時間として「10(秒)」が設定されている。因みに、各ラウンド遊技のラウンド遊技時間は、各ラウンド遊技が入球上限個数分の遊技球が入球することにより終了する場合もあることから、それぞれ最大時間となる。
【0059】
このように、16R大当りと、実質5R確変大当りや実質5R非確変大当りでは、6回目のラウンド遊技が開始するまでの大入賞口23の開放態様は同一となっている。一方、16R大当りと、実質5R確変大当りや実質5R非確変大当りでは、6回目のラウンド遊技からの大入賞口23の開放態様が異なる。よって、大当り遊技が付与されてから少なくとも6回目のラウンド遊技が開始するまでは、大入賞口23の開放態様から3種類の大当りのうち何れの大当りが付与されたかについて特定することができない。また、実質5R確変大当りと実質5R非確変大当りでは、大当り遊技中の大入賞口23の開放態様が同一であるため、大入賞口23の開放態様から実質5R確変大当り及び実質5R非確変大当りのうち何れの大当りが付与されたかについて特定することができない。
【0060】
また、実質5R確変大当り及び実質5R非確変大当りの6回目~16回目のラウンド遊技におけるラウンド遊技時間(0.04(秒))は、1回のラウンド遊技において、大入賞口23に入球する遊技球の個数が、入球上限個数(9球)を満たさないような時間となっている。因みに、パチンコ遊技機10では、1分間あたりの遊技球の発射個数が約「100球」に設定されているので、遊技球を1球発射させるために要する時間は、「0.6(秒)」となる。すなわち、実質5R確変大当り及び実質5R非確変大当りの6回目~16回目のラウンド遊技において、ラウンド遊技時間(0.04(秒))内に、1球の遊技球でさえ入球させるのは困難である。
【0061】
よって、16R大当りと、実質5R確変大当り及び実質5R非確変大当りを比較した場合、規定ラウンド数が同じであるものの、大当り遊技中に賞球として獲得できる遊技球の個数が異なる。すなわち、本実施形態のパチンコ遊技機10において、大当り遊技中に賞球として獲得できる遊技球の個数が多い16R大当りは、実質5R確変大当りや実質5R非確変大当りよりも遊技者にとって有利度の高い大当りといえる。
【0062】
また、実質5R確変大当りと実質5R非確変大当りを比較した場合、大当り遊技中の大入賞口23の開放態様が同じである一方、大当り遊技終了後に確変状態となるか否かが異なる。すなわち、本実施形態のパチンコ遊技機10において、大当り遊技終了後が確変状態となる実質5R確変大当りは、大当り遊技終了後が非確変状態となる実質5R非確変大当りよりも遊技者にとって有利度の高い大当りといえる。」
「【0139】
図11には、各点灯パターンTP1~TP31に基づき第1特図表示装置12に特図が確定停止表示された際の特図の表示態様(点灯態様)を示している。なお、図11では、点灯している第1特図発光部12a~12hを斜線で示す。
【0140】
例えば、点灯パターンTP21に基づき第1特図表示装置12に特図が確定停止表示される場合、上左位置、上右位置、下右位置及び右上位置の第1特図発光部12c,12e,12f,12gが点灯し、その他の第1特図発光部12a,12b,12d,12hが消灯する態様(表示態様)の特図が確定停止表示される。
【0141】
また、第1特図表示装置12にはずれ図柄が確定停止表示される場合には、下段において最も第2特図表示装置13に近接する位置となる右下位置の第1特図発光部12hのみが点灯する態様の特図が確定停止表示される。」
イ 刊行物2の図面には次の事項が記載されている。
(ア)上記【0139】~【0141】の記載を参酌すると、図11からは、「第1特図表示装置12に確定停止表示されたのが図柄Bである場合に選択されうる点灯パターン「TP19」では第1特図発光部12a、12c、12d、12f、12hが点灯し、同じく図柄Cである場合に選択されうる点灯パターン「TP30」では第1特図発光部12a、12b、12d、12f、12hが点灯し、同じく図柄Bである場合に選択されうる点灯パターン「TP22」では第1特図発光部12c、12d、12f、12hが点灯し、同じく図柄Cである場合に選択されうる点灯パターン「TP24」では第1特図発光部12b、12d、12f、12hが点灯する」ことを読み取ることができる。
ウ 上記アの記載事項及び上記イの図面認定事項から、刊行物2には、以下の事項が記載されていると認められる。
(ア)上記【0052】~【0062】の記載から、刊行物2には「第1特図表示装置12に確定停止表示される大当り図柄には図柄A、B、Cの3種類があり、図柄Bが確定表示されたときに付与される大当たり遊技である「実質5R確変大当り」と、図柄Cが確定表示されたときに付与される大当たり遊技である「実質5R非確変大当り」とは、大入賞口23の開放態様は同一であって、大当たり遊技後が確変状態となるか非確変状態となるかが相違し、これら「実質5R確変大当り」及び「実質5R非確変大当り」よりも、図柄Aが確定表示されたときに付与される大当たり遊技である「16R大当り」は、大入賞口23の開放態様が異なることにより、大当り遊技中に賞球として獲得できる遊技球の個数が多く遊技者にとって有利度の高い大当りである」ことが記載されているといえる。
(イ)上記認定事項イ(ア)、ウ(ア)から、以下のa.~e.の事項を導くことができる
a.図柄Bと図柄Cとは、上記ウ(ア)で認定したとおり、それぞれ大入賞口23の開放態様が同一であって、大当たり遊技後が確変状態となるか非確変状態となるかが相違する、「実質5R確変大当り」及び「実質5R非確変大当り」なる各大当り遊技に対応して確定停止表示される特別図柄(大当たり図柄)である。
b.図柄Bの点灯パターン「TP19」と図柄Cの点灯パターン「TP30」とは、第1特図発光部12a、12d、12f、12hが共通して点灯し、両者間で共通しない点灯部は第1特図発光部12cと12bである。
c.図柄Bの点灯パターン「TP22」と図柄Cの点灯パターン「TP24」とは、第1特図発光部12d、12f、12hが共通して点灯し、両者間で共通しない点灯部は第1特図発光部12cと12bである。
d.前記b.、c.から、図柄Bの「TP19」及び図柄Cの「TP30」の組と、図柄Bの「TP22」及び図柄Cの「TP24」の組とは、共に、共通して点灯する点灯部を有している。
e.前記b.、c.から、図柄Bの「TP19」及び図柄Cの「TP30」の組と、図柄Bの「TP22」及び図柄Cの「TP24」の組とは、各組内で共通しない点灯部が第1特図発光部12cと12bである点で共通する。
f.前記a.~e.から、刊行物2には「大当り時の大入賞口開放状態が同じで、大当り遊技後に確変状態に制御されるか否かのみ相違する「実質5R確変大当り」・「実質5R非確変大当り」の2つの大当り遊技(有利状態)に対応して確定停止表示される特別図柄の発光部材の点灯パターンのうち、「実質5R確変大当り」(図柄B)の点灯パターン「TP19」、「TP22」のそれぞれと、「実質5R非確変大当り」(図柄C)の点灯パターン「TP30」、「TP24」のそれぞれとの間で、4つまたは3つの点灯部が共通して点灯される」ことが記載されているといえる。
g.また、前記a.~e.から、刊行物2には「大当り時の大入賞口開放状態が同じで、大当り遊技後に確変状態に制御されるか否かのみ相違する「実質5R確変大当り」に対応して確定停止表示される特別図柄の発光部材の点灯パターンである「TP19」及び「TP22」、「実質5R非確変大当り」の2つの大当り遊技(有利状態)に対応して確定停止表示される特別図柄の発光部材の点灯パターンである「TP30」及び「TP24」のうち、「TP19」と「TP30」との間、及び「TP22」と「TP24」との間で、点灯状態が共通しない点灯部が同じ点灯部材である」ことが記載されているといえる。
(4)刊行物3に記載された技術事項
本願の出願日前に頒布され、上記前置審査における最後の拒絶理由通知で引用された刊行物である特開2014-193246号公報(以下「刊行物3」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている(下線は当審にて付した。以下同じ。)。
ア 刊行物3の明細書には次の事項が記載されている。
「【0028】
普図表示装置210´は、普図の表示を行うための表示装置であり、本実施例では7セグメントLEDによって構成する。第1特図表示装置212´および第2特図表示装置214´は、特図の表示を行うための表示装置であり、本実施例では7セグメントLEDによって構成する。」
「【0069】
図5(a)は、第1特図表示装置212´あるいは第2特図表示装置214´において、図柄の変動表示の後、停止表示される特図の停止図柄態様の一例を示した図である。この図5(a)には、「特図A」から「特図J」の10種類の特図が示されている。図5(a)においては、図中の白抜きの部分が消灯するセグメントの場所を示し、黒塗りの部分が点灯するセグメントの場所を示している。
【0070】
本実施形態では、特図の停止図柄態様として、6種類の大当り図柄(「特図A」から「特図F」)が用意されている。「特図A」および「特図B」は15ラウンド(R)特別大当り図柄であり、「特図E」は2R大当り図柄(突然確変)である。これらの図柄(特図A,B,E)が停止表示されるとその後、制御状態は特図高確率普図高確率状態になる。「特図C」および「特図D」は15R大当り図柄(15R通常大当り)である。特図Cまたは特図Dが停止表示されるとその後、制御状態は特図低確率普図高確率状態になる。「特図F」は2R大当り図柄(隠れ確変)である。特図Fが停止表示されるとその後、制御状態は特図高確率普図低確率状態になる。
【0071】
本実施形態では、大当り遊技中には特図低確率状態へ移行し、特図A、特図B、特図E、および特図Fに当選した場合には、大当り遊技終了後、次に大当りするまで特図高確率状態が維持される。一方、特図Cおよび特図Dに当選した場合には、大当り遊技終了後も特図低確率状態のままである。」
イ 刊行物3の図面には次の事項が記載されている。
上記【0028】、【0069】~【0071】の記載事項を参酌すると、図5からは、特図A、Bと特図C、Dとで、共に7セグメントLEDの最上部のセグメントが消灯していることを読み取ることができる。
ウ 上記アの記載事項、及びイの認定事項から、刊行物3には「大当たり後に特図高確率状態に制御される「15R大当り」に対応する特図A、Bと、大当たり後に特図高確率状態に制御されない「15R大当り」に対応する特図C、Dとでは、共に7セグメントLEDの最上部のセグメントが消灯している点で共通している」ことが記載されているといえる。
(5)対比
ア 刊行物1発明の構成aの「複数個(本実施形態では7個)の第1特図発光部を有する第1特別図柄表示装置12a」、「該表示装置12aに大当り図柄が確定停止表示された場合、遊技者には、大当り遊技が付与される」、「パチンコ遊技機」は、それぞれ、本件補正発明の構成Aの「可変表示を行い表示結果を導出表示する可変表示手段」、「可変表示手段に導出表示された表示結果にもとづいて、遊技者にとって有利な有利状態に制御可能」であること、「遊技機」に相当するといえる。
よって、前記構成aの「複数個(本実施形態では7個)の第1特図発光部を有する第1特別図柄表示装置12aが配設され、該表示装置12aに大当り図柄が確定停止表示された場合、遊技者には、大当り遊技が付与される、パチンコ遊技機」は、前記構成Aの「可変表示を行い表示結果を導出表示する可変表示手段を備え、該可変表示手段に導出表示された表示結果にもとづいて、遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機」に相当する。
イ 刊行物1発明の構成bの「遊技者により操作可能な演出ボタン70」が本件補正発明の構成Bの「遊技者が操作可能な操作手段」に相当することは明らかである。
ウ 刊行物1発明の構成dの「第1特別図柄表示装置12aに確定停止表示させる特図(最終停止図柄)として大当り図柄を決定」すること、「決定した大当り図柄から大当り遊技の種類を特定する」ことは、それぞれ、本件補正発明の構成Dの「前記有利状態に制御するか否か・・・を決定する」こと、「前記有利状態の種別を決定する」こと、に相当するといえる。
よって、前記構成dの「第1特別図柄表示装置12aに確定停止表示させる特図(最終停止図柄)として大当り図柄を決定し、決定した大当り図柄から大当り遊技の種類を特定する、主制御用CPU30a」の機能は、前記構成Dの「前記有利状態に制御するか否かと、前記有利状態の種別を決定する決定手段」の機能に相当する。
エ 刊行物1発明の構成eの「主制御基板30の主制御用CPU30a」、「15R確変大当りが特定された場合」、「大当り遊技の終了後に次回の大当り遊技が付与されるまで」、「確変状態」は、それぞれ、本件補正発明の構成Eの「前記決定手段」、「第1有利状態に決定された場合」、「前記有利状態として前記第1有利状態に制御した後」、「前記有利状態に制御される確率が向上する高確率状態」に相当する。
よって、前記構成eの「主制御基板30の主制御用CPU30aからの特図指定コマンドにより15R確変大当りが特定された場合には、15R確変大当りの大当り遊技の終了後に次回の大当り遊技が付与されるまで確変状態が付与され、確変状態に制御可能であ」ることは、前記構成Eの「前記決定手段により第1有利状態に決定された場合には、前記有利状態として前記第1有利状態に制御した後に前記有利状態に制御される確率が向上する高確率状態に制御可能であ」ることに相当する。
オ 刊行物1発明の構成fの「第2・第3の10R確変大当り」、「第2・第3の10R確変大当りの大当り遊技の終了後」は、それぞれ、本件補正発明の構成Fの「第2有利状態」、「前記第2有利状態に制御した後」に相当する。
また、上記構成eの「15R確変大当り」と前記構成fの「第2・第3の10R確変大当り」とは、大当りのラウンド数において相違し、ここでの「大当りのラウンド数」は「獲得可能な遊技価値」に相当する。このことは、前記構成Fの「第2有利状態」が「前記有利状態として遊技者が獲得可能な遊技価値の大きさが前記第1有利状態とは異なる」点に相当するといえる。
よって、前記構成fの「主制御基板30の主制御用CPU30aからの特図指定コマンドにより第2・第3の10R確変大当りが特定された場合には、第2・第3の10R確変大当りの大当り遊技の終了後に確変状態が付与され、次回の大当り遊技が付与されるまで確変状態に制御可能であ」ることは、前記構成Fの「前記決定手段により第2有利状態に決定された場合には、前記有利状態として遊技者が獲得可能な遊技価値の大きさが前記第1有利状態とは異なる前記第2有利状態に制御した後に前記高確率状態に制御可能であ」ることに相当する。
カ 刊行物1発明の構成gの「第2・第3の10R非確変大当り」、「第2・第3の10R非確変大当りの大当り遊技の終了後」、「確変状態に制御しない」ことは、それぞれ、本件補正発明の構成Gの「第3有利状態」、「前記第3有利状態に制御した後」、「有利状態に制御される確率が向上しない低確率状態に制御する」ことに相当する。
また、上記構成fの「第2・第3の10R確変大当り」と前記構成gの「第2・第3の10R非確変大当り」とは、共に大当りのラウンド数が10ラウンドで等しく、ここでの「大当りのラウンド数」が前記構成Gの「獲得可能な遊技価値」に相当することは上記オで説示したとおりである。このことは、前記構成Gの「第3有利状態」が「前記有利状態として遊技者が獲得可能な遊技価値の大きさが前記第2有利状態と同等である」点に相当するといえる。
よって、前記構成gの「主制御基板30の主制御用CPU30aからの特図指定コマンドにより第2・第3の10R非確変大当りが特定された場合には、第2・第3の10R非確変大当りの大当り遊技の終了後に確変状態が付与されず、確変状態に制御しない」ことは、前記構成Gの「前記決定手段により第3有利状態に決定された場合には、前記有利状態として遊技者が獲得可能な遊技価値の大きさが前記第2有利状態と同等である前記第3有利状態に制御した後に前記有利状態に制御される確率が向上しない低確率状態に制御する」ことに相当し、前記構成e~gからなる「主制御用CPU30a」の機能は、前記構成E~Gからなる「遊技状態制御手段」の機能に相当するといえる。
キ 刊行物1発明の構成hの「演出表示装置11に飾図[333]と[777]の何れかの大当り図柄を確定停止表示する」演出は、本件補正発明の構成Hの「特定演出」に相当する。
よって、前記構成hの「15R確変大当りの場合には、演出表示装置11に飾図[333]と[777]の何れかの大当り図柄を確定停止表示する」ことは、前記構成Hの「前記決定手段により前記第1有利状態に決定された場合に特定演出を実行する」ことに相当する。
ク 刊行物1発明の構成iの「第2・第3の10R確変大当りの場合と、第2・第3の10R非確変大当りとの場合」、「演出表示装置11に飾図[111]、[222]、[444]、[555]及び[666]のいずれかの大当り図柄を確定停止表示する」は、それぞれ、本件補正発明の構成Iの「前記決定手段により前記第2有利状態に決定された場合と前記第3有利状態に決定された場合」、「演出」に相当する。
そして、前記構成iの前記各場合において、「演出表示装置11に飾図[111]、[222]、[444]、[555]及び[666]のいずれかの大当り図柄を確定停止表示する」演出を実行する点が共通することは、前記構成Iの「前記第2有利状態に決定された場合と前記第3有利状態に決定された場合とにおいて共通の演出を実行する」ことに相当するといえる。
よって、前記構成iの「第2・第3の10R確変大当りの場合と、第2・第3の10R非確変大当りとの場合には、演出表示装置11に飾図[111]、[222]、[444]、[555]及び[666]のいずれかの大当り図柄を確定停止表示する、演出制御手段」の機能は、前記構成Iの「前記決定手段により前記第2有利状態に決定された場合と前記第3有利状態に決定された場合とにおいて共通の演出を実行する演出実行手段」の機能に相当する。
ケ 刊行物1発明の構成kの「大当り図柄」、「確定停止表示」はそれぞれ本件補正発明の「表示結果」、「導出表示」に相当する。
また、前記構成kの「大当り図柄」が「何れの大当りが付与されるかを決定する特図1の種類毎に分類され」ていることは、前記構成Kの「表示結果」が「有利状態の種別に応じ」たものであることに相当するといえる。
よって、前記構成kの「第1特別図柄表示装置12aには、何れの大当りが付与されるかを決定づける特図1の種類毎に分類された、大当り図柄が確定停止表示され」ることは、前記構成Kの「前記可変表示手段には、前記有利状態の種別に応じた表示結果が導出表示され」ることに相当する。
コ 刊行物1発明の構成lの、「15R確変大当りに対応する図柄Aに」「振分けられ」る「大当り図柄」としての「10種類」、「第2の10R確変大当りに対応する図柄E」に振り分けられる大当り図柄としての「14種類」及び「第3の10R確変大当りに対応する図柄F」に振り分けられる大当り図柄としての「13種類」、「第2の10R非確変大当りに対応する図柄I」に振り分けられる大当り図柄としての「11種類」及び「第3の10R非確変大当りに対応する図柄J」に振り分けられる大当り図柄としての「22種類」は、それぞれ、本件補正発明の構成Lの「前記第1有利状態に対応する表示結果の数」、「前記第2有利状態に対応する表示結果の数」、「前記第3有利状態に対応する表示結果の数」に相当する。
そして、前記構成lにおいて、前記「15R確変大当りに対応する図柄Aに」「振分けられ」る「大当り図柄」としての「10種類」が、「第2の10R確変大当りに対応する図柄E」に振り分けられる大当り図柄としての「14種類」及び「第3の10R確変大当りに対応する図柄F」に振り分けられる大当り図柄としての「13種類」の和(または個々)、「第2の10R非確変大当りに対応する図柄I」に振り分けられる大当り図柄としての「11種類」及び「第3の10R非確変大当りに対応する図柄J」に振り分けられる大当り図柄としての「22種類」の和(または個々)の何れと比べても少ないことは、前記構成Lの「前記第1有利状態に対応する表示結果の数は、・・・前記第2有利状態に対応する表示結果の数、および・・・前記第3有利状態に対応する表示結果の数よりも少な」いことに相当するといえる。
よって、前記構成lの「第1特別図柄表示装置12aに確定停止表示される大当り図柄のうち、15R確変大当りに対応する図柄Aには10種類の大当り図柄が振分けられ、第2の10R確変大当りに対応する図柄Eには14種類の、第3の10R確変大当りに対応する図柄Fに対しては13種類の大当り図柄が振分けられ、第2の10R非確変大当りに対応する図柄Iには11種類の、第3の10R非確変大当りに対応する図柄Jには22種類の大当り図柄が振り分けられる」ことは、前記構成Lの「前記可変表示手段に導出表示される前記第1有利状態に対応する表示結果の数は、前記可変表示手段に導出表示される前記第2有利状態に対応する表示結果の数、および前記可変表示手段に導出表示される前記第3有利状態に対応する表示結果の数よりも少な」いことに相当するといえる。
サ 刊行物1発明の構成nの「第1特別図柄表示装置12aが、複数個(本実施形態では7個)の第1特図発光部からなる」点は、本件補正発明の「前記可変表示手段は、複数の発光部材が組み合わされて構成され」ることに相当することが明らかであるといえる。
シ 刊行物1発明の構成oの「「第2・第3の10R確変大当りの場合と、第2・第3の10R非確変大当りの場合と」は、上記オ、カの認定事項も考慮すると、本件補正発明の構成Oの「前記決定手段により前記第2有利状態に決定された場合と、前記決定手段により前記第3有利状態に決定された場合と」に相当する。
よって、前記構成oと前記構成Oとは、「前記決定手段により前記第2有利状態に決定された場合と、前記決定手段により前記第3有利状態に決定された場合とで、前記複数の発光部材が」それぞれの「発光態様にて発光され」る点で共通するといえる。
ス 刊行物1発明の構成pの「第2・第3の10R確変大当りの場合」、「第2・第3の10R非確変大当りの場合」は、それぞれ、本件補正発明の「前記決定手段により前記第2有利状態に決定された場合」、「前記決定手段により前記第3有利状態に決定された場合」に相当することが明らかである。
また、前記構成pにおいては、前記各大当りの場合にそれぞれ「複数種類の大当り図柄」が振り分けられ、「第1特別図柄表示装置12aの複数個の第1特図発光部は、前記各大当り図柄ごとに異なった発光態様で発光する」のであるから、前記各大当りの場合ごとに少なくとも2つの発光態様、すなわち発光される発光部材の組合せのパターンが含まれることが明らかであるといえる。
よって、前記構成pと前記構成Pとは、「前記決定手段により前記第2有利状態に決定された場合に発光される発光部材の組み合わせ」に「第1パターンおよび第2パターンと」があり、「前記決定手段により前記第3有利状態に決定された場合に発光される発光部材の組み合わせ」には「第3パターンおよび第4パターンとが」ある点で共通するといえる。
セ 上記ア~スによれば、本件補正発明と刊行物1発明とは、下記(ア)の点で一致し、下記(イ)~(エ)の点で相違する。
(ア)一致点
「A 可変表示を行い表示結果を導出表示する可変表示手段を備え、該可変表示手段に導出表示された表示結果にもとづいて、遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機であって、
B 遊技者が操作可能な操作手段と、
D 前記有利状態に制御するか否かと、前記有利状態の種別を決定する決定手段と、
E 前記決定手段により第1有利状態に決定された場合には、前記有利状態として前記第1有利状態に制御した後に前記有利状態に制御される確率が向上する高確率状態に制御可能であり、
F 前記決定手段により第2有利状態に決定された場合には、前記有利状態として遊技者が獲得可能な遊技価値の大きさが前記第1有利状態とは異なる前記第2有利状態に制御した後に前記高確率状態に制御可能であり、
G 前記決定手段により第3有利状態に決定された場合には、前記有利状態として遊技者が獲得可能な遊技価値の大きさが前記第2有利状態と同等である前記第3有利状態に制御した後に前記有利状態に制御される確率が向上しない低確率状態に制御する遊技状態制御手段と、
H 前記決定手段により前記第1有利状態に決定された場合に特定演出を実行するとともに、
I 前記決定手段により前記第2有利状態に決定された場合と前記第3有利状態に決定された場合とにおいて共通の演出を実行する演出実行手段とを備え、
K 前記可変表示手段には、前記有利状態の種別に応じた表示結果が導出表示され、
L 前記可変表示手段に導出表示される前記第1有利状態に対応する表示結果の数は、前記可変表示手段に導出表示される前記第2有利状態に対応する表示結果の数、および前記可変表示手段に導出表示される前記第3有利状態に対応する表示結果の数よりも少なく、
N 前記可変表示手段は、複数の発光部材が組み合わされて構成され、
O’ 前記決定手段により前記第2有利状態に決定された場合と、前記決定手段により前記第3有利状態に決定された場合とで、前記複数の発光部材がそれぞれの発光態様にて発光され、
P’ 前記決定手段により前記第2有利状態に決定された場合に発光される発光部材の組み合わせに第1パターンおよび第2パターンとがあり、前記決定手段により前記第3有利状態に決定された場合に発光される発光部材の組み合わせには第3パターンおよび第4パターンとがある、
Q ことを特徴とする遊技機。」
(イ)相違点1
本件補正発明は、「遊技者の操作の検出を有効とする有効期間が開始されるより前に、前記操作手段を模した前記所定の事前画像を、前記促進画像よりも薄く表示させた後に徐々に濃くなるよう変化させ」る「所定の事前画像を経て」、「遊技者の操作を促す促進画像を表示させる促進画像表示制御手段」を備えるのに対し、刊行物1発明はそのような構成を備えない点。(構成C、J、M)
(ウ)相違点2
本件補正発明は、可変表示手段について、前記決定手段により前記第2有利状態に決定された場合と、前記決定手段により前記第3有利状態に決定された場合とで、前記複数の発光部材が発光される発光態様が、「複数の発光部材のうち少なくとも一部の発光部材が共通の発光態様」であるのに対し、刊行物1発明は、前記「複数の発光部材」に相当する「複数個(本実施形態では7個)の第1特図発光部」の各大当り種別に応じた発光態様が不明である点。(構成O)
(エ)相違点3
本件補正発明は、可変表示手段について、前記決定手段により前記第2有利状態に決定された場合に発光される発光部材の組み合わせである第1パターンおよび第2パターンと、前記決定手段により前記第3有利状態に決定された場合に発光される発光部材の組み合わせである第3パターンおよび第4パターンとが、「前記第1パターンおよび前記第3パターンにて発光態様が共通しない発光部材と、前記第2パターンおよび前記第4パターンにて発光態様が共通しない発光部材とが同じ発光部材である」との関係を有するのに対し、刊行物1発明は、発光態様がそのような関係にある、発光される発光部材の組み合わせである第1~第4パターンを有するか不明である点。(構成P)
(6)当審の判断
ア 相違点1について
パチンコ遊技機の分野において、遊技者にボタンなどの操作手段を操作させる演出(いわゆる周知の「ボタン演出」)に際し、遊技者に当該操作を促すための、例えば操作されるべきボタンなどの操作手段の画像を、操作タイミングに合わせて表示装置上に表示する、周知の操作促進画像の表示演出を行う場合に、該促進画像の表示に先立ち、前記操作タイミングに達する直前に、前記操作促進画像をまず薄く表示した後、次第に濃く明確になるように変化させる演出を行うことは、例えば本願出願日前に公知の刊行物である特開2011-125549号公報(以下「周知引例1」という。)の【0094】~【0097】、【0100】、図7(【0095】の「演出ボタン17の操作が有効になるまでに表示される演出ボタン予告画像として、演出ボタン17の操作可能開始タイミングである時刻t3以降に液晶表示装置13の液晶画面上に表示される報知画像(演出ボタン画像)をフェードイン効果によって次第に明確になって表示する動画で表現されたフェードイン画像を用いる。」などの記載参照)や、その他同じく本願出願日前に公知の刊行物である特開2014-111049号公報(以下「周知引例2」という。)、特開2014-111050号公報(以下「周知引例3」という。)、特開2014-138703号公報(以下「周知引例4」という。)にも記載され、また、本願出願日前にインターネットを通じた方法(youtube)で公開された「実録!緑保留から赤「押せ」ボタンリーチ!CRルパン三世~消されたルパン~パチンコ」(関連箇所:0分24秒~0分28秒、媒体タイプ:[online]、公開年月日:平成26年4月4日、公開者:「スロパチステーション」、検索日:平成30年4月26日、URL:https://www.youtube.com/watch?v=Cq1_9DKk2hc;(以下「周知引例5」という。))なるタイトルの動画にも示されるとおり、本願出願日前において周知の技術である。
よって、演出ボタン70を備える刊行物1発明において、該演出ボタン70の操作タイミング開始前に事前画像としてボタン画像を薄く表示し、それを次第に濃く変化させ、操作タイミング開始とともに促進画像としてボタン画像を表示するようにすることは、前記周知技術を適用することで、当業者が容易に想到し得た事項である。
イ 相違点2について
上記刊行物2には、上記(3)ウ(イ)f.で認定したとおり、「大当り時の大入賞口開放状態が同じで、大当り遊技後に確変状態に制御されるか否かのみ相違する「実質5R確変大当り」、「実質5R非確変大当り」の2つの大当り遊技(有利状態)に対応して確定停止表示される特別図柄に対応する特図表示装置の発光部材の点灯パターンのうち、「実質5R確変大当り」(図柄B)の点灯パターン「TP19」、「TP22」のそれぞれと、「実質5R非確変大当り」(図柄C)の点灯パターン「TP30」、「TP24」のそれぞれとの間で、4つまたは3つの点灯部が共通して点灯される」ことが記載されている。
また、上記刊行物3には、上記(4)ウで認定したとおり、「大当たり後に特図高確率状態に制御される「15R大当り」に対応する特図A、Bと、大当たり後に特図高確率状態に制御されない「15R大当り」に対応する特図C、Dとでは、共に7セグメントLEDの最上部のセグメントが消灯している点で共通している」ことが記載されている。
本件補正発明の相違点2に係る構成における「複数の発光部材のうち少なくとも一部の発光部材が共通の発光態様にて発光され」ることが、当該特定事項の導出根拠に関する平成29年2月10日付け意見書における請求人の主張((2)(F))のとおり、第2有利状態に決定された場合に選択される複数のうち特定の発光態様(パターン)と第3有利状態に決定された場合に選択される複数のうち特定の発光態様(パターン)との間での関係について特定するものと解釈する場合には、前記刊行物2、3何れの記載事項も当該解釈の下での上記相違点2に係る特定事項を満たしているといえる。
また、仮に本件補正発明の相違点2に係る構成における「複数の発光部材のうち少なくとも一部の発光部材が共通の発光態様にて発光され」ることが、文字通り第2、第3有利状態に係る全ての特図の発光態様について成り立つとの意味であると解釈しても、前記刊行物3の記載事項が当該解釈の下での相違点2に係る特定事項を満たしているといえる。
そして、遊技結果に応じた特図表示装置の発光パターンは、確定図柄ごとに相違していれば足ることから、格別の意味付けなく設定されることも周知であるし、仮にその視認性に着目するとしても、特図表示装置の発光部材の具体的な配置がどのようなものであれ、異なる発光パターンの間で共通のまたは相違する発光態様を示す発光部材の多寡やその配置に応じて視認による該各パターン間の区別の困難性に影響を与え得る点で変わりはないから、刊行物1発明の特別図柄表示装置の発光態様に、刊行物2、3に記載された特図表示装置の発光部材の発光態様に関する技術事項を適用することに当業者にとって格別の阻害要因も存しない。
さらに、本件補正発明により奏される効果は、当業者が、刊行物1発明及び刊行物2及び3に記載された技術事項から予測し得た範囲内のものであって、格別のものではない。
よって、刊行物1発明に前記刊行物2、3に記載された技術事項を適用して相違点2の構成とすることは当業者が容易に想到し得たことである。
ウ 相違点3について
上記刊行物2には、上記(3)ウ(イ)g.で認定したとおり、「大当り時の大入賞口開放状態が同じで、大当り遊技後に確変状態に制御されるか否かのみ相違する「実質5R確変大当り」に対応して確定停止表示される特別図柄の発光部材の点灯パターンである「TP19」及び「TP22」、「実質5R非確変大当り」の2つの大当り遊技(有利状態)に対応して確定停止表示される特別図柄の発光部材の点灯パターンである「TP30」及び「TP24」のうち、「TP19」と「TP30」との間、及び「TP22」と「TP24」との間で、点灯状態が共通しない点灯部が同じ点灯部材である」ことが記載されているといえ、これは上記相違点3の構成に相当する。
そして、動機付け及び阻害要因については上記イで説示したものと同様である。
また、本件補正発明により奏される効果は、当業者が、刊行物1発明及び刊行物2に記載された技術事項から予測し得た範囲内のものであって、格別のものではない。
よって、刊行物1発明に前記刊行物2に記載された技術事項を適用して相違点3の構成とすることは当業者が容易に想到し得たことである。
エ 請求人の主張について
(ア)請求人は平成29年11月2日付け意見書において、概略以下のとおり主張している。
「本願の補正後の請求項1に係る発明と引用文献に記載された発明とを比較すると、引用文献1-6に記載された発明を用いたとしても、少なくとも、上記の(j)(当審註:上記構成Mに該当。),(l)(当審註:上記構成Pに該当。)の構成要素がありません。
すなわち、本願発明では、上記の(j)の構成要素を備えることによって、・・・操作手段の操作の有効期間の到来を遊技者に段階的に認識させることができ、円滑に遊技の参加を促すことができます。
これに対して、引用文献1-6には、遊技者の操作の検出を有効とする有効期間が開始されるより前に、操作手段を模した所定の事前画像を、促進画像よりも薄く表示させた後に徐々に濃くなるよう変化させるという上記の(j)のように構成したりすることは記載も示唆もされていません。
・・・
従って、記載も示唆もないのですから、引用文献1-6では、操作手段の操作の有効期間の到来を遊技者に段階的に認識させることができ、円滑に遊技の参加を促すことができるようにするという技術思想はないといえます。
また、本願発明では、上記の(l)の構成要素を備えることによって、・・・より効果的に第2有利状態および第3有利状態のうちいずれの有利状態となるのかの遊技者による判別を困難にすることができ、ひいては第2有利状態および第3有利状態に決定された場合に実行される共通の演出の演出効果を高めることができます。
これに対して、引用文献1-6には、第2有利状態に決定された場合と、決定手段により第3有利状態に決定された場合とで、複数の発光部材のうち少なくとも一部の発光部材が共通の発光態様にて発光され、第2有利状態に決定された場合に発光される発光部材の組み合わせである第1パターンおよび第2パターンと、第3有利状態に決定された場合に発光される発光部材の組み合わせである第3パターンおよび第4パターンとのうち、第1
パターンおよび第3パターンにて発光態様が共通しない発光部材と、第2パターンおよび第4パターンにて発光態様が共通しない発光部材とが同じ発光部材であるという上記の(l)のように構成したりすることは記載も示唆もされていません。」
(イ)しかし、構成Mについては上記相違点1についての検討として上記(6)アで、構成Pについては上記相違点3についての検討として上記(6)ウで、それぞれ説示したとおり、何れも本願出願日前公知文献に記載された技術事項または本願出願日における周知技術を刊行物1発明に適用することにより当業者が容易に発明することができたものである。
よって、上記請求人の主張は何れも採用できない。
オ 小括
したがって、上記ア~エにおいて検討したように、本件補正発明は、刊行物1発明、刊行物2及び刊行物3に記載された技術事項、並びに周知の技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。
4.むすび
上記3.において検討したことからみて、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
第3 本願発明について
1.本願発明
本件補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、平成29年7月14日付けの手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、上記「第2[理由]1.本件補正について」にも本件補正前の請求項1として記載した、次のとおりのものである(A~Qの付番は分説のため当審にて付与した。上記本件補正発明と共通の付番は、両発明間で実質的に共通する構成に対応する。)
「A 可変表示を行い表示結果を導出表示する可変表示手段を備え、該可変表示手段に導出表示された表示結果にもとづいて、遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機であって、
B 遊技者が操作可能な操作手段と、
C 遊技者の操作を促す促進画像を表示させる促進画像表示制御手段と、
D 前記有利状態に制御するか否かと、前記有利状態の種別を決定する決定手段と、
E 前記決定手段により第1有利状態に決定された場合には、前記有利状態として前記第1有利状態に制御した後に前記有利状態に制御される確率が向上する高確率状態に制御可能であり、
F 前記決定手段により第2有利状態に決定された場合には、前記有利状態として遊技者が獲得可能な遊技価値の大きさが前記第1有利状態とは異なる前記第2有利状態に制御した後に前記高確率状態に制御可能であり、
G 前記決定手段により第3有利状態に決定された場合には、前記有利状態として遊技者が獲得可能な遊技価値の大きさが前記第2有利状態と同等である前記第3有利状態に制御した後に前記有利状態に制御される確率が向上しない低確率状態に制御する遊技状態制御手段と、
H 前記決定手段により前記第1有利状態に決定された場合に特定演出を実行するとともに、
I 前記決定手段により前記第2有利状態に決定された場合と前記第3有利状態に決定された場合とにおいて共通の演出を実行する演出実行手段とを備え、
J 前記促進画像表示制御手段は、所定の事前画像を経て前記促進画像を表示させ、
K 前記可変表示手段には、前記有利状態の種別に応じた表示結果が導出表示され、
L 前記可変表示手段に導出表示される前記第1有利状態に対応する表示結果の数は、前記可変表示手段に導出表示される前記第2有利状態に対応する表示結果の数、および前記可変表示手段に導出表示される前記第3有利状態に対応する表示結果の数よりも少なく、
M’前記促進画像表示制御手段は、遊技者の操作の検出を有効とする有効期間が開始されるより前に、前記操作手段を模した前記所定の事前画像を、前記促進画像よりも薄く表示させ、
N 前記可変表示手段は、複数の発光部材が組み合わされて構成されており、
O 前記決定手段により前記第2有利状態に決定された場合と、前記決定手段により前記第3有利状態に決定された場合とで、前記複数の発光部材のうち少なくとも一部の発光部材が共通の発光態様にて発光される
Q ことを特徴とする遊技機。」
2.前置審査における拒理の理由
ア 前置審査における拒絶の理由(最後の拒絶理由)は、概略、本願発明は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。
イ 刊行物
引用文献1.特開2013-102873号公報(当審註:上記刊行物1と同じ)
引用文献2.特開2011-234755号公報
引用文献3.特開2013-188306号公報
引用文献4.特開2013-236880号公報
引用文献5.特開2013-248040号公報(当審註:上記刊行物2と同じ)
引用文献6.特開2014-193246号公報(当審註:上記刊行物3と同じ)
3.刊行物
前置審査における拒絶の理由に引用された刊行物1~3の記載事項は、上記第2の3.(2)~(4)に記載したとおりである。
4.対比・判断
(1)本願発明は、実質的に、本件補正発明の発明特定事項から構成Mの一部及び構成Pのすべてに該当する、上記第2の2.(1)の下線部の構成を省いたものである。
そうすると、本願発明と刊行物1発明とは、下記ア、イの点で相違する。
ア 相違点1’
本願発明は、遊技者の操作の検出を有効とする有効期間が開始されるより前に、前記操作手段を模した前記所定の事前画像を、前記促進画像よりも薄く表示させる促進画像表示制御手段」を備えるのに対し、刊行物1発明はそのような構成を備えない点。(構成C、J、M’)
イ 相違点2
上記第2の3.(5)セ(ウ)に示した相違点2と同じ。
(2)相違点について
ア 相違点1’について
パチンコ遊技機の分野において、遊技者にボタンなどの操作手段を操作させる演出(いわゆる周知の「ボタン演出」)において、遊技者に当該操作を促すための、例えば操作されるべきボタンなどの操作手段の画像を、操作タイミングに合わせて表示装置上に表示する、周知の操作促進画像の表示演出を行うにあたり、該促進画像の表示に先立ち、前記操作タイミングに達する前に、前記操作促進画像をまず薄く表示するようにすることは、上記前置審査における拒理の理由において引用文献2~4として引用された、何れも本願出願日前公知の刊行物である特開2011-234755号公報、特開2013-188306号公報、及び特開2013-236880号公報に記載され、また、上記周知引例1~5にもみられるとおり、周知の技術である。
よって、演出ボタン70を備える刊行物1発明において、該演出ボタン70の操作タイミング開始前に事前画像としてボタン画像を薄く表示するようにすることは、前記周知技術を適用することで、当業者が容易に想到し得た事項である。
イ 相違点2について
当該相違点2は上記第2の3.(5)セ(ウ)に示した相違点2と同じであるから、上記第2の3.(6)イに記載したものと同様の理由により、刊行物1発明に、前置審査の拒絶の理由で引用された刊行物である上記刊行物2または3に記載された技術事項を適用して、相違点2の構成とすることは当業者が容易に想到し得たことである。
5.むすび
以上のとおり、本願発明は、刊行物1発明、刊行物2及び刊行物3に記載された技術事項、並びに周知の技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2017-010536