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特許拒絶査定不服審判

2017-010506

遊技機

審判番号
2017-010506
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2016-081357外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2017年07月14日
審決日
2018年08月08日
公報発行日
2018年11月30日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-WZ (A63F)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2016- 81357号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 7月14日出願公開、特開2016-128121号〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

【理 由】 (1)手続の経緯 本願は、平成21年12月25日に出願した特願2009-296293号の一部を平成27年6月16日に新たな特許出願(特願2015-120864号)とし、さらにその一部を平成28年4月14日に新たな特許出願(特願2016-81357号)としたものであって、平成28年10月24日付けで拒絶の理由が通知され、平成28年12月26日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、平成29年4月5日付け(発送日:平成29年4月18日)で拒絶査定がなされ、それに対して、平成29年7月14日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされ、これに対し、当審において、平成30年2月22日付けで拒絶の理由が通知され、平成30年4月25日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。 (2)本願発明 平成30年4月25日付け手続補正は、特許請求の範囲を補正する内容を含んでおり、当該補正後の特許請求の範囲の請求項1に係る発明は次のとおりのものである。(以下、「本願発明」という。A~Hは分説のため当審にて付した。) 「A 遊技が可能な遊技機であって、 B 3つのリール体と、 C 前記3つのリール体を保持し、前面が開口するリール体保持部材と、 D 前記リール体保持部材の上部に設けられ、前記3つのリール体各々から延びる配線が接続される複数のコネクタを有する基板と、 を備え、 E 前記複数のコネクタのうち2つのコネクタは、前記基板の一側方寄りに設けられ、 F 前記3つのリール体各々は、リール、該リールを回転させるリールモータ及び該リールモータを一面に支持するリール支持板を有し、該リール支持板における前記リールモータよりも上方には、該リールモータの配線を前記一面側から他面側に引出すための配線引出穴と、該他面側に引出した配線を上方に向けて延出した状態で保持する配線押えと、が設けられ、 G 前記リール体保持部材の内側底面には、前記リール支持板の前後方向への移動を案内する案内部が設けられている H ことを特徴とする遊技機。」 (3)当審の平成30年2月22日付け拒絶理由の概要 当審の平成30年2月22日付け拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)の概要は、以下のとおりである。 刊行物1:特開2005-334320号公報 刊行物2:特開平4-341288号公報 刊行物3:特開2006-212168号公報 ア この出願の請求項1に係る発明は、刊行物1に記載された発明と、刊行物2に記載された事項とに基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 イ この出願の請求項1に係る発明は、刊行物1に記載された発明と、刊行物2に記載された事項と、刊行物3に記載された事項とに基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 (4)刊行物 (4-1)刊行物1 本願の出願遡及日前に頒布され、当審拒絶理由において刊行物1として提示された刊行物である特開2005-334320号公報(以下、引き続き「刊行物1」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審にて付した。以下、同じ。)。 ア「【技術分野】 【0001】 本発明は、筐体内に、複数の識別情報を変動表示可能なリールユニットを設けた遊技機に関する。」 イ「【0016】 遊技機(1)としてのスロットマシンは、正面(前面)が開放した正面視矩形の筐体(2)と、筐体(2)の正面左端部に上下方向を向く上下1対のヒンジ軸(4)により開閉可能に枢支された前扉(3)とを備える。」 ウ「【0021】 リールユニット(6)は、外周面に識別情報が印刷または貼付された左、中、右の3個の回転リール(6a)と、各回転リール(6a)が枢支されるとともに、中板(23)の上面に着脱自在に取り付けられるリール枠体(61)と、回転リール(6a)を回転させるためのモータ(10)とを有して形成される。」 エ「【0031】 主に図4及び図6に示すように、リール枠体(61)は、底部を形成する底板部(61a)、上部を形成する天板部(61b)、側部を形成する両側板部(61c)(61d)及び後部を形成する後板部(61e)とを有する、前面が開放する正面視矩形をなし、両側板部(61c)(61d)間には、左右方向を向く軸(図示略)をもって、各回転リール(6a)がそれぞれ回転可能に枢支され、また、天板部(61b)の前端部には、上向きの取手(61h)が折曲形成されている。なお、各回転リール(6a)の内側には、各回転リール(6a)を回転させるための各モータ(10)が収容されている。」 オ「【0042】 リール枠体(61)の天板部(61b)には、主に図6に示すように、回転リール制御基板(11)及びサブリール基板(11a)が横置きに載置されている。回転リール制御基板(11)の上面には、前述のように主制御基板(8)の回転リール出力コネクタ(85)に電気的接続ケーブルにより接続される主制御基板入力コネクタ(111)、及び各モータ(10)に電気的接続ケーブルにより接続される3個のモータ出力コネクタ(112)~(114)が設けられている。サブリール基板(11a)は、回転リール(6a)のバックライト(図示略)に電気的に接続され、副制御基板(9)から出力される制御信号に基づいて、バックライトの点灯及び消灯を制御する信号を出力する。」 図面に関して、以下の事項が導かれる。 カ 図6からは、3個のモータ出力コネクタ(112)~(114)のうち、モータ出力コネクタ(112)及びモータ出力コネクタ(113)は、回転リール制御基板(11)の一側方寄りに設けられることが看て取れる。 上記ア~オの記載事項から、以下の事項が導かれる。 あ 上記段落【0021】の「3個の回転リール(6a)」との記載、上記段落【0031】の「各回転リール(6a)の内側には、各回転リール(6a)を回転させるための各モータ(10)が収容されている。」との記載より、刊行物1には、3個の回転リール(6a)と、各回転リール(6a)の内側に収容され、各回転リール(6a)を回転させるための各モータ(10)が記載されていると認められる。 い 上記段落【0021】の「3個の回転リール(6a)」との記載、上記段落【0031】の「リール枠体(61)は、・・・前面が開放する正面視矩形をなし、両側板部(61c)(61d)間には、・・・、各回転リール(6a)がそれぞれ回転可能に枢支され」、「各回転リール(6a)の内側には、各回転リール(6a)を回転させるための各モータ(10)が収容されている。」との記載より、刊行物1には、両側板部(61c)(61d)間に、内側に各回転リール(6a)を回転させるための各モータ(10)が収容された3個の回転リール(6a)をそれぞれ回転可能に枢支し、前面が開放するリール枠体(61)が記載されていると認められる。 う 上記段落【0042】の「リール枠体(61)の天板部(61b)には、・・・回転リール制御基板(11)・・・が横置きに載置されている。回転リール制御基板(11)の上面には、・・・各モータ(10)に電気的接続ケーブルにより接続される3個のモータ出力コネクタ(112)~(114)が設けられている。」との記載より、刊行物1には、リール枠体(61)の天板部(61b)に載置され、各モータ(10)に電気的接続ケーブルにより接続される3個のモータ出力コネクタ(112)~(114)が設けられている、回転リール制御基板(11)が記載されているといえる。 また、上記「各モータ(10)に電気的接続ケーブルにより接続される3個のモータ出力コネクタ(112)~(114)」は、各モータ(10)からの電気的接続ケーブルが接続される3個のモータ出力コネクタ(112)~(114)と言い換えることができる。 したがって、刊行物1には、リール枠体(61)の天板部(61b)に載置され、各モータ(10)からの電気的接続ケーブルが接続される3個のモータ出力コネクタ(112)~(114)が設けられている、回転リール制御基板(11)が記載されていると認められる。 上記ア~オの記載事項、上記カの図面に関する認定事項、及び上記あ~うの認定事項より、刊行物1には、次の発明(以下、「刊行物1発明」という。)が記載されていると認められる(記号a~hは、本願発明の記号A~Hに対応させて付した。)。 「a 遊技機(1)としてのスロットマシンであって、(段落【0016】) b、f’3個の回転リール(6a)と、各回転リール(6a)の内側に収容され、各回転リール(6a)を回転させるための各モータ(10)と、(認定事項あ) c 両側板部(61c)(61d)間に、内側に各回転リール(6a)を回転させるための各モータ(10)が収容された3個の回転リール(6a)をそれぞれ回転可能に枢支し、前面が開放するリール枠体(61)と、(認定事項い) d リール枠体(61)の天板部(61b)に載置され、各モータ(10)からの電気的接続ケーブルが接続される3個のモータ出力コネクタ(112)~(114)が設けられている、回転リール制御基板(11)と、(認定事項う) を備え、 e 3個のモータ出力コネクタ(112)~(114)のうち、モータ出力コネクタ(112)及びモータ出力コネクタ(113)は、回転リール制御基板(11)の一側方寄りに設けられ、(図面に関する認定事項カ) g’リール枠体(61)は、底部を形成する底板部(61a)、上部を形成する天板部(61b)、側部を形成する両側板部(61c)(61d)及び後部を形成する後板部(61e)とを有する、前面が開放する正面視矩形をなす、(段落【0031】) h スロットマシン。(段落【0016】)」 (4-2)刊行物2 本願の出願遡及日前に頒布され、当審拒絶理由において刊行物2として提示された刊行物である特開平4-341288号公報(以下、引き続き「刊行物2」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。 ア「【0009】次に、図4及び図5を参照して、ドラム収納箱15の内部構造について説明すると、ドラム収納箱15は、前面が開放した直方体状に形成され、その左側空間に左ドラム機構16が配置され、その右側空間に右ドラム機構17が配置される。また、左ドラム機構16と右ドラム機構17とに挟まれるように、1つのディジタル表示器18が配置されている。また、ドラム収納箱15の後面側には、プリント配線基板19と端子基板20とが設けられている。プリント配線基板19には、左ドラム機構16及び右ドラム機構17の後述する外側回転ドラム30、30a、内側回転ドラム31、31aの外周の一部に対面するように停止位置検出器21~24が設けられている。この停止位置検出器21~24は、光り検出型のスイッチで構成され、各回転ドラム30、30a、31、31aの外周一部に貼付される反射板(図示しない)を検出することにより、後述する駆動モータ33、37(ステッピングモータ)のステップ数をリセットし、引いては回転ドラムの停止位置を検出するようになっている。また、端子基板20には、左ドラム機構16及び右ドラム機構17の後述するモータ配線35、39、ランプ用配線43のコネクタ端子、及びディジタル表示器18の配線(図示しない)のコネクタ端子を集約して接続する端子群(図示しない)が設けられている。 ・・・ 【0011】また、内側回転ドラム31は、前記ドラム収納箱15の所定の位置に位置決めして装着されるモータ取付板36に止着される駆動モータ37(ステッピングモータ)のモータ軸38に固着されている。また、駆動モータ37からは、モータ用配線39が引き出されてモータ取付板36の下部後端から後方へ延設されている。このように外側回転ドラム30と内側回転ドラム31とは、異なる駆動モータ33、37によって独立して回転駆動されるようになっている。更に、モータ取付板36の前方には、照射ランプ装置40が取り付けられている。この照射ランプ装置40は、前面が開放し且つ上下2つに区画されたランプ収容室41a,41bに照射ランプ42a,42bを収納する構造となっている。しかして、ランプ42a,42bは、前記透視レンズ部14から透視し得る2つの図柄の後面を照射するように構成され、可変表示装置10が可変表示しているときに点灯するようになっている。なお、照射ランプ42a,42bの照射能力を高めるために、ランプ収容室41a,41bの内周面は、光を反射し易い色(例えば、白又は金属光沢色)とされており、更に、回転ドラム30、31は、少なくとも外周面が透過性のある材料で形成されている。 【0012】ところで、照射ランプ装置40からは、ランプ用配線43が引き出されてモータ取付板36の上部後端から後方へ延設されるが、モータ取付板36への取付が回転ドラム30、31の回転の邪魔とならないような構造となっている。即ち、モータ取付板36は、上部後端寄りに開設した貫通穴44からその隅角部に向かって凹部45をプレス加工され、その凹部45の途中に係止穴46が形成される。しかして、照射ランプ装置40から延びるランプ用配線43を、まず貫通穴44を貫通させてモータ取付板36の後方に通し、その後、凹部45内に敷設する。そして、敷設した状態でモータ取付板36の後方からコ字状の係止金具47を係止穴46に差し込み、その両端片である折曲片48a,48bをモータ取付板36の前面側で左右に折り曲げて係止穴46の開口縁に係止させる。これにより、ランプ用配線43をモータ取付板36に密着した状態で係止することができると共に、使用時に発熱するランプ用配線43の熱によってもその密着状態が解除されることはない。なお、ランプ用配線43だけでなく前記モータ用配線35、39も同じ構造によってそれぞれモータ取付板32、36に密着して取り付けられている。」 イ「【0017】なお、上記した実施例では、外側回転ドラムと内側回転ドラムとからなるドラム機構(以下、Wドラム機構という)を2つ有し、ディジタル表示器を1つ有する可変表示装置10を例示したが、すべてをWドラム機構とした可変表示装置であっても良いし、1つのWドラム機構だけを含む可変表示装置であっても良い。また、Wドラム機構と従来のシングルドラム機構とを組合せた可変表示装置であっても良い。また、回転部材として筒状のドラム構造のものではなく、前後方向に重複する円盤状のものでも良いし、ベルト状の回転部材、又はこれらを組合せた回転部材としても良い。更に、重複する回転部材を同心状に配置する必要はなく、要は、遊技者に視認できる位置でそれぞれの回転部材に形成される表示要素が合成されるようになっていれば良い。また、回転部材の外周面に形成される表示要素として、実施例のような数値情報や着色フィルタだけでなく、図柄情報や他の表示情報であっても良い。例えば、外側回転部材に数値情報や図柄情報を表示し、内側回転部材に当りとなる有効ライン表示情報を表示することが考えられる。 更に、上記実施例においては、可変表示装置10を弾球遊技機に応用した例を示したが、回胴式遊技機に応用しても良い。なお、本発明の技術思想を応用すれば、例えば、遊技者の認識し得る識別情報を外側回転部材だけに表示し、内側回転部材には、識別情報とは関係ない装飾用表示要素を形成することも考えられる。」 上記アの記載事項から、図面に関して以下の事項が導かれる。 ウ 上記段落【0011】の「モータ取付板36に止着される駆動モータ37」との記載をふまえれば、図5には、モータ取付板36の一面に止着される駆動モータ37が示されているといえる。 上記ア、イの記載事項から、以下の事項が導かれる。 あ 上記段落【0009】に記載された「モータ配線39」が、上記段落【0011】に記載された「モータ用配線39」と同じ構成であることは、自明である。 い い-1 上記段落【0012】の「モータ取付板36は、上部後端寄りに開設した貫通穴44からその隅角部に向かって凹部45をプレス加工され、その凹部45の途中に係止穴46が形成される。」、「照射ランプ装置40から延びるランプ用配線43を、まず貫通穴44を貫通させてモータ取付板36の後方に通し、その後、凹部45内に敷設する。」、「敷設した状態でモータ取付板36の後方からコ字状の係止金具47を係止穴46に差し込み、その両端片である折曲片48a,48bをモータ取付板36の前面側で左右に折り曲げて係止穴46の開口縁に係止させる。これにより、ランプ用配線43をモータ取付板36に密着した状態で係止することができる」との記載より、刊行物2には、「ランプ用配線43」の「モータ取付板36」への取付に関する構造について、「モータ取付板36は、開設した貫通穴からその隅角部に向かって凹部をプレス加工され、その凹部の途中に係止穴が形成され、照射ランプ装置40から延びるランプ用配線43を、まず貫通穴を貫通させてモータ取付板36の後方に通し、その後、凹部内に敷設し、敷設した状態でモータ取付板36の後方からコ字状の係止金具を係止穴に差し込み、その両端片である折曲片をモータ取付板36の前面側で左右に折り曲げて係止穴の開口縁に係止させることにより、ランプ用配線43をモータ取付板36に密着した状態で係止することができる」ことが記載されているといえる。 い-2 上記段落【0012】には「ランプ用配線43だけでなく前記モータ用配線35、39も同じ構造によってそれぞれモータ取付板32、36に密着して取り付けられている。」と記載され、「モータ用配線39」の「モータ取付板36」への取付に関する構造が、「ランプ用配線43」の「モータ取付板36」への取付に関する構造と同じ構造であることが記載されている。 そうすると、上記い-1で検討した「ランプ用配線43」の「モータ取付板36」への取付に関する構造についての記載は、「モータ用配線39」の「モータ取付板36」への取付に関する構造にもそのまま当てはまるといえる。 そして、上記段落【0012】の「照射ランプ装置40からは、ランプ用配線43が引き出されてモータ取付板36の上部後端から後方へ延設される」との記載より、「ランプ用配線43」は「照射ランプ装置40」から引き出されて延設されるのに対して、上記段落【0011】の「駆動モータ37からは、モータ用配線39が引き出されてモータ取付板36の下部後端から後方へ延設されている」との記載より、「モータ用配線39」は「駆動モータ37」から引き出されて延設されることから、「ランプ用配線43」の「モータ取付板36」への取付に関する構造と、「モータ用配線39」の「モータ取付板36」への取付に関する構造との間では、「ランプ用配線43」、「照射ランプ装置40」がそれぞれ、「モータ用配線39」、「駆動モータ37」と対応関係にある。 い-3 上記い-2での検討より、上記い-1で検討した「ランプ用配線43」の「モータ取付板36」への取付に関する構造についての記載は、そのまま「ランプ用配線43」を「モータ用配線39」に、「照射ランプ装置40」を「駆動モータ37」にそれぞれ置換することができて、刊行物2には、モータ取付板36は、開設した貫通穴からその隅角部に向かって凹部をプレス加工され、その凹部の途中に係止穴が形成され、駆動モータ37から延びるモータ用配線39を、まず貫通穴を貫通させてモータ取付板36の後方に通し、その後、凹部内に敷設し、敷設した状態でモータ取付板36の後方からコ字状の係止金具を係止穴に差し込み、その両端片である折曲片をモータ取付板36の前面側で左右に折り曲げて係止穴の開口縁に係止させることにより、モータ用配線39をモータ取付板36に密着した状態で係止することができることが記載されていると認められる。 う 上記段落【0017】の「上記実施例においては、可変表示装置10を弾球遊技機に応用した例を示したが、回胴式遊技機に応用しても良い。」との記載より、刊行物2には、回胴式遊技機であることが記載されていると認められる。 上記ア~イの記載事項、上記ウの図面に関する認定事項、及び上記あ~うの認定事項より、刊行物2には次の事項が記載されていると認められる(以下、「刊行物2記載事項」という。)。 「モータ取付板36の一面に止着される駆動モータ37のモータ軸38に固着されている内側回転ドラム31と、(段落【0011】、図面に関する認定事項ウ) 駆動モータ37から引き出され、モータ取付板36の下部後端から後方へ延設されているモータ用配線39と、(段落【0011】) モータ用配線39のコネクタ端子を接続する端子が設けられている端子基板20と、(段落【0009】、認定事項あ) を備え、 モータ取付板36は、開設した貫通穴からその隅角部に向かって凹部をプレス加工され、その凹部の途中に係止穴が形成され、駆動モータ37から延びるモータ用配線39を、まず貫通穴を貫通させてモータ取付板36の後方に通し、その後、凹部内に敷設し、敷設した状態でモータ取付板36の後方からコ字状の係止金具を係止穴に差し込み、その両端片である折曲片をモータ取付板36の前面側で左右に折り曲げて係止穴の開口縁に係止させることにより、モータ用配線39をモータ取付板36に密着した状態で係止することができる、(認定事項い) 回胴式遊技機。(認定事項う)」 (4-3)刊行物3 本願の出願遡及日前に頒布され、当審拒絶理由において刊行物3として提示された刊行物である特開2006-212168号公報(以下、引き続き「刊行物3」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。 ア「【0012】 図1は本発明にかかるリールユニットの一実施形態を備えたスロットマシンの外観を示す斜視図である。このスロットマシン1は、例えば図1に示すように構成されている。即ち、このスロットマシン1では、筐体3の前面が前面パネル5により開閉自在に閉塞され、この前面パネル5のほぼ中央高さの位置に操作板7が配設されると共に、この操作板7の上方に正面板9が配設されている。 ・・・ 【0017】 リールユニット51の支持枠体53は、天板部53aと底板部53bと右枠部53cと左枠部53dとから構成されている。この支持枠体53は、各リール13L,13M,13Rをそれぞれ回転軸55周りに回転可能に支持している。さらに、この支持枠体53は、各リール13L,13M,13Rの回転軸55とそれぞれ連結されたモータ57L,57M,57Rを支持している。また、支持枠体53の天板部53aには、モータ57L,57M,57Rの制御回路59が実装された矩形の基板61が横置きに配設されるとともに、この基板61を被包する基板ケース63が配設されている。 【0018】 図12において、基板61の左半部のほぼ中央と右半部のほぼ中央とには、それぞれねじを通すための丸孔611L,611Rが透設されている。そして、丸孔611Lが通る線を左辺とし、丸孔611Rが通る線を右辺とする所定サイズの矩形領域612を除く領域に、制御回路59を構成する電子部品65,65,…や制御回路59と外部の電子回路とを接続するためのコネクタ67,67,…などが実装されている。このように電子部品65やコネクタ67の実装位置を制限することによって、矩形領域612には配線パターンが形成されないようにしている。」 図面に関して、以下の事項が導かれる。 イ 図11、図12からは、3つの同種のコネクタ67,67,…のうち2つのコネクタは、基板61の左半部側の側方寄りに設けられ、1つのコネクタは、基板61の右半部側の側方寄りに設けられることが、看て取れる。 上記アの記載事項、及び上記イの図面に関する認定事項より、刊行物3には次の事項が記載されていると認められる(以下、「刊行物3記載事項」という。)。 「3つの同種のコネクタ67,67,…のうち2つのコネクタは、天板部53aと底板部53bと右枠部53cと左枠部53dとから構成され各リール13L,13M,13R及びモータ57L,57M,57Rを支持する支持枠体53の天板部53aに配設された基板61の左半部側の側方寄りに設けられ、1つのコネクタは、基板61の右半部側の側方寄りに設けられた、スロットマシン1。」 (5)対比 本願発明と刊行物1発明とを対比する(下記の(a)~(h)は、刊行物1発明の構成a~hに対応している。)。 (a)刊行物1発明の「遊技機(1)としてのスロットマシン」において遊技が可能であることは明らかであるから、刊行物1発明の「遊技機(1)としてのスロットマシン」は、本願発明の「遊技が可能な遊技機」に相当する。 (b)刊行物1発明は、「3個の回転リール(6a)」を備え、かつ「各回転リール(6a)を回転させるための各モータ(10)」が「各回転リール(6a)の内側に収容され」るものであるから、「各回転リール(6a)」と、その内側に収容される「各回転リール(6a)を回転させるための各モータ(10)」とからなる一体の組を、3つ備えているといえる。 また、「各モータ(10)」は「各回転リール(6a)の内側に収容」されるのであるから、上記「3つ」の「一体の組」の各々が「各モータ(10)」を支持する何らかの支持板を有することは自明である。 したがって、上記「一体の組」は、本願発明の「リール体」に相当する。 よって、刊行物1発明において、上記「3つ」の「一体の組」をなす「3個の回転リール(6a)と、各回転リール(6a)の内側に収容され、各回転リール(6a)を回転させるための各モータ(10)」は、本願発明の「3つのリール体」に相当する。 (c)上記(b)での検討より、刊行物1発明の「3個の回転リール(6a)と、各回転リール(6a)の内側に収容され、各回転リール(6a)を回転させるための各モータ(10)」(構成b、f’)が、本願発明の「3つのリール体」に相当することをふまえると、刊行物1発明において「両側板部(61c)(61d)間に、内側に各回転リール(6a)を回転させるための各モータ(10)が収容された3個の回転リール(6a)をそれぞれ回転可能に枢支」することは、本願発明において「前記3つのリール体を保持」することに相当する。 また、刊行物1発明の「前面が開放する」は、本願発明の「前面が開口する」に相当する。 したがって、刊行物1発明の「両側板部(61c)(61d)間に、内側に各回転リール(6a)を回転させるための各モータ(10)が収容された3個の回転リール(6a)をそれぞれ回転可能に枢支し、前面が開放するリール枠体(61)」は、本願発明の「前記3つのリール体を保持し、前面が開口するリール体保持部材」に相当する。 (d)刊行物1発明の「各モータ(10)からの電気的接続ケーブル」における「各モータ(10)」は、上記(b)での検討より、「各回転リール(6a)」と「各モータ(10)」とからなる「3つ」の「一体の組」の各々を構成している。また、上記(b)での検討より、当該「一体の組」は本願発明の「リール体」に相当する。したがって、刊行物1発明の「各モータ(10)からの電気的接続ケーブル」は、本願発明の「前記3つのリール体各々から延びる配線」に相当する。 刊行物1発明の「3個のモータ出力コネクタ(112)~(114)」、「回転リール制御基板(11)」は、それぞれ本願発明の「複数のコネクタ」、「基板」に相当する。 刊行物1発明の「リール枠体(61)の天板部(61b)に載置され」は、本願発明の「前記リール体保持部材の上部に設けられ」に相当する。 以上より、刊行物1発明の「リール枠体(61)の天板部(61b)に載置され、各モータ(10)からの電気的接続ケーブルが接続される3個のモータ出力コネクタ(112)~(114)が設けられている、回転リール制御基板(11)」は、本願発明の「前記リール体保持部材の上部に設けられ、前記3つのリール体各々から延びる配線が接続される複数のコネクタを有する基板」に相当する。 (e)刊行物1発明の「3個のモータ出力コネクタ(112)~(114)」、「モータ出力コネクタ(112)及びモータ出力コネクタ(113)」、「回転リール制御基板(11)の一側方寄り」は、それぞれ本願発明の「前記複数のコネクタ」、「2つのコネクタ」、「前記基板の一側方寄り」に相当する。 したがって、刊行物1発明において「3個のモータ出力コネクタ(112)~(114)のうち、モータ出力コネクタ(112)及びモータ出力コネクタ(113)は、回転リール制御基板(11)の一側方寄りに設けられ」ることは、本願発明において「前記複数のコネクタのうち2つのコネクタは、前記基板の一側方寄りに設けられ」ることに相当する。 (f)上記(b)での検討より、刊行物1発明において「3つ」の「一体の組」をなす「3個の回転リール(6a)と、各回転リール(6a)の内側に収容され、各回転リール(6a)を回転させるための各モータ(10)」は、本願発明の「3つのリール体」に相当する。 また、上記(b)での検討より、上記「3つ」の「一体の組」の各々は、「各回転リール(6a)」と「各回転リール(6a)を回転させるための各モータ(10)」とからなるのであるから、「各回転リール(6a)」、及び「各回転リール(6a)を回転させるための各モータ(10)」を有していることは自明であり、刊行物1発明の当該「各回転リール(6a)」、「各回転リール(6a)を回転させるための各モータ(10)」は、それぞれ本願発明の「リール」、「該リールを回転させるリールモータ」に相当する。 さらに、上記(b)での検討より、上記「3つ」の「一体の組」の各々が「各モータ(10)」を支持する何らかの支持板を有することは自明である。 したがって、刊行物1発明において「3個の回転リール(6a)と、各回転リール(6a)の内側に収容され、各回転リール(6a)を回転させるための各モータ(10)」を備えることは、本願発明において「前記3つのリール体各々は、リール、該リールを回転させるリールモータ及び該リールモータを」「支持する」「支持板を有し」ていることに相当する。 よって、刊行物1発明において「3個の回転リール(6a)と、各回転リール(6a)の内側に収容され、各回転リール(6a)を回転させるための各モータ(10)」を備えることは、本願発明の「前記3つのリール体各々は、リール、該リールを回転させるリールモータ及び該リールモータを一面に支持するリール支持板を有し、該リール支持板における前記リールモータよりも上方には、該リールモータの配線を前記一面側から他面側に引出すための配線引出穴と、該他面側に引出した配線を上方に向けて延出した状態で保持する配線押えと、が設けられ」ることと、「前記3つのリール体各々は、リール、該リールを回転させるリールモータ及び該リールモータを」「支持する」「支持板を有し」ている点で共通する。 (g)刊行物1発明の「リール枠体(61)」は、「底部を形成する底板部(61a)、上部を形成する天板部(61b)、側部を形成する両側板部(61c)(61d)及び後部を形成する後板部(61e)とを有する、前面が開放する正面視矩形をなす」から、上記「底板部(61a)」の上面は、「リール枠体(61)」の内側底面をなすといえる。 したがって、刊行物1発明の「リール枠体(61)は、底部を形成する底板部(61a)、上部を形成する天板部(61b)、側部を形成する両側板部(61c)(61d)及び後部を形成する後板部(61e)とを有する、前面が開放する正面視矩形をなす」ことは、本願発明の「前記リール体保持部材の内側底面には、前記リール支持板の前後方向への移動を案内する案内部が設けられている」ことと、「前記リール体保持部材」が「内側底面」を有する点で共通する。 (h)刊行物1発明の「スロットマシン」は、本願発明の「遊技機」に相当する。 上記(a)~(h)の対比より、本願発明と刊行物1発明とは、次の点で一致している。 「A 遊技が可能な遊技機であって、 B 3つのリール体と、 C 前記3つのリール体を保持し、前面が開口するリール体保持部材と、 D 前記リール体保持部材の上部に設けられ、前記3つのリール体各々から延びる配線が接続される複数のコネクタを有する基板と、 を備え、 E 前記複数のコネクタのうち2つのコネクタは、前記基板の一側方寄りに設けられ、 F’前記3つのリール体各々は、リール、該リールを回転させるリールモータ及び該リールモータを支持する支持板を有し、 G’前記リール体保持部材は内側底面を有する、 H 遊技機。」 そして、本願発明と刊行物1発明とは、次の点で相違している。 (相違点1) 「リールモータを支持する支持板」に関して、本願発明は、「リールモータを一面に支持するリール支持板」であり、「前記リールモータよりも上方には、該リールモータの配線を前記一面側から他面側に引出すための配線引出穴と、該他面側に引出した配線を上方に向けて延出した状態で保持する配線押えと、が設けられている」のに対して、刊行物1発明は、そのような特定がなされていない点。(構成F) (相違点2) 「リール体保持部材の内側底面」に関して、本願発明は、「前記リール支持板の前後方向への移動を案内する案内部が設けられている」のに対して、刊行物1発明は、そのような特定がなされていない点。(構成G) (6)当審の判断 ア 上記相違点1について検討する。 (ア)上記(4-2)では、刊行物2記載事項を認定したところであるが、まず、本願発明と当該刊行物2記載事項との対応関係について検討する。 刊行物2記載事項の「内側回転ドラム31」は、本願発明の「回転」する「リール」と、回胴式遊技機で用いられる回転体である点で共通し、刊行物2記載事項の「駆動モータ37」は、本願発明の「リールモータ」と、当該回転体を回転させるモータである点で共通する。 刊行物2記載事項の「駆動モータ37」が「一面に止着される」「モータ取付板36」は、本願発明の「該リールモータを一面に支持するリール支持板」と、上記回転体を回転させるモータを一面に支持する板である点で共通する。 刊行物2記載事項の「貫通穴」は、「モータ用配線39を、まず貫通穴を貫通させてモータ取付板36の後方に通」すものであるから、本願発明の「該リールモータの配線を前記一面側から他面側に引出すための配線引出穴」と、上記回転体を回転させるモータの配線を、モータを支持する一面側から他面側に引出すための穴である点で共通する。 刊行物2記載事項の「係止金具」は、「貫通穴を貫通させてモータ取付板36の後方に通し」た「モータ用配線39」を、「モータ取付板36に密着した状態で係止することができる」ものであるから、本願発明の「該他面側に引出した配線を上方に向けて延出した状態で保持する配線押え」と、他面側に引出した配線を延出した状態で保持する配線押えである点で共通する。 (イ)次に、刊行物1発明と刊行物2記載事項との共通性について検討する。 刊行物1発明と刊行物2記載事項とは、いずれもスロットマシン(回胴式遊技機)に関し、回転リール(回転ドラム)と、回転リールを回転させるためのモータ(駆動モータ)と、モータに電気的接続ケーブル(モータ用配線)により接続されるコネクタが設けられている制御基板(コネクタ端子を接続する端子が設けられている端子基板)を備える点において、構成が共通している。 加えて、刊行物2の段落【0012】に記載された、配線が回転ドラムの回転の邪魔とならないようにするという課題は、モータが回転リールの内側に収容されて、モータとコネクタとをケーブルにより接続するスロットマシンに関する刊行物1発明においても、内在する課題であるといえる。 (ウ)したがって、刊行物1発明において、刊行物2記載事項における「モータ取付板36」、「貫通穴」、「係止金具」に係る構成を採用して、「各回転リール(6a)」と「各モータ(10)」からなる一体の組の各々が、貫通穴と係止金具とが設けられ「モータ(10)」を一面に止着するモータ取付板を有するようにすることは、当業者にとって格別困難なことではない。 また、刊行物1発明においては、「リール枠体(61)」が「両側板部(61c)(61d)間に」「3個の回転リール(6a)をそれぞれ回転可能に枢支」しているから(構成c)、「3個の回転リール(6a)」は、「リール枠体(61)」の「両側板部(61c)(61d)間」にあり、他方、「回転リール制御基板(11)」は「リール枠体(61)の天板部(61b)に載置され」ている(構成d)。したがって、「3個の回転リール(6a)」及び「回転リール制御基板(11)」それぞれの「リール枠体(61)」との位置関係を考慮すると、「回転リール制御基板(11)」が「各回転リール(6a)」よりも上方に位置することは明らかである。 そうすると、刊行物1発明において刊行物2記載事項を採用した際に、「各モータ(10)からの電気的接続ケーブル」を上方に向けて配置すべく、「モータ(10)」と貫通穴及び係止金具との位置関係に関して、「モータ(10)」よりも上方に貫通穴及び係止金具を設けたり、係止金具が係止する電気的接続ケーブルの状態に関して、電気的接続ケーブルを上方に向けて延出した状態で保持することも、通常の創作能力に基づいて当業者が適宜なし得たことにすぎない。 よって、刊行物1発明において刊行物2記載事項を採用して、上記相違点1に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 イ 上記相違点2について検討する。 スロットマシンの技術分野において、リールと一体をなしリールモータを支持する板を設けること、及び前面が開口してリールを保持する部材の内側底面に、当該板の前後方向への移動を案内する部位を設けて、リールの配置を容易なものとすることは、例えば、特開2004-201980号公報(段落【0217】、【0264】、【0265】、【0268】、【0297】、【0306】、図34、図44には、内部にリール51L、51C、51Rを収容でき、前面が開口する箱状のリール収容箱体52の底壁52cの上面には、各リール51L、51C、51Rを組み付ける際に、リールモータ54を取り付けるためのリール体の各支持板600L、600C、600Rを後方の設置位置に向けて案内する案内手段としての左右一対の案内規制片465L、465C、465R、466L、466C、466Rが上向きに突設されていることが記載されている。)、特開2004-154191号公報(段落【0097】、【0136】、【0137】、【0140】、【0170】、【0179】、図13、図16には、上記特開2004-201980号公報と同様の内容が記載されている。)、特開2004-135710号公報(段落【0099】、【0138】、【0139】、【0142】、【0168】、図13、図17には、上記特開2004-201980号公報と同様の内容が記載されている。)、特開2004-57332号公報(段落【0139】-【0141】、図2、図15には、ベースユニット301は、前面が開放する筺状に形成されており、その内面側の下面には、前後方向に、予めリール51、リールモータ54、リールLED55a~c、リールセンサ56が一体に組み付けられたユニットであるリールユニット302L、302C、302Rを取付けるための複数列のガイド溝351が形成されていることが記載されている。図2、図15からは、リールユニット302L、302C、302Rにおいて、リール51と一体をなしリールモータ54を支持する板の存在が看取され、また、上記ガイド溝351が当該「板」をガイドすることは、図15を見れば自明である。)、特開2006-305020号公報(段落【0471】、【0477】、【0478】、【0498】、【0507】、【0548】、【0551】、【0557】、図80、図83には、前面が開口する箱状に形成され、リール体が組み付けられるリールユニット枠550の膨出部551を構成する下平板部552cの内面に、リールモータを固定するリール体の支持板600L、600C、600Rを後方に向けて案内された状態でスライド移動させるガイド片557Lc、557Cc、557Rcを突設することが記載されている。)に示されるように、本願の出願遡及日前における周知技術である。 他方、刊行物1発明において、少なくとも「スロットマシン」の製造時に、「底部を形成する底板部(61a)、上部を形成する天板部(61b)、側部を形成する両側板部(61c)(61d)及び後部を形成する後板部(61e)とを有する、前面が開放する正面視矩形をなす」「リール枠体(61)」の「両側板部(61c)(61d)間」すなわち内側に、「3個の回転リール(6a)」及び「各モータ(10)」を配置する作業が必要となることは明らかである。 そうすると、刊行物1発明において、製造時に「リール枠体(61)」の内側へ「3個の回転リール(6a)」及び「各モータ(10)」を配置する作業を容易なものとするために、上記周知技術を採用し、「3個の回転リール(6a)」の各々と一体をなし「各モータ(10)」を支持する板(リール支持板)を設け、かつ「リール枠体(61)」の「底板部(61a)」の上面に、当該「板」の前後方向への移動を案内する部位(案内部)を設けて、上記相違点2に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 したがって、本願発明は、刊行物1発明、刊行物2記載事項、及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明することができたものである。 ウ ところで、ここまでの説示は、刊行物1発明の「回転リール制御基板(11)」が本願発明の「基板」に相当するものとして判断したものであるが、刊行物1においては、上記「回転リール制御基板(11)」と「サブリール基板(11a)」(段落【0042】、図6)とで一つの基板を構成している、との見方ができないわけではなく、そのような見方をした場合、モータ出力コネクタ(112)及びモータ出力コネクタ(113)は、「回転リール制御基板(11)」と「サブリール基板(11a)」とで構成される基板の一側方寄りに設けられているとはいえなくなる。 そこで、そのような見方をしたと仮定した場合についても検討すると、刊行物1発明は次のように認定される。 「a 遊技機(1)としてのスロットマシンであって、 b、f’3個の回転リール(6a)と、各回転リール(6a)の内側に収容され、各回転リール(6a)を回転させるための各モータ(10)と、 c 両側板部(61c)(61d)間に、内側に各回転リール(6a)を回転させるための各モータ(10)が収容された3個の回転リール(6a)をそれぞれ回転可能に枢支し、前面が開放するリール枠体(61)と、 d リール枠体(61)の天板部(61b)に載置され、各モータ(10)からの電気的接続ケーブルが接続される3個のモータ出力コネクタ(112)~(114)が設けられている、回転リール制御基板(11)とサブリール基板(11a)からなる基板と、 を備え、 e’3個のモータ出力コネクタ(112)~(114)のうち、モータ出力コネクタ(112)及びモータ出力コネクタ(113)は、回転リール制御基板(11)の一側方寄りに設けられ、 g’リール枠体(61)は、底部を形成する底板部(61a)、上部を形成する天板部(61b)、側部を形成する両側板部(61c)(61d)及び後部を形成する後板部(61e)とを有する、前面が開放する正面視矩形をなす、 h スロットマシン。」 そして、本願発明と刊行物1発明は、上記(5)で検討した相違点1及び相違点2に加えて、次の点において相違する。 (相違点3) 「前記複数のコネクタのうち2つのコネクタ」に関して、本願発明は、前記基板の一側方寄りに設けられ」るのに対して、刊行物1発明は、回転リール制御基板(11)の一側方寄りに設けられるものの、回転リール制御基板(11)とサブリール基板(11a)からなる基板の一側方寄りに設けられない点。(構成E) まず、上記相違点1及び相違点2については、上記ア及びイでそれぞれ検討したとおり、刊行物1発明において刊行物2記載事項を採用して、また刊行物1発明において周知技術を採用して、上記相違点1及び相違点2に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 次に、上記相違点3について検討する。 刊行物1発明と刊行物3記載事項とは、リール及びモータを支持する枠体の天板部に、3つの同種のコネクタが設けられた基板を配置するスロットマシンである点において共通するから、刊行物1発明の「回転リール制御基板(11)とサブリール基板(11a)からな」り、「3個のモータ出力コネクタ(112)~(114)のうち、モータ出力コネクタ(112)及びモータ出力コネクタ(113)は、回転リール制御基板(11)の一側方寄りに設けられ」る基板に換えて、刊行物3記載事項の、3つのコネクタのうち2つのコネクタが一側方寄りに設けられ、1つのコネクタが他側方寄りに設けられた基板を備えるようにし、上記相違点3に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 したがって、仮に刊行物1において「回転リール制御基板(11)」と「サブリール基板(11a)」とで一つの基板を構成しているとしてみても、刊行物1発明に刊行物2記載事項、刊行物3記載事項及び周知技術を適用して本願発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 (7)請求人の主張について ア 請求人は、平成30年4月25日付け意見書において、「したがって、刊行物1に刊行物2を適用したとしても、刊行物2のランプ用配線43は前方に延出されるものであって、本発明1のようにリールモータの配線を上方に向けて延出するものではない以上、本発明1の「該リール支持板における前記リールモータよりも上方には、該リールモータの配線を前記一面側から他面側に引出すための配線引出穴と、該他面側に引出した配線を上方に向けて延出した状態で保持する配線押えと、が設けられ、」なる構成において、「前記リール体保持部材の内側底面には、前記リール支持板の前後方向への移動を案内する案内部が設けられている」なる構成には到達し得ず、リール体保持部材内において3つのリール体それぞれの位置関係を適切に保ち、配線引出穴を介して上方に向けて延出される3つのリールモータの配線の位置関係も適切に保つことで、該リールモータの配線をリール体保持部材の上部に設けたコネクタに容易に接続するという技術思想には到達し得ません。」と主張する。 しかしながら、「該リール支持板における前記リールモータよりも上方には、該リールモータの配線を前記一面側から他面側に引出すための配線引出穴と、該他面側に引出した配線を上方に向けて延出した状態で保持する配線押えと、が設けられ、」なる構成については、上記(6)アで検討したように、刊行物1発明及び刊行物2記載事項に基づいて当業者が容易に想到し得たことであり、「前記リール体保持部材の内側底面には、前記リール支持板の前後方向への移動を案内する案内部が設けられている」なる構成については、上記(6)イで検討したように、刊行物1発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に想到し得たことである。 したがって、請求人の主張する「リール体保持部材内において3つのリール体それぞれの位置関係を適切に保ち、配線引出穴を介して上方に向けて延出される3つのリールモータの配線の位置関係も適切に保つことで、該リールモータの配線をリール体保持部材の上部に設けたコネクタに容易に接続するという技術思想」は、刊行物1発明、刊行物2記載事項、及び周知技術に基づいて到達し得たものであるから、請求人の主張は採用することができない。 イ 請求人は、同意見書において、「これにより本発明1は、リール体保持部材の内側底面にリール支持板の前後方向への移動を案内する案内部を設けることにより、リール体保持部材に3つのリール体を組み付ける際に作業が容易になることに加えて、リール体保持部材内において3つのリール体それぞれの位置関係を適切に保ち、配線引出穴を介して上方に向けて延出される3つのリールモータの配線の位置関係も適切に保つことで、該リールモータの配線をリール体保持部材の上部に設けたコネクタに容易に接続することができる、という効果を奏します。」、及び「そして、本発明1は上記構成を有することにより、刊行物1、2に記載された発明からは予測し難い特有の上記効果を奏するものです。」と主張する。 しかしながら、「リール体保持部材の内側底面にリール支持板の前後方向への移動を案内する案内部を設けることにより、リール体保持部材に3つのリール体を組み付ける際に作業が容易になることに加えて、リール体保持部材内において3つのリール体それぞれの位置関係を適切に保」つという効果は、上記(6)イで検討した周知技術により奏されるものであり、その際に「3つのリールモータの配線の位置関係も適切に保」たれることは自明である。また、「配線引出穴を介して上方に向けて延出される」ことは、上記(6)ア(ウ)で検討したとおり、刊行物1発明において刊行物2記載事項を採用して当業者が容易に想到し得たことである。そうすると、「該リールモータの配線をリール体保持部材の上部に設けたコネクタに容易に接続することができる」という効果も、刊行物1発明、刊行物2記載事項、及び周知技術から予測される範囲のものといえる。 したがって、請求人の主張する効果は、「刊行物1、2に記載された発明からは予測し難い特有」のものということはできない。 よって、請求人の主張は採用することができない。 (8)むすび 以上のとおりであるから、本願発明は、刊行物1発明、刊行物2記載事項、及び周知技術に基づいて、又は刊行物1発明、刊行物2記載事項、刊行物3記載事項及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明することができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2017-010506

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