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特許拒絶査定不服審判

2017-010292

遊技機

審判番号
2017-010292
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2016-078213外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2017年07月10日
審決日
2018年02月13日
公報発行日
2018年05月25日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-Z (A63F) / P18 .575-Z (A63F)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第17条の2第6項、特許法第17条の2第5項第2号
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2016- 78213号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成29年10月12日出願公開、特開2017-185142号〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 本願は、平成28年4月8日に特許出願されたものであって、同年8月23日付けで拒絶理由が通知され、これに対し同年10月11日に意見書及び手続補正書が提出され、同年12月8日付けで拒絶理由が通知(いわゆる「最後の拒絶理由通知」)され、平成29年2月10日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、同年4月12日付けで、同年2月10日付けの手続補正書が却下されると共に拒絶査定がなされ、これに対し同年7月10日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に明細書及び特許請求の範囲に係る手続補正(以下、「本件補正」という。)がなされたものである。 第2 本件補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 本件補正を却下する。 [理由] 1.本件補正の概要 本件補正は特許請求の範囲の請求項1-5の記載を含む補正であり、平成28年10月11日付けの手続補正と本件補正の特許請求の範囲の請求項1の記載はそれぞれ、以下のとおりである(下線部は、本件補正箇所を示す。)。 (補正前:平成28年10月11日付け手続補正) 「【請求項1】 遊技には、通常行われる通常遊技と、少なくとも前記通常遊技よりも利益付与の可能性が高い遊技を含む特殊遊技とが設けられ、 前記特殊遊技の遊技回数に関する情報を報知可能な報知手段を備えた遊技機において、 前記特殊遊技では、 前記特殊遊技の最大の遊技回数となる最大遊技回数と、 前記最大遊技回数以下の遊技回数であって、前記特殊遊技を終了させるための終了遊技回数と、 前記終了遊技回数以下の遊技回数となる区分遊技回数とが設定され、 前記特殊遊技中に実行した遊技回数(以下、「実行遊技回数」とする。)が前記終了遊技回数に到達すると、前記特殊遊技を終了させるように形成され、 前記実行遊技回数が前記区分遊技回数に到達する前、または到達時に前記終了遊技回数の範囲内で前記区分遊技回数に対する上乗せが実行可能に形成され、 前記実行遊技回数が前記区分遊技回数に到達する前、または到達時に遊技の結果に基づいて、前記最大遊技回数の範囲内で前記終了遊技回数の増加が実行可能に形成され、 前記報知手段は、遊技者に対して、前記区分遊技回数及び前記区分遊技回数に対する上乗せを報知するが前記終了遊技回数の全体は報知せず、 前記区分遊技回数に対する上乗せは、前記実行遊技回数が、前記終了遊技回数に到達するまで繰り返し実行されるように形成され、 前記実行遊技回数が前記区分遊技回数に到達する前又は到達時に遊技者が上乗せされることを認識可能な特殊条件が成立した場合には、前記区分遊技回数に対する上乗せが実行されるとともに前記終了遊技回数の増加が実行されることを特徴とする遊技機。」 (補正後:本件補正である平成29年7月10日付け手続補正) 「【請求項1】 遊技には、通常行われる通常遊技と、少なくとも前記通常遊技よりも利益付与の可能性が高い遊技を含む特殊遊技とが設けられ、 前記特殊遊技の遊技回数に関する情報を報知可能な報知手段を備えた遊技機において、 前記特殊遊技では、 前記特殊遊技の最大の遊技回数となる最大遊技回数と、 前記最大遊技回数以下の遊技回数であって、前記特殊遊技を終了させるための終了遊技回数と、 前記終了遊技回数以下の遊技回数となる区分遊技回数とが設定され、 前記特殊遊技中である場合には、前記特殊遊技中に実行した遊技回数(以下、「実行遊技回数」とする。)の計数が行われ、前記特殊遊技中でない場合には、前記実行遊技回数の前記計数が行われないとともに、前記計数の結果、前記実行遊技回数が終了遊技回数に到達すると、前記特殊遊技を終了させるように形成され、 前記実行遊技回数が前記区分遊技回数に到達する前、または到達時に前記終了遊技回数の範囲内で前記区分遊技回数に対する上乗せが実行可能に形成され、 前記実行遊技回数が前記区分遊技回数に到達する前、または到達時に遊技の結果に基づいて、前記最大遊技回数の範囲内で前記終了遊技回数の増加が実行可能に形成され、 前記報知手段は、遊技者に対して、前記区分遊技回数及び前記区分遊技回数に対する上乗せを報知するが前記終了遊技回数の全体は報知せず、 前記区分遊技回数に対する上乗せは、前記実行遊技回数が、前記終了遊技回数に到達するまで繰り返し実行されるように形成され、 前記実行遊技回数が前記区分遊技回数に到達する前又は到達時に遊技者が上乗せされることを認識可能な特殊条件が成立した場合には、前記区分遊技回数に対する上乗せが実行されるとともに前記最大遊技回数の範囲内で前記終了遊技回数の増加が実行されることを特徴とする遊技機。」 2.補正の適否 本件補正は、補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「前記特殊遊技を終了させること」について、補正前の「前記特殊遊技中に実行した遊技回数(以下、「実行遊技回数」とする。)が前記終了遊技回数に到達すると、前記特殊遊技を終了させる」なる記載を「前記特殊遊技中である場合には、前記特殊遊技中に実行した遊技回数(以下、「実行遊技回数」とする。)の計数が行われ、前記特殊遊技中でない場合には、前記実行遊技回数の前記計数が行われないとともに、前記計数の結果、前記実行遊技回数が終了遊技回数に到達すると、前記特殊遊技を終了させる」に限定する補正を行い、また、「終了遊技回数の増加が実行」されることについて、「前記最大遊技回数の範囲内」で行うように限定する補正を行うものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そして、本件補正は新規事項を追加するものではない。 3.独立特許要件 そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か、すなわち、特許法第17条の2第6項において準用する同様第126条第7項の規定に適合するか否か、について以下に検討する。 (1)本件補正後の請求項1に係る発明 本件補正後の請求項1に係る発明(以下、「本件補正発明」という。)は、上記1.の本件補正の概要において示した次のとおりのものである(A~Iは本件補正発明を分説するため当審で付与した。)。 「A 遊技には、通常行われる通常遊技と、少なくとも前記通常遊技よりも利益付与の可能性が高い遊技を含む特殊遊技とが設けられ、 B 前記特殊遊技の遊技回数に関する情報を報知可能な報知手段を備えた遊技機において、 C 前記特殊遊技では、 前記特殊遊技の最大の遊技回数となる最大遊技回数と、 前記最大遊技回数以下の遊技回数であって、前記特殊遊技を終了させるための終了遊技回数と、 前記終了遊技回数以下の遊技回数となる区分遊技回数とが設定され、 D 前記特殊遊技中である場合には、前記特殊遊技中に実行した遊技回数(以下、「実行遊技回数」とする。)の計数が行われ、前記特殊遊技中でない場合には、前記実行遊技回数の前記計数が行われないとともに、前記計数の結果、前記実行遊技回数が終了遊技回数に到達すると、前記特殊遊技を終了させるように形成され、 E 前記実行遊技回数が前記区分遊技回数に到達する前、または到達時に前記終了遊技回数の範囲内で前記区分遊技回数に対する上乗せが実行可能に形成され、 F 前記実行遊技回数が前記区分遊技回数に到達する前、または到達時に遊技の結果に基づいて、前記最大遊技回数の範囲内で前記終了遊技回数の増加が実行可能に形成され、 G 前記報知手段は、遊技者に対して、前記区分遊技回数及び前記区分遊技回数に対する上乗せを報知するが前記終了遊技回数の全体は報知せず、 H 前記区分遊技回数に対する上乗せは、前記実行遊技回数が、前記終了遊技回数に到達するまで繰り返し実行されるように形成され、 I 前記実行遊技回数が前記区分遊技回数に到達する前又は到達時に遊技者が上乗せされることを認識可能な特殊条件が成立した場合には、前記区分遊技回数に対する上乗せが実行されるとともに前記最大遊技回数の範囲内で前記終了遊技回数の増加が実行されること を特徴とする遊技機。」 (2)刊行物に記載された事項 (2-1)刊行物1 本願の出願前に頒布された特開2015-157159号公報(以下、「刊行物1」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審で付した。以下同様。)。 (ア)「【0010】 本発明の手段1のスロットマシンは、 ・・・ 前記特別遊技状態以外の一般遊技状態において遊技者にとって有利な特定遊技状態(AT)に制御する特定遊技状態制御手段と、 ・・・ 前記特定遊技状態(AT)において該特定遊技状態(AT)の残りゲーム数を1ゲーム毎に更新表示する残りゲーム数表示手段と、 を備え、 ・・・ 【0016】 ・・・ 【図33】ATゲーム数の上乗せ抽選の確率の一例を示す図である。 【図34】上乗せ演出の実行状況及び実残りゲーム数と表示残りゲーム数の推移を示す図である。 ・・・」 (イ)「【0163】 本実施例におけるスロットマシンは、図10に示すように、通常遊技状態、内部中1、2、RB、BB(RB)のいずれかに制御され、さらに通常遊技状態(以下、通常遊技状態を通常と称す)においては、RT0~4のいずれかに制御される。」 (ウ)「【0341】 また、本実施例におけるスロットマシンは、遊技状態がRT0~3であるときに、サブ制御部91により、内部抽選結果を報知するナビ演出を実行可能な報知期間となるアシストタイム(以下、ATという)に演出状態を制御可能となっている。」 (エ)「【0550】 尚、本実施例では、ATの対象役が当選した場合に、ストップスイッチ8L、8C、8Rの停止順に応じて停止態様が変化する構成であるが、ATの対象役としてストップスイッチ8L、8C、8Rの操作のタイミング(いわゆる目押しのタイミング)や、ストップスイッチ8L、8C、8Rの操作のタイミング及び停止順の双方に応じて停止態様が変化する構成としても良く、この場合には、ナビ演出としてATの対象役が当選した場合に、遊技者にとって有利となる操作態様として、停止操作のタイミング、或いは停止操作のタイミングと押し順の双方を報知する演出を行えば良い。」 (オ)「【0554】 液晶表示器51にて報知される残りゲーム数は、実際のATの残りゲーム数と必ずしも一致するものではなく、実際の残りゲーム数よりも少ない残りゲーム数が報知され得る。このため、以下では、実際のATの残りゲーム数を実残りゲーム数と呼び、液晶表示器にて報知される残りゲーム数を表示残りゲーム数と呼ぶ。 ・・・ 【0557】 また、サブCPU91aは、AT中に特定役(本実施例では、BB1~3、RB、1枚役、弱スイカ、強スイカ、弱チェリー、強チェリー、中段チェリー)が当選した場合に、ATの実残りゲーム数を上乗せするか否かを決定するATゲーム数の上乗せ抽選を行う。 【0558】 ATゲーム数の上乗せ抽選では、図33に示すように、AT中の特定役当選時に、0G、10G、50G、100G、150G、200G、250G、300Gのいずれかのゲーム数を決定し、10G以上のゲーム数が決定されると、決定されたゲーム数が実残りゲーム数に加算されることとなる。 ・・・ 【0560】 また、サブCPU91aは、実残りゲーム数が残存する状態で表示残りゲーム数が0となったとき、及び特定役に当選し、上乗せ抽選にてゲーム数の上乗せが決定されたことを契機に上乗せ演出を実行する。 ・・・ 【0562】 上乗せ演出では、まず、液晶表示器51に最低限加算されるゲーム数である「+10」と演出用スイッチ56の操作を促す表示を行う。この状態で演出用スイッチ56が操作されると、2回目以降の操作から上乗せ抽選の当選ゲーム数に到達するまで演出用スイッチ56が操作される毎に、液晶表示器51に表示された加算ゲーム数が10づつ増加する。そして、当選ゲーム数に到達すると、演出用スイッチ56の操作を促す表示は消え、その時点で表示されている当選ゲーム数分の加算ゲーム数のみが表示され、加算ゲーム数が表示残りゲーム数に加算表示される。 ・・・ 【0564】 また、液晶表示器51に「+10」と演出用スイッチ56の操作を促す表示がなされた後、演出用スイッチ56が操作されないまま、次ゲームの賭数設定操作がなされた場合には、表示残りゲーム数はその時点で表示されている10ゲームだけ加算表示されることとなる。 【0565】 例えば、図34(b)に示すように、実残りゲーム数が100ゲーム、表示残りゲーム数が100ゲームの状態で、特定役が当選し、上乗せ抽選にて200ゲームの上乗せゲーム数が当選した場合には、まず、「+10」とともに、演出用スイッチ56の操作を促す画面が表示される。この状態で、演出用スイッチ56が操作されないまま、次ゲームの賭数設定操作がなされた場合には、その時点で表示されている加算ゲーム数の10ゲームが表示残りゲーム数に加算されて、表示残りゲーム数は110ゲームとなる。尚、表示残りゲーム数は110ゲームであるが、上乗せ抽選では200ゲーム加算されており、実残りゲーム数は300ゲームとなる。その後、110ゲーム消化して表示残りゲーム数が0となった時点で、再び上乗せ演出が行われ、それでも演出用スイッチ56が操作されず、次ゲームの賭数設定操作がなされた場合には、再び10ゲームのみ表示残りゲーム数に加算され、以後、実残りゲーム数が0となるまで、表示残りゲーム数が0となる毎に上乗せ演出が行われることとなる。」 (カ)【図33】には、上乗せ抽選確率(%)の表が図示され、「当選役」として「一枚役」については、「0G」、「10G」、「30G」は「0%」で、「50G」は「75%」で、「100G」、「150G」、「200G」、「250G」、「300G」は「5%」であることが図示されている。 (キ)【図34】の(b)には、実残りゲーム数が100ゲーム、表示残りゲーム数が100ゲームの状態で、特定役が当選し、上乗せ抽選にて200ゲームの上乗せゲーム数が当選した場合であって、演出用スイッチ56が操作されないまま、次ゲームの賭数設定操作がなされた場合が図示されており、実残りゲーム数は100ゲームに上乗せゲーム数の200ゲームが加算されて300ゲームとなった後、110ゲーム消化した時点では、実残りゲーム数は300ゲームから110ゲームを減算して190ゲームとなっていることが図示されている。 上記(ア)~(オ)の記載事項、および、(カ)~(キ)の図示内容から、以下の事項がいえる。なお、(a)~(i)は、本件補正発明の構成A~Iに対応した事項を示している。 (a)上記(イ)の【0163】に「本実施例におけるスロットマシンは、・・・通常遊技状態・・・に制御され、さらに通常遊技状態(以下、通常遊技状態を通常と称す)においては、RT0~4のいずれかに制御される。」、上記(ウ)の【0341】に「本実施例におけるスロットマシンは、遊技状態がRT0~3であるときに、・・・内部抽選結果を報知するナビ演出を実行可能な報知期間となるアシストタイム(以下、ATという)に演出状態を制御可能となっている。」、上記(エ)の【0550】に「ナビ演出としてATの対象役が当選した場合に、遊技者にとって有利となる操作態様として、停止操作のタイミング、或いは停止操作のタイミングと押し順の双方を報知する演出を行えば良い。」、上記(ア)の【0010】に「一般遊技状態において遊技者にとって有利な特定遊技状態(AT)」と記載されている。 したがって、刊行物1には、スロットマシンの遊技状態には、遊技者にとって有利となる操作態様を報知するナビ演出を実行可能な報知期間となるATに制御されていない一般遊技状態と、ATとが設けられていることが記載されているといえる。 (b)上記(ア)の【0010】に「本発明の手段1のスロットマシンは、・・・前記特定遊技状態(AT)において該特定遊技状態(AT)の残りゲーム数を1ゲーム毎に更新表示する残りゲーム数表示手段・・・を備え」、上記(オ)の【0554】に「液晶表示器51にて報知される残りゲーム数」と記載されている。 したがって、刊行物1には、ATの残りゲーム数を1ゲーム毎に更新表示する液晶表示器51を備えたスロットマシンが記載されているといえる。 (c)上記(オ)の【0554】に「液晶表示器51にて報知される残りゲーム数は、実際のATの残りゲーム数と必ずしも一致するものではなく、実際の残りゲーム数よりも少ない残りゲーム数が報知され得る。このため、以下では、実際のATの残りゲーム数を実残りゲーム数と呼び、液晶表示器にて報知される残りゲーム数を表示残りゲーム数と呼ぶ。」と記載されている。 したがって、刊行物1には、ATでは、実残りゲーム数と、実残りゲーム数よりも少ない残りゲーム数が報知され得る表示残りゲーム数とが設定されていることが記載されているといえる。 (d)上記(オ)の【0557】に「AT中に特定役(本実施例では、BB1~3、RB、1枚役、弱スイカ、強スイカ、弱チェリー、強チェリー、中段チェリー)が当選した場合に、ATの実残りゲーム数を上乗せするか否かを決定するATゲーム数の上乗せ抽選を行う。」、【0560】に「特定役に当選し、上乗せ抽選にてゲーム数の上乗せが決定されたことを契機に上乗せ演出を実行する。」と記載されるから、上乗せ演出が行われるのはAT中であることが記載されているといえる。 また、上記(ア)の【0016】に「【図34】上乗せ演出の実行状況及び実残りゲーム数と表示残りゲーム数の推移を示す図である。」と記載され、上記(キ)の【図34】(b)の図示内容は「実残りゲーム数が100ゲーム、表示残りゲーム数が100ゲームの状態で、特定役が当選し、上乗せ抽選にて200ゲームの上乗せゲーム数が当選した場合であって、演出用スイッチ56が操作されないまま、次ゲームの賭数設定操作がなされた場合が図示されており、実残りゲーム数は100ゲームに200ゲームが加算されて300ゲームとなった後、110ゲーム消化した時点では、実残りゲーム数は300ゲームから110ゲームを減算して190ゲームとなっていること」であるから、上乗せ演出では実残りゲーム数から消化したゲーム数を減算することが記載されているといえる。 ここで、刊行物1発明において、ATではない他の遊技ではATゲーム数の実残りゲーム数は加算も減算もされないことは自明であり、また、消化したゲーム数をATゲーム数の実残りゲーム数から減算して該実残りゲーム数が0ゲームになればATが終了することは自明である。 したがって、刊行物1には、AT中は、AT中に消化したゲーム数を実残りゲーム数から減算しており、ATではない時は実残りゲーム数は加算も減算もされないとともに、消化したゲーム数を実残りゲーム数から減算した結果、実残りゲーム数が0ゲームになるとATが終了することが記載されているといえる。 (e)上記(オ)の【0565】に「実残りゲーム数が100ゲーム、表示残りゲーム数が100ゲームの状態で、特定役が当選し、上乗せ抽選にて200ゲームの上乗せゲーム数が当選した場合には、まず、「+10」とともに、演出用スイッチ56の操作を促す画面が表示される。この状態で、演出用スイッチ56が操作されないまま、次ゲームの賭数設定操作がなされた場合には、その時点で表示されている加算ゲーム数の10ゲームが表示残りゲーム数に加算されて、表示残りゲーム数は110ゲームとなる。尚、表示残りゲーム数は110ゲームであるが、上乗せ抽選では200ゲーム加算されており、実残りゲーム数は300ゲームとなる。」と記載されている。 したがって、刊行物1には、実残りゲーム数が100ゲーム、表示残りゲーム数が100ゲームの状態で、特定役が当選し、上乗せ抽選にて200ゲームの上乗せゲーム数が当選した場合であって、演出用スイッチ56が操作されないまま、次ゲームの賭数設定操作がなされた場合には、実残りゲーム数は300ゲームとなっており、加算ゲーム数の10ゲームが表示残りゲーム数に加算されて、表示残りゲーム数は110ゲームとなることが記載されているといえる。 (f)上記(オ)の【0565】に「実残りゲーム数が100ゲーム、表示残りゲーム数が100ゲームの状態で、特定役が当選し、上乗せ抽選にて200ゲームの上乗せゲーム数が当選した場合には、・・・上乗せ抽選では200ゲーム加算されており、実残りゲーム数は300ゲームとなる。」と記載されている。 したがって、刊行物1には、実残りゲーム数が100ゲーム、表示残りゲーム数が100ゲームの状態で、特定役が当選し、上乗せ抽選にて200ゲームの上乗せゲーム数が当選した場合、上乗せ抽選では200ゲーム加算されており、実残りゲーム数は300ゲームとなることが記載されているといえる。 (g)上記(オ)の【0554】に「液晶表示器51にて報知される残りゲーム数は、実際のATの残りゲーム数と必ずしも一致するものではなく、実際の残りゲーム数よりも少ない残りゲーム数が報知され得る。」、【0562】に「上乗せ演出では、まず、液晶表示器51に最低限加算されるゲーム数である「+10」と演出用スイッチ56の操作を促す表示を行う。」、【0565】に「実残りゲーム数が100ゲーム、表示残りゲーム数が100ゲームの状態で、特定役が当選し、上乗せ抽選にて200ゲームの上乗せゲーム数が当選した場合には、まず、「+10」とともに、演出用スイッチ56の操作を促す画面が表示される。この状態で、演出用スイッチ56が操作されないまま、次ゲームの賭数設定操作がなされた場合には、その時点で表示されている加算ゲーム数の10ゲームが表示残りゲーム数に加算されて、表示残りゲーム数は110ゲームとなる。尚、表示残りゲーム数は110ゲームであるが、上乗せ抽選では200ゲーム加算されており、実残りゲーム数は300ゲームとなる。」と記載されているから、液晶表示器51には、100ゲームが表示残りゲーム数として表示され、また、上乗せ演出で表示された加算ゲーム数の10ゲームが表示残りゲーム数に加算されて表示残りゲーム数として110ゲームが表示されることが記載されているといえる。 また、上記(オ)の【0554】に「液晶表示器51にて報知される残りゲーム数は、実際のATの残りゲーム数と必ずしも一致するものではなく、実際の残りゲーム数よりも少ない残りゲーム数が報知され得る。」、【0565】に「実残りゲーム数が100ゲーム、表示残りゲーム数が100ゲームの状態で、特定役が当選し、上乗せ抽選にて200ゲームの上乗せゲーム数が当選した場合には、まず、「+10」とともに、演出用スイッチ56の操作を促す画面が表示される。この状態で、演出用スイッチ56が操作されないまま、次ゲームの賭数設定操作がなされた場合には、その時点で表示されている加算ゲーム数の10ゲームが表示残りゲーム数に加算されて、表示残りゲーム数は110ゲームとなる。尚、表示残りゲーム数は110ゲームであるが、上乗せ抽選では200ゲーム加算されており、実残りゲーム数は300ゲームとなる。」と記載されているから、液晶表示器51にて報知される残りゲーム数は、上乗せ演出で表示された加算ゲーム数の10ゲームが表示残りゲーム数に加算された表示残りゲーム数の110ゲームが表示されるが、実残りゲーム数の300ゲームは表示されないことが記載されているといえる。 したがって、刊行物1には、液晶表示器51には、100ゲームが表示残りゲーム数として表示され、また、上乗せ演出で表示された加算ゲーム数の10ゲームが表示残りゲーム数に加算されて表示残りゲーム数として110ゲームが表示されるが、実残りゲーム数の300ゲームは表示されないことが記載されているといえる。 (h)上記(オ)の【0565】に「その後、110ゲーム消化して表示残りゲーム数が0となった時点で、再び上乗せ演出が行われ、それでも演出用スイッチ56が操作されず、次ゲームの賭数設定操作がなされた場合には、再び10ゲームのみ表示残りゲーム数に加算され、以後、実残りゲーム数が0となるまで、表示残りゲーム数が0となる毎に上乗せ演出が行われることとなる。」と記載されている。 したがって、刊行物1には、上乗せ演出は、実残りゲーム数が0となるまで表示残りゲーム数が0となる毎に行われることが記載されているといえる。 (i)上記(オ)の【0557】に「AT中に特定役(本実施例では、BB1~3、RB、1枚役、弱スイカ、強スイカ、弱チェリー、強チェリー、中段チェリー)が当選した場合に、ATの実残りゲーム数を上乗せするか否かを決定するATゲーム数の上乗せ抽選を行う。」、【0560】に「特定役に当選し、上乗せ抽選にてゲーム数の上乗せが決定されたことを契機に上乗せ演出を実行する。」、【0562】に「上乗せ演出では、まず、液晶表示器51に最低限加算されるゲーム数である「+10」と演出用スイッチ56の操作を促す表示を行う。この状態で演出用スイッチ56が操作されると、2回目以降の操作から上乗せ抽選の当選ゲーム数に到達するまで演出用スイッチ56が操作される毎に、液晶表示器51に表示された加算ゲーム数が10づつ増加する。そして、当選ゲーム数に到達すると、演出用スイッチ56の操作を促す表示は消え、その時点で表示されている当選ゲーム数分の加算ゲーム数のみが表示され、加算ゲーム数が表示残りゲーム数に加算表示される。」、【0565】に「「+10」とともに、演出用スイッチ56の操作を促す画面が表示される。この状態で、演出用スイッチ56が操作されないまま、次ゲームの賭数設定操作がなされた場合には、その時点で表示されている加算ゲーム数の10ゲームが表示残りゲーム数に加算されて、表示残りゲーム数は110ゲームとなる。」と記載されている。 また、上記(カ)の【図33】の図示内容は「「当選役」として「一枚役」については、「0G」、「10G」、「30G」は「0%」で、「50G」は「75%」で、「100G」、「150G」、「200G」、「250G」、「300G」は「5%」であること」である。 したがって、刊行物1には、AT中に例えば特定役の一枚役が当選した場合、50G以上のゲーム数の上乗せが決定され、上乗せ演出で液晶表示器51に表示された加算ゲーム数が表示残りゲーム数に加算されることが記載されているといえる。 したがって、上記(ア)~(オ)の記載事項、(カ)~(キ)の図示内容、および上記(a)~(i)認定事項を総合すれば、刊行物1には、次の発明が記載されている(以下、「刊行物1発明」という。a~iは刊行物1発明を分説するため当審で付した。)。 「a スロットマシンの遊技状態には、遊技者にとって有利となる操作態様を報知するナビ演出を実行可能な報知期間となるATに制御されていない一般遊技状態と、ATとが設けられ、 b ATの残りゲーム数を1ゲーム毎に更新表示する液晶表示器51を備えたスロットマシンにおいて、 c ATでは、実残りゲーム数と、実残りゲーム数よりも少ない残りゲーム数が報知され得る表示残りゲーム数とが設定され、 d AT中は、AT中に消化したゲーム数を実残りゲーム数から減算しており、ATではない時は実残りゲーム数は加算も減算もされないとともに、消化したゲーム数を実残りゲーム数から減算した結果、実残りゲーム数が0ゲームになるとATが終了し、 e 実残りゲーム数が100ゲーム、表示残りゲーム数が100ゲームの状態で、特定役が当選し、上乗せ抽選にて200ゲームの上乗せゲーム数が当選した場合であって、演出用スイッチ56が操作されないまま、次ゲームの賭数設定操作がなされた場合には、実残りゲーム数は300ゲームとなっており、加算ゲーム数の10ゲームが表示残りゲーム数に加算されて、表示残りゲーム数は110ゲームとなり、 f 実残りゲーム数が100ゲーム、表示残りゲーム数が100ゲームの状態で、特定役が当選し、上乗せ抽選にて200ゲームの上乗せゲーム数が当選した場合、上乗せ抽選では200ゲーム加算されており、実残りゲーム数は300ゲームとなり、 g 液晶表示器51には、100ゲームが表示残りゲーム数として表示され、また、上乗せ演出で表示された加算ゲーム数の10ゲームが表示残りゲーム数に加算されて表示残りゲーム数として110ゲームが表示されるが、実残りゲーム数の300ゲームは表示されず、 h 上乗せ演出は、実残りゲーム数が0となるまで表示残りゲーム数が0となる毎に行われ、 i AT中に例えば特定役の一枚役が当選した場合、50G以上のゲーム数の上乗せが決定され、上乗せ演出で液晶表示器51に表示された加算ゲーム数が表示残りゲーム数に加算される スロットマシン。」 (2-2)刊行物2 本願の出願前に頒布された特開2012-16386号公報(以下、「刊行物2」という。)の【0374】に「なお、報知期間中抽選で加算するゲーム数を獲得したとしても、上乗せ加算後のATゲーム数の上限は、初回抽選において決定し得る最大のゲーム数未満(たとえば、800)に設定されている。すなわち、ATゲーム数として最大の1000が決定され得るのは、ATに制御されていないときにおいてAT抽選条件が成立したときだけであり、ATに制御された後においてAT抽選条件が成立したとしてもATゲーム数として最大の1000に到達することがない。このため、ATに制御されているときであってもAT抽選条件が成立することに注目させるとともにATゲーム数が上乗せされることに対する期待感を抱かせつつ、ATに制御された後においても最大のATゲーム数である1000に到達し得るものと比較して、射幸性が高まりすぎてしまうといった不都合の発生を抑制することができる。」と記載され、射幸性が高まりすぎてしまうといった不都合の発生を抑制するために、ATゲーム数として最大のゲーム数を設定しておき、上乗せ加算してもこの最大のゲーム数に到達しないように上乗せに制限を設けることが記載されているといえる。 (3)対比 本件補正発明と刊行物1発明とを対比する。対比の見出しとしての(a)~(i)は刊行物1発明の分説構成と対応させた。 (a)刊行物1発明の「AT」は、遊技者にとって有利となる操作態様を報知するナビ演出を実行可能な報知期間であるから、該ATに制御されていない一般遊技状態よりも利益付与の可能性が高いといえるので、本件補正発明の「特殊遊技」に相当する。 また、刊行物1発明の「ATに制御されていない一般遊技」は、本件補正発明の「通常遊技」に相当する。 したがって、刊行物1発明の「スロットマシンの遊技状態には、遊技者にとって有利となる操作態様を報知するナビ演出を実行可能な報知期間となるATに制御されていない一般遊技状態と、ATとが設けられ」ることは、本件補正発明の「遊技には、通常行われる通常遊技と、少なくとも前記通常遊技よりも利益付与の可能性が高い遊技を含む特殊遊技とが設けられ」ることに相当する。 (b)刊行物1発明の「液晶表示器51」、「スロットマシン」は、それぞれ本件補正発明の「報知手段」、「遊技機」に相当する。 したがって、上記(a)で言及したように刊行物1発明の「AT」は、本件補正発明の「特殊遊技」に相当するから、刊行物1発明の「ATの残りゲーム数を1ゲーム毎に更新表示する液晶表示器51を備えたスロットマシン」は、本件補正発明の「前記特殊遊技の遊技回数に関する情報を報知可能な報知手段を備えた遊技機」に相当する。 (c)刊行物1発明において、ATゲーム数の実残りゲーム数が0になればATは終了することは自明であるから、刊行物1発明の「実残りゲーム数」「が設定され」ることは、本件補正発明の「終了遊技回数」「が設定され」ることに相当する。 また、刊行物1発明の「表示残りゲーム数」は、実残りゲーム数よりも少ない残りゲーム数が報知され得るから、刊行物1発明の「表示残りゲーム数」「が設定され」ることは、本件補正発明の「区分遊技回数」「が設定され」ることに相当する。 したがって、刊行物1発明の「ATでは、実残りゲーム数と、実残りゲーム数よりも少ない残りゲーム数が報知され得る表示残りゲーム数とが設定され」ることと、本件補正発明の「前記特殊遊技では、前記特殊遊技の最大の遊技回数となる最大遊技回数と、前記最大遊技回数以下の遊技回数であって、前記特殊遊技を終了させるための終了遊技回数と、前記終了遊技回数以下の遊技回数となる区分遊技回数とが設定され」ることとは、「前記特殊遊技では、」「前記特殊遊技を終了させるための終了遊技回数と、前記終了遊技回数以下の遊技回数となる区分遊技回数とが設定され」ている点で共通する。 (d)刊行物1発明の「AT中に消化したゲーム数」は、本件補正発明の「前記特殊遊技中に実行した遊技回数」に相当する。 また、刊行物1発明の「AT中に消化したゲーム数を実残りゲーム数から減算」することは、AT中に消化したゲーム数を計数しているといえるから、本件補正発明の「前記特殊遊技中に実行した遊技回数(以下、「実行遊技回数」とする。)の計数」に相当し、刊行物1発明の「実残りゲーム数は加算も減算もされない」ことは、本件補正発明の「前実行遊技回数の前記計数が行われない」ことに相当する。 したがって、刊行物1発明の「AT中は、AT中に消化したゲーム数を実残りゲーム数から減算しており、ATではない時は実残りゲーム数は加算も減算もされないとともに、消化したゲーム数を実残りゲーム数から減算した結果、実残りゲーム数が0ゲームになるとATが終了」することは、本件補正発明の「前記特殊遊技中である場合には、前記特殊遊技中に実行した遊技回数(以下、「実行遊技回数」とする。)の計数が行われ、前記特殊遊技中でない場合には、前記実行遊技回数の前記計数が行われないとともに、前記計数の結果、前記実行遊技回数が終了遊技回数に到達すると、前記特殊遊技を終了させるように形成され」ることに相当する。 (e)刊行物1発明の「加算ゲーム数の10ゲームが表示残りゲーム数に加算されて、表示残りゲーム数は110ゲームとな」ることは、実残りゲーム数である300ゲームの範囲内で表示残りゲーム数に対する上乗せが行われたといえ、上記(c)で言及したように刊行物1発明の「実残りゲーム数」「が設定され」ることは、本件補正発明の「終了遊技回数」「が設定され」ることに相当するから、本件補正発明の「前記終了遊技回数の範囲内で前記区分遊技回数に対する上乗せが実行可能」であることに相当する。 したがって、刊行物1発明の「実残りゲーム数が100ゲーム、表示残りゲーム数が100ゲームの状態で、特定役が当選し、上乗せ抽選にて200ゲームの上乗せゲーム数が当選した場合であって、演出用スイッチ56が操作されないまま、次ゲームの賭数設定操作がなされた場合には、実残りゲーム数は300ゲームとなっており、加算ゲーム数の10ゲームが表示残りゲーム数に加算されて、表示残りゲーム数は110ゲームとな」ることは、本件補正発明の「前記実行遊技回数が前記区分遊技回数に到達する前」、「に前記終了遊技回数の範囲内で前記区分遊技回数に対する上乗せが実行可能に形成され」ることに相当する。 (f)刊行物1発明の「実残りゲーム数が100ゲーム、表示残りゲーム数が100ゲームの状態で、特定役が当選し、上乗せ抽選にて200ゲームの上乗せゲーム数が当選した場合、上乗せ抽選では200ゲーム加算されており、実残りゲーム数は300ゲームとな」ることと、本件補正発明の「前記実行遊技回数が前記区分遊技回数に到達する前、または到達時に遊技の結果に基づいて、前記最大遊技回数の範囲内で前記終了遊技回数の増加が実行可能に形成され」ることとは、「前記実行遊技回数が前記区分遊技回数に到達する前」「に遊技の結果に基づいて、」「前記終了遊技回数の増加が実行可能に形成され」で共通する。 (g)上記(c)で言及したように刊行物1発明の「表示残りゲーム数」「が設定され」ることは、本件補正発明の「区分遊技回数」「が設定され」ることに相当するから、刊行物1発明の「上乗せ演出で表示された加算ゲーム数の10ゲームが表示残りゲーム数に加算されて表示残りゲーム数として110ゲームが表示され」ることは、本件補正発明の「前記区分遊技回数に対する上乗せ」に相当する。 したがって、上記(b)で言及したように刊行物1発明の「液晶表示器51」は、本件補正発明の「報知手段」に相当するから、刊行物1発明の「液晶表示器51には、100ゲームが表示残りゲーム数として表示され、また、上乗せ演出で表示された加算ゲーム数の10ゲームが表示残りゲーム数に加算されて表示残りゲーム数として110ゲームが表示されるが、実残りゲーム数の300ゲームは表示されず」は、本件補正発明の「前記報知手段は、遊技者に対して、前記区分遊技回数及び前記区分遊技回数に対する上乗せを報知するが前記終了遊技回数の全体は報知せず」に相当する。 (h)刊行物1発明の「実残りゲーム数が0となる」こと、「表示残りゲーム数が0となる毎に行われ」ることは、それぞれ本件補正発明の「前記終了遊技回数に到達する」こと、「繰り返し実行される」ことに相当する。 したがって、刊行物1発明の「上乗せ演出は、実残りゲーム数が0となるまで表示残りゲーム数が0となる毎に行われ」ることは、本件補正発明の「前記区分遊技回数に対する上乗せは、前記実行遊技回数が、前記終了遊技回数に到達するまで繰り返し実行されるように形成され」ることに相当する。 (i)刊行物1発明の「特定役の一枚役が当選した場合」は、50G以上のゲーム数の上乗せが必ず決定されるから、本件補正発明の「遊技者が上乗せされることを認識可能な特殊条件が成立した場合」に相当する。 したがって、刊行物1発明の「AT中に例えば特定役の一枚役が当選した場合、50G以上のゲーム数の上乗せが決定され、上乗せ演出で液晶表示器51に表示された加算ゲーム数が表示残りゲーム数に加算されるスロットマシン」と、本件補正発明の「前記実行遊技回数が前記区分遊技回数に到達する前又は到達時に遊技者が上乗せされることを認識可能な特殊条件が成立した場合には、前記区分遊技回数に対する上乗せが実行されるとともに前記最大遊技回数の範囲内で前記終了遊技回数の増加が実行される」「遊技機」とは、「前記実行遊技回数が前記区分遊技回数に到達する前」「に遊技者が上乗せされることを認識可能な特殊条件が成立した場合には、前記区分遊技回数に対する上乗せが実行されるとともに」「前記終了遊技回数の増加が実行される」「遊技機」で共通する 上記(a)~(i)の検討より、本件補正発明と刊行物1発明とは、 「A 遊技には、通常行われる通常遊技と、少なくとも前記通常遊技よりも利益付与の可能性が高い遊技を含む特殊遊技とが設けられ、 B 前記特殊遊技の遊技回数に関する情報を報知可能な報知手段を備えた遊技機において、 C’ 前記特殊遊技では、 前記特殊遊技を終了させるための終了遊技回数と、 前記終了遊技回数以下の遊技回数となる区分遊技回数とが設定され、 D 前記特殊遊技中である場合には、前記特殊遊技中に実行した遊技回数(以下、「実行遊技回数」とする。)の計数が行われ、前記特殊遊技中でない場合には、前記実行遊技回数の前記計数が行われないとともに、前記計数の結果、前記実行遊技回数が終了遊技回数に到達すると、前記特殊遊技を終了させるように形成され、 E 前記実行遊技回数が前記区分遊技回数に到達する前に前記終了遊技回数の範囲内で前記区分遊技回数に対する上乗せが実行可能に形成され、 F’ 前記実行遊技回数が前記区分遊技回数に到達する前に遊技の結果に基づいて、前記終了遊技回数の増加が実行可能に形成され、 G 前記報知手段は、遊技者に対して、前記区分遊技回数及び前記区分遊技回数に対する上乗せを報知するが前記終了遊技回数の全体は報知せず、 H 前記区分遊技回数に対する上乗せは、前記実行遊技回数が、前記終了遊技回数に到達するまで繰り返し実行されるように形成され、 I’ 前記実行遊技回数が前記区分遊技回数に到達する前に遊技者が上乗せされることを認識可能な特殊条件が成立した場合には、前記区分遊技回数に対する上乗せが実行されるとともに前記終了遊技回数の増加が実行される 遊技機。」 である点で一致しており、次の点で相違する。 (相違点) 特殊遊技について、本件補正発明は「特殊遊技の最大の遊技回数となる最大遊技回数」が「設定され」、「終了遊技回数」は「前記最大遊技回数以下の遊技回数であって」(構成C)、「終了遊技回数の増加」が「前記最大遊技回数の範囲内で」「実行」される(構成F、I)のに対し、刊行物1発明はそのような特定がない点。 (4)判断 そこで、前記相違点について検討する。 刊行物1発明は、AT中において上乗せ回数に制限(上限)を設けることについて明記されていないから、AT中に上乗せが無限に行われる可能性もあり、射幸性が高まりすぎてしまうことがあることは明らかである。 ここで、刊行物2には、射幸性が高まりすぎてしまうことは不都合であり、この不都合をを抑制するために、ATゲーム数として最大のゲーム数を設定しておき、上乗せ加算してもこの最大のゲーム数に到達しないように上乗せに制限を設けることが記載されている。 ここで、刊行物1発明と刊行物2の記載事項とはともに遊技機におけるATゲーム数の上乗せに関する技術で共通している。 よって、刊行物1発明においても射幸性が高まりすぎてしまわないように刊行物2の記載事項を適用して、ATゲーム数に上限となる最大のゲーム数を設定しておき、上乗せしてもこの最大のゲーム数には到達しないように、該最大のゲーム数の範囲内で実残りゲーム数に上乗せを行うようにすることは、当業者が容易になし得たことである。 (5)審判請求人の主張について 請求人は、審判請求書第6-7頁の「3.(3)」で次のような主張をしている。 「引用文献1の明細書の段落番号「0559」や、引用文献7の明細書の段落番号「0527」には、いずれにも、「BB1~3、RB、1枚役、中段チェリーの当選時は、100%の確率で10ゲーム以上のゲーム数が決定されるので、これらの役が当選した場合には、実残りゲーム数の上乗せが確定する。特に、1枚役の当選時には、100%の確率で50ゲーム以上のゲーム数が決定されるので、1枚役が当選した場合には、50ゲーム以上の上乗せが確定する。」の記載があります。 これは、引用文献1では図33、引用文献7では図35に示すように、所定の当選役(BB1~3、RB、1枚役、中段チェリー)では、実残りゲーム数の上乗せ遊技回数0Gの抽選確率がいずれも0%となっており、100%の確率で実残りゲーム数の上乗せ(10G~300G)が必ず「確定する」ことが記載されているものであります。 上記記載から引用文献1、7には、上乗せには制限(上限)が設けられておらず、本願発明のような最大遊技回数(リミッター)の適用を否定しているものであります。 一方、引用文献2には、明細書の段落番号「0374」に、「なお、報知期間中抽選で加算するゲーム数を獲得したとしても、上乗せ加算後のATゲーム数の上限は、初回抽選において決定し得る最大のゲーム数未満(たとえば、800)に設定されている。」と記載され、上乗せに制限を設ける内容が記載されています。 上乗せに制限を設けない引用文献1、7に記載された発明と、上乗せに制限を設ける引用文献2に記載された発明とは、上乗せに制限を設けるか否かという点に関して、互いに相反するものであります。すなわち、上乗せに制限を設けない引用文献1、7に記載された発明の構成に、上乗せに制限を設ける引用文献2に記載された発明の構成を適用することを阻害するものであり、引用文献1、7に記載された発明と、引用文献2に記載された発明との組み合わせを阻害する要因(いわゆる阻害要因)があるものです。 したがいまして、本願の請求項1に記載された発明は、引用文献1~7により、容易に想到するものではなく、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものではありません。」 しかし、刊行物1発明では、AT中に上乗せが無限に行われる可能性もあり、射幸性が高まりすぎてしまうことがあることは上記(4)で説示したように自明であって、刊行物1発明においても射幸性が高まりすぎてしまわないように刊行物2の記載事項を適用することに格別の困難性はない。また、刊行物1には、射幸性を高めるために上乗せに制限(上限)を設けることを禁止することまでは記載されていないから、刊行物1発明と刊行物2の記載事項とは、互いに相反するものではなく、組み合わせを阻害する要因があるものとはいえない。 よって、審判請求人の主張は採用できない。 (6)小括 本件補正発明は、刊行物1発明及び刊行物2の記載事項に基づいて当業者が容易に発明できたものであり、特許法第29条第2項の規定に基づいて特許出願の際独立して特許を受けることができない。 4.むすび 以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3 本願発明 本件補正発明は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という)は、平成28年10月11日付けの手続補正書により補正された、上記「第2 1.」の本件補正の概要において示したとおりのものである。 1.刊行物に記載された事項 本願の出願前に頒布された特開2015-157159号公報および特開2012-16386号公報の記載事項は、上記「第2 3.(2)」において示したとおりのものである。 2.対比・判断 本願発明は、本件補正発明の発明特定事項から、上記「第2 1.」の下線部の構成を省いたものである。 そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明が上記「第2 3.(4)」において判断したとおり刊行物1発明および刊行物2の記載事項に基づいて当業者が容易に発明できたものであるから、本願発明も、刊行物1発明および刊行物2の記載事項に基づいて当業者が容易に発明できたものである。 3.むすび 以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。

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2017-010292

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