特許拒絶査定不服審判
2017-009357
スロットマシン
- 審判番号
- 2017-009357
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2012-277206外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2017年06月27日
- 審決日
- 2018年03月19日
- 公報発行日
- 2018年06月29日
- 結論
- 請求不成立
- 分類
- P18 .121-Z (A63F) / P18 .575-Z (A63F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第6項、特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2012-277206号「スロットマシン」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 6月30日出願公開、特開2014-117577号〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、平成24年12月19日の出願であって、平成28年9月15日付けで拒絶の理由が通知され、平成28年11月18日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、平成29年3月16日付けで拒絶査定がなされ、それに対して、平成29年6月27日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に明細書及び特許請求の範囲に係る手続補正がなされたものである。
第2 平成29年6月27日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成29年6月27日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 補正の内容
本件補正は、特許請求の範囲を補正する内容を含んでおり、本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、
「【請求項1】
各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を備え、前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、該表示結果に応じて入賞が発生可能なスロットマシンにおいて、
高確移行表示結果および特定表示結果を含む複数種類の表示結果のうちから導出を許容する表示結果を前記可変表示部に表示結果が導出される前に決定する事前決定手段と、
前記可変表示部に表示結果を導出させるための操作を受け付ける導出操作受付手段と、
前記事前決定手段による決定結果と前記導出操作受付手段により受け付けられた操作とに応じて表示結果を前記可変表示部に導出させる制御を行う導出制御手段と、
遊技者にとって有利な有利状態に制御する権利を付与するか否かを決定する権利付与決定手段と、
権利が付与されておりかつ前記可変表示部に前記特定表示結果が導出されたときに有利状態に制御し、前記高確移行表示結果が導出されたときに有利状態を終了させる有利状態制御手段と、
前記可変表示部に前記高確移行表示結果が導出されたときに前記事前決定手段が前記特定表示結果の導出を許容する確率が有利状態よりも高くなる高確率状態に制御する高確状態制御手段と、
有利状態に制御されておりかつ次回分の権利が付与されているときに制御中の有利状態の終了より後に前記可変表示部に前記特定表示結果が導出されることで再度の有利状態に制御する有利状態再制御手段と、
次回分の権利が付与されている有利状態で前記事前決定手段が前記高確移行表示結果の導出を許容しかつ当該有利状態の終了条件を満たしているときに前記高確移行表示結果を導出させる操作手順を特定可能な演出を実行する導出演出実行手段と、
特別条件が満たされたときに、有利状態および高確率状態とは異なる状態であって、前記事前決定手段が前記特定表示結果の導出を許容し得る特別状態に制御する特別状態制御手段とを備えた
ことを特徴とするスロットマシン。」
から、
「【請求項1】
A 各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を複数備え、前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、複数の可変表示部の表示結果の組合せである表示結果組合せに応じて入賞が発生可能なスロットマシンにおいて、
B 高確移行表示結果組合せおよび特定表示結果組合せを含む複数種類の表示結果組合せのうちから導出を許容する表示結果組合せを前記可変表示部に表示結果が導出される前に決定する事前決定手段と、
C 前記可変表示部に表示結果を導出させるための操作を受け付ける導出操作受付手段と、
D 前記事前決定手段による決定結果と前記導出操作受付手段により受け付けられた操作とに応じて表示結果を前記可変表示部に導出させる制御を行う導出制御手段と、
E 遊技者にとって有利な有利状態に制御する権利を付与するか否かを決定する権利付与決定手段と、
F 権利が付与されておりかつ前記可変表示部に前記特定表示結果組合せが導出されたときに有利状態に制御し、前記高確移行表示結果組合せが導出されたときに有利状態を終了させる有利状態制御手段と、
G 前記可変表示部に前記高確移行表示結果組合せが導出されたときに前記事前決定手段が前記特定表示結果組合せの導出を許容する確率が有利状態よりも高くなる高確率状態に制御する高確状態制御手段と、
H 有利状態に制御されておりかつ次回分の権利が付与されているときに制御中の有利状態の終了より後に前記可変表示部に前記特定表示結果組合せが導出されることで再度の有利状態に制御する有利状態再制御手段と、
I 次回分の権利が付与されている有利状態で前記事前決定手段が前記高確移行表示結果組合せの導出を許容しかつ当該有利状態の終了条件を満たしているときに前記高確移行表示結果組合せを導出させる操作手順を特定可能な演出を実行する導出演出実行手段と、
J 特別条件が満たされたときに、有利状態および高確率状態とは異なる状態であって、前記事前決定手段が前記特定表示結果組合せの導出を許容し得る特別状態に制御する特別状態制御手段とを備え、
K 前記特定表示結果組合せは再遊技を付与する表示結果組合せであり、
L 有利状態と高確率状態とでは前記事前決定手段が前記特定表示結果組合せの導出を許容する確率と前記事前決定手段が前記特定表示結果組合せ以外の再遊技を付与する表示結果組合せの導出を許容する確率とを合算した確率が同一であり、
M 前記特定表示結果組合せは特定識別情報が揃う表示結果組合せであり、
N 前記高確移行表示結果組合せは第1識別情報と第2識別情報とで構成される表示結果組合せであり、
O 前記導出演出実行手段は再度の有利状態に制御されることを示唆する示唆演出を前記高確移行表示結果組合せが導出されたときに実行する
ことを特徴とするスロットマシン。」
に補正された(下線は、補正箇所を明示するために審決にて付した。また、当審においてA~Oに分説した。)。
2 補正の適否について
上記補正は、補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「表示結果」に関して、「可変表示部を複数備え、前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、複数の可変表示部の表示結果の組合せである表示結果組合せに応じて入賞が発生可能」と限定し、「高確移行表示結果」、「特定表示結果」、「表示結果」に関して、それぞれ、「高確移行表示結果組合せ」、「特定表示結果組合せ」、「表示結果組合せ」と限定し、さらに、「特定表示結果」に関して、「前記特定表示結果組合せは再遊技を付与する表示結果組合せであり」、「有利状態と高確率状態とでは前記事前決定手段が前記特定表示結果組合せの導出を許容する確率と前記事前決定手段が前記特定表示結果組合せ以外の再遊技を付与する表示結果組合せの導出を許容する確率とを合算した確率が同一であり」、「前記特定表示結果組合せは特定識別情報が揃う表示結果組合せであり」と限定するとともに、「高確移行表示結果」に関して、「前記高確移行表示結果組合せは第1識別情報と第2識別情報とで構成される表示結果組合せであり」、「前記導出演出実行手段は再度の有利状態に制御されることを示唆する示唆演出を前記高確移行表示結果組合せが導出されたときに実行する」と限定するものであって、かつ、補正前の請求項に記載された発明と補正後の請求項に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、本件補正は、図11及び図35(2)等の記載に基づくものであるから、新規事項を追加するものではない。
3 独立特許要件について
そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について、以下に検討する。
(1)刊行物1
原査定の拒絶の理由に引用文献1として引用された特開2012-101049号公報(以下「刊行物1」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。
(1-a)「【0036】
以下に、第1の実施形態に係るスロットマシン10の外観を図1に示す。図1は、スロットマシン10の正面図であり、同図において、スロットマシン10の筐体の前面部には、フロントパネル20が設けられている。このフロントパネル20の略中央には、表示窓22が形成されており、スロットマシン10の内部に回転自在に設けられている3個のリール40L,40C及び40Rの外周面に印刷された図柄が表示される。リール40L,40C及び40Rは、各回転軸が、水平方向の同一直線上に並ぶように設けられ、各々リング状の形状を有し、その外周面には21個の図柄が等間隔で印刷された帯状のリールテープが貼り付けられている。そして、表示窓22からは、リール40L,40C及び40Rが停止しているときに、各リールに印刷された21個の図柄のうち、各リールの回転方向に沿って連続する3つの図柄が視認可能となっている。すなわち、表示窓22には、3[図柄]×3[リール]=合計9つの図柄が停止表示される。ここで、リール40L,40C及び40Rが停止しているときに表示される連続する3つの図柄のうち、最も上側の停止表示位置を上段U、中央の停止表示位置を中段M、最も下側の停止表示位置を下段Lとする。
【0037】
また、表示窓22には、リール40L,40C及び40Rを横切る4本の入賞ラインが定められている。この4本の入賞ラインは、表示窓22内において、各リールの上段Uを通過する上段水平入賞ラインL1と、左リール40Lの下段L、中リール40Cの中段M、および、右リール40Rの上段Uを通過する右上がりの斜め入賞ラインL2と、各リールの中段Mを通過する中段水平入賞ラインL3と、左リール40Lの上段U、中リール40Cの中段M、右リール40Rの下段Lを通過する斜め右下がり斜め入賞ラインL4と、によって構成されている。このように各入賞ラインは、リール40L,40C,40Rの、各々3つの停止表示位置(上段U、中段M、下段L)のうち、いずれか1つを通過している。
【0038】
入賞ラインL1~L4は、各々、予め定められた複数種類の役(後述する)に対応する図柄組合せを判定する際の基準となるラインであり、リール40L,40C及び40Rが停止したときに、4本の入賞ラインのうち、有効とみなされた入賞ライン(以下、有効ラインという)が通過する停止表示位置に各々停止表示された3つの図柄の組合せが、いずれかの役に対応していたときに、その役が入賞したことになる。」
(1-b)「【0043】
操作パネル部30の正面左側には、スタートスイッチ36が傾動可能に設けられている。遊技者がスロットマシン10に規定枚数(3枚)のメダルを投入した後、スタートスイッチ36を傾動操作すると、前述した3つのリール40L,40C及び40Rが一斉に回転を開始する。これにより、リール40L,40C及び40Rの各外周面に印刷された図柄は、表示窓22において上から下へと移動(スクロール)表示される。操作パネル部30の正面中央部には、3つのストップスイッチ37L,37C及び37Rが設けられている。ここで、左ストップスイッチ37Lは左リール40Lに対応し、中ストップスイッチ37Cは中リール40Cに対応し、右ストップスイッチ37Rは右リール40Rに対応している。ストップスイッチ37L,37C及び37Rは、3つのリール40L,40C及び40Rの回転速度が所定の定常回転速度(例えば、80回転/分)に達したときに、遊技者による操作が有効となる。
【0044】
そして、左ストップスイッチ37Lを遊技者が押動操作したときには、左リール40Lが停止し、中ストップスイッチ37Cを押動操作したときには、中リール40Cが停止し、右ストップスイッチ37Rを押動操作したときには、右リール40Rが停止する。このとき、3つのリール40L、40C及び40Rの各々は、各リールの外周面に描かれている図柄のうち、連続するいずれか3つの図柄の各中心位置が、表示窓22内の上段U、中段M、および、下段Lの各中央に位置付けられるように停止制御される。ここで、図柄の中心と、停止表示位置の中央とが一致する位置を定位置という。スロットマシン10においては、遊技者がストップスイッチを操作したことによって対応するリールを停止させる際に、図柄が必ず定位置で停止するように、リール停止制御が行われる。」
(1-c)「【0051】
≪主制御回路の説明≫
図3に示す中央処理装置(以下、CPUと称する)106は、入出力バス104を介して入力される各種情報に応じて、ROM108に記憶されている各種制御プログラムを実行することで、スロットマシン10における遊技の制御を行う。CPU106は、各種制御プログラムの処理を行っている。ROM108は、スロットマシンの全体の流れを制御する制御プログラムや、制御プログラムを実行するための各種データを記憶する。ROM108に記憶されているデータとしては、前述した図柄識別情報の他、例えば、後述する各種の役に対応する図柄組合せ(図6参照)、各種役抽選テーブル(図7,図8参照)、役抽選の結果に応じてストップスイッチ37L,37C,37Rの操作順序と、入賞する役の種類と、の対応を定めた情報(図9,図10参照)、および、後述するARTへ移行する権利(ストック)を発生させるか否かを決定するためのストック抽選テーブル(図12参照)などがある。また、ROM108に記憶される制御プログラムとしては、図13に示すメインルーチン、図14~図18に示す各種サブルーチンの処理を実行するためのプログラムなどがある。」
(1-d)「【0062】
≪主制御回路の説明≫
主制御回路100は、役抽選手段410と、リール制御手段420と、入賞判定手段430と、入賞処理手段440と、報知遊技制御手段450と、外部出力手段460と、遊技進行禁止手段470と、を含む。役抽選手段410は、役抽選を行うことによって、予め定められた役のうち、いずれか1つまたは複数の役に当選したか否かを定めるものである。上述した予め定められた役には、大別すると、小役、再遊技(リプレイともいう)役、ボーナス役(特別役)の3種類がある。小役は、入賞すると予め定められた枚数のメダルが遊技者に払い出されることとなる役であり、対応する図柄組合せに応じて複数種類の小役が定められている。再遊技役は、入賞すると次の遊技に限ってメダルを投入することなく再び遊技を行うことができる役である。この再び行うことができる遊技を再遊技(リプレイ)といい、再遊技における有効ラインは、再遊技役が入賞した遊技における有効ラインと同一となる。
・・・
【0066】
例えばBB役が入賞すると、次の遊技から前述したBB遊技が開始される。なお、図6には、BB役aおよびBB役bの2種類のBB役が示されているが、これらの役は、対応する図柄組合せが異なっているだけであり、役が入賞したときに、次の遊技から開始されるBB遊技の内容に違いはない。また、再遊技役が入賞した場合は、特典として次の遊技が再遊技となる。小役が入賞した場合は、特典として入賞した小役の種類に応じた枚数のメダルが遊技者へ払い出される。より詳細には、小役1が入賞した場合は1枚のメダルが払い出され、小役2a~2cのいずれかが入賞した場合は3枚のメダルが払い出され、小役3が入賞した場合には、6枚のメダルが払い出される。」
(1-e)「【0080】
リール制御手段420は、ストップスイッチ37L,37C,37Rからリール停止信号が発信されると、操作されたストップスイッチに対応するリールの回転を190ミリ秒以内に停止させる。すなわち、定常回転速度が80回転/分であり、1リール当たりの図柄数を21とすると、ストップスイッチが操作されたときのリールの回転位置から、最大でも5図柄分、回動するまでの間に、当選役に対応した図柄組合せ(図6参照)を構成している図柄(以下、当選図柄という)が、有効ラインが通過する停止表示位置(以下、有効ラインの位置という)に到達し得るときは、その当選図柄が有効ラインの位置に達したときにリールを停止させる。」
(1-f)「【0125】
ステップS18において、CPU106が遊技開始信号を受信したことにより、遊技者によってスタートスイッチ36が操作された(YES)と判断すると、CPU106は、ステップS20で再遊技入賞フラグをオフにした後、図3に示した乱数発生装置112から乱数を取得して役抽選処理を行う(ステップS22)。すなわち、ROM108に記憶されている図7および図8に示した役抽選テーブルの中から、現在の遊技状態(通常遊技またはBB遊技)およびRT状態に応じた役抽選テーブルを選択し、選択した役抽選テーブルと、乱数発生装置112から取得した抽選用乱数と、に基づいて役抽選を行う。そして、役抽選の結果、何らかの役が当選した場合は、RAM110に記憶されている各役に対応する当選フラグのうち、当選役となった役の当選フラグをオンにする。また、CPU106は、役抽選の結果(ハズレまたは当選役の種類)を示す役抽選結果情報を、図3および図4に示した接続線120を介して副制御回路200へ送信する。これにより副制御回路200では、受信した役抽選結果情報に基づいて、実行する演出内容を決定するための抽選を行う等の処理が行われる。
【0126】
次にCPU106は、通常遊技中において、役抽選でいずれかの小役または再遊技役に当選したときは、その当選役に応じた確率でストック抽選を行う(ステップS24)。このストック抽選の処理については、後に図14を参照して詳細に説明する。次にCPU106は、リール40L,40C,40Rを回転させ、遊技者によるストップスイッチ37L,37C,37Rの操作と、ステップS22の処理で行われた役抽選の結果とに基づいて、各リールの停止制御を行うためのリール変動・停止処理を行う(ステップS26)。このリール変動・停止処理において、CPU106は、まず、モータ駆動回路114(図5参照)への駆動パルスの出力を開始し、ステッピングモータ80L、80C、および80Rを駆動し、リール40L,40C,40Rを一斉に回転させる。ただし、この時点で、前回の遊技でリールが回転を開始してから所定の待機時間(4.1秒間とする)が経過していなかった場合は、当該待機時間が経過してからリール40L,40C,40Rを一斉に回転させる。そして、リール回転速度が所定の定常回転速度(例えば、約80回転/分)に達すると、ストップスイッチ37L,37C,37Rの操作を行うことが可能となる。
【0127】
この後、遊技者によってストップスイッチ37L,37C,37Rのいずれかが操作されると、CPU106は、操作されたストップスイッチに対応するリールについて、各当選フラグのオン/オフ状態と、ストップスイッチが操作されたタイミングとに応じたリール停止制御を行う。なお、このリール停止制御の内容は、図5に示したリール制御手段420が行うリール停止制御と同様である。また、CPU106は、遊技者によってストップスイッチが操作されるごとに、どのストップスイッチが操作されたのかを表す停止操作情報を、副制御回路200へ送信し、すべてのリールが停止したときには、その旨を示す全リール停止情報を副制御回路200へ送信する。これにより副制御回路200では、停止操作情報の受信を契機として、実行中の演出内容を切り替えていくなど、演出や各種報知に関する制御が行われる。
【0128】
ステップS26で、リール変動・停止処理が行われたことによって、リール40L,40C,40Rがすべて停止すると、次にCPU106は、何らかの役が入賞したか否かを判定し、その判定結果に応じて遊技状態の移行処理などを行う入賞判定処理を行う(ステップS28)。すなわち、CPU106は、リール表示窓22に停止表示された9つの図柄を識別し、有効ラインL1~L4に停止表示された各図柄組合せを認識する。そして、図6に示した配当情報に基づいて、何らかの役が入賞したか否かを判断する。ここで、通常遊技中にRB役またはBB役が入賞したときは、遊技状態を「通常遊技」から入賞した役に応じて「RB遊技」または「BB遊技」へ移行させる。また、「通常遊技」において再遊技役が入賞した場合は、RAM110に記憶されている再遊技入賞フラグのオン/オフ状態をオンにする。さらに、遊技状態が「RB遊技」または「BB遊技」だった場合は、実行中の特別遊技の終了条件が成立したか否かを判断し、終了条件が成立した場合は、遊技状態を「通常遊技」に更新する。また、小役が入賞したと判定された場合は、入賞した小役に対応する払出枚数(図6参照)を、RAM110の所定の記憶領域に記憶する。」
(1-g)「【0131】
<ストック抽選処理の説明>
次に、メインルーチンのステップS24で行われるストック抽選処理について、図14に示すフローチャートを用いながら詳細に説明する。
【0132】
まず、CPU106は、RAM110に記憶されている現在の遊技状態を参照し、現在の遊技状態が「通常遊技」であるか否かを判断する(ステップS40)。CPU106が、現在の遊技状態が「RB遊技」または「BB遊技」である(NO)と判断した場合は、図14に示すストック抽選処理を終了して、図13に示したメインルーチンのステップS26へ移行する。これに対して、ステップS40の判断処理でCPU106が現在の遊技状態が「通常遊技」である(YES)と判断したときは、次にRAM110に記憶されている各役に対応した当選フラグのオン/オフ状態をチェックし、図13のステップS22で行った役抽選の結果、いずれかの小役または再遊技役(小役1、小役2a~2c、小役3および再遊技役a~fのいずれか)が当選しているか否かを判断する(ステップS42)。
【0133】
CPU106が、役抽選の結果、小役または再遊技役も当選していない(NO)、すなわち、RAM110に記憶されている各役に対応する当選フラグにおいて、特別役以外の役に対応する当選フラグが全てオフになっていると判断した場合は、図14に示すストック抽選処理を終了して、図13に示したメインルーチンのステップS26へ移行する。
【0134】
一方、ステップS42の判断処理において、CPU106がいずれかの小役または再遊技役が当選したと判断したときは、乱数発生装置112から乱数を取得し、図12に示したストック抽選テーブルに基づいて、ストックが発生したか否かを決定するストック抽選を行う(ステップS41)。このストック抽選では、現在、ART中であるか否かと、役抽選で当選した役の種類と、に応じてストックの発生確率が異なっている。すなわち、小役2a~2cおよび再遊技役a~fのように、役抽選で当選しやすい役(各々、当選確率が約1/5、約1/7.3(非RT、RT1のとき))は、小役1および小役3のように当選しにくい役(各々、当選確率が約1/90、約1/99.6)よりも、ストックの発生確率が低く設定されている。
【0135】
すなわち、小役2a~2cおよび再遊技役a~fのストック発生確率が、各々、約1/10922、約1/13107であるのに対して、小役1および小役3のストック発生確率は、各々、約1/218、約1/273になっている。また、図12に示したストック抽選テーブルに示すように、ART中でないときよりもART中の方が、ストックの発生確率が高くなっている。
【0136】
次にCPU106は、ステップS41におけるストック抽選の結果、ストックが発生したか否かを判断する(ステップS46)。ストック抽選にはずれ、ストックが発生しなかった(NO)場合は、図14に示すストック抽選処理を終了して、図13に示したメインルーチンのステップS26へ移行する。一方、ストック抽選に当選して、ストックが発生した(YES)ときは、RAM110に記憶されているストックの数STに、「1」を加算して(ステップS48)、図13に示したメインルーチンのステップS26へ移行する。
【0137】
このように、CPU106は、通常遊技中は、ART中であるか否かに関わらず、役抽選で小役または再遊技役が当選するごとにストック抽選を行っている。」
(1-h)「【0304】
また、入賞判定手段430が備える遊技状態制御手段432が行う各種遊技状態の移行制御は、図11に示した状態遷移図と若干異なる箇所があるため、その内容について図36の状態遷移図を参照して説明する。この図に示す状態遷移図が、図11に示したものと異なる点は、図11に示す状態遷移図では、RT3からRT2へ一旦移行すると、50ゲームを消化するまでは他のRT状態へ移行することは無かったが、図36の状態遷移図では、RT2において再遊技役aが入賞するとRT3へ移行し、再遊技役cまたは小役2aが単一入賞すると非RTへ移行する点が異なっている。
【0305】
また、このような移行制御を行うべく、役抽選手段410が備える役抽選テーブルは、図32および図33に示す内容になっている。ここで、図32(a)に示す役抽選テーブルは、非RTのときに使用される役抽選テーブルの内容を示し、同図(b)に示す役抽選テーブルは、RT2のときに使用される役抽選テーブルの内容を示している。ここで、図32(a)の役抽選テーブルにおける抽選結果番号「10」における再遊技役g、抽選結果番号「11」における再遊技役h、および、抽選結果番号「12」における再遊技役iは、各々固有の図柄組合せが対応付けられた再遊技役である。また、図33に示す役抽選テーブルは、RT3のときに使用される役抽選テーブルの内容を示している。なお、RT1および特別遊技中(BB遊技中およびRB遊技中)は、それぞれ図7(a)および(c)に示した役抽選テーブルを使用するものとする。
・・・
【0308】
ここで、図36に示したように、非RTまたはRT2において、再遊技役aが入賞した場合はいずれの場合もRT3へ移行することとなり、図31に示した外部出力手段460からART信号が出力されることになる(詳しくは後述する)。このため、予め定められた状況以外のときに、再遊技役aが入賞する可能性が有る操作順序3~6でストップスイッチ37L,37C,37Rが操作された場合は、ペナルティが課せられることになる。この詳しい内容については、後に詳しく説明する。」
(1-i)「【0322】
(2-2)現在のRT状態が「RT2」のとき
前述したステップSA72の判断処理において、CPU106が現在のRT状態は「非RT」ではない(NO)と判断すると、CPU106は、現在のRT状態が「RT2」(RT=2)であるか否かを判断する(ステップSA80)。現在のRT状態が「RT2」であった(YES)場合は、今回の単位遊技で再遊技役aが入賞したか否かを判断する(ステップSA82)。そして、再遊技役aが入賞していない(NO)と判断したときは、まず、小役2aが有効ラインL1上でのみ入賞(単一入賞)したか否かを判断する(ステップSA84)。
【0323】
ここで、小役2aが三重入賞した、または小役2aが入賞しなかった(NO)と判断したときは、次に再遊技役cが入賞したか否かを判断する(ステップSA86)。CPU106が、再遊技役cは入賞していない(ステップSA86,NO)と判断したときは、前述したステップSA56以降の処理を行う。これに対してCPU106が、小役2aが単一入賞した(ステップSA84,YES)、または再遊技役cが入賞した(ステップSA86,YES)と判断したときは、現在のRT状態を「非RT」に移行させる(ステップSA88)。そしてCPU106は、前述したステップSA56以降の処理を行う。
【0324】
(2-3)現在のRT状態が「RT3」のとき
前述したステップSA80の判断処理において、CPU106が現在のRT状態は「RT2」ではない(NO)と判断すると、CPU106は、現在のRT状態が「RT3」(RT=3)であるか否かを判断する(ステップSA90)。現在のRT状態が「RT3」であった(YES)場合は、今回の単位遊技で再遊技役bが入賞したか否かを判断する(ステップSA92)。そして、再遊技役bが入賞した(YES)と判断したときは、現在のRT状態を「RT2」に移行させ(ステップS94)、前述したステップSA56以降の処理を行う。」
(1-j)「【0355】
これに対して、ステップSA432の判断処理で、待機フラグがオンになっている(YES)とCPU206が判断したときは、導出された抽選結果番号(「10」~「15」)に応じて、再遊技役bが入賞することとなる操作順序(図35(a)参照)を報知する(ステップSA434)。ここで、報知する操作順序は、図35(a)において、再遊技役aが入賞することとなる操作順序以外であれば、どの操作順序を報知しても良い。そして、CPU206は、ステップSA428またはSA434の処理を行うと、図39および図40に示すART報知処理を終了し、他の処理を行う。」
(1-k)「【0359】
(1)通常遊技中かつ非ART中の処理
ステップSA506の判断処理で、ARTフラグはオフ(NO)になっている(非ART中)と判断した場合、CPU206は、次にRAM210に記憶されているストック数STの値が「1」以上であるか否かを判断する(ステップSA508)。そして、ストック数STの値が「1」以上である(YES)とCPU206が判断したときは、次に現在のRT状態が「RT3」であるか否かを判断する(ステップSA510)。
【0360】
そして、現在のRT状態が「RT3」である(YES)とCPU206が判断したときは、RAM210に記憶されているARTフラグのオン/オフ状態をオンにして(ステップSA512)、RAM210に記憶されているARTの残り遊技回数AGの値を「50」にセットする(ステップSA514)。これにより、本実施形態のARTは1セット50ゲームとなる。そしてCPU206は、RAM210に記憶されているストック数STの値から「1」を減算し(ステップSA516)、次の単位遊技から操作情報報知演出を開始するための準備を行う(ステップSA518)。ここで、操作情報報知演出は、ART中に行われる演出であり、役抽選の結果に応じて図35に示した操作順序を報知する際に行われる演出である。そして、ステップSA518の処理によって、次の単位遊技を行うべく、遊技者がメダルの投入操作を行うと、操作情報報知演出が開始される。
・・・
【0362】
(2)ART中の処理
前述したステップSA506の判断処理で、CPU206が、ARTフラグがオンになっている(YES)と判断した場合は、まず、RAM210に記憶されている継続フラグがオンになっているか否かの判断を行う(ステップSA520)。そして、継続フラグがオフになっている(NO)とCPU206が判断したときは、RAM210に記憶されているAGの値を「1」減算する(ステップSA522)。そして、CPU206は、RAM210に記憶されている上乗せフラグかオンになっているか否かを判断する(ステップSA524)。この上乗せフラグは、図39に示したART報知処理のステップSA342で、上乗せ抽選に当選したときにオンにされるフラグである。上乗せフラグがオンになっている(YES)とCPU206が判断したときは、次に、AGの値が「10」を超えているか否かを判断する(ステップSA526)。
・・・
【0367】
そして、ARTの最後の単位遊技において、上述したように決定されたエンディングが実行されると、ステップSA534の判断結果がYESとなる。これにより、まずCPU206は、RAM210に記憶されているストック数STの値が「1」以上であるか否かを判断する(ステップSA546)。そして、ストック数STの値が「0」である(NO)とCPU206が判断したときには、ARTを終了させるべく、RAM210に記憶されているARTフラグをオフにした後(ステップSA548)、通常遊技で行う演出(通常演出)の準備をしてから(ステップSA550)、図41に示すART制御処理を終了する。
【0368】
これに対して、ステップSA546の判断処理で、ストック数STの値は「1」以上である(YES)とCPU206が判断したときには、RAM210に記憶されているバトル演出終了フラグのオン/オフ状態がオンであるか否かを判断する(ステップSA552)。ここで、バトル演出終了フラグがオンになっている(YES)場合は、敗北エンディングが実行されたが、その最後の単位遊技でストックが発生したことを示していることから、CPU206は復活演出を実行する(ステップSA554)。そして、CPU206は、RAM210に記憶されているバトル演出終了フラグをオフにした後(ステップSA556)、継続フラグをオンにして(ステップSA558)、図41に示すART制御処理を終了する。
【0369】
(3)ARTが終了してから次のARTが開始されるまでの処理
上述したように、ARTの最後の単位遊技においてストック数STの値が「1」以上であったときは、次のARTが開始されることが確定しており、そのことを示すためにステップSA558の処理によって継続フラグかオンにされる。この継続フラグは、RT状態が一旦「RT2」へ移行し、再び「RT3」へ移行して、次のARTが開始されたときにオフとなる。なお、次のARTが開始されるまでの間、表示装置70等によって、次のARTの開始を待機中であることを示す待機演出を行うようにしても良い。
・・・
【0372】
ステップSA570の判断処理において、Adの値が未だ「1」未満になっていない(NO)とCPU206が判断したときは、そのまま図41のART制御処理を終了する。これに対して、Adの値が「1」未満になった(YES)とCPU206が判断したときは、RAM210に記憶されている待機フラグをオフにして(ステップSA572)、今回の単位遊技の結果、RT状態が「非RT」または「RT2」から「RT3」へ移行したか否かを判断する(ステップSA574)。なお、上述したステップS566の判断処理において、待機フラグがオフになっている(NO)とCPU206が判断したときは、直ちにステップSA574の判断を行う。そして、RT状態が「非RT」または「RT2」から「RT3」へ移行しなかった(NO)とCPU206が判断したときは、そのまま図41のART制御処理を終了する。」
(1-l)「【0375】
まず、図42(a)を参照して、RT状態が「RT3」から「RT2」へ移行する前に、上乗せが発生した場合について説明する。まず、残り遊技回数AGの値が「0」となったときに、ストック数STの値が1以上であった場合は(図41,ステップSA534,YES→ステップSA546,YES)、継続フラグがオンとなり(図41,ステップSA558)、次のARTが開始されることが確定する。そして、ARTが終了して待機中の演出が開始されると、「RT3」において、役抽選で抽選結果番号「10」~「15」のいずれかが導出された場合、再遊技役bが入賞する操作順序を報知する。すなわち、「RT3」において再遊技役bを入賞させて、「RT2」へ移行させるような報知が行われる。ここで、遊技者が報知された操作順序を無視しないようにするため、RT3においては、再遊技役aと再遊技役cとが重複して当選し得る役抽選を行い(図33(b)の抽選結果番号「16」~「21」参照)、報知された操作順序を無視してストップスイッチを操作したときには、再遊技c役が入賞して、不利な「非RT」へ移行してしまう場合が生じるようにしている。このように構成することで、遊技者が、報知された操作順序に従ってストップスイッチを操作するように働きかけることができる。
・・・
【0378】
「RT2」へ移行すると、役抽選で抽選結果番号「10」~「13」が導出されたときに、再遊技役aが入賞する操作順序が報知されるようになる。これにより、再遊技役aを入賞し易くして、できるだけ少ない遊技回数で、RT状態が「RT2」から「RT3」へ移行するように制御している。しかしながら、「RT3」へ再び移行する前に、上乗せが発生して待機フラグがオンになると、役抽選で抽選結果番号「10」~「13」のいずれかが導出された場合であっても、再遊技役bが入賞する操作順序を報知するようになる。すなわち、「RT2」に滞在しているときに上乗せが発生した場合は、その上乗せ分をできるだけ「RT2」で消化させるように、操作順序を報知する。」
(1-m)段落【0062】には「役抽選手段410は、役抽選を行うことによって、予め定められた役のうち、いずれか1つまたは複数の役に当選したか否かを定めるものである」と記載され、段落【0305】には、「役抽選手段410が備える役抽選テーブルは、図32および図33に示す内容になっている。」と記載され、図32及び図33には、再遊技役b及び再遊技役a含む複数種類の役が示されている。
また、段落【0125】には「乱数発生装置112から乱数を取得して役抽選処理を行う(ステップS22)。」と記載され、段落【0128】には、「ステップS26で、リール変動・停止処理が行われたことによって、リール40L,40C,40Rがすべて停止する」と記載されているから、役抽選手段410は、リール40L,40C,40Rがすべて停止する前に当選役を決定するといえる。
よって、刊行物1には、再遊技役b及び再遊技役a含む複数種類の役から当選役を、リール40L、40C及び40Rが停止する前に決定する役抽選手段410が記載されているといえる。
(1-n)段落【0305】には、「図32(a)・・・同図(b)に示す役抽選テーブルは、RT2のときに使用される役抽選テーブルの内容を示している。・・・図33に示す役抽選テーブルは、RT3のときに使用される役抽選テーブルの内容を示している。」と記載されている。
また、図32(b)には、再遊技役bを含む抽選結果番号10~19の数値範囲は50718~1で、その間の数値は50718となっており、図33には、再遊技役bを含む抽選結果番号10~15の数値範囲は50718~37615で、その間の数値は13104となっている点が示されている。
したがって、RT2のときに使用される役抽選テーブルは、RT3のときに使用される役抽選テーブルよりも再遊技役bを当選させる確率が高くなっているといえる。
そして、段落【0308】、【0322】には、再遊技役bが入賞したときに、RT2に移行させるCPU106が記載されている。
よって、刊行物1には、再遊技役bが入賞したときに、役抽選手段410が再遊技役bを当選させる確率がRT3よりも高くなるRT2に移行させるCPU106が記載されているといえる。
(1-o)段落【0362】には「CPU206が、ARTフラグがオンになっている(YES)と判断した場合は、まず、RAM210に記憶されている継続フラグがオンになっているか否かの判断を行う(ステップSA520)」と記載され、段落【0372】には、「RT状態が「非RT」または「RT2」から「RT3」へ移行したか否かを判断する(ステップSA574)。」と記載されている。
ここで、「ARTフラグ」とは、現在のRT状態が「RT3」である(YES)とCPU206が判断したときにSA512においてオンされるものであり(段落【0360】)、「継続フラグ」とは、ARTの最後の単位遊技においてエンディングが実行され、ストック数STの値は「1」以上の場合にオンされるものである(段落【0367】、【0368】)。
また、図41のSA574~SA576、SA514~SA518には、非RTまたはRT2からRT3へ移行した場合に、継続フラグをオフにし、ARTの残り遊技回数AGの値を「50」にセットして、操作情報報知演出を開始させる点が記載されているといえる。
よって、刊行物1には、ARTフラグがオンになっており、継続フラグがオンになっているときに、非RTまたはRT2からRT3へ移行した場合に、継続フラグをオフにし、ARTの残り遊技回数AGの値を「50」にセットして、操作情報報知演出を開始させるCPU206が記載されているといえる。
(1-p)上記(1-n)で検討したとおり、RT3のときに使用される役抽選テーブルである図33には、再遊技役bを含む抽選結果番号10~15が示されている。
また、段落【0360】には、RT3においてストック数STの値が1以上であり操作情報報知演出が開始されている状態があることが記載されているから、RT3においてストック数STの値が1以上であり操作情報報知演出が開始されている状態で再遊技役bが当選可能であるといえる。
さらに、段落【0375】には、残り遊技回数AGの値が「0」となったときに、ストック数STの値が1以上であった場合は、継続フラグがオンとなり、次のARTが開始されることが確定し、ARTが終了して待機中の演出が開始されると、「RT3」において、役抽選で抽選結果番号「10」~「15」のいずれかが導出された場合、再遊技役bが入賞してRT2に移行させる操作順序を報知することが記載されており、段落【0355】には、再遊技役bが入賞することとなる操作順序の報知はCPU206が行うことが記載されている。
よって、刊行物1には、RT3においてストック数STの値が1以上であり操作情報報知演出が開始されている状態で再遊技役bが当選可能であり、RT3において残り遊技回数AGの値が「0」となったときに、ストック数STの値が1以上であった場合は、継続フラグがオンとなり、次のARTが開始されることが確定し、ARTが終了して待機中の演出が開始されると、役抽選で抽選結果番号「10」~「15」のいずれかが導出された場合、再遊技役bが入賞してRT2に移行させる操作順序を報知するCPU206が記載されているといえる。
(1-q)RT2のときに使用される役抽選テーブルである図32(b)において、再遊技役aを含む抽選結果番号10~13と再遊技役a以外の再遊技役を含む抽選結果番号14~19とを合算した数値範囲は50718~1で、その間の数値は50718となっている。
一方、RT3のときに使用される役抽選テーブルである図33において、再遊技役aを含む抽選結果番号10~21の数値範囲は50718~1で、その間の数値は50718となっており、再遊技役aが入賞不可能な再遊技役はない。
よって、刊行物1には、RT3とRT2とでは、役抽選手段410が再遊技役aを当選させる確率と役抽選手段410が再遊技役a以外の再遊技役を当選させる確率とを合算した確率が同一であることが記載されているといえる。
なお、図36において、RT3のリプレイ当選確率は1/1.2921、RT2のリプレイ当選確率は1/1.2922となっているが、図32(b)、図33において全ての数値範囲は65535~0で、その間の数値は65536で、全ての再遊技役の数値範囲は50718~1で、その間の数値は50718であり、これに基づき算出すると、共に65536/50718=1.29216であるから、どちらか一方は誤記であり、RT3とRT2のリプレイ当選確率は同一であるといえる。
(1-r)図6には、再遊技役aは、プラム-プラム-プラムの図柄組合せであり、再遊技役bは、プラム-プラム-スイカの図柄組合せであることが示されている。
(1-s)段落【0369】には、「次のARTが開始されるまでの間、表示装置70等によって、次のARTの開始を待機中であることを示す待機演出を行うようにしても良い。」と記載されており、図42(a)には、RT3における再遊技役b報知を含む期間に待機中の演出を行うことが示されている。
そして、段落【0359】~【0372】までのART制御処理は、CPU206が行うことは明らかである。
よって、刊行物1には、CPU206は、次のARTの開始が待機中であることを示す待機中の演出をRT3における再遊技役b報知を含む期間に行うことが記載されているといえる。
上記(1-a)~(1-l)の記載事項及び(1-m)~(1-s)の認定事項を総合すると、刊行物1には、次の発明が記載されていると認められる(以下「刊行物1発明」という。)。
「a 外周面には21個の図柄が等間隔で印字された帯状のテープが貼り付けられ、回転自在に設けられている3個のリール40L、40C及び40Rを備え、リール40L、40C及び40Rが停止したときに、有効ラインが通過する停止表示位置に各々停止表示された3つの図柄の組合せが、いずれかの役に対応していたときに、その役が入賞したことになるスロットマシン10において(段落【0036】、【0038】)、
b 再遊技役b及び再遊技役a含む複数種類の役から当選役を、リール40L、40C及び40Rが停止する前に決定する役抽選手段410と(認定事項(1-m))、
c 遊技者が押動操作したときに、リール40L、40C及び40Rが停止する3つのストップスイッチ37L、37C及び37Rと(段落【0043】、【0044】)、
d ストップスイッチが操作されたときのリールの回転位置から、最大でも5図柄分、回動するまでの間に、当選役に対応した図柄組合せを構成している図柄が、有効ラインが通過する停止表示位置に到達し得るときは、その当選図柄が有効ラインの位置に達したときにリールを停止させるリール制御手段420と(段落【0080】)、
e ARTへ移行する権利(ストック)を発生させるか否かを決定するためのストック抽選テーブルに基づいて、ストックが発生したか否かを決定するストック抽選を行うCPU106と(段落【0051】、【0134】)、
f RT2において、再遊技役aが入賞した場合はRT3に移行させ、RT3において、再遊技役bが入賞した場合はRT2に移行させるCPU106と(段落【0308】、【0322】、【0324】)、ストック数STの値が「1」以上で、RT3である場合にARTフラグをオンにして、ARTの残り遊技回数AGの値を「50」にセットして、操作情報報知演出を開始させるCPU206と(段落【0359】、【0360】)、
g 再遊技役bが入賞したときに、役抽選手段410が再遊技役bを当選させる確率がRT3よりも高くなるRT2に移行させるCPU106と(認定事項(1-n))、
h ARTフラグがオンになっており、継続フラグがオンになっているときに、非RTまたはRT2からRT3へ移行した場合に、継続フラグをオフにし、ARTの残り遊技回数AGの値を「50」にセットして、操作情報報知演出を開始させるCPU206と(認定事項(1-o))、
i RT3においてストック数STの値が1以上であり操作情報報知演出が開始されている状態で再遊技役bが当選可能であり、RT3において残り遊技回数AGの値が「0」となったときに、ストック数STの値が1以上であった場合は、継続フラグがオンとなり、次のARTが開始されることが確定し、ARTが終了して待機中の演出が開始されると、役抽選で抽選結果番号「10」~「15」のいずれかが導出された場合、再遊技役bが入賞してRT2に移行させる操作順序を報知するCPU206と(認定事項(1-p))、
j RT2において、再遊技役cまたは小役2aが単一入賞すると非RTへ移行させ、非RTにおいて再遊技役aが入賞した場合にはRT3に移行させるCPU106とを備え(段落【0304】、【0308】、【0323】)、
k 再遊技役aが入賞した場合は、特典として次の遊技が再遊技となるものであり(段落【0066】)、
l RT3とRT2とでは、役抽選手段410が再遊技役aを当選させる確率と役抽選手段410が再遊技役a以外の再遊技役を当選させる確率とを合算した確率が同一であり(認定事項(1-q))、
m 再遊技役aは、プラム-プラム-プラムの図柄組合せであり(認定事項(1-r))、
n 再遊技役bは、プラム-プラム-スイカの図柄組合せであり(認定事項(1-r))、
o CPU206は、次のARTの開始が待機中であることを示す待機中の演出をRT3における再遊技役b報知を含む期間に行うスロットマシン10(認定事項(1-s))。」
(2)対比
本願補正発明と刊行物1発明とを対比する(下記の(a)~(o)は、刊行物1発明の構成に対応している。)。
(a)刊行物1発明の「3個のリールリール40L、40C及び40R」は、「回転自在に設けられている」から変動表示可能であり、刊行物1発明の「外周面には21個の図柄が等間隔で印字された帯状のテープが貼り付けられ」た「3個のリール40L、40C及び40R」を備える点は、本願補正発明の「各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を複数備え」る点に相当する。
また、刊行物1発明の「リール40L、40C及び40Rが停止」するのは、リールが回転して変動表示した後であることは自明な事項であり、刊行物1発明の「3つの図柄の組合せが、いずれかの役に対応していたときに、その役が入賞したことになる」点は、本願補正発明の「表示結果組合せに応じて入賞が発生可能」である点に相当する。
よって、刊行物1発明の「外周面には21個の図柄が等間隔で印字された帯状のテープが貼り付けられ、回転自在に設けられている3個のリール40L、40C及び40Rを備え、リール40L、40C及び40Rが停止したときに、有効ラインが通過する停止表示位置に各々停止表示された3つの図柄の組合せが、いずれかの役に対応していたときに、その役が入賞したことになるスロットマシン10」は、本願補正発明の「各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を複数備え、前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、複数の可変表示部の表示結果の組合せである表示結果組合せに応じて入賞が発生可能なスロットマシン」に相当する。
(b)構成m、nにより、刊行物1発明の「再遊技役b」は「プラム-プラム-スイカの図柄組合せ」であり、「再遊技役a」「プラム-プラム-プラムの図柄組合せ」であるから、表示結果組合せを有しているといえ、「複数種類の役から当選した役」も、その役に対応した図柄の組合せである表示結果組合せを有していることは明らかである。
そして、刊行物1発明の「再遊技役b」の図柄の組合わせ、「再遊技役a」の図柄組合せは、それぞれ、本願補正発明の「高確移行表示結果組合せ」、「特定表示結果組合せ」に相当する。
また、刊行物1発明の「リール40L、40C及び40Rが停止する前」は、本願補正発明の「可変表示部に表示結果が導出される前」に相当する。
よって、刊行物1発明の「再遊技役b及び再遊技役a含む複数種類の役から当選役を、リール40L,40C及び40Rが停止する前に決定する役抽選手段410」は、本願補正発明の「高確移行表示結果組合せおよび特定表示結果組合せを含む複数種類の表示結果組合せのうちから導出を許容する表示結果組合せを前記可変表示部に表示結果が導出される前に決定する事前決定手段」に相当する。
(c)刊行物1発明の「遊技者が押動操作したときに、リール40L、40C及び40Rが停止する3つのストップスイッチ37L、37C及び37R」は、本願補正発明の「可変表示部に表示結果を導出させるための操作を受け付ける導出操作受付手段」に相当する。
(d)構成bにより、刊行物1発明の「当選役」(決定結果)は、「役抽選手段410」(事前決定手段)によって決定されるものといえる。
また、刊行物1発明において、「ストップスイッチが操作されたときのリールの回転位置から、最大でも5図柄分、回動するまでの間に、当選役に対応した図柄組合せを構成している図柄が、有効ラインが通過する停止表示位置に到達し得るときは、その当選図柄が有効ラインの位置に達したときにリールを停止させる」ことは、「当選役」と「ストップスイッチが操作されたときのリールの回転位置」とに応じて図柄の停止表示位置を決めているといえる。
よって、刊行物1発明の「ストップスイッチが操作されたときのリールの回転位置から、最大でも5図柄分、回動するまでの間に、当選役に対応した図柄組合せを構成している図柄が、有効ラインが通過する停止表示位置に到達し得るときは、その当選図柄が有効ラインの位置に達したときにリールを停止させるリール制御手段420」は、本願補正発明の「事前決定手段による決定結果と導出操作受付手段により受け付けられた操作とに応じて表示結果を可変表示部に導出させる制御を行う導出制御手段」に相当する。
(e)刊行物1発明の「ARTへ移行する権利(ストック)」は、本願補正発明の「有利状態に制御する権利」に相当する。
よって、刊行物1発明の「ARTへ移行する権利(ストック)を発生させるか否かを決定するためのストック抽選テーブルに基づいて、ストックが発生したか否かを決定するストック抽選を行うCPU106」は、本願補正発明の「遊技者にとって有利な有利状態に制御する権利を付与するか否かを決定する権利付与決定手段」に相当する。
(f)刊行物1発明の「RT3」の操作情報報知演出(ART)は、本願補正発明の「有利状態」に相当する。
また、刊行物1発明の「ストック数STの値が「1」以上」であることは、ARTへ移行する権利が付与されていることを意味するものである。
そして、刊行物1発明において、再遊技役aまたは再遊技役bが入賞するとそれらに対応する表示結果組合せが表示されることになるから、刊行物1発明の「入賞」は、本願補正発明の「表示結果組合せが導出」されることを意味するものである。
したがって、刊行物1発明のCPU106が行う「再遊技役aが入賞した場合はRT3に移行」することと、CPU206が行う「ストック数STの値が「1」以上で、RT3である場合にARTフラグをオンにして、ARTの残り遊技回数AGの値を「50」にセットして、操作情報報知演出を開始させる」ことは、本願補正発明の「権利が付与されておりかつ前記可変表示部に前記特定表示結果組合せが導出されたときに有利状態に制御」することに相当し、刊行物1発明のCPU106が行う「再遊技役bが入賞した場合はRT2に移行させる」ことは、本願補正発明の「高確移行表示結果組合せが導出されたときに有利状態を終了させる」ことに相当する。
よって、刊行物1発明の「RT2において、再遊技役aが入賞した場合はRT3に移行させ、RT3において、再遊技役bが入賞した場合はRT2に移行させるCPU106と、ストック数STの値が「1」以上で、RT3である場合にARTフラグをオンにして、ARTの残り遊技回数AGの値を「50」にセットして、操作情報報知演出を開始させるCPU206」は、本願補正発明の「権利が付与されておりかつ前記可変表示部に前記特定表示結果組合せが導出されたときに有利状態に制御し、前記高確移行表示結果組合せが導出されたときに有利状態を終了させる有利状態制御手段」に相当する。
(g)上記(b)で検討したとおり、刊行物1発明の「再遊技役b」の図柄の組合わせは、本願補正発明の「高確移行表示結果組合せ」に相当するから、「特定表示結果組合せ」に相当するものではない。
よって、刊行物1発明の「再遊技役bが入賞したときに、役抽選手段410が再遊技役bを当選させる確率がRT3よりも高くなるRT2に移行させるCPU106」と、本願補正発明の「可変表示部に高確移行表示結果組合せが導出されたときに事前決定手段が特定表示結果組合せの導出を許容する確率が有利状態よりも高くなる高確率状態に制御する高確状態制御手段」とは、「可変表示部に高確移行表示結果組合せが導出されたときに事前決定手段がある表示結果組合せの導出を許容する確率が有利状態よりも高くなる高確率状態に制御する高確状態制御手段」という点で共通する。
(h)上記(f)で検討したとおり、ストック数STの値が「1」以上で、RT3である場合にARTフラグをオンにして、ARTの残り遊技回数AGの値を「50」にセットして、操作情報報知演出(ART)を開始させるから、刊行物1発明の「ARTフラグがオン」になることは、本願補正発明の「有利状態に制御」されることに相当する。
また、「継続フラグがオン」になることは、本願補正発明の「次回分の権利が付与」されることに相当する。
そして、上記(1-o)で検討したとおり、「継続フラグ」とは、ARTの最後の単位遊技においてエンディングが実行され、ストック数STの値は「1」以上の場合にオンされるものであるから、継続フラグがオンの場合には、最初の操作報知情報演出(有利状態)の終了より後に再度の操作報知情報演出(有利状態)に制御するものといえる。
また、構成fにより、刊行物1発明において、「RT2からRT3へ移行」して「操作情報報知演出を開始させる」のは、再遊技役aが入賞した場合であるから、本願補正発明の「特定表示結果組合せが導出されることで」「有利状態に制御する」ことに相当する。
よって、刊行物1発明の「ARTフラグがオンになっており、継続フラグがオンになっているときに、非RTまたはRT2からRT3へ移行した場合に、継続フラグをオフにし、ARTの残り遊技回数AGの値を「50」にセットして、操作情報報知演出を開始させるCPU206」は、本願補正発明の「有利状態に制御されておりかつ次回分の権利が付与されているときに制御中の有利状態の終了より後に前記可変表示部に前記特定表示結果組合せが導出されることで再度の有利状態に制御する有利状態再制御手段」に相当する。
(i)刊行物1発明の「RT3においてストック数STの値が1以上であり操作情報報知演出が開始されている状態で再遊技役bが当選可能」である点は、本願補正発明の「次回分の権利が付与されている有利状態で前記事前決定手段が前記高確移行表示結果組合せの導出を許容」である点に相当する。
また、刊行物1発明の「残り遊技回数AGの値が「0」となったときに、ストック数STの値が1以上であった場合は、継続フラグがオンとなり、次のARTが開始されることが確定し、ARTが終了」するときは、本願補正発明の「有利状態の終了条件を満たしているとき」に相当し、刊行物1発明の「再遊技役bが入賞してRT2に移行させる操作順序を報知」する点は、本願補正発明の「高確移行表示結果組合せを導出させる操作手順を特定可能な演出を実行する」点に相当する。
よって、刊行物1発明の「RT3においてストック数STの値が1以上であり操作情報報知演出が開始されている状態で再遊技役bが当選可能であり、RT3において残り遊技回数AGの値が「0」となったときに、ストック数STの値が1以上であった場合は、継続フラグがオンとなり、次のARTが開始されることが確定し、ARTが終了して待機中の演出が開始されると、役抽選で抽選結果番号「10」~「15」のいずれかが導出された場合、再遊技役bが入賞してRT2に移行させる操作順序を報知するCPU206」は、本願補正発明の「次回分の権利が付与されている有利状態で前記事前決定手段が前記高確移行表示結果組合せの導出を許容しかつ当該有利状態の終了条件を満たしているときに前記高確移行表示結果組合せを導出させる操作手順を特定可能な演出を実行する導出演出実行手段」に相当する。
(j)刊行物1発明の「RT2において、再遊技役cまたは小役2aが単一入賞する」ときは、本願補正発明の「特別条件が満たされたとき」に相当し、刊行物1発明の「非RT」は、本願補正発明の「有利状態および高確率状態とは異なる状態」である「特別状態」に相当する。
よって、刊行物1発明の「RT2において、再遊技役cまたは小役2aが単一入賞すると非RTへ移行させ、非RTにおいて再遊技役aが入賞した場合にはRT3に移行させるCPU106」は、本願補正発明の「特別条件が満たされたときに、有利状態および高確率状態とは異なる状態であって、事前決定手段が特定表示結果組合せの導出を許容し得る特別状態に制御する特別状態制御手段」に相当する。
(k)上記(b)で検討したとおり、刊行物1発明において、「再遊技役b」は、その役に対応した図柄の組合せである表示結果組合せを有していることは明らかである。
よって、刊行物1発明の「再遊技役aが入賞した場合は、特典として次の遊技が再遊技となる」点は、本願補正発明の「特定表示結果組合せは再遊技を付与する表示結果組合せであ」る点に相当する。
(l)刊行物1発明の「再遊技役aを当選させる確率」は、本願補正発明の「特定表示結果組合せの導出を許容する確率」に相当し、刊行物1発明の「再遊技役a以外の再遊技役を当選させる確率」は、本願補正発明の「特定表示結果組合せ以外の再遊技を付与する表示結果組合せの導出を許容する確率」に相当する。
よって、刊行物1発明の「RT3とRT2とでは、役抽選手段410が再遊技役aを当選させる確率と役抽選手段410が再遊技役a以外の再遊技役を当選させる確率とを合算した確率が同一」である点は、本願補正発明の「有利状態と高確率状態とでは事前決定手段が特定表示結果組合せの導出を許容する確率と事前決定手段が特定表示結果組合せ以外の再遊技を付与する表示結果組合せの導出を許容する確率とを合算した確率が同一」である点に相当する。
(m)刊行物1発明の「プラム-プラム-プラムの図柄組合せ」は、本願補正発明の「特定識別情報が揃う表示結果組合せ」に相当する。
よって、刊行物1発明の「再遊技役aは、プラム-プラム-プラムの図柄組合せ」である点は、本願補正発明の「特定表示結果組合せは特定識別情報が揃う表示結果組合せ」である点に相当する。
(n)刊行物1発明の「プラム-プラム-スイカの図柄組合せ」は、本願補正発明の「第1識別情報と第2識別情報とで構成される表示結果組合せ」に相当する。
よって、刊行物1発明の「再遊技役bは、プラム-プラム-スイカの図柄組合せ」である点は、本願補正発明の「高確移行表示結果組合せは第1識別情報と第2識別情報とで構成される表示結果組合せ」である点に相当する。
(o)刊行物1発明の「待機中の演出」は「次のARTの開始が待機中であることを示す」ものであるから、本願補正発明の「再度の有利状態に制御されることを示唆する示唆演出」に相当する。
また、刊行物1発明の「待機中の演出」は、「RT3における再遊技役b報知を含む期間に行う」から、再遊技役bが停止表示されるときにも実行されているといえる。
よって、刊行物1発明の「CPU206は、次のARTの開始を待機中であることを示す待機中の演出をRT3における再遊技役b報知を含む期間に行う」「スロットマシン10」は、本願補正発明の「導出演出実行手段は再度の有利状態に制御されることを示唆する示唆演出を高確移行表示結果組合せが導出されたときに実行する」「スロットマシン」に相当する。
したがって、本願補正発明と刊行物1発明とは、
「A 各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を複数備え、前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、複数の可変表示部の表示結果の組合せである表示結果組合せに応じて入賞が発生可能なスロットマシンにおいて、
B 高確移行表示結果組合せおよび特定表示結果組合せを含む複数種類の表示結果組合せのうちから導出を許容する表示結果組合せを前記可変表示部に表示結果が導出される前に決定する事前決定手段と、
C 前記可変表示部に表示結果を導出させるための操作を受け付ける導出操作受付手段と、
D 前記事前決定手段による決定結果と前記導出操作受付手段により受け付けられた操作とに応じて表示結果を前記可変表示部に導出させる制御を行う導出制御手段と、
E 遊技者にとって有利な有利状態に制御する権利を付与するか否かを決定する権利付与決定手段と、
F 権利が付与されておりかつ前記可変表示部に前記特定表示結果組合せが導出されたときに有利状態に制御し、前記高確移行表示結果組合せが導出されたときに有利状態を終了させる有利状態制御手段と、
G’ 前記可変表示部に前記高確移行表示結果組合せが導出されたときに前記事前決定手段がある表示結果組合せの導出を許容する確率が有利状態よりも高くなる高確率状態に制御する高確状態制御手段と、
H 有利状態に制御されておりかつ次回分の権利が付与されているときに制御中の有利状態の終了より後に前記可変表示部に前記特定表示結果組合せが導出されることで再度の有利状態に制御する有利状態再制御手段と、
I 次回分の権利が付与されている有利状態で前記事前決定手段が前記高確移行表示結果組合せの導出を許容しかつ当該有利状態の終了条件を満たしているときに前記高確移行表示結果組合せを導出させる操作手順を特定可能な演出を実行する導出演出実行手段と、
J 特別条件が満たされたときに、有利状態および高確率状態とは異なる状態であって、前記事前決定手段が前記特定表示結果組合せの導出を許容し得る特別状態に制御する特別状態制御手段とを備え、
K 前記特定表示結果組合せは再遊技を付与する表示結果組合せであり、
L 有利状態と高確率状態とでは前記事前決定手段が前記特定表示結果組合せの導出を許容する確率と前記事前決定手段が前記特定表示結果組合せ以外の再遊技を付与する表示結果組合せの導出を許容する確率とを合算した確率が同一であり、
M 前記特定表示結果組合せは特定識別情報が揃う表示結果組合せであり、
N 前記高確移行表示結果組合せは第1識別情報と第2識別情報とで構成される表示結果組合せであり、
O 前記導出演出実行手段は再度の有利状態に制御されることを示唆する示唆演出を前記高確移行表示結果組合せが導出されたときに実行する
ことを特徴とするスロットマシン。」
である点で一致し、以下の点で相違する。
[相違点]
高確状態制御手段の制御により導出を許容する確率が有利状態より高くなる高確率状態の表示結果組合せに関して、本願補正発明は、特定表示結果組合わせであるのに対して、刊行物1発明は、再遊技役bである点(構成G)。
(3)判断
ア 上記相違点について検討する。
刊行物1発明のRT2(高確率状態)においては、RT3(有利状態)に移行させる再遊技役a(特定表示結果組合せ)ではなく、RT3(有利状態)への移行とは無関係の再遊技役bの確率が高くなっている。
しかしながら、遊技機の技術分野において、遊技状態を有利な遊技状態に移行させる特定役の当選確率を、移行後の有利な遊技状態よりも移行前の遊技状態の方が高くなるように設定することは、本願出願前において周知の技術である(例えば、特開2011-55893号公報の段落【0100】、【0132】、図3、図8の第2リプレイ低確率状態から第1リプレイ高確率状態に移行させるリプレイDの当選確率が、第2リプレイ低確率状態における内部抽選テーブルBの方が第1リプレイ高確率状態における内部抽選テーブルCよりも高くなっている点、特開2012-115517号公報の段落【0113】、【0119】、図3、図11のリプレイ低確率状態Aからリプレイ高確率状態Aに移行させるリプレイBの当選確率が、リプレイ低確率状態Aにおける内部抽選テーブルAの方がリプレイ高確率状態Aにおける内部抽選テーブルCよりも高くなっている点を参照のこと。)。
そして、刊行物1発明と周知の技術とは、特定役の入賞により遊技状態を有利な遊技状態に移行させる遊技機という点で共通するものである。
よって、刊行物1発明におけるRT2(高確率状態)において、上記周知の技術を適用し、遊技状態を有利な遊技状態に移行させる再遊技役a(特定表示結果組合せ)の当選確率を高くなるように設定し、上記相違点に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。
イ 本願補正発明が奏する効果について
上記相違点によって本願補正発明が奏する効果は、当業者が刊行物1発明及び周知の技術から予測し得る程度のものであって、格別のものではない。
ウ 請求人の主張について
(ア)請求人は、審判請求書において、「引用文献1には、図36で示されているように、高確状態に相当するRT2での再遊技の当選確率(1/1.2921)と有利状態に相当するRT3での再遊技の当選確率が(1/1.2922)異なることが記載されている。一方、本願発明は、上記(f),(j),(k)の構成を備えることにより、高確率状態では有利状態よりも特定表示結果組合せの導出を許容する確率が高いが、高確状態と有利状態では、特定表示結果組合せの導出を許容する確率と特定表示結果組合せ以外の再遊技を付与する表示結果組合せの導出を許容する確率とを合算した確率が同一になっている。・・・これにより、本願発明は、有利状態で高確移行表示結果組合せを導出させる操作手順を特定可能な演出を実行したときに、当該演出が遊技者にとって不利な状態に制御させるためのとなることを防止できる。また、一旦高確率状態を経由させて再度有利状態に制御するときであっても、遊技の興趣が低下することを防止できるという独特の効果を奏する。」(第10頁第9~25行)と主張する。
確かに、刊行物1の図36には、RT2での再遊技の当選確率(1/1.2921)と有利状態に相当するRT3での再遊技の当選確率が(1/1.2922)異なることが示されている。
しかしながら、上記(1)(1-q)で検討したとおり、刊行物1の図32(b)、図33の役抽選テーブルに基づけば、RT3とRT2とでは、役抽選手段410が再遊技役aを当選させる確率と役抽選手段410が再遊技役a以外の再遊技役を当選させる確率とを合算した確率が同一であることが示されており、図36に示されたRT2での再遊技の当選確率(1/1.2921)とRT3での再遊技の当選確率(1/1.2922)のどちらか一方は誤記といえる。
このことは、刊行物1の第1の実施形態におけるRT2のときに使用される役抽選テーブルである図7(b)において、再遊技役の抽選結果番号10~12の数値範囲は50718~1で、RT3のときに使用される役抽選テーブルである図8において、再遊技役を含む抽選結果番号10~21の数値範囲は50718~1となっており、図11において、RT2での再遊技の当選確率(1/1.2921)、RT3での再遊技の当選確率(1/1.2921)となっていることからも、図36の記載が誤記であることが裏付けられる。
また、高確率状態では有利状態よりも特定表示結果組合せの導出を許容する確率が高い点については、上記(3)アで検討したとおり、刊行物1発明に周知の技術を適用することにより、当業者が容易になし得たことである。
そして、「有利状態で高確移行表示結果組合せを導出させる操作手順を特定可能な演出を実行したときに、当該演出が遊技者にとって不利な状態に制御させるためのとなることを防止できる。」という効果も、刊行物1発明及び周知の技術から予測し得る程度のものである。
(イ)また、請求人は、審判請求書において「引用文献1~5と異なり、本願発明では、上記(l),(k)の構成を備えることにより、特定表示結果組合せは高確移行表示結果組合せと異なり、特定識別情報が揃う表示結果組合せであるため、有利状態に制御されたことを遊技者に報知することができ、再度有利状態に制御するときに遊技の興趣が低下することを防止できるという独特の効果を奏する。」(第10頁第26頁~第11頁第1行)と主張する。
しかしながら、刊行物1発明には、構成m、nとして「再遊技役aは、プラム-プラム-プラムの図柄組合せであり、再遊技bは、プラム-プラム-スイカの図柄組合せであ」る点が開示されているから、特定識別情報が揃う表示結果組合せであり、しかも、「再遊技役a」は、入賞した場合は有利な状態であるRT3に移行する役であるから、刊行物1発明も本願発明と同様の効果を奏するものであるといえる。
(ウ)さらに、請求人は、審判請求書において「引用文献1~5と異なり、本願発明では、上記(n)の構成を備えることにより、有利状態に移行させやすい高確状態に制御されたときに再度の有利状態に移行することが示唆されるため、高確状態から有利状態にスムーズに制御されるように特定表示結果組合せの確率を設定した遊技の流れの中で適切なタイミングで当該示唆を行うことができ、再度有利状態に制御するときに遊技の興趣が低下することを防止できるという独特の効果を奏する。」(第11頁第2~7行)と主張する。
しかしながら、刊行物1発明には、構成oとして「CPU206は、次のARTの開始を待機中であることを示す待機中の演出をRT3における再遊技役b報知を含む期間に行う」点が開示されているから、本願発明と同様に「適切なタイミングで当該示唆を行う」という効果を奏するものである。
(エ)よって、請求人の主張は採用できない。
(4)まとめ
以上のように、本願補正発明は、 当業者が刊行物1発明及び周知の技術に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。
4 むすび
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成28年11月18日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。
「【請求項1】
各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を備え、前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、該表示結果に応じて入賞が発生可能なスロットマシンにおいて、
高確移行表示結果および特定表示結果を含む複数種類の表示結果のうちから導出を許容する表示結果を前記可変表示部に表示結果が導出される前に決定する事前決定手段と、
前記可変表示部に表示結果を導出させるための操作を受け付ける導出操作受付手段と、
前記事前決定手段による決定結果と前記導出操作受付手段により受け付けられた操作とに応じて表示結果を前記可変表示部に導出させる制御を行う導出制御手段と、
遊技者にとって有利な有利状態に制御する権利を付与するか否かを決定する権利付与決定手段と、
権利が付与されておりかつ前記可変表示部に前記特定表示結果が導出されたときに有利状態に制御し、前記高確移行表示結果が導出されたときに有利状態を終了させる有利状態制御手段と、
前記可変表示部に前記高確移行表示結果が導出されたときに前記事前決定手段が前記特定表示結果の導出を許容する確率が有利状態よりも高くなる高確率状態に制御する高確状態制御手段と、
有利状態に制御されておりかつ次回分の権利が付与されているときに制御中の有利状態の終了より後に前記可変表示部に前記特定表示結果が導出されることで再度の有利状態に制御する有利状態再制御手段と、
次回分の権利が付与されている有利状態で前記事前決定手段が前記高確移行表示結果の導出を許容しかつ当該有利状態の終了条件を満たしているときに前記高確移行表示結果を導出させる操作手順を特定可能な演出を実行する導出演出実行手段と、
特別条件が満たされたときに、有利状態および高確率状態とは異なる状態であって、前記事前決定手段が前記特定表示結果の導出を許容し得る特別状態に制御する特別状態制御手段とを備えた
ことを特徴とするスロットマシン。」
2 刊行物
刊行物1及びその記載事項、並びに刊行物1発明は、上記「第2 3(1)」に記載したとおりである。
3 対比・判断
本願発明は、本願補正発明を特定するために必要な事項である「表示結果」に関して、「可変表示部を複数備え、・・・複数の可変表示部の表示結果の組合せである表示結果組合せに応じて入賞が発生可能」であるとの限定を省き、「高確移行表示結果」、「特定表示結果」、「表示結果」に関して、それぞれ、「高確移行表示結果組合せ」、「特定表示結果組合せ」、「表示結果組合せ」との限定を省き、さらに、「特定表示結果」に関して、「前記特定表示結果組合せは再遊技を付与する表示結果組合せであり」、「有利状態と高確率状態とでは前記事前決定手段が前記特定表示結果組合せの導出を許容する確率と前記事前決定手段が前記特定表示結果組合せ以外の再遊技を付与する表示結果組合せの導出を許容する確率とを合算した確率が同一であり」、「前記特定表示結果組合せは特定識別情報が揃う表示結果組合せであり」との限定を省くとともに、「高確移行表示結果」に関して、「前記高確移行表示結果組合せは第1識別情報と第2識別情報とで構成される表示結果組合せであり」、「前記導出演出実行手段は再度の有利状態に制御されることを示唆する示唆演出を前記高確移行表示結果組合せが導出されたときに実行する」との限定を省くものである。
そして、本願発明と刊行物1発明とを対比すると、上記「第2 3(2)」で検討した相違点と同様のものとなるから、上記「第2 3(3)」で検討したとおり、当業者が、刊行物1発明及び周知の技術に基づいて、容易に発明をすることができたものである。
4 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2017-009357