特許拒絶査定不服審判
2017-008880
遊技機
- 審判番号
- 2017-008880
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2015-071263外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2017年06月19日
- 審決日
- 2018年02月14日
- 公報発行日
- 2018年05月25日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】京楽産業.株式会社
- 【請求人代理人】特許業務法人 エビス国際特許事務所
- 分類
- P18 .575-Z (A63F) / P18 .121-Z (A63F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第6項、特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2015- 71263「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成28年11月10日出願公開、特開2016-189900〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、平成27年3月31日の出願であって、平成28年1月25日付けで拒絶の理由が通知され、平成28年3月31日に意見書及び手続補正書が提出され、平成28年9月6日付けで最後の拒絶の理由が通知され、平成28年11月8日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、平成29年4月5日付けで補正の却下の決定がなされるとともに拒絶査定がなされ、これに対して、平成29年6月19日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。
第2 平成29年6月19日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成29年6月19日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 本件補正の概要
本件補正は、特許請求の範囲の請求項1を補正する内容を含んでおり、本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、平成28年3月31日付けの手続補正書における、
「【請求項1】
始動条件が成立した場合、遊技者にとって有利な特別遊技の制御を行うか否かの判定を行う特別遊技判定手段と、
複数種類の演出図柄を変動表示する複数の可変表示部を有する可変表示手段と、
前記特別遊技判定手段によって判定が行われた場合、前記可変表示手段の複数の前記可変表示部における演出図柄の変動表示を制御し、前記特別遊技の制御を行うとする判定結果である場合は、予め定められた特定の演出図柄の組み合わせを停止表示させる演出制御手段と、を備え、
前記演出制御手段は、
変動表示中において、前記複数の可変表示部のうち最後に演出図柄が停止表示される最終停止可変表示部を除く前記可変表示部に前記特定の演出図柄の組み合わせの一部を構成する演出図柄を停止表示させる複数種類の特定演出を実行可能であって、前記特定演出実行後に演出図柄の変動表示を複数回行う遊技演出を実行可能であり、さらに該遊技演出の実行後に再度前記特定演出を実行可能であり、
同種類の前記特定演出においては、前記遊技演出における変動表示の回数が多いほど、前記特別遊技判定手段による判定結果が前記特別遊技を行うとする期待度が高くなり、該期待度が高いことを遊技者に示唆する演出を実行可能である、ことを特徴とする遊技機。」
から、平成29年6月19日付けの手続補正書における、
「【請求項1】
A 始動条件が成立した場合、遊技者にとって有利な特別遊技の制御を行うか否かの判定を行う特別遊技判定手段と、
B 複数種類の演出図柄を変動表示する複数の可変表示部を有する可変表示手段と、
C 前記特別遊技判定手段によって判定が行われた場合、前記可変表示手段の複数の前記可変表示部における演出図柄の変動表示を制御し、前記特別遊技の制御を行うとする判定結果である場合は、予め定められた特定の演出図柄の組み合わせを停止表示させる演出制御手段と、を備え、
D 前記演出制御手段は、
変動表示中において、前記複数の可変表示部のうち最後に演出図柄が停止表示される最終停止可変表示部を除く前記可変表示部に前記特定の演出図柄の組み合わせの一部を構成する演出図柄を停止表示させる複数種類の特定演出を実行可能であって、前記特定演出実行後に演出図柄の変動表示を複数回行う遊技演出を実行可能であり、さらに該遊技演出の実行後に再度前記特定演出を実行可能であり、
E 同種類の前記特定演出においては、前記遊技演出における変動表示の回数が多いほど、前記特別遊技判定手段による判定結果が前記特別遊技を行うとする期待度が高くなり、該期待度が高いことを遊技者に示唆する演出を実行可能であり、
F 前記遊技演出が行われる前記変動表示においては、当該変動表示の実行時間が短い変動表示よりも実行時間が長い変動表示の方が前記特定演出実行後に演出図柄の変動表示を実行する回数が多い、ことを特徴とする遊技機。」
に補正された(下線部は補正箇所を示す。また、A~Fは、分説するために当審にて付した。)。
2 補正の適否
本件補正は、補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「変動表示」に関して、「前記遊技演出が行われる前記変動表示においては、当該変動表示の実行時間が短い変動表示よりも実行時間が長い変動表示の方が前記特定演出実行後に演出図柄の変動表示を実行する回数が多い」と限定したものである。
また、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題は同一である。
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そして、本件補正は、新規事項を追加するものではない。
3 独立特許要件について
本件補正後の請求項1に記載された発明(以下「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について以下に検討する。
(1)本願補正発明
本願補正発明は、上記1の本件補正の概要において示したとおりのものである。
(2)刊行物
(2-1)刊行物1に記載された発明
原査定の拒絶の理由に引用文献1として引用され、本願の出願前に頒布された刊行物である特開2012-152474号公報(以下「刊行物1」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている(下線は当審で付した。以下同じ。)。
(1-a) 「【0012】
以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態を詳細に説明する。図1は、本実施の形態におけるパチンコ遊技機の正面図であり、主要部材の配置レイアウトを示す。パチンコ遊技機(遊技機)1は、大別して、遊技盤面を構成する遊技盤(ゲージ盤)2と、遊技盤2を支持固定する遊技機用枠(台枠)3とから構成されている。遊技盤2には、ガイドレールによって囲まれた、ほぼ円形状の遊技領域が形成されている。この遊技領域には、遊技媒体としての遊技球が、所定の打球発射装置から発射されて打ち込まれる。」
(1-b) 「【0016】
一例として、画像表示装置5の表示領域には、「左」、「中」、「右」の飾り図柄表示エリア5L、5C、5Rが配置されている。そして、特図ゲームにおいて第1特別図柄表示装置4Aによる第1特図の変動と第2特別図柄表示装置4Bによる第2特図の変動のいずれかが開始されることに対応して、「左」、「中」、「右」の各飾り図柄表示エリア5L、5C、5Rにて飾り図柄の変動(例えば上下方向のスクロール表示)が開始される。その後、特図ゲームにおける可変表示結果として確定特別図柄が停止表示されるときに、画像表示装置5における「左」、「中」、「右」の各飾り図柄表示エリア5L、5C、5Rにて、飾り図柄の可変表示結果となる確定飾り図柄(最終停止図柄)が停止表示される。なお、「左」、「中」、「右」の各飾り図柄表示エリアは、画像表示装置5の表示領域内で移動可能とされ、飾り図柄を縮小あるいは拡大して表示することができるようにして
もよい。このように、画像表示装置5の表示領域では、第1特別図柄表示装置4Aによる第1特図を用いた特図ゲーム、又は、第2特別図柄表示装置4Bによる第2特図を用いた特図ゲームと同期して、各々が識別可能な複数種類の飾り図柄の可変表示を行い、可変表示結果となる確定飾り図柄を導出表示する。なお、表示結果を導出表示するとは、飾り図柄等の識別情報を停止表示(完全停止表示や最終停止表示ともいう)して可変表示を終了させることである。
・・・
【0018】
「左」、「中」、「右」の各飾り図柄表示エリア5L、5C、5Rにて可変表示される飾り図柄には、例えば8種類の図柄(英数字「1」~「8」あるいは漢数字「一」~「八」、英文字「A」~「H」、所定のモチーフに関連する8個のキャラクタ画像、数字や文字あるいは記号とキャラクタ画像との組合せなど。なお、キャラクタ画像は、例えば人物や動物、これら以外の物体、もしくは、文字などの記号、あるいは、その他の任意の図形を示す飾り画像であればよい。)で構成される。また、こうした8種類の飾り図柄の他に、ブランク図柄(大当り組合せを構成しない図柄)が含まれていてもよい。飾り図柄のそれぞれには、対応する図柄番号が付されている。例えば、「1」~「8」を示す英数字それぞれに対して、「1」~「8」の図柄番号が付されている。なお、飾り図柄は8種類に限定されず、大当り組合せやハズレとなる組合せなど適当な数の組合せを構成可能であれば、何種類であってもよい(例えば7種類や9種類など)。」
(1-c) 「【0044】
画像表示装置5に設けられた「左」、「中」、「右」の飾り図柄表示エリア5L、5C、5Rでは、第1特別図柄表示装置4Aによる第1特図を用いた特図ゲームと、第2特別図柄表示装置4Bによる第2特図を用いた特図ゲームとのうち、いずれかの特図ゲームが開始されることに対応して、飾り図柄の可変表示が開始される。そして、飾り図柄の可変表示が開始されてから「左」、「中」、「右」の各飾り図柄表示エリア5L、5C、5Rにおける確定飾り図柄の停止表示により可変表示が終了するまでの期間では、飾り図柄の可変表示状態が所定のリーチ状態となることがある。ここで、リーチ状態とは、画像表示装置5の表示領域にて停止表示された飾り図柄が大当り組合せの一部を構成しているときに未だ停止表示されていない飾り図柄(「リーチ変動図柄」ともいう)については変動が継続している表示状態、あるいは、全部又は一部の飾り図柄が大当り組合せの全部又は一部を構成しながら同期して変動している表示状態のことである。具体的には、「左」、「中」、「右」の飾り図柄表示エリア5L、5C、5Rにおける一部(例えば「左」及び「右」の飾り図柄表示エリア5L、5Rなど)では予め定められた大当り組合せを構成する飾り図柄(例えば「7」の英数字を示す飾り図柄)が停止表示されているときに未だ停止表示していない残りの飾り図柄表示エリア(例えば「中」の飾り図柄表示エリア5Cなど)では飾り図柄が変動している表示状態、あるいは、「左」、「中」、「右」の飾り図柄表示エリア5L、5C、5Rにおける全部又は一部で飾り図柄が大当り組合せの全部又は一部を構成しながら同期して変動している表示状態である。
【0045】
また、リーチ状態となったことに対応して、飾り図柄の変動速度を低下させたり、画像表示装置5の表示画面に飾り図柄とは異なるキャラクタ画像(人物等を模した演出画像)を表示させたり、背景画像の表示態様を変化させたり、飾り図柄とは異なる動画像を再生表示させたり、飾り図柄の変動態様を変化させたりすることで、リーチ状態となる以前とは異なる演出動作が実行される場合がある。このようなキャラクタ画像の表示や背景画像の表示態様の変化、動画像の再生表示、飾り図柄の変動態様の変化といった演出動作を、リーチ演出表示(あるいは単にリーチ演出)という。なお、リーチ演出には、画像表示装置5における表示動作のみならず、スピーカ8L、8Rによる音声出力動作や、遊技効果ランプ9などの発光体における点灯動作(点滅動作)などを、リーチ状態となる以前の動作態様とは異なる動作態様とすることが、含まれていてもよい。リーチ演出における演出動作としては、互いに動作態様(リーチ演出)が異なる複数種類の演出パターン(「リーチパターン」ともいう)が、予め用意されていればよい。そして、それぞれのリーチ演出では「大当り」となる可能性(「信頼度」あるいは「大当り信頼度」ともいう)が異なる。すなわち、複数種類のリーチ演出のいずれが実行されるかに応じて、可変表示結果が「大当り」となる可能性を異ならせることができる。一例として、この実施の形態では、ノーマルリーチ、スーパーリーチといったリーチ演出が予め設定されている。そして、スーパーリーチ伴って実行される演出は、ノーマルリーチに伴って実行される演出と異なる。また、スーパーリーチのリーチ演出が出現した場合には、ノーマルリーチのリーチ演出が出現した場合に比べて、可変表示結果が「大当り」となる可能性(大当り信頼度)が高くなる。」
(1-d) 「【0049】
また、擬似連変動(再変動)の回数が2回である場合には、飾り図柄の1回目の再変動が開始されてから全部の飾り図柄表示エリア5L、5C、5Rにおいて飾り図柄が一旦仮停止するまでの次回変動が行われる。この次回変動では、「左」、「中」、「右」の飾り図柄表示エリア5L、5C、5Rにて、擬似連チャンス目として予め定められた複数種類のハズレ組合せのいずれかとなる飾り図柄が仮停止表示される。なお、「擬似連」の次回変動においても、「左」、「中」、「右」の飾り図柄表示エリア5L、5C、5Rのいずれか1つのみにおいて、飾り図柄が仮停止表示されたり、「左」の飾り図柄表示エリア5Lと「右」の飾り図柄表示エリア5Lとおいて同じ飾り図柄が仮停止表示されるリーチ状態とされても良い。」
(1-e) 「【0052】
「擬似連」の可変表示演出では、擬似連変動(再変動)の回数が多くなるに従って、可変表示結果が「大当り」となる可能性が高くなるように設定されていればよい。これにより、遊技者は、擬似連チャンス目のいずれかが仮停止表示されることにより、「擬似連」の次回変動又は次々回変動が行われることを認識でき、擬似連変動の回数が多くなるに従って、可変表示結果が「大当り」となる期待感が高められる。また、擬似連チャンス目のいずれかが仮停止表示されなくても、一部の飾り図柄が仮停止表示された後に擬似連変動(再変動)が行われることがあり、擬似連変動の回数が多くなるに従って、可変表示結果が「大当り」となる期待感が高められる。この実施の形態では、「擬似連」の可変表示演出において、擬似連変動(再変動)が1回~2回行われることにより、飾り図柄の可変表示があたかも2回~3回続けて開始されたかのように見せることができる。なお、「擬似連」の可変表示演出における擬似連変動(再変動)の回数は、例えば3回、4回や5回といった、1回~2回よりも多くの回数まで実行できるようにしてもよい。」
(1-f) 「【0067】
演出制御基板12は、主基板11とは独立したサブ側の制御基板であり、中継基板15を介して主基板11から伝送された制御信号を受信して、画像表示装置5、スピーカ8L、8R及び遊技効果ランプ9といった演出用の電気部品による演出動作を制御するための各種回路が搭載されている。すなわち、演出制御基板12は、画像表示装置5における表示動作や、スピーカ8L、8Rからの音声出力動作の全部又は一部、遊技効果ランプ9などにおける点灯/消灯動作の全部又は一部といった、演出用の電気部品に所定の演出動作を実行させるための制御内容を決定する機能を備えている。」
(1-g) 「【0092】
図5は、この実施の形態における飾り図柄の変動パターンを示している。この実施の形態では、可変表示結果が「ハズレ」となる場合のうち、飾り図柄の可変表示態様が「非リーチ」である場合と「リーチ」である場合のそれぞれに対応して、また、可変表示結果が「大当り」となる場合などに対応して、複数の変動パターンが予め用意されている。なお、可変表示結果が「ハズレ」で飾り図柄の可変表示態様が「非リーチ」である場合に対応した変動パターンは、非リーチ変動パターン(「非リーチハズレ変動パターン」ともいう)と称され、可変表示結果が「ハズレ」で飾り図柄の可変表示態様が「リーチ」である場合に対応した変動パターンは、リーチ変動パターン(「リーチハズレ変動パターン」ともいう)と称される。また、非リーチ変動パターンとリーチ変動パターンは、可変表示結果が「ハズレ」となる場合に対応したハズレ変動パターンに含まれる。可変表示結果が「大当り」である場合に対応した変動パターンは、当り変動パターンと称される。」
(1-h) 「【0155】
図13は、ROM121に記憶される再変動タイミング決定テーブルの構成例を示している。再変動タイミング決定テーブル145Aは、変動パターンと、再変動タイミング決定用の乱数値SR1とに基づいて、最初に仮停止された飾り図柄の再変動タイミング(以下、第1再変動タイミングという)を、図14に示すようなタイミングA、タイミングN、タイミングB、及びタイミングCのうちのいずれかに決定するために参照されるテーブルである。
・・・
【0158】
タイミングB及びCは、「左」、「中」、「右」の各飾り図柄表示エリア5L、5C、5Rにおいて飾り図柄の可変表示が開始されてから、「左」及び「右」の各飾り図柄表示エリア5L及び5Rの双方において飾り図柄の第1仮停止が行われることで可変表示状態がリーチ状態となった後に(つまり、図柄がテンパイした後に)、再変動告知演出が終了する終了タイミングである。タイミングB及びCの具体例として、再変動告知演出が終了する終了タイミングを挙げる。なお、再変動告知演出とは、例えば、画像表示装置5の表示領域が割れたような画像を表示する画面割れ演出などを含み、「左」、「中」、「右」の各飾り図柄表示エリア5L、5C、5Rにおいて飾り図柄の再変動表示が開始すること(後述するような、飾り図柄の再変動表示が連続演出タイマの値で定まる途中の段階から開始されること、及びタイミングNで再変動表示が既に内部的に開始されていること、を当然に含む)を遊技者に報知する演出をいう。再変動告知演出は、画面割れ演出に限定されるのではなく、例えば、ブラックアウト又はホワイトアウトなどの少なくとも遊技者の見た目上、飾り図柄の変動表示の状態が一瞬または所定の時間に渡って途切れるものであれば良い。なお、飾り図柄の可変表示が開始されたタイミングを基準とすると、タイミングAは、タイミングNよりも早いタイミングであり、タイミングNは、タイミングBよりも早いタイミングであり、タイミングBは、タイミングCよりも早いタイミングである。」
(1-i) 「【0189】
次に、本実施形態におけるパチンコ遊技機1の動作(作用)を説明する。主基板11では、所定の電源基板からの電力供給が開始されると、遊技制御用マイクロコンピュータ100が起動し、CPU103によって遊技制御メイン処理となる所定の処理が実行される。遊技制御メイン処理を開始すると、CPU103は、割込み禁止に設定した後、必要な初期設定を行う。この初期設定では、例えばRAM101がクリアされる。また、遊技制御用マイクロコンピュータ100に内蔵されたCTC(カウンタ/タイマ回路)のレジスタ設定を行う。これにより、以後、所定時間(例えば、2ミリ秒)ごとにCTCから割込み要求信号がCPU103へ送出され、CPU103は定期的にタイマ割込み処理を実行することができる。初期設定が終了すると、割込みを許可した後、ループ処理に入る。なお、遊技制御メイン処理では、パチンコ遊技機1の内部状態を前回の電力供給停止時における状態に復帰させるための処理を実行してから、ループ処理に入るようにしてもよい。
こうした遊技制御メイン処理を実行したCPU103は、CTCからの割込み要求信号を受信して割込み要求を受け付けると、図17のフローチャートに示す遊技制御用タイマ割込み処理を実行する。
・・・
【0200】
ステップS110の特別図柄通常処理は、特図プロセスフラグの値が“0”のときに実行される。この特別図柄通常処理では、第1特図保留記憶部151Aや第2特図保留記憶部151Bに記憶されている保留データの有無などに基づいて、第1特別図柄表示装置4Aや第2特別図柄表示装置4Bによる特図ゲームを開始するか否かの判定が行われる。また、特別図柄通常処理では、特図表示結果決定用の乱数値MR1を示す数値データに基づき、特別図柄や飾り図柄の可変表示結果を「大当り」とするか否かを、その可変表示結果が導出表示される以前に決定(事前決定)する。さらに、特別図柄通常処理では、特図ゲームにおける特別図柄の可変表示結果に対応して、第1特別図柄表示装置4Aや第2特別図柄表示装置4Bによる特図ゲームにおける確定特別図柄(大当り図柄、ハズレ図柄のいずれか)が設定される。その後、特図プロセスフラグの値が“1”に更新される。
【0201】
ステップS111の変動パターン設定処理は、特図プロセスフラグの値が“1”のときに実行される。この変動パターン設定処理には、可変表示結果を「大当り」とするか否かの事前決定結果などに基づいて、変動パターン種別を複数種類のいずれかに決定する処理や、変動パターン種別の決定結果に対応して、変動パターンを複数種類のいずれかに決定する処理や、特図プロセスフラグの値を“2”に更新する処理などが含まれている。
・・・
【0204】
ステップS114の大入賞口開放前処理は、特図プロセスフラグの値が“4”のときに実行される。この大入賞口開放前処理には、可変表示結果が「大当り」となったことなどに基づき、大当り遊技状態においてラウンドの実行を開始して大入賞口を開放状態とするための設定を行う処理や、特図プロセスフラグの値を “5”に更新する処理などが含まれている。
・・・
【0208】
図20及び図21は、図18のステップS110にて実行される特別図柄通常処理の一例を示すフローチャートである。図20及び図21に示す特別図柄通常処理において、CPU103は、まず、例えば遊技制御カウンタ設定部154に記憶されている合計保留記憶数カウント値などに基づき、第1保留記憶数と第2保留記憶数の合計値である合計保留記憶数が「0」であるか否かを判定する(図20に示すステップS231)。このとき、合計保留記憶数が「0」以外であれば(ステップS231;No)、始動データ記憶部151Cから始動データを読み出す(ステップS232)。このときには、始動データ記憶部151Cにて保留番号「1」と関連付けて記憶されている始動データを読み出せばよい。
・・・
【0210】
ステップS234にて始動データが「第1」であると判定された場合には(ステップS234;第1)、第1特図保留記憶部151Aにて保留番号「1」と関連付けて記憶されている保留データとして、特図表示結果決定用の乱数値MR1を示す数値データと、大当り種別決定用の乱数値MR2を示す数値データとを、それぞれ読み出す(ステップS235)。このときには、例えば第1保留記憶数カウント値を1減算することなどにより、第1保留記憶数を1減算するように更新するとともに、第1特図保留記憶部151Aにて保留番号「1」より下位のエントリ(例えば保留番号「2」~「4」に対応するエントリ)に記憶された保留データの記憶内容を、1エントリずつ上位にシフトさせる(ステップS236)。そして、第1特別図柄表示装置4Aによる第1特図を用いた特図ゲームを開始することに対応して、遊技制御バッファ設定部155に設けられた変動特図指定バッファの値(変動特図指定バッファ値)を「1」に設定する(ステップS237)。
・・・
【0213】
CPU103は、こうしてセットされた特図表示結果決定テーブル130を参照することにより、ステップS235又はステップS239にて読み出された特図表示結果決定用の乱数値MR1を示す数値データが、「大当り」や「ハズレ」の各特図表示結果に割り当てられた決定値のいずれと合致するかに応じて、特図表示結果を「大当り」や「ハズレ」のいずれとするかを決定する(ステップS243)。そして、ステップS243にて決定された特図表示結果が「大当り」であるか否かを判定する(図21のステップS244)。
・・・
【0218】
図22は、図18のステップS111にて実行される変動パターン設定処理の一例を示すフローチャートである。図22に示す変動パターン設定処理において、CPU103は、まず、大当りフラグがオンであるか否かを判定する(ステップS261)。このとき、大当りフラグがオンであれば(ステップS261;Yes)、変動パターン種別を複数種類のいずれかに決定するための使用テーブルとして、大当り変動パターン種別決定テーブ
ル132Aを選択してセットする(ステップS262)。
・・・
【0229】
ステップS274の処理に続いて、特別図柄の変動開始時用となる各種コマンドを送信するための設定を行う(ステップS275)。例えば、変動特図指定バッファ値が「1」である場合に、CPU103は、主基板11から演出制御基板12に対して第1変動開始コマンド、変動パターン指定コマンド、可変表示結果通知コマンド、保留記憶数通知コマ
ンドを順次に送信するために、予め用意された第1変動開始用コマンドテーブルのROM101における記憶アドレス(先頭アドレス)を示す設定データを、遊技制御バッファ設定部155に設けられた送信コマンドバッファにおいて送信コマンドポインタによって指定されたバッファ領域に格納する。他方、変動特図指定バッファ値が「2」である場合に、CPU103は、主基板11から演出制御基板12に対して第2変動開始コマンド、変動パターン指定コマンド、可変表示結果通知コマンド、保留記憶数通知コマンドを順次に送信するために、予め用意された第2変動開始用コマンドテーブルのROM101における記憶アドレスを示す設定データを、送信コマンドバッファにおいて送信コマンドポインタによって指定されたバッファ領域に格納する。こうしたステップS275での設定を行った場合には、変動パターン設定処理が終了してから図17に示すステップS17のコマンド制御処理が実行されるごとに、主基板11から演出制御基板12に対して第1変動開始コマンド又は第2変動開始コマンド、変動パターン指定コマンド、可変表示結果通知コマンド、保留記憶数通知コマンドが、順次に送信されることになる。なお、これらの演出制御コマンドが送信される順番は任意に変更可能であり、例えば可変表示結果通知コマンドを最初に送信してから、第1変動開始コマンド又は第2変動開始コマンド、変動パターン指定コマンド、保留記憶数通知コマンドの順などで送信されるようにしてもよい。その後、特図プロセスフラグの値を特別図柄変動処理に対応した値である“2”に更新してから(ステップS276)、変動パターン設定処理を終了する。」
(1-j) 「【0238】
次に、演出制御基板12における動作を説明する。演出制御基板12では、電源基板等から電源電圧の供給を受けると、演出制御用CPU120が起動して、図25のフローチャートに示すような演出制御メイン処理を実行する。図25に示す演出制御メイン処理を開始すると、演出制御用CPU120は、まず、所定の初期化処理を実行して(ステップS401)、RAM122のクリアや各種初期値の設定、また演出制御基板12に搭載されたCTC(カウンタ/タイマ回路)のレジスタ設定等を行う。その後、演出用乱数更新処理が実行され(ステップS402)、演出制御に用いる演出用乱数のうち、演出制御カウンタ設定部193に設けられたランダムカウンタによってカウントされる乱数値を示す数値データを、ソフトウェアにより更新する。続いて、タイマ割込みフラグがオンとなっているか否かの判定を行う(ステップS403)。タイマ割込みフラグは、例えばCTCのレジスタ設定に基づき、所定時間(例えば2ミリ秒)が経過するごとにオン状態にセットされる。
・・・
【0249】
ステップS160の飾り図柄変動開始待ち処理は、演出プロセスフラグの値が“0”のときに実行される処理である。この飾り図柄変動開始待ち処理には、主基板11から伝送される変動開始コマンドとして、第1変動開始コマンドと第2変動開始コマンドのいずれかを受信したか否かに応じて、画像表示装置5に設けられた「左」、「中」、「右」の各飾り図柄表示エリア5L、5C、5Rにおける飾り図柄の可変表示を、開始するか否かの判定を行う処理などが含まれている。このとき、可変表示を開始する旨の判定がなされたことに対応して、演出プロセスフラグの値が“1”に更新される。
【0250】
ステップS161の飾り図柄変動設定処理は、演出プロセスフラグの値が“1”のときに実行される処理である。この飾り図柄変動設定処理には、第1特別図柄表示装置4Aによる第1特図を用いた特図ゲームの開始や第2特別図柄表示装置4Bによる第2特図を用いた特図ゲームの開始に対応して、飾り図柄の可変表示を含めた各種の演出動作を行うために、変動パターンや可変表示結果などに応じて、最終停止図柄となる確定飾り図柄や、仮停止図柄、飾り図柄の可変表示状態をリーチ状態とする場合にはリーチ状態、飾り図柄の再変動表示を行う場合には再変動タイミング等を決定する処理などが含まれている。また、飾り図柄変動設定処理では、これらの決定結果に基づいて、例えば図柄変動制御パターンといった、各種の演出制御パターンが設定される。こうした決定や設定などが行われた後には、演出プロセスフラグの値が“2”に更新される。
【0251】
ステップS162の飾り図柄変動中処理は、演出プロセスフラグの値が“2”のときに実行される処理である。この飾り図柄変動中処理には、演出制御タイマ設定部192に設けられた演出制御プロセスタイマの値(演出制御プロセスタイマ値)に対応して、図柄変動制御パターンなどから各種の制御データを読み出して、飾り図柄の可変表示中における各種の演出制御を行うための処理が含まれている。こうした演出制御を行った後、例えば図柄変動制御パターンから飾り図柄の可変表示終了を示す終了コードが読み出されたこと、あるいは、主基板11から伝送される飾り図柄停止コマンドを受信したことなどに対応して、飾り図柄の可変表示結果となる最終停止図柄としての確定飾り図柄を完全停止表示させる。図柄変動制御パターンから終了コードが読み出されたことに対応して確定飾り図柄を完全停止表示させるようにすれば、変動パターン指定コマンドにより指定された変動パターンに対応する可変表示時間が経過したときに、主基板11からの演出制御コマンドによらなくても、演出制御基板12の側で自律的に確定飾り図柄を導出表示して可変表示結果を確定させることができる。確定飾り図柄を完全停止表示したときには、演出プロセスフラグの値が“3”に更新される。
・・・
【0258】
ステップS751にて特図表示結果が「ハズレ」ではないと判定されたときには(ステップS751;No)、可変表示結果が「大当り」で大当り種別が「通常」又は「確変」となる15ラウンド大当りであるか否かを判定する(ステップS755)。このとき、15ラウンド大当りではないと判定されれば(ステップS755;No)、ステップS754へ進み、可変表示結果が「大当り」で大当り種別が「突確」となる2ラウンド大当りである場合に対応して、リーチ組合せを構成する最終停止図柄となる確定飾り図柄の組合せを決定してから(ステップS754)、最終停止図柄決定処理を終了する。ステップS755にて15ラウンド大当りであると判定された場合には(ステップS755;Yes)、大当り組合せを構成する最終停止図柄となる確定飾り図柄の組合せを決定する(ステップS759)。一例として、ステップS759の処理では、まず、演出制御カウンタ設定部193に設けられたランダムカウンタ等により更新される大当り確定図柄決定用の乱数値を示す数値データを抽出し、続いてROM121などに予め記憶された所定の大当り確定図柄決定テーブルを参照することなどにより、画像表示装置5の表示領域における「左」、「中」、「右」の飾り図柄表示エリア5L、5C、5Rに揃って停止表示される図柄番号が同一の飾り図柄を決定する。なお、可変表示結果が「大当り」で大当り種別が「突確」となる場合には、リーチ組合せを構成する最終停止図柄となる確定飾り図柄の組合せに決定されるものに限定されず、例えば突確チャンス目といった、非リーチ組合せに含まれて所定組合せを構成する最終停止図柄に決定されてもよい。突確チャンス目は、特殊表示結果とも称される。」
(1-k) 「【0326】
次に、パチンコ遊技機1において実行される各種の演出動作の具体例について図40から図43を参照して説明する。図40は、再変動回数が1回の当り変動パターンに従って、タイミングB又はタイミングCにおいて再変動が実行される場合における演出動作の一例を表す図である。
【0327】
例えば、図40(A)に示すように、「左」、「中」、「右」の飾り図柄表示エリア5L、5C、5Rの全部にて飾り図柄の変動が開始された後、図40(B)に示すように、「左」の飾り図柄表示エリア5Lにて飾り図柄の仮停止が行われる。次に、図40(C)に示すように、「右」の飾り図柄表示エリア5Rにて、「左」の飾り図柄表示エリア5Lと同じ図柄で飾り図柄の仮停止が行われることでリーチ状態とされる。その後、図40(
D)に示すように、画像表示装置5の表示領域に、当該表示領域が割れたような画像を表示する画面割れ演出が実行される。その後のタイミングB又はタイミングCにおいて、図40(E)に示すように、「左」及び「右」の各飾り図柄表示エリア5L及び5Rの双方にて飾り図柄の1回目の再変動が開始される。この1回目の再変動は、具体的には、本実施形態において、タイミングNに計時を開始した繰返演出タイマのタイマ値によって定まる動作から最終可変表示動作が開始される。つまり、タイミングNに最終可変表示動作を内部的に開始する実施形態においては、予め内部的に開始された最終可変表示動作に表示が切り替えられる(演出を表示する為の制御データが切り替えられる)。尚、本実施形態においては最終可変表示動作を実現する為の制御データに基づく処理として、タイミングNからタイマを更新することにより、タイミングCとなったタイミングで最終可変表示動作を実現する為の制御データのうちのタイマに応じた制御データから演出データを読み出すことにより演出の切り替えを行っているが、処理の方法はこれに限られない。例えば、演出制御用CPU120は、タイミングNの時点からVDPに対してタイミングCまで行う所定の演出に対応した制御指令を出力するとともに、最終可変表示動作に対応する指示も出す様にし、VDPでは両方の演出に対応した演出データをVRAM上に展開して画像の合成を行う。しかし、VDPでは、タイミングCとなるまでは、演出制御用CPU120がタイミングCまで行う所定の演出に対応する画像を描画する(フレームバッファに展開し、実際に表示するのはタイミングCまで行う所定の演出に対応する画像とする)指示を行い、実際に表示される画像はタイミングCまで行われる所定の演出とする。また、VDPでは、タイミングCになったタイミング以降は、最終可変表示動作に対応する演出データのみをVRAM上に展開させ、最終可変表示動作に対応した所定の演出の画像を表示するようにしても良い。その後、図40(F)に示すようにリーチ状態とされてリーチ演出が行われてから、図40(G)に示すように大当り組合せの最終停止図柄が導出表示される。」
上記(1-a)~(1-k)の記載事項及び図面から、以下(1-l)~(1-o)の事項が導かれる。
(1-l)刊行物1には、「主基板11では、所定の電源基板からの電力供給が開始されると、遊技制御用マイクロコンピュータ100が起動し、CPU103によって遊技制御メイン処理となる所定の処理が実行される。」(段落【0189】)、「ステップS110の特別図柄通常処理は、特図プロセスフラグの値が“0”のときに実行される。・・・特別図柄通常処理では、特図表示結果決定用の乱数値MR1を示す数値データに基づき、特別図柄や飾り図柄の可変表示結果を「大当り」とするか否かを、その可変表示結果が導出表示される以前に決定(事前決定)する。・・・その後、特図プロセスフラグの値が“1”に更新される。」(段落【0200】)、「ステップS111の変動パターン設定処理は、特図プロセスフラグの値が“1”のときに実行される。」(段落【0201】)と記載されているから、刊行物1には、特図プロセスフラグの値が“0”のときに、特別図柄通常処理において、可変表示結果を「大当り」とするか否かを決定し、特図プロセスフラグの値を“1”に更新して変動パターン設定処理を行う主基板11が記載されているといえる。さらに、刊行物1には、特別図柄通常処理に関して、「図20及び図21は、図18のステップS110にて実行される特別図柄通常処理の一例を示すフローチャートである。・・・合計保留記憶数が「0」であるか否かを判定する(図20に示すステップS231)。このとき、合計保留記憶数が「0」以外であれば(ステップS231;No)、始動データ記憶部151Cから始動データを読み出す(ステップS232)。」、(段落【0208】)、「ステップS234にて始動データが「第1」であると判定された場合には(ステップS234;第1)、第1特図保留記憶部151Aにて保留番号「1」と関連付けて記憶されている保留データとして、特図表示結果決定用の乱数値MR1を示す数値データと、大当り種別決定用の乱数値MR2を示す数値データとを、それぞれ読み出す(ステップS235)」(段落【0210】)、「ステップS235又はステップS239にて読み出された特図表示結果決定用の乱数値MR1を示す数値データが、「大当り」や「ハズレ」の各特図表示結果に割り当てられた決定値のいずれと合致するかに応じて、特図表示結果を「大当り」や「ハズレ」のいずれとするかを決定する(ステップS243)。そして、ステップS243にて決定された特図表示結果が「大当り」であるか否かを判定する(図21のステップS244)。」(段落【0213】)と記載されており、特別図柄通常処理において可変表示結果を「大当り」とするか否かを決定するのは、合計保留記憶数が「0」以外である場合であることは明らかであるから、刊行物1には、特図プロセスフラグの値が“0”であり、合計保留記憶数が「0」以外である場合に、特別図柄通常処理において、可変表示結果を「大当り」とするか否かを決定し、変動パターン設定処理を行う主基板11が記載されているといえる。
また、段落【0204】には「可変表示結果が「大当り」となったことなどに基づき、大当り遊技状態においてラウンドの実行を開始して大入賞口を開放状態とする」と記載されているから、可変表示結果を「大当り」とした場合には、大入賞口を開放状態とするといえる。
さらに、変動パターン設定処理について、刊行物1には、「図22は、図18のステップS111にて実行される変動パターン設定処理の一例を示すフローチャートである。」(段落【0218】)、「特別図柄の変動開始時用となる各種コマンドを送信するための設定を行う(ステップS275)。例えば、変動特図指定バッファ値が「1」である場合に、CPU103は、主基板11から演出制御基板12に対して第1変動開始コマンド、・・・を順次に送信する」(段落【0229】)と記載されており、さらに、段落【0249】の「この飾り図柄変動開始待ち処理には、主基板11から伝送される変動開始コマンドとして、第1変動開始コマンドと第2変動開始コマンドのいずれかを受信したか否かに応じて」との記載より、「第1変動開始コマンド」は「変動開始コマンド」であるといえるから、刊行物1には、変動パターン設定処理において変更開始コマンドを送信する点が記載されているといえる。
したがって、刊行物1には、特図プロセスフラグの値が“0”であり、合計保留記憶数が「0」以外である場合に、特別図柄通常処理において、可変表示結果を大入賞口を開放状態とする「大当り」とするか否かを決定し、変動パターン設定処理において変更開始コマンドを送信する主基板11が記載されているといえる。
(1-m)刊行物1には、「次に、演出制御基板12における動作を説明する。」(段落【0238】)、「ステップS160の飾り図柄変動開始待ち処理は、演出プロセスフラグの値が“0”のときに実行される処理である。この飾り図柄変動開始待ち処理には、主基板11から伝送される変動開始コマンドとして、第1変動開始コマンドと第2変動開始コマンドのいずれかを受信したか否かに応じて、画像表示装置5に設けられた「左」、「中」、「右」の各飾り図柄表示エリア5L、5C、5Rにおける飾り図柄の可変表示を、開始するか否かの判定を行う処理などが含まれている。このとき、可変表示を開始する旨の判定がなされたことに対応して、演出プロセスフラグの値が“1”に更新される。」(段落【0249】)、「ステップS161の飾り図柄変動設定処理は、演出プロセスフラグの値が“1”のときに実行される処理である。この飾り図柄変動設定処理には、・・・最終停止図柄となる確定飾り図柄・・・を決定する処理などが含まれている。・・・こうした決定や設定などが行われた後には、演出プロセスフラグの値が“2”に更新される。」(段落【0250】)、「ステップS162の飾り図柄変動中処理は、演出プロセスフラグの値が“2”のときに実行される処理である。この飾り図柄変動中処理には、・・・飾り図柄の可変表示中における各種の演出制御を行うための処理が含まれている。・・・飾り図柄の可変表示結果となる最終停止図柄としての確定飾り図柄を完全停止表示させる。」(段落【0251】)と記載されているから、刊行物1には、飾り図柄変動開始待ち処理において、主基板11から変動開始コマンドが伝送されると、画像表示装置5に設けられた「左」、「中」、「右」の各飾り図柄表示エリア5L、5C、5Rにおける飾り図柄の可変表示を開始する旨の判定を行い、飾り図柄変動設定処理において、最終停止図柄となる確定飾り図柄の組合せを決定し、飾り図柄変動中処理において、飾り図柄の可変表示中における各種の演出制御を行い、飾り図柄の可変表示結果となる最終停止図柄としての確定飾り図柄を完全停止表示させる演出制御基板12が記載されているといえる。
また、段落【0258】には、「ステップS755にて15ラウンド大当りであると判定された場合には(ステップS755;Yes)、大当り組合せを構成する最終停止図柄となる確定飾り図柄の組合せを決定する(ステップS759)。」と記載されているから、可変表示結果が「大当り」である場合には、飾り図柄の可変表示結果となる最終停止図柄として、大当り組合せを構成する最終停止図柄となる確定飾り図柄の組合せを決定するといえる。
したがって、刊行物1には、飾り図柄変動開始待ち処理において、主基板11から変動開始コマンドが伝送されると、画像表示装置5に設けられた「左」、「中」、「右」の各飾り図柄表示エリア5L、5C、5Rにおける飾り図柄の可変表示を開始する旨の判定を行い、飾り図柄変動設定処理において、可変表示結果が「大当り」である場合、大当り組合せを構成する最終停止図柄となる確定飾り図柄の組合せを決定し、飾り図柄変動中処理において、飾り図柄の可変表示中における各種の演出制御を行い、飾り図柄の可変表示結果となる最終停止図柄としての確定飾り図柄を完全停止表示させる演出制御基板12が記載されているといえる。
(1-n)刊行物1には、「飾り図柄の可変表示状態が所定のリーチ状態となることがある。ここで、リーチ状態とは、・・・具体的には、「左」、「中」、「右」の飾り図柄表示エリア5L、5C、5Rにおける一部(例えば「左」及び「右」の飾り図柄表示エリア5L、5Rなど)では予め定められた大当り組合せを構成する飾り図柄(例えば「7」の英数字を示す飾り図柄)が停止表示されているときに未だ停止表示していない残りの飾り図柄表示エリア(例えば「中」の飾り図柄表示エリア5Cなど)では飾り図柄が変動している表示状態・・・である。」(段落【0044】)、「リーチ状態となったことに対応して、・・・リーチ状態となる以前とは異なる演出動作が実行される場合がある。このような・・・演出動作を、リーチ演出表示(あるいは単にリーチ演出)という。・・・リーチ演出における演出動作としては、互いに動作態様(リーチ演出)が異なる複数種類の演出パターン(「リーチパターン」ともいう)が、予め用意されていればよい。・・・複数種類のリーチ演出のいずれが実行されるかに応じて、可変表示結果が「大当り」となる可能性を異ならせることができる。一例として、この実施の形態では、ノーマルリーチ、スーパーリーチといったリーチ演出が予め設定されている。そして、スーパーリーチ伴って実行される演出は、ノーマルリーチに伴って実行される演出と異なる。また、スーパーリーチのリーチ演出が出現した場合には、ノーマルリーチのリーチ演出が出現した場合に比べて、可変表示結果が「大当り」となる可能性(大当り信頼度)が高くなる。」(段落【0045】)と記載されているから、刊行物1には、「左」及び「右」の飾り図柄表示エリア5L、5Rで予め定められた大当り組合せを構成する飾り図柄を停止表示させ、「中」の飾り図柄表示エリア5Cでは飾り図柄を変動させるリーチ状態とし、リーチ状態においてノーマルリーチ、スーパーリーチといった「大当り」となる可能性が異なる複数種類のリーチ演出のいずれかを実行する場合がある点が記載されているといえる。
また、刊行物1には、「最初に仮停止された飾り図柄の再変動タイミング(以下、第1再変動タイミングという)を、図14に示すようなタイミングA、タイミングN、タイミングB、及びタイミングCのうちのいずれかに決定する」(段落【0155】)、「タイミングB及びCは、・・・可変表示状態がリーチ状態となった後に(つまり、図柄がテンパイした後に)、再変動告知演出が終了する終了タイミングである。・・・再変動告知演出とは、・・・「左」、「中」、「右」の各飾り図柄表示エリア5L、5C、5Rにおいて飾り図柄の再変動表示が開始すること・・・を遊技者に報知する演出をいう。」(段落【0158】)と記載されているから、第1再変動タイミングとしてタイミングB又はタイミングCが決定された場合には、リーチ状態となった後に、各飾り図柄表示エリア5L、5C、5Rにおいて飾り図柄の再変動表示が行われるといえる。さらに、段落【0049】には、「また、擬似連変動(再変動)の回数が2回である場合には、飾り図柄の1回目の再変動が開始されてから全部の飾り図柄表示エリア5L、5C、5Rにおいて飾り図柄が一旦仮停止するまでの次回変動が行われる。」と記載されているから、刊行物1には、第1再変動タイミングとしてタイミングB又はタイミングCが決定された場合には、リーチ状態となった後に、各飾り図柄表示エリア5L、5C、5Rにおいて飾り図柄の再変動表示を2回行う場合があるといえる。
また、刊行物1には、「図40は、再変動回数が1回の当り変動パターンに従って、タイミングB又はタイミングCにおいて再変動が実行される場合における演出動作の一例を表す図である。」(段落【0326】)、「図40(C)に示すように、「右」の飾り図柄表示エリア5Rにて、「左」の飾り図柄表示エリア5Lと同じ図柄で飾り図柄の仮停止が行われることでリーチ状態とされる。・・・その後のタイミングB又はタイミングCにおいて、図40(E)に示すように、「左」及び「右」の各飾り図柄表示エリア5L及び5Rの双方にて飾り図柄の1回目の再変動が開始される。・・・その後、図40(F)に示すようにリーチ状態とされてリーチ演出が行われてから、図40(G)に示すように大当り組合せの最終停止図柄が導出表示される。」と記載されているから、刊行物1には、再変動表示の実行後にリーチ状態としてリーチ演出を行う点が記載されているといえる。
さらに、段落【0067】には、「演出制御基板12は、・・・画像表示装置5・・・といった演出用の電気部品による演出動作を制御するための各種回路が搭載されている。」と記載されているから、演出制御基板12が、画像表示装置5における演出を行うことは、明らかである。
したがって、刊行物1には、演出制御基板12は、「左」及び「右」の飾り図柄表示エリア5L、5Rで予め定められた大当り組合せを構成する飾り図柄を停止表示させ、「中」の飾り図柄表示エリア5Cでは飾り図柄を変動させるリーチ状態とし、リーチ状態においてノーマルリーチ、スーパーリーチといった「大当り」となる可能性が異なる複数種類のリーチ演出のいずれかを実行する場合があり、第1再変動タイミングとしてタイミングB又はタイミングCが決定された場合には、リーチ状態となった後に各飾り図柄表示エリア5L、5C、5Rにおいて飾り図柄の再変動表示を2回行う場合があり、再変動表示の実行後にリーチ状態としてリーチ演出を行うことができる点が記載されているといえる。
(1-o)段落【0092】には、「図5は、この実施の形態における飾り図柄の変動パターンを示している。」と記載されており、図5には、「変動パターン」が「PB3-1-1」の場合、「特図変動時間(ms)」が「106000」で「内容」が「再変動1回→スーパーリーチ(ハズレ)」であり、「変動パターン」が「PB3-1-2」の場合、「特図変動時間(ms)」が「159000」で「内容」が「再変動2回→スーパーリーチ(ハズレ)」であり、「変動パターン」が「PB5-1-1」の場合、「特図変動時間(ms)」が「106000」で「内容」が「再変動1回→スーパーリーチ(大当り)」であり、「変動パターン」が「PB5-1-2」の場合、「特図変動時間(ms)」が「159000」で「内容」が「再変動2回→スーパーリーチ(大当り)である点が図示されている。
そして、「変動パターン」として上記「PB3-1-1」、「PB3-1-2」、「PB5-1-1」及び「PB5-1-2」のいずれかが選択された場合には、再変動回数が1または2となり、再変動が行われ、スーパーリーチを伴う変動パターンとなるといえ、さらに、「変動パターン」として上記「PB3-1-1」または「PB5-1-1」が選択された場合は、再変動表示が1回行われ、特図変動時間は106000msとなり、「変動パターン」として上記「PB3-1-2」または「PB5-1-2」が選択された場合は、再変動表示が2回行われ、特図変動時間は159000msとなるといえる。
よって、刊行物1には、再変動回数が1または2であってスーパーリーチを伴う変動パターンにおいては、再変動回数が1回である場合の特図変動時間は106000msであり、再変動回数が2回である場合の特図変動時間は159000msである点が記載されているといえる。
さらに、上記認定事項(1-n)より、第1再変動タイミングがタイミングB又はCに決定された場合には、リーチ状態となった後に再変動表示が行われるといえるから、刊行物1には、再変動回数が1または2であってスーパーリーチを伴う変動パターンにおいては、再変動回数が1回であって第1再変動タイミングがタイミングB又はCに決定され、リーチ状態となった後に再変動表示が1回行われる場合の特図変動時間は106000msであり、再変動回数が2回であって第1再変動タイミングがタイミングB又はCに決定され、リーチ状態となった後に再変動表示が2回行われる場合の特図変動時間は159000msである点が記載されているといえる。
上記(1-a)~(1-k)の記載事項及び(1-l)~(1-o)の認定事項を総合すると、刊行物1には、次の発明(以下「刊行物1発明」という。)が記載されていると認められる。(a~fは、本願補正発明のA~Fに対応させて付した。)
「a 特図プロセスフラグの値が“0”であり、合計保留記憶数が「0」以外である場合に、特別図柄通常処理において、可変表示結果を大入賞口を開放状態とする「大当り」とするか否かを決定し、変動パターン設定処理において変更開始コマンドを送信する主基板11と、(認定事項(1-l))
b 8種類の図柄で構成される飾り図柄が可変表示される、「左」、「中」、「右」の飾り図柄表示エリア5L、5C、5Rが配置されている画像表示装置5と、(段落【0016】、【0018】)
c 飾り図柄変動開始待ち処理において、主基板11から変動開始コマンドが伝送されると、画像表示装置5に設けられた「左」、「中」、「右」の各飾り図柄表示エリア5L、5C、5Rにおける飾り図柄の可変表示を開始する旨の判定を行い、飾り図柄変動設定処理において、可変表示結果が「大当り」である場合、大当り組合せを構成する最終停止図柄となる確定飾り図柄の組合せを決定し、飾り図柄変動中処理において、飾り図柄の可変表示中における各種の演出制御を行い、飾り図柄の可変表示結果となる最終停止図柄としての確定飾り図柄を完全停止表示させる演出制御基板12と、を備え、(認定事項(1-m))
d 演出制御基板12は、
「左」及び「右」の飾り図柄表示エリア5L、5Rで予め定められた大当り組合せを構成する飾り図柄を停止表示させ、「中」の飾り図柄表示エリア5Cでは飾り図柄を変動させるリーチ状態とし、リーチ状態においてノーマルリーチ、スーパーリーチといった「大当り」となる可能性が異なる複数種類のリーチ演出のいずれかを実行する場合があり、第1再変動タイミングとしてタイミングB又はタイミングCが決定された場合には、リーチ状態となった後に各飾り図柄表示エリア5L、5C、5Rにおいて飾り図柄の再変動表示を2回行う場合があり、再変動表示の実行後にリーチ状態としてリーチ演出を行うことができ、(認定事項(1-n))
e 再変動表示の回数が多くなるに従って、可変表示結果が「大当り」となる可能性が高くなるように設定されており、(段落【0052】)
f 再変動回数が1または2であってスーパーリーチを伴う変動パターンにおいては、再変動回数が1回であって第1再変動タイミングがタイミングB又はCに決定され、リーチ状態となった後に再変動表示が1回行われる場合の特図変動時間は106000msであり、再変動回数が2回であって第1再変動タイミングがタイミングB又はCに決定され、リーチ状態となった後に再変動表示が2回行われる場合の特図変動時間は159000msである、パチンコ遊技機1。(段落【0012】、認定事項(1-o))」
(2-2)刊行物2に記載された事項
原査定の拒絶の理由に引用文献2として引用され、本願の出願前に頒布された刊行物である特開2013-111235号公報(以下「刊行物2」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている(下線は当審で付した。以下同じ。)。
(2-a) 「【0024】
本実施形態の遊技機10は前面枠12を備え、該前面枠12は本体枠(外枠)11にヒンジ13を介して開閉回動可能に組み付けられている。遊技盤30(図2参照)は前面枠12の表側に形成された収納部(図示省略)に収納されている。また、前面枠(内枠)12には、遊技盤30の前面を覆うカバーガラス(透明部材)14を備えたガラス枠15が取り付けられている。」
(2-b) 「【0223】
次に、本実施形態の遊技機10において実行される特図変動表示ゲーム中に発生し得る予告演出の詳細について、図28~図31を用いて説明する。ここで、予告演出とは、特図変動表示ゲームの結果が大当りとなる信頼度(期待度)が高まったことを告げる前触れの演出をいう。」
(2-c) 「【0239】
図32に示すように、各予告演出、又は、2以上の予告演出が組み合わされて実行された場合の信頼度が予め設定されている。具体的には、例えば、擬似連変動が4回連続する擬似連予告演出が単体で実行された場合の信頼度は12%に設定されている。また、プッシュボタン予告演出が単体で実行された場合の信頼度は1~5%に設定されている。より具体的には、背景が白色の台詞を発生させるプッシュボタン予告演出の場合、信頼度は1%に設定され、背景が赤色の台詞を発生させるプッシュボタン予告演出の場合、信頼度は3%に設定され、背景が柄の台詞を発生させるプッシュボタン予告演出の場合、信頼度は5%に設定されている。また、擬似連予告演出、プッシュボタン連続予告演出、リーチ時予告演出、及び群予告演出が組み合わされて実行された場合の信頼度(総合的な信頼度)は65~70%に設定されている。」
(2-d) 「【0250】
なお、予告演出一覧は、前半変動中に実際に実行された予告演出の種類に関する欄のみを設けて表示する場合のほか、図35(b)に示すように、発生し得る予告演出全ての欄を表示し、実際に実行された予告演出の欄に具体的は演出内容や信頼度を表示するようにしても良い。また、前半変動中に実行されなかった予告演出の欄には、当該予告演出が実行されなかった旨の表示(例えば「-」の表示)を行うようにする。
また、図36(a)に示すように、実際に実行された予告演出の欄に対応させて各予告演出単体の信頼度を表示するとともに、2以上の予告演出が組み合わされて実行された場合には、バーグラフ41cを用いることによって、総合的な信頼度(図32参照)を表示するようにしても良い。」
(2-e)図32には、5~8行の「疑似連続」の欄の「1」、「2」、「3」、「4」欄に「○」が付されたものについて、それぞれ、信頼度の欄が「0.5%」、「1%」、「8%」、「12%」となったものが図示されている。また、図32には、「疑似連続」の欄とともに、並列する他の欄にも「○」印が付された行にも信頼度の値が記載されている。
そして、「疑似連続」の欄の「1」、「2」、「3」、「4」欄に「○」が付されたものは、段落【0239】に記載された「擬似連予告演出」における回数を意味することは明らかであるから、刊行物2には、疑似連予告演出の回数が多いほど信頼度が高い点が記載されているといえる。さらに、「疑似連続」の欄とともに並列する他の欄にも「○」印が付された行にも信頼度の値が記載されおり、段落【0239】の「各予告演出、又は、2以上の予告演出が組み合わされて実行された場合の信頼度が予め設定されている。」及び、段落【0250】の「2以上の予告演出が組み合わされて実行された場合には」「総合的な信頼度(図32参照)を表示する」との記載より、信頼度は疑似連予告演出と他の予告演出とにそれぞれ設定された信頼度を総合して決定されていることは明らかであるから、疑似連予告演出以外の実際に実行された予告演出の種類が同じであれば、疑似連予告演出の回数が多いほど信頼度が高いことは明らかである。
上記(2-a)~(2-d)の記載事項及び(2-e)の認定事項を総合すると、刊行物2には、次の事項が記載されていると認められる(以下「刊行物2記載の事項」という。)。
「遊技機10において、(段落【0024】)
擬似連予告演出やリーチ時予告演出等の各予告演出、又は、2以上の予告演出が組み合わされて実行された場合の特図変動表示ゲームの結果が大当りとなる信頼度を予め設定し、疑似連予告演出以外の実際に実行された予告演出の種類が同じであれば、疑似連予告演出の回数が多いほど信頼度が高く、(段落【0223】、【0239】、(認定事項2-e))
実際に実行された予告演出の欄とともに、総合的な信頼度を表すバーグラフ41cを表示する点。(段落【0250】)」
(3)対比
本願補正発明と刊行物1発明とを対比する(下記の(a)~(f)は、刊行物1発明の構成a~fに対応している。)。
(a)刊行物1発明において、「特図プロセスフラグの値が“0”であり、合計保留記憶数が「0」以外である場合」及び「可変表示結果を大入賞口を開放状態とする「大当り」とするか否かを決定」することは、それぞれ、本願補正発明の「始動条件が成立した場合」及び「遊技者にとって有利な特別遊技の制御を行うか否かの判定を行う」ことに相当する。
したがって、刊行物1発明における「特図プロセスフラグの値が“0”であり、合計保留記憶数が「0」以外である場合に、特別図柄通常処理において、可変表示結果を大入賞口を開放状態とする「大当り」とするか否かを決定し、変動パターン設定処理において変更開始コマンドを送信する主基板11」は、本願補正発明における「始動条件が成立した場合、遊技者にとって有利な特別遊技の制御を行うか否かの判定を行う特別遊技判定手段」に相当する。
(b)刊行物1発明の「8種類の図柄で構成される飾り図柄」、「可変表示」、「「左」、「中」、「右」の飾り図柄表示エリア5L、5C、5R」及び「画像表示装置5」は、それぞれ、本願補正発明の「複数種類の演出図柄」、「変動表示」、「複数の可変表示部」及び「可変表示手段」に相当する。
したがって、刊行物1発明における「8種類の図柄で構成される飾り図柄が可変表示される、「左」、「中」、「右」の飾り図柄表示エリア5L、5C、5Rが配置されている画像表示装置5」は、本願補正発明における「複数種類の演出図柄を変動表示する複数の可変表示部を有する可変表示手段」に相当する。
(c)刊行物1発明において、「変動開始コマンド」は、「特図プロセスフラグの値が“0”であり、合計保留記憶数が「0」以外である場合に、特別図柄通常処理において、可変表示結果を大入賞口を開放状態とする「大当り」とするか否かを決定し、変動パターン設定処理において」「主基板11」が「送信する」(構成a)ものであるから、刊行物1発明における「主基板11から変動開始コマンドが伝送され」た場合は、本願補正発明における「前記特別遊技判定手段によって判定が行われた場合」に相当する。
刊行物1発明において、「画像表示装置5に設けられた「左」、「中」、「右」の各飾り図柄表示エリア5L、5C、5Rにおける飾り図柄の可変表示を開始する旨の判定を行い」、「飾り図柄変動中処理において、飾り図柄の可変表示中における各種の演出制御を行」うことは、本願補正発明の「前記可変表示手段の複数の前記可変表示部における演出図柄の変動表示を制御」することに相当する。
また、刊行物1発明における「可変表示結果が「大当り」である場合」、「大当り組合せを構成する最終停止図柄となる確定飾り図柄の組合せ」及び「完全停止表示」は、それぞれ、本願補正発明の「前記特別遊技の制御を行うとする判定結果である場合」、「予め定められた特定の演出図柄の組み合わせ」及び「停止表示」に相当する。よって、刊行物1発明において、「飾り図柄変動設定処理において、可変表示結果が「大当り」である場合、大当り組合せを構成する最終停止図柄となる確定飾り図柄の組合せを決定し、飾り図柄変動中処理において、」「飾り図柄の可変表示結果となる最終停止図柄としての確定飾り図柄を完全停止表示させる」ことは、本願補正発明において、「記特別遊技の制御を行うとする判定結果である場合は、予め定められた特定の演出図柄の組み合わせを停止表示させる」ことに相当する。
したがって、刊行物1発明における「飾り図柄変動開始待ち処理において、主基板11から変動開始コマンドが伝送されると、画像表示装置5に設けられた「左」、「中」、「右」の各飾り図柄表示エリア5L、5C、5Rにおける飾り図柄の可変表示を開始する旨の判定を行い、飾り図柄変動設定処理において、可変表示結果が「大当り」である場合、大当り組合せを構成する最終停止図柄となる確定飾り図柄の組合せを決定し、飾り図柄変動中処理において、飾り図柄の可変表示中における各種の演出制御を行い、飾り図柄の可変表示結果となる最終停止図柄としての確定飾り図柄を完全停止表示させる演出制御基板12」は、本願補正発明における「前記特別遊技判定手段によって判定が行われた場合、前記可変表示手段の複数の前記可変表示部における演出図柄の変動表示を制御し、前記特別遊技の制御を行うとする判定結果である場合は、予め定められた特定の演出図柄の組み合わせを停止表示させる演出制御手段」に相当する。
(d) 刊行物1発明の「「左」及び「右」の飾り図柄表示エリア5L、5R」及び「「中」の飾り図柄表示エリア5C」は、それぞれ、本願補正発明の「前記複数の可変表示部のうち最後に演出図柄が停止表示される最終停止可変表示部を除く前記可変表示部」及び「最後に演出図柄が停止表示される最終停止可変表示部」に相当する。そして、刊行物1発明において「「左」及び「右」の飾り図柄表示エリア5L、5Rで予め定められた大当り組合せを構成する飾り図柄を停止表示させ、「中」の飾り図柄表示エリア5Cでは飾り図柄を変動させるリーチ状態と」することは、変動表示中において行われるものであることは明らかであるから、本願補正発明において「変動表示中において、前記複数の可変表示部のうち最後に演出図柄が停止表示される最終停止可変表示部を除く前記可変表示部に前記特定の演出図柄の組み合わせの一部を構成する演出図柄を停止表示させる」ことに相当する。また、刊行物1発明の「リーチ状態において」実行される「ノーマルリーチ、スーパーリーチといった「大当り」となる可能性が異なる複数種類のリーチ演出」は、本願補正発明の「複数種類の特定演出」に相当する。
よって、刊行物1発明において、「「「左」及び「右」の飾り図柄表示エリア5L、5Rで予め定められた大当り組合せを構成する飾り図柄を停止表示させ、「中」の飾り図柄表示エリア5Cでは飾り図柄を変動させるリーチ状態とし、リーチ状態においてノーマルリーチ、スーパーリーチといった「大当り」となる可能性が異なる複数種類のリーチ演出のいずれかを実行する」ことは、本願補正発明における「変動表示中において、前記複数の可変表示部のうち最後に演出図柄が停止表示される最終停止可変表示部を除く前記可変表示部に前記特定の演出図柄の組み合わせの一部を構成する演出図柄を停止表示させる複数種類の特定演出を実行可能であ」ることに相当する。
また、刊行物1発明において、「リーチ状態となった後」、「各飾り図柄表示エリア5L、5C、5Rにおいて飾り図柄の再変動表示を2回行う」こと、及び「再変動表示の実行後にリーチ状態としてリーチ演出を行うこと」は、本願補正発明における、「前記特定演出実行後」、「演出図柄の変動表示を複数回行う遊技演出を実行」すること、及び「該遊技演出の実行後に再度前記特定演出を実行」することに相当する。
したがって、刊行物1発明において「演出制御基板12は」、「「左」及び「右」の飾り図柄表示エリア5L、5Rで予め定められた大当り組合せを構成する飾り図柄を停止表示させ、「中」の飾り図柄表示エリア5Cでは飾り図柄を変動させるリーチ状態とし、リーチ状態においてノーマルリーチ、スーパーリーチといった「大当り」となる可能性が異なる複数種類のリーチ演出のいずれかを実行する場合があり、第1再変動タイミングとしてタイミングB又はタイミングCが決定された場合には、リーチ状態となった後に各飾り図柄表示エリア5L、5C、5Rにおいて飾り図柄の再変動表示を2回行う場合があり、再変動表示の実行後にリーチ状態としてリーチ演出を行うことができ」ることは、本願補正発明において「前記演出制御手段は」、「変動表示中において、前記複数の可変表示部のうち最後に演出図柄が停止表示される最終停止可変表示部を除く前記可変表示部に前記特定の演出図柄の組み合わせの一部を構成する演出図柄を停止表示させる複数種類の特定演出を実行可能であって、前記特定演出実行後に演出図柄の変動表示を複数回行う遊技演出を実行可能であり、さらに該遊技演出の実行後に再度前記特定演出を実行可能であ」ることに相当する。
(e)刊行物1発明の「再変動表示の回数」及び「可変表示結果が「大当り」となる可能性が高くなる」ことは、それぞれ、本願補正発明の「前記遊技演出における変動表示の回数」及び「前記特別遊技判定手段による判定結果が前記特別遊技を行うとする期待度が高くな」ることに相当する。そして、刊行物1発明は「再変動表示の回数が多くなるに従って、可変表示結果が「大当り」となる可能性が高くなるように設定されて」おり、また、「リーチ状態においてノーマルリーチ、スーパーリーチといった「大当り」となる可能性が異なる複数種類のリーチ演出のいずれかを実行する場合があ」(構成d)るから、「「大当り」となる可能性」は、「リーチ演出」の種類と「再変動表示の回数」との組み合わせによって決まることは明らかである。そうすると、同種類のリーチ演出においては、リーチ演出の種類により決まる「大当り」となる可能性は同じであるから、「再変動表示の回数が多くなるに従って、可変表示結果が「大当り」となる可能性が高くなる」ことは明らかである。
したがって、刊行物1発明において「再変動表示の回数が多くなるに従って、可変表示結果が「大当り」となる可能性が高くなるように設定されて」いることは、本願補正発明における構成Eと、「同種類の前記特定演出においては、前記遊技演出における変動表示の回数が多いほど、前記特別遊技判定手段による判定結果が前記特別遊技を行うとする期待度が高くな」る点で共通する。
(f)本願補正発明の「前記遊技演出」は、本願明細書の段落【0422】、図52等の記載を参酌すれば、「前記特定演出実行後に演出図柄の変動表示を複数回行う遊技演出」(構成D)と解されるから、本願補正発明の「前記遊技演出が行われる前記変動表示においては」とは、特定演出実行後、すなわち、リーチ後に演出図柄の変動表示が行われるものが前提となるといえる。そして、刊行物1発明の「再変動回数が1または2であってスーパーリーチを伴う変動パターン」であって、「第1再変動タイミングがタイミングB又はCに決定され」た変動パターンは、「リーチ状態となった後に再変動表示が」「行われる」ものであるから、本願補正発明の「前記遊技演出が行われる前記変動表示」に相当する。また、刊行物1発明の「特図変動時間は106000ms」であり、「再変動回数が1回であって第1再変動タイミングがタイミングB又はCに決定され、リーチ状態となった後に再変動表示が1回行われる場合」の変動パターン、及び、「特図変動時間は159000ms」であり、「再変動回数が2回であって第1再変動タイミングがタイミングB又はCに決定され、リーチ状態となった後に再変動表示が2回行われる場合」の変動パターンは、それぞれ、本願補正発明の「当該変動表示の実行時間が短い変動表示」及び「実行時間が長い変動表示」に相当する。そして、刊行物1発明において、「第1再変動タイミング」は再変動回数を決定する「変動パターン」が決まった後に決定されるものであるが、「変動タイミングがタイミングB又はCに決定され、リーチ状態となった後に再変動表示が」「行われる」ものに限ると、刊行物1発明の「特図変動時間は106000ms」であり、「再変動回数が1回であって第1再変動タイミングがタイミングB又はCに決定され、リーチ状態となった後に再変動表示が1回行われる場合」の変動パターンよりも、「特図変動時間は159000ms」であり、「再変動回数が2回であって第1再変動タイミングがタイミングB又はCに決定され、リーチ状態となった後に再変動表示が2回行われる場合」の変動パターンの方が、「再変動回数」が多いといえる。
したがって、刊行物1発明において「再変動回数が1または2であってスーパーリーチを伴う変動パターンにおいては、再変動回数が1回であって第1再変動タイミングがタイミングB又はCに決定され、リーチ状態となった後に再変動表示が1回行われる場合の特図変動時間は106000msであり、再変動回数が2回であって第1再変動タイミングがタイミングB又はCに決定され、リーチ状態となった後に再変動表示が2回行われる場合の特図変動時間は159000msである」ことは、本願補正発明における「前記遊技演出が行われる前記変動表示においては、当該変動表示の実行時間が短い変動表示よりも実行時間が長い変動表示の方が前記特定演出実行後に演出図柄の変動表示を実行する回数が多い」ことに相当する。
また、刊行物1発明の「パチンコ遊技機1」は、本願補正発明の「遊技機」に相当する。
以上、(a)~(f)の対比より、本願補正発明と刊行物1発明とは、
「A 始動条件が成立した場合、遊技者にとって有利な特別遊技の制御を行うか否かの判定を行う特別遊技判定手段と、
B 複数種類の演出図柄を変動表示する複数の可変表示部を有する可変表示手段と、
C 前記特別遊技判定手段によって判定が行われた場合、前記可変表示手段の複数の前記可変表示部における演出図柄の変動表示を制御し、前記特別遊技の制御を行うとする判定結果である場合は、予め定められた特定の演出図柄の組み合わせを停止表示させる演出制御手段と、を備え、
D 前記演出制御手段は、
変動表示中において、前記複数の可変表示部のうち最後に演出図柄が停止表示される最終停止可変表示部を除く前記可変表示部に前記特定の演出図柄の組み合わせの一部を構成する演出図柄を停止表示させる複数種類の特定演出を実行可能であって、前記特定演出実行後に演出図柄の変動表示を複数回行う遊技演出を実行可能であり、さらに該遊技演出の実行後に再度前記特定演出を実行可能であり、
E’同種類の前記特定演出においては、前記遊技演出における変動表示の回数が多いほど、前記特別遊技判定手段による判定結果が前記特別遊技を行うとする期待度が高くなり、
F 前記遊技演出が行われる前記変動表示においては、当該変動表示の実行時間が短い変動表示よりも実行時間が長い変動表示の方が前記特定演出実行後に演出図柄の変動表示を実行する回数が多い、遊技機。」
である点で一致し、以下の点で相違する。
(相違点1)構成Eに関して、本願補正発明は、「同種類の前記特定演出においては、前記遊技演出における変動表示の回数が多いほど、前記特別遊技判定手段による判定結果が前記特別遊技を行うとする期待度が高くなり、該期待度が高いことを遊技者に示唆する演出を実行可能であ」ると特定されているのに対し、刊行物1発明は、「該期待度が高いことを遊技者に示唆する演出を実行可能であ」るとは特定されていない点。
(4)判断
上記相違点1について検討する。
上記(2)(2-2)で示した通り、刊行物2には、次の事項(刊行物2記載の事項)が記載されていると認められる。
「遊技機10において、(段落【0024】)
擬似連予告演出やリーチ時予告演出等の各予告演出、又は、2以上の予告演出が組み合わされて実行された場合の特図変動表示ゲームの結果が大当りとなる信頼度を予め設定し、疑似連予告演出以外の実際に実行された予告演出の種類が同じであれば、疑似連予告演出の回数が多いほど信頼度が高く、(段落【0223】、【0239】、(認定事項2-e))
実際に実行された予告演出の欄とともに、総合的な信頼度を表すバーグラフ41cを表示する点。(段落【0250】)」
刊行物2記載の事項の「遊技機10」、「擬似連予告演出」、「リーチ時予告演出」、「信頼度」、は、それぞれ、本願補正発明の「遊技機」、「遊技演出」、「特定演出」、「期待度」、に対応するものといえる。また、刊行物2に記載の事項において、「疑似連予告演出以外の実際に実行された予告演出の種類が同じであれば、疑似連予告演出の回数が多いほど信頼度が高」いことは、本願補正発明における「同種類の前記特定演出においては、前記遊技演出における変動表示の回数が多いほど、前記特別遊技判定手段による判定結果が前記特別遊技を行うとする期待度が高」いことと、「同種類の」「演出においては、前記遊技演出における変動表示の回数が多いほど、前記特別遊技判定手段による判定結果が前記特別遊技を行うとする期待度が高」い点で共通する。
また、刊行物2記載の事項の「総合的な信頼度を表すバーグラフ41cを表示する」演出は、「総合的な信頼度」が高くなる「予告演出」が実行されていれば、「総合的な信頼度」が高いことを遊技者に示唆することが可能なものであるから、本願補正発明の「該期待度が高いことを遊技者に示唆する演出」に対応するものといえる。
そして、刊行物1発明と刊行物2記載の事項とは、遊技機において、演出図柄の変動表示を複数回行う演出やリーチ時の演出を実行する点で共通するものであるから、刊行物1発明において、刊行物2記載の事項を適用し、「リーチ演出」の種類や「再変動表示」の回数に応じた期待度が高いことを遊技者に示唆する演出を実行可能とし、上記相違点1に係る発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
(5)請求人の主張について
請求人は、審判請求書の【請求の理由】、「3.3-3.(3)」において、「ここで、本願発明と引用文献1、及び、引用文献2とを比較すると、本願発明では、変動表示の実行時間によってリーチ後疑似の回数が決まっていますが、引用文献1では、リーチ前擬似を実行するか、リーチ後疑似を実行するかは抽選で決定しています。
つまり、引用文献1は、変動時間が短い場合よりも変動時間が長い場合の方が、リーチ後疑似が実行される回数が必ずしも多くなることはありません。
よって、引用文献1では、本願発明のような、変動表示の実行時間が長い場合であっても、演出が多彩になることで遊技が単調となることを防ぎ、演出効果を高めることができるという効果を奏し得ません。」との主張をしている。
そして、上記の主張は、刊行物1発明において、「再変動回数が1または2であってスーパーリーチを伴う変動パターン」に関して、「再変動回数が2回であって第1再変動タイミングがタイミングB又はCに決定」されずに、「リーチ状態となった後に再変動表示が」行われない場合、すなわち、特定演出実行後に演出図柄の変動表示が実行されない場合については、特定演出実行後に演出図柄の変動表示を実行する回数が1である場合よりも変動時間が長くなる場合があることをもって、刊行物1発明は、本願補正発明と異なることを主張しているといえる。
しかしながら、本願補正発明における「前記遊技演出」(構成F)は、「前記特定演出実行後に演出図柄の変動表示を複数回行う遊技演出」(構成D)との事項より、特定演出実行後に変動表示を行うものに限定されるから、刊行物1発明において、「再変動回数が1または2であってスーパーリーチを伴う変動パターン」において、「第1再変動タイミングがタイミングB又はCに決定」されず、リーチ状態となった後(特定演出実行後)に再変動表示が行われないような場合の変動表示は、本願補正発明の「前記遊技演出が行われる前記変動表示」(構成F)には含まれないものといえる。
したがって、特定演出実行後に演出図柄の変動表示が実行されない場合の変動表示についても「前記遊技演出が行われる前記変動表示」に含まれることを前提とする審判請求人の主張は、本願補正発明の構成に基づくものとはいえず、採用することはできない。
また、仮に、審判請求人の上記主張が成り立つように、本願補正発明の「前記遊技演出」(構成F)は特定演出実行後に変動表示を行うものに限定されず、「前記遊技演出が行われる前記変動表示」(構成F)は特定演出実行前にのみ再変動表示を行い、特定演出実行後に変動表示を行わないものも含むと解釈すると、本願の図52においては、「SPリーチ1(ハズレ)」について、リーチ後の疑似変動表示が1回であって変動時間が55秒である変動パターンとリーチ後の疑似変動表示が0回であって変動時間が60秒である変動パターンとが記載されており、必ずしもリーチ後の疑似変動表示が多い変動パターンの方がリーチ後の疑似変動表示が少ない変動パターンよりも長くなっておらず、また「SPリーチ1(ハズレ)」以外のリーチ演出についても、必ずしもリーチ後の疑似変動表示が多い変動パターンの方がリーチ後の疑似変動表示が少ない変動パターンよりも長くなっていないから、本願補正発明は、本願の発明の詳細な説明には記載されていないものとなる。よって、上記のように解釈することはできない。
さらに、仮に、「前記遊技演出が行われる前記変動表示」(構成F)は特定演出実行前にのみ再変動表示を行い、特定演出実行後に変動表示を行わないものも含むと解釈でき、審判請求人の上記主張が成り立つとした場合について、以下に検討する。
特開2014-46176号公報(以下「刊行物3」という。)には、次の事項が記載されていると認められる(以下「刊行物3記載の事項」という。)。
「パチンコ遊技機1において、(段落【0020】)
スーパーリーチ(ハズレ)の変動パターンは、一旦リーチ状態となった後、擬似連の可変表示演出が実行され、最後の再変動が終了すると、再びリーチ状態となり、リーチ演出が実行される変動パターンであり、スーパーリーチ(ハズレ)の変動パターンのうち、疑似連変動の変動回数が1回であるPB2-1は特図変動時間が35000であり、疑似連変動の変動回数が2回であるPB2-2は特図変動時間が50000であり、疑似連変動の変動回数が3回であるPB3-1は特図変動時間が70000であり、、疑似連変動の変動回数が4回であるPB3-2は特図変動時間が90000である点。(段落【0160】、図9)」
刊行物3記載の事項の「パチンコ遊技機1」、「リーチ状態」となった時の演出、「擬似連の可変表示演出」及び「スーパーリーチ(ハズレ)の変動パターン」における変動表示は、それぞれ、本願補正発明の「遊技機」、「遊技演出」、「特定演出」及び「前記遊技演出が行われる前記変動表示」に対応するものといえる。また、刊行物3記載の事項の「スーパーリーチ(ハズレ)の変動パターン」は、「一旦リーチ状態となった後、擬似連の可変表示演出が実行され、最後の再変動が終了すると、再びリーチ状態となり、リーチ演出が実行される変動パターン」であるから、常に「一旦リーチ状態となった後、擬似連の可変表示演出が実行され」る変動パターンであるといえる。
また、刊行物3記載の事項の「スーパーリーチ(ハズレ)の変動パターン」を構成する4つの変動パターンは、「疑似連変動の変動回数が1回であるPB2-1は特図変動時間が35000であり、疑似連変動の変動回数が2回であるPB2-2は特図変動時間が50000であり、疑似連変動の変動回数が3回であるPB3-1は特図変動時間が70000であり、疑似連変動の変動回数が4回であるPB3-2は特図変動時間が90000である」から、「スーパーリーチ(ハズレ)の変動パターン」においては、「変動表示の実行時間が短い変動表示よりも実行時間が長い変動表示の方が常に特定演出実行後に演出図柄の変動表示を実行する回数が多い」といえる。
そして、刊行物1発明と刊行物3記載の事項とは、遊技機において、演出図柄の変動表示を複数回行う演出を実行する点で共通するものであるから、刊行物1発明において、「スーパーリーチを伴う変動パターン」を「第1再変動タイミングがタイミングB又はCに決定され」た時にのみ「リーチ状態となった後に再変動表示」することに代えて、刊行物3記載の事項を適用して常に「リーチ状態となった後に再変動表示」を行うものとして、変動表示の実行時間が短い変動表示よりも実行時間が長い変動表示の方が特定演出実行後に演出図柄の変動表示を実行する回数が多いものとし、上記のように解釈した場合の本願補正発明の構成Fとすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
したがって、審判請求人の上記主張は採用することができない。
(6)まとめ
以上のように、本願補正発明は、当業者が刊行物1発明及び刊行物2記載の事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。
4 補正却下の決定についてのむすび
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、平成28年3月31日付けの手続補正書により補正された特許請求の範囲に記載されたとおりのものであり、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は次のとおりである(A~Eは、分説するために当審にて付した。)。
「【請求項1】
A 始動条件が成立した場合、遊技者にとって有利な特別遊技の制御を行うか否かの判定を行う特別遊技判定手段と、
B 複数種類の演出図柄を変動表示する複数の可変表示部を有する可変表示手段と、
C 前記特別遊技判定手段によって判定が行われた場合、前記可変表示手段の複数の前記可変表示部における演出図柄の変動表示を制御し、前記特別遊技の制御を行うとする判定結果である場合は、予め定められた特定の演出図柄の組み合わせを停止表示させる演出制御手段と、を備え、
D 前記演出制御手段は、
変動表示中において、前記複数の可変表示部のうち最後に演出図柄が停止表示される最終停止可変表示部を除く前記可変表示部に前記特定の演出図柄の組み合わせの一部を構成する演出図柄を停止表示させる複数種類の特定演出を実行可能であって、前記特定演出実行後に演出図柄の変動表示を複数回行う遊技演出を実行可能であり、さらに該遊技演出の実行後に再度前記特定演出を実行可能であり、
E 同種類の前記特定演出においては、前記遊技演出における変動表示の回数が多いほど、前記特別遊技判定手段による判定結果が前記特別遊技を行うとする期待度が高くなり、該期待度が高いことを遊技者に示唆する演出を実行可能である、ことを特徴とする遊技機。」
2 刊行物
刊行物1及びその記載事項並びに刊行物1発明は、上記「第2 3(2)(2-1)」に記載したとおりである。また、刊行物2及びその記載事項並びに刊行物2記載の事項は、上記「第2 3(2)(2-2)」に記載したとおりである。
3 対比・判断
本願発明は、上記「第2 3(1)」で検討した本願補正発明から、「前記遊技演出が行われる前記変動表示においては、当該変動表示の実行時間が短い変動表示よりも実行時間が長い変動表示の方が前記特定演出実行後に演出図柄の変動表示を実行する回数が多い」という限定を省いたものである。
本願発明と刊行物1発明とを対比する。
上記「第2 3(3)」における検討を踏まえると、本願発明と刊行物1発明とは、
「A 始動条件が成立した場合、遊技者にとって有利な特別遊技の制御を行うか否かの判定を行う特別遊技判定手段と、
B 複数種類の演出図柄を変動表示する複数の可変表示部を有する可変表示手段と、
C 前記特別遊技判定手段によって判定が行われた場合、前記可変表示手段の複数の前記可変表示部における演出図柄の変動表示を制御し、前記特別遊技の制御を行うとする判定結果である場合は、予め定められた特定の演出図柄の組み合わせを停止表示させる演出制御手段と、を備え、
D 前記演出制御手段は、
変動表示中において、前記複数の可変表示部のうち最後に演出図柄が停止表示される最終停止可変表示部を除く前記可変表示部に前記特定の演出図柄の組み合わせの一部を構成する演出図柄を停止表示させる複数種類の特定演出を実行可能であって、前記特定演出実行後に演出図柄の変動表示を複数回行う遊技演出を実行可能であり、さらに該遊技演出の実行後に再度前記特定演出を実行可能であり、
E’同種類の前記特定演出においては、前記遊技演出における変動表示の回数が多いほど、前記特別遊技判定手段による判定結果が前記特別遊技を行うとする期待度が高くなる、遊技機。」
である点で一致し、構成Eに関して、上記「第2 3(3)」で検討した相違点1で相違する。
そして、上記相違点1については、上記「第2 3(4)ア」で検討したとおりであり、刊行物1発明において刊行物2記載の事項を適用し、相違点1に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
よって、本願発明は、当業者が刊行物1発明及び刊行物2記載の事項に基づいて容易に発明をすることができたものである。
4 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2017-008880