特許拒絶査定不服審判
2017-008836
遊技場の空気清浄装置
- 審判番号
- 2017-008836
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2014-195341外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2017年06月16日
- 審決日
- 2018年05月07日
- 公報発行日
- 2018年08月31日
- 結論
- 請求不成立
- 分類
- P18 .113-Z (A63F) / P18 .121-Z (A63F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第29条第1項第3号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2014-195341号「遊技場の空気清浄装置」拒絶査定不服審判事件〔平成28年4月28日出願公開、特開2016-64045号〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、平成26年9月25日の出願であって、平成26年9月29日に手続補正書が提出され、平成28年12月26日付けで拒絶の理由が通知され、平成29年3月6日に意見書が提出されたところ、平成29年3月14日付け(発送日:平成29年3月16日)で拒絶査定がなされ、それに対して、平成29年6月16日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされ、これに対し、当審において、平成29年12月22日付けで拒絶の理由が通知され、平成30年2月26日に意見書及び手続補正書が、同年2月27日に手続補足書が提出されたものである。
第2 本件請求項1に記載された発明
平成30年2月26日付け手続補正は、特許請求の範囲を補正する内容を含んでおり、当該補正後の特許請求の範囲の請求項1に係る発明は次のとおりのものである。(以下「本件発明」という。A~Gは分説のため当審にて付与した。)
「A 遊技場内の天井に吸込口を有し、
B 同吸込口から吸引した空気からゴミやタバコの煙成分を除去する浄化部を有し、
C 同浄化部で浄化された空気を遊技場内へ戻す天井空気清浄機を備え、
D 遊技機が列設された島の遊技機間の境界位置で且つ遊技機より前方で高い位置に上面が開放された箱型のケース35内にファン31を収納するとともに、同ファンの下方で前記ケースの下面に下方から空気を吸い込む吸込口35aを設けた送風機3を1台又は複数台取付け、
E 空気を下面の前記吸込口35aから吸い込んで上方へ吹出し、
F 更にフィルター33を前記吸込口35aとファン31との間に脱着自在に設けた、
G 遊技場の空気清浄装置。」
第3 当審の平成29年12月22日付け拒絶理由の概要
当審の平成29年12月22日付け拒絶理由(以下「当審拒絶理由」という。)の概要は、以下のとおりである。
1.引用文献等一覧
引例1:特開2005-218759号公報
引例2:特開平8-52266号公報
引例3:特開平5-23434号公報
引例4:特開平6-23135号公報
引例5:特開平6-7538号公報
引例6:特開平9-187567号公報
引例7:特開2014-166228号公報
2.本願の請求項1、3に係る発明は、引例1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
3.本願の請求項1~3に係る発明は、引例1に係る発明と、引例2に記載された技術事項、及び引例3~6にも示される周知技術とに基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
4.本願の請求項4に係る発明は、引例1に係る発明と、引例2に記載された技術事項、及び引例3~7にも示される周知技術とに基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
第4 刊行物に記載された事項
1.当審拒絶理由において上記「引例1」として提示され、本願出願日前にに頒布された刊行物である特開2005-218759号公報(以下「刊行物1」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。
(1)刊行物1の特許請求の範囲及び明細書には次の事項が記載されている。
「【請求項1】
遊技機が設置されたホールの天井面にホール内の空気を吸い込む吸込口を設け、同吸込口から吸い込まれた空気を清浄する空気清浄装置を配設し、同空気清浄装置で清浄された空気をホール内へ吹き出す吹出口をホールの下方に設け、空気を循環させながら清浄できるようにした遊技場空気清浄設備において、前記遊技機の上方に空気を下方から吸い込んで上方から吹き出す送気装置を取り付け、同送気装置でホール内の空気を天井面の吸込口へ上昇させて迅速に吸い込ませるようにしたことを特徴とする遊技場空気洗浄設備。
・・・
【請求項3】
送気装置が、下方に開口した空気の吸込口と上方に開口した空気の吹出口とを通風路で連通し、吸込口から通風路内に空気を吸い込むファンを取り付け、同ファンで吸い込まれた空気を清浄する空気清浄具を吸込口又は通風路内に配設し、空気を清浄できるようにした構造である請求項1又は2記載の遊技場空気清浄設備。」
「【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技者の付近で滞留するタバコの煙等により汚染された空気を清浄する遊技場空気清浄設備に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パチンコ店等の遊技場では遊技機毎に灰皿が備えられており、遊技者が喫煙しながら遊技している。タバコから排出された煙等により汚染されたホール内の空気は天井面に設けられた吸込口から吸引されてホール外に設置された空気清浄装置で清浄し、ホール内に供給して循環させることで快適な環境を保持できるようにしている。」
「【0011】
本実施例の送気装置4は、図4,5に示すようにキャビネット4aの下方正面と天面に吸込口4bと吹出口4cをそれぞれ開口し、吸込口4bと吹出口4cとを通風路4dで連通し、通風路4d内の下部に横長のクロスフローファン4eを取り付け、吸込口4bに帯電フィルター4fを枠部材4gで固定し、通風路4d内の両壁面に酸化チタン板4hをそれぞれ付設し、クロスフローファン4eの上方に紫外線光源4iを配設している。
【0012】
この送気装置4を図2,3に示すようにパチンコ2及びスロットマシン3が複数列設された遊技機島1の上部のランプ取付面1aに所定間隔おいて複数設置し、図1に示すように天井Tに吸込口5を所定間隔おいて複数形成し、吸込口5から吸い込んだ空気をホール外の空気清浄装置7に送り込む送気管6を配管し、空気清浄装置7で清浄した空気を床下を通じて各遊技機島1に供給する供給管8を配管し、供給管8で供給された空気を吹き出す吹出口9をパチンコ2及びスロットマシン3間に開口している。1bはランプ、Hは遊技者である。」
(2)刊行物1の図面には以下の事項が記載されている。
ア 図2及び図3からは、上記【0012】の記載事項を参酌すると、複数の遊技機(パチンコ2またはスロットマシン3)が列設された遊技機島1における複数の遊技機の横方向の境界位置であって、遊技機の上方のランプ取付面1aに、各遊技機の前面よりも前方へ突出して送気装置4が取り付けられることを看取できる。
イ 図5には、送気装置4の構造と共に、該送気装置4作動時に想定される気流の動態を示す矢印が描かれており、上記【0011】の「吸込口4bに帯電フィルター4fを枠部材4gで固定し」なる記載事項を参酌すると、送気装置4において、キャビネット4a内にクロスフローファン4eが設けられ、該クロスフローファン4eの上流側前方でキャビネット4aの下方前面に設けられた吸込口4bには、その前方及び下方から空気が吸い込まれ、該吸い込まれた空気はキャビネット4a内に設けられたクロスフローファン4eによって、キャビネット4a天面の吹出口4cから上方へ吹き出すことを看取できる。
ウ 図4及び図5からは、上記【0011】の記載事項を参酌すると、送気装置4の吸入口4b前面の枠部材4gとクロスフローファン4eとの間に帯電フィルター4fが設けられることが看取できる。
また、図4では送気装置4のキャビネット4aに対し帯電フィルター4fが別体として分離して描かれ、図5では該体でフィルター4fがキャビネット4aの吸込口4b内に取り付けられた様が描かれていることから、該キャビネット4aに対し帯電フィルター4fは脱着可能であることが看取できる。
(3)上記(1)の各記載事項及び上記(2)で認定した図面の記載事項から、以下の事項が導かれる。
ア 上記【請求項1】の記載から、刊行物1には「遊技機が設置されたホールの天井面にホール内の空気を吸い込む吸込口を設け」ることが記載されているといえる。
イ 上記【請求項1】には「吸込口から吸い込まれた空気を清浄する空気清浄装置を配設」することが記載されている。
また、上記【0001】の「本発明は、遊技者の付近で滞留するタバコの煙等により汚染された空気を清浄する遊技場空気清浄設備に関する」との記載、及び背景技術に関する上記【0002】の「従来、パチンコ店等の遊技場では遊技機毎に灰皿が備えられており、遊技者が喫煙しながら遊技している。タバコから排出された煙等により汚染されたホール内の空気は天井面に設けられた吸込口から吸引されてホール外に設置された空気清浄装置で清浄し、ホール内に供給して循環させることで快適な環境を保持できるようにしている」との記載から、前記【請求項1】の「空気清浄装置」が、「ホール内の空気」を「天井面に設けられた吸込口から吸引」して「ホール外に設置された空気清浄装置で清浄」することが「タバコの煙等」を除去する作用の少なくとも一端を担うことを目的に含むといえる。
さらに、「ホール内の空気」にはタバコの煙以外に塵埃すなわち「ゴミ」も含まれること、及び、こうした「ゴミ」の除去についても、その少なくとも一端を担うことが前記【請求項1】の「空気清浄装置」の目的に含まれることは、自明であるといえる。
以上のとおりであるから、刊行物1には「吸込口から吸い込まれた空気からゴミや煙草の煙等を除去する空気清浄装置を配設」することが記載されているといえる。
ウ 上記【請求項1】には「空気清浄装置で清浄された空気をホール内へ吹き出す吹出口をホールの下方に設け」と記載されており、ここでの「空気清浄装置で清浄された空気」については該【請求項1】において「遊技機が設置されたホールの天井面にホール内の空気を吸い込む吸込口」「から吸い込まれた空気」であると特定されているのであるから、前記「空気清浄装置で清浄された空気をホール内へ吹き出す」ことは、吸込口から吸い込んだ空気をホール内へ戻すことにあたる。
よって、刊行物1には「空気清浄装置で清浄された空気をホール内へ戻す空気清浄装置」が記載されているといえる。
エ 上記【請求項1】には「遊技機の上方に空気を下方から吸い込んで上方から吹き出す送気装置を取り付け」と記載されている。
また、上記【0011】には「送気装置4」が「キャビネット4aの下方正面と天面に吸込口4bと吹出口4cをそれぞれ開口し、吸込口4bと吹出口4cとを通風路4dで連通し、通風路4d内の下部に横長のクロスフローファン4eを取り付け」たものであることが記載されている。
また、上記(2)アで認定したとおり、図2及び図3から、「複数の遊技機(パチンコ2またはスロットマシン3)が列設された遊技機島1における複数の遊技機の横方向の境界位置であって、遊技機の上方のランプ取付面1aに、各遊技機の前面よりも前方へ突出して送気装置4が1台取り付けられること」 が看取できる。
また、上記(2)イで認定したとおり、図5からは、送気装置4において、キャビネット4a内にクロスフローファン4eが設けられ、該クロスフローファン4eの上流側前方でキャビネット4aの下方前面に設けられた吸込口4bには、その前方及び下方から空気が吸い込まれ、該吸い込まれた空気はキャビネット4a内に設けられたクロスフローファン4eによって、キャビネット4a天面の吹出口4cから上方へ吹き出すこと、が看取できる。
そうすると、刊行物1には「複数の遊技機(パチンコ2またはスロットマシン3)が列設された遊技機島1における複数の遊技機の横方向の境界位置であって、遊技機の上方のランプ取付面1aに、各遊技機の前面よりも前方へ突出して、天面に吹出口4cが開口したキャビネット4a内にクロスフローファン4eを設け、該クロスフローファン4eの上流側前方でキャビネット4aの下方前面に、前方及び下方から空気を吸い込む吸入口4bを設けた送気装置4を1台取付け」ることが記載されているといえる。
オ 上記(2)イで認定したとおり、図5から、「吸込口4bには、その前方及び下方から空気が吸い込まれ、該吸い込まれた空気は・・・キャビネット4a天面の吹出口4cから上方へ吹き出す」ことが看取できる。
よって、刊行物1には、送気装置4が「空気を吸込口4bから吸い込んで上方へ吹き出す」ことが記載されているといえる。
カ 上記(2)ウの認定事項から、刊行物1には「送気装置4の吸入口4bを形成する枠部材4gとクロスフローファン4eとの間に帯電フィルター4fが、キャビネット4aに対し脱着可能に設けられること」が記載されているといえる。
(4)上記(1)の各記載事項、上記(2)、(3)の各認定事項から、刊行物1には次の発明(以下「刊行物1発明」という。)が記載されていると認められる(a~gは、本件発明の構成A~Gに対応させて付与した。)。
「a 遊技機が設置されたホールの天井面にホール内の空気を吸い込む吸込口を設け、((3)ア)
b 吸込口から吸い込まれた空気からゴミや煙草の煙等を除去する空気清浄装置を配設し、((3)イ)
c 空気清浄装置で清浄された空気をホール内へ戻す空気清浄装置を備え、((3)ウ)
d 複数の遊技機(パチンコ2またはスロットマシン3)が列設された遊技機島1における複数の遊技機の横方向の境界位置であって、遊技機の上方のランプ取付面1aに、各遊技機の前面よりも前方へ突出して、天面に吹出口4cが開口したキャビネット4a内にクロスフローファン4eを設け、該クロスフローファン4eの上流側前方でキャビネット4aの下方前面に、前方及び下方から空気を吸い込む吸入口4bを設けた送気装置4を1台取付け、((3)エ)
e 空気を吸込口4bから吸い込んで上方へ吹き出し、((3)オ)
f 送気装置4の吸入口4b前面の枠部材4gとクロスフローファン4eとの間に帯電フィルター4fが、キャビネット4aに対し脱着可能に設けられた、((3)カ)
g 遊技場空気清浄装置。(【0001】)」
2.当審拒絶理由において上記「引例2」として提示され、本願出願日前にに頒布された刊行物である特開平8-52266号公報(以下「刊行物2」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。
(1)刊行物2の特許請求の範囲及び明細書には次の事項が記載されている。
「【0006】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面にもとづいて説明する。図1及び図2は本発明に係る遊技場空気清浄装置の第1実施例を示した図である。図に示すように、この遊技場空気清浄装置101は、パチンコ遊技場内の各島の内部に設置したコンプレッサ1と、島の内部に配管されて前記コンプレッサ1から送出される圧搾空気を、島を構成するパチンコ機近傍に供給する例えば直径8~10mm程度のエアパイプ2と、前記エアパイプ2に接続して前記コンプレッサ1からの圧搾空気を各パチンコ機9の灰皿12のやや上部の側方近傍まで配送する例えば直径8~10mm程度のエアーホース8と、前記エアーホース8の先端に開口部を上方に向けて設置されたノズル3と、各島上方の幕板11に各パチンコ機ごとに設けられ、ノズル3から吐出された圧搾空気により強制的に形成される空気流W、及び前記空気流Wに巻き込まれて運ばれる煙草の煙Sを取り込むファン5及び空気吸引孔4と、この空気吸引孔4に設けられたフィルター6とを有する。そして、前記空気吸引孔4、ファン5及びフィルター6で吸引機構を構成している。しかし、この吸引機構においては、上昇する空気流を吸引して最終的に遊技場の天井に適宜間隔で設置されている大型空気集塵清浄器等に吸引させるようにしてもよいから、フィルター6は設けないで、空気吸引孔4とファン5とにより構成してもよい。」
(2)刊行物2の図面には以下の事項が記載されている。
ア 図1、図2、及び図4から、上記【0006】の記載事項を参酌すると、「パチンコ機9の上方に、パチンコ機9の前面よりも前方に突出した幕板11の内部にファン5を設け、該ファン5の下方で幕板11の下面に空気吸引孔4を設け、該空気吸引孔4から吸い込んだ空気をファン5と空気吸引孔4との間に設けたフィルター6を介してファン5により幕板11の上面から上方へ吹き出す吸引機構の構成及び機能、並びに、前記上方へ吹き出した空気がその上方の天井面に設けられた大型空気集塵清浄器7に吸引されること」、を看取できる。
(3)上記(1)、(2)から、刊行物2には、以下の技術事項が記載されているといえる。
「島に列設されたパチンコ機9の上方に、パチンコ機ごとに設けられ、パチンコ機9の前面よりも前方に突出した幕板11の内部にファン5を設け、該ファン5の下方で幕板11の下面に空気吸引孔4を設け、該空気吸引孔4から吸い込んだ空気をファン5と空気吸引孔4との間に設けたフィルター6を介してファン5により幕板11の上面から上方へ吹き出す吸引機構と、前記上方へ吹き出した空気を吸引する、前記幕板11の上面の上方の天井面に設けられた大型空気集塵清浄器7と、からなる遊技場空気清浄装置」
第5.当審の判断
1.対比
本件発明と刊行物1発明とを対比する。対比の見出しとしての(a)~(k)は刊行物1発明の分説構成と対応させた。
(a)刊行物1発明の構成aの「遊技機が設置されたホール」は本件発明の構成Aの「遊技場」に相当する。
よって、前記構成aの「遊技機が設置されたホールの天井面にホール内の空気を吸い込む吸込口を設け」ることは、前記構成Aの「遊技場内の天井に吸込口を有」することに相当する。
(b)刊行物1発明の構成bの「空気清浄装置」は本件発明の構成Bの「浄化部」に相当するといえる。
よって、前記構成bの「吸込口から吸い込まれた空気からゴミや煙草の煙等を除去する空気清浄装置を配設」することは、前記構成Bの「同吸込口から吸引した空気からゴミやタバコの煙成分を除去する浄化部を有」することに相当する。
(c)刊行物1発明の構成cの「空気清浄装置で清浄された空気をホール内へ戻す空気清浄装置を備え」ることは、本件発明の構成Cの「同浄化部で浄化された空気を遊技場内へ戻す天井空気清浄機を備え」ることに相当することが明らかである。
(d)刊行物1発明の構成dの「複数の遊技機(パチンコ2またはスロットマシン3)が列設された遊技機島1」、「複数の遊技機の横方向の境界位置」、「各遊技機の前面よりも前方へ突出して」、「遊技機の上方のランプ取付面1a」、「天面に吹出口4cが開口したキャビネット4a」、「クロスフローファン4e」、「下方から空気を吸い込む吸入口4b」、「送気装置4」は、それぞれ、本件発明の構成Dの「遊技機が列設された島」、「遊技機間の境界位置」、「遊技機より前方」、「高い位置」、「上面が開放された箱型のケース35」、「ファン31」、「下方から空気を吸い込む吸込口35a」、「送風機3」に相当する。
また、前記構成dの「クロスフローファン4eの上流側前方でキャビネット4aの下方前面」と、前記構成Dの「ファンの下方で前記ケースの下面」とは、ファンの上流側でケースの下方にあたる部位である点で共通する。
よって、前記構成dと前記構成Dとは、「遊技機が列設された島の遊技機間の境界位置で且つ遊技機より前方で高い位置に上面が開放された箱型のケース35内にファン31を収納するとともに、同ファンの上流側でケース35下方に、下方から空気を吸い込む吸込口35aを設けた送風機3を1台取付け」る点で共通する。
(e)刊行物1発明の構成eと本件発明の構成Eとは、「空気を前記吸込口35aから吸い込んで上方へ吹出し」の点で共通するといえる。
(f)刊行物1発明の構成fの「吸入口4b前面の枠部材4gとクロスフローファン4eとの間」、「帯電フィルター4f」、「キャビネット4aに対し脱着可能」は、それぞれ、本件発明の構成Fの「吸込口35aとファン31との間」、「フィルター33」、「脱着自在」に相当するといえる。
よって、前記構成fの「送気装置4の吸入口4b前面の枠部材4gとクロスフローファン4eとの間に帯電フィルター4fが、キャビネット4aに対し脱着可能に設けられ」ることは、前記構成Fの「更にフィルター33を前記吸込口35aとファン31との間に脱着自在に設け」ることに相当する。
(g)刊行物1発明の構成gの「遊技場空気清浄装置」が本件発明の構成Gの「遊技場の空気清浄装置」に相当することは明らかである。
2.一致点・相違点
前項1.から、本件発明と刊行物1発明とは、下記(1)の点で一致し、下記(2)の点で相違する。
(1)一致点
「A 遊技場内の天井に吸込口を有し、
B 同吸込口から吸引した空気からゴミやタバコの煙成分を除去する浄化部を有し、
C 同浄化部で浄化された空気を遊技場内へ戻す天井空気清浄機を備え、
D’ 遊技機が列設された島の遊技機間の境界位置で且つ遊技機より前方で高い位置に上面が開放された箱型のケース35内にファン31を収納するとともに、同ファンの上流側で前記ケースの下方に下方から空気を吸い込む吸込口35aを設けた送風機3を1台取付け、
E’ 空気を前記吸込口35aから吸い込んで上方へ吹出し、
F 更にフィルター33を前記吸込口35aとファン31との間に脱着自在に設けた、
G 遊技場の空気清浄装置。」
(2)相違点(構成D、E)
吸込口35aの位置が、本件発明では、ファン31の下方でケースの下面であるのに対し、刊行物1発明ではファン31の上流側ではあるものの前方であり、ケースの下方ではあるものの前面側である点
3.相違点の検討
上記第4の2.(3)で認定したとおり、刊行物2には「島に列設されたパチンコ機9の上方に、パチンコ機ごとに設けられ、パチンコ機9の前面よりも前方に突出した幕板11の内部にファン5を設け、該ファン5の下方で幕板11の下面に空気吸引孔4を設け、該空気吸引孔4から吸い込んだ空気をファン5と空気吸引孔4との間に設けたフィルター6を介してファン5により幕板11の上面から上方へ吹き出す吸引機構と、前記上方へ吹き出した空気を吸引する、前記幕板11の上面の上方の天井面に設けられた大型空気集塵清浄器7と、からなる遊技場空気清浄装置」が記載されている。
また、同じく島に列設されたパチンコ機等の遊技機の上方に前方へ突出して設けられ、下方から吸気して上方へ排気する方式の、フィルター付きの送風機(空気清浄装置)において、該送風機の下面に吸込口を設けることは、前記刊行物2以外にも、当審拒絶理由において上記引例3~6として提示された、本願出願日前にに頒布された刊行物である特開平5-23434号公報(【請求項3】、【0008】~【0009】、【0013】、図1、図2;以下「刊行物3」という。)、同特開平6-23135号公報(【請求項1】、【0008】~【0010】、図2~4;以下「刊行物4」という。)、特開平6-7538号公報(【請求項1】、【0007】~【0009】、図1~3;以下「刊行物5」という。)、特開平9-187567号公報(【0012】~【0026】、図1~3;以下「刊行物6」という。)にも記載されたとおり、周知技術であるといえる。
そして、刊行物1発明の送気装置4と、前記刊行物2に記載された技術事項および前記周知技術における送風機(空気清浄装置)とが設置対象や目的において共通することは明らかである。
よって、刊行物1発明の送気装置4に対し、前記刊行物2に記載された技術事項又は前記周知技術を適用して、上記相違点の構成とすることは、当業者が容易に想到し得た事項である。
したがって、本件発明は、刊行物1発明及び刊行物2に記載された技術事項または周知技術に基づいて、当業者が容易に発明することができたものである。
4.審判請求書における請求人の主張について
請求人は、平成30年2月26日付けの意見書において、本件発明の作用効果について概略以下のとおり主張している。
「(4)本願発明の図5,図6の上昇流(空気流)は、地球の表面の大気現象である台風・サイクロン・竜巻等の大気上方に低気圧がある場合の空気流れと類似現象であり、略同じような上昇する空気流が生じるので、本願発明の空気流のアナロジーとなる、
即ち、台風・サイクロン・低気圧では、地表面から上方の低気圧域に向けて上昇気流が生じる。しかも、低気圧域の下方の地表ではその外周域から下方地表に沿って空気が流入して、これらが上方の低気圧域に向って上昇流となって流れる。
(5)その結果、吸引空気流はその流径が下方に従って少しずつ拡径しながら棚(テーブル)に到ると、棚・テーブルで吸引空気が遮断されるため、棚・テーブルの上面に沿って気体の連続の法則に従って取り込む空気量を求めて大きな径で吸引流が外方へ拡大するとともに、吸引する棚・テーブル上面からの吸引層の厚みも厚くなる。
(6)よって、吸引流の外形は吸込口35a近くの円柱状から下方に従って少しずつ拡径していき、棚・テーブル近くで大きく外周に拡がって大きな径のラッパ状となる。このラッパ状は円形の吸込口35aから空気を棚・テーブルに直角方向に強く吹出した吹出流の流線と略近似した形となる。
(7)本願発明の空気流の流れを更に気象現象をもって説明する。
強い低気圧である台風,サイクロン,低気圧・高気圧の気流の流れの状態を参考資料1(「天気と気象」の032,033,038,094,104,105,110,111頁)に示している。
強い低気圧の台風,サイクロンでは強い上昇流を生起するとともにそれが上方で拡散して下降流の副流も発生するが、本願発明では上昇流はファン31によって強力に上方に吹出するようになっているので、台風・サイクロンの如く下降流の副流は発生することはない。上昇流が中心である。
(8)本願発明では、上記のようなラッパ状の上昇気流(吸引流)が発生するので、タバコ灰皿又は咥えタバコの上昇した煙は遊技機の左右の2つのラッパ状に発達した地表吸引流に徐々に誘引されて、吸引流内に吸引されて中央吸引流の流れで高速で上昇し、ケース上面から店の天井面方向に吹出される。
タバコ灰皿等の低い位置に浮遊するタバコ煙はラッパ状の下層の表面吸引流に捕捉され、確実に中央吸引流内に集められて、高速で上昇してケース上面から吹出させる。
(9)次に、咥えタバコ又は灰皿から排出して上昇して遊技機の前面ガラスの中程以上にあるタバコ煙・汚れは本願発明の吸込口35aの下方の中央吸引流の外周に拡径して発達する誘引空気流域に誘導されていき、誘導空気流に捕捉され、更に中央吸引流にとり込まれて上方の吸込口35aへ吸引される。誘導されて中央吸引流までの距離は遊技機の巾の半分よりも短い。
遊技機の前面ガラス及び表示ランプの幕板の表面には表面に接する流速が零となる境界層があり、これら表面に沿ったゆるやかな速度の空気の表面流が存在するが、この表面流の流速は遅いことと表面形状に沿った流線となるので、その表面流によって誘導されて、吸込口35aに流入するタバコ煙・空気汚れの流量は上記の中央吸引流の外周の誘導空気流によって吸引される吸引量に比べ小さいと判断される。
・・・
本願発明と各引用文献1~7の発明とは構造・作用効果を異にし、又その引用文献の発明と組み合せても本願発明を容易に想到できるものとは判断できない。」
しかし、請求人が本件発明による空気流の「アナロジー」であると主張する竜巻や低気圧(台風)による上昇気流は、平成30年2月27日に請求人が提出した手続補足書に添付された参考資料1、2にも記載されるとおり、地球自転の影響によるコリオリ力(主として台風、低気圧の場合。竜巻の周辺場にも関係。)や、大規模積乱雲の周辺場にもともと存在する気流の回転(竜巻)により渦流を形成することを前提とするものであり、渦の存在なしに同様の「ラッパ状」の吸引流が生じる旨の記載はみあたらない。
これに対し、本件発明の送風機の適用対象である遊技機前面部領域は、その規模から見て地球自転による有意な影響が生じず、また、周辺場に回転気流を安定的に生じさせる構成も備えない。よって、竜巻や低気圧(台風)による上昇気流が、本件発明のアナロジーであることを前提とする請求人の前記主張は適切とはいえず、採用できない。
また、前記主張とは別に、送風機の吸込口周辺構造やファンの形状、吸引力、天井などに設置されるホール空調による周辺の気流場などを工夫することにより、遊技場のような小規模な領域においても吸い込まれる気流を整形することは可能であると考えられるものの、本件発明の送風機は単に「上面が開放された箱型のケース35内にファン31を収納するとともに、同ファンの下方で前記ケースの下面に下方から空気を吸い込む吸込口35aを設けた」と特定されるのみであり、天井設置の空調装置(天井空気清浄機)についても「遊技場内の天井に吸込口を有し、同吸込口から吸引した空気からゴミやタバコの煙成分を除去する浄化部を有し、同浄化部で浄化された空気を遊技場内へ戻す」と特定されるのみであって、ファンの形状や吸引力、吸込口周辺構造、周辺気流場について、「ラッパ状」の気流を生じさせうるに足る、前記請求人の前記主張の根拠となるべき特段の構成を備えない。
例えば、本願実施例に記載された円形のファン以外に、上記引用文献1~6(上記刊行物1~6に対応)に記載されたような、クロスフローファンのような横長のファンと、それに伴って横長形状の吸込口とを備える送風機を採用する態様も本件発明に含まれるが、空気が吸込口の線状の領域に吸い込まれるこのような形状の送風機によって、何らの追加の工夫なく一点に吸い込まれる(収束する)ような「ラッパ状」の気流が生じるとは考えがたい。
以上のとおりであるから、前記請求人の主張はその前提において適切でなく、それをもとにした本件発明と各引用文献(刊行物)との構造・作用効果の相違についての主張は採用できない。
5.むすび
したがって、本件発明は、刊行物1発明及び刊行物2に記載された技術事項または周知技術に基づいて、当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、その余の請求項に係る発明について検討するまでもなく、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2017-008836