特許拒絶査定不服審判
2017-008434
光学用部材及びその製造方法
- 審判番号
- 2017-008434
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2012-027225外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2017年06月09日
- 審決日
- 2018年09月25日
- 公報発行日
- 2018年11月30日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 分類
- P18 .121-WY (G02B) / P18 .537-WY (G02B)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第2号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2012- 27225「光学用部材及びその製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 8月22日出願公開、特開2013-164499、請求項の数(11)〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、平成24年2月10日の出願であって、平成27年11月26日付けで拒絶理由が通知され、平成28年2月1日に意見書が提出され、同年7月15日付けで再度拒絶理由が通知され、同年9月21日に意見書の提出とともに手続補正がなされ、平成29年2月24日付けで拒絶査定(以下、「原査定」という。)がされ、これに対し同年6月9日に拒絶査定不服審判の請求と同時に手続補正がなされたものである。
その後、平成30年4月6日付けで拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)を通知し、同年6月7日に意見書の提出とともに手続補正(以下、「本件補正」という。)がなされた。
第2 本件発明
本願の請求項1~11に係る発明は、本件補正により補正された特許請求の範囲の請求項1~11に記載された事項により特定される以下のとおりの発明である。
「 【請求項1】
基材表面に光の反射を抑えるための積層体が形成された光学用部材において、前記積層体の最外表面が多孔質あるいは凹凸構造による空隙を有する層であり、前記積層体の少なくとも一層がポリイミドを主成分とする層であり、前記ポリイミドを主成分とする層が、主鎖中に、3,3’,4,4’-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物、meso-ブタン-1,2,3,4-テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクタン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物、5-(2,5-ジオキソテトラヒドロフリル)-3-メチル-3-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物、または4-(2,5-ジオキソテトラヒドロフラン-3-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-1,2-ジカルボン酸無水物由来である酸二無水物残基、芳香族ジアミン残基、および脂環式ジアミン残基を有するポリイミド1、および主鎖中に、3,3’,4,4’-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物、meso-ブタン-1,2,3,4-テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクタン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物、5-(2,5-ジオキソテトラヒドロフリル)-3-メチル-3-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物、または4-(2,5-ジオキソテトラヒドロフラン-3-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-1,2-ジカルボン酸無水物由来である酸二無水物残基、および芳香族ジアミン残基を有し、かつ芳香族ジアミン残基の含有量がポリイミド1とは異なるポリイミド2を含有し、前記ポリイミド1および前記ポリイミド2のイミド化率が90%以上であることを特徴とする光学用部材。
【請求項2】
前記ポリイミド2とポリイミド1が有する芳香族ジアミン残基は同一であることを特徴とする請求項1記載の光学用部材。
【請求項3】
基材表面に光の反射を抑えるための積層体が形成された光学用部材において、前記積層体の最外表面が多孔質あるいは凹凸構造による空隙を有する層であり、前記積層体の少なくとも一層がポリイミドを主成分とする層であり、前記ポリイミドを主成分とする層が、主鎖中に、3,3’,4,4’-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物、meso-ブタン-1,2,3,4-テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクタン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物、5-(2,5-ジオキソテトラヒドロフリル)-3-メチル-3-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物、または4-(2,5-ジオキソテトラヒドロフラン-3-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-1,2-ジカルボン酸無水物由来である酸二無水物残基、芳香族ジアミン残基、および脂環式ジアミン残基を有するポリイミド1、および主鎖中に、3,3’,4,4’-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物、meso-ブタン-1,2,3,4-テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクタン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物、5-(2,5-ジオキソテトラヒドロフリル)-3-メチル-3-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物、または4-(2,5-ジオキソテトラヒドロフラン-3-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-1,2-ジカルボン酸無水物由来である酸二無水物残基、および脂環式ジアミン残基を有し、かつ芳香族ジアミン残基を含まないポリイミド2を含有し、前記ポリイミド1および前記ポリイミド2のイミド化率が90%以上であることを特徴とする光学用部材。
【請求項4】
前記ポリイミド2とポリイミド1が有する脂環式ジアミン残基は同一であることを特徴とする請求項3記載の光学用部材。
【請求項5】
前記ポリイミド1とポリイミド2の主鎖中の脂環式ジアミン残基は、下記一般式(1)で表される構造を有することを特徴とする請求項3または4に記載の光学用部材。
【化1】
(式中、R1からR8は、それぞれ水素原子、Br、Cl、F、I、フェニル基、または炭素数1から6の直鎖状あるいは環状のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基を表す。ただし、R1からR8は同一であっても異なっていてもよい。)
【請求項6】
前記ポリイミド1および/またはポリイミド2がシロキサン含有ジアミン残基を有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかの項に記載の光学用部材。
【請求項7】
前記ポリイミド1とポリイミド2の屈折率差が0.01以上であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかの項に記載の光学用部材。
【請求項8】
前記凹凸構造が酸化アルミニウムを主成分とする板状結晶から形成されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかの項に記載の光学用部材。
【請求項9】
基材表面に光の反射を抑えるための積層体が形成され、前記積層体の少なくとも一層がポリイミドを主成分とする層からなる光学用部材の製造方法であって、
1)少なくとも芳香族ジアミン、脂環式ジアミンおよび酸二無水物を溶媒中で反応を行い、主鎖中に、3,3’,4,4’-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物、meso-ブタン-1,2,3,4-テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクタン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物、5-(2,5-ジオキソテトラヒドロフリル)-3-メチル-3-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物、または4-(2,5-ジオキソテトラヒドロフラン-3-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-1,2-ジカルボン酸無水物由来である酸二無水物残基、芳香族ジアミン残基、および脂環式ジアミン残基を有し、イミド化率が90%以上のポリイミド1を合成する工程、
2)少なくとも芳香族ジアミンおよび酸二無水物を溶媒中で反応を行い、主鎖中に、3,3’,4,4’-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物、meso-ブタン-1,2,3,4-テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクタン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物、5-(2,5-ジオキソテトラヒドロフリル)-3-メチル-3-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物、または4-(2,5-ジオキソテトラヒドロフラン-3-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-1,2-ジカルボン酸無水物由来である酸二無水物残基、および芳香族ジアミン残基を有し、イミド化率が90%以上であって、かつ芳香族ジアミン残基の含有量がポリイミド1とは異なるポリイミド2を合成する工程、
3)前記ポリイミド1および前記ポリイミド2を溶媒に溶解してポリイミド溶液を調製する工程、
4)前記ポリイミド溶液を基材上または基材上に設けられた薄膜上に塗布する工程、
5)前記塗布したポリイミド溶液を乾燥および/または焼成してポリイミドを主成分とする層を形成する工程、
を有することを特徴とする光学用部材の製造方法。
【請求項10】
基材表面に光の反射を抑えるための積層体が形成され、前記積層体の少なくとも一層がポリイミドを主成分とする層からなる光学用部材の製造方法であって、
1)少なくとも芳香族ジアミン、脂環式ジアミンおよび酸二無水物を溶媒中で反応を行い、主鎖中に、3,3’,4,4’-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物、meso-ブタン-1,2,3,4-テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクタン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物、5-(2,5-ジオキソテトラヒドロフリル)-3-メチル-3-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物、または4-(2,5-ジオキソテトラヒドロフラン-3-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-1,2-ジカルボン酸無水物由来である酸二無水物残基、芳香族ジアミン残基、および脂環式ジアミン残基を有し、イミド化率が90%以上のポリイミド1を合成する工程、
2)少なくとも脂環式ジアミンおよび酸二無水物を溶媒中で反応を行い、主鎖中に、3,3’,4,4’-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物、meso-ブタン-1,2,3,4-テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクタン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物、5-(2,5-ジオキソテトラヒドロフリル)-3-メチル-3-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物、または4-(2,5-ジオキソテトラヒドロフラン-3-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-1,2-ジカルボン酸無水物由来である酸二無水物残基、および脂環式ジアミン残基を有し、かつ芳香族ジアミンを含まず、イミド化率が90%以上であるポリイミド2を合成する工程、
3)前記ポリイミド1および前記ポリイミド2を溶媒に溶解してポリイミド溶液を調製する工程、
4)前記ポリイミド溶液を基材上または基材上に設けられた薄膜上に塗布する工程、
5)前記塗布したポリイミド溶液を乾燥および/または焼成してポリイミドを主成分とする層を形成する工程、
を有することを特徴とする光学用部材の製造方法。
【請求項11】
さらに、前記積層体の最外表面に凹凸構造を有する層を形成するための下記の各工程を有することを特徴とする請求項9または10記載の光学用部材の製造方法。
6)前記積層体の最外表面に酸化アルミニウム前駆体ゾルを塗布する工程、
7)前記塗布した酸化アルミニウム前駆体ゾル膜を乾燥および/または焼成して酸化アルミニウム膜を形成する工程、
8)前記酸化アルミニウム膜を温水に浸漬して酸化アルミニウムを主成分とする板状結晶からなる凹凸構造を形成する工程」(以下、請求項1~11に係る発明を、「本件発明1」~「本件発明11」という。)
第3 引用文献の記載及び引用発明
1 引用文献1
ア 引用文献の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用され、本願出願前の平成24年1月12日に頒布された刊行物である特開2012-8524号公報(以下、「引用文献1」という。)には、以下の記載事項がある。(下線は合議体が付与した。以下同様。)
(ア) 「【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材表面に光の反射を抑えるための積層体が形成された光学用部材であって、
前記積層体の少なくとも一層がポリイミドを含有するポリイミド層であり、
前記ポリイミドは下記一般式(1)で表される繰り返し単位を含み、かつ前記一般式(1)におけるR2の主鎖中に含有される1,4-シクロヘキシレン基の90モル%以上がトランス型の1,4-シクロヘキシレン基であることを特徴とする光学用部材。
【化1】
(式中、R1は四価の有機基であり、R2は主鎖中に1,4-シクロヘキシレン基を1個または2個以上有する二価の有機基である。)」
(イ) 「【技術分野】
【0001】
本発明は反射防止性能を有する光学用部材およびその製造方法に関し、さらに詳述すると可視領域から近赤外領域で高い反射防止性能を長期に安定して得るのに適した光学用部材、ポリイミド、およびその製造方法に関する。
(中略)
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
反射防止膜として表層に微粒子を堆積させた多孔質の膜や、ベーマイトを基材上に成長させる方法で形成した金属酸化物やハロゲン化金属層は、簡便で高い生産性を有し、優れた光学性能を示す。その反面、緻密性が低く、多数の空隙を有するため、外界からの水分などが容易に基材に達し、基材の侵食、アルカリイオンなどの基材成分の溶出が容易に発生する。そのため多孔質の膜やベーマイトの膜などと基材との間に薄膜を形成することで反射防止性能を高めるだけでなく基材へのダメージを抑制できる薄膜材料が望まれている。さらに熱や水分の影響で発生した膜厚や光学特性の変動が引き起こすクラックや膜ムラのない高性能な反射防止膜付き光学用部材が望まれている。
【0009】
本発明は、この様な背景技術に鑑みてなされたものであり、基材に対し長期にわたり高性能の反射防止効果を有する光学用部材及びその製造方法を提供するものである。また、膜やフィルムに加工しても透明性が損なわれず、十分に高いガラス転移温度を有する有機溶媒可溶性のポリイミド及びその製造方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決する光学用部材は、基材表面に光の反射を抑えるための積層体が形成された光学用部材であって、前記積層体の少なくとも一層がポリイミドを含有するポリイミド層からなり、前記ポリイミドが下記一般式(1)で表される繰り返し単位を含み、かつ前記一般式(1)におけるR2の主鎖中に含有される1,4-シクロヘキシレン基の90モル%以上がトランス型の1,4-シクロヘキシレン基であることを特徴とする。
【0011】
【化1】
【0012】
(式中、R1は四価の有機基であり、R2は主鎖中に1,4-シクロヘキシレン基を1個または2個以上有する二価の有機基である。)
(中略)
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、基材に対し長期にわたり高性能の反射防止効果を有する光学用部材を提供することができる。
また、本発明によれば、上記の光学用部材の製造方法を提供することができる。
【0029】
さらに、本発明によれば、膜やフィルムに加工しても透明性が損なわれず、十分に高いガラス転移温度を有する有機溶媒可溶性のポリイミド及びその製造方法を提供することができる。」
(ウ) 「【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に係る光学用部材は、基材表面に光の反射を抑えるための積層体が形成された光学用部材であって、前記積層体の少なくとも一層がポリイミドを含有するポリイミド層からなり、前記ポリイミドが下記一般式(1)で表される繰り返し単位を含み、かつ前記一般式(1)におけるR2の主鎖中に含有される1,4-シクロヘキシレン基の90モル%以上がトランス型の1,4-シクロヘキシレン基であることを特徴とする。
【0032】
【化8】
【0033】
(式中、R1は四価の有機基であり、R2は主鎖中に1,4-シクロヘキシレン基を1個または2個以上有する二価の有機基である。)
【0034】
前記ポリイミドが、下記一般式(2)で表される繰り返し単位を含むことが好ましい。
【0035】
【化9】
【0036】
(式中、R1は四価の有機基であり、nは0から2の整数であり、R3からR10はそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、フェニル基または炭素数1から6の直鎖状あるいは環状のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基であり、R11およびR12はそれぞれ独立して水素原子または炭素数1から6の直鎖状あるいは環状のアルキル基である。)
【0037】
図1は、本発明に係る光学用部材の一実施形態を模式的に示す概略図である。同図1において、本発明の光学用部材は、基材1の表面に、ポリイミドを含有するポリイミド層2と、低屈折率層3がこの順に積層されている。
【0038】
本発明におけるポリイミド層2と低屈折率層3からなる積層体9は、基材1の表面で発生する光の反射を抑えることができる。ポリイミド層はポリイミド単独あるいはポリイミドとポリイミド以外の成分からなる層である。ポリイミド以外の成分はポリイミドを補完するものであって、その特性を損なわない範囲でポリイミドに相溶、混合、分散することができる。
【0039】
基材1と低屈折率層3の間にポリイミド層2を設けることにより、基材1上に直接低屈折率層3を形成した場合に比べ高い反射防止効果が得られることが特徴である。そのためポリイミド層2の膜厚は10nm以上150nm以下、好ましくは20nm以上80nm以下の範囲であり、基材の屈折率などに合わせてこの範囲で変化させることができる。膜厚が10nm未満ではポリイミド層2がない場合と反射防止効果は変わらない。一方、膜厚が150nmを超えると反射防止効果は著しく低下する。
【0040】
また、ポリイミド層2に含有されるポリイミドは、下記一般式(1)で表される繰り返し単位を含むことを特徴とする。
【0041】
【化10】
【0042】
一般式(1)において、R1は四価の有機基であり、R2は主鎖中に1,4-シクロヘキシレン基を1個または2個以上有する二価の有機基である。かつ、前記1,4-シクロヘキシレン基の大部分、すなわちR2の主鎖中に含有される1,4-シクロヘキシレン基の90モル%以上がトランス型の1,4-シクロヘキシレン基であることが好ましい。
【0043】
ポリイミド中のR2が1,4-シクロヘキシレン基を1個または2個以上有する2価の有機基であることでポリイミドの耐熱性を維持しつつ透明性と低い屈折率を付与することができる。ポリイミド中のR2が脂肪族基であるとポリイミドの屈折率を下げることができるが、直鎖の脂肪族基や1,4-シクロヘキシレン基以外の脂環基の場合はガラス転移温度が低下する。さらに、ポリイミドは、イミド環の窒素原子に1,4-シクロヘキシレンが直接結合した構造がより好ましい。また、下記一般式(2)で表される繰り返し単位を含むことが好ましい。
【0044】
【化11】
【0045】
(式中、R1は四価の有機基であり、nは0から2の整数であり、R3からR10はそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、フェニル基または炭素数1から6の直鎖状あるいは環状のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基であり、R11およびR12はそれぞれ独立して水素原子または炭素数1から6の直鎖状あるいは環状のアルキル基である。)
加えて、下記一般式(5)で表わされる繰り返し単位を含んでいてもよい。
【0046】
【化12】
【0047】
(式中、R1は四価の有機基である。R11からR14はそれぞれ独立して水素原子、フェニル基、炭素数1から4のアルキル基、アルケニル基またはアルキニル基である。R11からR14は同一であっても異なっていてもよい。R15およびR16はそれぞれフェニレン基または炭素数1から4のアルキレン基である。R15およびR16は同一であっても異なっていてもよい。nは0から6の整数である。)
一般式(5)を含むことにより、溶解性が向上する。また、膜を形成する際、密着性が向上する。
ポリイミド中のR2が1,4-シクロヘキシレン基を有するためには、モノマーに、下記一般式(3)で表される1,4-シクロへキシレン基を有するジアミンまたはその誘導体を用いる。
【0048】
【化13】
【0049】
(式中、R2は主鎖中に1,4-シクロヘキシレン基を1個または2個以上有する二価の有機基である。)
【0050】
より好ましくは、モノマーに、下記一般式(6)で表わされるジアミンまたはその誘導体を用いる。
【0051】
【化14】
【0052】
(式中、R3からR10はそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、フェニル基または炭素数1から6の直鎖状あるいは環状のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基であり、R11およびR12はそれぞれ独立して水素原子または炭素数1から6の直鎖状あるいは環状のアルキル基である。)1,4-シクロへキシレン基を有するジアミンの例としては1,4-シクロヘキサンジアミン、1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、4,4‘-メチレンビス(アミノシクロヘキサン)、4,4‘-メチレンビス(1-アミノ-2-メチルシクロヘキサン)、2,2-ビス(4-アミノシクロヘキシル)プロパン、4,4‘-ビシクロヘキシルアミン、α,α‘-ビス(4-アミノシクロヘキシル)-1,4-ジイソプロピルシクロヘキサンが挙げられる。
(中略)
【0063】
ポリイミドの合成に用いられる酸二無水物の例としては、ピロメリット酸無水物、3,3‘-ビフタル酸無水物、3,4‘-ビフタル酸無水物、3,3‘,4,4‘-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3‘,4,4‘-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、4,4‘-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物、4,4‘-オキシジフタル酸二無水物などの芳香族酸二無水物、meso-ブタン-1,2,3,4-テトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5-シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト-7-エン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクタン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物、5-(2,5-ジオキソテトラヒドロフリル)-3-メチル-3-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物、4-(2,5-ジオキソテトラヒドロフラン-3-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-1,2-ジカルボン酸無水物などの脂肪族酸二無水物が挙げられる。
【0064】
ポリイミドの溶解性、塗布性や透明性を向上する観点から、前記R1が下記一般式(7)から(11)より選ばれる四価の有機基であることが好ましい。
【0065】
【化16】
【0066】
該当する酸二無水物として3,3‘,4,4‘-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、4,4‘-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物、meso-ブタン-1,2,3,4-テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクタン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物、5-(2,5-ジオキソテトラヒドロフリル)-3-メチル-3-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物、4-(2,5-ジオキソテトラヒドロフラン-3-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-1,2-ジカルボン酸無水物を用いることがより好ましい。
【0067】
一方、1,4-シクロへキシレン基の大部分がトランス型であるジアミンに加え、それ以外のジアミンを1種類以上併用して重合することができる。
(中略)
【0074】
その他、1,4-シクロヘキシレン基の大部分がトランス型であるジアミン以外にポリイミドの合成に用いられる第三のジアミンの例としては、m-フェニレンジアミン、p-フェニレンジアミン、3,4‘-ジアミノジフェニルメタン、4,4‘-ジアミノジフェニルメタン、4,4‘-ジアミノ-3,3‘-ジメチルジフェニルメタン、o-トリジン、m-トリジン、4,4‘-ジアミノベンゾフェノン、1,1-ビス(4-アミノフェニル)シクロヘキサン、3,4‘-ジアミノジフェニルエーテル、4,4‘-ジアミノジフェニルエーテル、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、4,4‘-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、4,4‘-ビス(3-アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-アミノ-3-メチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-アミノ-3-フルオロフェニル)フルオレン、2,2-ビス(4-アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス(3-アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2‘-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジンなどの芳香族ジアミンが挙げられる。芳香族基を有するジアミンを共重合したポリイミドの屈折率は1.5から1.7まで任意に変化させることができる。
【0075】
特に1,4-シクロヘキシレン基を有するジアミンまたはおよびオルガノシロキサン基を有するジアミンと組み合わせて幅広い範囲で屈折率制御ができる点から4,4‘-ビス(3-アミノフェノキシ)ビフェニル、9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-アミノ-3-メチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-アミノ-3-フルオロフェニル)フルオレンを用いることがより好ましい。
(中略)
【0077】
本発明のポリイミド層2の屈折率niは基材1の屈折率nb、低屈折率層3の屈折率nsに対して、nb≧ni≧nsとなることが好ましい。低屈折率層3の屈折率は、表層側から基材側に向かって屈折率が連続的に上昇していてもよく、その場合は、低屈折率層3の屈折率nsは、基材側の屈折率とする。このような屈折率の範囲を満たすようにトランス型のみの1,4-シクロへキシレン基を有するジアミンに加え、90モル%を上限にそれ以外のジアミンを併用することができる。
【0078】
上記の反応に用いる一般式(3)で表されるジアミンおよびまたは一般式(12)で表されるジアミンと第三のジアミンの使用量の合計を100モル%とした場合、第三のジアミンは50モル%以下が好ましい。50モル%より多いと透明性が低下したり屈折率が高くなり過ぎたりする。」
(エ) 「【0091】
ポリイミドのイミド化率は90%以上が好ましく、それ以下であるとポリイミドの吸水率が上昇して膜厚や屈折率が変動し易くなる。さらに好ましくは93%以上99%以下である。」
(オ) 「【0104】
本発明の光学用部材は、前記積層体の最外表面に凹凸構造を有することが好ましい。また、前記凹凸構造が酸化アルミニウムを主成分とする板状結晶から形成されていることが好ましい。
【0105】
図2は、本発明の光学用部材の他の実施態様を示す概略図である。
同図2において、本発明の光学用部材は、基材1表面に、ポリイミド層2と微細な凹凸構造からなる層4が順に積層されている。最表面には微細な凹凸構造5が形成されている。
【0106】
積層体9の一層である凹凸構造からなる層4を形成する凹凸構造5は酸化アルミニウムの板状結晶であることが好ましい。酸化アルミニウムの板状結晶とは酸化アルミニウムを主成分とする膜を温水に浸漬することより、酸化アルミニウム膜の表層が解膠作用等を受け、膜の表層に析出、成長する板状の結晶のことを言う。」
(合議体注:図2は以下のとおりのものである。)
(カ) 「【実施例】
【0134】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。ただし本発明はかかる実施例に限定されるものではない。各実施例、比較例で得られた、表面に微細な凹凸を有する光学膜について、下記の方法で評価を行った。
【0135】
(1)4,4‘-メチレンビス(アミノシクロヘキサン)の精製
4,4‘-メチレンビス(アミノシクロヘキサン)(以下DADCMと略す。東京化成製)200gに還流させながらヘキサンを徐々に加えて完全に溶解させた。加熱を止め数(2から4)日間、室温(20から25℃)に放置した後、析出物を濾別し、減圧乾燥した。61gの白色固体状の精製DADCMを得た。1H-NMRスペクトルからトランス型の1,4-シクロへキシレン基を95モル%含むことが確認された。
1H-NMR(DMSO-d6);δ0.83(2H,m),δ0.97(2H,q),δ1.18(2H,m),δ1.60(2H,d),δ1.69(2H,d),δ2.05(2H,s),δ2.42(2H,m),δ3.30(4H,b)
【0136】
(2)ポリイミド1から8の合成
合計で0.012molのジアミン(1)(精製DADCMまたは未精製DADCM)、ジアミン(2)およびジアミン(3)をN,N-ジメチルアセトアミド(以下、DMAcと略す)に溶解した。このジアミン溶液を水冷しながら0.012molの酸二無水物を加えた。DMAcの量はジアミンと酸二無水物の質量の合計が20重量%になるように用いた。
この溶液を15時間室温で攪拌し、重合反応を行った。さらに、DMAcで希釈して8重量%になるように調整した後、7.4mlのピリジンと3.8mlの無水酢酸を加え、室温で1時間攪拌した。さらに、オイルバスで60から70℃に加熱しながら4時間攪拌した。重合溶液をメタノールまたはメタノール/水の混合溶媒中に再沈殿しポリマーを取り出した後、メタノール中またはメタノール/水の混合溶媒中で数回洗浄した。100℃で真空乾燥後、白色から淡黄色粉末状のポリイミドを得た。1H-NMRスペクトルからカルボキシル基残量を測定し、イミド化率を求めた。ポリイミド1から8の組成表を表1に示す。
【0137】
【表1】
【0138】
(注1)
TDA:4-(2,5-ジオキソテトラヒドロフラン-3-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-1,2-ジカルボン酸無水物
BDA:meso-ブタン-1,2,3,4-テトラカルボン酸二無水物
DADCM:4,4‘-メチレンビス(アミノシクロヘキサン)
PAM-E:両末端アミン変性ジメチルシロキサンオリゴマー
BAPB:4,4‘-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル
6FDA:4,4‘-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物
(注2)
酸二無水物およびジアミンの()内は仕込みモル比を示す。
(注3)
上記の精製4,4‘-メチレンビス(アミノシクロヘキサン)に含有される1,4-シクロヘキシレン基の中で、トランス型の1,4-シクロヘキシレン基の含有量は、95モル%である。
【0139】
(3)ポリイミド溶液1から9および11から13の調製
2.0から4.0gのポリイミド1から8粉末を、96から98gのシクロペンタノン/シクロヘキサノンの混合溶媒に溶解することでポリイミド溶液1から9および11から13を調製した。
【0140】
(4)ポリイミド溶液10および14の調製
2.0gのポリイミド1または2粉末と、0.3gのメラミン樹脂(商品名:ニカラックMX-706,日本カーバイト製)を997gのシクロペンタノン/シクロヘキサノンの混合溶媒に溶解することでポリイミド溶液10および14を調製した。
調製したポリイミド溶液を表2に示す。
【0141】
【表2】
(中略)
【0147】
実施例1
洗浄したLa2O5を主成分とするnd=1.77、νd=50のガラスAの研磨面上にポリイミド溶液1、2、3を適量滴下し、3000から4000rpmでスピンコートを行った。この基板を200℃で60分間乾燥し、精製DADCMから合成したポリイミド1膜が形成された基板を得た。
【0148】
ポリイミド1の膜厚および屈折率をエリプソメトリーを用いて測定した。さらにポリイミド1膜を80℃の温水中に20分間浸漬してから膜厚および屈折率測定を行い、製膜後の膜厚に対する温水浸漬前後の膜厚の増加率をプロットした結果を図6に示す。膜厚100nm以上では温水処理前後の膜厚増加率は0.32から0.34%であった。膜厚40から50nmでの温水処理前後の膜厚増加率は0.6から0.69%であった。
(中略)
【0151】
実施例2から5
洗浄したLa2O5(合議体注:「La2O5」は「La2O5」の誤記である。)を主成分とするnd=1.77、νd=50のガラスAの研磨面上にポリイミド溶液7から10を適量滴下し、3000から4000rpmでスピンコートを行った。この基板を200℃で60分間乾燥し、精製DADCMから合成したポリイミド3、5、7膜およびポリイミド1と架橋剤の混合膜が形成された基板を得た。
【0152】
ポリイミド膜の膜厚および屈折率をエリプソメトリーを用いて測定した。さらにポリイミド膜を80℃の温水中に20分間浸漬してから膜厚および屈折率測定を行い、製膜後の膜厚に対する温水浸漬前後の膜厚の増加率を表3に示した。
(中略)
【0154】
【表3】
」
イ 引用発明
上記記載事項(ウ)~(オ)に基づけば、引用文献1には、図2に示される実施態様に係る発明として、以下の発明が記載されていると認められる。
「基材表面に光の反射を抑えるための積層体が形成された光学用部材であって、基材表面に、ポリイミド層と微細な凹凸構造からなる層が順に積層されており、前記積層体の最外表面に凹凸構造を有する光学用部材であり、
ポリイミド層が含有するポリイミドが、下記一般式(1)で表される繰り返し単位を含み、かつ前記一般式(1)におけるR2の主鎖中に含有される1,4-シクロヘキシレン基の90モル%以上がトランス型の1,4-シクロヘキシレン基であり、このために、モノマーに、90モル%以上がトランス型の1,4-シクロへキシレン基を有するジアミンまたはその誘導体を用いるものであって、
ポリイミドの合成に用いられる酸二無水物は、3,3‘,4,4‘-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、4,4‘-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物、meso-ブタン-1,2,3,4-テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクタン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物、5-(2,5-ジオキソテトラヒドロフリル)-3-メチル-3-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物又は、4-(2,5-ジオキソテトラヒドロフラン-3-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-1,2-ジカルボン酸無水物であり、
1,4-シクロヘキシレン基の90モル%以上がトランス型であるジアミン以外にポリイミドの合成に芳香族ジアミンが用いられ、芳香族基を有するジアミンを共重合したポリイミドの屈折率は1.5から1.7まで任意に変化させることができ、
ポリイミドのイミド化率は90%以上である、
光学用部材。
」(以下、「引用発明1」という。)
2 引用文献2
ア 引用文献の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用され、本願出願前の平成20年10月2日に頒布された刊行物である特開2008-233880号公報(以下、「引用文献2」という。)には、以下の記載事項がある。
(ア)「【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材表面に積層体が形成された光学部材において、少なくとも一層が酸化アルミニウムを主成分とする板状結晶から形成されている板状結晶層であり、前記基材と前記板状結晶層との間に少なくとも一層の有機樹脂を主成分とする層を含み、かつ前記有機樹脂が主鎖中に芳香環または/およびイミド環を有することを特徴とする光学用部材。
(中略)
【請求項4】
前記板状結晶層の表面が凹凸形状からなることを特徴とする請求項1乃至3記載の光学用部材。」
(イ)「【技術分野】
【0001】
本発明は反射防止性能を有する光学用部材及びそれを用いた光学系に関し、さらに詳述すると可視領域から近赤外領域で高い反射防止性能を長期に安定して得るのに適した光学用部材及びそれを用いた光学系に関する。
(中略)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
微粒子を利用した技術や、ベーマイトを基材上に成長させる方法で形成した金属酸化物やハロゲン化金属層は、簡便で高い生産性を有し、優れた光学性能を示す。その反面、緻密性が低く、多数の空隙を有するため、外界からの水分などが容易に基材に達し、基材の侵食、アルカリイオンなどの基材成分の溶出が容易に発生する。さらに溶出成分により微細構造の維持が困難になり性能が低下するという問題があった。
【0007】
また、基材とベーマイトの間にSiO2を主成分とする膜を設けた反射防止膜においては、温水処理によってSiO2を主成分とする膜から膜成分が溶出し光学特性が変化してしまうことがあった。
【0008】
より簡便に形成でき、かつ低温焼成で高い信頼性を有する微細周期構造を用いた反射防止膜が望まれている。
【0009】
本発明は、この様な背景技術に鑑みてなされたものであり、任意の基材に対し長期にわたり高性能の反射防止効果を維持することができる光学用部材、それを用いた光学系及び光学用部材の製造方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記目的を達成するために、次のように構成した光学用部材を提供するものである。
【0011】
本発明は基材表面に積層体が形成された光学部材であり、少なくとも一層が酸化アルミニウムを主成分とする板状結晶から形成されている板状結晶層であり、前記基材と前記板状結晶層との間に少なくとも一層の有機樹脂を主成分とする層を含み、かつ前記有機樹脂が主鎖中に芳香環または/およびイミド環を有することを特徴とする光学用部材である。
また、本発明は前記板状結晶が、ベーマイトであることを特徴とする光学用部材である。
【0012】
また、本発明は前記板状結晶層が表層側から基材側に向かって屈折率が連続的に上昇する層であることを特徴とする光学用部材である。
また、本発明は該板状結晶層の表面が凹凸形状からなることを特徴とする光学用部材である。」
(ウ)「【0060】
また、有機樹脂の構造を変えることによって、有機樹脂を主成分とする層2または5の屈折率を変化させることができる。例えば、有機樹脂中に含まれる芳香環の数やヘテロ環の数を増やすことで屈折率は高くなる。一方、脂肪族鎖、脂環構造、前記のシロキサン構造やフルオロアルキル基などを増やすことによって透明性が向上し、屈折率は低下する。主鎖に芳香環または/およびイミド環を有する有機樹脂の中で構造によって比較的容易に屈折率を変化させられる例として、ポリイミドや芳香族ポリエーテル類、芳香族ポリスルフィド類、芳香族ポリカーボネートが挙げられる。これらのポリマーはモノマーを介して芳香環やイミド環と合わせて前記構造を主鎖や側鎖に導入することができる。
【0061】
ポリイミドは一般的に酸二無水物とジアミンとの重付加反応と脱水縮合反応によって合成されるが、ジアミンおよび/または酸二無水物に脂肪族鎖、脂環構造やフルオロアルキル基を導入することで可視光領域で透明なポリイミドが得られる。特に酸二無水物に脂環構造を有する酸二無水物を用い、ジアミンにシロキサン構造、脂肪族鎖、脂環構造、芳香環などの各種構造を単独もしくは複数種導入することによって屈折率も1.5から1.7まで任意に変化させることができる。
【0062】
熱可塑性ポリイミドの合成に用いられる酸二無水物の例としては、ピロメリット酸無水物、3,3‘-ビフタル酸無水物、3,4‘-ビフタル酸無水物、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物、4,4’-オキシジフタル酸 無水物などの芳香族酸に無水物、meso-ブタン-1,2,3,4-テトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5-シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト-7-エン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクタン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物、5-(2,5-ジオキソテトラヒドロフリル)-3-メチル-3-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物、4-(2,5-ジオキソテトラヒドロフラン-3-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-1,2-ジカルボン酸無水物などの脂肪族酸二無水物が挙げられる。ポリイミドの溶解性、塗布性や透明性を向上する観点から、3,3’,4,4’-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物、1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクタン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物、5-(2,5-ジオキソテトラヒドロフリル)-3-メチル-3-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物、4-(2,5-ジオキソテトラヒドロフラン-3-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-1,2-ジカルボン酸無水物がより好ましい。
【0063】
熱可塑性ポリイミドの合成に用いられるジアミンの例としては、m-フェニレンジアミン、p-フェニレンジアミン、3,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノ-3,3’-ジメチルジフェニルメタン、o-トリジン、m-トリジン、4,4’-ジアミノベンゾフェノン、1,1-ビス(4-アミノフェニル)シクロヘキサン、3,4’-ジアミノジフェニル エーテル、4,4’-ジアミノジフェニル エーテル、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、4,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、4,4’-ビス(3-アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレン、2,2-ビス(4-アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジンなどの芳香族ジアミン、1,4-ジアミノブタン、1,5-ジアミノペンタン、1,3-シクロヘキサンジアミン、1,4-シクロヘキサンジアミン、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、4,4’-メチレンビス(2-メチルシクロヘキシルアミン)、1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサンなどの脂肪族ジアミン、1,3-ビス (3-アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、1,4-ビス (3-アミノプロピルジメチルシリル)ベンゼンなどの-SiR2-O-基含有ジアミンが挙げられる。ガラスなどの無機基材に対する密着性の観点から、1,3-ビス (3-アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、1,4-ビス (3-アミノプロピルジメチルシリル)ベンゼンなどの-SiR2-O-基含有ジアミンを少なくとも含むことがより好ましい。」
(エ)「【実施例】
【0081】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。ただし本発明はかかる実施例に限定されるものではない。各実施例、比較例で得られた、表面に微細な凹凸を有する光学膜について、下記の方法で評価を行った。
【0082】
(1)ポリイミド1から5の合成
合計で0.012molのジアミン(1)、ジアミン(2)およびジアミン(3)をN,N-ジメチルアセトアミド(以下、DMAcと略す)に溶解した。このジアミン溶液を水冷しながら0.012molの酸二無水物を加えた。DMAcの量はジアミンと酸二無水物の質量の合計が20重量%になるように用いた。この溶液を15時間室温で攪拌し、重合反応を行った。さらに、DMAcで希釈して8重量%になるように調整した後、7.4mlのピリジンと3.8mlの無水酢酸を加え、室温で1時間攪拌した。さらに、オイルバスで50℃に加熱しながら5時間攪拌した。重合溶液をメタノール中に再沈殿しポリマーを取り出した後、メタノール中で数回洗浄した。100℃で真空乾燥後、淡黄色粉末状のポリイミドを得た。 1H-NMRスペクトルからカルボキシル基残量を測定し、イミド化率を求めた。ポリイミド1から5の組成表を表1に示した。
【0083】
【表1】
(中略)
【0085】
(3)ポリイミド溶液6から10の調製
2.5gのポリイミド1から5粉末を10gのシクロヘキサノンに溶解することでポリイミド溶液6から10を調製した。
(中略)
【0089】
(7)酸化アルミニウム(アルミナ(Al2O3))ゾル液14の調製
24.6gのAl(O-sec-Bu)3を115.3gの1-ブタノール/2-プロパノール(以下、IPAと略す)の1/1(wt.)混合溶媒中に溶解させ、6.51gの3-オキシブタン酸エチルエステルを添加し、約1時間室温で攪拌した。その後、この溶液に0.01M希塩酸〔HClaq.〕を添加し、約3時間室温で攪拌した。さらに120℃のオイルバス中で6時間攪拌することによってアルミナ(Al2O3)ゾル液13を調製した。
【0090】
(8)酸化アルミニウム(アルミナ(Al2O3))ゾル液15の調製
17.2gのAl(O-sec-Bu)3を122.3gの1-ブタノール/2-プロパノール(以下、IPAと略す)の1/1(wt.)混合溶媒中に溶解させ、4.56gの3-オキシブタン酸エチルエステルを添加し、約1時間室温で攪拌した。その後、この溶液に0.01M希塩酸〔HClaq.〕を添加し、約3時間室温で攪拌した。さらに120℃のオイルバス中で6時間攪拌することによってアルミナ(Al2O3)ゾル液14を調製した。
(中略)
【0096】
(14)基板の洗浄
両面を研磨した大きさ約φ30mm、厚さ約2mmの各種ガラス基板をアルカリ洗剤およびIPAで超音波洗浄した後、オーブン中で乾燥した。
(中略)
【0100】
実施例1
前記の方法で洗浄したS-TIH53(n550nm=1.84)基板の片方の面にポリイミド溶液6を適量滴下し、3000rpmで20秒間スピンコートを行った。この基板を80℃で10分間予備乾燥した後、もう一方の面にも同様にポリイミド溶液6をスピンコートした。その後、200℃の熱風循環オーブンで30分間焼成することで、ポリイミド1が両面に付いた有機樹脂層付き基板を作製した。ポリイミド1膜の膜厚、屈折率、吸水率を表2に示した。
【0101】
ポリイミド1膜付き基板の片方の面にアルミナゾル液14を適量滴下し、4000rpmで20秒間スピンコートを行った後、80℃で10分間予備乾燥した。もう一方の面にも同様にアルミナゾル液をスピンコートした。その後、200℃の熱風循環オーブンで30分間焼成し、透明なアモルファスAl2O3膜を被膜した。
【0102】
次に、80℃の熱水中に30分間浸漬したのち、60℃で10分間乾燥させた。
【0103】
得られた膜表面のFE-SEM観察を行ったところ、図4に示すようなAl2O3を主成分とする板状結晶がランダム状にかつ複雑に入り組んだ微細な凹凸組織が観測された。断面のFE-SEM観察を行ったところ、図5に示すようなAl2O3を主成分とする板状結晶が選択的に基材の表面に対して平均角度75°の方向に配置されている像が観察された。
(中略)
【0106】
実施例2
ポリイミド溶液6の代わりにポリイミド溶液7を用い、ポリイミド2からなる有機樹脂層を形成した以外は実施例1と同様の操作を行った。
【0107】
実施例3
基板をS-LAH65(n550nm=1.80)に代えた以外は実施例2と同様の操作を行った。
【0108】
実施例4
ポリイミド溶液7の代わりにポリイミド溶液8を用い、ポリイミド3からなる有機樹脂層を形成した以外は実施例3と同様の操作を行った。
【0109】
実施例5
ポリイミド溶液7の代わりにポリイミド溶液9を用い、ポリイミド4からなる有機樹脂層を形成した以外は実施例3と同様の操作を行った。」
イ 引用発明
上記記載事項(ア)に基づけば、引用文献2には、請求項4に記載された発明として以下の発明が記載されていると認められる。
「基材表面に積層体が形成された光学部材において、少なくとも一層が酸化アルミニウムを主成分とする板状結晶から形成されている板状結晶層であり、前記基材と前記板状結晶層との間に少なくとも一層の有機樹脂を主成分とする層を含み、かつ前記有機樹脂が主鎖中に芳香環または/およびイミド環を有し、前記板状結晶層の表面が凹凸形状からなる光学用部材。」(以下、「引用発明2」という。)
3 引用文献3
原査定の拒絶の理由に引用され、本願出願前の2011年3月24日に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明が記載された国際公開第2011/033751号(以下、「引用文献3」という。)には、以下の記載事項がある。
ア 「技術分野
[0001] 本発明は、透明熱可塑性ポリイミド、およびそれを含む透明基板に関する。本発明の透明基板は、フラットパネルディスプレイ(FPD)における透明基板として特に好適である。
(中略)
発明が解決しようとする課題
[0009] 上記のように透明なポリイミド樹脂が求められているものの、従来の透明ポリイミド樹脂は褐色を呈しているものが多かった。例えば、特許文献7または8で報告されたポリイミド樹脂の透明性も十分ではなかった。
[0010] 一方、特許文献3および4には無色透明なポリイミド樹脂も開示されている。しかしながら、ポリイミド樹脂本来の耐熱性を損なわずに屈折率を精密に制御することが困難であった。一方で、透明複合基板の透明性を高めるためには、透明ポリイミド樹脂と補強材との屈折率差をできるだけ小さくする必要がある。つまり、従来は、耐熱性を維持したまま透明ポリイミド樹脂と補強材との屈折率差を小さくすることが難しいため、ポリイミド樹脂とガラスクロスなどの補強材とを複合させた透明複合基板を得ることが困難であった。
[0011] そこで本発明は、高い透明性と耐熱性とを有する透明基板を提供することを目的とする。また、ポリイミド樹脂本来の高い耐熱性を損なうことなく、無色透明で、かつ屈折率を精密に制御できる透明ポリイミド樹脂組成物を提供することを目的とする。
課題を解決するための手段
[0012] 本発明の第1は、以下に示す透明基板およびそれを含む画像表示装置に関する。
[1]透明熱可塑性ポリイミドと無機フィラーとを含む基材(I)を有する透明基板であって、
前記透明熱可塑性ポリイミドと前記無機フィラーとの波長589nmにおける屈折率差が0.010以下である透明基板。
(中略)
発明の効果
[0028] 本発明の透明基板では、ポリイミド本来の耐熱性を損なわずに屈折率を精密に制御できる透明ポリイミドを、補強材と複合させている。このため、本発明の透明基板は、高い透明性と耐熱性とを有する。また本発明の透明ポリイミド組成物は、ポリイミド樹脂本来の高い耐熱性を損なうことなく、無色透明で、かつ屈折率を精密に制御できる。」
イ 「[0031] (透明熱可塑性ポリイミド)
基材(I)に含まれる透明熱可塑性ポリイミドは、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを反応させて得られる、実質的に1種類の構成単位からなるポリイミド単独重合体;またはテトラカルボン酸二無水物とジアミンとを反応させて得られる、2種類以上の構成単位を含むポリイミド共重合体を含む。基材(I)には、ポリイミド単独重合体またはポリイミド共重合体が2種類以上含まれてもよい。
[0032] 基材(I)に含まれる透明熱可塑性ポリイミドは、波長589nmにおいて高屈折率の透明ポリイミドを与える構成単位αと、波長589nmにおいて低屈折率の透明ポリイミドを与える構成単位βとを含むポリイミド共重合体を含むか;あるいは構成単位αを主成分として含む、波長589nmにおいて高屈折率の透明ポリイミドと、構成単位βを主成分として含む波長589nmにおいて低屈折率の透明ポリイミドとの混合物を含むことが好ましい。
[0033] 下記一般式(11)で表される構成単位αからなるポリイミドは、波長589nmにおいて1.59~1.65の高い屈折率を有する。下記一般式(12)で表される構成単位βからなるポリイミドは、波長589nmにおいて1.52~1.55の低い屈折率を有する。一般式(11)のXおよび一般式(12)のYは、それぞれ4価の有機基である。一般式(11)のAおよび一般式(12)のBは、それぞれ脂環式炭化水素ジアミンから誘導される2価の有機基である。
[化14]
[0034] ポリイミド共重合体は、一般式(11)で表される構成単位と、一般式(12)で表される構成単位とを含むランダム共重合体であっても、ブロック共重合体であってもよい。ポリイミド共重合体における構成単位の総数に対して、一般式(11)で表される構成単位数と、一般式(12)で表される構成単位数との合計が、50%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましい。
[0035] ポリイミドの混合物における、一般式(11)で表される構成単位を主成分として含むポリイミドは、実質的に一般式(11)で表される構成単位からなるポリイミドであればよく、微量の共重合成分を含んでもよい。一般式(12)で表される構成単位を主成分として含むポリイミドも、実質的に一般式(12)で表される構成単位からなるポリイミドであればよく、微量の共重合成分を含んでもよい。
[0036] つまり、構成単位αと構成単位βのモル比を調整し、基材(I)に含まれる透明熱可塑性ポリイミドの屈折率を精密に制御することができる。当該調整は、構成単位αと構成単位βとの共重合比率を調整したり;あるいは構成単位αを主成分として含むポリイミドと、構成単位βを主成分として含むポリイミドとの混合比率を調整したりすることによって行う。」
ウ 「[0041] なかでも、一般式(11)のAおよび一般式(12)のBは、それぞれ下記式で表される2価の有機基であることが好ましい。
[化15]
」
エ 「[0042] なかでも、一般式(11)におけるAおよび一般式(12)におけるBは、それぞれノルボルナンジアミンから誘導される2価の有機基であることが好ましい。脂環式炭化水素ジアミンの中でも、ノルボルナンジアミンから誘導されるポリイミドは、透明性が高く、さらに結晶性が高すぎないため、ガラス転移点が高くなりすぎない。
[0043] ノルボルナンジアミンの例には、2,3-ジアミノメチル-ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,5-ジアミノメチル-ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,6-ジアミノメチル-ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,7-ジアミノメチル-ビシクロ[2.2.1]ヘプタンなどが含まれ、好ましくは2,5-ジアミノメチル-ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,6-ジアミノメチル-ビシクロ[2.2.1]ヘプタンである。各ノルボルナンジアミンには、立体異性体が含まれる。複数のノルボルナンジアミンから誘導される2価の基は、同一でも異なっていてもよい。」
第4 対比・判断
1 本件発明1
(1)引用発明1を主引用発明とした場合
ア 対比
本件発明1と引用発明1とを対比する。
(ア)引用発明1の「光学用部材」は、「基材表面に光の反射を抑えるための積層体が形成された」ものであるから、本件発明1の「基材表面に光の反射を抑えるための積層体が形成された光学用部材」に相当する。
また、引用発明1の「積層体」は、「最外表面に凹凸構造を有する」ものである。したがって、引用発明1の「積層体」は、本件発明1の「前記積層体の最外表面が多孔質あるいは凹凸構造による空隙を有する層であり、」とする要件を具備している。
さらに、引用発明1の「積層体」を構成する「ポリイミド層」は、ポリイミドを主成分とする層であるといえるから、本件発明1の「前記積層体の少なくとも一層がポリイミドを主成分とする層であり、」とする要件を具備している。
(イ)引用発明1の「ポリイミドの合成に用いられる酸二無水物は、3,3‘,4,4‘-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、4,4‘-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物、meso-ブタン-1,2,3,4-テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクタン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物、5-(2,5-ジオキソテトラヒドロフリル)-3-メチル-3-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物又は、4-(2,5-ジオキソテトラヒドロフラン-3-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-1,2-ジカルボン酸無水物であ」ることは、引用発明1の「ポリイミド層が含有するポリイミド」が、主鎖中に、上記酸二無水物由来の残基を有しているといえる。したがって、引用発明1の「ポリイミド層」は、本件発明1の「ポリイミドを主成分とする層が、主鎖中に、3,3’,4,4’-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物、meso-ブタン-1,2,3,4-テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクタン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物、5-(2,5-ジオキソテトラヒドロフリル)-3-メチル-3-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物、または4-(2,5-ジオキソテトラヒドロフラン-3-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-1,2-ジカルボン酸無水物由来である酸二無水物残基」を有するとする要件を満たしている。
(ウ)引用発明1の「ポリイミド層が含有するポリイミド」は、「ポリイミドの合成に芳香族ジアミンが用いられ」るものである。したがって、引用発明1の「ポリイミド層」は、本件発明1のポリイミドを主成分とする層が、主鎖中に「芳香族ジアミン残基」を有するとする要件を満たしている。
(エ)引用発明1の「ポリイミド層が含有するポリイミド」は、「主鎖中に含有される1,4-シクロヘキシレン基の90モル%以上がトランス型の1,4-シクロヘキシレン基」であって、ポリイミドの合成に用いられる「モノマーに、90モル%以上がトランス型の1,4-シクロへキシレン基を有するジアミンまたはその誘導体を用いるもの」である。そして、1,4-シクロヘキシレン基を有するジアミンは、技術的にみて、脂環式ジアミンに包含される。したがって、引用発明1の「ポリイミド層」は、本件発明1のポリイミドを主成分とする層が、主鎖中に「脂環式ジアミン残基を有する」との要件を満たしている。
(オ)引用発明1の「ポリイミド」は、「イミド化率は90%以上」である。したがって、引用発明1「ポリイミド」は、本件発明1の「イミド化率が90%以上である」とする要件を満たしている。
(カ)以上より、本件発明1と引用発明1とは、
「基材表面に光の反射を抑えるための積層体が形成された光学用部材において、前記積層体の最外表面が多孔質あるいは凹凸構造による空隙を有する層であり、前記積層体の少なくとも一層がポリイミドを主成分とする層であり、前記ポリイミドを主成分とする層が、主鎖中に、3,3’,4,4’-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物、meso-ブタン-1,2,3,4-テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクタン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物、5-(2,5-ジオキソテトラヒドロフリル)-3-メチル-3-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物、または4-(2,5-ジオキソテトラヒドロフラン-3-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-1,2-ジカルボン酸無水物由来である酸二無水物残基、芳香族ジアミン残基、および脂環式ジアミン残基を有するポリイミド1を含有し、前記ポリイミド1のイミド化率が90%以上であることを特徴とする光学用部材。」である点で一致し、以下の点で相違する。
[相違点1]本件発明1は、主鎖中に、3,3’,4,4’-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物、meso-ブタン-1,2,3,4-テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクタン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物、5-(2,5-ジオキソテトラヒドロフリル)-3-メチル-3-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物、または4-(2,5-ジオキソテトラヒドロフラン-3-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-1,2-ジカルボン酸無水物由来である酸二無水物残基、および芳香族ジアミン残基を有し、かつ芳香族ジアミン残基の含有量がポリイミド1とは異なるポリイミド2を含有するのに対し、引用発明1は上記ポリイミド2を含有しない点。
イ 判断
上記[相違点1]について検討すると、引用文献1の記載事項(ウ)における段落【0043】の「ポリイミド中のR2が脂肪族基であるとポリイミドの屈折率を下げることができる」との記載や、段落【0074】の「芳香族基を有するジアミンを共重合したポリイミドの屈折率は1.5から1.7まで任意に変化させることができる。」との記載に基づけば、引用文献1には、ポリイミドを構成する単量体成分を調整することにより、ポリイミドの屈折率を調整することが示唆されているといえる。また、引用文献3の記載事項イにおける段落[0036]の「構成単位αと構成単位βのモル比を調整し、基材(I)に含まれる透明熱可塑性ポリイミドの屈折率を精密に制御することができる。当該調整は、構成単位αと構成単位βとの共重合比率を調整したり;あるいは構成単位αを主成分として含むポリイミドと、構成単位βを主成分として含むポリイミドとの混合比率を調整したりすることによって行う。」との記載に基づけば、ポリイミド含有物の屈折率の調整を複数のポリイミドを含有させることにより行うことも知られているといえる。しかしながら、引用文献3に記載された技術事項は、主成分となる構成単位が異なるポリイミドを混合することによって屈折率を調整するものであって、本件発明1に特定されるポリイミド1及びポリイミド2を含有するものではない。
そして、本件発明1は、本願明細書の段落【0008】における記載に基づけば、「反射防止性能の面内バラつきの小さい光学用部材」を提供しようとするものである。審判請求人は、審判請求書の請求の理由において「ポリイミド1に、芳香族ジアミン残基と脂環式ジアミン残基を両方含むようにしておくことにより、ポリイミド2に、芳香族ジアミン残基または脂環式ジアミン残基の一方しか含まれていなくても、どちらか一方はポリイミド1にもポリイミド2にも含まれるため、相溶性を向上させることができます。このような構成にすることにより、透明性が高く、膜内のいずれの部分であっても所望の屈折率を有する反射防止膜を提供することができる」と主張しており、段落【0022】における「一方、ポリイミド1の主鎖中に芳香族ジアミン残基と脂環式ジアミン残基を導入することはポリイミドの屈折率を調節するだけでなく、ポリイミド2との相溶性を向上する効果がある。それによりポリイミド1とポリイミド2との混合物の均一性は飛躍的に高まる。」という記載も参酌すれば、本件発明1のポリイミドを主成分とする層は、本件発明1に特定されるポリイミド1及びポリイミド2を含有することによって両者の混合物の均一性が飛躍的に高まり、それによって、反射防止性能の面内バラつきを小さくするという効果を奏するものといえる。
そうすると、引用文献1及び引用文献3の記載を参酌しても、引用発明1において、相違点1に係る本件発明1の構成を具備させることが、当業者にとって容易に想到し得るということはできない。
(2)引用発明2を主引用発明とした場合
引用発明2を主引用発明とした場合についても検討する。
本件発明1と引用発明2とを対比すると、両者は、少なくとも、前記(1)ア(カ)に記載した[相違点1]と同じ相違点を有するといえる。そして、引用文献2の記載を参酌しても、前記(1)イにおいて検討したとおり、引用発明2を、本件発明1の当該[相違点1]に係る構成とすることが当業者に容易になし得たということはできない。
また、引用発明2に代えて、引用文献2の発明の詳細な説明に記載された発明に基づいて対比・判断を行っても、同様のことがいえる。
(3)むすび
以上のとおりであるから、本件発明1は、当業者であっても、引用発明1又は引用発明2及び周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものということができない。
2 本件発明9
本件発明9は、光学用部材の製造方法に関する発明であるが、前記[相違点1]に係る本件発明1の構成を具備するポリイミド2を製造する工程を具備するものである。
そうすると、本件発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明1及び周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものということができない。また、引用発明2に基づいても同様である。
3 本件発明3
(1)引用発明1を主引用発明とした場合
ア 対比
本件発明3は、光学用部材に関する発明であって、本件発明1のポリイミド2の代わりに「主鎖中に、3,3’,4,4’-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物、meso-ブタン-1,2,3,4-テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクタン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物、5-(2,5-ジオキソテトラヒドロフリル)-3-メチル-3-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物、または4-(2,5-ジオキソテトラヒドロフラン-3-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-1,2-ジカルボン酸無水物由来である酸二無水物残基、および脂環式ジアミン残基を有し、かつ芳香族ジアミン残基を含まないポリイミド2」を含有するものであって、その余の構成は本件発明1と共通するものである。
そうすると、本件発明3と引用発明1とを対比すると、前記1(1)ア(カ)に記載した一致点と同じ一致点を有し、以下の点で相違するといえる。
[相違点2]本件発明3は、主鎖中に、3,3’,4,4’-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物、meso-ブタン-1,2,3,4-テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクタン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物、5-(2,5-ジオキソテトラヒドロフリル)-3-メチル-3-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物、または4-(2,5-ジオキソテトラヒドロフラン-3-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-1,2-ジカルボン酸無水物由来である酸二無水物残基、および脂環式ジアミン残基を有し、かつ芳香族ジアミン残基を含まないポリイミド2を含有するのに対し、引用発明3は上記ポリイミド2を含有しない点。
イ 判断
上記[相違点2]について検討すると、前記1(1)イにおいて検討したとおり、引用文献1には、ポリイミドを構成する単量体成分を調整することにより、ポリイミドの屈折率を調整することが示唆されているといえるものであり、また、引用文献3の記載事項イの記載に基づけば、ポリイミド含有物の屈折率の調整を複数のポリイミドを含有させることにより行うことも知られているといえる。しかしながら、引用文献3に記載された技術事項は、主成分となる構成単位が異なるポリイミドを混合することによって屈折率を調整するものであって、本件発明3に特定されるポリイミド1及びポリイミド2を含有するものではない。
そして、本件発明3は、段落【0008】における記載に基づけば、「反射防止性能の面内バラつきの小さい光学用部材」を提供しようとするものである。審判請求書の請求の理由における主張及び段落【0022】における「一方、ポリイミド1の主鎖中に芳香族ジアミン残基と脂環式ジアミン残基を導入することはポリイミドの屈折率を調節するだけでなく、ポリイミド2との相溶性を向上する効果がある。それによりポリイミド1とポリイミド2との混合物の均一性は飛躍的に高まる。」という記載に基づけば、本件発明3のポリイミドを主成分とする層も、本件発明1に特定されるポリイミド1及びポリイミド2を含有することによって両者の混合物の均一性が飛躍的に高まり、それによって、反射防止性能の面内バラつきを小さくするという効果を奏するものといえる。
そうすると、引用文献1及び引用文献3の記載を参酌しても、引用発明1において、相違点2に係る本件発明1の構成を具備させることが、当業者にとって容易に想到し得るということはできない。
(2)引用発明2を主引用発明とした場合
引用発明2を主引用発明とした場合についても検討する。
本件発明3と引用発明2とを対比すると、両者は、少なくとも、前記(1)アに記載した[相違点2]と同じ相違点を有するといえる。そして、引用文献2の記載を参酌しても、前記(1)イにおいて検討したとおり、引用発明2を、本件発明3の当該[相違点2]に係る構成とすることが当業者に容易になし得たということはできない。
また、引用発明2に代えて、引用文献2の発明の詳細な説明に記載された発明に基づいて対比・判断を行っても、同様のことがいえる。
(3)むすび
以上のとおりであるから、本件発明3は、当業者であっても、引用発明1又は引用発明2及び周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものということができない。
4 本件発明10
本件発明10は、光学用部材の製造方法に関する発明であるが、前記[相違点2]に係る本件発明3の構成を具備するポリイミド2を製造する工程を具備するものである。
そうすると、本件発明3と同様の理由により、当業者であっても、引用発明1及び周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものということができない。また、引用発明2に基づいても同様である。
5 本件発明2、4~8、11
本件発明2、4~8、11は、本件発明1のポリイミド2又は本件発明3のポリイミド2と同一又は対応する構成を備えるものであるから、本件発明1又は本件発明2と同じ理由により、当業者であっても、引用発明1又は引用発明2及び周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものということができない。
第5 原査定の概要及び原査定についての判断
原査定の拒絶の理由の概要は、平成28年9月21日付けの手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~9に係る発明は、引用発明1又は引用発明2及び周知技術に基づいて、その出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないというものである。
これに対し、本件補正により補正された請求項1~11に係る発明は、前記第4の1(1)ア(カ)に記載した[相違点1]に係る構成、又は、前記第4の3(1)アに記載した[相違点2]に係る構成を具備するのに対し、引用文献1~3には、ポリイミドを構成する単量体成分を調整又は、主成分となる構成単位が異なるポリイミドを混合することによって屈折率を調整することが開示されるものの、ポリイミド1とポリイミド2の相溶性を向上させ、それによって、面内バラつきを小さくすることについて、何ら開示していない。
したがって、本件補正により補正された請求項1~11に係る発明は、当業者であっても、引用発明1又は引用発明2及び周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえないものである。
第6 当審拒絶理由について
当審拒絶理由の概要は、本件出願は、本件補正前の特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないというものである。
しかしながら、本件補正による補正により、当審で通知した拒絶理由は解消した。
第7 むすび
以上のとおり、本件発明1~11は、当業者が引用発明1又は引用発明2及び周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものではない。
したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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2017-008434