特許拒絶査定不服審判
2017-007363
遊技機
- 審判番号
- 2017-007363
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2015-175444外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2017年05月23日
- 審決日
- 2017年12月18日
- 公報発行日
- 2018年04月27日
- 結論
- 請求不成立
- 分類
- P18 .121-Z (A63F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第5項第2号、特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2015-175444「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 1月14日出願公開、特開2016- 5664〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、平成22年7月27日に出願された特願2010-168676号の一部を平成25年9月3日に出願した特願2013-181905号の一部を平成27年9月7日に新たに特許出願したものであって、平成28年7月25日付けで拒絶理由通知がなされ、同年9月21日付けで意見書及び手続補正書が提出され、平成29年3月9日付け(発送日:平成29年3月14日付け)で拒絶査定がなされ、これに対し平成29年5月23日付けで拒絶査定不服審判の請求がされるとともに、手続補正書が提出されたものである。
第2 平成29年5月23日付け手続補正及びその適否について
上記手続補正により、本願の請求項は
補正前(平成28年9月21日付け手続補正)の
「【請求項1】
遊技者が遊技を行うことが可能な遊技機であって、
制御を行う際に発生する変動データを記憶する変動データ記憶手段と、
操作に応じて操作信号を出力する初期化操作手段と、
電力供給が開始されたときに、前記初期化操作手段からの前記操作信号が入力されたことにもとづいて、前記変動データ記憶手段の記憶内容を初期化する初期化処理を実行する初期化処理実行手段と、
付与条件が成立したことにもとづいて、遊技媒体の付与を実行する付与実行手段と、
前記付与条件が成立したときに、当該付与条件の成立により遊技媒体の付与予定数が所定数に達することを示す条件成立信号を外部に出力するとともに、付与済みの遊技媒体の数が特定数に達したことを示す付与済信号を外部に出力する信号外部出力手段と、
所定のエラーが発生しているか否かを判定するエラー判定手段と、
少なくとも、前記初期化処理実行手段によって前記初期化処理が実行されたこと、および前記エラー判定手段によって前記所定のエラーが発生していると判定されたことを含む所定の信号出力条件が成立したことにもとづいて、外部にセキュリティ信号を出力するセキュリティ信号外部出力手段とを備え、
前記セキュリティ信号外部出力手段は、前記初期化処理実行手段によって前記初期化処理が実行されたときと前記エラー判定手段によって前記所定のエラーが発生していると判定されたときとで、共通の出力端子から前記セキュリティ信号を外部に出力する
ことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
遊技媒体が入賞可能な入賞領域に対応して設けられ、遊技媒体を検出する第1検出手段および第2検出手段と、
前記第1検出手段にて検出された遊技媒体数と前記第2検出手段にて検出された遊技媒体数との差が所定の閾値を超えたときに、前記入賞領域への入賞異常が生じたと判定する異常判定手段とを備え、
前記所定の閾値を、前記第1検出手段と前記第2検出手段との間に複数の遊技媒体が滞留した状態となったときの前記第1検出手段における遊技媒体の検出数と前記第2検出手段における遊技媒体の検出数との差分よりも多い値とした
請求項1記載の遊技機。」
から
補正後(平成29年5月23日付け手続補正)の
「【請求項1】
遊技者が遊技を行うことが可能な遊技機であって、
制御を行う際に発生する変動データを記憶する変動データ記憶手段と、
操作に応じて操作信号を出力する初期化操作手段と、
電力供給が開始されたときに、前記初期化操作手段からの前記操作信号が入力されたことにもとづいて、前記変動データ記憶手段の記憶内容を初期化する初期化処理を実行する初期化処理実行手段と、
付与条件が成立したことにもとづいて、遊技媒体の付与を実行する付与実行手段と、
前記付与条件が成立したときに、当該付与条件の成立により遊技媒体の付与予定数が所定数に達することを示す条件成立信号を外部に出力するとともに、付与済みの遊技媒体の数が特定数に達したことを示す付与済信号を外部に出力する信号外部出力手段と、
所定のエラーが発生しているか否かを判定するエラー判定手段と、
少なくとも、前記初期化処理実行手段によって前記初期化処理が実行されたこと、および前記エラー判定手段によって前記所定のエラーが発生していると判定されたことを含む所定の信号出力条件が成立したことにもとづいて、外部にセキュリティ信号を出力するセキュリティ信号外部出力手段とを備え、
前記セキュリティ信号外部出力手段は、前記初期化処理実行手段によって前記初期化処理が実行されたときと前記エラー判定手段によって前記所定のエラーが発生していると判定されたときとで、共通の出力端子から前記セキュリティ信号を外部に出力する
ことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
遊技者が遊技を行うことが可能な遊技機であって、
制御を行う際に発生する変動データを記憶する変動データ記憶手段と、
操作に応じて操作信号を出力する初期化操作手段と、
遊技媒体が入賞可能な入賞領域に対応して設けられ、遊技媒体を検出する第1検出手段および第2検出手段と、
電力供給が開始されたときに、前記初期化操作手段からの前記操作信号が入力されたことにもとづいて、前記変動データ記憶手段の記憶内容を初期化する初期化処理を実行する初期化処理実行手段と、
付与条件が成立したことにもとづいて、遊技媒体の付与を実行する付与実行手段と、
前記付与条件が成立したときに、当該付与条件の成立により遊技媒体の付与予定数が所定数に達することを示す条件成立信号を外部に出力するとともに、付与済みの遊技媒体の数が特定数に達したことを示す付与済信号を外部に出力する信号外部出力手段と、
所定のエラーが発生しているか否かを判定するエラー判定手段と、
少なくとも、前記初期化処理実行手段によって前記初期化処理が実行されたこと、および前記エラー判定手段によって前記所定のエラーが発生していると判定されたことを含む所定の信号出力条件が成立したことにもとづいて、外部にセキュリティ信号を出力するセキュリティ信号外部出力手段と、
前記第1検出手段にて検出された遊技媒体数と前記第2検出手段にて検出された遊技媒体数との差が所定の閾値を超えたときに、前記入賞領域への入賞異常が生じたと判定する入賞異常判定手段とを備え、
前記セキュリティ信号外部出力手段は、前記初期化処理実行手段によって前記初期化処理が実行されたときと前記エラー判定手段によって前記所定のエラーが発生していると判定されたときとで、共通の出力端子から前記セキュリティ信号を外部に出力するとともに、前記初期化処理実行手段によって前記初期化処理が実行されたことにもとづいて前記セキュリティ信号を出力しているときに、前記エラー判定手段によって前記所定のエラーが発生していると判定された場合には、前記セキュリティ信号の出力期間を延長し、
前記所定の閾値を、前記第1検出手段と前記第2検出手段との間に複数の遊技媒体が滞留した状態となったときの前記第1検出手段における遊技媒体の検出数と前記第2検出手段における遊技媒体の検出数との差分よりも多い値とした
ことを特徴とする遊技機。」
と補正された(下線は補正箇所を示す)。
本件補正は、補正前の特許請求の範囲の請求項2を、補正前の特許請求の範囲の請求項1の記載を加入して独立形式の請求項に変更するとともに、「前記セキュリティ信号外部出力手段」について「前記初期化処理実行手段によって前記初期化処理が実行されたことにもとづいて前記セキュリティ信号を出力しているときに、前記エラー判定手段によって前記所定のエラーが発生していると判定された場合には、前記セキュリティ信号の出力期間を延長し、」という事項を付加することにより限定的に減縮するとともに、補正前の請求項2における「異常判定手段」を「入賞異常判定手段」という記載に補正することで、補正前及び補正後の請求項2に含まれる「エラー判定手段」とは異なるものであることを明確化するものであり、請求項1については補正を行っていない。
そして、補正後の請求項1-2に記載された発明は、補正前の請求項1-2に記載された発明と、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一である。
よって、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に規定する限定的減縮を目的とするものに該当し、本件補正は新規事項を追加するものではないことから、本件補正は適法な補正である。
第3 本願発明
本願は、平成29年5月23日付け手続補正書により補正されたものであって、その請求項1に係る発明(以下本願発明という)は、同日付手続補正書により補正された特許請求の範囲のうち、請求項1に記載される、以下のとおりのものである(ただし、記号A-Iは請求項の記載を分説するために当審において便宜上付した)。
「【請求項1】
A 遊技者が遊技を行うことが可能な遊技機であって、
B 制御を行う際に発生する変動データを記憶する変動データ記憶手段と、
C 操作に応じて操作信号を出力する初期化操作手段と、
D 電力供給が開始されたときに、前記初期化操作手段からの前記操作信号が入力されたことにもとづいて、前記変動データ記憶手段の記憶内容を初期化する初期化処理を実行する初期化処理実行手段と、
E 付与条件が成立したことにもとづいて、遊技媒体の付与を実行する付与実行手段と、
F 前記付与条件が成立したときに、当該付与条件の成立により遊技媒体の付与予定数が所定数に達することを示す条件成立信号を外部に出力するとともに、付与済みの遊技媒体の数が特定数に達したことを示す付与済信号を外部に出力する信号外部出力手段と、
G 所定のエラーが発生しているか否かを判定するエラー判定手段と、
H 少なくとも、前記初期化処理実行手段によって前記初期化処理が実行されたこと、および前記エラー判定手段によって前記所定のエラーが発生していると判定されたことを含む所定の信号出力条件が成立したことにもとづいて、外部にセキュリティ信号を出力するセキュリティ信号外部出力手段とを備え、
I 前記セキュリティ信号外部出力手段は、前記初期化処理実行手段によって前記初期化処理が実行されたときと前記エラー判定手段によって前記所定のエラーが発生していると判定されたときとで、共通の出力端子から前記セキュリティ信号を外部に出力する
ことを特徴とする遊技機。」
第4 刊行物及び刊行物記載の発明
(1) 刊行物1
原査定の拒絶の理由において提示された、本願の出願遡及日前に頒布された刊行物である特開2009-61003号公報(以下、「刊行物1」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている(下線は審決にて付した。以下、同じ。)。
(ア) 「【0001】
本発明は、遊技球を用いて所定の遊技を行うことが可能な遊技機に関する。
【0002】
遊技機として、遊技球などの遊技媒体を発射装置によって遊技領域に発射し、遊技領域に設けられている入賞口などの入賞領域に遊技媒体が入賞すると、所定個の賞球が遊技者に払い出されるものがある。」
(イ) 「【0008】
そこで、本発明は、異常入賞の発生および遊技機の状態異常の発生など複数の異常が発生したことを外部装置に出力できるとともに、外部装置に情報を出力するための機構の部品数の増加や配線作業の複雑化を防ぐことができる遊技機を提供することを目的とする。」
(ウ) 「【0009】
本発明による遊技機は、遊技球を用いて所定の遊技を行うことが可能な遊技機であって、遊技球が進入可能な開放状態と遊技球が進入不可能な閉鎖状態とに変化可能な可変入賞装置(例えば、特別可変入賞球装置20、可変入賞球装置15)と、所定の開放条件が成立(例えば、特別図柄の可変表示結果が大当りとなって大当り遊技状態に移行したこと、普通図柄の可変表示結果が当りとなったこと)したときに可変入賞装置を閉鎖状態から開放状態に変化させる可変入賞装置制御手段(例えば、遊技制御用マイクロコンピュータ560におけるステップS1476を実行する部分。遊技制御用マイクロコンピュータ560におけるステップS4171を実行して可変入賞球装置15を開放状態に制御する部分)と、可変入賞装置に進入した遊技球を検出して入賞検出信号を出力する入賞検出手段(例えば、カウントスイッチ23、第2始動口スイッチ14a)と、可変入賞装置制御手段によって可変入賞装置が開放状態に制御されていないときに、入賞検出手段が入賞検出信号を出力したことにもとづいて、異常入賞が発生したと判定する異常入賞判定手段(例えば、遊技制御用マイクロコンピュータ560におけるステップS255~S259,S263を実行する部分。ステップS267~S271,S275を実行する部分)と、遊技機において異常入賞と異なる所定の異常状態(例えば、磁気異常、振動異常、異常開放)が発生したか否かを判定する異常状態判定手段(例えば、遊技制御用マイクロコンピュータ560におけるステップS279,S282,S285,S286,S289を実行する部分)と、異常入賞判定手段によって異常入賞が発生したと判定されたことにもとづいて、異常入賞が発生したことを示す異常報知(例えば、異常入賞報知、始動異常入賞報知)を実行する異常報知手段(例えば、演出制御用マイクロコンピュータ100におけるステップS835A,S835C,S846,S847B,S1906~S1916,S1906A~S1916を実行する部分)と、異常入賞判定手段によって異常入賞が発生したと判定されたことまたは異常状態判定手段によって所定の異常状態が発生したと判定されたことにもとづいて、遊技機の外部に設けられている外部装置に所定の異常信号を出力するための外部出力手段(例えば、遊技制御用マイクロコンピュータ560におけるステップS264,S276,281,S284,S288,S291,S1069~S1074,S1102,S1103を実行する部分)とを備え、異常報知手段は、可変入賞装置制御手段によって可変入賞装置が開放状態に制御されていない所定期間(例えば、ステップS137で入賞累積数カウンタがクリアされて大当り遊技が開始されるまでの期間。ステップS4146で始動入賞累積数カウンタがクリアされて普通図柄の可変表示結果が当りとなるまでの期間。ステップS855A,855Bで異常入賞累積数カウンタおよび始動異常入賞累積数カウンタがクリアされて大当り遊技が開始されるまでの期間。演出制御用マイクロコンピュータ100が、普通図柄の変動表示結果が当りであることを特定可能な演出制御コマンドを受信したことにもとづいて、始動異常入賞累積数カウンタをクリアするまでの期間。)に、入賞検出手段が入賞検出信号を複数回数出力したことを条件に、異常報知を実行し(例えば、演出制御用マイクロコンピュータ100は、遊技制御用マイクロコンピュータ560によってステップS260で入賞累積数カウンタの値が第2所定値(5)以上であると判定されたことにより送信された異常入賞報知指定コマンド、またはステップS272で始動入賞累積数カウンタの値が第2所定値(5)以上であると判定されたことにより送信された始動異常入賞報知指定コマンドを受信したことにもとづいて、ステップS835A,S835C,S846,S847B,S1906~S1916,S1906A~S1916を実行する)、外部出力手段は、異常入賞判定手段によって異常入賞が発生したと判定されたときと異常状態判定手段によって所定の異常状態が発生したと判定されたときとで、遊技機に設けられた共通の出力端子に所定の異常信号を出力可能とした(例えば、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、情報端子盤34の共通のコネクタCN9を用いて異常信号をホールコンピュータに出力する)ことを特徴とする。」
(エ) 「【0044】
また、図1に示すように、可変入賞球装置15の下方には、特別可変入賞球装置20が設けられている。特別可変入賞球装置20は開閉板を備え、第1特別図柄表示器8aに特定表示結果(大当り図柄)が導出表示されたときと、第2特別図柄表示器8bに特定表示結果(大当り図柄)が導出表示されたときに生起する特定遊技状態(大当り遊技状態)においてソレノイド21によって開閉板が開放状態に制御されることによって、入賞領域となる大入賞口が開放状態になる。大入賞口に入賞した遊技球はカウントスイッチ23で検出される。」
(オ) 「【0062】
(1)通常状態または時短状態のときに確変図柄(突然確変図柄を除く)で大当りになり、その大当り遊技が終了すると、遊技状態が通常状態または時短状態から確変状態に移行される。これによって、特別図柄および普通図柄の停止図柄が当り図柄になる確率が高められ、特別図柄および普通図柄等の変動時間が短縮され、可変入賞球装置15における開放時間や開放回数も高められる。また、演出表示装置9の表示画面の背景(背景画像および背景色のいずれか一方または双方)が確変状態中であることを示す背景に変更される。」
(カ) 「【0076】
また、RAM55は、その一部または全部が電源基板において作成されるバックアップ電源によってバックアップされているバックアップRAMである。すなわち、遊技機に対する電力供給が停止しても、所定期間(バックアップ電源としてのコンデンサが放電してバックアップ電源が電力供給不能になるまで)は、RAM55の一部または全部の内容は保存される。特に、少なくとも、遊技状態すなわち遊技制御手段の制御状態に応じたデータ(特別図柄プロセスフラグや合算保留記憶数カウンタの値、時短回数カウンタの値、遊技状態を示すフラグなど)と未払出賞球数を示すデータは、バックアップRAMに保存される。遊技制御手段の制御状態に応じたデータとは、停電等が生じた後に復旧した場合に、そのデータにもとづいて、制御状態を停電等の発生前に復旧させるために必要なデータである。また、制御状態に応じたデータと未払出賞球数を示すデータとを遊技の進行状態を示すデータと定義する。なお、この実施の形態では、RAM55の全部が、電源バックアップされているとする。
・・・
【0078】
さらに、遊技制御用マイクロコンピュータ560の入力ポートには、電源基板からの電源電圧が所定値以下に低下したことを示す電源断信号が入力される。すなわち、電源基板には、遊技機において使用される所定電圧(例えば、DC30VやDC5Vなど)の電圧値を監視して、電圧値があらかじめ定められた所定値にまで低下すると(電源電圧の低下を検出すると)、その旨を示す電源断信号を出力する電源監視回路が搭載されている。また、遊技制御用マイクロコンピュータ560の入力ポートには、RAMの内容をクリアすることを指示するためのクリアスイッチが操作されたことを示すクリア信号が入力される。」
(キ) 「【0079】
また、ゲートスイッチ32a、第1始動口スイッチ13a、第2始動口スイッチ14a、カウントスイッチ23、大入賞口内の磁気異常を検出する磁気センサ90、遊技機の異常な振動状態を検出する振動センサ91、大入賞口の開放状態を検出する開放検出センサ92および入賞口スイッチ29a,30a,33a,39aからの検出信号を遊技制御用マイクロコンピュータ560に与える入力ドライバ回路58も主基板31に搭載されている。また、可変入賞球装置15を開閉するソレノイド16、および大入賞口を形成する特別可変入賞球装置20を開閉するソレノイド21を遊技制御用マイクロコンピュータ560からの指令に従って駆動する出力回路59も主基板31に搭載されている。さらに、ホールコンピュータ等の外部装置に接続された情報端子盤34を介して、大当り遊技状態の発生を示す大当り情報等の情報出力信号(図61に示す始動口1信号、図柄確定回数2信号、図柄確定回数1信号、大当り1信号、大当り2信号、時短信号、大当り3信号、大当り4信号、異常信号、賞球信号、ドア開放信号)を外部装置に出力する情報出力回路64も主基板31に搭載されている。なお、情報端子盤34は、遊技機の裏面に設置されており、主基板31のみと接続されている。」
(ク) 「【0086】
入賞口への遊技球の入賞があると、主基板31の出力回路67から、払出指令信号として、払い出すべき賞球個数を示す賞球個数信号(払出数データ)および賞球個数信号の取り込み(受信)を要求する賞球REQ信号(取込要求信号)が出力(送信)される。具体的には、オン状態になる。賞球個数信号は、4ビットのデータ(2進4桁のデータ)によって構成され、4本の信号線によって出力される。なお、信号のオン状態すなわち出力状態は、信号が有意である状態であり、オン状態になることは、信号を受ける側に対してその信号にもとづく何らかの処理を開始することを指令することを意味する。例えば、賞球個数を示す賞球個数信号および賞球REQ信号がオン状態になるということは、払出制御用マイクロコンピュータ370に対して、賞球個数信号が示す払出数を認識するように指令することを意味する。また、信号を出力することによってオン状態とし、信号出力を停止することによってオフ状態としてもよいが、オン状態にするときにはオン状態に応じた信号を出力し、オフ状態にするときにはオフ状態に応じた信号を出力することによって、オン状態とオフ状態とを切り替えてもよい。
【0087】
賞球REQ信号および賞球個数信号は、入力回路373Aを介してI/Oポート372eに入力される。払出制御用マイクロコンピュータ370は、I/Oポート372eを介して賞球個数信号を入力すると、賞球個数信号が示す個数の遊技球を払い出すために球払出装置97を駆動する制御を行う。なお、賞球REQ信号および賞球個数信号は、払出数を指定する払出指令信号に相当する。」
(ケ) 「【0115】
入力ポート2のビット0,1には、それぞれ、電源基板からの電源断信号およびクリアスイッチの検出信号(クリア信号)が入力される。電源断信号は、電源基板に搭載されている電源監視回路が所定電圧の低下を検出したときに出力する信号である。クリアスイッチは遊技店員等が操作可能なスイッチあり、RAM55を初期化したいときに操作されるスイッチである。入力ポート2のビット2には、払出制御基板37からの賞球BUSY信号が入力される。賞球BUSY信号は、賞球払出が行われているときに出力される信号である。なお、入力ポート0~2は、図3に示されたI/Oポート部57の一部である。また、信号がオン状態になっているときが、「信号が入力されている」状態に相当する。」
(コ) 「【0134】
遊技機に対して電源が投入され電力供給が開始されると、リセット信号が入力されるリセット端子の入力レベルがハイレベルになり、遊技制御用マイクロコンピュータ560(具体的には、CPU56)は、プログラムの内容が正当か否か確認するための処理であるセキュリティチェック処理を実行した後、ステップS1以降のメイン処理を開始する。メイン処理において、CPU56は、まず、必要な初期設定を行う。
・・・
【0136】
次いで、CPU56は、入力ポートを介して入力されるクリアスイッチ(例えば、電源基板に搭載されている。)の出力信号の状態を確認する(ステップS6)。その確認においてオンを検出した場合には、CPU56は、通常の初期化処理を実行する(ステップS10~S15。S44,S45を含む。)。
【0137】
クリアスイッチがオンの状態でない場合には、遊技機への電力供給が停止したときにバックアップRAM領域のデータ保護処理(例えばパリティデータの付加等の電力供給停止時処理)が行われたか否か確認する(ステップS7)。そのような保護処理が行われていないことを確認したら、CPU56は初期化処理を実行する。バックアップRAM領域にバックアップデータがあるか否かは、例えば、電力供給停止時処理においてバックアップRAM領域に設定されるバックアップフラグの状態によって確認される。
【0138】
電力供給停止時処理が行われたことを確認したら、CPU56は、バックアップRAM領域のデータチェックを行う(ステップS8)。この実施の形態では、データチェックとしてパリティチェックを行う。よって、ステップS8では、算出したチェックサムと、電力供給停止時処理で同一の処理によって算出され保存されているチェックサムとを比較する。不測の停電等の電力供給停止が生じた後に復旧した場合には、バックアップRAM領域のデータは保存されているはずであるから、チェック結果(比較結果)は正常(一致)になる。チェック結果が正常でないということは、バックアップRAM領域のデータが、電力供給停止時のデータとは異なっていることを意味する。そのような場合には、内部状態を電力供給停止時の状態に戻すことができないので、電力供給の停止からの復旧時でない電源投入時に実行される初期化処理を実行する。
・・・
【0142】
初期化処理では、CPU56は、まず、RAMクリア処理を行う(ステップS10)。なお、RAMクリア処理によって、所定のデータ(例えば大当り判定用乱数を生成するためのカウンタのカウント値のデータ)は0に初期化されるが、任意の値またはあらかじめ決められている値に初期化するようにしてもよい。また、RAM55の全領域を初期化せず、所定のデータ(例えば大当り種別決定用乱数を生成するためのカウンタのカウント値のデータ)をそのままにしてもよい。また、ROM54に格納されている初期化時設定テーブルの先頭アドレスをポインタに設定し(ステップS11)、初期化時設定テーブルの内容を順次作業領域に設定する(ステップS12)。」
(サ) 「【0425】
図61は、情報端子盤に出力される各種信号を示すブロック図である。図61に示すように、この実施の形態では、主基板31に搭載されている遊技制御用マイクロコンピュータ560から情報端子盤34に対して、始動口1信号、図柄確定回数2信号、図柄確定回数1信号、大当り1信号、大当り2信号、時短信号、大当り4信号、大当り3信号、異常信号、および賞球情報信号(賞球信号)が情報出力処理(ステップS30)によって出力される。また、この実施の形態では、主基板31に搭載されるバックアップ電源回路506を介して、遊技制御用マイクロコンピュータ560を経由せずに、情報端子盤34に対してドア開放信号が出力される。」
(シ) 「【0438】
図71は、賞球個数カウントスイッチの賞球払出検出と賞球信号との関係を示す説明図である。図71に示すように、賞球払出時に払出個数カウントスイッチ301が10個の遊技球の通過を検出する度に(具体的には、遊技制御用マイクロコンピュータ560に賞球カウント信号のパルスが10回入力される度に)賞球信号(賞球情報信号)が0.100秒間オン状態となる。なお、賞球信号が0.100秒間オン状態となった後は、少なくとも0.100秒間オフ状態となる。」
(ス) 「【0786】
また、上記に示した実施の形態において、主基板31側でリセット信号が入力され初期化処理が実行されてバックアップRAMがクリアされたときから所定期間にも、情報端子盤34を介して、初期化が行われたことを示す信号を外部出力するようにしてもよい。この場合、初期化処理が実行されたことにもとづいて、異常入賞や始動異常入賞、磁気異常、振動異常、異常開放が検出されたときに出力する異常信号と同じ信号を外部出力するようにしてもよいし、異常信号とは異なる信号を外部出力するようにしてもよい。そのように構成すれば、リセット信号を不正に入力して初期化処理を実行させて所定の乱数の初期値をねらう行為を防止することができ、外部に知らせることができる。」
(セ) 上記(コ)の段落【0134】の「遊技機に対して電源が投入され電力供給が開始されると、リセット信号が入力されるリセット端子の入力レベルがハイレベルになり、・・・CPU56・・・は、・・・メイン処理を開始」という記載、段落【0136】の「CPU56は、・・・クリアスイッチ・・・の出力信号の状態を確認」、「その確認においてオンを検出した場合には、・・・通常の初期化処理を実行」との記載、段落【0142】の「初期化処理では、・・・RAMクリア処理を行う」との記載、及び、図12に示されるメイン処理のフローより、刊行物1には、「遊技機に対して電源が投入され電力供給が開始されると、リセット信号が入力されるリセット端子の入力レベルがハイレベルになり、CPU56は、メイン処理を開始し、クリアスイッチの出力信号の状態を確認し、その確認においてオンを検出した場合には、通常の初期化処理を実行し、初期化処理では、RAMクリア処理を行う」ことが記載されているといえる。
よって、刊行物1には、「遊技機に対して電源が投入され電力供給が開始され、リセット信号が入力されるリセット端子の入力レベルがハイレベルになると、メイン処理を開始し、クリアスイッチの出力信号の状態を確認し、その確認においてオンを検出した場合には、通常の初期化処理を実行し、初期化処理では、RAMクリア処理を行いRAM55をクリアするCPU56」が記載されていると認められる。
(ソ) 上記(ク)の段落【0086】の「入賞口への遊技球の入賞があると、・・・賞球個数信号・・・が出力(送信)される」との記載、及び、段落【0087】の「払出制御用マイクロコンピュータ370は、・・・賞球個数信号を入力すると、賞球個数信号が示す個数の遊技球を払い出すために球払出装置97を駆動する制御を行う」との記載より、入賞口への遊技球の入賞があると、賞球個数信号が払出制御用マイクロコンピュータに入力されるといえるので、刊行物1には、「入賞口への遊技球の入賞があると、賞球個数信号が入力され、賞球個数信号が示す個数の遊技球を払い出すために球払出装置97を駆動する制御を行う払出制御用マイクロコンピュータ370」が記載されていると認められる。
(タ) 上記(キ)の段落【0079】の「賞球信号・・・を外部装置に出力する」との記載、上記(サ)の段落【0425】の「遊技制御用マイクロコンピュータ560から・・・賞球信号・・・が・・・出力される」との記載、及び、上記(シ)の段落【0438】の「賞球払出時に払出個数カウントスイッチ301が10個の遊技球の通過を検出する度に・・・賞球信号・・・が0.100秒間オン状態となる。」との記載より、刊行物1には、「賞球払出時に払出個数カウントスイッチ301が10個の遊技球の通過を検出する度に賞球信号を外部装置に出力する遊技制御用マイクロコンピュータ560」が記載されていると認められる。
(チ) 上記(ス)の段落【0786】には、「・・・主基板31側でリセット信号が入力され初期化処理が実行されてバックアップRAMがクリアされたときから所定期間にも、情報端子盤34を介して、初期化が行われたことを示す信号を外部出力するようにしてもよい。この場合、初期化処理が実行されたことにもとづいて、異常入賞や始動異常入賞、磁気異常、振動異常、異常開放が検出されたときに出力する異常信号と同じ信号を外部出力するようにしてもよいし・・・」と記載されている。ここで、初期化処理としては、上記(コ)の段落【0136】に記載のクリアスイッチのオンが検出された場合の「初期化処理」(以下、「初期化処理A」という。)、段落【0137】に記載のデータ保護処理が行われていない場合の「初期化処理」(以下、「初期化処理B」という。)、段落【0138】に記載の「電力供給の停止からの復旧時でない電源投入時に実行される初期化処理」(以下、「初期化処理C」という。)の3種類の初期化処理が記載されており、上記(ス)の段落【0786】に記載された「初期化処理」が、「初期化処理A」、「初期化処理B」又は「初期化処理C」のいずれか一つを指すのか、若しくは、これらの複数の初期化処理を総じて「初期化処理」と記載しているのか明らかではないが、いずれと解しても、当該初期化処理がバックアップRAMをクリアするものであることは明らかである。
したがって、刊行物1には、「主基板31側でリセット信号が入力され初期化処理が実行されてバックアップRAMがクリアされたときから所定期間にも、情報端子盤34を介して、異常信号と同じ信号を外部出力する」ことが記載されていると認められる。
(ツ) 上記(ウ)の【0009】の「異常入賞判定手段によって異常入賞が発生したと判定されたことまたは前記異常状態判定手段によって所定の異常状態が発生したと判定されたことにもとづいて、遊技機の外部に設けられている外部装置に所定の異常信号を出力するための外部出力手段」との記載より、異常信号を外部出力するのは「外部出力手段」であるので、上記(ス)の段落【0786】の「主基板31側でリセット信号が入力され初期化処理が実行されてバックアップRAMがクリアされたときから所定期間にも、情報端子盤34を介して、初期化が行われたことを示す信号を外部出力するようにしてもよい。この場合、初期化処理が実行されたことにもとづいて、異常入賞や始動異常入賞、磁気異常、振動異常、異常開放が検出されたときに出力する異常信号と同じ信号を外部出力するようにしてもよい」との記載において、「異常信号と同じ信号」を外部出力するのは、「外部出力手段」であるといえる。
(テ) 上記(ア)~(ス)の記載事項及び上記(セ)~(ツ)の認定事項から、刊行物1には以下の発明(以下、「刊行物1記載の発明」という。)が記載されていると認められる。ただし、記号a~iは本願発明のA~Iに対応させて付した。
「a 遊技球を遊技領域に発射し、遊技領域に設けられている入賞領域に入賞すると、所定個の賞球が遊技者に払い出させる、遊技球を用いて遊技を行うことが可能な遊技機であって、(【0001】、【0002】)
b 少なくとも、遊技状態すなわち遊技制御手段の制御状態に応じたデータと未払出賞球数を示すデータを保存するRAM55(【0076】)と、
c RAM55を初期化したいときに遊技店員等が操作可能なクリアスイッチであり、操作されたことを示すクリア信号が遊技制御用マイクロコンピュータ560の入力ポートに入力されるクリアスイッチ(【0115】、【0078】)と、
d 遊技機に対して電源が投入され電力供給が開始され、リセット信号が入力されるリセット端子の入力レベルがハイレベルになると、メイン処理を開始し、クリアスイッチの出力信号の状態を確認し、その確認においてオンを検出した場合には、通常の初期化処理を実行し、初期化処理では、RAMクリア処理を行いRAM55をクリアするCPU56(認定事項(セ))と、
e 入賞口への遊技球の入賞があると、賞球個数信号が入力され、賞球個数信号が示す個数の遊技球を払い出すために球払出装置97を駆動する制御を行う払出制御用マイクロコンピュータ370と、(認定事項(ソ))
f 賞球払出時に払出個数カウントスイッチ301が10個の遊技球の通過を検出する度に賞球信号を外部装置に出力する遊技制御用マイクロコンピュータ560(認定事項(タ))と、
g 前記可変入賞装置制御手段によって前記可変入賞装置が開放状態に制御されていないときに、前記入賞検出手段が前記入賞検出信号を出力したことにもとづいて、異常入賞が発生したと判定する異常入賞判定手段と、当該遊技機において前記異常入賞と異なる所定の異常状態が発生したか否かを判定する異常状態判定手段(【0009】)と、
h 主基板31側でリセット信号が入力され初期化処理が実行されてバックアップRAMがクリアされたときから所定期間に、情報端子盤34を介して、異常信号と同じ信号を外部出力し(認定事項(チ),(ツ))、
前記異常入賞判定手段によって異常入賞が発生したと判定されたことまたは前記異常状態判定手段によって所定の異常状態が発生したと判定されたことにもとづいて、当該遊技機の外部に設けられている外部装置に所定の異常信号を出力するための外部出力手段(【0009】)とを備え、
i 外部出力手段は、異常入賞判定手段によって異常入賞が発生したと判定されたときと異常状態判定手段によって所定の異常状態が発生したと判定されたときとで、共通のコネクタCN9を用いて異常信号をホールコンピュータに出力する(【0009】)
遊技機。」
(2) 刊行物2
原査定の拒絶の理由において提示された、本願の出願遡及日前に頒布された刊行物である特開2008-264280号公報(以下、「刊行物2」という。)には、次の事項が記載されている。
ア 「【請求項1】
遊技媒体の払出しを行う払出手段を備えた遊技機であって、
前記払出手段から払出されるべき遊技媒体の払出予定個数情報を把握する予定個数把握手段と、 前記払出手段から払出された遊技媒体の払出完了個数情報を把握する完了個数把握手段とを備えていることを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記払出予定個数情報に基づく信号を外部出力する予定個数情報出力手段と、
前記払出完了個数情報に基づく信号を外部出力する完了個数情報出力手段とを備えていることを特徴とする請求項1に記載の遊技機。」
上記アの記載より、刊行物2には、以下の技術事項が記載されているといえる。
「遊技媒体の払出しを行う払出手段から払出されるべき遊技媒体の払出予定個数情報に基づく信号を外部出力する予定個数情報出力手段と、前記払出手段から払出された遊技媒体の払出完了個数情報に基づく信号を外部出力する完了個数情報出力手段とを備えている遊技機」
(3) 刊行物3
原査定の拒絶の理由において提示された、本願の出願遡及日前に頒布された刊行物である特開2007-244532号公報(以下、「刊行物3」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている。
(ア) 「【0003】
近年、遊技機の仕様が多様化しており、収集する遊技機情報の数も増加している。収集する遊技機情報の数が増加すると、遊技機から台ユニットに出力する遊技機情報の数も増加する。
前記した従来の遊技機情報収集装置では、遊技機から台ユニットに出力する遊技機情報の数に対応する数の遊技機情報出力端子を遊技機に、遊技機情報入力端子を台ユニットに設けている。このため、収集する遊技機情報の数の増加にともなって、遊技機の遊技機情報出力端子と台ユニットの遊技機情報入力端子を接続する接続線の数が増加し、コストが増加するとともに、接続線を配線するための作業負担が増加する。
本発明は、このような点に鑑みて創案されたものであり、収集する遊技機情報の数の増加に伴うコストの増加や接続線を配線するための作業負担の増加を抑制することができる遊技機情報収集装置を提供することを目的とする。」
(イ) 「【0027】
従来の遊技機情報収集装置では、遊技機10及び台ユニット20に、遊技機10から大ユニット20に出力する遊技機情報の数に等しい数の遊技機情報出力端子及び遊技機情報入力端子を設けている。このため、遊技機10から台ユニット20に出力する遊技機情報の数が増加すると、遊技機10の遊技機情報出力端子及び台ユニット20の遊技機情報入力端子の数も増加し、コストが増加するとともに、接続線の配線作業負担が増加する。
本実施の形態では、遊技機10から台ユニット20に出力する遊技機情報の数の増加に伴う遊技機の遊技機情報出力端子及び台ユニット(遊技機端末装置)の数の増加を抑制し、コストの増加及び接続線の配線作業負担の増加を抑制することができるように構成されている。
すなわち、遊技機10の遊技機情報出力手段を、遊技機10の複数の遊技機情報出力端子10a~10mのうちの少なくとも一つの遊技機情報出力端子に、少なくとも第1の遊技機情報と第2の遊技機情報(複数の情報)を出力可能に構成している。また、台ユニット(遊技機端末装置)20の遊技機情報検出手段を、遊技機の少なくとも一つの遊技機情報出力端子に接続線を介して接続されている少なくとも一つの遊技機情報入力端子に第1の遊技機情報あるいは第2の遊技機情報(複数の遊技機情報のいずれか)が入力されたことを検出可能に構成している。」
(ウ) 「【0046】
本発明は、実施の形態で説明した構成に限定されず、種々の変更、追加、削除が可能である。
例えば、実施の形態では、普通図柄始動玉数情報、特別図柄始動玉数情報、普通図柄表示回数情報、特別図柄表示回数情報、変動パターン情報を共通の遊技機情報出力端子から出力する遊技機情報として選択した場合について説明したが、遊技機情報は、ガラス枠、機枠等の開放信号、磁石センサー、振動センサー等の出力でもよい。また、共通の遊技機情報出力端子から出力する遊技機情報としては、これ以外の種々の遊技機情報を選択することができる。共通の遊技機情報出力端子から出力する複数の遊技機情報としては、出力頻度が少ない遊技機情報を選択するのが好ましい。共通の遊技機情報出力端子から出力する複数の遊技機情報を異なるパルス幅のパルス信号あるいは異なる数のパルス信号で構成する場合、各遊技機情報に対するパルス幅あるいはパルス信号の数は適宜設定することができる。
共通の遊技機情報出力端子から出力する遊技機情報は2つに限定されず、3以上であってもよい。
共通の遊技機情報出力端子から出力する複数の遊技機情報の形式としては、実施の形態で説明した形式以外の種々の形式を用いることができる。
遊技機、遊技機端末装置(台ユニット)、島ユニット、収集装置(収集管理装置)により遊技機情報収集装置を構成した場合について説明したが、遊技機端末装置により、あるいは遊技機端末装置と収集装置により遊技機情報収集装置を構成することもできる。遊技機に接続された遊技機端末装置により遊技機情報収集装置を構成する場合。遊技機端末装置に遊技機情報データベースを設け、収集した遊技機情報を遊技機情報データベースに記憶するように構成してもよい。
また、遊技機端末装置は、収集した遊技機情報に基づいて、遊技機に設けられている呼出ランプの点灯制御等を実行するように構成することもできる。例えば、遊技機情報に基づいて特別図画当たり遊技が実行されることを判別、あるいは、異常を判別することにより、呼出ランプの点灯制御、点滅制御、点灯色の制御等を実行するように構成することができる。
パチンコ機の遊技機情報を管理する遊技機情報管理装置について説明したが、本発明は、パチンコ機以外の種々の遊技機の遊技機情報管理装置として構成することできる。」
上記(ア)~(ウ)の記載より、刊行物3には、以下の技術事項が記載されているといえる。
「複数の遊技機情報出力端子10a~10mのうちの少なくとも一つの遊技機情報出力端子に、少なくとも第1の遊技機情報と第2の遊技機情報(複数の情報)を出力可能に構成し、共通の遊技機情報出力端子から出力する複数の遊技機情報としては、出力頻度が少ない遊技機情報を選択する遊技機10。」
第5 対比・判断
1. 対比
本願発明と刊行物1記載の発明とを分説に従い対比する(対比にあたっては、本願発明の構成A~Iと刊行物1記載の発明の構成a~iについて、それぞれ(a)~(i)の見出を付けて行った。)。
(a) 刊行物1記載の発明の「遊技球を遊技領域に発射し、遊技領域に設けられている入賞領域に入賞すると、所定個の賞球が遊技者に払い出させる、遊技球を用いて遊技を行うことが可能な遊技機」は、入賞によって遊技者に払出が行われる遊技機であることから、遊技者が遊技を行うことで払出が行われるものということができ、本願発明の「遊技者が遊技を行うことが可能な遊技機」に相当する。
(b) 刊行物1記載の発明の「遊技状態すなわち遊技制御手段の制御状態に応じたデータと未払出賞球数を示すデータ」は、本願発明の「制御を行う際に発生する変動データ」に相当する。
したがって、刊行物1記載の発明の「少なくとも、遊技状態すなわち遊技制御手段の制御状態に応じたデータと未払出賞球数を示すデータを保存するRAM55」は、本願発明の「制御を行う際に発生する変動データを記憶する変動データ記憶手段」に相当する。
(c) 刊行物1記載の発明の「クリアスイッチ」は、「RAM55を初期化したいときに遊技店員等が操作」するものであるから、本願発明の「初期化操作手段」に相当し、刊行物1記載の発明において、クリアスイッチが操作されると遊技制御用マイクロコンピュータ560の入力ポートに入力される「クリア信号」は、クリアスイッチの操作に応じて出力されることは明らかであるから、本願発明の操作に応じて出力される「操作信号」に相当する。
したがって、刊行物1記載の発明の「RAM55を初期化したいときに遊技店員等が操作可能なクリアスイッチであり、操作されたことを示すクリア信号が遊技制御用マイクロコンピュータ560の入力ポートに入力されるクリアスイッチ」は、本願発明の「操作に応じて操作信号を出力する初期化操作手段」に相当する。
(d) 上記(b)、(c)に記載したとおり、刊行物1記載の発明の「クリアスイッチ」、「クリア信号」、「RAM55」は、本願発明の「初期化操作手段」、「操作信号」、「変動データ記憶手段」にそれぞれ相当するので、刊行物1記載の発明の「「クリアスイッチの出力信号」の・・・オンを検出」することは、本願発明の「「初期化操作手段からの操作信号」が入力されたこと」に相当し、また、刊行物1記載の発明の「RAM55をクリアする」ことは、本願発明の「変動データ記憶手段の記憶内容を初期化する」ことに相当する。
さらに、刊行物1記載の発明の「CPU56」は、初期化処理を実行し、RAM55をクリアするのであるから、本願発明の「初期化処理実行手段」の機能を有することは明らかである。
したがって、刊行物1記載の発明の「遊技機に対して電源が投入され電力供給が開始され、リセット信号が入力されるリセット端子の入力レベルがハイレベルになると、メイン処理を開始し、クリアスイッチの出力信号の状態を確認し、その確認においてオンを検出した場合には、通常の初期化処理を実行し、初期化処理では、RAMクリア処理を行いRAM55をクリアするCPU56」は、本願発明の「電力供給が開始されたときに、前記初期化操作手段からの前記操作信号が入力されたことにもとづいて、前記変動データ記憶手段の記憶内容を初期化する初期化処理を実行する初期化処理実行手段」に相当する。
(e) 刊行物1記載の発明において、「入賞口への遊技球の入賞があると」、「遊技球を払い出すため」の制御が行われることから、本願発明の「付与条件が成立したことにもとづいて、遊技媒体の付与を実行する」に相当する。
したがって、刊行物1記載の発明の「入賞口への遊技球の入賞があると、賞球個数信号が入力され、賞球個数信号が示す個数の遊技球を払い出すために球払出装置97を駆動する制御を行う払出制御用マイクロコンピュータ370」は、本願発明の「付与条件が成立したことにもとづいて、遊技媒体の付与を実行する付与実行手段」に相当する。
(f) 刊行物1記載の発明の「賞球信号」は、遊技球が10個払い出される度に外部装置に出力されるので、本願発明の付与済みの遊技媒体の数が特定数に達したことを示す「付与済信号」に相当する。
したがって、刊行物1記載の発明の「賞球払出時に払出個数カウントスイッチ301が10個の遊技球の通過を検出する度に賞球信号を外部装置に出力する遊技制御用マイクロコンピュータ560」と、本願発明の「前記付与条件が成立したときに、当該付与条件の成立により遊技媒体の付与予定数が所定数に達することを示す付与済信号を外部に出力するとともに、付与済みの遊技媒体の数が特定数に達することを示す付与済信号を外部に出力する信号外部出力手段」とは、「付与済みの遊技媒体の数が特定数に達したことを示す付与済信号を外部に出力する信号外部出力手段」という点で一致している。
(g) 刊行物1記載の発明の「「異常入賞」及び「異常入賞と異なる所定の異常状態」」は、本願発明の「所定のエラー」に相当する。
したがって、刊行物1記載の発明の「前記可変入賞装置制御手段によって前記可変入賞装置が開放状態に制御されていないときに、前記入賞検出手段が前記入賞検出信号を出力したことにもとづいて、異常入賞が発生したと判定する異常入賞判定手段」及び「当該遊技機において前記異常入賞と異なる所定の異常状態が発生したか否かを判定する異常状態判定手段」は、本願発明の「所定のエラーが発生しているか否かを判定するエラー判定手段」に相当する。
(h) 刊行物1記載の発明の「「異常入賞判定手段」及び「異常状態判定手段」」、「「異常入賞」及び「所定の異常状態」」は、本願発明の「エラー判定手段」、「所定のエラー」にそれぞれ相当するので、刊行物1記載の発明の「前記異常入賞判定手段によって異常入賞が発生したと判定されたことまたは前記異常状態判定手段によって所定の異常状態が発生したと判定されたこと」にもとづいて出力される「異常信号」は、本願発明の「エラー判定手段によって所定のエラーが発生していると判定されたことを含む信号出力条件が成立したこと」にもとづいて出力される「セキュリティ信号」に相当する。
そうすると、刊行物1記載の発明の「初期化処理」の実行にもとづいて出力される「異常信号と同じ信号」は、「異常信号」のことであるから、本願発明の「セキュリティ信号」に対応しているといえる。
ただし、上記「第4 刊行物及び刊行物記載の発明」の(1)(ツ)に記載したとおり、刊行物1記載の発明の構成hにおける「初期化処理」は、クリアスイッチのオンが検出された場合の「初期化処理」である「初期化処理A」、すなわち、本願発明の「前記初期化処理実行手段」により、「前記初期化操作手段からの前記操作信号が入力されたことにもとづいて」実行されるものであるか否かは不明である。
したがって、刊行物1記載の発明の「主基板31側でリセット信号が入力され、初期化処理が実行されてバックアップRAMがクリアされたときから所定期間に、情報端子盤34を介して、異常信号と同じ信号を外部出力し、前記異常入賞判定手段によって異常入賞が発生したと判定されたことまたは前記異常状態判定手段によって所定の異常状態が発生したと判定されたことにもとづいて、当該遊技機の外部に設けられている外部装置に所定の異常信号を出力するための外部出力手段」と、
本願発明の「少なくとも、前記初期化処理実行手段によって前記初期化処理が実行されたこと、および前記エラー判定手段によって前記所定のエラーが発生していると判定されたことを含む所定の信号出力条件が成立したことにもとづいて、外部にセキュリティ信号を出力するセキュリティ信号外部出力手段」とは、
「少なくとも、初期化処理が実行されたこと、および前記エラー判定手段によって前記所定のエラーが発生していると判定されたことを含む所定の信号出力条件が成立したことにもとづいて、外部にセキュリティ信号を出力するセキュリティ信号外部出力手段」という点で一致している。
(i) 刊行物1記載の発明の「外部出力手段」、「「異常入賞判定手段」及び「異常状態判定手段」」、「「異常入賞」及び「所定の異常状態」」、「異常信号」は、本願発明の「セキュリティ信号出力手段」、「エラー判定手段」、「所定のエラー」、「セキュリティ信号」にそれぞれ相当する。
また、刊行物1記載の発明の「共通のコネクタCN9」と本願発明の「共通の出力端子」は、所定のエラーが発生したと判定されたことに基づいて外部に出力されるセキュリティ信号を出力する端子である点で共通する。
したがって、刊行物1記載の発明の「外部出力手段は、異常入賞判定手段によって異常入賞が発生したと判定されたときと異常状態判定手段によって所定の異常状態が発生したと判定されたときとで、共通のコネクタCN9を用いて異常信号をホールコンピュータに出力する」ことは、
本願発明の「前記セキュリティ信号外部出力手段は、前記初期化処理実行手段によって前記初期化処理が実行されたときと前記エラー判定手段によって前記所定のエラーが発生していると判定されたときとで、前記遊技機に設けられた共通の出力端子から前記セキュリティ信号を外部に出力する」ことと、
「前記セキュリティ信号外部出力手段は、前記エラー判定手段によって前記所定のエラーが発生していると判定されたとき、前記遊技機に設けられた出力端子から前記セキュリティ信号を前記遊技機の外部に出力」する点で一致している。
上記(a)~(i)より、本願発明と刊行物1記載の発明は次の点で一致している。
「A 遊技者が遊技を行うことが可能な遊技機であって、
B 制御を行う際に発生する変動データを記憶する変動データ記憶手段と、
C 操作に応じて操作信号を出力する初期化操作手段と、
D 電力供給が開始されたときに、前記初期化操作手段からの前記操作信号が入力されたことにもとづいて、前記変動データ記憶手段の記憶内容を初期化する初期化処理を実行する初期化処理実行手段と、
E 付与条件が成立したことにもとづいて、遊技媒体の付与を実行する付与実行手段と、
F’ 付与済みの遊技媒体の数が特定数に達したことを示す付与済信号を外部に出力する信号外部出力手段と、
G 所定のエラーが発生しているか否かを判定するエラー判定手段と、
H’ 少なくとも、初期化処理が実行されたこと、および前記エラー判定手段によって前記所定のエラーが発生していると判定されたことを含む所定の信号出力条件が成立したことにもとづいて、外部にセキュリティ信号を出力するセキュリティ信号外部出力手段とを備え、
I’ 前記セキュリティ信号外部出力手段は、前記エラー判定手段によって前記所定のエラーが発生していると判定されたとき、前記遊技機に設けられた出力端子から前記セキュリティ信号を前記遊技機の外部に出力する
遊技機。」
一方、本願発明と刊行物1記載の発明は、F’、H’、I’に関する次の点で相違している。
(相違点1)
信号外部出力手段に関して、本願発明は、付与条件が成立したときに、当該付与条件の成立により遊技媒体の付与予定数が所定数に達することを示す条件成立信号を外部に出力するのに対し、刊行物1記載の発明は、当該構成について特定されていない点。
(相違点2)
初期化処理が実行されたことにもとづいて、外部にセキュリティ信号を出力するセキュリティ信号外部出力手段に関して、当該初期化処理が、本願発明では、「電力供給が開始されたときに、前記初期化操作手段からの前記操作信号が入力されたこと」にもとづくものであるのに対し、刊行物1記載の発明は、初期化操作手段の操作にもとづくものであるか否か不明である点。
(相違点3)
本願発明は、前記初期化操作手段によって前記初期化処理が実行されたときと前記エラー判定手段によって前記所定のエラーが発生していると判定されたときとで、前記遊技機に設けられた「共通の出力端子」からセキュリティ信号を外部に出力するのに対し、刊行物1記載の発明は、初期化処理が実行されたときに出力されるセキュリティ信号を、前記エラー判定手段によってエラーが発生していると判定されたときと「共通の出力端子」から出力するか否か不明である点。
2. 相違点に対する判断
(1) 上記相違点1について検討する。
刊行物2には、「払出予定個数情報に基づく信号を外部出力する予定個数情報出力手段と、払出完了個数情報に基づく信号を外部出力する完了個数情報出力手段とを備えている遊技機」という技術事項が記載されている。
そして、刊行物1記載の発明と刊行物2記載の事項は、ともに遊技球が払い出されたときに外部に払い出されたことを示す信号を出力するものであり、刊行物2は、遊技球が払い出されたときに外部に払い出されたことを示す信号である払出完了個数情報に基づく信号に加えて、所定数の遊技球が払出予定であることを示す信号である払出予定個数情報に基づく信号を外部に出力するものであるから、刊行物1に刊行物2に記載の上記技術事項を適用して、「入賞口への遊技球の入賞があると、入賞により所定数の遊技媒体が払出予定であることを示す信号を外部に出力する」ようにして、上記相違点1に係る本願発明の構成とすることは、当業者であれば容易に想到し得たことである。
(2) 相違点2、3は関連しているので、まとめて検討する。
(2-1) 刊行物1の段落【0786】には、「初期化処理が実行されたことにもとづいて、異常入賞や始動異常入賞、磁気異常、振動異常、異常開放が検出されたときに出力する異常信号と同じ信号を外部出力するようにしてもよい」と記載されている。
ここで、異常入賞や始動異常入賞、磁気異常、振動異常、異常開放はいずれも遊技機に対する不正の可能性がある事象であるから、異常信号は、その種類を問わず、不正が行われた可能性があることを示す信号であるといえる。
また、刊行物1の段落【0786】に記載されている「リセット信号を不正に入力して初期化処理を実行させ」ることも不正の一種であることは明らかであり、特に他の種類の不正と区別する必要性もない。
したがって、刊行物1記載の発明は、不正が行われた可能性がある、バックアップRAMをクリアする初期化処理が実行されたことに基づいて出力する信号は、同じく不正が行われた可能性がある、異常入賞が発生したと判定されたことに基づいて出力する異常信号と同じ信号であるといえる。
(2-2) ここで、刊行物1記載の発明における「バックアップRAMをクリアする初期化処理」は、主基板におけるCPUが実行するメイン処理を示すフローチャートである【図12】に示され、また、上記「第3 刊行物及び刊行物記載の発明」の記載のうち、「(1) 刊行物1」における(チ)で示したとおり、「クリアスイッチのオンが検出された場合」に実行される「初期化処理A」(本願発明の「前記初期化操作手段からの前記操作信号が入力されたこと」にもとづく「初期化処理」に相当)のみならず、「初期化処理B」すなわちデータ保護処理が行われていない場合の「初期化処理」、及び「初期化処理C」すなわち電力供給の停止からの復旧時でない電源投入時に実行される「初期化処理」においても実行される共通の処理である。
そうすると、クリアスイッチのオンが検出された場合に実行される初期化処理Aを含む初期化処理A~Cにおいては共通の処理としてバックアップRAMがクリアされるのであるから、バックアップRAMをクリアする初期化処理が実行されたことにもとづく異常信号と同じ信号(本願発明の「セキュリティ信号」に相当)を、クリアスイッチのオンが検出された場合に実行される初期化処理Aを含む初期化処理A~Cのいずれが実行されたときに出力するようにすることで、初期化処理Aを行う場合、初期化操作手段の操作による初期化処理に基づいてセキュリティ信号を外部に出力するようにして、上記相違点2に係る本願発明の構成とすることは、当業者であれば適宜なし得た単なる設計的事項である。
(2-3) また、刊行物1記載の発明は、「異常入賞の発生および遊技機の状態異常の発生など複数の異常が発生したことを外部装置に出力できるとともに、外部装置に情報を出力するための機構の部品数の増加や配線作業の複雑化を防ぐ」という課題(上記「第3 刊行物及び刊行物記載の発明」の記載のうち「(1) 刊行物1」における(イ)の記載、すなわち刊行物1の【0008】の記載を参照)を解決するものである。
ここで、刊行物3には、「複数の遊技機情報出力端子10a~10mのうちの少なくとも一つの遊技機情報出力端子に、少なくとも第1の遊技機情報と第2の遊技機情報(複数の情報)を出力可能に構成し、共通の遊技機情報出力端子から出力する複数の遊技機情報としては、出力頻度が少ない遊技機情報を選択する遊技機10。」という技術事項が記載されており、これにより、「収集する遊技機情報の数の増加に伴うコストの増加や接続線を配線するための作業負担の増加を抑制する」(上記「第3 刊行物及び刊行物記載の発明」の記載のうち「(3) 刊行物3」における(ア)の記載、すなわち刊行物3の【0003】の記載を参照)という課題を解決するものである。
そして、刊行物1記載の発明の「部品数の増加や配線作業の複雑化を防ぐ」という課題を考慮し、また、同様の課題を解決するために、遊技機の共通の遊技機情報出力端子から出力頻度が少ない複数の情報を出力可能とするという刊行物3に記載の技術事項を参照すれば、刊行物1記載の発明において、「初期化処理A」が実行された場合に出力される異常信号と同じ信号も、異常が発生していると判定されたときに信号を出力するコネクタCN9から出力することで、エラーが発生していると判定されたときと「共通の端子」から出力する構成とし、上記相違点3に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。
(2-4) 加えて、本願の出願遡及日である平成22年7月27日より前の周知の事項を考慮した場合の上記相違点2、3に係る構成について以下に検討する。
遊技機の技術分野において、電力供給が開始されたときに、初期化操作手段の操作により、記憶手段の記憶内容が初期化されたことにもとづいて、異常(エラー)が発生したときと同じ信号をホールコンピュータに出力すること、すなわち、所定のスイッチを操作して遊技機を初期化したときに、異常(エラー)が発生したときと同じ信号を、1本の信号線を用いて外部に出力することは、本願の遡及日前における周知技術である(以下、「周知の技術事項」という。例えば、特開2007-143883号公報の段落【0029】、【0036】、【0043】~【0046】、【0063】~【0068】には、RAMクリアスイッチを操作しながら電源を投入し、RAMクリアをしたことを「報知レベル0」とし、下皿満タン、各種コネクタの抜けや断線、扉開放等の異常を「報知レベル1」とし、遊技機に対する加振を「報知レベル2」とし、異物挿入等による不正行為を「報知レベル3」とし、「報知レベル0」と「報知レベル1」を合わせて報知レベル1の異常情報として、主制御基板300からホールコンピュータ10に出力すること、及び、報知レベル0~3の異常情報を1本の通信線によりホールコンピュータに出力することが記載されている)。
(2-5) そして、刊行物1記載の発明において、上記周知の技術事項を参照すれば、電力供給が開始され、初期化操作手段の操作により記憶手段の記憶内容が初期化されたときについても、バックアップRAMをクリアする初期化処理が実行されたときと同様に、異常入賞が発生したと判定されたことにもとづいて出力される「異常信号」(本願発明の「セキュリティ信号」に相当)を外部に出力することは、当業者の通常の創作範囲内のことであるから、初期化操作手段の操作により初期化されたときにも「異常信号」を外部に出力して、上記相違点2に係る本願発明の構成とすることは、当業者が適宜なし得たものであることは明らかである。
さらに、この場合においても、「異常入賞の発生および遊技機の状態異常の発生など複数の異常が発生したことを外部装置に出力できるとともに、外部装置に情報を出力するための機構の部品数の増加や配線作業の複雑化を防ぐ」という刊行物1記載の発明の課題を考慮して、初期化操作手段の操作による初期化にもとづく異常信号と同じ信号を、異常入賞が発生した判定されたときに出力する異常信号と「共通の端子」から出力し、上記相違点3に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。
また、本願発明の効果は、刊行物1記載の発明から予測される範囲内のものにすぎず、格別なものではない。
3. 請求人の主張
請求人は、平成29年5月23日付け審判請求書の「(4)本願発明と引用文献に記載された発明との比較」の「(4-1)請求項1に関して」において、「すなわち、本願発明では、上記の(i)の構成要素を備えることによって、(1日に1回しかない)初期化処理が実行されたときと所定のエラーが発生したと判定されたときとで、遊技機に設けられた共通の出力端子から遊技機状態信号を出力する。そのような構成を備えることによって、本願発明は、信号が出力された意味を認識可能としつつ、1日に1回しか出力しない信号のために端子を設ける無駄を防止することができるという引用文献1~3に記載された発明にはない顕著な効果を奏するものとなっている。」と主張するが、上記「2.相違点についての判断」での検討、とりわけ(2-2)の検討のとおり、請求人が1日に1回しかないと説明するクリアスイッチのオンが検出されることによる初期化処理の実行時に、異常信号と同じ信号を、各種異常が発生したときに異常信号を送信するのと「共通の出力端子」から出力することは、当業者であれば容易になし得たことである。
よって、請求人の主張は採用することができない。
4. 小括
以上のとおりであるから、刊行物2,3記載の事項を刊行物1記載の発明に適用することで、上記相違点1-3に係る本願発明の構成とすることは当業者が容易になし得たものである。
第6 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、当業者が刊行物1記載の発明、及び刊行物2-3に記載された事項、または、刊行物1記載の発明、刊行物2-3に記載された事項及び周知の技術事項にもとづいて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2017-007363