特許拒絶査定不服審判
2017-007113
反射構造を有する半導体発光ダイオードおよびその製造方法
- 審判番号
- 2017-007113
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2015-130167外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2017年05月17日
- 審決日
- 2018年03月27日
- 公報発行日
- 2018年09月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】クリー インコーポレイテッド
- 【請求人代理人】名古屋国際特許業務法人
- 分類
- P18 .575-Z (H01L) / P18 .121-Z (H01L)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第6項、特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2015-130167「反射構造を有する半導体発光ダイオードおよびその製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成27年12月 3日出願公開、特開2015-216389〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、2010年2月23日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2009年5月11日、米国)を国際出願日とする特願2012-510802号(以下「原出願」という。)の一部を平成27年6月29日に新たな特許出願としたものであって、主な手続の経緯は以下のとおりである。
平成27年 7月21日:手続補正書(自発)の提出
平成28年 3月 9日:拒絶理由通知(3月15日発送)
同年 8月15日:手続補正書・意見書の提出
平成29年 1月10日:拒絶査定(1月17日送達。以下「原査定」
という。)
同年 5月17日:審判請求書・手続補正書の提出
同年10月27日:上申書の提出
第2 平成29年5月17日付け手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成29年5月17日付け手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[補正却下の決定の理由]
1 補正内容
本件補正は、特許請求の範囲についてするものであり、その特許請求の範囲の請求項7については、
本件補正前(平成28年8月15日付け手続補正後のもの)に、
「第1面とこれに対向する第2面とを有し、n型層とp型層とを含むダイオード領域と、
前記第1面上の少なくとも一つの誘電層と、
前記第1面上の第1金属層であって、前記少なくとも一つの誘電層を貫通する部分を備えて、前記p型層と電気的に接続する第1金属層と、
前記第1面上の第2金属層であって、前記少なくとも一つの誘電層を貫通する部分を備えて、前記n型層と電気的に接続する第2金属層と、
前記第1金属層と前記ダイオード領域との間の透明コンタクトと
を備え、前記第2面に隣接する側から発光する発光ダイオード。」とあったものを、
「第1面とこれに対向する第2面とを有し、n型層とp型層とを含むダイオード領域と、
前記第1面上の少なくとも一つの誘電層と、
前記第1面上の第1金属層であって、前記少なくとも一つの誘電層を貫通する部分を備えて、前記p型層と電気的に接続する第1金属層と、
前記第1面上の第2金属層であって、前記少なくとも一つの誘電層を貫通する部分を備えて、前記n型層と電気的に接続する第2金属層と、
前記第1金属層と前記ダイオード領域との間の透明コンタクトと
を備え、前記第1金属層と前記第2金属層との間には充填層が設けられ、前記第2面に隣接する側から発光する発光ダイオード。」と補正する内容を含むものである(下線は、請求人が手続補正書において付したものである。)。
2 補正目的
上記「1」の補正内容は、本件補正前の請求項7に係る発明を特定するために必要な「第1金属層」と「第2金属層」について、その間に充填層が設けられたものであると特定するものであって、その補正前後で、発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であることから、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
よって、本件補正後の請求項7についての補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものと認められることから、本件補正後の請求項7に係る発明(以下「本願補正発明」という。)について、これが特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか否か)を、以下に検討する。
3 独立特許要件
(1)本願補正発明
本願補正発明は、上記「第2 1」に記載したとおりである。
(2)引用文献に記載の事項
原査定の拒絶の理由に引用された、特開2008-288548号公報(2008年11月27日公開。以下「引用文献」という。平成28年3月9日付け拒絶理由通知における引用文献3)には、図とともに以下の記載がある(下線は、当審で付した。以下同じ。)。
ア 「【請求項1】
半導体層上に形成された拡散電極と、該拡散電極表面を被覆するパッシベーション膜であって一部に開口部を有するパッシベーション膜と、上面に半田層を有する接合電極とを備える半導体発光素子において、
前記拡散電極表面には、前記パッシベーション膜の開口部の底部に該開口部より大径でかつその表面が前記拡散電極の表面より平坦なバッファ電極が形成され、該バッファ電極へ前記接合電極が接続する、ことを特徴とする半導体発光素子。
【請求項2】
……
【請求項3】
前記接合電極はチタン層とニッケル層とを交互に積層した多層構造を有するバリア層と、該バリア層の上面に積層されるAuSn半田層とを備えてなる、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体発光素子。
【請求項4】
前記拡散電極はITOからなり、前記バッファ電極はAu/Niを含む合金からなる、ことを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の半導体発光素子。」
イ 「【0008】
より具体的な発光素子1の構成を図2に示す。
この発光素子1はIII族窒化物系化合物半導体からなり、青色系の短波長光を出力する。カソードとしての拡散電極11とアノードとしてのn電極13とがともに半導体層5,7,9の上面に形成されている。パッシベーション膜15は拡散電極11及びn電極13を被覆し、一部が開口してそこにバリア層21の材料が充填されている。このバリア層21はチタン層とニッケル層とを交互に積層した多層構造であり、AuSn半田層23のSnが半導体層へ拡散することを防止している。このバリア層21とAuSn半田層23とで接合電極24が構成される。」
ウ 「【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図3を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。なお、図3において、比較容易のため、図2と同一の要素には同一の符号を付してある。
本発明の半導体発光素子31は好ましくは、同一平面側にp側電極及びn側電極を備えたIII族窒化物系化合物半導体素子である。このような半導体発光素子はサブマウントなどにフェースダウン実装(フリップチップ実装)されて使用される。……
【0020】
拡散電極11は導電性の低いp型III族窒化物系化合物半導体層9へ電流を均等に分配するものである。……拡散電極11に光透過性を持たせるときはITOやZnO等の金属酸化物を用いることができる。
拡散電極11は、上記の材料を用いて、蒸着又はスパッタにより形成される。
【0021】
……
【0022】
パッシベーション膜21は金属酸化物や金属窒化物、或いはガラス等によって形成される。パッシベーション膜の代表的な形成材料として、酸化硅素(SiO、SiO2、SiXOyなど)、……を例示することができる。これらの材料を複合させた組成物を用いてもよい。また、パッシベーション膜を複層構造にしてもよい。
パッシベーション膜21はCVD法、好ましくはプラズマCVD法で形成される。
【0023】
拡散電極11として透明導電膜を採用したとき、パッシベーション膜21上に金属反射膜17を備えることができる。当該構成では拡散電極11の上方に金属反射膜17が備えられることになり、発光層7で発光した光は拡散電極11を透過した後、金属反射膜17で反射される。これによって基板3側に向かう光が生成する。一方、当該構成では拡散電極11と金属反射膜17との間にパッシベーション膜15が介在していることから、拡散電極11と金属反射膜17の界面反応が防止される。これによって拡散電極11の透過率及び金属反射膜17の反射率の低下を防止することができ、光の取り出し効率が向上する。」
エ 「【実施例1】
【0030】
以下、本発明の実施例を用いて、本発明の構成をより詳細に説明する。図4は実施例の半導体発光素子51の構成を模式的に示した図である。
実施例の半導体発光素子1において半導体層のスペックは次の通りである。
層 :組成
p型層59 :p-GaN:Mg
発光する層を含む層57 :InGaN/AlGaNの層を含む
n型層55 :n-GaN:Si
バッファ層54 :AlN
基板13 :サファイア
【0031】
基板53の上にはバッファ層54を介してn型不純物としてSiをドープしたGaNからなるn型層55が形成される。基板53にはサファイアを用いたが、これに限定されることはなく、サファイア、スピネル、シリコン、炭化シリコン、酸化亜鉛、リン化ガリウム、ヒ化ガリウム、酸化マグネシウム、酸化マンガン、III族窒化物系化合物半導体単結晶等を基板材料として用いることができる。……また、半導体素子形成後、基板とバッファ層54を必要に応じて除去することにしてもよい。
【0034】
p型層59を形成した後、p型層59、発光する層を含む層57、n型層55のそれぞれ一部をエッチングにより除去し、n型層55の一部を表出させる。続いて、p型層59上にITOからなる拡散電極61をスパッタ法又は蒸着法で形成する。この拡散電極61の膜厚は300nmである。
拡散電極61の上には、図5に示すように、バッファ電極62が形成される。このバッファ電極62は拡散電極61側から順にNi層621(40nm)、Au層622(1500nm)、Al層623(10nm)を蒸着により積層した構成である。このバッファ電極62の表面は、拡散電極61の表面の如何にかかわらず、平坦となった。バッファ電極62の上面を平坦にするには、その膜厚を1000nm以上とすることが好ましい。
この実施例のバッファ電極62は全てITOより硬度の低い金属材料で、かつ上記のように厚く形成されている。これにより、通電テスト時においてカソード側電極へテスタを当接させる際の衝撃が吸収される。
上記において、Al層623はSiO2からなるパッシベーション層65との接着性を確保している。
【0035】
……
【0036】
次に、SiO2からなるパッシベーション膜(保護膜)65を形成する。まず、素子の表面全体へSiO2をプラズマCVD法で形成する。そして、レジストマスクを積層して、バッファ電極62及びn電極63に対向する位置をエッチングして開口部72、73を形成する。開口部72はバッファ電極62より小径に形成されている。……これにより、p電極側のパッシベーション膜65はp型層59表面、拡散電極61の側面及び上面の周縁部、バッファ電極62の側面及び上面、並びにn側電極63bの側面及び上面を被覆するように形成される。
同様に、n側電極63の上面とパッシベーション膜65の開口部73との周縁との間にも強固な接着性が確保されている。
【0037】
続いてパッシベーション膜65にバリア層81を形成する。まず、電極形成面側において、バリア層81を形成する領域以外をレジストでマスクする。バリア層81はTi層とNi層が交互に積層された構造を有し、次の手順で形成される。まず、レジストから露出した領域に所定膜厚のTi層を蒸着(EB蒸着など)、スパッタリングなどで形成する。次にTi層の上に所定膜厚のNi層を同様に形成する。……
この実施例では、パッシベーション層65を成長させる途中でAlからなる金属反射層67を蒸着により形成し、パッシベーション膜65内に金属反射層67を埋設している。
Ni層の上に膜厚0.5μmのAu層を蒸着で形成する。
最後にAuSn半田層83を蒸着により形成して実施例の半導体発光素子51とする。
バリア層81とAuSn半田層83とで接合電極84が構成される。
以上の工程の後、スクライバ等を用いてチップの分離工程を行う。」
オ 図2は、以下のものである(バッファ電極なし)。
カ 図3は、以下のものである(バッファ電極あり)。
キ 図4は、以下のものである(実施例1)。
(3)引用文献に記載された発明
ア 上記(2)アの記載からして、引用文献には、
「半導体層上に形成されたITOからなる拡散電極と、前記拡散電極表面を被覆するパッシベーション膜であって一部に開口部を有するパッシベーション膜と、上面に半田層を有する接合電極と、を備える半導体発光素子において、
前記接合電極は、チタン層とニッケル層とを交互に積層した多層構造を有するバリア層と、前記バリア層の上面に積層されるAuSn半田層とを備え、
前記拡散電極表面には、前記開口部より大径でかつその表面が前記拡散電極の表面より平坦なAu/Niを含む合金からなるバッファ電極が形成され、前記バッファ電極へ前記接合電極が接続する、
半導体発光素子。」(請求項1、3及び4)が記載されているものと認められる。
イ 上記(2)イないしエの記載を踏まえて、図2ないし図4を見ると、以下のことが理解できる。
(ア)上記アの「半導体発光素子」は、
サブマウントなどにフリップチップ実装されるものであって、
サファイア基板上に形成されたn型層、発光層及びp型層と、
p型層上に形成された拡散電極と、
n型層上に形成されたn電極と、を備えたものであってもよいこと。
(イ)上記アの「拡散電極表面を被覆するパッシベーション膜であって一部に開口部を有するパッシベーション膜」は、
「拡散電極の表面及びn電極の表面を被覆するSiO2からなるパッシベーション膜であって一部に開口部を有するパッシベーション膜」であること。
(ウ)上記アの「上面に半田層を有する接合電極」は、
「上面に(パッシベーション膜の)開口部よりも大きなバリア層及び半田層を有するp側の接合電極及びn側の接合電極」であり、
p側の接合電極のバリア層(以下「p側バリア層」という。)は、開口部を貫通して、バッファ電極及び拡散電極を介してp型層と電気的に接続し、
n側の接合電極のバリア層(以下「n側バリア層」という。)は、開口部を貫通して、n電極を介してn型層と電気的に接続していること。
(エ)発光層で発光した光は、サファイア基板側から取り出されること。
ウ 上記ア及びイによれば、引用文献には、次の発明(以下「引用発明」という。」)が記載されているものと認められる。
「サブマウントなどにフリップチップ実装される半導体発光素子であって、
サファイア基板上に形成されたn型層、発光層及びp型層と、
前記p型層上に形成されたITOからなる拡散電極と、
前記n型層上に形成されたn電極と、
前記拡散電極の表面及び前記n電極の表面を被覆するSiO2からなるパッシベーション膜であって一部に開口部を有するパッシベーション膜と、
上面に前記開口部よりも大きなバリア層及び半田層を有するp側の接合電極及びn側の接合電極と、を備え、
前記発光層で発光した光は、前記サファイア基板側から取り出される半導体発光素子において、
前記p側の接合電極及び前記n側の接合電極は、それぞれ、チタン層とニッケル層とを交互に積層した多層構造を有するバリア層と、前記バリア層の上面に積層されるAuSn半田層とを備え、
前記拡散電極の表面には、前記開口部より大径でかつその表面が前記拡散電極の表面より平坦なAu/Niを含む合金からなるバッファ電極が形成され、
前記p側の接合電極のp側バリア層は開口部を貫通して、前記バッファ電極及び前記拡散電極を介して前記p型層と電気的に接続し、
前記n側の接合電極のn側バリア層は開口部を貫通して、前記n電極を介して前記n型層と電気的に接続している、半導体発光素子。」
(4)対比
本願補正発明と引用発明とを対比する。
ア 引用発明の「サファイア基板上に形成されたn型層、発光層及びp型層」は、「第1面とこれに対向す第2面とを有する半導体の積層体」であるといえるから、本願補正発明の「第1面とこれに対向する第2面とを有し、n型層とp型層とを含むダイオード領域」に相当する。
イ 引用発明の「拡散電極の表面及びn電極の表面を被覆するSiO2からなるパッシベーション膜」は、引用発明の「サファイア基板上に形成されたn型層、発光層及びp型層(ダイオード領域)」の上方に位置することは、当業者にとって明らかであるから、本願補正発明の「第1面上の少なくとも一つの誘電層」に相当する。
ウ 引用発明の「p側バリア層」は、「チタン層とニッケル層とを交互に積層した多層構造」、つまり、「金属層」であって、パッシベーション膜の開口部を貫通して、バッファ電極及び拡散電極を介してp型層と電気的に接続しているから、
本願補正発明の「第1面上の第1金属層であって、少なくとも一つの誘電層を貫通する部分を備えて、p型層と電気的に接続する第1金属層」に相当する。
エ 引用発明の「n側バリア層」も、「チタン層とニッケル層とを交互に積層した多層構造」、つまり、「金属層」であって、パッシベーション膜の開口部を貫通して、n電極を介してn型層と電気的に接続しているから、
本願補正発明の「第1面上の第2金属層であって、少なくとも一つの誘電層を貫通する部分を備えて、n型層と電気的に接続する第2金属層」に相当する。
オ 引用発明の「p型層上に形成されたITOからなる拡散電極」は、「p側バリア層(第1金属層)」と「p型層」との間に位置することから、本願補正発明の「第1金属層とダイオード領域との間の透明コンタクト」に相当する。
カ 引用発明は、「発光層で発光した光は、サファイア基板側から取り出される」もの、つまり、「拡散電極の表面及びn電極の表面を被覆するSiO2からなるパッシベーション膜」が位置する側とは反対の「第2面」側から取り出されるものであるから、本願補正発明とは、「(ダイオード領域の)第2面に隣接する側から発光する発光ダイオード」である点で一致する。
キ 以上のことから、本願補正発明と引用発明とは、以下の点で一致する。
<一致点>
「第1面とこれに対向する第2面とを有し、n型層とp型層とを含むダイオード領域と、
前記第1面上の少なくとも一つの誘電層と、
前記第1面上の第1金属層であって、前記少なくとも一つの誘電層を貫通する部分を備えて、前記p型層と電気的に接続する第1金属層と、
前記第1面上の第2金属層であって、前記少なくとも一つの誘電層を貫通する部分を備えて、前記n型層と電気的に接続する第2金属層と、
前記第1金属層と前記ダイオード領域との間の透明コンタクトと
を備え、
前記第2面に隣接する側から発光する発光ダイオード。」
ク 一方、両者は、以下の点で相違する。
<相違点>
本願補正発明は、「第1金属層と第2金属層との間には充填層が設けられ」ているのに対して、
引用発明は、充填層が設けられていない点。
(5)判断
ア 上記<相違点>について検討する。
(ア)引用発明は、「サブマウントなどにフリップチップ実装される半導体発光素子」であって、フリップチップ実装される際は、「(p側及びn側)バリア層」が、それぞれ、「AuSn半田層」を介してサブマウント側の配線に電気的に接続されるものであるところ、フリップチップ実装した際に、p側電極とn側電極との短絡を防止するために、両電極間に「絶縁部材」を配置することは、例えば、下記の文献に記載されているよにう、原出願の優先日(2009年5月11日)時点で周知である(以下「周知技術」という。)。
特開2006-216933号公報(【0028】及び図1D)
特開2005-286134号公報(【0059】及び図4)
特開2003-46139号公報(【0012】及び図4)
特開2002-57374号公報(【0029】及び図3)
ちなみに、特開2006-216933号公報の図1Dは、以下のものである。
120…パッシベーション膜(SiO2等)
122…第1誘電体層(SiO2等)
140…第2誘電体層(ポリイミド等)
160、162…金属層
(イ)してみると、引用発明の「p側の接合電極」と「n側の接合電極」との間に、フリップチップ実装した際の短絡を防止するために、充填層を設けることは、当業者が容易になし得たことである。
(ウ)以上の検討によれば、引用発明において、上記<相違点>に係る本願補正発明の発明特定事項を採用することは、当業者が上記周知技術に基づいて容易になし得たことである。
イ 効果
本願補正発明の奏する効果は、引用発明の奏する効果及び上記周知技術の奏する効果から予測し得る範囲内のものである。
(6)独立特許要件についてのまとめ
本願補正発明は、当業者が引用発明及び上記周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
(7)平成29年10月27日提出の上申書について
ア 請求人は、補正案、予備補正案1ないし3を提示し、「補正案及び予備補正案1-3によれば、本願発明が進歩性を有することは、一層明確になると確信致します。」(第4頁の「(5)結論」)と主張していることから、念のため、補正案について検討する(下線部は、当審で付した。)。
「<補正案>
【請求項7】
第1面とこれに対向する第2面とを有し、n型層とp型層とを含むダイオード領域と、
前記第1面上の少なくとも一つの誘電層と、
前記第1面上の第1金属層であって、前記少なくとも一つの誘電層を貫通する部分を備えて、前記p型層と電気的に接続する第1金属層と、
前記第1面上の第2金属層であって、前記少なくとも一つの誘電層を貫通する部分を備えて、前記n型層と電気的に接続する第2金属層と、
前記第1金属層と前記第2金属層との間の充填層と、
前記第1金属層と前記ダイオード領域との間の透明コンタクトと
を備え、前記第2面に隣接する側から発光し、前記少なくとも一つの誘電層の少なくとも一部が、前記第1金属層と前記透明コンタクトとの間にある発光ダイオード。」
(ア)上記<補正案>に係る発明は、
本願補正発明に、「前記少なくとも一つの誘電層の少なくとも一部が、前記第1金属層と前記透明コンタクトとの間にある」との発明特定事項を追加した発明に実質的に相当する。
(イ)ここで、引用文献の図4を再掲する。
上記図4から、
右端の「(SiO2からなる)パッシベーション膜65」の一部が、「(p側)バリア層81」と「ITO61」との間に介在することが読みとれる。
そして、上記「(p側)バリア層81」及び「ITO61」は、それぞれ、補正案の「第1金属層」及び「透明コンタクト」に相当する。
(ウ)よって、上記<補正案>における「前記少なくとも一つの誘電層の少なくとも一部が、前記第1金属層と前記透明コンタクトとの間にある」との発明特定事項は、引用文献に開示された事項であるから、上記<補正案>に係る発明と引用発明との対比において、上記<相違点>以外に新たな相違点を生じるものではない。
したがって、上記<補正案>を採用することはできない。
4 補正却下の決定の理由のむすび
上記「3」のとおり、本願補正発明は特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第5項の規定に違反する。
したがって、本件補正は、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
第3 本願発明
1 本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたため、本願の請求項7に係る発明(以下「本願発明」という。)は、前記「第2 1」にて本件補正前の請求項7として記載したとおりのものである。
2 引用文献
引用文献及びその記載事項は、前記「第2 3(1)」に記載したとおりである。
3 対比・判断
本願補正発明は、前記「第2 2」に記載したとおり、本願発明を限定したものに相当する。
そうすると、本願発明の構成要件を全て含み、さらに限定を付加したものに相当する本願補正発明が前記「第2 3」で検討したとおり、当業者が引用発明及び上記周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様の理由により、当業者が引用発明及び上記周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものである。
4 むすび
以上のとおり、本願発明は、当業者が引用発明及び周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、本願は、他の請求項について検討するまでもく、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2017-007113