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特許拒絶査定不服審判

2017-007110

遊技機

審判番号
2017-007110
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2015-191412外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2017年05月17日
審決日
2018年01月30日
公報発行日
2018年05月25日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-Z (A63F) / P18 .575-Z (A63F)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第17条の2第6項、特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2015-191412号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成28年2月4日出願公開、特開2016-19811号〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

【理 由】 第1.手続の経緯 本願は、平成23年6月10日に出願した特願2011-130516号の一部を平成26年5月2日に新たな特許出願(特願2014-95217号)とし、その一部を平成27年9月29日に新たな特許出願としたものであって、平成28年7月22日付け拒絶理由通知に対して、同年9月21日付けで手続補正がなされたところ、平成29年2月17日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、平成29年5月17日に拒絶査定不服審判の請求がされるとともに、同日付けで手続補正がなされたものである。 第2.平成29年5月17日にされた手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 平成29年5月17日にされた手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1.本件補正について 本件補正は、特許請求の範囲の補正を含んでおり、本件補正により、平成28年9月21日付けの手続補正書における特許請求の範囲の請求項1(以下「補正前請求項1」という。)の記載 「【請求項1】 遊技を行なう遊技機であって、 複数種類の制御コマンドを出力する出力手段と、 前記出力手段から出力された制御コマンドに対応する制御を行なう制御手段とを備え、 複数種類の制御コマンドのそれぞれは、前記制御手段により行われる制御の種別を示す種別データと、該制御の内容を示す内容データとから構成され、 種別データは、 複数ビットからなり、 第1種別データと、第2種別データとがあり、 前記出力手段から出力される制御コマンドのうち所定の制御コマンドについて、該所定の制御コマンドに含まれる種別データは、複数ビットのうちの1ビットが反転されたときに前記第1種別データとなり、 前記出力手段から出力される制御コマンドの全てについて、該制御コマンドに含まれる種別データは、複数ビットのうちの1ビットが反転されても前記第2種別データとはならない、遊技機。」 は、審判請求時に提出された手続補正書(平成29年5月17日付け)における 「【請求項1】 遊技を行なう遊技機であって、 複数種類の制御コマンドを出力する出力手段と、 前記出力手段が出力した制御コマンドが入力され、該入力された制御コマンドを保持可能であり、保持した制御コマンドに対応する制御を行なう制御手段とを備え、 複数種類の制御コマンドのそれぞれは、前記制御手段により行われる制御の種別を示す種別データと、該制御の内容を示す内容データとから構成され、 種別データは、 複数ビットからなり、 第1種別データと、第2種別データとがあり、 前記出力手段が出力する制御コマンドのうち所定の制御コマンドについて、該所定の制御コマンドに含まれる種別データは、複数ビットのうちの1ビットが反転されたときに前記第1種別データとなり、 前記出力手段が出力する制御コマンドの全てについて、該制御コマンドに含まれる種別データは、複数ビットのうちの1ビットが反転されても前記第2種別データとはならず、 前記制御手段は、 入力された制御コマンドに含まれる種別データが、前記複数種類の制御コマンドに含まれる種別データのいずれかであるか否かを判定し、 入力された制御コマンドに含まれる種別データが、前記複数種類の制御コマンドに含まれる種別データのいずれとも異なると判定した場合に、該入力された制御コマンドを保持しないように破棄する、遊技機。」 に補正された(下線は、補正箇所を明示するために当審にて付した。)。 2.補正の適否 (1)上記補正のうち、上記補正前請求項1の「前記出力手段から出力された制御コマンドに対応する制御を行なう制御手段」を「前記出力手段が出力した制御コマンドが入力され、該入力された制御コマンドを保持可能であり、保持した制御コマンドに対応する制御を行なう制御手段」とした補正、及び、上記補正前請求項1の「前記出力手段から出力される制御コマンドのうち所定の制御コマンド」、「前記出力手段から出力される制御コマンドの全て」を、それぞれ「前記出力手段が出力する制御コマンドのうち所定の制御コマンド」、「前記出力手段が出力する制御コマンドの全て」とした補正は、補正前請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項(以下「発明特定事項」という。)である「制御コマンド」及び「制御手段」を限定するとともに、それに伴って該限定する補正の箇所に対応する他の記載箇所の平仄を合わせたものであり、前記補正前請求項1の発明特定事項を限定する補正を含むものと認められる。 また、当該限定した事項は、本願の願書に最初に添付した明細書(以下「当初明細書」という。)の【0067】に記載された事項であるから、当該補正は、本願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「当初明細書等」という。)の記載の範囲内においてしたものである。 (2)上記補正のうち、「前記制御手段は、/  入力された制御コマンドに含まれる種別データが、前記複数種類の制御コマンドに含まれる種別データのいずれかであるか否かを判定し、/  入力された制御コマンドに含まれる種別データが、前記複数種類の制御コマンドに含まれる種別データのいずれとも異なると判定した場合に、該入力された制御コマンドを保持しないように破棄する」(「/」は改行をあらわす。)なる事項を加入した補正は、上記補正前請求項1の発明特定事項である「制御手段」についてその機能を限定したものであり、前記補正前請求項1の発明特定事項を限定する補正を含むものと認められる。 また、当該限定した事項は、当初明細書の【0223】~【0224】に記載された事項であるから、当該補正は当初明細書等の記載の範囲内においてしたものである。 (3)また、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1に記載された発明と本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一である。 よって、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当し、新規事項を追加するものではない。 3.本件補正発明の独立特許要件についての検討 そこで、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に係る発明は、その請求項1に記載された事項により特定されるものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下「本件補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について以下に検討する。 (1)本件補正発明について 本件補正発明は、上記1.の本件補正の概要に示した次のとおりのものである(A~Kは、当審にて分説して付与した。)。 「A 遊技を行なう遊技機であって、 B 複数種類の制御コマンドを出力する出力手段と、 C 前記出力手段が出力した制御コマンドが入力され、該入力された制御コマンドを保持可能であり、保持した制御コマンドに対応する制御を行なう制御手段とを備え、 D 複数種類の制御コマンドのそれぞれは、前記制御手段により行われる制御の種別を示す種別データと、該制御の内容を示す内容データとから構成され、 E 種別データは、 複数ビットからなり、 F 第1種別データと、第2種別データとがあり、 G 前記出力手段が出力する制御コマンドのうち所定の制御コマンドについて、該所定の制御コマンドに含まれる種別データは、複数ビットのうちの1ビットが反転されたときに前記第1種別データとなり、 H 前記出力手段が出力する制御コマンドの全てについて、該制御コマンドに含まれる種別データは、複数ビットのうちの1ビットが反転されても前記第2種別データとはならず、 I 前記制御手段は、 入力された制御コマンドに含まれる種別データが、前記複数種類の制御コマンドに含まれる種別データのいずれかであるか否かを判定し、 J 入力された制御コマンドに含まれる種別データが、前記複数種類の制御コマンドに含まれる種別データのいずれとも異なると判定した場合に、該入力された制御コマンドを保持しないように破棄する、 K 遊技機。」 (2)刊行物1に記載された発明 ア 原査定の拒絶理由において提示された、本願の遡及日前に頒布された刊行物である特開2001-70589号公報(以下「刊行物1」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている(下線は当審にて付した。以下同じ。)。 (ア)「【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明は、パチンコ機などに代表される遊技機の制御装置に関し、特に、制御用コマンドを送信する信号線の異常を検出することができる遊技機の制御装置に関するものである。」 (イ)「【0020】図2に示すように、これらMPU11、ROM12、RAM13は、バスライン14を介して互いに接続されており、バスライン14は、また、入出力ポート15にも接続されている。この入出力ポート15は表示用制御基板Dや他の入出力装置16と接続されている。主制御基板Cは、入出力ポート15を介して、表示用制御基板Dや他の入出力装置16へ各種コマンドを送り、それら各装置を制御する。なお、主制御基板Cと表示用制御基板Dとの接続は、入力および出力が固定的な2つのバッファ(インバータゲート)17,28を介して行われている。よって、主制御基板Cと表示用制御基板Dとの間における制御用コマンドの送受信は、主制御基板Cから表示用制御基板Dへの一方向にのみ行われ、表示用制御基板Dから主制御基板Cへ制御用コマンド等を送信することはできない。 【0021】表示用制御基板Dは、MPU21と、プログラムROM22と、ワークRAM23と、ビデオRAM24と、キャラクタROM25と、画像コントローラ26と、入力ポート29と、出力ポート27とを備えている。 ・・・ 【0022】表示用制御基板DのMPU21は、主制御基板Cから送信される制御用コマンドに基づいて、LCDディスプレイ3の(変動)表示を制御するためのものであり、・・・。 【0023】ワークRAM23は、MPU21による各種プログラムの実行時に使用されるワークデータやフラグが記憶されるメモリであり、受信バッファ23aと、コマンド受信フラグ23bと、9つの停止図柄1~9メモリ23c~23kと、エラー表示中フラグ23lとを備えている。 【0024】受信バッファ23aは、主制御基板Cから送信される制御用コマンドを受信するためのバッファである。制御用コマンドは2バイトで構成されるので、受信バッファ23aも同様に2バイトで構成される。コマンド受信フラグ23bは、新たな制御用コマンドが受信バッファ23aへ記憶された場合にオンされるフラグである。コマンド受信フラグ23bがオンされていると、受信バッファ23aに記憶される制御用コマンドが読み出され、その読み出された制御用コマンドに基づいて、LCDディスプレイ3の変動表示の制御が行われる。一旦オンされたコマンド受信フラグ23bは、受信バッファ23aから制御用コマンドを読み出す際にオフされる。」 (ウ)「【0028】次に、図4から図8を参照して、変動表示の制御のために主制御基板Cから表示用制御基板Dへ送信される制御用コマンドについて説明する。制御用コマンドは、変動パターン指定コマンド31と、停止図柄指定コマンド32と、図柄停止コマンド33と、エラーコマンド81と、エラー解除コマンド82との合計5種類のコマンドによって構成される。なお、制御用コマンドは2バイトで構成されるので、その1バイト目と2バイト目のコマンドコードを区別するために、1バイト目のコマンドコードは最上位ビットがセットされ、2バイト目のコマンドコードは最上位ビットがリセットされている。」 (エ)「【0045】図8に示すように、エラーコマンド81の1バイト目は「F3H」とされており、その2バイト目は、2バイト目の制御用コマンドであることを示すために最上位ビットがリセットされ、且つ、1ビット置きにセット及びリセットされた「55H(01010101B)」とされている。・・・1ビット置きにセット及びリセットされた「55H」が表示用制御基板Dで正確に受信できれば、制御用コマンドを送信する信号線に、信号線同士のブリッジ(短絡)がないことを確認することができる。 ・・・ 【0048】エラー解除コマンド82の1バイト目は、エラーコマンド81と同様に「F3H」とされており、その2バイト目は、最上位ビットがリセットされ、且つ、他の7ビットがエラーコマンド81に対してビット反転された「2AH(00101010B)」とされている。エラーコマンド81と共に、このエラー解除コマンド82が表示用制御基板Dで正確に受信できれば、信号線の短絡の有無に加えて更に、制御用コマンドを送信する信号線に断線がないことを確認することができる。 」 (オ)「【0077】図12は、表示用制御基板Dの受信割込処理で実行されるコマンド受信処理のフローチャートである。このコマンド受信処理は、主制御基板Cから表示用制御基板Dへ制御用コマンドが送信されると実行される。まず、主制御基板Cから送信され表示用制御基板Dで受信した制御用コマンドを受信バッファ23aへ書き込み(S41)、更に、コマンド受信フラグ23bをオンして(S42)、新たな制御用コマンドが受信バッファ23aに記憶されていることを示して、この処理を終了する。 【0078】図13は、表示用制御基板Dのメイン処理の中で実行される変動表示処理のフローチャートである。変動表示処理では、主制御基板Cから受信した制御用コマンドに基づいて、変動表示の制御が行われる。 【0079】まず、コマンド受信フラグ23bがオンされているか否かを確認する(S51)。コマンド受信フラグ23bがオンされていれば(S51:Yes)、これをオフした後に(S52)、受信バッファ23aの上位バイトに記憶されているデータにより制御用コマンドの種類を確認する(S53)。」 イ 刊行物1の図面には以下の事項が記載されている。 (ア)図4には、上記【0029】の「変動パターン指定コマンド31は、変動表示を開始させると共に、変動表示の開始から終了までの一連の変動パターンを指定するためのコマンドである。1バイト目のコマンドコードは「C0H」または「C1H」とされており」なる記載も合わせ読めば、「変動パターン指定コマンド」の各コマンドの上位バイトが「C0H」または「C1H」であることが示されているといえる。 また、前記図4には、該変動パターン指定コマンド31の下位バイトが、「通常変動1」、「ノーマルリーチ1」などの個別の変動パターンに対応して設定されることが示されているといえる。 (イ)図5(a)には、上記【0033】の「停止図柄指定コマンド32の1バイト目には、図柄1~9の表示領域3a1~3c3を指定するコマンドコードがセットされる」なる記載を合わせ読むと、「停止図柄指定コマンド」の各コマンドの上位バイトが、各表示領域3a1~3c3(図柄1~図柄9)に対応した「90H」、「A0H」、「B0H」、「91H」、「A1H」、「B1H」、「92H」、「A2H」、「B2H」の何れかであり、該各表示領域ごとに、前記「停止図柄指定コマンド」の下位バイトに図5(b)に列挙された複数の図柄名に対応する図柄コードが選択的に設定され、該上下位2バイトにより前記「停止図柄指定コマンド」が構成されることが示されているといえる。 (ウ)図7には、「図柄停止コマンド」の上位バイトがすべて「80H」であり、下位バイトには図柄の停止形態に応じて「01H」~「0DH」までの複数のコードが設定されることが示されている。 (エ)図8には、「エラーコマンド」、「エラー解除コマンド」の上位バイトがいずれも「F3H」であることが示されている。 ウ 上記アの各記載事項及び上記イで認定した図面の記載事項から、以下の事項が導かれる。 (あ)上記【0001】には、「本発明は、パチンコ機などに代表される遊技機の制御装置に関し・・・」と記載されていることから、刊行物1には「パチンコ機などに代表される遊技機」が記載されているといえる。 (い)上記【0020】には、「主制御基板Cは、入出力ポート15を介して、表示用制御基板Dや他の入出力装置16へ各種コマンドを送り、それら各装置を制御する。」と記載され、上記【0028】には「制御用コマンドは、変動パターン指定コマンド31と、停止図柄指定コマンド32と、図柄停止コマンド33と、エラーコマンド81と、エラー解除コマンド82との合計5種類のコマンドによって構成される。」と記載されている。 よって、刊行物1には、「合計5種類の制御用コマンドを送信する主制御基板C」が記載されているといえる。 (う)上記【0020】~【0024】には、「主制御基板Cは・・・表示用制御基板Dや他の入出力装置16へ各種コマンドを送り、それら各装置を制御する。・・・表示用制御基板Dは、MPU21と、・・・ワークRAM23・・・とを備えている。・・・表示用制御基板DのMPU21は、主制御基板Cから送信される制御用コマンドに基づいて、LCDディスプレイ3の(変動)表示を制御する・・・。ワークRAM23は・・・受信バッファ23a・・・を備えている。・・・受信バッファ23aは、主制御基板Cから送信される制御用コマンドを受信するためのバッファである。・・・受信バッファ23aに記憶される制御用コマンドが読み出され、その読み出された制御用コマンドに基づいて、LCDディスプレイ3の変動表示の制御が行われる。」と記載されている。 よって、刊行物1には、「主制御基板Cから送信された制御用コマンドを受信し、該受信した制御コマンドを受信バッファ23aへ記憶し、該記憶された制御用コマンドが読み出され、その読み出された制御用コマンドに基づいて、LCDディスプレイ3の変動表示の制御を行う、表示用制御基板D」が記載されているといえる。 (え)上記【0028】には、「制御用コマンドは2バイトで構成される」と記載されている。 また、変動パターン指定コマンド31の上位バイトは「C0H」または「C1H」であり、(上記イ(ア))、停止図柄指定コマンド32の上位バイトは「90H」、「A0H」、「B0H」、「91H」、「A1H」、「B1H」、「92H」、「A2H」、「B2H」の何れかであり(上記イ(イ))、図柄停止コマンド33の上位バイトはすべて「80H」であり(上記イ(ウ))、エラーコマンド及びエラー解除コマンドの上位バイトは共に「F3H」である(上記イ(エ))ことが、刊行物1の明細書及び図面に記載されているといえる。 また、上記【0078】~【0079】には、「図13は、表示用制御基板Dのメイン処理の中で実行される変動表示処理のフローチャートである。変動表示処理では、主制御基板Cから受信した制御用コマンドに基づいて、変動表示の制御が行われる。・・・受信バッファ23aの上位バイトに記憶されているデータにより制御用コマンドの種類を確認する」と記載されている。 当該各記載事項から、変動パターン指定コマンド31、停止図柄指定コマンド32、図柄停止コマンド33、エラーコマンド81及びエラー解除コマンド82の組、の各上位バイトは、それぞれ、「C0H」または「C1H」、「90H」・「A0H」・「B0H」・「91H」・「A1H」・「B1H」・「92H」・「A2H」・「B2H」の何れか、「80H」、「F3H」であり、変動パターン指定コマンド31、停止図柄指定コマンド32、図柄停止コマンド33、並びに、エラーコマンド81及びエラー解除コマンド82の組、それぞれの間で該上位バイトは一致せず相互に区別されており、表示用制御基板Dでは、制御用コマンドを受信した場合、その上位バイトに記憶されているデータにより制御用コマンドまたは制御用コマンドの組の種類が確認されるものであるといえるから、制御用コマンドの上位バイトは、制御用コマンドの種類を示すものであるといえる。 一方、変動パターン指定コマンド31、停止図柄指定コマンド32、図柄停止コマンド33のそれぞれ下位バイトには、個別の変動パターン(上記イ(ア))、停止される図柄コード(上記イ(イ))、図柄の停止形態(上記イ(ウ))が設定されており、これらはいずれも、変動パターン、停止図柄、図柄停止形態の内容を示すものといえる。 また、上記【0045】には、「エラーコマンド81の・・・2バイト目は、2バイト目の制御用コマンドであることを示すために最上位ビットがリセットされ、且つ、1ビット置きにセット及びリセットされた「55H(01010101B)」とされている。・・・1ビット置きにセット及びリセットされた「55H」が表示用制御基板Dで正確に受信できれば、制御用コマンドを送信する信号線に、信号線同士のブリッジ(短絡)がないことを確認することができる。」と、上記【0048】には「エラー解除コマンド82の・・・2バイト目は、最上位ビットがリセットされ、且つ、他の7ビットがエラーコマンド81に対してビット反転された「2AH(00101010B)」とされている。エラーコマンド81と共に、このエラー解除コマンド82が表示用制御基板Dで正確に受信できれば、信号線の短絡の有無に加えて更に、制御用コマンドを送信する信号線に断線がないことを確認することができる。」と、それぞれ記載されていることから、エラーコマンド81及びエラー解除コマンド82の組の下位バイトは、信号線の短絡や断線を検知する機能を担うコード、すなわち、エラー処理の具体的な処理内容に関するコードであるといえる。 以上から、刊行物1には、「合計5種類の制御用コマンドのそれぞれは、該各制御用コマンドの種類を示す上位バイトと、該各制御用コマンドの制御内容を示す下位バイトとの2バイトのデータから構成され」ること、が記載されているといえる。 (お)上記(え)から、制御用コマンドは2バイトのデータから構成されるのであり、そのうち各制御用コマンドの種類を示す上位バイトは1バイト、すなわち8ビットからなることなるといえる。 よって、刊行物1には、「制御用コマンドの上位バイトは、8ビットからな」る、ことが記載されているといえる。 (か)上記(え)で検討したとおり、変動パターン指定コマンド31、停止図柄指定コマンド32、図柄停止コマンド33、エラーコマンド81及びエラー解除コマンド82の組、の各上位バイトは、それぞれ、「C0H」または「C1H」、「90H」・「A0H」・「B0H」・「91H」・「A1H」・「B1H」・「92H」・「A2H」・「B2H」の何れか、「80H」、「F3H」であるが、例えば変動パターン指定コマンド31の上位バイトである「C0H」、「C1H」は、それぞれ二進表記すると「11000000B」、「11000001B」であり(以下、二進表記は末尾に「B」を付して記載する。)、それぞれの最下位の1ビットが反転すると入れ替わる関係にある。すなわち、「C0H」の最下位ビットが反転すると「C1H」となり、逆に「C1H」の最下位ビットが反転すると「C0H」となる関係にあって、当該変動パターン指定コマンド31の上位バイトである「C0H」及び「C1H」は、その中の1ビットの反転により、当該変動パターン指定コマンド31のうち他の上位バイトのデータになるデータであるといえる。 一方、エラーコマンド81及びエラー解除コマンド82の組の上位バイトである「F3H」(11110011B)は、そのうちの1ビットの反転により、「F2H」(11110010B)、「F1H」(11110001B)、「F7H」(11110111B)、「F11H」(11111011B)、「E3H」(11100011B)、「D3H」(11010011B)、「B3H」(10110011B)、「73H」(01110011B)の何れかになる(化ける)が、これらのいずれも、他の制御用コマンドの上位バイトのいずれのデータとも一致しない。つまり、制御用コマンドのうちエラーコマンド81及びエラー解除コマンド82の組の上位バイトのデータは、その中の1ビットの反転により、5種類の制御用コマンドのいずれの上位バイトのデータにも一致しない非正規な上位バイトのデータになるデータであるといえる。 また、逆に、制御用コマンドのすべての上位バイトのデータは、その中の1ビットの反転によっては、エラーコマンド81及びエラー解除コマンド82の組の上位バイトのデータにはならない、といえる。 よって、刊行物1には、「制御用コマンドの上位バイトのデータには、変動パターン指定コマンド31の上位バイトのデータと、エラーコマンド81及びエラー解除コマンド82の組の上位バイトのデータとが含まれ、制御用コマンドの上位バイトのデータのうち、変動パターン指定コマンド31の上位バイトのデータは、その8ビットのうちの最下位の1ビットが反転されたときに、該変動パターン指定コマンド31の他の上位バイトのデータとなり、合計5種類の制御用コマンドの上位バイトのデータすべては、その8ビットのうちの1ビットの反転によっては、エラーコマンド81及びエラー解除コマンド82の組の上位バイトのデータとはなら」ない、ことが記載されているといえる。 (き)上記【0078】~【0079】には、「図13は、表示用制御基板Dのメイン処理の中で実行される変動表示処理のフローチャートである。変動表示処理では、主制御基板Cから受信した制御用コマンドに基づいて、変動表示の制御が行われる。・・・まず、コマンド受信フラグ23bがオンされているか否かを確認する(S51)。コマンド受信フラグ23bがオンされていれば(S51:Yes)、これをオフした後に(S52)、受信バッファ23aの上位バイトに記憶されているデータにより制御用コマンドの種類を確認する(S53)。」、と記載されている。 ここで、「受信バッファ23aの上位バイトに記憶されているデータ」とは、受信バッファ23aに記憶されている制御用コマンドの上位バイトのデータを意味することは明らかである。 また、表示用制御基板Dの受信バッファ23aに記憶されているデータが「主制御基板Cから送信された制御用コマンドを受信し、該受信した制御用コマンドを受信バッファ23aへ記憶」したものであることは、上記(う)で認定したとおりである。 また、制御用コマンドの上位バイトが「各制御用コマンドの種類を示す」ものであることは、上記(え)で認定したとおりである。 よって、刊行物1には、「表示用制御基板Dは、主制御基板Cから受信した制御用コマンドの、各制御用コマンドの種類を示す上位バイトのデータにより制御用コマンドの種類を確認する」、ことが記載されているといえる。 エ 上記アの各記載事項、上記イ・ウの認定事項から、刊行物1には次の発明(以下「刊行物1発明」という。)が記載されていると認められる(a~kは、本件補正発明のA~Kに対応させて付与した。)。 「a パチンコ機などに代表される遊技機であって、(ウ(あ)) b 合計5種類の制御用コマンドを送信する主制御基板Cと、(ウ(い)) c 主制御基板Cから送信された制御用コマンドを受信し、該受信した制御用コマンドを受信バッファ23aへ記憶し、該記憶された制御用コマンドが読み出され、その読み出された制御用コマンドに基づいて、LCDディスプレイ3の変動表示の制御を行う、表示用制御基板Dとを備え、(ウ(う)) d 合計5種類の制御用コマンドのそれぞれは、該各制御用コマンドの種類を示す上位バイトと、該各制御用コマンドの制御内容を示す下位バイトとの2バイトのデータから構成され、(ウ(え)) e 前記制御用コマンドの上位バイトは、8ビットからなり、(ウ(お)) f 前記制御用コマンドの上位バイトのデータには、変動パターン指定コマンド31の上位バイトのデータと、エラーコマンド81及びエラー解除コマンド82の組の上位バイトのデータとが含まれ、(ウ(か)) g 前記制御用コマンドの上位バイトのデータのうち、変動パターン指定コマンド31の上位バイトのデータは、その8ビットのうちの最下位の1ビットが反転されたときに、該変動パターン指定コマンド31の他の上位バイトのデータとなり、(ウ(か)) h 前記合計5種類の制御用コマンドの上位バイトのデータすべてについて、その8ビットのうちの1ビットの反転によっては、エラーコマンド81及びエラー解除コマンド82の組の上位バイトのデータとはならず、(ウ(か)) i 表示用制御基板Dは、主制御基板Cから受信した制御用コマンドの、各制御用コマンドの種類を示す上位バイトのデータにより制御用コマンドの種類を確認する、(ウ(き)) k 遊技機。(ウ(あ))」 (3)刊行物2に記載された技術事項 ア 原査定の拒絶理由において提示された、本願の遡及日前に頒布された刊行物である特開平6-132936号公報(以下「刊行物2」という。)には、次の事項が記載されている(下線は当審にて付した。以下同じ。)。 「【0001】 【産業上の利用分野】本発明は受信状態が時間的に変化する伝送路を使用してディジタル信号を伝送するディジタル伝送方式に係わり、特に伝送路の状態が変化しても最低限の伝送品質を確保する重み付けディジタル伝送方式に関する。 【0002】[発明の概要]本発明は符号化回路側によって伝送対象となるディジタル情報の重要度に応じて重み付けを行なった後、これを分割多重化して伝送路上に送出し、復号化回路側によって前記伝送路を介して供給される変調信号を復調するとともに、この復調状態に基づいて受信状態をチェックし、このチェック結果に基づいて重み付けに応じたデータを選択して情報を再生し、これによって前記伝送路の伝送状態が時間の経過とともに変化しても、符号誤りに起因する急激な品質劣化を防止する。 【0003】 【従来の技術】従来、ディジタル情報の重み付けに関連する技術としては、情報源符号化の過程において、同期信号など、特定の情報の誤り訂正を強化することが行われているのみである。 【0004】そして、これらの技術の延長として、情報の重要度に応じて符号誤りが少なくなるように調整して符号化することが考えられ、具体的には、情報の重要度に応じて符号間距離を大きくしたり、冗長度を増やしたり、誤り訂正能力を強化したり、畳込みなどの符号化技術によって符号誤りを調節する方法などが考えられる。」 イ 上記アの記載事項から、次の事項が導かれる。 「ディジタル伝送方式において、伝送対象となるディジタル情報の伝送状態による符号誤りに起因する伝送品質の劣化を防止するため、情報源符号化の過程において情報の重要度に応じて符号間距離を大きくすること。」(以下「刊行物2技術事項」という。)。 (4)刊行物3に記載された技術事項 ア 本願の出願前に頒布された刊行物である特開2010-253324号公報(以下「刊行物3」という。)には、次の事項が記載されている(下線は当審にて付した。以下同じ。)。 (ア)「【技術分野】 【0001】 本発明は、各々を識別可能な複数種類の識別情報の可変表示を行い表示結果を導出表示する可変表示部を備え、可変表示部に特定表示結果が導出表示されたときに遊技者にとって有利な特定遊技状態に移行させる遊技機に関する。」 (イ)「【0052】 この実施の形態では、演出制御基板80に搭載されている演出制御手段(演出制御用マイクロコンピュータで構成される。)が、中継基板77を介して遊技制御用マイクロコンピュータ560からの演出制御コマンドを受信し、飾り図柄を可変表示する可変表示装置9の表示制御や、スピーカ(音出力装置)27の音出力制御、各ランプ25,28a,28b,28cの表示制御等を行う。また、この実施の形態では、「演出制御」とは、可変表示装置9の表示制御や、スピーカ27の音出力制御、各ランプ25,28a,28b,28cの表示制御を行うことによって、遊技演出などの演出を行うことをいう。また、この実施の形態では、演出制御手段は、可変表示装置9の表示制御、スピーカ27の音出力制御、および各ランプ25,28a,28b,28cの表示制御を行う演出制御用マイクロコンピュータ100によって実現される。」 (ウ)「【0113】 図8および図9は、演出制御用マイクロコンピュータ100に送出される演出制御コマンドの内容の一例を示す説明図である。図8に示す例において、コマンド8000(H)~800A(H)は、特別図柄の可変表示に対応して可変表示装置9において可変表示される飾り図柄の変動パターンを指定する演出制御コマンド(変動パターンコマンド)である。なお、変動パターンを指定する演出制御コマンドは、変動開始を指定するためのコマンドでもある。従って、演出制御用マイクロコンピュータ100は、コマンド8000(H)~800A(H)のいずれかを受信すると、可変表示装置9において飾り図柄の可変表示を開始するように制御する。 【0114】 コマンド8C00(H)は、変動パターンコマンドで指定する飾り図柄の可変表示の表示結果をはずれとすることを指定する演出制御コマンド(はずれ指定コマンド)である。コマンド8C01(H)は、変動パターンコマンドで指定する飾り図柄の可変表示の表示結果を通常大当りとすることを指定する演出制御コマンド(通常大当り指定コマンド)である。コマンド8C02(H)は、変動パターンコマンドで指定する飾り図柄の可変表示の表示結果を確変大当りとすることを指定する演出制御コマンド(確変大当り指定コマンド)である。 【0115】 コマンド8C03(H)は、確変大当りにすると事前決定したことを指定するとともに、可変表示装置9における可変表示の表示結果を通常大当り図柄とすること、15ラウンドの大当り遊技のラウンド中に再抽選演出を実行することを指定する演出制御コマンド(ラウンド中再抽選付き確変大当り指定コマンド)である。コマンド8C04(H)は、確変大当りにすると事前決定したことを指定するとともに、可変表示装置9における可変表示の表示結果を通常大当り図柄とすること、15ラウンドの大当り遊技の終了後に再抽選演出を実行することを指定する演出制御コマンド(大当り終了後再抽選付き確変大当り指定コマンド)である。コマンド8C05(H)は、確変大当りにすると事前決定したことを指定するとともに、可変表示装置9における可変表示の表示結果を通常大当り図柄とすること、15ラウンドの大当り遊技のラウンド中および大当り遊技の終了後に再抽選演出を実行することを指定する演出制御コマンド(再抽選付き確変大当り指定コマンド)である。」 (エ)「【0215】 次に、演出制御手段の動作を説明する。図28は、演出制御基板80に搭載されている演出制御用マイクロコンピュータ100が実行するメイン処理を示すフローチャートである。演出制御用マイクロコンピュータ100は、電源が投入されると、メイン処理の実行を開始する。メイン処理では、まず、RAM領域のクリアや各種初期値の設定、また演出制御処理の起動間隔を決めるためのタイマの初期設定等を行うための初期化処理を行う(ステップS701)。その後、演出制御用マイクロコンピュータ100は、タイマ割込フラグの監視(ステップS702)の確認を行うループ処理に移行する。タイマ割込が発生すると、演出制御用マイクロコンピュータ100は、タイマ割込処理においてタイマ割込フラグをセットする。メイン処理において、タイマ割込フラグがセットされていたら、演出制御用マイクロコンピュータ100は、そのフラグをクリアし(ステップS703)、以下の演出制御処理を実行する。 【0216】 演出制御処理において、演出制御用マイクロコンピュータ100は、まず、受信した演出制御コマンドを解析する(コマンド解析処理:ステップS704)。次いで、演出制御用マイクロコンピュータ100は、演出制御プロセス処理を行う(ステップS705)。演出制御プロセス処理では、制御状態に応じた各プロセスのうち、現在の制御状態(演出制御プロセスフラグ)に対応した処理を選択して可変表示装置9の表示制御を実行する。さらに、可変表示装置9に表示する左中右の飾り図柄のはずれ図柄を決定するためのはずれ表示図柄決定用乱数や、可変表示装置9に表示する飾り図柄の大当り図柄を決定するための大当り表示図柄決定用乱数などの乱数を生成するためのカウンタのカウント値を更新する乱数更新処理を実行する(ステップS706)。その後、ステップS702に移行する。 【0217】 図29は、メイン処理におけるコマンド解析処理(ステップS704)を示すフローチャートである。遊技制御用マイクロコンピュータ560から送信された演出制御コマンドは、INT割込で実行されるコマンド受信処理において、コマンド受信バッファに格納される。コマンド解析処理において、演出制御用マイクロコンピュータ100は、まず、コマンド受信バッファに受信コマンドが格納されているか否か確認する(ステップS1611)。格納されているか否かは、コマンド受信個数カウンタの値と読出ポインタとを比較することによって判定される。両者が一致している場合が、受信コマンドが格納されていない場合である。コマンド受信バッファに受信コマンドが格納されている場合には、演出制御用マイクロコンピュータ100は、コマンド受信バッファから受信コマンドを読み出す(ステップS1613)。 【0218】 なお、INT割込で実行されるコマンド受信処理で受信した演出制御コマンドをコマンド受信バッファに格納する際に、演出制御用マイクロコンピュータ100は、受信したコマンドがプログラム上存在する演出制御コマンドであるか否かを確認するようにしてもよい。例えば、演出制御用マイクロコンピュータ100は、受信コマンドの1バイト目のMODEデータが「80」や「8C」、「A0」などプログラム上存在するものであるか否かを確認し(図8,図9参照)、プログラム上存在しないMODEデータであれば、データ化けなどの原因によって演出制御コマンドを正しく受信できなかったと判断して、受信コマンドを破棄してもよい。また、プログラム上存在するMODEデータであっても、2バイト目のEXTデータがそのMODEデータに対してプログラム上存在するものであるか否かを確認し(図8,図9参照)、プログラム上存在しないEXTデータであれば、データ化けなどの原因によって演出制御コマンドを正しく受信できなかったと判断して、受信コマンドを破棄してもよい。この場合、受信コマンドはコマンド受信バッファに格納されず、コマンド解析処理において、演出制御コマンドを受信していないものとして処理される。」 イ 刊行物3の図面には以下の事項が記載されている。 (ア)図8、9には、上記【0113】~【0115】の説明を参酌すると、可変表示の表示結果の表示内容の指定や各遊技状態における背景表示の指定を含む、個々に制御内容や制御対象が異なる複数の演出制御コマンドが記載されているといえる。 ウ 上記ア、イの記載事項及び認定事項から、次の事項が導かれる。 上記【0001】には「本発明は・・・遊技機に関する。」と記載され、同【0052】には「演出制御手段(演出制御用マイクロコンピュータで構成される。)が、・・・遊技制御用マイクロコンピュータ560からの演出制御コマンドを受信し、飾り図柄を可変表示する可変表示装置9の表示制御や、スピーカ(音出力装置)27の音出力制御、各ランプ25,28a,28b,28cの表示制御等を行う。」と記載され、同【0216】、【0217】、【0218】にはそれぞれ、「演出制御用マイクロコンピュータ100は、まず、受信した演出制御コマンドを解析する・・・。次いで、演出制御用マイクロコンピュータ100は、演出制御プロセス処理を行う」、「遊技制御用マイクロコンピュータ560から送信された演出制御コマンドは・・・コマンド受信バッファに格納される。・・・演出制御用マイクロコンピュータ100は、コマンド受信バッファから受信コマンドを読み出す」、「受信した演出制御コマンドをコマンド受信バッファに格納する際に、演出制御用マイクロコンピュータ100は、・・・受信コマンドの1バイト目のMODEデータが「80」や「8C」、「A0」などプログラム上存在するものであるか否かを確認し・・・、プログラム上存在しないMODEデータであれば、データ化けなどの原因によって演出制御コマンドを正しく受信できなかったと判断して、受信コマンドを破棄してもよい。」と記載されている。 これらの記載事項、及び上記イの認定事項から、刊行物3には以下の技術事項(以下「刊行物3技術事項」という。)が記載されているといえる。(「()」内は引用元の段落番号を示す) 「遊技機において(【0001】)、遊技制御用マイクロコンピュータ560から送信された、飾り図柄を可変表示する可変表示装置9の表示制御や、スピーカ(音出力装置)27の音出力制御、各ランプ25,28a,28b,28cの表示制御等を行う複数の演出制御コマンドを受信した演出制御用マイクロコンピュータ100は(【0052】、【0217】、図8、図9)、該演出制御コマンドをコマンド受信バッファに格納し、次いでコマンド受信バッファから受信コマンドを読み出し(【0217】)、受信した演出制御コマンドを解析し、演出制御プロセス処理を行うが(【0216】)、前記受信した演出制御コマンドをコマンド受信バッファに格納する際、受信コマンドの1バイト目のMODEデータがプログラム上存在するものであるか否かを確認し、プログラム上存在しないMODEデータであれば、データ化けなどの原因によって演出制御コマンドを正しく受信できなかったと判断して、受信コマンドを破棄する(【0218】)こと。」 (5)対比 ア 刊行物1発明の構成aの「パチンコ機などに代表される遊技機」は、本件補正発明の構成Aの「遊技を行う遊技機」に相当する。 イ 刊行物1発明の構成bの、「合計5種類の制御用コマンド」、「主制御基板C」は、それぞれ、本件補正発明の構成Bの、「複数種類の制御コマンド」、「出力手段」に相当する。 よって、刊行物1発明の構成bの「合計5種類の制御用コマンドを送信する主制御基板C」は、本件補正発明の構成Bの「複数種類の制御コマンドを出力する出力手段」に相当する。 ウ 刊行物1発明の構成cの「制御用コマンド」、「LCDディスプレイ3の変動表示の制御を行う、表示用制御基板D」は、それぞれ、本件補正発明の構成Cの「制御コマンド」、「制御コマンドに対応する制御を行なう制御手段」に相当する。 また、前記構成cにおける「受信した制御コマンドを受信バッファ23aへ記憶」することが可能であることは、前記構成Cの、制御手段が「入力された制御コマンドを保持可能であ」ることに相当するから、前記構成cの「該記憶された制御用コマンドが読み出され、その読み出された制御用コマンド」は、前記構成Cの「保持した制御コマンド」に相当する。 よって、刊行物1発明の構成cの「主制御基板Cから送信された制御用コマンドを受信し、該受信した制御用コマンドを受信バッファ23aへ記憶し、該記憶された制御用コマンドが読み出され、その読み出された制御用コマンドに基づいて、LCDディスプレイ3の変動表示の制御を行う、表示用制御基板D」は、本件補正発明の構成Cの「前記出力手段が出力した制御コマンドが入力され、該入力された制御コマンドを保持可能であり、保持した制御コマンドに対応する制御を行なう制御手段」に相当する。 エ 刊行物1発明の構成dの「合計5種類の制御用コマンド」、「各制御用コマンドの種類を示す上位バイト」、「各制御用コマンドの制御内容を示す下位バイト」は、それぞれ、本件補正発明の構成Dの「複数種類の制御コマンド」、「制御手段により行われる制御の種別を示す種別データ」、「該制御の内容を示す内容データ」に相当する。 よって、刊行物1発明の構成dの「合計5種類の制御用コマンドのそれぞれは、該各制御用コマンドの種類を示す上位バイトと、該各制御用コマンドの制御内容を示す下位バイトとの2バイトのデータから構成され」ることは、本件補正発明の構成Dの「複数種類の制御コマンドのそれぞれは、前記制御手段により行われる制御の種別を示す種別データと、該制御の内容を示す内容データとから構成され」ることに相当する。 オ 刊行物1発明の構成eの「制御用コマンドの上位バイトは、8ビットからな」ることが、本件補正発明の構成Eの「種別データは、複数ビットからな」ることに相当することは明らかである。 カ 刊行物1発明の構成f~hにおける、「変動パターン指定コマンド31の上位バイトのデータ」、「エラーコマンド81及びエラー解除コマンド82の組の上位バイトのデータ」、「変動パターン指定コマンド31」を、仮に、それぞれ「第1の種別データ」、「第2の種別データ」、「所定の制御用コマンド」と名付けるとすると、前記構成gの「変動パターン指定コマンド31の他の上位バイトのデータ」もまた、変動パターン指定コマンド31の上位バイトのデータのひとつに外ならないから、前記「第1の種別のデータ」に該当し、よって、前記構成f~hは、前記「第1の種別データ」、「第2の種別データ」、及び「所定の制御用コマンド」を用いて、 「f’ 制御用コマンドの上位バイトのデータには、第1の種別データと、第2の種別データとが含まれ、 g’ 制御用コマンドの上位バイトのデータのうち、所定の制御用コマンドの上位バイトのデータは、その8ビットのうちの最下位の1ビットが反転されたときに、第1の種別データとなり、 h’ すべての制御用コマンドの上位バイトのデータは、その8ビットのうちの1ビットの反転によっては、第2の種別データとはならず、」 と書き換えることができる。 また、前記構成g及びg’の「その8ビットのうちの最下位の1ビットが反転されたとき」は前記構成Gの「複数ビットのうちの1ビットが反転されたとき」に相当し、前記構成h及びh’の「その8ビットのうちの1ビットの反転」は、前記構成Hの「複数ビットのうちの1ビットが反転」されることに相当する。 よって、刊行物1発明の構成f~gの 「制御用コマンドの上位バイトのデータには、変動パターン指定コマンド31の上位バイトのデータと、エラーコマンド81及びエラー解除コマンド82の組の上位バイトのデータとが含まれ、 制御用コマンドの上位バイトのデータのうち、変動パターン指定コマンド31の上位バイトのデータは、その8ビットのうちの最下位の1ビットが反転されたときに、該変動パターン指定コマンド31の他の上位バイトのデータとなり、」 は、本件補正発明の構成F~Gの 「第1種別データと、第2種別データとがあり、 前記出力手段が出力する制御コマンドのうち所定の制御コマンドについて、該所定の制御コマンドに含まれる種別データは、複数ビットのうちの1ビットが反転されたときに前記第1種別データとなり、」 に相当するといえる。 ここで、本件補正発明の構成Hの「前記出力手段が出力する制御コマンドの全て」の意味するところは必ずしも明確ではなく、本件明細書の【0268】の記載等からは、同じく構成B、Cで特定される「出力手段」から出力され、特定の「制御手段」に入力される「複数種類の制御コマンド」の「全て」を指すとも解しうるが、前記構成Hの文言上は、「制御コマンド」に「前記」等、構成B、Cにいう「制御コマンド」との関連性を示す表記が付されていないことから、前記「制御手段」に入力されるもの以外も含めた前記「出力手段」が出力するあらゆる「制御コマンド」を指すと解される。 そうすると、構成Hの当該解釈の下では、刊行物1発明の構成h及びh’と、本件補正発明の構成Hとは、前者が構成b、cで特定された「合計5種類の制御用コマンド」についてのみ成立する条件を特定している点で相違する。 キ 刊行物1発明の構成iの、「各制御用コマンドの種類を示す上位バイトのデータにより制御用コマンドの種類を確認」することは、本件補正発明の構成Iの「制御コマンドに含まれる種別データが、前記複数種類の制御コマンドに含まれる種別データのいずれかであるか否かを判定」することに相当する。 よって、刊行物1発明の構成iの「表示用制御基板Dは、主制御基板Cから受信した制御用コマンドの、各制御用コマンドの種類を示す上位バイトのデータにより制御用コマンドの種類を確認する」ことは、本件補正発明の構成Iの「前記制御手段は、入力された制御コマンドに含まれる種別データが、前記複数種類の制御コマンドに含まれる種別データのいずれかであるか否かを判定」することに相当する。 ク 上記ア~キによれば、本件補正発明と刊行物1発明は、下記(ア)の点で一致し、下記(イ)、(ウ)の点で相違する。 (ア)一致点 「A 遊技を行なう遊技機であって、 B 複数種類の制御コマンドを出力する出力手段と、 C 前記出力手段が出力した制御コマンドが入力され、該入力された制御コマンドを保持可能であり、保持した制御コマンドに対応する制御を行なう制御手段とを備え、 D 複数種類の制御コマンドのそれぞれは、前記制御手段により行われる制御の種別を示す種別データと、該制御の内容を示す内容データとから構成され、 E 種別データは、 複数ビットからなり、 F 第1種別データと、第2種別データとがあり、 G 前記出力手段が出力する制御コマンドのうち所定の制御コマンドについて、該所定の制御コマンドに含まれる種別データは、複数ビットのうちの1ビットが反転されたときに前記第1種別データとなり、 H’ 前記出力手段が出力する制御コマンドであって制御手段に入力される制御コマンドの全てについて、該制御コマンドに含まれる種別データは、複数ビットのうちの1ビットが反転されても前記第2種別データとはならず、 I 前記制御手段は、 入力された制御コマンドに含まれる種別データが、前記複数種類の制御コマンドに含まれる種別データのいずれかであるか否かを判定する、 K 遊技機。」(下線は本件補正発明の対応構成との相違箇所を示すため当審にて付与した。) (イ)相違点1 本件補正発明が備える上記構成Jの、「入力された制御コマンドに含まれる種別データが、前記複数種類の制御コマンドに含まれる種別データのいずれとも異なると判定した場合に、該入力された制御コマンドを保持しないように破棄する」構成を、刊行物1発明が備えない点。 (ウ)相違点2 上記カで検討したとおり、刊行物1発明の構成hで特定された条件は、構成b、cで特定された「合計5種類の制御用コマンド」についてのみ成立する条件である点で、「出力手段が出力する制御コマンドの全て」、即ち、「出力手段」が出力する全ての制御コマンドについて成立する条件を特定した本件補正発明の構成Hと相違する。 (6)判断 ア 相違点1について 上記(4)ウで認定したとおり、刊行物3には、刊行物3技術事項として 「遊技機において、遊技制御用マイクロコンピュータ560から送信された、飾り図柄を可変表示する可変表示装置9の表示制御や、スピーカ(音出力装置)27の音出力制御、各ランプ25,28a,28b,28cの表示制御等を行う複数の演出制御コマンドを受信した演出制御用マイクロコンピュータ100は、該演出制御コマンドをコマンド受信バッファに格納し、次いでコマンド受信バッファから受信コマンドを読み出し、受信した演出制御コマンドを解析し、演出制御プロセス処理を行うが、前記受信した演出制御コマンドをコマンド受信バッファに格納する際、受信コマンドの1バイト目のMODEデータがプログラム上存在するものであるか否かを確認し、プログラム上存在しないMODEデータであれば、データ化けなどの原因によって演出制御コマンドを正しく受信できなかったと判断して、受信コマンドを破棄する」こと、 が記載されている。 ここで、刊行物3技術事項の「演出制御コマンド」は本件補正発明の「制御コマンド」に、同じく「遊技制御用マイクロコンピュータ560」、「演出制御用マイクロコンピュータ100」、は、それぞれ前記複数の「演出制御コマンド」の出力元、入力先であり、後者は当該入力された「演出制御コマンド」に基づき「飾り図柄を可変表示する可変表示装置9の表示制御や、スピーカ(音出力装置)27の音出力制御、各ランプ25,28a,28b,28cの表示制御等を行う」点で、本件補正発明の「出力手段」、「制御手段」に、同じく「コマンド受信バッファに格納」すること、「(1バイト目の)MODEデータ」、「受信コマンド」は、それぞれ「コマンドを保持可能」であること、「種別データ」、「入力された制御コマンドに含まれる種別データ」に相当する。 よって、刊行物3技術事項の「受信コマンドの1バイト目のMODEデータがプログラム上存在するものであるか否かを確認し、プログラム上存在しないMODEデータであれば、データ化けなどの原因によって演出制御コマンドを正しく受信できなかったと判断して、受信コマンドを破棄する」ことは、上記相違点1に係る本件発明の構成Jの「入力された制御コマンドに含まれる種別データが、前記複数種類の制御コマンドに含まれる種別データのいずれとも異なると判定した場合に、該入力された制御コマンドを保持しないように破棄する」ことに相当するといえる。 そして、刊行物3技術事項の「遊技制御用マイクロコンピュータ560」、「演出制御用マイクロコンピュータ100」、は、それぞれ「飾り図柄を可変表示する可変表示装置9の表示制御や、スピーカ(音出力装置)27の音出力制御、各ランプ25,28a,28b,28cの表示制御等を行う演出制御コマンド」なる「制御コマンド」の送信元、受信先である点で、刊行物1発明の「主制御基板C」、「表示用制御基板D」に対応し、上記のとおり、共に本件補正発明の「制御コマンドを保持可能」とする手段に相当する手段、即ち受信バッファを備えるから、刊行物1発明と刊行物3技術事項とは、共に、種別データに相当するデータ部分を含む複数の「制御コマンド」を送信元から送信先の受信バッファに送信する手段及び機能を備える遊技機である点で共通する。 したがって、刊行物1発明における、主制御基板Cから表示用制御基板Dへ受信バッファを介して制御用コマンドの送受信を行う機構に対し、上記刊行物3技術事項を適用し、上記相違点1に係る、「入力された制御コマンドに含まれる種別データが、前記複数種類の制御コマンドに含まれる種別データのいずれとも異なると判定した場合に、該入力された制御コマンドを保持しないように破棄する」ように構成することは、当業者が容易に想到し得ることである。 イ 相違点2について 上記刊行物2技術事項の「ディジタル伝送方式において、伝送対象となるディジタル情報の伝送状態による符号誤りに起因する伝送品質の劣化を防止するため、情報源符号化の過程において情報の重要度に応じて符号間距離を大きくすること」は、すなわち、「装置から装置へデジタル信号を伝送するデジタル通信技術において、信号の伝送状態が悪いことにより発生するデジタル信号の符号誤り、即ち、ある信号が別のある信号に「化け」てしまうことを防止するために、伝送される異なる信号の間で「符号間距離」、即ち、該異なるデジタルデータの間で対応する桁(ビット)どうしを比較した場合に、値が相違するビットの数を大きくすること」であるといえる。 そして、前記刊行物2技術事項において、「符号間距離」を2ビット以上とすることは、各1バイト(8ビット)からなる異なる種別データの間で、2箇所以上の対応ビットの値を相違させることであり、それによって、一方の種別データの伝送中に、前記相違させたビットの1つが反転しても、もう1ビットの相違が残っているため、他方の種別データに「化け」ることがなくなるのであるから、前記「「符号間距離」を2ビット以上とすること」は、本件補正発明の構成Hで、ある「種別データ」が「複数ビットにうちの1ビットが反転されても」別の「種別データ」にはならないようにすること、に相当する。 また、刊行物1発明において、主制御基板Cから表示用制御基板Dへの制御用コマンドの送信も、遊技機内部の伝送線路によるデジタルデータ(情報)の伝送に外ならず、その伝送の方式は「デジタル伝送方式」の一つといえる。 さらに、刊行物1発明の属する遊技機の分野において、当該遊技機内部のコマンド伝送が遊技者の故意による、または偶発的な事象による電磁ノイズの発生によって乱れる場合があることは技術常識であり、このような乱れが発生する状態も、前記伝送線路が外来ノイズの影響を受けているのであるから、デジタル通信技術における伝送線路の伝送状態が悪い状態のひとつに含まれることが明らかである。 よって、当業者にとって、上記刊行物2技術事項を遊技機分野の刊行物1発明における内部のコマンド伝送方式に適用する充分な動機付けがあるといえる。 したがって、刊行物1発明において、前記刊行物2技術事項を適用し、「主制御基板C」が出力する全ての制御用コマンドについて、少なくとも前記重要な制御用コマンドに「化け」ないように、該重要な制御用コマンドとの間で上位バイトに2ビット以上の充分な符号間距離を確保するようにすることにより、上記相違点2に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 ウ また、本件補正発明により奏される効果は、当業者が、刊行物1発明、刊行物2技術事項、及び刊行物3技術事項から予測し得た範囲内のものであって、格別のものではない。 エ 審判請求書における請求人の主張について (ア)請求人は審判請求書(3-1)において、上記構成H(審判請求書の分説では「構成G」)の想到困難性について、 「パチンコ遊技機の全てのコマンドは、・・・大当りの種類を特定する大当り種類特定コマンド、デモ画面に移行させるためのデモ画面移行コマンド、電断から復旧したことを示す電断復旧コマンドなどのコマンド(以下、「3種類のコマンド」といいます。)も存在します。つまり、引用文献1で開示されている5種類のコマンドは、引用文献1のパチンコ遊技機で用いられる全てのコマンドのうちの一部のコマンドに過ぎず、引用文献1には、全てのコマンドについて開示されていません。したがって、出力手段が出力する制御コマンドの全てについて規定されている構成Gは、引用文献1には記載されておりません。また、この構成Gは、引用文献2にも記載されておりません。また、本願発明は構成Gを有することにより、「たとえば、第2種別データが重要度の高い種別データである場合において、全ての種別データのうちのいずれが1ビット反転されても該重要度の高い第2種別データにはならないことから、遊技者に不測の不利益を与えてしまうことや遊技場に不測の不利益を与えてしまうことを防止できる」という有利な効果を奏します。」 と主張している。 しかし、前記構成Hの「前記出力手段が出力する制御コマンドの全て」を、「制御手段」に向けたもの以外も含む全制御コマンドについていうものと解釈しても、刊行物1発明において前記構成Hの構成とすることが、刊行物2技術事項に照らし当業者にとって想到容易であることは、上記イで説示したとおりである。 よって、請求人の当該主張を採用することはできない。 (イ)請求人は審判請求書(3-2)において、上記構成J(審判請求書の分説では「j構成H2」)の想到困難性について、 「刊行物1発明では「5種類のコマンドの他に3種類のコマンドが存在します。したがって、この組合せ発明では、主制御基板から該3種類のコマンドのうちの1種類のコマンド(たとえば、大当り種類特定コマンド)が送信され、かつ、該大当り種類特定コマンドが何らノイズ等を受けずに、表示用制御基板が該大当り種類特定コマンドを受信した場合には、該大当り種類特定コマンドを保持しないように破棄することになり、その結果、該表示用制御基板は、大当りの種類を特定できないことになります。このように、組合せ発明では、大当りの種類を特定できない発明となることから、引用文献1記載の発明に対して、構成H2を適用することについて阻害要因が存在します。また、本願発明は、構成H2を有することにより、「入力された制御コマンドに含まれる種別データが、前記複数種類の制御コマンドに含まれる種別データのいずれとも異なると判定した場合に、該入力された制御コマンドを保持しないように破棄する。これにより、制御手段により制御が行なわれることのない不要なコマンドを記憶する必要がないことから、制御手段側においてコマンドを記憶するための記憶容量が増大してしまうことを防止することができる。また、このような制御コマンドを破棄することにより、制御手段により本来と全く種類の異なる制御が行なわれる不都合の発生を防止することができる」という有利な効果を奏します。」 と主張している。 しかし、「主制御基板C」が出力する全ての制御用コマンドについて、相互にいわゆる「符号間距離」を適切に設定して伝送時の符号誤りによる「化け」を防止することについても、当業者にとって充分な動機付けを伴って想到容易であることは、上記(6)イにおいて説示したとおりであるから、請求人が主張する前記阻害要因は存せず、また、それによる効果も当業者が予測可能な範囲内のものであり、前記請求人の主張を採用することはできない。 (ウ)請求人は審判請求書(3-3)において、引用文献1記載の発明に対して、引用文献2記載の発明を適用する動機について、 「審査官殿は、引用文献1記載の発明に対して、引用文献2記載の発明を適用することにより、本願発明の想到困難性を否定しております。しかしながら、引用文献1記載の発明の技術分野は、「遊技機」である一方(引用文献1の段落[0001]参照)、引用文献2記載の発明の技術分野は、「受信状態が時間的に変化する伝送路を使用してディジタル信号を伝送するディジタル伝送方式に関する分野」です(引用文献2の段落[0001]参照)。遊技機において、メイン基板からサブ基板に対してコマンドが送信される伝送路は、受信状態が時間的に変化するものではありません。したがって、引用文献1記載の発明と、引用文献2記載の発明とで、技術分野の関連性が全く存在しません。よって、引用文献1記載の発明に対して、引用文献2記載の発明を適用する動機は存在しません。」 と主張している しかし、遊技機の分野においても、例えば主制御回路から副制御回路へのコマンド伝送にあたり、ビット反転のような伝送誤りが生じる要因には、伝送路周辺で人為的または偶発的に発生した突発的な電磁気的ノイズが含まれることが自明であり、その発生が「突発的」であるということは即ち、伝送(受信)状態が時間的に変化することにほかならない。 よって、当該請求人の当該主張を採用することはできない。 オ 小括 したがって、上記ア~エにおいて検討したように、本件補正発明は、刊行物1発明、刊行物2技術事項及び刊行物3技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。 4.むすび 上記3において検討したことからみて、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3.本願発明について 1.本願発明 本件補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成28年9月21日付けの手続補正書により補正された、上記第2の1.で示した特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりのものである。 2.刊行物 原査定の拒絶の理由に引用された刊行物1、2の記載事項は、上記第2の3.(2)~(4)に記載したとおりである。 3.対比・判断 本願発明は、上記第2の1.の下線部に示されるとおり、平仄上の補正事項を除くと、本件補正発明の上記構成Cについての一部発明特定事項と、上記構成I、Jのすべてに係る発明特定事項を省いたものである。 一方、上記第2の3.(5)で検討したとおり、本件補正発明と刊行物1発明の相違点は、上記本件補正発明の構成H(相違点2)、構成J(相違点1)に関するもののみである。 そうすると、前記構成Cの一部と構成I、Jとを省いた本願発明と刊行物1発明との間には、前記本件補正発明の構成Hに係る相違点2と同様の相違点のみが存在する。 しかし、該相違点2に係る構成が当業者にとって想到容易であることは、上記第2の3.(6)で説示したとおりである。 したがって、本願発明は、刊行物1発明及び刊行物2技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 4.むすび 以上のとおり、本願発明は、刊行物1発明及び刊行物2技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができた発明であり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。 したがって、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2017-007110

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