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特許拒絶査定不服審判

2017-004966

二重壁クロージャー

審判番号
2017-004966
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2014-508591外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2017年04月07日
審決日
2018年09月26日
公報発行日
2019年03月29日
結論
請求不成立
審判長/審判官
分類
P18 .121-Z (B65D)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2014-508591「二重壁クロージャー」拒絶査定不服審判事件〔平成24年11月 1日国際公開、WO2012/149293、平成26年 8月 7日国内公表、特表2014-518813〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

【理 由】 1.手続の経緯 本願は、平成24年4月27日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2011年4月29日、米国)を国際出願日とする出願であって、平成28年3月22日付けで拒絶理由が通知され、平成28年6月30日に意見書及び手続補正書が提出されたが、平成28年11月29日付けで拒絶査定(以下「原査定」という。)され、平成29年4月7日に拒絶査定不服審判が請求され、同時に手続補正書が提出されたものである。 2.原査定の理由 原査定は、平成28年6月30日の手続補正書で補正された特許請求の範囲の請求項1に関し、本願の優先日前に頒布された刊行物である、引用文献1(米国特許出願公開第2002/0185464号明細書)及び引用文献2(米国特許第6533136号明細書)を引用し、「引用文献2の図3-7には、ライナー30をスカート24の内面から内側に間隔を開けて設けることも、記載されている。」、「引用文献1に記載の発明に、引用文献2に記載のこのような事項を組み合わせることも、当業者が容易になし得たことである。」として、請求項1に係る発明は、引用文献1に記載された発明及び引用文献2に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないとしたものである。 3.当審の判断 平成29年4月7日の手続補正書による補正は、原査定の対象となった平成28年6月30日の手続補正書で補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項を、何ら変更するものではない。 よって、以下、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)について、原査定の理由により拒絶をすべきものであるか否か検討する。 (1)本願発明 「関連した容器用のクロージャーであって: 上壁部分、第一の外側環状スカート部分、および第二の内側環状スカート部分を有するクロージャーキャップであって、該第一および第二のスカート部分が互いに同心関係で該上壁部分から垂れ下がり、該内側スカート部分が該外側スカート部分の内側に配置されている、該クロージャーキャップと; 関連した容器上の雄ねじ形成部との嵌合のために、少なくとも1つの螺旋状の雌ねじ形成部を該内側スカート部分の内面に有する該内側スカート部分と、ただし該内側スカート部分は円筒状の外面を有する; 該上壁部分から該内側スカート部分よりもさらに延び、そして円筒状で該内側スカート部分の外面と同心の内面を有する該外側スカート部分と;および 該内側スカート部分内の該上壁部分の内面に配置された密閉ライナーと、ただし該密閉ライナーは該内側環状スカート部分の内面から内側に間隔が開けられていて該雌ねじ形成部と同心である; を含んでなる上記クロージャー。」 (2)引用文献1及び2の記載事項 ア 引用文献1には、以下の事項が記載されている。 (ア)「[0016] The present invention relates to container closure having a frusto-conical outer shell and a rib-supported inner shell. 」(当審訳:本発明は截頭円錐形の外側シェルとリブに支持された内側シェルを持つ容器閉鎖装置に関する。) (イ)「[0017]  Reference is first made to FIGS. 1-5 in which a closure constructed in accordance with the present invention is generally noted by the character numeral 10. The closure 10 has a top 12, an inner skirt or shell 20, and an outer skirt or shell 30. The top 12 has an interior surface 14 and an exterior surface 16. When in use on a bottle, the interior surface 14 abuts the bottle neck and the exterior surface 16 faces the user. Optionally, an annular flange 18 may depend from the interior surface 14 of the top 12. The flange 18 is essentially centered on the top 12 and is proportioned to fit within the bottle neck when the closure is being used and prevents liquids from leaking from the bottle.」(当審訳:本発明に従って構成された蓋は、図1-5に符号10により示されている。蓋10は、上部12、シェル20、および外側のシェル30を有する。上部12は、内面14及び外面16を有している。ボトル上の使用時には、内面14は、ボトルの首部に当接し、外面16は使用者に面する。任意に、環状フランジ18は、上部12の内面14から垂下させてもよい。環状フランジ18は、基本的に上部12の中心にくるように合わせられ、蓋が使用されているときにボトルの首部内に適合するように調整されていて、容器から液体が漏れることを防止する。) (ウ)「[0018] The inner and outer skirts 20, 30 are concentric rings which depend from and are essentially centered on the interior surface 14 of the top 12. The diameter of the outer skirt 30 is greater than the diameter of the inner skirt 20, and if the flange 18 is present, the diameter of the inner skirt 20 is greater than the diameter of the flange 18.」(当審訳:内側および外側スカート20,30は同心リングであり、上面12の内面14から垂下し、基本的に上面12の内面14の中心にくるように合わせられている。外側スカート30の直径は、内側スカート20の直径より大きく、環状フランジ18が存在する場合には、内側スカート20の直径はフランジ18の直径よりも大きい。) (エ)「[0019] The inner skirt 20 has an inward facing surface 22 and an outward facing surface 24. Similarly, the outer skirt 30 has an inner face 32 and an outer face 34. The inner skirt inward facing surface 22 includes one or more threads 26 which are configured to engage complementary bottle neck threads. 」(当審訳:内側スカート20は、内側に面する表面22および外側に面する表面24を有する。同様に、外側スカート30は、内側表面32と外側表面34とを有している。内側スカートの内側に面する表面22は、容器の首部のネジ山と係合するように構成された1つ以上のネジ山26を含む。) (オ)図1及び図4より、内側スカート20の外側に面する表面24は円筒状の外面を有し、また、外側スカート30は、上部12から内側スカート20よりも長く延び、円筒状であることが看取できる。 (カ)「図1 」 (キ)「図4 」 イ 上記記載(ア)、(イ)によれば、「容器」を閉鎖する「蓋10」は、「上部12、シェル20、および外側のシェル30を有」し、上記記載(ウ)も踏まえると、「シェル20」および「外側のシェル30」は、それぞれ「内側スカート20」、「外側スカート30」ともいう。 また、上記記載(ウ)によれば、「内側および外側スカート20,30は同心リング」であり、「蓋10」の「上面12の内面14から垂下」するように設けられるとともに、「上面12の内面14の中心にくるように合わせ」て配置されており、「外側スカート30の直径は、内側スカート20の直径より大き」い。 また、上記記載(エ)によれば、「内側スカート20は、内側に面する表面22および外側に面する表面24を有」し、「内側スカートの内側に面する表面22は、容器の首部のネジ山と係合するように構成された1つ以上のネジ山26を含」み、上記記載(オ)によれば、内側スカート20の外側に面する表面24は円筒状の外面を有する。 また、上記記載(エ)によれば、「外側スカート30は、内側表面32と外側表面34とを有」しており、上記記載(オ)によれば、外側スカート30は、上部12から内側スカート20よりも長く延び、円筒状である。 そして、上記記載(イ)によれば、「環状フランジ18」が「上部12の内面14から垂下」されてもよく、その「環状フランジ18」は、「上部12の中心にくるように合わせられ、蓋が使用されているときにボトルの首部内に適合するように調整されて」、「容器から液体が漏れることを防止」するように機能する。また、上記記載(ウ)によれば、「内側スカート20の直径はフランジ18の直径よりも大きい」ことから、「環状フランジ18」は、「内側スカート20」の内側に設けられているものといえる。 そうすると、引用文献1には、以下の「引用発明」が記載されている。 「上部12、内側スカート20、および外側スカート30を有する、容器を閉鎖する蓋10であって、 内側および外側スカート20,30は、同心リングであり、蓋10の上面12の内面14から垂下するように設けられるとともに、上面12の内面14の中心にくるように合わせて配置されており、外側スカート30の直径は、内側スカート20の直径より大きく、 内側スカート20は、内側に面する表面22および外側に面する表面24を有し、内側スカートの内側に面する表面22は、容器の首部のネジ山と係合するように構成された1つ以上のネジ山26を含み、内側スカート20の外側に面する表面24は円筒状の外面を有し、 外側スカート30は、内側表面32と外側表面34とを有しており、外側スカート30は、上部12から内側スカート20よりも長く延び円筒状であり、 環状フランジ18が上部12の内面14から垂下されてもよく、その環状フランジ18は、上部12の中心にくるように合わせられ、蓋が使用されているときにボトルの首部内に適合するように調整されて、容器から液体が漏れることを防止するものであり、環状フランジ18は、内側スカート20の内側に設けられている、蓋10。」 ウ また、引用文献2には、以下の事項が記載されている。 (ク)「FIG. 1 illustrates a container and closure package 10 as comprising a closure 12 secured to the finish 14 of a container 16 .」(3欄3~5行) (当審訳:図1には、容器16の口部14に固定された蓋12を含む、容器と蓋のパッケージが示されている。) (ケ)「FIG. 3 illustrates a closure 12a as comprising a hollow plastic shell with a base wall 22 and an integral peripheral skirt 24 extending axially from base wall 22 . Skirt 24 has one or more internal threads or beads 26 for securing closure 12a to one or more external threads or beads 28 on the finish 14 of container 16 . A liner 30 is internally secured to base wall 22 for sealing engagement with container finish 14 . Liner 30 may be of any suitable resilient resin composition, ・・・・The liner is preferably compression molded in situ within closure 12a against base wall 22 , ・・・・Alternatively, liner 30 may be separately formed, and laid into and secured to base wall 22 of closure 12a .」(3欄28~44行) (当審訳:図3 には、基部壁22と基部壁22から軸線方向に延びる一体化した周囲スカート24からなるプラスチック製の中空シェルにより構成される蓋12aが示されている。スカート24は、容器16の口部14の1条又は2条以上の雄ねじまたはビード28に固定するための、1条又は2条以上の雌ねじまたはビード26を備えている。ライナー30は、容器の口部14と密閉係合するように、基部壁22の内側に固定されている。ライナー30は、任意の適切な弾性樹脂組成物でよい。・・・・ライナーは、好ましくは、基部壁22に対する蓋12a内に、その場で圧縮成形されている。・・・・あるいは、ライナー30は、別に形成され、中に置かれ、蓋12aの基部壁22に固定されてもよい。) (コ)「図1 」 (サ)「図3 」 (3)本願発明について ア 本願発明と引用発明を対比する。 引用発明の「容器を閉鎖する」「蓋10」は、本願発明の「関連した容器用」の「クロージャー」に相当し、引用発明の「蓋10」の「上部12」は、本願発明の「クロージャー」の「上壁部分」に相当する。 また、引用発明の「内側スカート20」、「外側スカート30」は、「同心リングであり、蓋10の上面12の内面14から垂下するように設けられるとともに、上面12の内面14の中心にくるように合わせて配置」されており、本願発明の「第一および第二のスカート部分が互いに同心関係」で「上壁部分から垂れ下」がるように配置される「第二の内側環状スカート部分」、「第一の外側環状スカート部分」にそれぞれ相当するものである。また、引用発明の「外側スカート30の直径は、内側スカート20の直径より大き」いことは、本願発明の「内側スカート部分」が「外側スカート部分の内側に配置されている」ことに相当する。 また、引用発明の「上部12、内側スカート20、および外側スカート30」を有する「蓋10」は、本願発明の「上壁部分、第一の外側環状スカート部分、および第二の内側環状スカート部分」を有する「クロージャーキャップ」と同様に、蓋の外形をなす「外殻」(本願明細書の段落【0025】「クロージャー10は上壁部分14を有する外側クロージャーキャップまたは外殻12を含んでなる」)ともいえる。 また、引用発明の「内側スカートの内側に面する表面22は、容器の首部のネジ山と係合するように構成された1つ以上のネジ山26を含み、内側スカート20の外側に面する表面24は円筒状の外面を有」することは、本願発明の「関連した容器上の雄ねじ形成部との嵌合のために、少なくとも1つの螺旋状の雌ねじ形成部を該内側スカート部分の内面に有する該内側スカート部分と、ただし該内側スカート部分は円筒状の外面を有する」ことに相当する。 また、引用発明の「内側および外側スカート20,30は、同心リング」であることから、引用発明の「外側スカート30は、内側表面32と外側表面34とを有しており、外側スカート30は、上部12から内側スカート20よりも長く延び円筒状である」ことは、本願発明の「該上壁部分から該内側スカート部分よりもさらに延び、そして円筒状で該内側スカート部分の外面と同心の内面を有する該外側スカート部分」に相当する。 そして、引用発明の「環状フランジ18」は、「内側スカート20の内側に設けられ」、「容器から液体が漏れることを防止するもの」であるところ、本願発明の「内側スカート部分内の上壁部分の内面に配置された」「密閉ライナー」も、本願明細書(段落【0024】)に「比較的柔らかい密閉ライナーを関連したボトルまたは容器との望ましい密封嵌合に提供できる点で特に有利である。」と記載されるように、容器との密封、すなわち、容器から内容物が漏れることを防ぐために設けられるものであるから、引用発明の「環状フランジ18が上部12の内面14から垂下されてもよく、その環状フランジ18は、上部12の中心にくるように合わせられ、蓋が使用されているときにボトルの首部内に適合するように調整されて、容器から液体が漏れることを防止するものであり、環状フランジ18は、内側スカート20の内側に設けられている」ことと、本願発明の「該内側スカート部分内の該上壁部分の内面に配置された密閉ライナーと、ただし該密閉ライナーは該内側環状スカート部分の内面から内側に間隔が開けられていて該雌ねじ形成部と同心である」こととは、容器から内容物が漏れることを防ぐための部材が、内側スカート部分内の上壁部分の内面に配置され、内側スカート部分の内側に設けられているという限りで一致する。 イ そうすると、本願発明と引用発明は、 「関連した容器用のクロージャーであって: 上壁部分、第一の外側環状スカート部分、および第二の内側環状スカート部分を有するクロージャーキャップであって、該第一および第二のスカート部分が互いに同心関係で該上壁部分から垂れ下がり、該内側スカート部分が該外側スカート部分の内側に配置されている、該クロージャーキャップと; 関連した容器上の雄ねじ形成部との嵌合のために、少なくとも1つの螺旋状の雌ねじ形成部を該内側スカート部分の内面に有する該内側スカート部分と、ただし該内側スカート部分は円筒状の外面を有する; 該上壁部分から該内側スカート部分よりもさらに延び、そして円筒状で該内側スカート部分の外面と同心の内面を有する該外側スカート部分と; 容器から内容物が漏れることを防ぐための部材が、内側スカート部分内の上壁部分の内面に配置され、内側スカート部分の内側に設けられている、 クロージャー。」 であることで一致し、以下の点で相違する。 《相違点》 容器から内容物が漏れることを防ぐための部材について、本願発明は「密閉ライナー」であり、「内側環状スカート部分の内面から内側に間隔が開けられていて雌ねじ形成部と同心である」のに対し、引用発明は「環状フランジ18」であり、蓋の「上部12の中心にくるように合わせられ、蓋が使用されているときにボトルの首部内に適合するように調整」されている点。 ウ 上記相違点について検討する。 (ア)引用文献2には、任意の適切な弾性樹脂組成物から形成し、蓋12aの基部壁22の内側に固定し、容器の口部14に密閉係合するライナー30が記載されている。引用発明の蓋も、容器から内容物が漏れることを防ぐために、容器との密閉性の向上が求められているものであるから、引用発明の環状フランジ18に換えて、引用文献2のライナーを蓋の上部内面に設けて、容器から液体が漏れないようにすることは、当業者が容易に想到し得るものといえる。 その際、引用発明の「環状フランジ18」が「上部12の中心にくるように合わせられ、蓋が使用されているときにボトルの首部内に適合するように調整されて、容器から液体が漏れることを防止する」ものであるように、蓋の内側に設けられた「容器から内容物が漏れることを防ぐための部材」は、蓋の雌ねじをボトルの首部(口部)の雄ねじに螺合させる際に、ボトルの首部(口部)の端部と「容器から内容物が漏れることを防ぐための部材」とが、首部(口部)の周方向のどの箇所でも均等にシール力がかかるように、蓋とボトルの首部(口部)の中心に対して同心に配置することが技術常識といえる。また、「容器から内容物が漏れることを防ぐための部材」を、蓋の雌ねじから内側に間隔を開けて設けることも、引用文献2の図3に、ライナー30の端部がスカート24の雌ねじ26から内側に設けることが示されるように、「容器から内容物が漏れることを防ぐための部材」を蓋に取り付ける際に、適宜、成し得るものである。そのため、引用発明の蓋の上部内面に引用文献2のライナーを配置するにあたり、雌ねじから内側に間隔を開けて、雌ねじと同心に設けることは、当業者が、通常取り得る配置といえる。 (イ)請求人は、審判請求書(手続補正書(方式)の「[2]請求項1~3に対する拒絶理由について」)において、「拒絶理由においては、引用文献2の図3~7にはライナー30をスカート部分24の内面から内側に間隔を開けて設けることが記載されているから、本願発明は引用文献1と引用文献2との組み合わせに基づいて当業者が容易に推考できたものであると認定されている。しかし、引用文献2の開示を、このように引用文献1の開示と結び付けることは、不合理である。何故なら、引用文献2のクロージャーは、・・・・一重壁構造であって、本願発明のように、二重壁(外壁スカート及び内側スカート)と密閉ライナーとの機能的作用によって容器の密閉性及びクロージャーの把持性を向上させるという、二重壁構造クロージャーにおける独特の課題の解決に向けられたものではないからである。 しかも、引用文献1及び引用文献2には、(1)引用文献1の二重壁クロージャーにおける環状フランジ18を引用文献2の一重壁クロージャーにおける密閉ライナー30で置き換える動機を当業者に与え得る記載は無く、また、(2)引用文献2の一重壁クロージャーにおける密閉ライナー30を引用文献1の二重壁クロージャーに更なる構成要素として付加する動機を当業者に与え得る記載も無い。」と主張する。 しかし、上記(ア)で述べたように、引用発明の二重壁構造のものにおいても、容器から液体が漏れることを防止するという課題があり、その課題の解決に向けて、蓋と容器との間の密閉性をより高めるために、引用文献2のライナーを採用しようとする動機付けができるものといえる。そして、二重壁構造のクロージャーにおいて密閉ライナーを設けることによる格別な効果については、本件明細書において記載されておらず、請求人がいう「容器の密閉性」に係る効果は、引用文献2のライナーを設けることから、また「クロージャーの把持性を向上させる」ことに係る効果は、引用発明の外側スカートと内側スカートを設けることから、それぞれ予測し得る効果である。 よって、請求人の上記主張は採用できない。 (ウ)また、請求人は、本願発明の「密閉ライナーは内側環状スカート部分の内面から内側に間隔が開けられて」設けられることについて、平成28年6月30日の意見書(「[II]拒絶理由1」)において、「本願発明は、内外二重のスカートを有するクロージャーにおいて、内側スカートの内部上壁に内側スカートの内面から内側に間隔を開けて密閉ライナーを施すこと(例えば請求項4及び図4に示すように圧縮成形すること)によって特徴づけられるものである。 引用文献1(US2002/0185464明細書)には、二重のスカートを有するクロージャーが記載されているが、密閉を得るための手段は、ライナーではなくて、環状フランジ18である。この環状フランジ18は、内側スカートから内側に間隔を開けて密閉ライナー24を施す本願発明を何等も示唆し得るものではない。」と主張するが、物としてのクロージャーにおいて、「密閉ライナーは内側環状スカート部分の内面から内側に間隔が開けられて」設けることは、上述したように、引用文献2の図3に示されるように、適宜、成し得るものであって格別なものではない。 なお、この点について、請求人は、請求項4及び5に対する主張ではあるが、審判請求書(手続補正書(方式)の「[3]請求項4及び5に対する拒絶理由について」)において、「本願請求項4の方法は、・・・・明細書段落[0012]及び[0016]で説明されているとおり、二重壁クロージャーにおいて内側スカート部分18の内面から内側に間隔を開けて上壁部分14の内面に密閉ライナー24を設けるために・・・・雌ねじ形成部20と上壁部分14の内面との間に外側スリーブ44を嵌合し、その内部でプランジャー46を推し進めることによってライナー材料40を圧縮成形する、というものである。内側スカート部分18の内面から内側に間隔を開けて上壁部分14の内面に設けられたこの密閉ライナー24は、その製作が容易且つ効率的であること、容器の壁厚に対する調節が容易であること、材料の使用量が節約できること、などのメリットをもたらす。」と主張する。 しかし、本願明細書には、「密閉ライナーは内側環状スカート部分の内面から内側に間隔が開けられて」設けることの効果について、段落【0033】に「このライナー形成部品は、ライナー形成ツールが『先導し』、そしてねじ形成部により案内されることができるように、外側スリーブ44と雌ねじ形成部20との間に大変薄い締め代が存在するように形成されることが好ましい。これでクロージャーのねじと同心の内側プランジャーによるライナーの形成がもたらされ、強化された適用および密閉のために、関連した容器のねじ形成部と同心の密閉ライナー24を生じる。」と記載されているものの、「密閉ライナーは内側環状スカート部分の内面から内側に間隔が開けられて」設けられたクロージャーが、どのような効果を奏するのかについては記載されていない。また、請求人がいう「その製作が容易且つ効率的であること、容器の壁厚に対する調節が容易であること、材料の使用量が節約できること」とのメリットについても、本願明細書に記載されていないし、密閉ライナーを限られた範囲に形成した方が、材料も少量で済むし、作る際に治具を入れ易く作り易いことは明らかであり、引用文献1及び2の記載からも含め、予測できる程度のものである。 (エ)したがって、上記相違点に係る構成は、引用発明及び引用文献2に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に想到することができたものである。 エ.よって、本願発明は、引用発明及び引用文献2に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (4)まとめ 以上によれば、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、その余の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2017-004966

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