特許拒絶査定不服審判
2017-004427
遊技機
- 審判番号
- 2017-004427
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2016-029816外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2017年03月29日
- 審決日
- 2017年11月07日
- 公報発行日
- 2018年02月23日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社オリンピア
- 【請求人代理人】特許業務法人太陽国際特許事務所
- 分類
- P18 .113-Z (A63F) / P18 .121-Z (A63F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条1項3号特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2016- 29816「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 5月26日出願公開、特開2016- 93698〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
1 手続の経緯
本願は、平成24年3月30日に出願した特願2012-80607号の一部を平成28年2月19日に新たな特許出願(特願2016-29816号)としたものであって、平成28年10月6日付けで拒絶の理由が通知され、平成28年12月8日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、平成29年1月19日付けで拒絶査定がなされ、それに対して、平成29年3月29日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。
2 本願発明
この出願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成28年12月8日付けの手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。
「【請求項1】
当選か否かの当選判定の抽選を行い、抽選結果に基づいて、その後の遊技において所定の利益を付与し得るように形成され、
演出を実行させるための複数の演出データを備え、
所定の開始契機が発生した場合に演出実行の有無を決定するとともに、前記複数の演出データの中から所定条件に応じて演出データを選択し、実行させる演出の種類を決定する実行演出決定手段と、
前記実行演出決定手段の決定に基づいて、演出を実行させる演出実行手段と、を少なくとも備え、
前記演出として、複数回の単位期間にわたり継続して実行される連続演出を備え、
前記実行演出決定手段は、前記連続演出の決定に際し、前記連続演出の進行パターンを選択して決定可能であるとともに、発生した抽選結果に起因して利益を獲得し得る可能性に応じて前記連続演出に係る演出データを選択可能に形成されている遊技機において、
前記演出実行手段は、
前記連続演出の実行中における所定の契機で、実行中の演出に対して相対的に期待度の高い演出が選択された場合にのみ、この選択された演出を実行可能に形成されていることを特徴とする遊技機。」
3 刊行物
(1)原査定の拒絶の理由に引用文献1として引用された特開2010-110434号公報(以下、「刊行物1」という。)には、次の事項が図面とともに記載されている。
(1-a)「【技術分野】
【0001】
本発明は、各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示装置の表示結果に応じて所定の入賞が発生可能なスロットマシンに関する。・・・
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載のスロットマシンでは、特別役を取りこぼした場合であっても、特定役が当選した場合であっても、共通の特定の表示態様が停止することにより、特定の表示態様が停止することで特別役の当選に対する期待感を高めることができるものの、特定の表示態様が停止しても特定役が入賞した場合には、特別役の当選が否定されてしまうこととなり、このような場合には特別役の当選に対する期待感が損なわれてしまうという問題があった。
【0008】
また、特許文献2に記載されたスロットマシンのように、小役の単独当選、小役と特別役の同時当選を可能とすることで、小役が入賞した場合であっても、特別役の当選が否定されることがなく、特別役の当選に対する期待感を維持できるが、それ以上に特別役の当選に対する期待感を高めることができるものではなかった。
【0009】
本発明は、このような問題点に着目してなされたものであり、可変表示領域の表示態様に応じて特別入賞に対する期待感を高めることができるスロットマシンを提供することを目的とする。」
(1-b)「【0036】
ゲームが開始可能な状態でスタートスイッチ7を操作すると、各リール2L、2C、2Rが回転し、各リール2L、2C、2Rの図柄が連続的に変動する。この状態でいずれかのストップスイッチ8L、8C、8Rを操作すると、対応するリール2L、2C、2Rの回転が停止し、透視窓3に表示結果が導出表示される。
【0037】
そして全てのリール2L、2C、2Rが停止されることで1ゲームが終了し、有効化されたいずれかの入賞ラインL1~L5上に予め定められた図柄の組合せ(以下、役とも呼ぶ)が各リール2L、2C、2Rの表示結果として停止した場合には入賞が発生し、その入賞に応じて定められた枚数のメダルが遊技者に対して付与され、クレジットに加算される。また、クレジットが上限数(本実施例では50)に達した場合には、メダルが直接メダル払出口9(図1参照)から払い出されるようになっている。尚、有効化された複数の入賞ライン上にメダルの払出を伴う図柄の組合せが揃った場合には、有効化された入賞ラインに揃った図柄の組合せそれぞれに対して定められた払出枚数を合計し、合計した枚数のメダルが遊技者に対して付与されることとなる。ただし、1ゲームで付与されるメダルの払出枚数には、上限(本実施例では15枚)が定められており、合計した払出枚数が上限を超える場合には、上限枚数のメダルが付与されることとなる。また、有効化されたいずれかの入賞ラインL1~L5上に、遊技状態の移行を伴う図柄の組合せが各リール2L、2C、2Rの表示結果として停止した場合には図柄の組合せに応じた遊技状態に移行するようになっている。」
(1-c)「【0103】
以下、本実施例の内部抽選について説明する。内部抽選は、上記した各役への入賞を許容するか否かを、全てのリール2L、2C、2Rの表示結果が導出表示される以前に(実際には、スタートスイッチ7の検出時)決定するものである。内部抽選では、まず、後述するように内部抽選用の乱数(0~65535の整数)が取得される。そして、遊技状態及び特別役の持ち越しの有無に応じて定められた各役及び役の組合せについて、取得した内部抽選用の乱数と、遊技状態、賭数及び設定値に応じて定められた各役及び役の組合せの判定値数に応じて行われる。本実施例においては、各役及び役の組合せの判定値数から、特別役、小役、再遊技役がそれぞれ単独で当選する判定値の範囲、小役及び特別役または再遊技役及び特別役が重複して当選する判定値の範囲、複数種類の小役が重複して当選する判定値の範囲、複数種類の再遊技役が重複して当選する判定値の範囲、が特定されるようになっており、内部抽選における当選は排他的なものではなく、1ゲームにおいて複数種類の役が同時に当選することがあり得る。ただし、種類の異なる特別役については、重複して当選する判定値の範囲が特定されることがなく、種類の異なる特別役については、排他的に抽選を行うものである。」
(1-d)「【0221】
本実施例においてサブCPU91aは、通常遊技状態、RT(1)~(4)において特別役の当選が告知されていないことを条件に、複数ゲームにわたり継続し、最終的に特別役に当選しているか否かを示す演出結果を導く特別役当選示唆演出を実行する。
【0222】
サブCPU91aは、通常遊技状態、RT(1)~(4)において特別役の当選が告知されておらず、特別役当選示唆演出の実行中でもなく、かつ特別役と同時当選する可能性の高いスイカ+1枚、スイカ、チェリーが当選した場合(いずれも特別役との同時当選を含む)に、特別役当選示唆演出を実行するか否か及び実行する特別役当選示唆演出の演出パターンを決定する特別役当選示唆演出抽選を実行し、いずれかの演出パターンの特別役当選示唆演出に当選した場合には、当選した演出パターンの特別役当選示唆演出を実行する。
【0223】
特別役当選示唆演出は、図10に示すように、演出パターン0~6の7種類からなり、さらに演出パターン1~6には、それぞれ特別役の非当選を示す「-1」の演出パターンと、特別役の当選を示す「-2」の演出パターンと、が定められている。
【0224】
演出パターン0は、特別役当選示唆演出を実行しないパターンであり、当該演出パターンが決定された場合には、特別役当選示唆演出は実行されない。
【0225】
演出パターン1-1は、1ゲーム目に、図11(a)に示す演出開始画面を表示させた後、2ゲーム目に、図11(b)(c)に示すように通常柄の花火を制作する花火制作演出(通常)を実行し、3ゲーム目に、図12(e)(f)(g)(j)に示すように、ゲーム開始後、無効化されているMAXBETスイッチ6の操作を促す画像を表示させた後、MAXBETスイッチ6の操作がなされ、メインCPU41aからMAXBETスイッチ6の操作がなされた旨を示す操作検出コマンドを受信した場合であっても、後述するカットイン演出を伴わずに花火を打ち上げる花火打上演出(カットインなし)を実行し、4ゲーム目に、図12(m)に示すように、打上失敗演出を実行して特別役の非当選を報知するパターンである。演出パターン1-2は、3ゲーム目までは演出パターン1-1と同じであるが、4ゲーム目において打上失敗演出ではなく、図12(k)に示すように、打上成功演出を実行して特別役の当選を報知するパターンである。
【0226】
演出パターン2-1は、1ゲーム目に、図11(a)に示す演出開始画面を表示させた後、2ゲーム目に、図11(b)(d)に示すように桜柄の花火を制作する花火制作演出(桜柄)を実行し、3ゲーム目に、図12(e)(f)(g)(j)に示すように、ゲーム開始後、無効化されているMAXBETスイッチ6の操作を促す画像を表示させた後、MAXBETスイッチ6の操作がなされ、メインCPU41aからMAXBETスイッチ6の操作がなされた旨を示す操作検出コマンドを受信した場合であっても、後述するカットイン演出を伴わずに花火を打ち上げる花火打上演出(カットインなし)を実行し、4ゲーム目に、図12(m)に示すように、打上失敗演出を実行して特別役の非当選を報知するパターンである。演出パターン2-2は、3ゲーム目までは演出パターン2-1と同じであるが、4ゲーム目において打上失敗演出ではなく、図12(k)に示すように、打上成功演出を実行して特別役の当選を報知するパターンである。
【0227】
演出パターン3-1は、1ゲーム目に、図11(a)に示す演出開始画面を表示させた後、2ゲーム目に、図11(b)(c)に示すように通常柄の花火を制作する花火制作演出(通常)を実行し、3ゲーム目に、図12(e)(f)(h)(j)に示すように、ゲーム開始後、無効化されているMAXBETスイッチ6の操作を促す画像を表示させた後、MAXBETスイッチ6の操作がなされ、メインCPU41aからMAXBETスイッチ6の操作がなされた旨を示す操作検出コマンドを受信した場合に、表示画面上に画像を割り込ませるカットイン演出(小)を伴う花火を打ち上げる花火打上+カットイン(小)演出を実行し、4ゲーム目に、図12(m)に示すように、打上失敗演出を実行して特別役の非当選を報知するパターンである。演出パターン3-2は、3ゲーム目までは演出パターン3-1と同じであるが、4ゲーム目において打上失敗演出ではなく、図12(k)に示すように、打上成功演出を実行して特別役の当選を報知するパターンである。
【0228】
演出パターン4-1は、1ゲーム目に、図11(a)に示す演出開始画面を表示させた後、2ゲーム目に、図11(b)(d)に示すように桜柄の花火を制作する花火制作演出(桜柄)を実行し、3ゲーム目に、図12(e)(f)(h)(j)に示すように、ゲーム開始後、無効化されているMAXBETスイッチ6の操作を促す画像を表示させた後、MAXBETスイッチ6の操作がなされ、メインCPU41aからMAXBETスイッチ6の操作がなされた旨を示す操作検出コマンドを受信した場合に、表示画面上に画像を割り込ませるカットイン演出(小)を伴う花火を打ち上げる花火打上+カットイン(小)演出を実行し、4ゲーム目に、図12(m)に示すように、打上失敗演出を実行して特別役の非当選を報知するパターンである。演出パターン4-2は、3ゲーム目までは演出パターン4-1と同じであるが、4ゲーム目において打上失敗演出ではなく、図12(k)に示すように、打上成功演出を実行して特別役の当選を報知するパターンである。
【0229】
演出パターン5-1は、1ゲーム目に、図11(a)に示す演出開始画面を表示させた後、2ゲーム目に、図11(b)(c)に示すように通常柄の花火を制作する花火制作演出(通常)を実行し、3ゲーム目に、図12(e)(f)(i)(j)に示すように、ゲーム開始後、無効化されているMAXBETスイッチ6の操作を促す画像を表示させた後、MAXBETスイッチ6の操作がなされ、メインCPU41aからMAXBETスイッチ6の操作がなされた旨を示す操作検出コマンドを受信した場合に、表示画面上に演出パターン3、4よりもサイズの大きい画像を割り込ませるカットイン演出(大)を伴う花火を打ち上げる花火打上+カットイン(大)演出を実行し、4ゲーム目に、図12(m)に示すように、打上失敗演出を実行して特別役の非当選を報知するパターンである。演出パターン5-2は、3ゲーム目までは演出パターン5-1と同じであるが、4ゲーム目において打上失敗演出ではなく、図12(k)に示すように、打上成功演出を実行して特別役の当選を報知するパターンである。
【0230】
演出パターン6-1は、1ゲーム目に、図11(a)に示す演出開始画面を表示させた後、2ゲーム目に、図11(b)(d)に示すように桜柄の花火を制作する花火制作演出(桜柄)を実行し、3ゲーム目に、図14(e)(f)(i)(j)に示すように、ゲーム開始後、無効化されているMAXBETスイッチ6の操作を促す画像を表示させた後、MAXBETスイッチ6の操作がなされ、メインCPU41aからMAXBETスイッチ6の操作がなされた旨を示す操作検出コマンドを受信した場合に、表示画面上に演出パターン3、4よりもサイズの大きい画像を割り込ませるカットイン演出(大)を伴う花火を打ち上げる花火打上+カットイン(大)演出を実行し、4ゲーム目に、図12(m)に示すように、打上失敗演出を実行して特別役の非当選を報知するパターンである。演出パターン6-2は、3ゲーム目までは演出パターン6-1と同じであるが、4ゲーム目において打上失敗演出ではなく、図12(k)に示すように、打上成功演出を実行して特別役の当選を報知するパターンである。
【0231】
尚、演出パターン3~6の3ゲーム目において、ゲーム開始後、無効化されているMAXBETスイッチ6の操作を促す画像を表示させたにも関わらず、MAXBETスイッチ6の操作がなされずに、メインCPU41aからMAXBETスイッチ6の操作がなされた旨を示す操作検出コマンドを受信しなかった場合には、カットインを伴わず、カットインを伴うパターンであったか否かを判別することはできないようになっている。
【0232】
特別役当選示唆演出抽選では、図13(a)に示すように、特別役+スイカ+1枚が当選しているか、特別役+スイカが当選しているか、特別役+チェリーが当選しているか、スイカ+1枚が当選しているか、スイカが当選しているか、チェリーが当選しているか、に応じて異なる確率で、演出パターン0~6を選択する。」
(1-e)「【0249】
また、サブCPU91aは、特別役当選示唆演出の開始後、演出結果が導かれる前に、特別役と同時に当選する可能性の高いスイカ+1枚、スイカ、チェリーのいずれかが当選したときに、演出パターン変更抽選を実行し、演出パターン変更抽選に当選した場合には、現在実行中の演出パターンを当選した演出パターンに変更し、以後、変更後の演出パターンに基づいて特別役当選示唆演出を実行する。
【0250】
本実施例では、図13(a)に示すように、演出パターン6、5、4、3、2、1の順番で特別役と同時に当選している場合に選択される比率が高く、演出パターン6、5、4、3、2、1の順番で特別役に当選している可能性が高くなる。そして演出パターン変更抽選では、図13(b)に示すように、スイカ+1枚が当選したか、スイカが当選したか、チェリーが当選したか、に応じた確率で、変更なしとするか、変更後の演出パターンを決定する。
【0251】
また、演出パターン変更抽選において演出パターンを変更する場合には、現在実行している特別役当選示唆演出の演出パターンよりも特別役の当選期待度の高い演出パターンに必ず変更されるようになっており、現在の演出パターンよりも特別役の当選期待度の低い演出パターンに変更されることはない。図中「+1」とは、1階層、特別役の当選期待度の高い演出パターンを示すものであり、現在の演出パターンが1であれば、変更後の演出パターンが演出パターン2となることを示す。同様に、図中「+2」とは、2階層、特別役の当選期待度の高い演出パターン、図中「+3」とは、3階層、特別役の当選期待度の高い演出パターン、図中「+4」とは、4階層、特別役の当選期待度の高い演出パターン、図中「+5」とは、5階層、特別役の当選期待度の高い演出パターンをそれぞれ示すものである。尚、例えば、演出パターン5の実行中に、「+5」が当選した場合など、それ以上の特別役の当選期待度の高い演出パターンが存在しない場合には、最も特別役の当選期待度の高い演出パターン6が変更後の演出パターンとして決定される。」
(1-f)段落【0232】には、「図13(a)に示すように、演出パターン6、5、4、3、2、1の順番で特別役と同時に当選している場合に選択される比率が高く」と記載されているが、図13(a)を参照すると、「特別役+スイカ+1枚」、「特別役+スイカ」の場合には、その順番で選択される比率が高いが、「特別役+チェリー」の場合には、パターン5は90であり、パターン6は78であり、一部その順番で選択率が高くなっていないから、特別役と同時に当選している場合には、概ね演出パターン6、5、4、3、2、1の順番で選択される比率が高いといえる。
また、図13(a)を参照すると、特別役と同時に当選していない「チェリー」の場合には、パターン1は44であり、パターン2は38であり、パターン3は34であり、パターン4は30であり、パターン5は27であり、パターン6は24となっており、選択パターン1、2、3、4、5、6の順番で選択される比率が高いといえる。一方、同様に特別役と同時に当選してない「スイカ」、「スイカ+1枚」の場合は、一部その順番で選択率が低くなっていないものの、概ねその順番で選択される比率が高いといえる。
よって、特別役と同時に当選していない場合には、概ね演出パターン1、2、3、4、5、6の順番で選択される比率が高いといえる。
よって、以上の記載事項を総合すると、刊行物1には、次の発明が記載されていると認められる(以下、この発明を「刊行物1発明」という。)。
「スタートスイッチ7を操作するスタートスイッチ7の検出時に各役への入賞を許容するか否かを決定する内部抽選を行い、役の図柄の組み合わせが有効化されたいずれかの入賞ラインL1~L5上に各リール2L、2C、2Rの表示結果として停止した場合には入賞が発生し、その入賞に応じて定められた枚数のメダルが遊技者に対して付与され(段落【0036】、【0037】、【0103】)、
特別役当選示唆演出は、演出パターン0~6の7種類からなり、演出パターン1~6には、それぞれ特別役の非当選を示す「-1」の演出パターンと、特別役の当選を示す「-2」の演出パターンと、が定められており(段落【0223】)、
特別役と同時当選する可能性の高いスイカ+1枚、スイカ、チェリーが当選した場合(いずれも特別役との同時当選を含む)に、特別役当選示唆演出を実行するか否か及び実行する特別役当選示唆演出の演出パターンを決定する特別役当選示唆演出抽選を実行し、いずれかの演出パターンの特別役当選示唆演出に当選した場合には、当選した演出パターンの特別役当選示唆演出を実行するサブCPU91aを備え(段落【0222】)、
前記特別役当選示唆演出抽選では、特別役+スイカ+1枚が当選しているか、特別役+スイカが当選しているか、特別役+チェリーが当選しているか、スイカ+1枚が当選しているか、スイカが当選しているか、チェリーが当選しているか、に応じて異なる確率で、演出パターン0~6を選択し(段落【0232】)、
例えば、演出パターン1-1は、1ゲーム目に、演出開始画面を表示させた後、2ゲーム目に、通常柄の花火を制作する花火制作演出(通常)を実行し、3ゲーム目に、花火打上演出(カットインなし)を実行し、4ゲーム目に、打上失敗演出を実行して特別役の非当選を報知するパターンであり、 演出パターン2-1は、1ゲーム目に、演出開始画面を表示させた後、2ゲーム目に、桜柄の花火を制作する花火制作演出(桜柄)を実行し、3ゲーム目に、花火打上演出(カットインなし)を実行し、4ゲーム目に打上失敗演出を実行して特別役の非当選を報知するパターンであり(段落【0225】、【0226】)、
特別役と同時に当選している場合には、概ね演出パターン6、5、4、3、2、1の順番で選択される比率が高く、特別役と同時に当選していない場合には、概ね演出パターン1、2、3、4、5、6の順番で選択される比率が高いスロットマシンにおいて(認定事項(1-f)、段落【0001】)、
サブCPU91aは、特別役当選示唆演出の開始後、演出結果が導かれる前に、特別役と同時に当選する可能性の高いスイカ+1枚、スイカ、チェリーのいずれかが当選したときに、演出パターン変更抽選を実行し、演出パターン変更抽選に当選した場合には、現在実行中の演出パターンを当選した演出パターンに変更し(段落【0249】)、
演出パターン変更抽選では、スイカ+1枚が当選したか、スイカが当選したか、チェリーが当選したか、に応じた確率で、変更なしとするか、変更後の演出パターンを決定し(段落【0250】)、
演出パターン変更抽選において演出パターンを変更する場合には、現在実行している特別役当選示唆演出の演出パターンよりも特別役の当選期待度の高い演出パターンに必ず変更されるようになっているスロットマシン(段落【0251】)。」
4 対比・判断
本願発明と刊行物1発明とを対比する。
ア 刊行物1発明の「各役への入賞を許容するか否かを決定する内部抽選」は、本願発明の「当選か否かの当選判定の抽選」に相当する。また、刊行物1発明の「役の図柄の組み合わせが有効化されたいずれかの入賞ラインL1~L5上に各リール2L、2C、2Rの表示結果として停止した場合には入賞が発生し、その入賞に応じて定められた枚数のメダルが遊技者に対して付与され」る点は、本願発明の「抽選結果に基づいて、その後の遊技において所定の利益を付与し得る」点に相当する。
よって、刊行物1発明の「スタートスイッチ7の検出時に各役への入賞を許容するか否かを決定する内部抽選を行い、役の図柄の組み合わせが有効化されたいずれかの入賞ラインL1~L5上に各リール2L、2C、2Rの表示結果として停止した場合には入賞が発生し、その入賞に応じて定められた枚数のメダルが遊技者に対して付与され」る点は、本願発明の「当選か否かの当選判定の抽選を行い、抽選結果に基づいて、その後の遊技において所定の利益を付与し得るように形成され」る点に相当する。
イ 刊行物1発明の「演出パターン」は、本願発明の「演出データ」に相当する。また、刊行物1発明の「演出パターン」は、演出を実行させるためのものであることは、明らかである。
よって、刊行物1発明の「特別役当選示唆演出は、演出パターン0~6の7種類からなり、演出パターン1~6には、それぞれ特別役の非当選を示す「-1」の演出パターンと、特別役の当選を示す「-2」の演出パターンと、が定められて」いる点は、本願発明の「演出を実行させるための複数の演出データを備え」る点に相当する。
ウ 刊行物1発明の「特別役と同時当選する可能性の高いスイカ+1枚、スイカ、チェリーが当選した場合(いずれも特別役との同時当選を含む)に特別役当選示唆演出を実行するか否か」「を決定する」点は、本願発明の「所定の開始契機が発生した場合に演出実行の有無を決定する」点に相当し、刊行物1発明の「実行する特別役当選示唆演出の演出パターンを決定する」点は、本願発明の「演出データを選択」する点に相当する。
そして、刊行物1発明の「特別役+スイカ+1枚が当選しているか、特別役+スイカが当選しているか、特別役+チェリーが当選しているか、スイカ+1枚が当選しているか、スイカが当選しているか、チェリーが当選しているか、に応じて異なる確率で、演出パターン0~6を選択」する点は、本願発明の「複数の演出データの中から所定条件に応じて演出データを選択」する点に相当する。
さらに、刊行物1発明の「特別役当選示唆演出抽選を実行し、いずれかの演出パターンの特別役当選示唆演出に当選した場合には、当選した演出パターンの特別役当選示唆演出を実行するサブCPU91a」は、本願発明の「演出データを選択し、実行させる演出の種類を決定する実行演出決定手段」及び「前記実行演出決定手段の決定に基づいて、演出を実行させる演出実行手段」に相当する。
よって、刊行物1発明の
「特別役と同時当選する可能性の高いスイカ+1枚、スイカ、チェリーが当選した場合(いずれも特別役との同時当選を含む)に、特別役当選示唆演出を実行するか否か及び実行する特別役当選示唆演出の演出パターンを決定する特別役当選示唆演出抽選を実行し、いずれかの演出パターンの特別役当選示唆演出に当選した場合には、当選した演出パターンの特別役当選示唆演出を実行するサブCPU91aを備え、
前記特別役当選示唆演出抽選では、特別役+スイカ+1枚が当選しているか、特別役+スイカが当選しているか、特別役+チェリーが当選しているか、スイカ+1枚が当選しているか、スイカが当選しているか、チェリーが当選しているか、に応じて異なる確率で、演出パターン0~6を選択」する点は、
本願発明の「所定の開始契機が発生した場合に演出実行の有無を決定するとともに、前記複数の演出データの中から所定条件に応じて演出データを選択し、実行させる演出の種類を決定する実行演出決定手段と、
前記実行演出決定手段の決定に基づいて、演出を実行させる演出実行手段と、を少なくとも備え」る点に相当する。
エ 刊行物1発明において、「演出パターン1」の特別役の非当選の場合である「演出パターン1-1」は、1ゲーム目から4ゲーム目にかけて特別役当選示唆演出を実行するから「複数回の単位期間にわたり継続して実行される連続演出」を備えているといえる。また、「演出パターン2」の特別役の非当選の場合である「演出パターン2-1」についても同様に、「複数回の単位期間にわたり継続して実行される連続演出」を備えているといえる。
また、刊行物1発明における「演出パターン1-1」は、「1ゲーム目に、演出開始画面を表示させた後、2ゲーム目に、通常柄の花火を制作する花火制作演出(通常)を実行し、3ゲーム目に、花火打上演出(カットインなし)を実行し、4ゲーム目に、打上失敗演出を実行して特別役の非当選を報知するパターン」であり、このパターンは複数回の単位期間にわたり継続しているから連続演出の進行パターンであるといえる。
そして、サブCPU91a(実行演出決定手段)が、特別役当選示唆演出の演出パターンを「演出パターン1-1」に決定する場合には、「演出パターン1-1」を構成する1~4ゲーム目の演出である連続演出の進行パターンを決定可能であるといえる。
同様に、「演出パターン2-1」を決定する場合にも「演出パターン2-1」を構成する連続演出の進行パターンを決定可能であるといえる。
よって、刊行物1発明の「例えば、演出パターン1-1は、1ゲーム目に、演出開始画面を表示させた後、2ゲーム目に、通常柄の花火を制作する花火制作演出(通常)を実行し、3ゲーム目に、花火打上演出(カットインなし)を実行し、4ゲーム目に、打上失敗演出を実行して特別役の非当選を報知するパターンであり、 演出パターン2-1は、1ゲーム目に、演出開始画面を表示させた後、2ゲーム目に、桜柄の花火を制作する花火制作演出(桜柄)を実行し、3ゲーム目に、花火打上演出(カットインなし)を実行し、4ゲーム目に打上失敗演出を実行して特別役の非当選を報知するパターンであ」る点は、本願発明の「前記演出として、複数回の単位期間にわたり継続して実行される連続演出を備え、前記実行演出決定手段は、前記連続演出の決定に際し、前記連続演出の進行パターンを選択して決定可能である」点に相当する。
オ 刊行物1において「特別役と同時に当選している場合には、概ね演出パターン6、5、4、3、2、1の順番で選択される比率が高く、特別役と同時に当選していない場合には、概ね演出パターン1、2、3、4、5、6の順番で選択される比率が高い」ことにおける「特別役と同時に当選している場合」とは、抽選結果に起因して利益を獲得し得る可能性が高いことを意味し、「特別役と同時に当選していない場合」とは、抽選結果に起因して利益を獲得し得る可能性がないことを意味する。
そして、前者は、概ね選択パターン6を選択する確率が高く、後者は、概ね選択パターン1を選択する確率が高いから、抽選結果に起因して利益を獲得し得る可能性に応じて演出パターンを選択しているといえる。
また、演出パターンを選択するのは、上記ウで検討したとおり、サブCPU91a(実行演出決定手段)である。
よって、刊行物1発明の(サブCPU91aは)「特別役と同時に当選している場合には、概ね演出パターン6、5、4、3、2、1の順番で選択される比率が高く、特別役と同時に当選していない場合には、概ね演出パターン1、2、3、4、5、6の順番で選択される比率が高いスロットマシン」は、本願発明の(実行演出決定手段は)「発生した抽選結果に起因して利益を獲得し得る可能性に応じて前記連続演出に係る演出データを選択可能に形成されている遊技機」に相当する。
カ 刊行物1発明における「特別役当選示唆演出の開始後、演出結果が導かれる前に、特別役と同時に当選する可能性の高いスイカ+1枚、スイカ、チェリーのいずれかが当選したときに、演出パターン変更抽選を実行し、演出パターン変更抽選に当選した場合」は、本願発明の「連続演出の実行中における所定の契機」に相当する。
また、刊行物1発明においては、演出パターン変更抽選で「変更なしとするか、変更後の演出パターンを決定」しているから、演出パターンを変更しない場合と、演出パターンを変更する場合とを有している。
そして、演出パターンを変更する場合には、「現在実行している特別役当選示唆演出の演出パターンよりも特別役の当選期待度の高い演出パターンに必ず変更される」ものであり、ここで「当選期待度」も「期待度」の一種であることから、実行中の演出よりも期待度の高い演出が選択されるといえる。
そうすると、演出パターンを変更する場合には、全て実行中の演出よりも期待度の高い演出が選択されるから、刊行物1発明において、選択された演出を変更(実行)するのは、(演出パターンを変更しない場合を除いた、)実行中の演出よりも期待度の高い演出が選択された場合のみであるということができる。
よって、刊行物1発明の
「サブCPU91aは、特別役当選示唆演出の開始後、演出結果が導かれる前に、特別役と同時に当選する可能性の高いスイカ+1枚、スイカ、チェリーのいずれかが当選したときに、演出パターン変更抽選を実行し、演出パターン変更抽選に当選した場合には、現在実行中の演出パターンを当選した演出パターンに変更し、
演出パターン変更抽選では、スイカ+1枚が当選したか、スイカが当選したか、チェリーが当選したか、に応じた確率で、変更なしとするか、変更後の演出パターンを決定し、
演出パターン変更抽選において演出パターンを変更する場合には、現在実行している特別役当選示唆演出の演出パターンよりも特別役の当選期待度の高い演出パターンに必ず変更されるようになっているスロットマシン。」は、
本願発明の
「前記演出実行手段は、
前記連続演出の実行中における所定の契機で、実行中の演出に対して相対的に期待度の高い演出が選択された場合にのみ、この選択された演出を実行可能に形成されている遊技機。」に相当する。
キ したがって、本願発明と刊行物1発明とは、
「当選か否かの当選判定の抽選を行い、抽選結果に基づいて、その後の遊技において所定の利益を付与し得るように形成され、
演出を実行させるための複数の演出データを備え、
所定の開始契機が発生した場合に演出実行の有無を決定するとともに、前記複数の演出データの中から所定条件に応じて演出データを選択し、実行させる演出の種類を決定する実行演出決定手段と、
前記実行演出決定手段の決定に基づいて、演出を実行させる演出実行手段と、を少なくとも備え、
前記演出として、複数回の単位期間にわたり継続して実行される連続演出を備え、
前記実行演出決定手段は、前記連続演出の決定に際し、前記連続演出の進行パターンを選択して決定可能であるとともに、発生した抽選結果に起因して利益を獲得し得る可能性に応じて前記連続演出に係る演出データを選択可能に形成されている遊技機において、
前記演出実行手段は、
前記連続演出の実行中における所定の契機で、実行中の演出に対して相対的に期待度の高い演出が選択された場合にのみ、この選択された演出を実行可能に形成されている遊技機。」
である点で一致し、相違点はない。
よって、本願発明は、刊行物1に記載された発明である。また、仮に相違点があったとしても、当業者が容易になし得たものである。
ク 請求人の主張
請求人は、審判請求書において、「図13(a)は、連続演出(特別役当選示唆演出)の実行前に行われる抽選のテーブルを示しており、連続演出の実行中は、図13(b)に示すテーブルが参照される。そして、図13(b)に示すテーブルは、特別役の当選期待度の高い演出パターンについて何階層上げるかを決定するに過ぎない。したがって、引用発明において連続演出の実行中は、実行中の演出に対して期待度の低い演出が選択されることはなく、期待度の高い演出が単にテーブルで決定される。つまり、本願発明の「前記連続演出の実行中における所定の契機で、実行中の演出に対して相対的に期待度の高い演出が選択された場合にのみ、この選択された演出を実行可能に形成されている」という構成について、引用文献1には一切記載がない。そして引用発明は、テーブルのみで演出の選択が事足りている以上、ここから本願発明の演出を乗り換える構成に至る動機付けが存在するとは言えない。」と主張する(第3頁第6~15行)。
しかしながら、図13(b)に示すテーブルは特別役の当選期待度の高い演出パターンについて何階層上げるかどうかに加えて変更なしについても決定するものである。そして、上記カにおいて検討したとおり、刊行物1発明において、演出パターンを変更する場合には、「現在実行している特別役当選示唆演出の演出パターンよりも特別役の当選期待度の高い演出パターンに必ず変更される」から、実行中の演出よりも期待度の高い演出が選択されるといえる。
そうすると、刊行物1発明において、選択された演出を変更(実行)するのは、(演出パターンを変更しない場合を除いた、)実行中の演出よりも期待度の高い演出が選択された場合のみであるということができる。
そして、図13(b)に示すテーブルが、特別役の当選期待度の高い演出パターンについて何階層上げるかを決定するものであるとしても、それにより期待度の高い演出が選択されることに変わりはない。
よって、本願発明の「前記連続演出の実行中における所定の契機で、実行中の演出に対して相対的に期待度の高い演出が選択された場合にのみ、この選択された演出を実行可能に形成されている」という構成は、刊行物1に記載されているといえる。
したがって、請求人の主張は採用できない。
5 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第1項第3号又は特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2017-004427