特許拒絶査定不服審判
2017-003088
電磁波遮蔽フィルムの製造方法及びこれから製造された電磁波遮蔽フィルムMETHODFORMANUFACTURINGELECTROMAGNETICINTERFERENCESHIELDINGFILMANDELECTROMAGNETICINTERFERENCESHIELDINGFILMMANUFACTUREDTHEREOF
- 審判番号
- 2017-003088
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2014-265459外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2017年03月01日
- 審決日
- 2018年11月13日
- 公報発行日
- 2019年05月31日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】インクテック カンパニー, リミテッド
- 【請求人代理人】前田・鈴木国際特許業務法人
- 分類
- P18 .537-WZ (H05K)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法36条6項2号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第36条第6項第2号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
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特願2014-265459「電磁波遮蔽フィルムの製造方法及びこれから製造された電磁波遮蔽フィルムMETHODFORMANUFACTURINGELECTROMAGNETICINTERFERENCESHIELDINGFILMANDELECTROMAGNETICINTERFERENCESHIELDINGFILMMANUFACTUREDTHEREOF」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 7月 6日出願公開、特開2015-126230〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
1.手続の経緯
本願は、平成26年12月26日(パリ条約による優先権主張 2013年12月26日 韓国(KR))に出願したものであって、手続の概要は以下のとおりである。
拒絶理由通知 :平成28年 1月27日(起案日)
意見書 :平成28年 7月 1日
手続補正 :平成28年 7月 1日
拒絶査定 :平成28年10月21日(起案日)
拒絶査定不服審判請求 :平成29年 3月 1日
手続補正 :平成29年 3月 1日
理由補充 :平成29年 4月20日
補正の却下の決定(当審) :平成30年 3月12日(起案日)
拒絶理由通知(当審) :平成30年 3月12日(起案日)
意見書 :平成30年 6月13日
面接 :平成30年10月 4日
上申書 :平成30年10月 9日
2.特許請求の範囲
平成29年3月1日付けの手続補正は、平成30年3月12日付けの補正の却下の決定により却下されたので、本件出願の特許請求の範囲は、平成28年7月1日付けの手続補正により補正されたものであり、以下のとおりである。
「 【請求項1】
第1離型フィルム上に絶縁層を形成する絶縁層形成段階と、
前記絶縁層上に、線幅が100~500μmであり、厚さが0.05~2.0μmであり、開口率が前記線幅の15~50%であり、ハニカム形または菱形形状である金属パターンを印刷する金属パターン形成段階と、
第2離型フィルム上に導電性接着剤層を形成する導電性接着剤層形成段階、及び
前記金属パターンと前記導電性接着剤層が当接するように前記第1離型フィルム及び第2離型フィルムを合紙して電磁波遮蔽フィルムを形成する離型フィルム合紙段階を含む電磁波遮蔽フィルムの製造方法。
【請求項2】ないし【請求項8】
(略)
【請求項9】
絶縁性樹脂を含む絶縁層、
前記絶縁層上に形成され、金属インク組成物を含み、線幅が100~500μmであり、厚さが0.05~2.0μmであり、開口率が前記線幅の15~50%であり、ハニカム形または菱形形状である金属パターン、及び
前記金属パターン上に形成され、導電性接着組成物を含む導電性接着剤層を含む電磁波遮蔽フィルム。
【請求項10】
(略)」
3.当審の拒絶理由
平成30年3月12日付けで通知した当審の拒絶理由は、次のとおりである。
「1.本件出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
記
明細書には、「金属パターン」の「線幅」について以下の記載がある。
「【0077】
前記金属パターンは、100~500μmの線幅を有することができ、望ましくは200~300μmであることができる。前記金属パターンが前記範囲より線幅が500μmよりも大きい場合、電磁波遮蔽効果の向上効果が微小であり、100μm未満の場合には、金属層のリジッドな性質によって遮蔽フィルムの屈曲耐久性及び層間の付着力が低くなる。」
ここで、仮に、「線幅」を金属パターンとして印刷された線の太さと解釈した場合、【0077】の記載は、線が太すぎると電磁波遮蔽効果が小さく、細(ほそ)すぎると金属層がリジッドになるという意味になり、技術的に不合理である。
一方、例えば、「線幅」を金属パターンとして印刷された線の繰り返し周期と解釈した場合、【0077】の記載は、目が粗すぎると電磁波遮蔽効果が小さく、細(こま)かすぎると金属層がリジッドになるという意味になり、技術的に不合理はない。
このように、請求項1、9における「線幅」は、その解釈が定まらず、解釈によっては、発明の詳細な説明の記載の意味が不合理なものとなるから、請求項1ないし10に係る発明は明確でない。
2.(略)」
4.当審の判断
「線幅」について、請求人の主張を検討する。
まず、平成30年6月13日付けの意見書において、請求人は、平成30年3月12日付けの拒絶理由通知において「線幅」の解釈として例示された「金属パターンの繰り返し周期」であることは当業者であれば明らかである旨主張した。
しかしながら、明細書には、「線幅」が「金属パターンの繰り返し周期」であることは当業者であれば明らかであることの根拠となる記載は見当たらない。
したがって、請求人の該主張を採用することはできない。
次に、平成30年10月4日の面接において、請求人は、先の「線幅」が「金属パターンの繰り返し周期」である旨の主張を改め、「金属パターンとして印刷された線の太さ」である旨の主張をした。
そして、平成30年10月9日付けの上申書においても、請求人は、その解釈を変更していない。
そこで、「線幅」は、「金属パターンとして印刷された線の太さ」であるといえるか否か検討する。
明細書には、「金属パターン」及び「線幅」について以下の記載がある。
「【0074】
前記金属パターンは、第1方向に沿って形成される第1ライン及び第1方向と交差する方向である第2方向に沿って形成される第2ラインを含むことができる。
【0075】
第1ライン及び第2ラインが複数形成されてメッシュパターンを具現することができ、望ましくはハニカム (honeycomb)形状、四角形状、菱形形状であることができる。」
「【0077】
前記金属パターンは、100~500μmの線幅を有することができ、望ましくは200~300μmであることができる。前記金属パターンが前記範囲より線幅が500μmよりも大きい場合、電磁波遮蔽効果の向上効果が微小であり、100μm未満の場合には、金属層のリジッドな性質によって遮蔽フィルムの屈曲耐久性及び層間の付着力が低くなる。
【0078】
前記金属パターンは、0.05~2.0μmの厚さを有することができ、望ましくは0.15~1.0μmであり得る。前記金属パターンが前記範囲より薄いと、電磁波遮蔽性能が低下することがあり、金属パターンの高さが厚いと、遮蔽性能は向上できるが金属層の延性低下により屈曲性が低下することがある。
【0079】
また、前記金属パターンの開口率は、印刷線幅の15~50%であることができ、望ましくは25~40%であることができる。
【0080】
前記金属パターンは、導電性インク組成物を用いてダイレクトグラビア印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、グラビアオフセット印刷法、リバースオフセット印刷法、ディスペンシング 、スクリーン印刷法、ロータリースクリーン印刷法またはインクジェット印刷法により絶縁層上に印刷されて形成されることができる。」
以上の記載より、「金属パターン」は、印刷された複数のラインによって形成されうるものであるといえる。したがって、「線幅」は、印刷されたライン(線)の幅(平成30年3月12日付けの拒絶理由通知では、これを「金属パターンとして印刷された線の太さ」と表現した。)と解釈するのが最も自然であるといえる。
しかしながら、【0077】には、「線幅」の数値範囲に関連して、「前記金属パターンが前記範囲より線幅が500μmよりも大きい場合、電磁波遮蔽効果の向上効果が微小であり、100μm未満の場合には、金属層のリジッドな性質によって遮蔽フィルムの屈曲耐久性及び層間の付着力が低くなる。」との記載がある。上述したように、「線幅」を金属パターンとして印刷されたライン(線)の幅と解釈した場合、【0077】の記載は、線の幅が広すぎると電磁波遮蔽効果が小さく、狭すぎると金属層がリジットになるという意味になるところ、線の幅が広くなると電磁波遮蔽効果が大きくなり、狭くなると金属層がリジットでなくなるのが技術常識であるから、これは技術的に不合理である。
この点について、平成30年10月9日付けの上申書において、請求人は、屈曲耐久性が高いということは、遮蔽フィルムが屈曲しにくいということを意味し、金属パターンの線幅が100μm未満の場合には、遮蔽フィルムが屈曲し易くなり、言い換えると屈曲耐久性が低くなるから、「前記金属パターンが100μm未満の場合には、金属層のリジッドな性質によって遮蔽フィルムの屈曲耐久性が低くなる」という本願明細書の段落0077に記載の論理は、技術的に不合理ではない旨主張している。
しかしながら、明細書には発明の効果として、
「【0034】
また、金属層で薄膜形態ではない一定のパターンを形成することによって、各層の付着力が向上し、屈曲性が高くなって耐久性が優秀でありながら柔軟な特性を有し、金属パターンの形成であるため、高価な金属の使用量を減らすことができて経済的である。」
との記載がある。請求人の主張の前提である「屈曲耐久性が高いということは、遮蔽フィルムが屈曲しにくいということを意味する」ことは、【0034】の記載と大きく齟齬する。
したがって、請求人の該主張を採用することはできない。
このように、請求項1、9における「線幅」は、最も自然と思われる解釈(金属パターンとして印刷された線の太さ)では発明の詳細な説明の意味が不合理なものとなり、どのように解釈すべきか不明であるから、請求項1ないし10に係る発明は明確でない。
5.むすび
以上のとおり、本件出願の請求項1ないし10に係る発明は明確でないから、本願は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
したがって、本件出願は、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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