特許拒絶査定不服審判
2017-002337
遊技機
- 審判番号
- 2017-002337
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2014-262306外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2017年02月17日
- 審決日
- 2017年12月11日
- 公報発行日
- 2018年03月30日
- 結論
- 請求不成立
- 分類
- P18 .121-WZ (A63F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2014-262306号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成28年7月7日出願公開、特開2016-120100号〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
1 手続の経緯の概要
本願は、平成26年12月25日の出願であって、平成27年11月16日付けで拒絶の理由が通知され、平成28年1月21日に意見書及び手続補正書が提出され、同年6月21日付けで最後の拒絶の理由が通知され、同年8月26日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、同年11月22日付けで、同年8月26日に提出された手続補正書でした補正の却下の決定がなされ、同日付けで拒絶査定がなされ(発送日:同年11月29日)、それに対し、平成29年2月17日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正書が提出されたものである。
そして、当審にて同年8月25日付けで拒絶理由を通知したところ、同年10月25日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。
2 本願発明
本願の請求項1に係る発明は、平成29年10月25日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。
「A 遊技者により操作される操作手段と、
B 前記操作手段の操作を受付ける操作受付手段と、
C 特定音響および前記操作手段の操作に応じて再生される操作効果音を含む複数の音響を並行して再生可能な複数のチャンネルが設けられた音処理手段と、
D 前記特定音響を再生するチャンネルを前記複数のチャンネルから可変に決定可能であるとともに、前記特定音響の再生中に前記操作手段の操作を受付けた場合、前記音響を再生していない空チャンネルの何れかを可変に決定し、当該空チャンネルで前記操作効果音を再生することを指示可能な再生指示手段とを具備し、
E 前記再生指示手段は、前記操作効果音の再生中に前記操作手段の操作が受付けられた場合、前記空チャンネルが前記複数のチャンネルにおいて存在する場合であっても、前記空チャンネルにて新たに前記操作効果音を再生させることなく、前記操作効果音を再生中の前記チャンネルにて新たに前記操作効果音を再生させる上書き指示をし、
F 前記音処理手段は、前記操作効果音を再生している期間において、前記上書き指示がされた場合、再生中の前記操作効果音を停止して、該操作効果音を再生していた前記チャンネルにおいて新たに前記操作効果音の再生を開始する
遊技機。」(A~Fは、当審にて分説して付与した。)
3 刊行物に記載された発明
当審による拒絶理由において刊行物1として提示された、本願の出願前に頒布された刊行物である特開2010-187741号公報には、図面と共に次の事項が記載されていると認められる(a~fは、本件補正発明のA~Fに対応させて付与した。)。
・記載事項
ア 「【技術分野】
【0001】
本発明は、スロットマシン(パチスロ)、パチンコに代表される遊技台に関する。」
イ 「【0021】
<全体構成>
図1は、本発明の一実施形態に係るスロットマシン100の外観斜視図である。スロットマシン100は、メダルの投入により遊技が開始され、遊技の結果によりメダルが払い出されるものである。
・・・
【0029】
スタートレバー135は、リール110~112の回転を開始させるためのレバー型のスイッチである。即ち、メダル投入口134に所望するメダル枚数を投入するか、ベットボタン130及び131を操作して、スタートレバー135を操作すると、リール110~112が回転を開始することとなる。スタートレバー135に対する操作を遊技の開始操作と言う。
【0030】
ストップボタンユニット136には、ストップボタン137~139が設けられている。ストップボタン137~139は、スタートレバー135の操作によって回転を開始したリール110~112を個別に停止させるためのボタン型のスイッチであり、各リール110~112に対応づけられている。以下、ストップボタン137~139に対する操作を停止操作と言い、最初の停止操作を第1停止操作、次の停止操作を第2停止操作、最後の停止操作を第3停止操作という。なお、各ストップボタン137~139の内部に発光体を設けてもよく、ストップボタン137~139の操作が可能である場合、該発光体を点灯させて遊技者に知らせることもできる。」
ウ 「【0051】
<制御部の回路構成>
次に、図3~図6を用いて、このスロットマシン100の制御部の回路構成について詳細に説明する。
【0052】
スロットマシン100の制御部は、大別すると、遊技の中枢部分の制御、すなわち、スロットマシン100の遊技進行に関する処理を実行する主制御部300と、主制御部300より送信された信号(制御コマンド)に応じて各種機器を制御する副制御部、すなわち、演出に関する処理を実行する副制御部400及び副制御部500と、によって構成されている。
【0053】
<主制御部300>
まず、図3を用いて、スロットマシン100の主制御部300について説明する。主制御部300は、主制御部300の全体を制御するための演算処理装置であるCPU310や、CPU310が各ICや各回路と信号の送受信を行うためのデータバス及びアドレスバスを備え、その他、以下に述べる構成を有する。
・・・
【0058】
また、CPU310には、外部の信号を受信するための入力インタフェース360が接続され、CPU310は、割込み時間ごとに入力インタフェース360を介して、メダル受付センサ320、スタートレバーセンサ321、ストップボタンセンサ322、メダル投入ボタンセンサ323、精算スイッチセンサ324、メダル払い出しセンサ326、設定変更スイッチセンサ380、設定キースイッチセンサ381、扉開放センサ382、及びリセットスイッチセンサ383の状態を検出し、各センサを監視している。
【0059】
メダル受付センサ320は、メダル投入口134の内部の通路に2個設置されており、メダルの通過有無を検出する。スタートレバーセンサ321は、スタートレバー135に設置されており、遊技者によるスタート操作を検出する。ストップボタンセンサ322は、各々のストップボタン137~139に設置されており、遊技者によるストップボタンの操作を検出する。」
エ 「【0076】
また、CPU410のデータバスとアドレスバスには、音源IC480が接続されている。音源IC480は、CPU410からの命令に応じて音声の制御を行う。また、音源IC480には、音声データが記憶されたROM481が接続されており、音源IC480は、ROM481から取得した音声データをHPF(ハイパスフィルタ)及びLPF(ローパスフィルタ)からなるフィルタ484で所定の周波数帯域のみフィルタリングし、アンプ482で増幅させてスピーカ483から出力する。
【0077】
図5は、音源IC480の回路構成図である。音源IC480は、CPU410からのコマンド(命令)を格納する制御レジスタを備えている。制御レジスタは、チャンネル区分された記憶領域であり、コマンドは、対応する各チャンネルの領域に格納される。音源IC480は、格納したコマンドに基づき、各チャンネル毎の音源データ(AMMデータともいう。フレーズデータ(音声データ)をAMMエンコード(圧縮)したデータ)をROM481より取得し、取得した音源データをAMMデコーダにより、波形データ(PCMデータ)にデコードする。デコードされた波形データは、さらに各チャンネル毎にボリュームとパン、トータルボリューム、及びエフェクタを経て、デジタル及びアナログにて出力されるようになっている。なお、本実施形態の音源IC480は、フレーズ再生チャンネル(AMMデコーダのチャンネル)が16チャンネルで構成されているため、モノラルデータは最大16フレーズ、ステレオデータは最大8フレーズのAMMデータを同時に独立してデコード再生できるようになっている。」
オ 「【0145】
<演出データ>
次に、本実施形態の演出データについて具体的に説明する。
【0146】
図13は、本実施形態の演出データが実装されるタイミング・チャートデータ(以下、TCデータと表記する)の構成を示す図である。演出データは、それぞれの演出ごとに、図13に示すようなTCデータに分類されて、ROM412上に格納されている。
【0147】
例えば、設定変更可能状態報知演出の場合には、TCデータを一意に識別可能なTCデータNOが「TC_0001」のTCデータが対応づけられており、また、設定変更終了報知演出の場合には、TCデータNOが「TC_0002」のTCデータが対応づけられている。TCデータは、複数のデバイス(マーカ、ステレオ、モノラル1、モノラル2…、サイドランプ、液晶画像など)ごとに管理され、例えば、TCデータNOが「TC_0001」の設定変更可能状態報知演出では、デバイスとしてモノラル1(スピーカ483のモノラル音源のうちの1つのチャンネル)、サイドランプ151、液晶画像(液晶表示装置157)が用いられ、モノラル1は、演出番号(なお、詳しくはレイヤーアドレスという)「H'0000」の演出データ(なお、詳しくはレイヤデータという)により演出内容(演出パターン)が決定され、サイドランプ151は、演出番号「H'0000」の演出データにより演出内容(演出パターン)が決定され、液晶画像は、演出番号「H'0000」の演出データにより演出内容(演出パターン)が決定される。
【0148】
同様に、TCデータNOが「TC_0004」の設定確認中報知演出では、デバイスとしてモノラル3(スピーカ483のモノラル音源のうちの1つのチャンネル)、サイドランプ151、液晶画像が用いられ、モノラル3は、演出番号「H'0000」の演出データにより演出内容(演出パターン)が決定され、サイドランプ151は、演出番号「H'0003」の演出データにより演出内容(演出パターン)が決定され、液晶画像は、演出番号「H'0003」の演出データにより演出内容(演出パターン)が決定される。
【0149】
なお、図13に示す演出番号は、16進表記で記載されており、「H'FFFF」は、該当する演出がないことを示す。また、本実施形態の音源IC480は、上述したようにフレーズ再生チャンネルが16チャンネルで構成されているため、モノラルのレイヤ区分はモノラル1~16まで存在する。ここで、モノラルのレイヤ区分であるモノラル1~16には、それぞれ、フレーズ再生チャンネルのいずれかが一意に対応付けられている。例えば、後述する図14に示すように、モノラル1には、フレーズ再生チャンネル0が割り当てられており、また、モノラル2は、フレーズ再生チャンネル1が割り当てられている。16の各フレーズ再生チャンネルは、それぞれ、図16及び図17に示すように、音源IC480の制御レジスタ上に対応するアドレスを保持しており、音声データが再生される際には音声データに対応するコマンドが、それぞれのレイヤ区分に対応するフレーズ再生チャンネルのアドレスに格納されるようになっている。」
カ 「【0189】
ステップS1108では、生成した各コマンドを対応するチャンネルの送信バッファに格納する。例えば、図14に示すレイヤ区分がモノラル1のレイヤデータ「H’0000」であって、データIDが「eDEV_SND_0001」の演出データに基づいてコマンドが生成された場合には、制御レジスタのフレーズ再生チャンネル1に対応する送信バッファにコマンドを格納する。ここで、本実施形態の音声用の送信バッファは、16チャンネル分の配列構成であり、音源IC480の制御レジスタの各フレーズ再生チャンネルと対をなすように構成されている。なお、この送信準備されたコマンドは、図18(c)のタイマ割込み処理において、副制御部400の演出デバイスに送信される(図18(c)のステップS903参照)。」
キ 「【0210】
<副制御部500タイマ割込処理>
次に、図22(c)を用いて、副制御部500のタイマ割込処理について説明する。
【0211】
副制御部500は、CPU510のタイマユニットが出力するタイマ割込み要求信号に基づいて、このタイマ割込処理を定期的に実行する。タイマ割込処理のステップS1601では、遊技状態等に応じて演出データを更新する。
【0212】
<副制御部500VDP割込処理>
次に、図22(d)を用いて、上述の副制御部500メイン処理におけるVDP割込処理について説明する。
【0213】
副制御部500は、VDP600から送信されたVブランク信号を受信した場合に、VDP割込処理を実行する。ステップS1701では、RAM513の所定の領域に記憶されたVDPカウンタの値に1を加える。
【0214】
<演出の切替タイミングを示すタイミングチャート>
次に、図23~図25を用いて、上述した本実施形態の報知演出の切替タイミングについて説明する。なお、図23~図25は、遊技者の操作に起因して演出内容が変化する様子を示すタイミングチャートである。
【0215】
図23は、1ゲームにおける遊技者の操作、すなわち、スタートレバー操作、ストップボタン操作(第1停止操作、第2停止操作、第3停止操作)によって、ランプ430、スピーカ483、及び液晶表示装置157を介した演出が切り替わる様子を示している。具体的には、ランプ430では、スタートレバー操作により、点灯パターン1の演出が開始され、次いで第1停止操作により、点灯パターン2の演出が開始され、次いで第2停止操作により、点灯パターン3の演出が開始され、次いで第3停止操作により、点灯パターン4の演出が開始される様子を示している。すなわち、当該演出における点灯パターン1~4を示すランプデータは、上述したTCデータの同一レイヤ区分に設定されているため、次なる演出の切替契機が発生すると、次のランプデータが上書きされて設定される。その結果、遊技操作により実行中の演出は中断され(例えば、点灯パターン1)、次の演出が実行されることとなる(例えば、点灯パターン2)。
【0216】
同様にして、スピーカ483でも、スタートレバー操作により、効果音1の演出が開始され、次いで第1停止操作により、効果音2の演出が開始され、次いで第2停止操作により、効果音3の演出が開始され、次いで第3停止操作により、効果音4の演出が開始される様子を示している。
【0217】
遊技台においてこのような演出の切替機構、すなわち、同一レイヤ区分の演出データを上書きして切り替えていく構成を採用するのは、遊技台においては遊技者ごと、また同一遊技者であっても毎ゲームごとに操作タイミングが異なるため、遊技者個々及び毎ゲームごとの異なる操作タイミングに合わせて演出を実行する必要があるからである。
【0218】
しかしながら、遊技台におけるこのような演出切替機構が不具合をもたらす場合もある。上述した設定変更処理に関する場合である。そこで、本実施形態においては、設定変更に関する処理の音声データは、他の報知演出の音声データと異なったレイヤ区分に設定され、異なった再生チャンネルにて再生されるようになっている。」
・認定事項
ク 刊行物1の【0146】の「演出データは、それぞれの演出ごとに、・・・TCデータに分類されて、ROM412上に格納されている。」との記載、同【0147】の「・・・TCデータは、複数のデバイス(マーカ、ステレオ、モノラル1、モノラル2…、サイドランプ、液晶画像など)ごとに管理され、・・・」との記載から、刊行物1には、演出データが、ステレオ、モノラル1~16といった複数のデバイスごとに管理されていることが記載されている。
そして、演出データに関する【図13】の図示内容、【0145】~【0147】の記載事項から、刊行物1には、演出データとして、報知演出に関するデータ(TC_0001~0005)、投入音に関するデータ(TC_0006~0008)、BB(ビッグボーナス)遊技に関するデータ(TC_1000)等を有することが示されている。
また、刊行物1の【0216】の「・・・スピーカ483でも、スタートレバー操作により、効果音1の演出が開始され、次いで第1停止操作により、効果音2の演出が開始され、次いで第2停止操作により、効果音3の演出が開始され、次いで第3停止操作により、効果音4の演出が開始される様子を示している。」との記載から、刊行物1には、演出データに効果音1~4に関するデータを含むことが記載されている。
したがって、刊行物1には、報知演出に関するデータ、投入音に関するデータ、BB(ビッグボーナス)に関するデータ、スタートレバー操作による効果音1に関するデータ、及び、第1~3停止操作による効果音2~4に関するデータを含む演出データを管理することが示されている。
また、刊行物1の【0076】には、「音源IC480は、CPU410からの命令に応じて音声の制御を行う。・・・音源IC480は、・・・音声データを・・・スピーカ483から出力する。」ことが記載されている。
そして、演出データに関する【図13】の図示内容、【0145】~【0147】の記載事項から、「設定変更可能状態報知演出」(TC_0001)では、デバイスとしてモノラル1のチャンネルが用いられ、「設定変更終了報知演出」(TC_0002)では、デバイスとしてモノラル1のチャンネルが用いられ、「精算中報知演出」(TC_0003)では、デバイスとしてモノラル2のチャンネルが用いられ、「設定確認中報知演出」(TC_0004)では、デバイスとしてモノラル3のチャンネルが用いられ、「デモ報知演出」(TC_0005)では、デバイスとしてモノラル3のチャンネルが用いられ、「1~3枚投入音」(TC_0006~8)では、デバイスとしてモノラル3のチャンネルが用いられ、「BB(ビッグボーナス)遊技」(TC_2000)では、デバイスとしてステレオのチャンネルが用いられることが示されている。
したがって、刊行物1には、音をモノラルとステレオとにより再生可能とすることが示されている。
さらに、刊行物1の【0077】には、「・・・音源IC480は、フレーズ再生チャンネル・・・が16チャンネルで構成されているため、モノラルデータは最大16フレーズ、ステレオデータは最大8フレーズの・・・データを同時に独立してデコード再生できるようになっている。」ことが記載されている。
よって、刊行物1には、フレーズ再生チャンネルが16チャンネルで構成され、報知演出に関するデータ、投入音に関するデータ、BB(ビッグボーナス)に関するデータ、スタートレバー操作による効果音1に関するデータ、及び、第1~3停止操作による効果音2~4に関するデータを含む演出データを、最大16フレーズのモノラルデータ、あるいは、最大8フレーズのステレオデータを用いて同時に独立してデコード再生可能な音源IC480について記載されていると認められる。
ケ 上記クにおいて検討したように、刊行物1には、モノラルとステレオとにより音を再生可能とすることが示されていることに加え、【0149】の「・・・モノラルのレイヤ区分であるモノラル1~16には、それぞれ、フレーズ再生チャンネルのいずれかが一意に対応付けられている。・・・」との記載から、「レイヤ区分」と「フレーズ再生チャンネル」とが一意に対応付けられていることが示されている。
したがって、刊行物1には、「設定変更可能状態報知演出」、「設定変更終了報知演出」、「精算中報知演出」、「設定確認中報知演出」、「デモ報知演出」「1~3枚投入音」、及び、「BB(ビッグボーナス)遊技」のスピーカ483でのデコード再生を、設定されたフレーズ再生チャンネルを用いて行う音源IC480に命令して、音声の制御を行うCPU410について示されている。
また、【0216】、【0217】の記載から、刊行物1には、スタートレバー操作により効果音1の演出を開始し、次いで、第1停止操作により効果音2の演出を開始し、次いで、第2停止操作により効果音3の演出を開始し、次いで、第3停止操作により効果音4の演出を開始するという、演出の切替機構、すなわち、同一フレーズ再生チャンネルの演出データを上書きして切り替えていく構成を備える音源IC480に命令して、音声の制御を行うCPU410について示されている。
よって、刊行物1には、「設定変更可能状態報知演出」、「設定変更終了報知演出」、「精算中報知演出」、「設定確認中報知演出」、「デモ報知演出」「1~3枚投入音」、及び、「BB(ビッグボーナス)遊技」のスピーカ483でのデコード再生を、設定されたフレーズ再生チャンネルを用いて行うと共に、スタートレバー操作により効果音1の演出を開始し、次いで、第1停止操作により効果音2の演出を開始し、次いで、第2停止操作により効果音3の演出を開始し、次いで、第3停止操作により、効果音4の演出を開始するという演出の切替機構、すなわち、同一フレーズ再生チャンネルの演出データを上書きして切り替えていく構成を備える音源IC480に命令して、音声の制御を行うCPU410について示されている。
コ 刊行物1の【0215】の「図23は、1ゲームにおける遊技者の操作、すなわち、スタートレバー操作、ストップボタン操作(第1停止操作、第2停止操作、第3停止操作)によって、ランプ430、スピーカ483、・・・を介した演出が切り替わる様子を示している。・・・遊技操作により実行中の演出は中断され(例えば、点灯パターン1)、次の演出が実行されることとなる(例えば、点灯パターン2)。」との記載、【0216】の「同様にして、スピーカ483でも、スタートレバー操作により、効果音1の演出が開始され、次いで第1停止操作により、効果音2の演出が開始され、次いで第2停止操作により、効果音3の演出が開始され、次いで第3停止操作により、効果音4の演出が開始される様子を示している。」との記載、及び、上記ケの認定事項から、刊行物1には、ランプ430と同様、スピーカ483においても、音源IC480は、スタートレバー操作により効果音1の演出を開始し、次いで、第1停止操作されたとき、実行中の効果音1の演出を中断し、代わりに、同一フレーズ再生チャンネルにおいて効果音2の演出を開始することが示されている。
サ 上記ア~キの記載事項、及び、上記ク~コの認定事項を踏まえると、刊行物1には、次の発明(以下「刊行物発明」という。)が記載されているものと認められる。
「a スタートレバー135(【0029】)とストップボタン137~139(【0030】)と、
b スタートレバーセンサ321、ストップボタンセンサ322の状態を検出し、各センサを監視しているCPU310(【0058】)と、
c フレーズ再生チャンネルが16チャンネルで構成され、報知演出に関するデータ、投入音に関するデータ、BB(ビッグボーナス)に関するデータ、スタートレバー操作による効果音1に関するデータ、及び、第1~3停止操作による効果音2~4に関するデータを含む演出データを、最大16フレーズのモノラルデータ、あるいは、最大8フレーズのステレオデータを用いて同時に独立してデコード再生可能な音源IC480(認定ク)と、
d、e 「設定変更可能状態報知演出」、「設定変更終了報知演出」、「精算中報知演出」、「設定確認中報知演出」、「デモ報知演出」、「1~3枚投入音」、及び、「BB(ビッグボーナス)遊技演出」のスピーカ483でのデコード再生を、設定されたフレーズ再生チャンネルを用いて行うと共に、スタートレバー操作により効果音1の演出を開始し、次いで、第1停止操作により効果音2の演出を開始し、次いで、第2停止操作により効果音3の演出を開始し、次いで、第3停止操作により効果音4の演出を開始するという演出の切替機構、すなわち、同一フレーズ再生チャンネルの演出データを上書きして切り替えていく構成を備える音源IC480に命令して、音声の制御を行うCPU410(認定ケ)とを備え、
f 音源IC480は、スタートレバー操作により効果音1の演出を開始し、次いで、第1停止操作されたとき、実行中の効果音1の演出を中断し、代わりに、同一フレーズ再生チャンネルにおいて効果音2の演出を開始する(認定コ)
スロットマシン100。」
4 対比
本願発明と刊行物発明とを対比する。
(a)刊行物発明における「スタートレバー135」、「ストップボタン137~139」は、遊技者により操作されるものであることは明らかであるから、本願発明における「遊技者により操作される操作手段」に相当する。
(b)刊行物発明における「スタートレバーセンサ321、ストップボタンセンサ322の状態を検出し、各センサを監視しているCPU310」は、「スタートレバーセンサ321」、「ストップボタンセンサ322」が、それぞれ、「スタートレバー135」、「ストップボタン137~139」が操作されたことを検出し、監視するものであるから、本願発明における「操作手段の操作を受付ける操作受付手段」の機能を有する。
(c)刊行物発明における「報知演出に関するデータ、投入音に関するデータ、BB(ビッグボーナス)に関するデータ」を「デコード再生」したものは、本願発明における「特定音響」に相当する。
そして、刊行物発明における「スタートレバー操作による効果音1に関するデータ、及び、第1~3停止操作による効果音2~4に関するデータ」を「デコード再生」したものは、本願発明における「操作手段の操作に応じて再生される操作効果音」に相当する。
また、刊行物発明における「最大16フレーズのモノラルデータ、あるいは、最大8フレーズのステレオデータを用いて同時に独立してデコード再生可能な」ことは、本願発明における「複数の音響を並行して再生可能な」ことに相当する。
さらに、刊行物発明における「フレーズ再生チャンネルが16チャンネルで構成され」たことは、本願発明における「複数のチャンネルが設けられた」ことに相当する。
したがって、刊行物発明における「音源IC480」は、本願発明における「音処理手段」に相当する。
(d)刊行物発明における構成dと、本願発明における構成Dとを対比する。
上記(c)における検討内容と同様に、刊行物発明における「「設定変更可能状態報知演出」、「設定変更終了報知演出」、「精算中報知演出」、「設定確認中報知演出」、「デモ報知演出」、「1~3枚投入音」、及び、「BB(ビッグボーナス)遊技」は、本願発明における「特定音響」に相当する。
そうすると、刊行物発明における「「設定変更可能状態報知演出」、「設定変更終了報知演出」、「精算中報知演出」、「設定確認中報知演出」、「デモ報知演出」「1~3枚投入音」、及び、「BB(ビッグボーナス)遊技演出」のスピーカ483でのデコード再生を、設定されたフレーズ再生チャンネルを用いて行う」ことと、本願発明における「特定音響を再生するチャンネルを複数のチャンネルから可変に決定可能である」こととは、「特定音響を再生するチャンネルを複数のチャンネルから選択する」ことで共通する。
そして、刊行物発明における「スタートレバー操作により効果音1の演出を開始し、次いで、第1停止操作により効果音2の演出を開始し、次いで、第2停止操作により効果音3の演出を開始し、次いで、第3停止操作により効果音4の演出を開始するという演出の切替機構、すなわち、同一レイヤ区分の演出データを上書きして切り替えていく構成を備える」ことと、本願発明における「特定音響の再生中に操作手段の操作を受付けた場合、音響を再生していない空チャンネルの何れかを可変に決定し、当該空チャンネルで操作効果音を再生する」こととは、「操作手段の操作を受付けた場合、所定のチャンネルで操作効果音を再生する」ことで共通する。
したがって、刊行物発明における構成dと、本願発明における構成Dとは、「特定音響を再生するチャンネルを複数のチャンネルから特定し、操作手段の操作を受付けた場合、所定のチャンネルで操作効果音を再生することを指示可能な手段」であることで共通する。
(e)刊行物発明の構成eの「スタートレバー操作により効果音1の演出を開始し、次いで、第1停止操作により効果音2の演出を開始し、次いで、第2停止操作により効果音3の演出を開始し、次いで、第3停止操作により効果音4の演出を開始するという演出の切替機構、すなわち、同一フレーズ再生チャンネルの演出データを上書きして切り替えていく構成を備える音源IC480に命令して、音声の制御を行うCPU410」と、本願発明の構成Eの「操作効果音の再生中に操作手段の操作が受付けられた場合、空チャンネルが複数のチャンネルにおいて存在する場合であっても、空チャンネルにて新たに操作効果音を再生させることなく、操作効果音を再生中のチャンネルにて新たに操作効果音を再生させる上書き指示を」する「再生指示手段」とを対比する。
刊行物発明における「スタートレバー操作により効果音1の演出を開始し」てから、「第1停止操作により効果音2の演出を開始」するまでの間は、本願発明における「操作効果音の再生中」に相当する。
そして、刊行物発明における「次いで第1停止操作により効果音2の演出を開始」する「という演出の切替機構、すなわち、同一フレーズ再生チャンネルの演出データを上書きして切り替えていく構成を備える」ことは、効果音2を効果音1と同一のフレーズ再生チャンネルに上書きして再生することであり、この再生のための上書指示は、他のフレーズ再生チャンネルに空きがあってもなくても行われるものであるから、本願発明における「空チャンネルが複数のチャンネルにおいて存在する場合であっても、空チャンネルにて新たに操作効果音を再生させることなく、操作効果音を再生中のチャンネルにて新たに操作効果音を再生させる上書き指示を」することに相当する。
したがって、刊行物発明における構成eの「CPU410」は、本願発明における構成Eの「再生指示手段」としての機能を有する。
(f)刊行物発明における「スタートレバー操作により効果音1の演出を開始」してから、「効果音2の演出」が「開始」されるまでの期間は、本願発明における「操作効果音を再生している期間」に相当する。
そして、上記(d)、(e)の検討内容より、刊行物発明における「第1停止操作されたとき」に「音源IC480」により、「同一フレーズ再生チャンネルの演出データ」が「上書き」されていくことから、刊行物発明における「第1停止操作されたとき」は、本願発明における「上書き指示がされた場合」に相当する。
また、刊行物発明における「実行中の効果音1の演出を中断」することは、本願発明における「再生中の操作効果音を停止」することに相当する。
さらに、刊行物発明における「代わりに、同一フレーズ再生チャンネルにおいて効果音2の演出を開始する」ことは、本願発明における「操作効果音を再生していたチャンネルにおいて新たに操作効果音の再生を開始する」ことに相当する。
したがって、刊行物発明における「音源IC480」は、本願発明における「音処理手段」に相当する。
上記(a)~(f)の対比から、本願発明と刊行物発明とは、
「A 遊技者により操作される操作手段と、
B 前記操作手段の操作を受付ける操作受付手段と、
C 特定音響および前記操作手段の操作に応じて再生される操作効果音を含む複数の音響を並行して再生可能な複数のチャンネルが設けられた音処理手段と、
D’前記特定音響を再生するチャンネルを前記複数のチャンネルから選択するとともに、前記操作手段の操作を受付けた場合、所定のチャンネルで前記操作効果音を再生することを指示可能な手段とを具備し、
E 前記再生指示手段は、前記操作効果音の再生中に前記操作手段の操作が受付けられた場合、前記空チャンネルが前記複数のチャンネルにおいて存在する場合であっても、前記空チャンネルにて新たに前記操作効果音を再生させることなく、前記操作効果音を再生中の前記チャンネルにて新たに前記操作効果音を再生させる上書き指示をし、
F 前記音処理手段は、前記操作効果音を再生している期間において、前記上書き指示がされた場合、再生中の前記操作効果音を停止して、該操作効果音を再生していた前記チャンネルにおいて新たに前記操作効果音の再生を開始する
遊技機。」
の点で一致し、構成Dに関し、次の点で相違する。
[相違点]
再生指示手段に関し、
本願発明は、特定音響を再生するチャンネルを複数のチャンネルから可変に決定可能であるとともに、特定音響の再生中に操作手段の操作を受付けた場合、音響を再生していない空チャンネルの何れかを可変に決定し、当該空チャンネルで操作効果音を再生することを指示可能な再生指示手段を備えるのに対して、
刊行物発明は、「設定変更可能状態報知演出」、「設定変更終了報知演出」、「精算中報知演出」、「設定確認中報知演出」、「デモ報知演出」「1~3枚投入音」、及び、「BB(ビッグボーナス)遊技」のスピーカ483でのデコード再生を、デバイスの設定されたフレーズ再生チャンネルを用いて行うと共に、スタートレバー操作により効果音1の演出を開始し、次いで、第1停止操作により効果音2の演出を開始し、次いで、第2停止操作により効果音3の演出を開始し、次いで、第3停止操作により効果音4の演出を開始するという演出の切替機構、すなわち、同一フレーズ再生チャンネルの演出データを上書きして切り替えていく構成を備える音源IC480に命令して、音声の制御を行うが、本願発明の構成Dを備えるか否か明らかでない点。
5 当審の判断
上記相違点について検討する。
まず、刊行物発明の構成dによると、刊行物発明は、所定のフレーズ再生チャンネルにおいて、一旦、「スタートレバー操作により、効果音1の演出」が「開始」されると、以降、「同一フレーズ再生チャンネル」において、効果音2~4の演出が行われるものである。
ところで、音を出力する装置の技術分野において、ある種類の音(イ)を再生するチャンネルを複数のチャンネルから可変に決定可能であるとともに、ある種類の音(イ)の再生中に別の種類の音(ロ)を再生させる場合、ある種類の音(イ)を再生していない空チャンネルの何れかを可変に決定し、当該決定された空チャンネルで別の種類の音(ロ)を再生することを指示可能な再生指示手段を具備することは、本願出願前に周知の技術事項である(例えば、特開2005-137897号公報の【0001】、【0009】、【0090】~【0094】、【0098】、【図3】、【図4】、【図8】には、遊技機での複数チャンネルによる音声再生において、開発効率の向上を図るために、ステレオのサウンドを再生した後に、それに重ねてモノラルのサウンドを再生する場合、まず、ステレオのサウンドを複数のチャンネルから可変に決定し、続いてモノラルのサウンドを、ステレオのサウンドの再生に使用されていない空きチャンネルから可変に決定可能とすると共に、モノラルのサウンドを複数のチャンネルから可変に決定し、続いてステレオのサウンドを、モノラルのサウンドの再生に使用されていない空きチャンネルから可変に決定可能とする音声を出力可能な遊技機について記載され、特開平11-65567号公報には、音を音源チャンネルに割り当てるアサイン機能を有する電子楽器(【0001】)において、「常に良好なソロ音を発音するための処理ステップをコンピュータが読み出し可能に格納した記憶媒体を提供することを目的と」して(【0007】)、「発音すべきソロ音及びそれ以外の音の楽音情報を複数の音源チャンネルに割り当てるためのアサイン方法であって、上記複数の音源チャンネルの空きチャンネルにソロ音の楽音情報を割り当てるソロ音用割当ステップと、上記ソロ音用割当ステップで楽音情報が割り当てられた音源チャンネルの情報を記憶する記憶ステップと、上記複数の音源チャンネルの空きチャンネルにソロ音以外の音の楽音情報を割り当てるソロ音以外用割当ステップとを含み、上記ソロ音以外用割当ステップは、上記記憶ステップで記憶された情報により示されるソロ音用の音源チャンネル以外の空きチャンネルに楽音情報を割り当てるステップを含むことを特徴とするアサイン方法。」(【請求項1】)について記載されている。)。
そして、刊行物発明と上記周知の技術事項とは、音出力装置において、演出制御手段のCPUや、コンピュータを用いて、音を出力させるチャンネルを特定するという共通の機能を有するものである。
また、刊行物発明における「音源IC480」は、「最大16フレーズのモノラルデータ、あるいは、最大8フレーズのステレオデータを用いて同時に独立してデコード再生可能」なことから、開発段階における複数のフレーズ再生チャンネルへの対応する音声データ(モノラルデータ、ステレオデータを含む)の割り当て作業に開発者の負担を必要とすることは、当業者にとって自明の課題である。
さらに、遊技機の技術分野において、演出音の再生中に演出音に重ねて操作音を出力可能とすることは、当業者にとっての技術常識である。
したがって、刊行物発明における上記割り当ての開発者の負担を軽減するために、刊行物発明における効果音の割り当て作業に上記周知の技術事項を適用して、「設定変更可能状態報知演出」、「デモ報知演出」、「BB(ビッグボーナス)遊技演出」等の再生や、スタートレバー操作による効果音1の演出の再生を複数のチャンネルから可変に決定されたチャンネルを用いて行うようにし、上記相違点に係る本願発明の構成とすることは当業者が容易になし得たものである。
次に、平成29年10月25日付け意見書における、請求人の「本願発明は、「最初の操作効果音のチャンネルは可変(自由)とし、後続の操作効果音のチャンネルは固定する構成」を具備するとも換言される。本願発明は、当該構成を具備することで、開発者の上述の作業負担を軽減しつつ、新たに音響を再生するための空チャンネルが不足する不都合を抑制できるという格別な効果を奏するものである。
以上の通り、本願発明は、引用文献1が具備しない構成により、上述の効果を奏するものである。したがって、当業者であっても、容易には本願発明を想到できない。」(第2頁下第7行~同下第1行)との主張について検討する。
まず、請求人が本願発明の構成と主張する「最初の音のチャンネルは可変(自由)と」することにより、「開発者の」「作業負担を軽減」することは、上記周知の技術事項に示されていることである。
次に、請求人が本願発明の構成と主張する「後続の操作効果音のチャンネルは固定する構成」は、刊行物発明の構成d、eに相当する。そして、刊行物発明は、構成d、eを備えることにより、操作効果音の出力に1つのチャンネルを使用するのみであり、他のチャンネルを使用することがないので、請求人が主張する上記「新たに音響を再生するための空チャンネルが不足する不都合を抑制できる」という効果を奏することは明らかである。
したがって、上記請求人の主張を採用することはできない。
また、本願発明により奏される効果は、当業者が、刊行物発明及び周知の技術事項から予測し得る効果の範囲内のものであって、格別のものではない。
よって、本願発明は、刊行物発明及び周知の技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
6 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
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2017-002337