特許拒絶査定不服審判
2017-002159
遊技機
- 審判番号
- 2017-002159
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2015-171801外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2017年02月15日
- 審決日
- 2017年10月03日
- 公報発行日
- 2018年01月26日
- 結論
- 請求不成立
- 分類
- P18 .121-Z (A63F) / P18 .575-Z (A63F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第6項、特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第5項第3号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2015-171801号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成29年3月9日出願公開、特開2017-46879号〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、平成27年9月1日の出願であって、平成28年5月26日付けで拒絶の理由が通知され、同年7月15日に意見書及び手続補正書が提出されたが、同年12月27日付けで拒絶査定がなされ(発送日:平成29年1月10日)、それに対し、平成29年2月15日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正書が提出されたものである。
第2 平成29年2月15日付けの手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成29年2月15日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1.補正の内容
本件補正により、平成28年7月15日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1における
「枠体と、当該枠体に開閉可能に支持される前扉とを備える遊技機において、
前記枠体或いは前記前扉の幅方向中央下部に設けられる演出操作装置を具備してなり、
当該演出操作装置は、
回転体と、反射部とを備えてなり、
前記回転体は、その回転軸が前記枠体或いは前記前扉の前記幅方向中央下部にて、前記枠体或いは前記前扉の幅方向に向くように回転可能に設けられており、
前記反射部は、前記回転体の下側に対向する対向面を有するように、前記回転体の下側にて当該回転体とは間隔をおいて設けられて、前記対向面を、前記回転体を虚像として投影可能な鏡面として形成してなることを特徴とする遊技機。」
は、審判請求時に提出された平成29年2月15日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1における、
「枠体と、当該枠体に開閉可能に支持される前扉とを備える遊技機において、
前記枠体或いは前記前扉の幅方向中央下部に設けられる演出操作装置を具備してなり、
当該演出操作装置は、
回転体と、反射板とを備えてなり、
前記回転体は、その回転軸が前記枠体或いは前記前扉の前記幅方向中央下部にて前記枠体或いは前記前扉の幅方向に向くように、回転可能に設けられており、
前記反射板は、前記回転体の下側に対向する対向面を有するように、前記回転体の下側にて当該回転体とは間隔をおいて設けられて、前記対向面を、前記回転体を虚像として投影可能な鏡面として形成してなり、
前記反射板の前側部位は、遊技者が前側上方から前記回転体の実像とその下側に位置する前記虚像とを同時に視認可能なように、前記回転体の上下方向中心線よりも前側に位置することを特徴とする遊技機。」
に補正がなされた(下線は、補正箇所を明示するために当審にて付した。)。
上記補正は、補正前の特許請求の範囲の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「反射部」について、それが反射「板」であると限定をするとともに、当該「反射板」の位置について、「前側部位は、遊技者が前側上方から前記回転体の実像とその下側に位置する前記虚像とを同時に視認可能なように、前記回転体の上下方向中心線よりも前側に位置する」と限定し、かつ、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1に記載された発明と本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
さらに、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1に記載された「その回転軸が前記枠体或いは前記前扉の前記幅方向中央下部にて、前記枠体或いは前記前扉の幅方向に向くように回転可能に設けられており、」を、「その回転軸が前記枠体或いは前記前扉の前記幅方向中央下部にて前記枠体或いは前記前扉の幅方向に向くように、回転可能に設けられており、」とする、読点の位置を変更する補正をするものであって、当該補正は特許法第17条の2第5項第3号に掲げる誤記の訂正を目的とするものに該当する。
そして、本件補正は新規事項を追加するものではない。
3.独立特許要件について
そこで、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に係る発明は、平成29年2月15日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について、以下に検討する。
(1) 本願補正発明
本願補正発明は、上記1.の補正の内容において示した次のとおりのものである(A~Gは、当審にて分説して付与した。)。
「A 枠体と、当該枠体に開閉可能に支持される前扉とを備える遊技機において、
B 前記枠体或いは前記前扉の幅方向中央下部に設けられる演出操作装置を具備してなり、
C 当該演出操作装置は、
回転体と、反射板とを備えてなり、
D 前記回転体は、その回転軸が前記枠体或いは前記前扉の前記幅方向中央下部にて前記枠体或いは前記前扉の幅方向に向くように、回転可能に設けられており、
E 前記反射板は、前記回転体の下側に対向する対向面を有するように、前記回転体の下側にて当該回転体とは間隔をおいて設けられて、前記対向面を、前記回転体を虚像として投影可能な鏡面として形成してなり、
F 前記反射板の前側部位は、遊技者が前側上方から前記回転体の実像とその下側に位置する前記虚像とを同時に視認可能なように、前記回転体の上下方向中心線よりも前側に位置することを特徴とする
G 遊技機。」
(2)刊行物に記載された事項
ア 引用例1
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された刊行物である特開2015-53968号公報(以下、「引用例1」という。)には、「パチンコ遊技機」の発明に関し、以下の事項が記載されている。(下線は当審で付した。)。
(ア)
「【特許請求の範囲】
【請求項1】
・・・
遊技者が操作可能なものであって、透光性を有する操作ボタンと、
前記操作ボタンを通して表示内容が視覚的に認識可能にされた絵柄表示器と、
演出映像の種類を遊技者に示唆するものであって複数の演出映像毎に設定された複数の示唆絵柄を前記絵柄表示器に表示可能な絵柄表示手段を備え、
前記絵柄表示手段は、
複数の示唆絵柄を演出映像の選択結果が表示開始される前の図柄遊技の映像の表示中に前記絵柄表示器に表示するものであって、前記操作ボタンが操作された場合には当該複数の示唆絵柄のうちから当該演出映像の選択結果に応じたものが選択されたことを示す映像を前記絵柄表示器に表示することを特徴とするパチンコ遊技機。」
(イ)
「【0001】
本発明は・・・パチンコ遊技機に関する。
・・・
【0005】
・・・図8の(a)の予告絵柄1と(b)の予告絵柄2と(c)の予告絵柄3と(d)の予告絵柄4のそれぞれは示唆絵柄に相当する。」
(ウ)
「【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0008】
図1のパチンコ遊技機はパチンコホールの台島に設置されるものであり、前枠2および下板3を有している。前枠2は垂直な軸4を中心に閉鎖状態および開放状態間で回転可能にされたものであり、前枠2には透明な窓5および上皿6が固定されている。
・・・
【0010】
パチンコ遊技機は、図2に示すように、垂直な板状の遊技板10を有している。この遊技板10は前枠2の窓5の後方に配置されたものであり、・・・」
(エ)
「【0022】
上皿6には、図1に示すように、押しボタン30が装着されている。この押しボタン30は、図6に示すように、下面が開口する有色透明な容器状をなすものであり、透光性を有している。この押しボタン30はオフ位置およびオフ位置に比べて下方のオン位置間で上下方向へ移動可能にされたものであり、・・・遊技者が押しボタン30のオフ位置で押しボタン30を上から下へ手指で押した場合には圧縮コイルバネが収縮することで押しボタン30がオフ位置からオン位置に移動し、遊技者が押しボタン30のオン位置で押しボタン30から手指を離した場合には圧縮コイルバネが伸長することに応じて押しボタン30がオン位置からオフ位置に自己復帰する。
【0023】
上皿6内には押しボタンスイッチ31(図3参照)が固定されている。この押しボタンスイッチ31は・・・、押しボタン30のオン位置では押しボタン30から操作力が加えられることに応じて電気的なオン状態となり、押しボタン30のオフ位置では押しボタン30からの操作力が消滅することに応じて電気的なオフ状態となる。」
(オ)
「【0024】
押しボタン30には、図7に示すように、ベース32が固定されている。このベース32は押しボタン30の下面を閉鎖する水平な板状をなすものであり、ベース32の上面には2つの軸受け33が固定されている。これら2つの軸受け33は左右方向に隙間を介して対向する垂直な板状をなすものであり、押しボタン30内に収納されている。この押しボタン30内にはパルスモータからなるリールモータ34が収納されている。このリールモータ34は一方の軸受け33に固定されたものであり、左右方向へ指向する水平な回転軸35を有している。
【0025】
リールモータ34の回転軸35には、図7に示すように、リール36が固定されている。このリール36は左右方向へ指向する軸を有する円筒状をなすものであり、2つの軸受け33に回転可能に支持されている。このリール36はリールモータ34の回転軸35と一体的に回転するものであり、押しボタン30内に収納されている。」
(カ)
【0026】
リール36の表面には、図7に示すように、3つの凹部37が形成されている。これら3つの凹部37のそれぞれはリール36の軸に対して平行な直状をなすものであり、円周方向に等ピッチ(120°)で配列されている。これら3つの凹部37内のそれぞれにはバーLED38が固定されている。これら3つのバーLED38のそれぞれはリール36の軸に対して平行に一列に配列された28のLED39からなるものであり、押しボタン30を通して視覚的に認識可能にされている。これら28×3のLED39のそれぞれはリール36の径方向へ光を投射するものであり、28×3のLED39のそれぞれからの投射光は押しボタン30を通して視覚的に認識可能にされている。
【0027】
押しボタン30とリールモータ34とリール36と3つのバーLED38は回転形のバーサライタ40を構成するものである。このバーサライタ40はリールモータ34を駆動することでリール36を回転させながら28×3のLED39を設定パターンで点滅させることに応じて絵柄を光の残像として表示するものであり、光の残像による絵柄は遊技者が押しボタン30を通して視覚的に認識可能にされている。
(キ)
「【0088】
図28の(b)の指示画像1は予告絵柄のスロー変動が開始された後に表示コマンド1が送信されることに応じて表示開始されるものであり(図23参照)、予告絵柄のスロー変動中に表示開始される。従って、遊技者は指示画像1を認識することで目線を装飾図柄表示器28から押しボタン30に移し、押しボタン30を通して予告絵柄のスロー変動を認識することでリーチ映像とし信頼度が異なる4種類が存在することを認識することができる。」
(ク)
「【0102】
上記実施例1においては、リール36の表面に予告絵柄1~4を円周方向に等ピッチで印刷しても良い。この場合にはリール36を低速度で回転操作することで予告絵柄1~4をスロー変動させ、リール36を高速度で回転操作することで予告絵柄1~4を高速変動させ、押しボタン30が操作された場合には予告絵柄1~4のうち今回のリーチ映像に応じた1つが押しボタン30に下から対向するようにリール36を回転停止させることが好ましい。」
(ケ)
図面の図1より、押しボタン30が前枠2の幅方向中央下部に位置した態様をみることができる。
ここで、上記(ア)~(ケ)から、以下の事項が導かれる。
(コ)
上記(ア)に特許請求の範囲として示された「操作ボタン」と(エ)に示された「押しボタン30」は、いずれも透光性を有するボタンであることからみても、両者が対応したものであることは明らかであることから、
「操作ボタンとして押しボタン30が設けられている。」
との事項が導かれる。
(サ)
上記(ア)に特許請求の範囲として示された、「透光性を有する操作ボタンと、前記操作ボタンを通して表示内容が視覚的に認識可能にされた絵柄表示器と、」との記載に対応する明細書の記載をみてみると、上記(カ)の【0027】には
「押しボタン30とリールモータ34とリール36と3つのバーLED38は回転形のバーサライタ40を構成するものである。このバーサライタ40はリールモータ34を駆動することでリール36を回転させながら28×3のLED39を設定パターンで点滅させることに応じて絵柄を光の残像として表示するものであり、光の残像による絵柄は遊技者が押しボタン30を通して視覚的に認識可能にされている。」
と記載されている。当該記載からみて、回転型のバーサライタ40のうち押しボタン30を除いた構成、いいかえるとリールモータ34とリール36と3つのバーLED38で絵柄表示器を構成することが記載されていることは明らかであるということができる。その上で、上記(ク)の【0102】の、
「上記実施例1においては、リール36の表面に予告絵柄1~4を円周方向に等ピッチで印刷しても良い。この場合にはリール36を低速度で回転操作することで予告絵柄1~4をスロー変動させ、リール36を高速度で回転操作することで予告絵柄1~4を高速変動させ、押しボタン30が操作された場合には予告絵柄1~4のうち今回のリーチ映像に応じた1つが押しボタン30に下から対向するようにリール36を回転停止させることが好ましい。」
との記載事項からすると、絵柄表示器に関し、「3つのバーLED38」で「絵柄表示器」を構成することと、「リール36の表面に予告絵柄1~4を円周方向に等ピッチで印刷」することで「絵柄表示器」を構成することが、置換関係として記載されていることもまた明らかである。
そうすると、上記事項に加え、(ア)、(カ)、(ク)の記載から、
「リールモータ34とリール36及びリール36の表面に円周方向に等ピッチで印刷した予告絵柄1~4で、回転形の絵柄表示器を構成し、押しボタン30が操作された場合には、予告絵柄1~4のうち1つが押しボタン30に下から対向するように、リール36を回転停止させる。」
との事項が導かれる。
(シ)
上記(ケ)に示される、押しボタン30が前枠2の幅方向中央下部に位置していることと、上記(オ)の【0025】に示される「このリール36は・・・押しボタン30内に収納されている。」との記載からすれば、押しボタン30内に収納されたリール36もまた前枠2の幅方向中央下部に位置していることは明らかである。そして、リール36が前枠2の幅方向中央下部に位置しているのだから、上記(オ)の【0025】の「このリール36は左右方向へ指向する軸を有する円筒状をなす」との記載におけるリール36に関する「左右方向へ指向する軸」もまた、前枠2の幅方向中央下部に位置していることは明らかである。そうすると、上記事項(オ)、(ケ)から
「リール36の左右方向へ指向する軸が前枠2の幅方向中央下部に位置している。」
との事項が導かれる。
そして、上記記載事項(ア)~(ク)、図面に記載された事項(ケ)及び(ア)~(ケ)に基づく認定事項(コ)~(シ)を総合すると、引用例1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる(a~gは、本願補正発明のA~Gに対応させて当審にて付与した。)。
(引用発明)
「a 前枠2を有し、該前枠2は垂直な軸4を中心に閉鎖状態および開放状態間で回転可能にされたものであり、前記前枠2には透明な窓5が固定された、パチンコ遊技機であり(上記(ウ)の【0008】参照)、
b 前記前枠2には上皿6が固定され、操作ボタンとしての押しボタン30が前記上皿6に装着されて前記前枠2の幅方向中央下部に位置し、前記押しボタン30は遊技者が操作可能で透光性を有し、前記押しボタン30を通して予告絵柄1~4を絵柄表示器に表示可能とし、((上記(ア)の【請求項1】、(イ)の【0005】、(ウ)の【0008】、(ケ)、(コ)参照、)、
c リールモータ34とリール36及び該リール36の表面に円周方向に等ピッチで印刷した予告絵柄1~4で、回転形の前記絵柄表示器を構成し、前記押しボタン30が操作された場合には、予告絵柄1~4のうち1つが前記押しボタン30に下から対向するように、前記リール36を回転停止させ(上記(サ)参照)、
d 前記リール36は左右方向へ指向する軸を有する円筒状をなし、前記リールモータ34の回転軸35と一体的に回転するものであり、2つの軸受け33に回転可能に支持され、前記リール36の左右方向へ指向する軸が前枠2の幅方向中央下部に位置している(上記(オ)の【0025】、(シ)参照)、
g パチンコ遊技機(上記(ウ)の【0008】参照)。」
イ 引用例2
原査定の拒絶の理由に引用された刊行物である特開平8-71224号公報(以下、「引用例2」という。)には、「パチンコ機の可変表示装置」の発明に関し、以下の事項が記載されている(下線は当審で付した。)。
(ア)
「【請求項2】 回転軸心の回りを旋回する複数個の図柄を変動表示する図柄ドラムの近傍には各図柄の実像を反転した各虚像を遊技盤面の近傍で順次映し出して逆回りに変動表示する鏡面を、前記虚像が遊技盤の前方から正視されるようにして配設したことを特徴とするパチンコ機の可変表示装置。
【請求項3】 前記回転軸心の回りを旋回する各図柄のうち、第1の投射位置へ旋回した図柄の虚像をその図柄の上方で映し出して逆回りに変動表示する上鏡面と、前記回転軸心の回りを旋回する各図柄のうち、第2の投射位置へ旋回した図柄の虚像をその図柄の下方で映し出して逆回りに変動表示する下鏡面とを備えたことを特徴とする請求項1または請求項2記載のパチンコ機の可変表示装置。」
(イ)
「【0014】
【実施例】次に、本発明の1実施例を図面にしたがって説明する。パチンコ機の遊技盤1に装着された可変表示装置において、遊技盤1に開設された開口部1b内には遊技盤1に取付けられた図示しない支持部材によってそれぞれ回転可能に支持されて横方向へ同心状態で配列され、図示しないモータによって個々に回転制御されて遊技盤面1aと並行で水平な回転軸心を中心として回転する3つの円盤状の図柄ドラム2~2がその前端付近を遊技盤面1aから露出した状態で挿通されている。
【0015】各図柄ドラム2の外周面にはその周方向へ同様な配列状態で配列されて図柄ドラム2の回転時に図柄ドラム2の回転軸2aの回りを順回りに旋回して変動表示される複数個1組の図柄3がそれぞれ列記されている。」
(ウ)
「【0017】遊技盤1の若干前側には図柄ドラム2の表示図柄を装飾する凹面鏡状の反射部材5が各図柄ドラム2の前部を包囲した状態で設置され、この反射部材5の上下部には図柄3の実像を反転した虚像4を、この虚像4が遊技盤1の前方から正視されるようにして遊技盤面1aの近傍で映し出す上鏡面6および下鏡面7がそれぞれ凹曲面状に形成されている。
【0018】上鏡面6は図柄ドラム2の回転軸2aの上方に配設され、この上鏡面6には各図柄ドラム2の回転軸2aの前上方の第1の投射位置10へ旋回した各組の図柄3の虚像4がその図柄3の上方で映し出されて逆回りに変動表示され、下鏡面7は図柄ドラム2の回転軸2aの下方に配設され、この下鏡面7には各図柄ドラム2の回転軸2aの前下方の第2の投射位置11へ旋回した各組の図柄3の虚像4がその図柄3の下方で映し出されて逆回りに変動表示される。」
(エ)
「【0026】次に図3に示す本発明の第2実施例について説明すると、本例では各図柄ドラム2は遊技盤面1aに固定されたブラケット9によって回転可能に支持されている。
【0027】ブラケット9には遊技盤1の前側に設置された凹面鏡状の反射部材5Aが結合され、この反射部材5Aには図柄ドラム2の回転軸2aの上方の第1の投射位置10Aへ旋回した図柄3の虚像を映し出す上鏡面6Aと、図柄ドラム2の下方に配置されて図柄ドラム2の回転軸2aの下方の第2の投射位置11Aへ旋回した図柄3の虚像を映し出すその図柄3の下方で映し出す下鏡面7Aとが形成されている。」
(オ)
「【0008】請求項2の発明では、図柄ドラムが回転して各図柄が順に変動表示されると、各図柄の実像を反転した各虚像が鏡面に順次映し出されて逆回りに変動表示され、実像と虚像とを併有する図柄像が遊技盤面の近傍に出現する。
【0009】請求項3の発明では、図柄ドラムが回転すると、各図柄が順回りに変動表示されると同時に、図柄ドラムの回転軸の回りの第1の投射位置へ旋回した各図柄の虚像が上鏡面に順次映し出されて逆回りに変動表示され、回転軸心の回りの第2の投射位置へ旋回した各図柄の虚像が下鏡面に順次映し出されて逆回りに変動表示される。
・・・
【0011】請求項2によれば、図柄ドラムの回転時に図柄ドラムの各図柄の虚像を駆動手段を使用せずに鏡面によって明確に映し出すことができ、各図柄の実像と虚像とを各実像が順回りに旋回して各虚像が逆回りに旋回するように混在させて変動表示することができ、各図柄の変動表示と各図柄の虚像の変動表示とを同時に行うことができる。
【0012】従って、図柄の変動表示に際して遊技者にインパクトを与えるような動的な装飾効果を表示図柄に付加して図柄群の表示態様および図柄像を特異化し、かつ、表示図柄に対する装飾効果を高めることができる。
【0013】請求項3によれば、図柄の旋回方向と逆回りに旋回移動する各虚像が各実像の上方および下方に出現し、各表示図柄が空中に浮かんだ状態となって変動表示されるので、表示図柄に対する動的な装飾効果を高めて図柄の表示態様の特異性を助長することができる。」
(カ)
第2実施例を示す可変表示装置の側面図である図面の図3から、凹面鏡状の反射部材5Aとして、前後方向に薄い反射部材5Aを配設する態様をみることができるとともに、前後方向に薄い凹面鏡状の反射部材5Aが、図柄ドラム2の後側に対向するように、図柄ドラム2の後側にて図柄ドラム2とは間隔をおいて設けられた態様をみることができる。
(キ)
第2実施例を示す可変表示装置の側面図である図面の図3から、反射部材5Aの上鏡面6Aが、図柄ドラム2の回転軸2aよりも後側で、かつ図柄ドラム2の上方にて図柄ドラム2に対向するように配置され、図柄ドラム2の回転軸2aの上方後側の第1の投射位置10Aへ旋回した図柄3の虚像を映し出し、反射部材5Aの下鏡面7Aが、図柄ドラム2の回転軸2aよりも後側で、図柄ドラム2の下方にて図柄ドラム2に対向するように配置され、図柄ドラム2の回転軸2aの下方後側の第2の投射位置11Aへ旋回した図柄3の虚像を映し出す態様をみることができる。
ここで、上記(ア)~(キ)から、以下の事項が導かれる。
(ク)
上記(イ)に示された「パチンコ機の遊技盤1に装着された可変表示装置において」との記載から、パチンコ機が遊技盤1を備えていることは明らかである。そうすると、上記(イ)の記載から、
「遊技盤1を備えたパチンコ機」
との事項が導かれる。
(ケ)
上記(イ)には、実施例として、「本発明の1実施例を図面にしたがって説明する」と前置きして、「横方向へ同心状態で配列され、図示しないモータによって個々に回転制御されて遊技盤面1aと並行で水平な回転軸心を中心として回転する3つの円盤状の図柄ドラム2~2がその前端付近を遊技盤面1aから露出した状態で挿通されている。」と記載されている。そして、上記(ウ)には、同じく1実施例につき、「上鏡面6は図柄ドラム2の回転軸2aの上方に配設され、・・・下鏡面7は図柄ドラム2の回転軸2aの下方に配設され、・・・」と記載されている。
一方、上記(エ)には、「次に図3に示す本発明の第2実施例について説明する」と前置きして、「本例では各図柄ドラム2は遊技盤面1aに固定されたブラケット9によって回転可能に支持されている。」と記載されている。
上記(エ)では、第2実施例における「図柄ドラム2」の回転軸心の向きを示していないが、図柄ドラムについて、1実施例と第2実施例がいずれも「図柄ドラム2」と同じ記号を用いていることからみて、第2実施例における「図柄ドラム2」が1実施例と同じく「遊技盤面1aと並行で水平な回転軸心を中心として回転する3つの円盤状の図柄ドラム2」をなしていることは明らかである。そうすると、上記事項から
「第2実施例において、図柄ドラム2が、遊技盤面1aと並行で水平な回転軸心を中心として回転する3つの円盤状の図柄ドラム2をなしている。」
との事項が導かれる。
(コ)
上記(カ)における、「前後方向に薄い凹面鏡状の反射部材5A」が、板状をなしていることは明らかである。さらに、上記(カ)において「図柄ドラム2の後側に対向するように、・・・図柄ドラム2とは間隔をおいて」設けられた「反射部材5A」は、そもそも「面」をなす「凹面鏡状」なのだから、「凹面鏡状の反射部材5A」が図柄ドラム2に対して対向面を有していることは明らかである。
また、上記(エ)における「反射部材5A」に形成された「上鏡面6A」は、図柄ドラム2の回転軸2aの上方の第1の投射位置10Aへ旋回した図柄3の虚像を映し出しているのだから、「上鏡面6A」は「図柄ドラム2」と対向していることは明らかである。同様の理由により「下鏡面7A」もまた「図柄ドラム2」と対向していることは明らかである。
そうすると、上記(エ)、(カ)の記載事項から、
「板状をなす凹面鏡状の反射部材5Aが、図柄ドラム2の後側に対向する対向面を有するように、図柄ドラム2の後側にて図柄ドラム2とは間隔をおいて設けられ、
反射部材5Aには、図柄ドラム2と対向し図柄ドラム2の図柄3の虚像を映し出す上鏡面6Aと、図柄ドラム2と対向し図柄ドラム2の図柄3の虚像を映し出す下鏡面7Aとが形成された」
との事項が導かれる。
(サ)
上記(ア)における、「逆回りに変動表示する鏡面を、前記虚像が遊技盤の前方から正視されるようにして配設した」との記載からみて、上記(キ)の「反射部材5Aの上鏡面6A」が映し出す「図柄ドラム2の回転軸2aの上方後側の第1の投射位置10Aへ旋回した図柄3の虚像」が前方から正視されるようにして映し出されるものであり、「反射部材5Aの下鏡面7A」が映し出す「図柄ドラム2の回転軸2aの下方後側の第2の投射位置11Aへ旋回した図柄3の虚像」も前方から正視されるようにして映し出されるものであることは明らかである。そうすると、上記(ア)、(キ)の記載事項から、
「反射部材5Aの上鏡面6Aが、図柄ドラム2の上方に配置され、図柄ドラム2の回転軸2aの上方後側の第1の投射位置10Aへ旋回した図柄3の虚像を前方から正視されるようにして映し出し、反射部材5Aの下鏡面7Aが、図柄ドラム2の下方に配置され、図柄ドラム2の回転軸2aの下方後側の第2の投射位置11Aへ旋回した図柄3の虚像を前方から正視されるようにして映し出す。」
との事項が導かれる。
そして、上記記載事項(ア)~(オ)、図面に記載された事項(カ)~(キ)及び(ア)~(キ)に基づく認定事項(ク)~(サ)を総合すると、引用文献2には、次の事項(以下、「引用例2記載技術」という。)が記載されていると認められる(a~gは、それぞれ本願発明のA~Gに対応させて付与した。)。
(引用例2記載技術)
「a 遊技盤1を備えたパチンコ機の可変表示装置であって(上記(ア)の【請求項2】、(ク)参照)、
c 外周面には複数個1組の図柄がそれぞれ列記され回転軸心の回りを旋回する複数個の図柄を変動表示する図柄ドラム2と、板状をなす凹面鏡状の反射部材5Aを設け、(上記(ア)の【請求項2】、(イ)の【0015】、(コ)参照)、
d 図柄ドラム2は、遊技盤面1aと並行で水平な回転軸心を中心として回転し(上記(ケ)参照)、
e 板状をなす凹面鏡状の反射部材5Aが、図柄ドラム2の後側に対向する対向面を有するように、図柄ドラム2の後側にて図柄ドラム2とは間隔をおいて設けられ(上記(コ)参照)、
反射部材5Aには、図柄ドラム2と対向し図柄ドラム2の図柄3の虚像を映し出す上鏡面6Aと、図柄ドラム2と対向し図柄ドラム2の図柄3の虚像を映し出す下鏡面7Aとが形成され(上記(コ)参照)、
f 反射部材5Aの上鏡面6Aが、図柄ドラム2の回転軸2aよりも後側で、かつ図柄ドラム2の上方に配置され、図柄ドラム2の回転軸2aの上方後側の第1の投射位置10Aへ旋回した図柄3の虚像を前方から正視されるようにして映し出し、反射部材5Aの下鏡面7Aが、図柄ドラム2の回転軸2aよりも後側で、かつ図柄ドラム2の下方に配置され、図柄ドラム2の回転軸2aの下方後側の第2の投射位置11Aへ旋回した図柄3の虚像を前方から正視されるようにして映し出し(上記(サ)参照)、
各図柄の変動表示と各図柄の虚像の変動表示とを同時に行うことで、図柄の変動表示に際して遊技者にインパクトを与えるような動的な装飾効果を表示図柄に付加して図柄群の表示態様および図柄像を特異化し、かつ、表示図柄に対する装飾効果を高める(上記(オ)の【0011】~【0012】参照)、
g パチンコ機の可変表示装置(上記(ア)の【請求項2】、(ク)参照)。」
(3)対比
本願補正発明と引用発明とを、分説に従い対比する(対比の見出しとしての(a)~(g)は、引用発明の分説構成と対応させた。)。
(a)引用発明における構成aの「パチンコ遊技機」、「垂直な軸4を中心に閉鎖状態および開放状態間で回転可能」とすることは、それぞれ本願補正発明の「遊技機」、「開閉可能に支持」することに相当する。また、引用発明における構成aの「前枠2」は「透明な窓5が固定」されているのだから、本願補正発明の「前扉」に相当するものといえる。
(b)引用発明における構成bの「押しボタン30」は「操作ボタン」であって「遊技者が操作可能なもの」であるのだから、本願補正発明の「演出操作装置」と、「操作装置」である点で共通する。また、同構成bの「絵柄表示器」は、「予告絵柄1~4」を表示できるようにしているのだから、本願補正発明の「演出操作装置」と、「演出装置」である点で共通する。これらのことから、引用発明における構成bの「操作ボタン30」と「絵柄表示器」の両者は、本願補正発明の「演出操作装置」に相当する。
さらに、引用発明における構成bの、「前枠2には上皿6が固定」され、「前記上皿6に装着されて前記前枠2の幅方向中央下部に位置」する「押しボタン30」は、本願補正発明の「前扉の幅方向中央下部に設けられる演出操作装置」(「枠体或いは」の部分を除く)に相当する。
(c)引用発明における構成cの「リール36」は、本願補正発明の「回転体」に相当する。
そして、上記(b)で説示のとおり、引用発明における「絵柄表示器」は、「操作ボタン」とともに本願補正発明の「演出操作装置」に相当するものであることから、引用発明における構成cの「絵柄表示器」を構成する「リール36」は、本願補正発明における「演出操作装置」が「備えて」なる「回転体」に相当するものといえる。
(d)引用発明における構成dの「左右方向へ指向する軸」は、本願補正発明の「前扉の幅方向」に向く「回転軸」に相当する。
また、引用発明における構成dの、「リール36」に関する「2つの軸受け33に回転可能に支持」される構成は、本願補正発明の「回転体」に関する「回転可能に設けられて」いる構成に相当する。
(g)上記(a)にて説示のとおり、引用発明における構成aの「パチンコ遊技機」は、本願補正発明の「遊技機」に相当する。
してみると、上記(a)~(g)によれば、本願補正発明と引用発明との一致点及び相違点は以下のとおりである。
(一致点)
「A 開閉可能に支持される前扉とを備える遊技機において、
B 前記前扉の幅方向中央下部に設けられる演出操作装置を具備してなり、
C′当該演出操作装置は、
回転体を備えてなり、
D 前記回転体は、その回転軸が前記前扉の前記幅方向中央下部にて前記前扉の幅方向に向くように、回転可能に設けられている、
G 遊技機。」
(相違点)
(相違点1)(構成Aについて)
本願補正発明の「遊技機」は、枠体と、当該枠体に開閉可能に支持される前扉とを備えるものであるのに対し、引用発明では枠体の存在が不明である上に、前扉が枠体に支持されているのか否か不明である点。
(相違点2)(構成C、E、Fについて)
本願補正発明では、演出操作装置は、回転体と反射板とを備えてなり、前記反射板は、前記回転体の下側に対向する対向面を有するように、前記回転体の下側にて当該回転体とは間隔をおいて設けられて、前記対向面を、前記回転体を虚像として投影可能な鏡面として形成してなり、前記反射板の前側部位は、遊技者が前側上方から前記回転体の実像とその下側に位置する前記虚像とを同時に視認可能なように、前記回転体の上下方向中心線よりも前側に位置するのに対し、引用発明は、回転体を備えているが反射板を備えていない点。
(4)判断
上記各相違点について検討する。
ア (相違点1)について
遊技機において、枠体を設けるとともに、前扉を枠体に開閉可能に支持することは、本願出願時においてきわめてよく知られた周知の事項であることをふまえると、引用発明にて枠体を設けて、枠体に前扉を開閉可能に支持することは、当業者であればごく普通に行う事項というべきものである。
ちなみに、例えば出願人が本願の明細書に従来技術として示した特開2003-135872号公報の【0010】においても、
「図1において、遊技機本体1は、矩形状の外枠2と、この外枠2の前側に左右一側、例えば左側のヒンジ3により開閉自在に枢着された前枠4とを備えている。前枠4の前側には、ガラス扉5と前面板6とが上下に配置され、夫々ヒンジ3と同じ側のヒンジ7により前枠4に開閉自在に枢支されている。」
と記載され、ガラス扉と前面板を配置した前枠4(本願補正発明の前扉に相当)を外枠2(同枠体に相当)に開閉可能に支持する態様が記載されている。
イ (相違点2)について
引用例2記載技術における構成cの「図柄ドラム」、「板状をなす反射部材5A」は、それぞれ本願補正発明の「回転体」、「反射板」に対応する。
また、引用例2記載技術における構成eの「上鏡面6A」、「下鏡面7A」はいずれも本願補正発明の「鏡面」に対応するとともに、引用例2記載技術の構成fの「各図柄の変動表示と各図柄の虚像の変動表示とを同時に行うこと」は、本願補正発明の「遊技者」が「回転体の実像」と「虚像とを同時に視認可能」とすることに対応する。
そうすると、引用例2記載技術によれば、
「A 遊技機において、
C 演出装置は、
回転体と、反射板とを備えてなり、
D′回転体は、その回転軸が幅方向に向くように、回転可能に設けられており、
E′反射板は、前記回転体の後側に対向する対向面を有するように、前記回転体の後側にて当該回転体とは間隔をおいて設けられて、前記対向面を、前記回転体を虚像として投影可能な鏡面として形成してなり、
F′反射板の上側部位及び下側部位は、遊技者が前側から前記回転体の実像とその後側に位置する虚像とを同時に視認可能なように位置する
G 遊技機。」
が、本願出願前において公知であったということができる。
一方、引用発明と引用例2記載技術は、いずれも回転体を有するパチンコ遊技機であって、いずれの回転体も複数個の図柄を変動表示し遊技者に興趣を与えるものである点で共通していることをふまえると、引用発明の「リール36」(本願補正発明の回転体に相当)に対して、遊技者からみて後側となる下側に、対向する対向面を有するように、当該リール36(回転体)とは間隔をおいて反射板を設け、前記対向面を、リール36(回転体)を虚像として投影可能な鏡面として形成し、遊技者が回転体の実像と、その後側となる下側に位置する虚像とを同時に視認可能なように反射板を位置させ、各図柄の変動表示と各図柄の虚像の変動表示とを同時に行うことで、図柄の変動表示に際して遊技者にインパクトを与えるような動的な装飾効果を表示図柄に付加して図柄群の表示態様および図柄像を特異化し、かつ、表示図柄に対する装飾効果を高めることは、当業者が容易に想到することである。
また、引用発明には、押しボタン30を通して予告絵柄のスロー変動を認識することで4種類が存在することを認識することができるようにする効果が述べられている(上記(2)ア (キ)の【0088】参照)。引用発明に反射板を設け、遊技者が回転体の実像とその後側となる下側に位置する虚像とを同時に視認可能とすることで、予告絵柄に4種類が存在することの認識を早めうることから、引用発明には少なくとも反射板を適用することに対して阻害する要因はない。
ここで引用発明のリール36(回転体)は、予告絵柄1~4のうち1つが押しボタン30に下から対向するものであって、その押しボタン30が上皿6に装着されていることをふまえると、遊技者は押しボタン30を前側上方から視認していることは明らかなことであって、その押しボタン30に下から対向する予告絵柄を有するリール36に対しても、遊技者は前側上方から視認していることは明らかである。
そして、引用発明のリール36(回転体)に対して、表示される図柄に対する装飾効果を高めるために、引用例2記載技術を用いて遊技者が回転体の実像と虚像とを同時に視認可能としようとすれば、遊技者が前側上方からリール36(回転体)の実像とその下側に位置する虚像とを同時に視認可能なように、回転体の前側と後側に反射板を位置させることは当業者にとって当然のことであって、その結果として、特に反射板の前側部位が、回転体の上下方向中心線よりも前側に位置となることは、当業者にとって明らかなことである。
ウ 請求人の主張及び本願補正発明が奏する効果について
審判請求人は、本願補正発明について、審判請求書の「2.本願発明と引用例との対比」の(2-2)にて、引用例1、2のいずれにおいても、本願補正発明の「前記反射板の前側部位は、遊技者が前側上方から前記回転体の実像とその下側に位置する前記虚像とを同時に視認可能なように、前記回転体の上下方向中心線よりも前側に位置する」という構成に相当する構成が、技術的記載や示唆も何らなされておらず、本願補正発明は、引用例1或いは2の発明とは明らかに相違する旨を主張している。
しかし、上記イにて説示のとおり、引用発明のリール36(回転体)に対して、表示される図柄に対する装飾効果を高めるために、引用例2記載技術を用いて遊技者が回転体の実像と虚像とを同時に視認可能としようとすれば、遊技者が前側上方からリール36(回転体)の実像とその下側に位置する虚像とを同時に視認可能なように、回転体の下側でかつ前側と、回転体の下側でかつ後側にそれぞれ反射板を位置させることは当業者にとって当然のことであって、その結果として、反射板のうち特に回転体の下側でかつ前側となる部位が、回転体の上下方向中心線よりも前側に位置となることは、当業者にとって明らかなことである。
また、審判請求人は、本願補正発明に特有の作用効果として、審判請求書の「1.本願発明の説明」の(1-2)にて、遊技者が前側上方から演出操作装置を視認したとき、虚像としての回転体は、その前側から後側に亘り、実像としての回転体に対し、奥行きのある位置にあるように良好に視認され得る。その結果、回転体の実像と反射板の鏡面の前側から後側に映る回転体の奥行きのある虚像との双方でもって、回転体の見え方に斬新な面白み等の演出効果を期待することができる旨を主張している。
しかし、審判請求人が主張する上記作用効果は、当業者が引用発明及び引用例2記載事項から予測し得るものであって、格別のものということはできない。
したがって、請求人の主張は採用することができない。
(5) まとめ
以上のように、本願補正発明は、当業者が引用発明及び刊行物2に記載された事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。
4. 補正の却下の決定についてのむすび
上記3より、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
第3 本願発明について
1. 本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成28年7月15日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである(A~Gは本願発明を分説するため当審で付した。)。
「【請求項1】
A 枠体と、当該枠体に開閉可能に支持される前扉とを備える遊技機において、
B 前記枠体或いは前記前扉の幅方向中央下部に設けられる演出操作装置を具備してなり、
C′当該演出操作装置は、
回転体と、反射部とを備えてなり、
D′前記回転体は、その回転軸が前記枠体或いは前記前扉の前記幅方向中央下部にて、前記枠体或いは前記前扉の幅方向に向くように回転可能に設けられており、
E′前記反射部は、前記回転体の下側に対向する対向面を有するように、前記回転体の下側にて当該回転体とは間隔をおいて設けられて、前記対向面を、前記回転体を虚像として投影可能な鏡面として形成してなることを特徴とする
G 遊技機。」
2. 刊行物に記載された事項
刊行物1の記載事項、認定事項及び刊行物1に記載された発明(引用発明)については、上記「第2 3.(2)」に示したとおりである。
3. 対比、判断
本願発明は、「第2 3.(1)」に示した本願補正発明の「反射部」に関し、それが反射「板」であるとの限定を削除して「反射部」とするとともに、当該「反射板」の位置について、その前側部位が、遊技者が前側上方から回転体の実像とその下側に位置する虚像とを同時に視認可能なように、回転体の上下方向中心線よりも前側に位置するとの限定を削除し、さらに、句読点の位置に関し、誤記を含んだ状態に戻すものであるといえる。
そうすると、誤記についてはさておき、本願発明を特定する事項をすべて含み、さらに特定する事項を付加したものに相当する本願補正発明が、「第2 3.(4)」に記載したとおり、引用発明及び引用例2記載技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるのだから、本願発明も同様の理由により、引用発明及び引用例2記載技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
4. むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
したがって、本願の他の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2017-002159