意匠拒絶査定不服審判
2017-002147
食品容器用蓋
- 審判番号
- 2017-002147
- 法域
- 意匠
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 意願2015-019905外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2017年02月14日
- 審決日
- 2017年05月08日
- 公報発行日
- 2017年07月28日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 分類
- D18 .113-WY (C5-3)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 意匠法3条1項3号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 意匠法第3条第1項第3号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
意願2015-19905「食品容器用蓋」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。
結論
【結 論】
原査定を取り消す。
本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由
【理 由】
1.本願意匠
本願は,2015年3月17日のアメリカ合衆国の出願に基づくパリ条約による優先権の主張を伴う,平成27年(2015年)9月8日付けの意匠登録出願であって,その意匠(以下「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品を「食品容器用蓋」とし,その形態を願書及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである(別紙第1参照)。
2.原査定における拒絶の理由及び引用意匠
原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとしたもので,拒絶の理由に引用された意匠は,特許庁発行の意匠公報に記載の,意匠登録第1517745号(意匠に係る物品,食品容器用蓋)の意匠(以下「引用意匠」といい,本願意匠と併せて「両意匠」という。)であって,その形態は,同公報に記載されたとおりのものである(別紙第2参照)。
3.当審の判断
(1)意匠に係る物品について
両意匠を対比すると,意匠に係る物品は,共に「食品容器用蓋」で,一致している。
(2)形態について
両意匠の形態を対比すると,その形態には,以下に示す主な共通点と相違点が認められる。
(2-1)共通点
食品を保存するための容器を密閉するために,全周にわたって堤状の,容器本体上端を保持する嵌合部を設けた,角丸長方形状の蓋であって,その対角線上の角部に一対の,略へん平台形薄板状の大きなつまみ部を配置した点,堤状の嵌合部の,外側周面を略垂直面状とし,内側周面に裾広がりの傾斜曲面を用いた点で共通している。
(2-2)相違点
それに対して,(a)嵌合部の内側周面につき,本願意匠は,大きな曲線のみから成る面で構成されているのに対して,引用意匠は,上側半分以上を直線,残りの下側を曲線から成る面としている点,(b)長辺部分における嵌合部底面側の溝部につき,本願意匠は,裾広がりの溝部内に直線状の突条を設けているのに対して,引用意匠は,突条を設けていない点,(c)嵌合部の外側周面下端の形状につき,本願意匠は,鍔部が無いのに対して,引用意匠は,極小の鍔部が全周にわたって設けてある点,で相違する。
(3)類否判断
この種物品分野においては,容器本体上端を保持するため,全周にわたって堤状の嵌合部を設ける点,及び,各種形状の容器に合わせて,各種の外形状の蓋を用意することから,蓋の外形状を角丸長方形とする点は,両意匠のみの特徴ではなく,これらの共通点のみで類否判断をすることはできない。
そして,つまみ部は,設けられていない又は設けられていても1か所のみという場合が多い,この種物品の従来の意匠に対して,両意匠は,対角線上の角部に一対の,略へん平台形薄板状の大きなつまみ部を設けており,この共通点によって,一見両意匠に共通感が生じている。
一方,容器本体上端を保持する溝部を形成するため,従来の意匠は,嵌合部の内外両周面を略垂直面としてきたが,その場合,蓋上面と嵌合部内側周面との入隅部分が略直角になるために洗浄が難しく,食品容器用蓋という使用目的に際して,衛生的に保つのはやや困難であったところ,本願意匠は,嵌合部内側周面に略垂直面が一切無く,嵌合部頭頂部(堤防でいうところの「天端(てんば)」。)から直接大きなへこみ曲面として,蓋上面につながる形態としているため,洗浄がたやすく,衛生的であることがうかがえる形態としており,その形態的特徴は顕著であって,内側周面に裾広がりの傾斜曲面を持つとはいえ,半分以上を略垂直面としている引用意匠とは,美感を異としているから,相違点(a)は,両意匠の類否判断において,大きな影響を与えている。
相違点(b)については,蓋を容器に密閉させる際,又は洗浄する際に気になる部分の形状であるため,本願意匠を裏返してみた場合,裾広がりになった溝部内に直線状の突条を立設した態様は,従来の意匠に表れる,溝の両側面が略垂直面である態様とは,大きくかけ離れ,従来の意匠と同様の溝に少しの裾広がりの傾斜曲面を設けた程度の引用意匠とは,異なった印象を与えるものであるから,両意匠の類否判断に影響を与える。
相違点(c)については,極小の鍔部であること,鍔部が有ることも無いことも,この種物品においては,極普通の形態であることから,両意匠の類否判断に与える影響は限定的であるといえる。
よって,相違点(c)が両意匠の類否判断に与える影響がほとんどないとしても,相違点(a)及び(b)がもたらす印象で,共通点が醸し出す印象をしのいでおり,見る者に両意匠が別異であると認識させるものであり,両意匠の形態は類似しないといえる。
したがって,両意匠の意匠に係る物品は一致しているが,形態は類似しないから,両意匠は,類似しているとはいえない。
4.結び
以上のとおりであって,本願意匠は,引用意匠に類似せず,原査定の引用意匠をもって,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するということはできず,本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また,当審が更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2017-002147