商標異議申立
2022-900291
タッパー
- 審判番号
- 2022-900291
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 商願2021-109184
- 登録番号
- 6553639
- 請求日
- 2022年07月15日
- 審決日
- 2023年08月31日
- 公報発行日
- 2024年03月29日
- 結論
- 請求成立(取消)
- 当事者
- 【権利者】ダート インダストリーズ インコーポレイテッド
- 【権利者代理人】田中 伸一郎
- 【権利者代理人】中村 稔
- 【権利者代理人】井滝 裕敬
- 【権利者代理人】▲吉▼田 和彦
- 【権利者代理人】藤倉 大作
- 【権利者代理人】相良 由里子
- 【権利者代理人】角谷 健郎
- 【異議申立人】小幡 良二
- 【異議申立人代理人】長谷川 芳樹
- 【異議申立人代理人】黒川 朋也
- 【異議申立人代理人】堀江 亮平
- 審判長/審判官
- 審判長 豊田 純一
- 審判官 杉本 克治
- 審判官 小田 昌子
- 分類
- T1652.13 -Z (W25)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法3条1項3号商標法43条の3第2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第3号、商標法第3条、商標法第3条第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
登録第6553639号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。
結論
結 論
登録第6553639号商標の指定商品中、第25類「サーフィン用ウェットスーツ,水上スポーツ用ウエットスーツ,ウェットスーツ(潜水用のものを除く。),水上スポーツ用特殊衣服」についての商標登録を取り消す。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第6553639号商標(以下「本件商標」という。)は、「タッパー」の文字を標準文字で表してなり、令和3年9月2日に登録出願、「サーフィン用ウェットスーツ,水上スポーツ用ウエットスーツ,ウェットスーツ(潜水用のものを除く。),水上スポーツ用特殊衣服」を含む第25類及び第24類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、同4年4月20日に登録査定、同年5月10日に設定登録されたものである。
第2 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標はその指定商品中、第25類「サーフィン用ウェットスーツ,水上スポーツ用ウエットスーツ,ウェットスーツ(潜水用のものを除く。),水上スポーツ用特殊衣服」(以下「本件申立商品」という。)について、商標法第3条第1項第3号に違反して登録されたものであるから、その登録は同法第43条の2第1号によって取り消されるべきものであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第35号証(枝番号を含む。)を提出した。
以下、証拠の表記に当たっては、「甲第○号証」を「甲○」のように省略して記載し、枝番号を有する証拠において、枝番号の全てを引用する場合は、枝番号の記載を省略する。
1 具体的理由
(1)「タッパー」はウェットスーツの需要者の間においてウェットスーツの種類を表す一般的な用語であること
本件商標は、「タッパー」の文字を標準文字で表してなるところ、同語は、サーフィン初心者向けのウェブサイトや基礎知識を集めたサーフィン用語集において「上半身だけのウェットスーツ」を意味する語として記載され(甲2~甲6)、また、各種書籍においても同様の意味合いで紹介されている(甲7~甲9)。
(2)「タッパー」は現にウェットスーツの需要者の間で一般用語として使用されていること
上記(1)のとおり、「タッパー」は、ウェットスーツの種類を表す一般的な用語であることから、本件商標の登録出願日より前か、遅くとも登録査定日より前から、ウェットスーツの取引者・需要者の間で、新聞記事やウェブの記事において、「上半身だけのウェットスーツ」や「サーフィン用のウェットスーツ」ほどの意味合いで一般的に使用されている実情があり、数多くの使用例があって、その一部を以下に列挙する。
ア 新聞記事において、「冬などは寒さを防げるウェットスーツを。(中略)少し肌寒いときは上半身だけ防寒してくれるタッパーを着ます。」と記載されており、「タッパー」の語が「上半身だけのウェットスーツ」の意味合いで使用されている(甲10)。
イ 「ウェットスーツの選び方」とのタイトルにて、「サーフィンを一年中している人もいれば、夏だけの人もいます。(中略)朝夕少し涼しく感じるときには、タッパーやラッシュガードなどを購入すればいいでしょう。」と記載されており、「タッパー」の語が「サーフィン用のウェットスーツ」の意味合いで使用されている(甲11)。
ウ 「サーフィン関連情報」のカテゴリーにおいて、「ウェットスーツの選び方」とのタイトルにて、「真夏に使用する、上半身のみの長袖のウェットスーツ」と記載されており、「タッパー」の語が「上半身だけのウェットスーツ」や「サーフィン用のウェットスーツ」の意味合いで使用されている(甲12)。
エ 新聞記事において、「さまざまな形状のウェットスーツがあるが、あまり深くもぐらない初心者なら「タッパー(上半身のみ)を」と勧める。」と記載されており、「タッパー」の語が「上半身だけのウェットスーツ」の意味合いで使用されている(甲13)。
オ 「サーフィンコラム:ウェットスーツのタッパーってなに?」とのタイトルにて、「トップスだけの薄手のウェットスーツの事を指す。」と記載されており、「タッパー」の語が「上半身だけのウェットスーツ」や「サーフィン用のウェットスーツ」の意味合いで使用されている(甲14)。
カ 「最初にそろえるべき3種類のウェットスーツと使い分け方|サーフィンの基本」とのタイトルにて、「夏~真夏用ウェットスーツがタッパー」と記載されており、「タッパー」の語が「サーフィン用のウェットスーツ」の意味合いで使用されている(甲15)。
キ 「ALMONDのウェットスーツが遂に発売に。」とのタイトルにて、上半身だけのウェットスーツの写真及び「ロングスリーブタッパー」の文字が記載されており、「タッパー」の語が「上半身だけのウェットスーツ」の意味合いで使用されている(甲16)。
ク 「サーフィンで着用するタッパーの魅力とは?」とのタイトルにて、「上半身のウェットスーツ」、「サーフィンをする際に着るウェットスーツ」と記載されており、「タッパー」の語が「上半身だけのウェットスーツ」や「サーフィン用のウェットスーツ」の意味合いで使用されている(甲17)。
ケ 「夏のサーフィンの防寒、擦れ、日焼け対策にオススメのタッパー(メンズ&レディース)」とのタイトルにて、上半身だけのウェットスーツの写真及び「Tupper」の文字が大きく記載されており、「タッパー」の語が「上半身だけのウェットスーツ」や「サーフィン用のウェットスーツ」の意味合いで使用されている(甲18)。
コ 「ウエットスーツ」とのタイトルにて、「上半身のみを覆ったウエットスーツになります。」と記載されており、「タッパー」の語が「上半身だけのウェットスーツ」の意味合いで使用されている。なお、末尾に「C2021・・・」(決定注:「C」は丸付き文字。以下同じ。)と記載されており、少なくとも登録査定時には公開されていることが分かる(甲19)。
サ 「タッパーとは?」とのタイトルにて、「上半身用のウェットスーツです。」と記載されており、「タッパー」の語が「上半身だけのウェットスーツ」の意味合いで使用されている。なお、末尾に「C2021・・・」と記載されており、少なくとも登録査定時には公開されていることが分かる(甲20)。
シ 「【サーフィン・ウェットスーツ】」とのタイトルにて、「タッパーは長袖で、上半身のみのウェットスーツです。」と記載されており、「タッパー」の語が「上半身だけのウェットスーツ」や「サーフィン用のウェットスーツ」の意味合いで使用されている。なお、タッパーを紹介するイラストについて「C2018・・・」と記載されており、登録出願前には公開されていることが分かる(甲21)。
ス 「タッパーが持つ3つの機能とおすすめの着こなし」とのタイトルにて、「上半身のみを覆ったウエットスーツのことを言います。」、「サーフィンのウェアである「タッパー」」と記載されており、「タッパー」の語が「上半身だけのウェットスーツ」や「サーフィン用のウェットスーツ」の意味合いで使用されている。なお、ページ冒頭に「2022-3-24 UPDATE」と記載されており、少なくとも登録査定時には公開されていることが分かる(甲22)。
(3)取引市場においても「タッパー」の語は一般的に使用されていること
ウェットスーツの取引市場においても、「タッパー」の語が「上半身だけのウェットスーツ」や「サーフィン用のウェットスーツ」の意味合いで使用されている実情があり、数多くの使用例があって、その一部を以下に列挙する。
ア 日本最大のECモール「楽天市場」において「タッパー」で検索すると、ウェットスーツの分類名称として「タッパー」が多数使用されており(2,427件)、上半身のみのウェットスーツの写真が多数掲載されていることから、「タッパー」の語が「上半身だけのウェットスーツ」の意味合いで使用されていることがうかがえる(甲23)。
イ 「[GOTCHA]」のウェブサイトにおいて、「[GOTCHA] ウェットスーツ タッパー フロントジップ 2×2mm」の見出しの下、「2×2mmのロングスリーブタッパーは真夏に着用する上半身のみのモデル。」、「サーフィンのベストシーズンである真夏に快適に海に入ることができる最適なウェットスーツ。」と記載されており、「タッパー」の語が「上半身だけのウェットスーツ」や「サーフィン用のウェットスーツ」の意味合いで使用されている(甲24)。
ウ 「AMMY」のウェブサイトにおいて、「AMMY ウェットスーツ・タッパー」の見出しの下、「水着の上からサッと羽織れる着脱がラクなタッパー(ジャケットタイプ)」、「海水浴などの海遊びやサーフィン、SUPなどのマリンスポーツに!」と記載されており、「タッパー」の語が「上半身だけのウェットスーツ」や「サーフィン用のウェットスーツ」の意味合いで使用されている(甲25)。
エ 「VISSLA」のウェブサイトにおいて、「JACKET/タッパー」の見出しの下、「上半身袖あり(長袖/半袖)のウェットスーツ」、「※「タッパー」は日本での一般的な呼び名」と記載されており、「タッパー」の語が「上半身だけのウェットスーツ」の意味合いで使用されており、日本では一般的な呼び名として定着していることがうかがえる(甲26)。
オ 「ZEAK(ジーク)」のウェブサイトにおいて、「■子供用 長袖 タッパー(2mm)ウエットスーツ」の見出しの下、「上半身長袖タイプのウェットスーツ」や「サーフィンなどのウォータースポーツに対応」と記載されており、「タッパー」の語が「上半身だけのウェットスーツ」や「サーフィン用のウェットスーツ」の意味合いで使用されている(甲27)。
カ 「Granmare(グランマーレ)」のウェブサイトにおいて、「【SALE】2mm 長袖タッパー 既成メンズサイズ ブラック×襟たいだいブルー」の見出しの下、上半身だけのウェットスーツの写真及び「長袖タッパー」の文字が掲載されており、「タッパー」の語が「上半身だけのウェットスーツ」の意味合いで使用されている(甲28)。
キ 「Hurley(ハーレー)Japan」のウェブサイトにおいて、「【タッパー】(水温目安:22~25℃)MENS ADVANTAGE PLUS 1MM ZIP JACKET メンズ/ウェットスーツ」の見出しの下、上半身だけのウェットスーツの写真及び「ロングスリーブジャケット(タッパー)」の文字が掲載されており、「タッパー」の語が「上半身だけのウェットスーツ」の意味合いで使用されている(甲29)。
ク 「【Quiksilver公式オンラインストア】」のウェブサイトにおいて、「EVERYDAY SESSIONS 1.5 LS TOPPER」の見出しの下、上半身だけのウェットスーツの写真及び「1.5mm ロングスリーブ タッパー」の文字が掲載されており、「タッパー」の語が「上半身だけのウェットスーツ」の意味合いで使用されている(甲30)。
ケ 「thw wetsuits」のウェブサイトにおいて、「【フロントジップジャケット】長袖タッパー 【クラシック ウェットスーツ】」の見出しの下、上半身だけのウェットスーツの写真とともに、「長袖タッパー」、「サーフィン時、よりアグレッシブな運動が可能」と記載されており、「タッパー」の語が「上半身だけのウェットスーツ」や「サーフィン用のウェットスーツ」の意味合いで使用されている(甲31)。
コ 「BILLABONG」のウェブサイトにおいて、「BILLABONG メンズ 2MM REVOLUTION FZ JACKET ウェットスーツ/ネオプレーンジャケット/タッパー/2mm【2022年春夏モデル】」の見出しの下、上半身だけのウェットスーツの写真とともに、「フロントジップ長袖タッパー」、「サーフトリップにもお勧め」の文字が掲載されており、「タッパー」の語が「上半身だけのウェットスーツ」や「サーフィン用のウェットスーツ」の意味合いで使用されている(甲32)。
サ 「aruflat」のウェブサイトにおいて、「レンタル用品各種」の見出しの下、「2mm長袖タッパー(上半身)」と記載されており、「タッパー」の語が「上半身だけのウェットスーツ」ほどの意味合いで使用されている(甲33)。
(4)商標法第3条第1項第3号該当性について
ア 識別性について
上記(2)及び(3)のとおり、本件商標「タッパー」は、ウェットスーツの種類を表す一般的な語として使用されている実情がある。
そのため、本件商標に係る指定商品中の「ウェットスーツ」に関連する商品について本件商標を使用すれば、需要者等は、「タッパー」を「上半身だけのウェットスーツ」や「サーフィン用のウェットスーツ」という商品の用途や種類など、商品の品質を表した言葉と認識するのが自然である。
したがって、本件商標に接した需要者等は、本件商標から上記意味合いを認識するにすぎないから、本件商標は、商標法3条1項3号にいう「商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」に該当する。
イ 独占適応性について
最高裁判決「昭和53年(行ツ)129号」(甲34)の判旨より明らかであるとおり、また、特許庁の工業所有権法逐条解説(甲35)にも明示されているとおり、商標法第3条第1項3号は、「これら本号列挙のものを不登録とするのは、これらは通常、商品又は役務を流通過程又は取引過程に置く場合に必要な表示であるから何人も使用する必要があり、かつ、何人もその使用を欲するものだから一私人に独占させるのは妥当ではなく、また、多くの場合にすでに一般的に使用がされあるいは将来必ず一般的に使用がされるものであるから、これらのものに自他商品又は自他役務の識別力を認めることはできない」ことを立法趣旨としている。
ウェットスーツは、その用途や種類に応じて「フルスーツ」、「シーガル」、「スプリング」、「ラッシュガード」及び「タッパー」等に細かく分類されており(甲2~甲8)、当該商品の取引市場においては、その用途や種類を表す分類を明らかにした上で販売する必要がある。
実際、「タッパー」の語は、「上半身のみのウェットスーツ」や「サーフィン用のウェットスーツ」という商品の種類を表示する語としてウェットスーツを取扱う多数の事業者によって使用されている。そのため、本件商標は、取引に際し必要適切な表示として何人もその使用を欲するものであり、特定人によるその独占を認めるのは公益上適当ではない。
2 結論
以上述べたとおり、本件商標を本件申立商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、「上半身だけのウェットスーツ」や「サーフィン用のウェットスーツ」であることを認識するにとどまるのであって、本件商標は、このような商品の用途や種類を普通に用いられる方法で表示したにすぎない。
また、取引に際し必要適切な表示として何人もその使用を欲するものであり、特定人によるその独占を認めるのは公益上適当ではない。
よって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
第3 当審における取消理由の要旨
当審において、本件商標の権利者(以下「本件商標権者」という。)に対し、本件商標は、本件申立商品について、商標法第3条第1項第3号に該当するものであるから、その登録を取り消すべきものである旨の取消理由を令和5年3月20日付けで通知し、相当の期間を指定して意見書を提出する機会を与えた。
第4 本件商標権者の意見
本件商標権者は、上記第3の取消理由に対し、指定した期間を経過するも何ら意見を述べていない。
第5 当審の判断
1 商標法第3条第1項第3号該当性について
本件商標は、上記第1のとおり、「タッパー」の文字を標準文字で表してなるところ、「タッパー」の語は、「タッパーウェアの略。食品を保存するための、プラスチックの密封容器。商標名。」を意味する語(出典:「広辞苑第7版」岩波書店)であるが、別掲のとおり、「タッパー」の語は、本件商標の登録査定時に、本件申立商品との関係において、ウェットスーツの種類の一つである「上半身だけのウエットスーツ」の商品名を表すものとして、雑誌、新聞及びウェブサイト等で紹介されており、実際に「タッパー」と称した「上半身だけのウエットスーツ」が販売されている事実が確認できる。
そうすると、「タッパー」の文字よりなる本件商標を申立対象商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、「上半身だけのウエットスーツ」であると認識し、その商品の品質等を表示したものと理解するにとどまるとみるのが相当であるから、本件商標は、商品の品質等を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標と認められる。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
2 むすび
以上のとおり、本件商標の結論掲記の指定商品の登録は、商標法第3条第1項第3号の規定に違反してされたものであるから同法第43条の3第2項の規定により、その登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
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