特許拒絶査定不服審判
2017-002112
電力変換装置
- 審判番号
- 2017-002112
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2013-142615外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2017年02月14日
- 審決日
- 2017年09月19日
- 公報発行日
- 2017年11月24日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】株式会社デンソー
- 【請求人代理人】特許業務法人あいち国際特許事務所
- 分類
- P18 .121-WY (H02M) / P18 .575-WY (H02M)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2013-142615「電力変換装置」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 1月22日出願公開、特開2015- 15864、請求項の数(7)〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、平成25年7月8日の出願であって、平成28年8月4日付けで拒絶理由が通知され、同年9月28日付けで手続補正がされ、同年10月31日付けで拒絶査定(原査定)がされ、これに対し、平成29年2月14日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされたものである。
第2 原査定の概要
原査定(平成28年10月31日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
本願請求項1-7に係る発明は、以下の引用文献1-2に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献等一覧
1.特開2009-027805号公報
2.特開2013-105827号公報
第3 本願発明
本願請求項1-7に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明7」という。)は、平成29年2月14日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-7に記載された事項により特定される発明であり、以下のとおりの発明である。
「【請求項1】
電力変換回路の一部を構成する半導体モジュール(21)と、該半導体モジュール(21)を冷却する冷却管(22)とを積層してなる半導体積層ユニット(2)と、
該半導体積層ユニット(2)を内側に配置するフレーム(3)と、
該フレーム(3)の内側において、上記半導体積層ユニット(2)における積層方向の端部に配置され、上記半導体積層ユニット(2)を上記積層方向に押圧する加圧部材(4)と、
該加圧部材(4)と上記フレーム(3)の内壁面(31)との間に配置された、互いに別体の一対の支承体(5)と、を備え、
上記加圧部材(4)は、一対の上記支承体(5)の並び方向に長尺の板バネ部材(41)を有し、
該板バネ部材(41)は、上記半導体積層ユニット(2)側へ突出するように湾曲した押圧部(411)と、上記並び方向における上記押圧部(411)の両端において上記半導体積層ユニット(2)と反対側へ突出するように湾曲した一対の支承部(412)と、該支承部(412)から更に上記押圧部(411)と反対側へ延設された一対の延設部(413)とを有し、
上記支承体(5)は、上記積層方向における上記支承部(412)と上記フレーム(3)の上記内壁面(31)との間に介設されており、
上記延設部(413)の上記支承部(412)と反対側の端縁である一対の板バネ端部(414)と、一対の該板バネ端部(414)に対して上記積層方向に対向する上記内壁面(31)との間には、一対の上記板バネ端部(414)を上記積層方向の上記半導体積層ユニット(2)側へ押し込んで上記板バネ部材(41)を弾性変形させるための押圧治具(6)を配置することができる治具配置空間があり、
上記支承体(5)は、上記板バネ部材(41)の上記支承部(412)との当接面(51)を、平面、あるいは上記支承部(412)の形状に沿った凹状面としていることを特徴とする、電力変換装置(1)。
【請求項2】
上記支承体(5)は、上記板バネ部材(41)の上記支承部(412)との当接面(51)を平面としていることを特徴とする請求項1に記載の電力変換装置(1)。
【請求項3】
上記支承体(5)は、上記板バネ部材(41)の上記支承部(412)との当接面(51)を、上記支承部(412)の形状に沿った凹状面としていることを特徴とする請求項1に記載の電力変換装置(1)。
【請求項4】
上記支承体(5)は、直方体形状を有することを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の電力変換装置(1)。
【請求項5】
上記支承体(5)は、上記半導体積層ユニット(2)と反対側に、上記フレーム(3)の内壁面(31)に設けた被係合部(311)に係合する係合部(52)を備えていることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の電力変換装置(1)。
【請求項6】
上記板バネ部材(41)の上記延設部(413)は、上記支承部(412)と反対側の端縁が、上記半導体積層ユニット(2)と反対側を向くように湾曲していることを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の電力変換装置(1)。
【請求項7】
上記支承体(5)は、一対の上記支承体(5)の並び方向における寸法が、上記積層方向における寸法よりも短いことを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の電力変換装置(1)。」
第4 引用文献、引用発明等
1.引用文献1について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。
(1)「【0026】
(実施例1)
本発明の実施例にかかる電力変換装置及びその製造方法につき、図1~図12を用いて説明する。
本例の電力変換装置1は、図3に示すごとく、電力変換回路の一部を構成する半導体モジュール21と、該半導体モジュール21を冷却する冷却管22とを交互に積層してなる半導体積層ユニット2を有する。
【0027】
半導体積層ユニット2の積層方向の一方の端部には、該半導体積層ユニット2を積層方向に加圧する加圧部材3が配されている。
該加圧部材3は、冷却管22の主面に当接する当接面311を有する当接プレート31と、該当接プレート31における当接面311と反対側の面に配されたばね部材32とを有する。
【0028】
ばね部材32は、図2~図4に示すごとく、当接プレート31側に凸の状態で湾曲した押圧部321と、該押圧部321の両端に形成された支承部322とを有する。
図3、図4に示すごとく、ばね部材32は、電力変換装置1の筐体11の内壁111との間に介在される一対の支承体としての支承ピン13に支承部322を支承させると共に当接プレート31に押圧部321を当接させて、当接プレート31を支承ピン13から離れる方向に押圧するように付勢された状態で配設されている。
ばね部材32は、一対のばね端部323を支承ピン13よりも外方に配置している。
【0029】
そして、図4に示すごとく、自然長における一対のばね端部323の間の距離をAとし、自然長における一対の支承部322の間の距離をBとしたとき、A≧1.22Bを満たす。ここで、一対の支承部322の間の距離Bは、支承ピン13と支承部322との接触部の中心同士の間の距離をいうものとする。なお、図4に記載した寸法A、Bは、ばね部材32に荷重をかけていない自由状態における長さを示している。後述する図12における寸法A、Bについても同様である。
また、上記一対の支承ピン13は円柱形状を有する。」(段落【0026】-【0029】。下線は当審で付した。以下同様。)
(2)「【0030】
また、図2、図4に示すごとく、ばね部材32は、複数枚の板ばねを積層してなる。即ち、ばね部材32は、当接プレート31に当接する前方板ばね33と、該前方板ばね33の後方に配された後方板ばね34とからなる。前方板ばね33は、少なくとも前方板ばね33の両端部331において後方板ばね34に接触している。また、前方板ばね33と後方板ばね34とは、互いにリベット(図示略)によって留め付けられている。
【0031】
後方板ばね34は、中央部が大きな円弧状に湾曲してなると共に、長さ方向の両端部が小さな円弧状に湾曲してなる。また、前方板ばね33は、円弧状に湾曲してなり、その曲率半径は、上記後方板ばね34の中央部における円弧の曲率半径よりも若干小さい。そして、前方板ばね33は、後方板ばね34の中央部の前方に重ね合わせるように配置されている。これにより、前方板ばね33は、その両端部331において後方板ばね34に当接する。
【0032】
また、当接プレート31は、半導体積層ユニット2の積層方向の端部に配された冷却管22の主面に面接触できるような平坦な当接面311を有する。
そして、当接プレート31及びばね部材32は、いずれも、炭素工具鋼(SK85、旧SK5)等の金属からなる。
【0033】
また、加圧部材3は、図3に示すごとく、ばね部材32の中央の押圧部321を当接プレート31に当接させ、当接プレート31の当接面311を半導体積層ユニット2に当接させた状態で電力変換装置1内に組み付けられる。また、ばね部材32の支承部322を電力変換装置1の筐体11内に配された2個の支承ピン13に係止させている。支承ピン13はばね部材32の支承部322と筐体11の内壁111との間に挟持されている。そして、ばね部材32は、中央部の押圧部321において、当接プレート31を介して半導体積層ユニット2を積層方向に押圧するように付勢された状態で配設されている。」(段落【0030】-【0033】)
(3)「【0037】
次に、本例の電力変換装置の製造方法につき説明する。
まず、電力変換装置1の筐体11に半導体積層ユニット2を配置する。
次いで、図1に示すごとく、半導体積層ユニット2の積層方向の一方の端部に、当接プレート31とばね部材32とを有する加圧部材3を配置する。
【0038】
次いで、ばね部材32における一対のばね端部323に押圧治具4を当接させてばね端部323を当接プレート31側へ押し込む。これによりばね部材32を弾性変形させた状態で、一対の支承部322の後方位置において筐体11内に一対の支承ピン13を配置する。
次いで、押圧治具4を後退させてばね部材32が復元する方向に一対の支承部322を変位させることにより、該支承部322と筐体11の内壁111との間に支承ピン13が挟持される状態で支承ピン13に支承させる。
以上により、図1に示すごとく、半導体積層ユニット2が加圧部材3によって積層方向に加圧された電力変換装置1を得る。
【0039】
図1に示すごとく、押圧治具4は、一対の押圧凸部41を設けてなる。そして、これら一対の押圧凸部41を、筐体11の内側においてばね部材32のばね端部323の後方に挿入する。そして、一対の押圧凸部41を一対のばね端部323に当接させて押圧する。押圧治具4によってばね部材32を弾性変形させた状態で、支承部322の後方位置であって押圧凸部41の内側において、一対の支承ピン13を筐体11に配置する。」(段落【0037】-【0039】)
また、上記引用文献1の記載、引用文献1の図1-4及びこの分野の技術常識を考慮すると次のことがいえる。
ア.上記(3)の段落【0037】の「電力変換装置1の筐体11に半導体積層ユニット2を配置する。」との記載及び図3によれば、半導体積層ユニット2は筐体11の内側に配置されているといえる。
イ.上記(1)の段落【0027】の「半導体積層ユニット2の積層方向の一方の端部には、該半導体積層ユニット2を積層方向に加圧する加圧部材3が配されている。」との記載及び図1、3によれば、加圧部材3は、半導体積層ユニット2とともに筐体11の内側に配置されているといえる。
ウ.上記(1)の段落【0027】の「加圧部材3は、冷却管22の主面に当接する当接面311を有する当接プレート31と、該当接プレート31における当接面311と反対側の面に配されたばね部材32とを有する。」との記載及び図1、3によれば、加圧部材3は、支承ピン13の並び方向に長尺のばね部材32を有しているといえる。
エ.上記(1)の段落【0028】の「ばね部材32は、図2~図4に示すごとく、当接プレート31側に凸の状態で湾曲した押圧部321と、該押圧部321の両端に形成された支承部322とを有する。」との記載及び図1-4によれば、ばね部材32は、半導体積層ユニット2側へ突出するように湾曲した押圧部321と、支承ピン13の並び方向における押圧部321の両端において半導体積層ユニット2と反対側へ突出するように湾曲した一対の部分と、該半導体積層ユニット2と反対側へ突出するように湾曲した一対の部分からさらに押圧部321と反対側へ延設され、半導体積層ユニット2側へ突出するように湾曲した一対の支承部322と、該支承部322からさらに押圧部321と反対側へ延設された一対の延設部分とを有しているといえる。
オ.上記(3)の段落【0038】の「ばね部材32における一対のばね端部323に押圧治具4を当接させてばね端部323を当接プレート31側へ押し込む。これによりばね部材32を弾性変形させた状態で、一対の支承部322の後方位置において筐体11内に一対の支承ピン13を配置する。」、段落【0039】の「図1に示すごとく、押圧治具4は、一対の押圧凸部41を設けてなる。そして、これら一対の押圧凸部41を、筐体11の内側においてばね部材32のばね端部323の後方に挿入する。そして、一対の押圧凸部41を一対のばね端部323に当接させて押圧する。押圧治具4によってばね部材32を弾性変形させた状態で、支承部322の後方位置であって押圧凸部41の内側において、一対の支承ピン13を筐体11に配置する。」との記載及び図1によれば、ばね部材32の上記「延設部分」の上記「支承ピン13の並び方向における押圧部321の両端において半導体積層ユニット2と反対側へ突出するように湾曲した一対の部分」と反対側の端縁である一対のばね端部323と、一対の該ばね端部323に対して積層方向に対向する内壁111との間には、一対の該ばね端部323を積層方向の半導体積層ユニット2側へ押し込んでばね部材32を弾性変形させるための押圧治具4を配置することができる治具配置空間があるといえる。
以上を総合すると、引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「電力変換回路の一部を構成する半導体モジュール21と、該半導体モジュール21を冷却する冷却管22とを交互に積層してなる半導体積層ユニット2と、
半導体積層ユニット2を内側に配置する筐体11と、
筐体11の内側において、半導体積層ユニット2の積層方向の一方の端部には、該半導体積層ユニット2を積層方向に加圧する加圧部材3が配され、
加圧部材3は、支承ピン13の並び方向に長尺のばね部材32を有し、
ばね部材32は、半導体積層ユニット2側へ突出するように湾曲した押圧部321と、支承ピン13の並び方向における押圧部321の両端において半導体積層ユニット2と反対側へ突出するように湾曲した一対の部分と、該半導体積層ユニット2と反対側へ突出するように湾曲した一対の部分からさらに押圧部321と反対側へ延設され、半導体積層ユニット2側へ突出するように湾曲した一対の支承部322と、該支承部322からさらに押圧部321と反対側へ延設された一対の延設部分とを有し、
一対の支承体としての支承ピン13はばね部材32の支承部322と筐体11の内壁111との間に挟持されており、
ばね部材32の『延設部分』の『支承ピン13の並び方向における押圧部321の両端において半導体積層ユニット2と反対側へ突出するように湾曲した一対の部分』と反対側の端縁である一対のばね端部323と、一対の該ばね端部323に対して積層方向に対向する内壁111との間には、一対の該ばね端部323を積層方向の半導体積層ユニット2側へ押し込んでばね部材32を弾性変形させるための押圧治具4を配置することができる治具配置空間があり、
一対の支承ピン13は円柱形状を有する、電力変換装置1。」
2.引用文献2について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献2の段落【0020】、【0044】-【0049】及び図7、8の記載からみて、当該引用文献2には、複数の半導体モジュール30と該半導体モジュール30を冷却する冷却管310とを積層してなる積層体3と、該積層体3を収容するフレーム2とを有する電力変換装置1において、積層体3における積層方向Xの一端には、積層体3を積層方向Xに加圧する加圧部材4が配置されており、該加圧部材4は、積層体3に当接する押圧プレート40と、フレーム2の内側面201に当接する支持プレート41と、押圧プレート40と支持プレート41との間に設けられた弾性体42とからなり、弾性体42として、積層方向Xに直行する横方向Yに長尺な板棒状の金属板よりなる板ばねを使用しており、弾性体42は、横方向Yの中央部と両端部とがそれぞれ積層方向Xの互いに反対方向へ突出するように屈曲されており、弾性体42の横方向Yの中央部が押圧プレート40の当接板部400の横方向Yにおける中央部に当接し、弾性体42の横方向Yの両端部は支持プレート41の背面板部410の横方向Yにおける両端部に当接するという技術的事項が記載されていると認められる。
第5 当審の判断
1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。
ア.引用発明の「半導体モジュール21」、「冷却管22」及び「半導体積層ユニット2」は、それぞれ本願発明1の「半導体モジュール(21)」、「冷却管(22)」及び「半導体積層ユニット(2)」に相当する。
したがって、引用発明の「電力変換回路の一部を構成する半導体モジュール21と、該半導体モジュール21を冷却する冷却管22とを交互に積層してなる半導体積層ユニット2」は、本願発明1の「電力変換回路の一部を構成する半導体モジュール(21)と、該半導体モジュール(21)を冷却する冷却管(22)とを積層してなる半導体積層ユニット(2)」に相当する。
イ.引用発明の「筐体11」は、本願発明の「フレーム(3)」に相当する。
したがって、引用発明の「半導体積層ユニット2を内側に配置する筐体11」は、本願発明1の「該半導体積層ユニット(2)を内側に配置するフレーム(3)」に相当する。
ウ.引用発明の「加圧部材3」は、後述する相違点を除き、本願発明1の「加圧部材(4)」に相当する。
したがって、引用発明の「筐体11の内側において、半導体積層ユニット2の積層方向の一方の端部には、該半導体積層ユニット2を積層方向に加圧する加圧部材3が配され」る構成は、本願発明1の「該フレーム(3)の内側において、上記半導体積層ユニット(2)における積層方向の端部に配置され、上記半導体積層ユニット(2)を上記積層方向に押圧する加圧部材(4)」の構成に相当する。
エ.引用発明において、「一対の支承体としての支承ピン13はばね部材32の支承部322と筐体11の内壁111との間に挟持され」るものであって、ばね部材32は加圧部材3の一部であるから、支承ピン13は、加圧部材3と筐体11の内壁111との間に挟持されるものといえる。
また、引用発明の支承ピン13は、「一対の支承体」であり、互いに別体の2つの支承体を総称するものである。
したがって、引用発明の「支承ピン13」は、本願発明1の「支承体(5)」に相当し、本願発明1と引用発明とは、「該加圧部材(4)と上記フレーム(3)の内壁面(31)との間に配置された、互いに別体の一対の支承体(5)」を備える点で一致する。
オ.引用発明の「ばね部材32」は、本願発明1の「板バネ部材(41)」に相当する。
したがって、引用発明の「加圧部材3は、支承ピン13の並び方向に長尺のばね部材32を有」する構成は、本願発明1の「上記加圧部材(4)は、一対の上記支承体(5)の並び方向に長尺の板バネ部材(41)を有」する構成に相当する。
カ.引用発明の「半導体積層ユニット2側へ突出するように湾曲した押圧部321」は、本願発明1の「上記半導体積層ユニット(2)側へ突出するように湾曲した押圧部(411)」に相当する。
引用発明の「支承ピン13の並び方向における押圧部321の両端において半導体積層ユニット2と反対側へ突出するように湾曲した一対の部分」と、本願発明1の「上記並び方向における上記押圧部(411)の両端において上記半導体積層ユニット(2)と反対側へ突出するように湾曲した一対の支承部(412)」とは、「上記並び方向における上記押圧部(411)の両端において上記半導体積層ユニット(2)と反対側へ突出するように湾曲した一対の部分」である点で共通する。
引用発明の「該半導体積層ユニット2と反対側へ突出するように湾曲した一対の部分からさらに押圧部321と反対側へ延設され、半導体積層ユニット2側へ突出するように湾曲した一対の支承部322」及び「該支承部322からさらに押圧部321と反対側へ延設された一対の延設部分」と、本願発明1の「該支承部(412)から更に上記押圧部(411)と反対側へ延設された一対の延設部(413)」とは、「上記半導体積層ユニット(2)と反対側へ突出するように湾曲した一対の部分から更に上記押圧部(411)と反対側へ延設された一対の延設部分」である点で共通する。
したがって、本願発明1と引用発明とは、「該板バネ部材(41)は、上記半導体積層ユニット(2)側へ突出するように湾曲した押圧部(411)と、上記並び方向における上記押圧部(411)の両端において上記半導体積層ユニット(2)と反対側へ突出するように湾曲した一対の部分と、上記半導体積層ユニット(2)と反対側へ突出するように湾曲した一対の部分から更に上記押圧部(411)と反対側へ延設された一対の延設部分とを有」する点で共通する。
キ.本願発明1において、支承部(412)は板バネ部材(41)の一部であるから、引用発明の「一対の支承体としての支承ピン13はばね部材32の支承部322と筐体11の内壁111との間に挟持されて」いる構成は、本願発明1の「上記支承体(5)は、上記積層方向における上記支承部(412)と上記フレーム(3)の上記内壁面(31)との間に介設されて」いる構成と、「上記支承体(5)は、上記積層方向における上記板バネ部材(41)と上記フレーム(3)の上記内壁面(31)との間に介設されて」いる点で共通するといえる。
そして、引用発明の「一対の支承ピン13は円柱形状を有する」構成は、本願発明1の「上記支承体(5)は、上記板バネ部材(41)の上記支承部(412)との当接面(51)を、平面、あるいは上記支承部(412)の形状に沿った凹状面としている」構成と、「上記支承体(5)は、支承部との当接面を、支承部の形状に沿った面としている」構成である点で共通するといえる。
ク.引用発明の「ばね端部323」及び「押圧治具4」は、それぞれ本願発明1の「板バネ端部(414)」及び「押圧治具(6)」に相当する。
したがって、引用発明の「ばね部材32の『延設部分』の『支承ピン13の並び方向における押圧部321の両端において半導体積層ユニット2と反対側へ突出するように湾曲した一対の部分』と反対側の端縁である一対のばね端部323と、一対の該ばね端部323に対して積層方向に対向する内壁111との間には、一対の該ばね端部323を積層方向の半導体積層ユニット2側へ押し込んでばね部材32を弾性変形させるための押圧治具4を配置することができる治具配置空間があ」る構成は、本願発明1の「上記延設部(413)の上記支承部(412)と反対側の端縁である一対の板バネ端部(414)と、一対の該板バネ端部(414)に対して上記積層方向に対向する上記内壁面(31)との間には、一対の上記板バネ端部(414)を上記積層方向の上記半導体積層ユニット(2)側へ押し込んで上記板バネ部材(41)を弾性変形させるための押圧治具(6)を配置することができる治具配置空間があ」る構成と、「上記『半導体積層ユニット(2)と反対側へ突出するように湾曲した一対の部分から更に上記押圧部(411)と反対側へ延設された一対の延設部分』の上記『並び方向における上記押圧部(411)の両端において上記半導体積層ユニット(2)と反対側へ突出するように湾曲した一対の部分』と反対側の端縁である一対の板バネ端部(414)と、一対の該板バネ端部(414)に対して上記積層方向に対向する上記内壁面(31)との間には、一対の上記板バネ端部(414)を上記積層方向の上記半導体積層ユニット(2)側へ押し込んで上記板バネ部材(41)を弾性変形させるための押圧治具(6)を配置することができる治具配置空間があ」る点で共通する。
ケ.引用発明の「電力変換装置1」は、後述する相違点を除き、本願発明1の「電力変換装置(1)」に相当する。
したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。
(一致点)
「電力変換回路の一部を構成する半導体モジュール(21)と、該半導体モジュール(21)を冷却する冷却管(22)とを積層してなる半導体積層ユニット(2)と、
該半導体積層ユニット(2)を内側に配置するフレーム(3)と、
該フレーム(3)の内側において、上記半導体積層ユニット(2)における積層方向の端部に配置され、上記半導体積層ユニット(2)を上記積層方向に押圧する加圧部材(4)と、
該加圧部材(4)と上記フレーム(3)の内壁面(31)との間に配置された、互いに別体の一対の支承体(5)と、を備え、
上記加圧部材(4)は、一対の上記支承体(5)の並び方向に長尺の板バネ部材(41)を有し、
該板バネ部材(41)は、上記半導体積層ユニット(2)側へ突出するように湾曲した押圧部(411)と、上記並び方向における上記押圧部(411)の両端において上記半導体積層ユニット(2)と反対側へ突出するように湾曲した一対の部分と、上記半導体積層ユニット(2)と反対側へ突出するように湾曲した一対の部分から更に上記押圧部(411)と反対側へ延設された一対の延設部分とを有し、
上記支承体(5)は、上記積層方向における上記板バネ部材(41)と上記フレーム(3)の上記内壁面(31)との間に介設されており、
上記『半導体積層ユニット(2)と反対側へ突出するように湾曲した一対の部分から更に上記押圧部(411)と反対側へ延設された一対の延設部分』の上記『並び方向における上記押圧部(411)の両端において上記半導体積層ユニット(2)と反対側へ突出するように湾曲した一対の部分』と反対側の端縁である一対の板バネ端部(414)と、一対の該板バネ端部(414)に対して上記積層方向に対向する上記内壁面(31)との間には、一対の上記板バネ端部(414)を上記積層方向の上記半導体積層ユニット(2)側へ押し込んで上記板バネ部材(41)を弾性変形させるための押圧治具(6)を配置することができる治具配置空間があり、上記支承体(5)は、支承部との当接面を、支承部の形状に沿った面としていることを特徴とする、電力変換装置(1)。」
(相違点)
本願発明1では、支承部(412)が、板バネ部材(41)の、支承体(5)の並び方向における押圧部(411)の両端において半導体積層ユニット(2)と反対側へ突出するように湾曲した一対の部分であって、支承体(5)が、前記支承部(412)に当接され、支承体(5)は平面、あるいは支承部(412)の形状に沿った凹状面であるのに対し、引用発明では、支承部322が、半導体積層ユニット2と反対側へ突出するように湾曲した一対の部分からさらに押圧部321と反対側へ延設され、半導体積層ユニット2側へ突出するように湾曲した一対の部分であって、支承ピン13が、前記支承部322に当接され、支承ピン13は円柱形状である点。
(2)相違点についての判断
上記「第4 引用文献、引用発明等」で述べたとおり、引用文献2には、複数の半導体モジュール30と該半導体モジュール30を冷却する冷却管310とを積層してなる積層体3と、該積層体3を収容するフレーム2とを有する電力変換装置1において、積層体3における積層方向Xの一端には、積層体3を積層方向Xに加圧する加圧部材4が配置されており、該加圧部材4は、積層体3に当接する押圧プレート40と、フレーム2の内側面201に当接する支持プレート41と、押圧プレート40と支持プレート41との間に設けられた弾性体42とからなり、弾性体42として、積層方向Xに直行する横方向Yに長尺な板棒状の金属板よりなる板ばねを使用しており、弾性体42は、横方向Yの中央部と両端部とがそれぞれ積層方向Xの互いに反対方向へ突出するように屈曲されており、弾性体42の横方向Yの中央部が押圧プレート40の当接板部400の横方向Yにおける中央部に当接し、弾性体42の横方向Yの両端部は支持プレート41の背面板部410の横方向Yにおける両端部に当接するという技術的事項が記載されている。
当該引用文献2に記載の技術的事項からは、支持プレート41を、弾性体42の、積層体3と反対側へ突出するように湾曲した両端部に当接させることは理解できる。
一方、引用発明における、ばね部材32と、筐体11の内壁111から突出して設けられた一対の別体の支承体である支承ピン13との当接による支承構造、及び、引用文献2に記載の技術的事項における、弾性体42と、全体的に平坦で一体的な支持プレート41との当接による支承構造は、それぞれ互いに依存関係のある部材の組合せによって構成される支承構造であるから、引用文献2に記載の技術的事項からその技術思想の一部である当接位置のみを取り出し、引用発明に適用する動機付けはない。
すなわち、引用発明の支承ピン13のばね部材32との当接位置を、「該半導体積層ユニット2と反対側へ突出するように湾曲した一対の部分からさらに押圧部321と反対側へ延設され、半導体積層ユニット2側へ突出するように湾曲した一対の支承部322」とすることに代えて、引用文献2に記載の技術的事項の「弾性体42の、積層体3と反対側へ突出するように湾曲した両端部」に変更すること、さらに、支承ピン13の形状を、円柱形状から、平面、あるいは凹状面を有する形状に変更することは、当業者であっても、容易に想到し得たことであるとはいえない。
また、相違点に係る本願発明1の構成が、本願出願前に周知技術であったとも認められない。
したがって、本願発明1は、当業者であっても引用発明及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。
2.請求項2-7について
本願発明2-7は、本願発明1をさらに限定したものであるから、本願発明1と同様に、当業者であっても引用発明及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。
第6 原査定について
審判請求時の補正により、本願発明1-7は、支承体(5)が、板バネ部材(41)の、支承体(5)の並び方向における押圧部(411)の両端において半導体積層ユニット(2)と反対側へ突出するように湾曲した一対の部分である支承部(412)に当接されるとともに、平面、あるいは支承部(412)の形状に沿った凹状面である旨を含むものとなっており、当業者であっても、拒絶査定において引用された引用文献1-2に基づいて、容易に発明できたものとは認められない。したがって、原査定の理由を維持することはできない。
第7 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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2017-002112