特許拒絶査定不服審判
2017-001173
乗物の制御システムと制御方法
- 審判番号
- 2017-001173
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2014-519567外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2017年01月26日
- 審決日
- 2017年10月30日
- 公報発行日
- 2018年05月25日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】ジャガー ランド ローバー リミテッド
- 【請求人代理人】鮫島 睦
- 【請求人代理人】中野 晴夫
- 分類
- P18 .121-Z (B60W)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2014-519567号「乗物の制御システムと制御方法」拒絶査定不服審判事件〔平成25年1月17日国際公開、WO2013/007800、平成26年 8月25日国内公表、特表2014-520712号〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、2012年(平成24年)7月12日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2011年(平成23年)7月13日 英国)を国際出願日とする出願であって、平成26年1月10日に国内書面が提出され、平成26年3月10日に国際出願翻訳文提出書により、明細書、特許請求の範囲、要約書及び図面の翻訳文が提出され、平成27年4月22日付けで拒絶理由が通知され、平成27年8月11日に意見書及び手続補正書が提出され、平成27年9月29日付けで拒絶理由が通知され、平成28年4月6日に意見書が提出されたが、平成28年9月15日付けで拒絶査定がされ、これに対して平成29年1月26日に拒絶査定不服審判が請求され、平成29年2月24日に審判請求書を補正する手続補正書(方式)が提出されたものである。
第2 本願発明について
[1]本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、明細書の翻訳文及び平成27年8月11日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲並びに図面の翻訳文からみて、次のとおりのものである。
「【請求項1】
複数の運転モードの1つを選択するように動作可能であって各運転モードでは少なくとも1つの乗物サブシステムが複数のサブシステム設定モードの1つで動作される乗物制御システムにおいて、
前記乗物制御システムは、前記乗物が走行している又はこれから走行する走行面の撮像装置からの画像を受け、前記撮像装置によって出力される1つ又は複数の画像の内容に応じて前記走行面に適した運転モードを選択するコントローラ又はプロセッサを備えており、前記乗物制御システムは、前記撮像装置の出力に従って決定された前記走行面の質感と色を参照することにより求められた前記走行面の組成に応じて、前記走行面のタイプを求めるように構成されている、乗物制御システム。」
[2]刊行物
1.刊行物1
(1)刊行物1の記載事項
原査定の理由に引用され、本願の優先日前に頒布された刊行物である、特公平5-69011号公報(以下、「刊行物1」という。)には、「画像処理による摩擦係数の検出装置」に関して、図面とともに以下の記載がある(なお、促音は小文字で表記し、下線は、理解の一助のために当審が付与したものである。)。
1a)「1 路面を撮影する撮影手段と、該撮影手段からの信号を光の三原色に分離する画像処理手段と、光の三原色に対応した路面状態のマップを記憶する路面状態記憶手段と、前記画像処理手段の出力信号と前記路面状態記憶手段に記憶されている路面状態のマップとを比較し路面状態を判定する比較判定手段と、路面状態に対応する路面とタイヤとの間の摩擦係数を記憶する摩擦係数記憶手段と、前記比較判定手段の出力信号を前記摩擦係数記憶手段の内容と対応させて摩擦係数を選定する摩擦係数選定手段とを備えたことを特徴とする画像処理による摩擦係数の検出装置。」(第1ページ左欄第2ないし13行)
1b)「〔従来の技術〕
従来より、たとえば4輪駆動車においては、路面状態が変化したときでも適切な走行状態が得られるようにするため、必要に応じて単なる4輪駆動走行とは異なった制御態様にも切換えられるような4輪駆動の制御装置が提案されている。
その1つはパートタイム式4輪駆動であり、前輪と後輪の何れか一方を駆動輪とする2輪駆動と、前後輪の両方を駆動輪とする4輪駆動とを、路面状態に応じて切換えられるようにしたものである。
また、別の制御方式としては、フルタイム式4輪駆動があり、コーナリングの際に生じる前輪と後輪の間の旋回半径の差を吸収するために、差動機構としてのセンターデフを備えたものである。このフルタイム式4輪駆動においても、路面状態に応じて制御態様を切換え可能とするために、前輪と後輪間の動力伝達をセンターデフを介することなく直結させるロック機構を設け、加速時或いは悪路走行時のような大きな駆動力を必要とするときは、センターデフ機構をロックさせ、また、大きな駆動力を必要としない通常走行時にはロックを解除していた。
これら2輪/4輪駆動の切換え或いはセンターデフのロックの制御は、いずれも運転者が路面状態を判断して切換える方式が一般的であるが、最近になって、エンジン駆動力と車輪に作用する力を比較判定しこれにより自動的に制御する方式が提案されている。この場合、車輪に作用する力を計算するに際し、摩擦係数をいかにして正確に検出するかが重要な要素となっており、このような技術として、従来、検出器を路面と接触させることにより、路面とタイヤとの間の摩擦係数を検出し、この摩擦係数と路面状態を対応させるようにした技術がある。」(第1ページ右欄第6行ないし第2ページ左欄第18行)
1c)「[解決するための手段]
本発明の画像処理による摩擦係数の検出装置は、上記問題点を解決するために、路面を撮影する撮影手段と、該撮影手段からの信号を光の三原色に分離する画像処理手段と、光の三原色に対応した路面状態のマップを記憶する路面状態記憶手段と、前記画像処理手段の出力信号と前記路面状態記憶手段に記憶されている路面状態のマップとを比較し路面状態を判定する比較判定手段と、路面状態に対応する路面とタイヤとの間の摩擦係数を記憶する摩擦係数記憶手段と、前記比較判定手段の出力信号を前記摩擦係数記憶手段の内容と対応させて摩擦係数を選定する摩擦係数選定手段とからなる構造を有する。
[作用及び発明の効果]
本発明は、撮影手段より得られた信号を、画像処理手段で光の三原色に分離し、それに対応した路面状態を判定する。そして、摩擦係数選定手段によりその路面状態に対応した摩擦係数を決定する。したがって、進行方向における路面とタイヤとの間の摩擦係数を事前に検出することができるので、路面状態に合わせて適切な対応を取ることができる。」(第2ページ左欄第35ないし右欄第13行)
1d)「〔実施例〕
以下、図面を参照しつつ実施例を説明する。
第1図及び第2図は本発明の検出装置における各実施例を示す図である。図中、1は撮影手段、2は画像処理手段、2′は明度補正手段、3は路面状態記憶手段、4は比較判定手段、5は摩擦係数選定手段、6は摩擦係数記憶手段、7は三角形座標、8は密度分布を示す。
第1図による実施例について説明すると、撮影手段1である車両に取付けられたカメラにより、進行方向における路面状態を撮影する。撮影手段1で得られた画像信号は、画像処理手段2に送られここで光の三原色である赤成分(R)、緑成分(G)及び青成分(B)の信号に分離される。路面状態記憶手段3には、各種の路面状態を、光の三原色である赤成分(R)、緑成分(G)及び青成分(B)からなる座標内に、路面状態I、路面状態II、路面状態III、・・・を区別可能なマップとして記憶しており、このマップは予め撮影手段1及び画像処理手段2を用いて、各種の路面状態を測定することにより作成している。比較判定手段4は画像処理手段2から出力されてくる。赤成分(R)、緑成分(G)及び青成分(B)の信号を、路面状態記憶手段3に記憶されている三次元座標にあてはめ、比較しこれらの信号の強さに対応した路面状態を判定するものである。摩擦係数選定手段5は、比較判定手段4から出力される路面状態の信号を、路面の摩擦係数記憶手段6に記憶されている内容と比較し、路面状態に対応した摩擦係数を選定するものである。」(第2ページ右欄第14ないし42行)
1e)「以上の説明から明らかなように、本発明によれば、進行方向の路面状態を予測することにより、進行方向におけるタイヤと路面との間の摩擦係数を事前に検出することができる。また、これにより、2輪/4輪駆動の切換え或いはセンターデブのロックの制御を、路面状態に合わせて直ちにかつ適切に対応させることができ、もって安全かつ安定した走行状態を得ることができる。」(第3ページ右欄第9ないし16行)
(2)上記(1)から分かること
1f)上記(1)1b)及び1e)から、4輪駆動の制御装置により、進行方向におけるタイヤと路面との間の摩擦係数を検出することにより、2輪/4輪駆動の切換え或いはセンターデフロックのロック/解除の制御を行うことが分かる。
1g)上記(1)1d)から、4輪駆動の制御装置は、進行方向における路面の撮影手段1からの画像信号により決定された路面の光の三原色である赤成分(R)、緑成分(G)及び青成分(B)によって摩擦係数を選定することが分かる。
(3)引用発明
上記(1)及び(2)並びに図面の記載からみて、刊行物1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。
「進行方向におけるタイヤと路面との間の摩擦係数を検出することによる路面状態に合わせて、2輪/4輪駆動の切換え或いはセンターデフロックのロック/解除を行う4輪駆動の制御装置において、
4輪駆動の制御装置は、進行方向における路面の撮影手段1からの画像信号を得て、撮影手段1から得た画像信号に応じて摩擦係数を選定する手段を備えており、
4輪駆動の制御装置は、撮影手段1の画像信号に従って決定された路面の光の三原色である赤成分(R)、緑成分(G)及び青成分(B)によって求められた摩擦係数を選定するように構成されている、4輪駆動の制御装置。」
(4)刊行物1技術
上記(1)1b)の記載から、刊行物1には次の技術(以下、「刊行物1技術」という。)が記載されている。
「4輪駆動の制御装置における2輪/4輪駆動の切換え或いはセンターデフロックのロック/解除を、悪路走行時や通常走行時などの路面状態を自動的に判定することにより切換える技術。」
2.刊行物2
(1)刊行物2の記載事項
原査定の理由に引用され、本願の優先日前に頒布された刊行物である、特開2002-162343号公報(以下、「刊行物2」という。)には、「可視画像式路面状況把握装置における路面状況判定方法」に関して、図面とともに以下の記載がある(なお、下線は、理解の一助のために当審が付与したものである。)。
2a)「【請求項1】 路面を俯瞰するように取付けられた可視カメラからの路面映像信号をもとに、ある路面範囲における路面の湿潤、乾燥等の状態を検知する路面状態把握装置において、検知したい路面状況に対応した画像を、例えば湿潤に対して、外乱因子となる天候条件、すなわち晴天、曇り、夜間等の環境条件にそれぞれ対応して予め撮像し、それを基に、その時の路面の状態を反映した色、輝度、模様等の特徴量を抽出して、基準画特徴量として蓄えておき、新たに撮像した検査画像に対して同様な処理によって得られる検査画特徴量とを多変量解析によって比較分析することにより、検査画像がどの基準画特徴量に最も近いかを判定して、検査画像における路面状態がどの基準画像に最も近いかを判別することを特徴とする可視画像式路面判別方法。
【請求項2】 可視画像式路面判別方法において、検査画特徴量との比較に基づいて検査を行った結果、目視や他の方法で確認された真の路面状態に対して、検査結果がそれと異なる結果を出力した場合、その検査画特徴量を環境状況等の分類に応じて新たに基準画特徴量として登録し、装置設置後、順次基準画特徴量の内容を更新することができることを特徴とした可視画像式路面判別方法。」(【特許請求の範囲】の【請求項1】及び【請求項2】)
2b)「【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、道路交通において、車への路面情報提供による運転の安全性向上、又は道路管理において、積雪、凍結等の情報提供による除雪等の道路管理作業の効率化等に寄与する技術として、汎用的な可視カメラで得られる可視画像を利用して、そのために必要な路面状態情報を自動的かつ非接触で検出し、関連の施設にその情報を提供することを可能にする技術に関するものである。」(段落【0001】)
2c)「【0015】次に、前記の構成を有する実施形態によって実行される画像処理内容について説明する。この実施形態において、基本画像を取得する場合、基本画像は、基本的には対象とする路面における乾燥、湿潤、水膜、積雪、凍結などの路面状態に応じて取得し、保存される,しかしながら、本装置は、屋外画像を対象としているため、太陽の位置や雲の状態、周囲の建物などによって、路面Fへの照射環境条件が大きく変動し、それに従つて、画像の状態も変動する。特に、同じ路面状態でも、晴天時のような日が射した状態と、曇天時とでは、その画面状態が大きく異なり、単純な画像処理では判定が難しくなる。
【0016】図2は、TVカメラ10からの検査画像と日射環境条件に対応した基準画像のイメージと差分比較し処理するための概念を示す。すなわち、本実施例においては、基本画像を取得する場合、晴天時における路面Fの乾燥、湿潤、水膜、積雪、凍結などの路面状態と、曇天時における路面Fの乾燥、湿潤、水膜、積雪、凍結などの路面状態と、夜間照明下における乾燥、湿潤、水膜、積雪、凍結などの路面状態、更に必要ならば、晴天時及び曇天時に路面状態のように2乃至3の環境状態に分けて、それぞれに対応した路面状態を取得することによって、基準画像とする。」(段落【0015】及び【0016】)
2d)「【0021】図4は、基準画像を用いた路面状態の判定処理の内容を示す。すなわち、本発明においては、まず、検査画像の中から処理すべき路面Fの画像が抽出される。これは、予め路面画像に基づいて設定された処理に従うものである。そして、画像処理装置11により、検査画像と基準画像との差分画像が演算され、取得される。この差分画像を基に、以下に列挙する特徴量を抽出する。
(1)色差及びその分散
カラー画像の色Hは、TVカメラ10による赤(R)、緑(G)、及び青(B)のRGB信号を基に、例えば、下記の式で算出できる。( 略 )
(2)輝度及びその分散
カラー画像の輝度Iは、TVカメラ10のRGB信号を基に、例えば、下記の式で算出できる。( 略 )
(3)テクスチャ
テクスチャとは、積雪時、車の轍で生じる縱稿の模様や、湿潤、水膜発生時において、カメラ視野の手前と後方との間で生じる偏光特性が原因となる反射強度の勾配、及び新雪における粒状的な輝度分布など、路面Fに生じる模様を微分処理などで数値的な特徴量に変換した量を示す。」(段落【0021】)
2e)「【0026】ただし、演算処理装置13による画像評価をより厳密にしたい場合、例えば、積雪、圧雪、シャーベット状などの情報に分けて画像の評価を行いたい場合などにおいては、基準画像が非常に多くなり、処理時間も装置の出力間隔を超える可能性がある。このような場合の対応策としては、基準画像を環境条件に応じて、グループ分けして保存する必要がある。すなわち、晴天のグループ、曇天のグループ、夜間のグループなどに分けて、それぞれの路面状態を保存する。それらのグループを保存する際や判定の際には、当然ながら、上記した情報が必要になる。」(段落【0026】)
(2)刊行物2技術
上記(1)及び図面の記載からみて、刊行物2には次の技術(以下、「刊行物2技術」という。)が記載されている。
「可視カメラからの路面映像信号により路面Fの状態を検知するにあたって、色差及びその分散、輝度及びその分散、及び、路面Fに生じる模様を微分処理などで数値的な特徴量に変換した量であるテクスチャを考慮して、乾燥、湿潤、水膜、積雪、凍結などの路面状態を把握する技術。」
[3]本願発明と引用発明との対比・判断
引用発明の「4輪駆動の制御装置」は、その機能、構成及び技術的意義からみて、本願発明における「乗物制御システム」に相当し、以下同様に、「路面」は「走行面」に、「進行方向における路面」は「乗物が走行している又はこれから走行する走行面」に、「撮影手段1」は「撮像装置」に、「画像信号」は「画像」、「1つ又は複数の画像の内容」あるいは「出力」に、「得て」は「受け」に、「撮影手段1から得た」は「撮像装置によって出力される」に、「路面の光の三原色である赤成分(R)、緑成分(G)及び青成分(B)」は「走行面の色」に、「によって求められた」は「を参照することにより求められた」に、それぞれ相当する。
そして、引用発明における「2輪/4輪駆動の切換え或いはセンターデフロックのロック/解除を行う」ことは、2輪/4輪駆動の切換制御を行うにあたって2輪駆動または4輪駆動の複数の設定の1つを選択し、或いはセンターデフロックの制御を行うにあたってセンターデフロックのロックまたは解除の複数の設定の1つを選択することに他ならないから、本願発明における「少なくとも1つの乗物サブシステムが複数のサブシステム設定モードの1つで動作される」ことに相当する。
そして、引用発明における「摩擦係数を選定する手段」と、本願発明における「走行面に適した運転モードを選択するコントローラ又はプロセッサ」とは、「走行面に対応するパラメータを選択する手段」という限りにおいて一致する。
さらに、引用発明における「撮影手段1の画像信号に従って決定された路面の光の三原色である赤成分(R)、緑成分(G)及び青成分(B)によって求められた路面状態に対応した摩擦係数を選定する」ことと、本願発明における「撮像装置の出力に従って決定された走行面の質感と色を参照することにより求められた走行面の組成に応じて、走行面のタイプを求める」こととは、「撮像装置の出力に従って決定された走行面のパラメータを参照することにより走行面の性状を求める」という限りにおいて一致する。
したがって、両者の一致点、相違点は以下のとおりである。
[一致点]
「少なくとも1つの乗物サブシステムが複数のサブシステム設定モードの1つで動作される乗物制御システムにおいて、
乗物制御システムは、乗物が走行している又はこれから走行する走行面の撮像装置からの画像を受け、撮像装置によって出力される1つ又は複数の画像の内容に応じて走行面に対応するパラメータを選定する手段を備えており、乗物制御システムは、撮像装置の出力に従って決定された走行面のパラメータを参照することにより走行面の性状を求めるように構成されている、乗物制御システム。」
[相違点1]
本願発明においては、「複数の運転モードの1つを選択するように動作可能であって各運転モードでは少なくとも1つの乗物サブシステムが複数のサブシステム設定モードの1つで動作される」ような「運転モード」を備えるのに対して、引用発明においては、「進行方向におけるタイヤと路面との間の摩擦係数を検出することによる路面状態に合わせて、2輪/4輪駆動の切換え或いはセンターデフロックのロック/解除を行う」のに対応する「運転モード」を備えるか不明である点(以下、「相違点1」という。)。
[相違点2]
「走行面に対応するパラメータを選択する手段」に関して、本願発明においては、「走行面に適した運転モードを選択するコントローラ又はプロセッサ」であるのに対して、引用発明においては、「摩擦係数を選定する手段」である点(以下、「相違点2」という。)。
[相違点3]
「撮像装置の出力に従って決定された走行面のパラメータを参照することにより走行面の性状を求める」に関して、本願発明においては、「撮像装置の出力に従って決定された走行面の質感と色を参照することにより求められた走行面の組成に応じて、走行面のタイプを求める」のに対して、引用発明においては、「撮影手段1の画像信号に従って決定された路面の光の三原色である赤成分(R)、緑成分(G)及び青成分(B)によって求められた摩擦係数を選定する」点(以下、「相違点3」という。)。
以下、相違点について判断する。
[相違点1及び2について]
上記刊行物1技術は、「4輪駆動の制御装置における2輪/4輪駆動の切換え或いはセンターデフロックのロック/解除を、悪路走行時や通常走行時などの路面状態を自動的に判定することにより切換える技術」である。
そうすると、引用発明において、進行方向におけるタイヤと路面との間の摩擦係数を検出することによる路面状態に合わせて、2輪/4輪駆動の切換え或いはセンターデフロックのロック/解除を行うに際して、刊行物1技術に倣って悪路走行時や通常走行時などの路面状態を自動的に判定して、それぞれを運転モードとし、走行面に適した運転モードをコントローラ又はプロセッサなどの慣用手段(以下、「慣用手段」という。)に選択させることにより、上記相違点1及び2に係る本願発明の発明特定事項とすることは当業者が容易になし得たことである。
[相違点3について]
刊行物2技術は、「可視カメラからの路面映像信号により路面Fの状態を検知するにあたって、色差及びその分散、輝度及びその分散、及び、路面Fに生じる模様を微分処理などで数値的な特徴量に変換した量であるテクスチャを考慮して、乾燥、湿潤、水膜、積雪、凍結などの路面状態を把握する技術」であって、色差及びその分散、輝度及びその分散に加えて、路面Fに生じる模様などの質感を参照することにより、乾燥、湿潤、水膜、積雪、凍結などの路面状態を把握できるものであるから、路面Fの色や質感から求めた走行面の組成に応じて乾燥路面や積雪路面等の走行面のタイプを求めるように構成されたものであるといえる。
一方、引用発明における「摩擦係数」は、刊行物1の第1図(6で図示された部分)において、摩擦係数と対応して「コンクリート舗装、乾燥土面、砂利道、泥地、雪道、氷上」の文字が示されていることからみて、走行面のタイプに対応するものである。
そうすると、引用発明において、走行面のタイプを求める刊行物2技術を適用して「撮影手段1の画像信号に従って決定された路面の光の三原色である赤成分(R)、緑成分(G)及び青成分(B)によって求められた摩擦係数を選定する」ことに代えて、色差及びその分散、輝度及びその分散、及び、路面に生じる模様を微分処理などで数値的な特徴量に変換した量であるテクスチャを考慮するものとして、路面の色及び路面に生じる模様などの質感を参照することにより求められた走行面の組成に応じて走行面のタイプを求めるようにすることにより、相違点3に係る本願発明の発明特定事項とすることは、当業者であれば容易になし得たことである。
そして、本願発明は、引用発明、刊行物1技術及び刊行物2技術並びに慣用手段から予測される以上の格別な効果を奏するものではない。
第3 むすび
したがって、本願発明は、引用発明、刊行物1技術及び刊行物2技術並びに慣用手段に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないので、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2017-001173