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特許拒絶査定不服審判

2017-000728

信号処理装置、レーダ装置、信号処理方法、およびプログラム

審判番号
2017-000728
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2012-138412外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2017年01月18日
審決日
2018年02月05日
公報発行日
2018年05月25日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-WZ (G01S) / P18 .537-WZ (G01S)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2012-138412「信号処理装置、レーダ装置、信号処理方法、およびプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 1月 9日出願公開、特開2014-  2085〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 特許出願: 平成24年6月20日 拒絶査定: 平成28年10月11日(送達日:同年同月18日) 拒絶査定不服審判の請求: 平成29年1月18日 手続補正: 平成29年1月18日 拒絶理由通知: 平成29年10月13日 (以下、「当審拒絶理由」という。発送日:同年同月17日) 手続補正: 平成29年12月18日(以下、「本件補正」という。) 意見書:  平成29年12月18日(以下、「本件意見書」という。) 第2 本願発明 本願の請求項1ないし16に係る発明は、本件補正によって補正された明細書、特許請求の範囲及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし16に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明は次のとおりである。 「送信信号に対するエコー強度に応じた受信信号を入力する信号入力部と、 前記信号入力部が入力した受信信号から干渉に起因する信号を検出するパルス圧縮前干渉検出処理を行う第1干渉検出部と、 前記パルス圧縮前干渉検出処理において検出した干渉に起因する受信信号のレベルを制御するパルス圧縮前レベル制御処理を行う第1信号レベル制御部と、 前記第1信号レベル制御部でレベル制御された前記受信信号のパルス圧縮処理を行うパルス圧縮部と、 前記パルス圧縮処理を行った受信信号から干渉に起因する信号を検出する第2干渉検出部と、 前記第2干渉検出部で検出した干渉に起因する受信信号のレベルを制御する第2信号レベル制御部と、 を備え、 前記第1干渉検出部または前記第2干渉検出部は、 前記受信信号のうち、アンテナからの距離が略等しく方位が異なる、互いに近接する地点からの当該受信信号間のレベル変化を検出するレベル変化検出部と、 前記レベル変化をそれぞれあらかじめ定められた基準パターンに照合して、前記受信信号のレベルの分解能よりも小さな分解能で表されるレベル変化パターンを出力するパターン出力部と、 前記レベル変化パターンのうち少なくとも2つのレベル変化パターンに基づいて干渉を判定する干渉判定部と、 を備えたことを特徴とする信号処理装置。」(以下、「本願発明」という。) 第3 当審拒絶理由 これに対し、当審拒絶理由における理由2の概要は、本願の請求項1,15,16に係る発明は、本願出願前に頒布された刊行物である下記の引用例1ないし2に記載された発明に基づいて、また本願の請求項2ないし14に係る発明は、本願出願前に頒布された刊行物である下記の引用例1ないし3に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。 1.特開2008-96337号公報(以下「引用例1」という) 2.特開2011-252822号公報(以下「引用例2」という) 3.特開2011-196941号公報 第4 引用例記載の事項・引用発明 1 引用例1の記載事項・引用発明 引用例1には、次の事項が図面とともに記載されている。(下線は当審が付した。以下同様。) 「【0014】 本発明の最良の実施形態を図を参照しながら説明する。本発明はパルス圧縮レーダのための妨害信号除去方式であり、従来の方法とは異なり、位相情報をもった信号を取り扱う。具体的には、受信された信号は直交検波され、互いに90度位相が異なるI信号とQ信号に分離される。これらの信号は、I信号を実部、Q信号を虚部とする複素信号の形で取り扱われる。本発明では、そのようにして得られた複素信号を用いて妨害信号を除去する。 【0015】 本発明による妨害波除去手段は図2に示すような2度の妨害信号除去手段を使用する2段構成になっており、妨害信号除去1において圧縮前の信号から妨害信号を除去し、この除去の影響によりパルス圧縮207において生成される二次的妨害信号を妨害信号除去2において除去するというものである。」 「【0018】 妨害信号除去1または妨害信号除去2の具体的な内部構成を図3に示す。なお、妨害信号除去1と妨害信号除去2は同様の構成によって実現されている。図において矢尻が2重になっている信号は複素信号を表す。 ・・・ 【0023】 妨害波の有り無しといった判定は、注目データの絶対値と上記のように算出された閾値の比較結果によって判定部309でなされる。判定部309は、注目データの絶対値aが閾値Tよりも大きい場合には「妨害有り」と判定をし、注目データを複素数のゼロに置き換える。また、注目データの絶対値aが閾値Tよりも小さい場合にはデータをゼロに置き換えることはせず、そのままの形で出力する。この方式ではデータの置き換えをした場所の位相情報は変わってしまうが、妨害が存在しない場所においては位相情報は保持されているので、パルス圧縮をしても問題はない。」 上記記載の内容を総合勘案すると、引用例1には次の発明が記載されているものと認められる。(対応する記載の段落を括弧書きで示す。) 「パルス圧縮レーダのための妨害信号除去手段であって、(【0014】、【0015】) 圧縮前の信号から妨害信号を除去する妨害信号除去1と、 パルス圧縮207と、 除去の影響によりパルス圧縮207において生成される二次的妨害信号を除去する妨害信号除去2と、(【0015】) を備え、 妨害信号除去1及び妨害信号除去2の判定部309は、注目データの絶対値aが閾値Tよりも大きい場合には「妨害有り」と判定をし、注目データを複素数のゼロに置き換える、(【0018】、【0023】) 妨害信号除去手段。」(以下、「引用発明」という。) 2 引用例2の記載事項 引用例2には、次の事項が図面とともに記載されている。 「【請求項1】 アンテナから発射された電磁波の物標からの反射によるエコー信号が入力されるエコー信号入力部と、 前記アンテナからの距離と方位に対応させて前記エコー信号のそれぞれのレベルを検出するエコー信号レベル検出部と、 前記エコー信号のうち、アンテナからの距離が略等しく方位が異なる、互いに近接する地点からの前記エコー信号間のレベル変化を検出するレベル変化検出部と、 前記レベル変化をそれぞれあらかじめ定められた基準パターンに照合してレベル変化パターンを出力するパターン出力部と、 前記レベル変化パターンのうち少なくとも2つのレベル変化パターンに基づいて干渉を判定する干渉判定部と、 を備えていることを特徴とする信号処理装置。」 「【請求項3】 請求項1または2に記載の信号処理装置において、 前記パターン出力部は、レベル変化が第1のしきい値を超える第1のパターンと、レベル変化が第2のしきい値未満である第2のパターンと、前記第1のパターンにも前記第2のパターンにも当てはまらない第3のパターンと、に分類することを特徴とする信号処理装置。」 「【0001】 この発明は、エコー信号に種々の処理を行う信号処理装置に関するものである。 【背景技術】 【0002】 従来、レーダ装置等においては、他船から送信された電磁波(干渉成分)がエコー信号に含まれていると、レーダ画像の表示品質を劣化させるという課題があった。 【0003】 そこで、同一方位および同一距離における時間的に連続する3つ以上の信号のうち、1つ過去のスイープだけ閾値を超える場合に干渉であると判定し、非表示(ゼロ置換)として干渉除去を行うものが提案されている(例えば特許文献1を参照)。 ・・・ 【0005】 しかし、実際には低レベルの干渉が発生することもあり、閾値を高くして干渉除去処理を弱くすると、干渉を除去しきれないという課題がある。一方で、閾値を低く設定すると物標からのエコー信号まで除去してしまうことがある。」 上記【請求項1】及び【請求項3】の記載から、引用例2には次の発明が記載されているものと認められる。 「アンテナから発射された電磁波の物標からの反射によるエコー信号が入力されるエコー信号入力部と、 前記アンテナからの距離と方位に対応させて前記エコー信号のそれぞれのレベルを検出するエコー信号レベル検出部と、 前記エコー信号のうち、アンテナからの距離が略等しく方位が異なる、互いに近接する地点からの前記エコー信号間のレベル変化を検出するレベル変化検出部と、 前記レベル変化をそれぞれあらかじめ定められた基準パターンに照合してレベル変化パターンを出力するパターン出力部と、 前記レベル変化パターンのうち少なくとも2つのレベル変化パターンに基づいて干渉を判定する干渉判定部と、 を備え、 前記パターン出力部は、レベル変化が第1のしきい値を超える第1のパターンと、レベル変化が第2のしきい値未満である第2のパターンと、前記第1のパターンにも前記第2のパターンにも当てはまらない第3のパターンと、に分類することを特徴とする信号処理装置。」(以下、「引用例2の技術」という。) 第5 対比 本願発明と引用発明とを、主たる構成要件毎に、順次対比する。 まず、引用発明は「パルス圧縮レーダのための妨害信号除去手段」であるから、その処理対象となる信号(「注目データ」となる信号)が、レーダの「送信信号に対するエコー強度に応じた受信信号」であること、及び該信号が入力される「信号入力部」を備えることは明らかといえる。 また、引用発明において「注目データの絶対値aが閾値Tよりも大きい場合には「妨害有り」と判定をし、注目データを複素数のゼロに置き換える」処理を行う「妨害信号除去1及び妨害信号除去2の判定部309」をそれぞれが有する、「圧縮前の信号から妨害信号を除去する妨害信号除去1」、及び「除去の影響によりパルス圧縮207において生成される二次的妨害信号を除去する妨害信号除去2」は、それぞれ本願発明における「前記信号入力部が入力した受信信号から干渉に起因する信号を検出するパルス圧縮前干渉検出処理を行う第1干渉検出部」及び「前記パルス圧縮前干渉検出処理において検出した干渉に起因する受信信号のレベルを制御するパルス圧縮前レベル制御処理を行う第1信号レベル制御部」、並びに「前記パルス圧縮処理を行った受信信号から干渉に起因する信号を検出する第2干渉検出部」及び「前記第2干渉検出部で検出した干渉に起因する受信信号のレベルを制御する第2信号レベル制御部」に相当するといえる。 さらに、引用発明における「パルス圧縮207」は、本願発明における「前記第1信号レベル制御部でレベル制御された前記受信信号のパルス圧縮処理を行うパルス圧縮部」に相当し、引用発明における「妨害信号除去手段」は、本願発明における「信号処理装置」に相当する。 してみると、両者の一致点及び相違点は、以下のとおりである。 (一致点) 「送信信号に対するエコー強度に応じた受信信号を入力する信号入力部と、 前記信号入力部が入力した受信信号から干渉に起因する信号を検出するパルス圧縮前干渉検出処理を行う第1干渉検出部と、 前記パルス圧縮前干渉検出処理において検出した干渉に起因する受信信号のレベルを制御するパルス圧縮前レベル制御処理を行う第1信号レベル制御部と、 前記第1信号レベル制御部でレベル制御された前記受信信号のパルス圧縮処理を行うパルス圧縮部と、 前記パルス圧縮処理を行った受信信号から干渉に起因する信号を検出する第2干渉検出部と、 前記第2干渉検出部で検出した干渉に起因する受信信号のレベルを制御する第2信号レベル制御部と、 を備える信号処理装置。」 (相違点) 本願発明においては、 「前記第1干渉検出部または前記第2干渉検出部は、 前記受信信号のうち、アンテナからの距離が略等しく方位が異なる、互いに近接する地点からの当該受信信号間のレベル変化を検出するレベル変化検出部と、 前記レベル変化をそれぞれあらかじめ定められた基準パターンに照合して、前記受信信号のレベルの分解能よりも小さな分解能で表されるレベル変化パターンを出力するパターン出力部と、 前記レベル変化パターンのうち少なくとも2つのレベル変化パターンに基づいて干渉を判定する干渉判定部と、 を備え」 るとされているのに対し、引用発明においては、「注目データの絶対値aが閾値Tよりも大きい場合には「妨害有り」と判定」するとされている点。 第6 判断 上記相違点について検討する。 引用発明と引用例2の技術とは、共にレーダの妨害(干渉)信号の除去処理に関するものであって、また引用例2の「干渉判定部」が、単に閾値を超える場合に干渉であると判定する構成では、「実際には低レベルの干渉が発生することもあり、閾値を高くして干渉除去処理を弱くすると、干渉を除去しきれないという課題がある。一方で、閾値を低く設定すると物標からのエコー信号まで除去してしまうことがある。」(段落【0005】)という課題を解消しようとするものである一方、引用発明の「判定部309」は「注目データの絶対値aが閾値Tよりも大きい場合には「妨害有り」と判定を」するものであるから、閾値に関する上記課題を有することは明らかであり、これを解消するために引用発明の「判定部309」を、引用例2の技術における「前記エコー信号のうち、アンテナからの距離が略等しく方位が異なる、互いに近接する地点からの前記エコー信号間のレベル変化を検出するレベル変化検出部と、前記レベル変化をそれぞれあらかじめ定められた基準パターンに照合してレベル変化パターンを出力するパターン出力部と、前記レベル変化パターンのうち少なくとも2つのレベル変化パターンに基づいて干渉を判定する干渉判定部と、を備え、前記パターン出力部は、レベル変化が第1のしきい値を超える第1のパターンと、レベル変化が第2のしきい値未満である第2のパターンと、前記第1のパターンにも前記第2のパターンにも当てはまらない第3のパターンと、に分類する」構成とする程度のことは、当業者が容易に想到し得たものである。 そして、引用例2の技術の上記構成と上記相違点に係る本願発明の構成とは、「前記受信信号のうち、アンテナからの距離が略等しく方位が異なる、互いに近接する地点からの当該受信信号間のレベル変化を検出するレベル変化検出部と、前記レベル変化をそれぞれあらかじめ定められた基準パターンに照合してレベル変化パターンを出力するパターン出力部と、前記レベル変化パターンのうち少なくとも2つのレベル変化パターンに基づいて干渉を判定する干渉判定部」である点で共通し、本願発明の「パターン出力部」が出力する「レベル変化パターン」が「前記受信信号のレベルの分解能よりも小さな分解能で表される」ものとされている点で一応相違するが、引用例2の技術は「前記パターン出力部は、レベル変化が第1のしきい値を超える第1のパターンと、レベル変化が第2のしきい値未満である第2のパターンと、前記第1のパターンにも前記第2のパターンにも当てはまらない第3のパターンと、に分類する」ものであって、本願明細書の段落【0043】(本件意見書の「(b)補正の根拠の明示」において補正の根拠と主張されている箇所。)に記載されている構成と同様に3種類のみの分類とされているのであるから、2bit以上の信号であればこれを表す出力信号とできることは自明といえる。そうすると、引用例2の技術において「パターン出力部」が出力する「レベル変化パターン」を(例えば2bitの)「前記受信信号のレベルの分解能よりも小さな分解能で表される」ものとするか否かは、具体的な機器の実装に際して適宜選択されるべき設計事項に過ぎない。なお、出力信号がより小さなbit数で表現されるものとなれば、これを保存するために必要なメモリ容量がより小さな物となる程度のことは、当業者にとって自明な効果に過ぎないといえる。 そして、本願発明の作用効果も、引用発明及び引用例2の技術から当業者が予測可能なものであって、格別のものではない。 したがって、本願発明は引用発明及び引用例2の技術に基づいて当業者が容易に発明し得たものである。 第7 請求人の主張について 審判請求人は、本件意見書の「(d)本願発明と引用発明との対比」において、以下のように主張している。 「引用文献2には、レベル変化パターンを用いることは記載されていますが、レベル変化パターンを、受信信号(エコー信号)のレベルの分解能よりも小さな分解能で表すことは、全く開示示唆がありません。 また、引用文献1、2では、干渉除去とともに、干渉除去のためのIQ信号の状態の保持に係るメモリの使用量を削減するという、本願の課題に関して、全く開示示唆がありません。 このように、引用文献1、2には、これらを組み合わせて、本願発明の構成を想到する動機付けとなる記載は、全くありません。 したがって、引用文献を用いて本願発明を容易に想到できるという論理付けはできないものと思料致します。 さらに、本願発明の構成では、干渉を確実に除去しながら、干渉除去のためのIQ信号の状態の保持に係るメモリの使用量を削減できるという、引用文献1、2では達成できない作用効果を奏します。 よって、本願発明は、進歩性を有するものと思料致します。」 しかしながら、上記「第6 判断」において述べたように、引用発明の「判定部309」を、引用例2の技術におけるレベル変化検出部、パターン出力部、及び干渉判定部を備える構成とする程度のことは、当業者が容易に想到し得たものである。また、その「パターン出力部」が出力する「レベル変化パターン」を「前記受信信号のレベルの分解能よりも小さな分解能で表される」ものとすることも設計事項であって、出力信号を保存するために必要なメモリ容量がより小さな物となる効果も、当業者にとって自明といえる。 したがって、審判請求人の上記主張は採用できない。 第8 むすび 以上のとおり、本願発明は、引用発明及び引用例2の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、他の請求項に係る発明について審理するまでもなく、本願は当審拒絶理由によって拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2017-000728

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