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特許異議申立

2016-700172

半径流圧縮機のプラスチックハウジング

審判番号
2016-700172
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2012-506471外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2016年02月26日
審決日
2017年12月20日
公報発行日
2018年03月30日
結論
訂正認容
当事者
審判長/審判官
分類
P1651.121-YAA(F04D) / P1651.537-YAA(F04D) / P1651.538-YAA(F04D)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項第1号、特許法第36条第6項第2号、特許法第29条第2項、特許法第120条の5第2項第3号、特許法第120条の5第2項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特許第5769317号発明「半径流圧縮機のプラスチックハウジング」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

【結 論】 特許第5769317号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~13〕について訂正することを認める。 特許第5769317号の請求項1,4~11,13に係る特許を維持する。 特許第5769317号の請求項2,3及び12に係る特許についての特許異議の申し立てを却下する。

理由

【理 由】 1.手続の経緯 特許第5769317号の請求項1~13に係る特許についての出願は、平成27年7月3日付けでその特許権の設定登録がされ、その後、特許異議申立人一条淳より平成28年2月26日付けで請求項1~13に対して特許異議の申立てがされ(受付日:平成28年2月26日)、平成28年8月3日付けで取消理由が通知され(発送日:平成28年8月8日)、平成28年11月2日付けで意見書の提出及び訂正請求がされ(受付日:平成28年11月4日)、平成29年1月13日付けで特許異議申立人一条淳から意見書が提出され(受付日:平成29年1月16日)、平成29年2月23日付けで取消理由(決定の予告)が通知され(発送日:平成29年2月28日)、平成29年5月22日付けで意見書の提出及び訂正請求がされ(受付日:平成29年5月23日)、平成29年9月27日付けで取消理由(決定の予告)が通知され(発送日:平成29年10月11日)、平成29年12月4日付けで意見書の提出及び及び訂正請求がされたものである(受付日:平成29年12月5日)。 2.訂正の適否 (1)訂正の内容 平成29年12月4日付けの訂正請求による訂正(以下、「本件訂正」という。)は、以下のとおりである(なお、下線は訂正箇所を示し、当審で付した。)。 ア 訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に「前記ハウジングが繊維強化熱可塑性プラスチックポリマー合成物で作製された、少なくとも上部ハウジング部材および下部ハウジング部材を含むハウジング本体部を含み、前記少なくとも上部ハウジング部材および下部ハウジング部材が、単一の型内で行われる2段階射出成形工程で作製され、ともに組み立てられ、互いに固定されている」とあるのを、「前記ハウジングが繊維強化熱可塑性プラスチックポリマー合成物で作製された、少なくとも、前記吸気管を画定する漏斗形部材、上部ハウジング部材および下部ハウジング部材を含むハウジング本体部を含み、射出成形部材である前記漏斗形部材と、射出成形部材である前記上部ハウジングと、射出成形部材である前記下部ハウジングとが他の射出成形部により接合されており、前記漏斗形部材が、大きい端部と小さい端部とを備え、前記大きい端部が、前記上部ハウジング部材及び前記下部ハウジング部材によって画定される前記圧縮機通風管の内部に位置して前記圧縮機通風管を共同画定しており、前記小さい端部が前記圧縮機通風管の外部に位置している」と訂正する。 イ 訂正事項2 特許請求の範囲の請求項2及び3を削除する。 ウ 訂正事項3 特許請求の範囲の請求項4に「請求項1~3のいずれか一項に」とあるのを、「請求項1に」と訂正する。 エ 訂正事項4 特許請求の範囲の請求項6に「請求項1~5」とあるのを、「請求項1,4,5」と訂正する。 エ 訂正事項5 特許請求の範囲の請求項7に「請求項1~6」とあるのを、「請求項1,4~6」と訂正する。 オ 訂正事項6 特許請求の範囲の請求項9に「統合プロセス」とあるのを、「単一の型内で行われるプロセス」と訂正すると共に、「少なくとも2つのキャビティを有する成形用金型に前記ポリマー融液を射出成型することにより少なくとも上部ハウジング部材および下部ハウジング部材を含む少なくとも2つの部材を形成する」とあるのを、「少なくとも3つのキャビティを有する成形用金型に前記ポリマー融液を射出成型することにより、少なくとも、大きい端部と小さい端部とを備えて前記吸気管を画定する漏斗形部材、上部ハウジング部材および下部ハウジング部材を含む少なくとも3つの部材を形成する」と訂正し、「前記少なくとも2つの部材を合わせて組み立てることにより」とあるのを、「前記大きい端部が、前記上部ハウジング部材及び前記下部ハウジング部材によって画定される前記圧縮機通風管の内部に位置して前記圧縮機通風管を共同画定し、前記小さい端部が前記圧縮機通風管の外部に位置するように、前記少なくとも3つの部材を合わせて組み立てることにより」と訂正する。 カ 訂正事項7 特許請求の範囲の請求項11に「請求項1~8」とあるのを、「請求項1,4~8」と訂正する。 キ 訂正事項8 特許請求の範囲の請求項12を削除する。 ク 訂正事項9 特許請求の範囲の請求項13に「請求項1~8または12の」とあるのを、「請求項1,4~8の」と訂正する。 (2)訂正の目的の適否、新規事項の有無、一群の請求項及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否 ア 訂正事項1 a 訂正の目的について ・訂正事項1のうち、「少なくとも上部ハウジング部材および下部ハウジング部材を含むハウジング本体部」、「少なくとも上部ハウジング部材および下部ハウジング部材が、単一の型内で行われる2段階射出成形工程で作製され、ともに組み立てられ、互いに固定されている」を「少なくとも、前記吸気管を画定する漏斗形部材、上部ハウジング部材および下部ハウジング部材を含むハウジング本体部」、「射出成形部材である前記漏斗形部材と、射出成形部材である前記上部ハウジングと、射出成形部材である前記下部ハウジングとが他の射出成形部により接合されており、前記漏斗形部材が、大きい端部と小さい端部とを備え、前記大きい端部が、前記上部ハウジング部材及び前記下部ハウジング部材によって画定される前記圧縮機通風管の内部に位置して前記圧縮機通風管を共同画定しており、前記小さい端部が前記圧縮機通風管の外部に位置している」へと訂正することは、漏斗形部材という発明特定事項を追加し、該漏斗形部材と上部ハウジング部材及び下部ハウジング部材との位置関係を特定することにより、ハウジング本体部の構造を限定するものであるから、特許法第120条の5第2項第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 ・訂正事項1のうち、「少なくとも上部ハウジング部材および下部ハウジング部材が、単一の型内で行われる2段階射出成形工程で作製され、ともに組み立てられ、互いに固定されている」を「射出成形部材である前記漏斗形部材と、射出成形部材である前記上部ハウジングと、射出成形部材である前記下部ハウジングとが他の射出成形部により接合されており」へと訂正することは、さらに「半径流圧縮機のハウジング」という物について、その製造方法により規定することなく特定して明確にするものであるから、特許法第120条の5第2項第3号に規定する明瞭でない記載の釈明をも目的とするものである。 b 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 願書に添付した明細書には、「圧縮機通風管は、上部ハウジング部材および下部ハウジング部材の組立品によって画定される」(【0017】)、「プラスチックハウジングの部材は、漏斗形部材、上部ハウジング部材および下部ハウジング部材を含む少なくとも3つの部材を有する。漏斗形部材は吸気管を画定する。」(【0020】)「漏斗形部材は、大きい端部と小さい端部の2つの異なる端部を備えた先細り形状を有し」(【0022】)、「漏斗形部材および上部ハウジング部材は、大きい端部がハウジングの内部に位置し、圧縮機通風管を共同画定し、また、小さい端部は外部位置に位置するように組み立てられる」(【0023】)、「本発明によるハウジングは、以下のステップを含む方法によって製造することができる。そのステップは、第1と第2のプラスチックハウジング部材、さらに随意のプラスチック部品が、‥‥射出成形することによって製造されるステップと、第1と第2プラスチックハウジング部材、さらに随意のプラスチック部品が、第1の部材の第1の縁部が第2の部材の第2の縁部に対向して位置するように、再配置されるステップと、第1および第2の縁部が、オーバーモールドされるか、または、連結され2次射出の射出成型段階で熱可塑性の成形材料によって接合されるかするステップと、である」(【0038】)と記載され、願書に添付した図面の図2には、「前記漏斗形部材が、大きい端部と小さい端部とを備え、前記大きい端部が、前記上部ハウジング部材及び前記下部ハウジング部材によって画定される前記圧縮機通風管の内部に位置して前記圧縮機通風管を共同画定しており、前記小さい端部が前記圧縮機通風管の外部に位置している」態様が示されている。 したがって、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面には、ハウジング本体部が漏斗形部材、上部ハウジング部材、下部ハウジング部材を有し、各部材が射出成形された成形材料により接合され、漏斗形部材が大きい端部と小さい端部とを備え、大きい端部が上部ハウジング部材及び下部ハウジング部材によって画定される圧縮機通風管の内部に位置して前記圧縮機通風管を共同画定し、前記小さい端部が前記圧縮機通風管の外部に位置することが記載されているから、訂正事項1は願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。 c 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項1は、特許請求の範囲の減縮を目的とすると共に明瞭でない記載の釈明を目的とする訂正であり、いずれも訂正前の請求項1に記載されていた発明特定事項を減縮するものであって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。 イ 訂正事項2 訂正事項2は、請求項2及び3を削除するというものであるから、特許法第120条の5第2項第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、かつ、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。 ウ 訂正事項3 訂正事項3は、請求項4が引用する請求項を減らす訂正であるから、特許法第120条の5第2項第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、かつ、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。 エ 訂正事項4 訂正事項4は、請求項6が引用する請求項を減らす訂正であるから、特許法第120条の5第2項第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、かつ、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。 オ 訂正事項5 訂正事項5は、請求項7が引用する請求項を減らす訂正であるから、特許法第120条の5第2項第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、かつ、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。 カ 訂正事項6 a 訂正の目的について ・訂正事項6のうち、「統合プロセス」を「単一の型内で行われるプロセス」へと訂正することは、「統合プロセス」の内容を特定して明確にするものであるから、特許法第120条の5第2項第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 ・訂正事項6のうち、「少なくとも2つのキャビティを有する成形用金型に前記ポリマー融液を射出成型することにより少なくとも上部ハウジング部材および下部ハウジング部材を含む少なくとも2つの部材を形成する」を「少なくとも3つのキャビティを有する成形用金型に前記ポリマー融液を射出成型することにより、少なくとも、大きい端部と小さい端部とを備えて前記吸気管を画定する漏斗形部材、上部ハウジング部材および下部ハウジング部材を含む少なくとも3つの部材を形成する」へと訂正することは、ハウジングについて、漏斗形部材という発明特定事項を追加し、ハウジングの製造方法を限定するものであるから、特許法第120条の5第2項第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 ・訂正事項6のうち、「前記少なくとも2つの部材を合わせて組み立てることにより前記吸気管、前記圧縮機通風管および前記出口管を画定するハウジング本体部を形成する」を「前記大きい端部が、前記上部ハウジング部材及び前記下部ハウジング部材によって画定される前記圧縮機通風管の内部に位置して前記圧縮機通風管を共同画定し、前記小さい端部が前記圧縮機通風管の外部に位置するように、前記少なくとも3つの部材を合わせて組み立てることにより前記吸気管、前記圧縮機通風管および前記出口管を画定するハウジング本体部を形成する」へと訂正することは、さらに、ハウジング本体部を形成する際に、上部ハウジング部材、下部ハウジング部材及び漏斗形部材で圧縮機通風管を共同画定するという発明特定事項を追加し、ハウジングの製造方法を限定するものであるから、特許法第120条の5第2項第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 b 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 願書に添付した明細書には、「圧縮機通風管は、上部ハウジング部材および下部ハウジング部材の組立品によって画定される」(【0017】)、「プラスチックハウジングの部材は、漏斗形部材、上部ハウジング部材および下部ハウジング部材を含む少なくとも3つの部材を有する。漏斗形部材は吸気管を画定する。」(【0020】)「漏斗形部材は、大きい端部と小さい端部の2つの異なる端部を備えた先細り形状を有し」(【0022】)、「漏斗形部材および上部ハウジング部材は、大きい端部がハウジングの内部に位置し、圧縮機通風管を共同画定し、また、小さい端部は外部位置に位置するように組み立てられる」(【0023】)と記載され、願書に添付した図面の図2には、「前記漏斗部材が、大きい端部と小さい端部とを備え、前記大きい端部が、前記上部ハウジング部材及び前記下部ハウジング部材によって画定される前記圧縮機通風管の内部に位置して前記圧縮機通風管を共同画定しており、前記小さい端部が前記圧縮機通風管の外部に位置している」構造が示されている。 また、願書に添付した明細書には、「複数個取り単一成形金型中で少なくとも2つの部材を形成する」(【0036】)、「図2は、ハウジング(1)の断面図を示し、これは下部ハウジング部材(2)、上部ハウジング部材(3)および漏斗形部材(4)から組み立てられている。漏斗形部材は、ラッパ形を備えた大きい端部を有する。これらの3つの部材はすべて1つの金型中で成型され」(【0045】)、「3つの部材用のキャビティは、単一の成形用金型の中で別々に提供される」(【0048】)と記載されている。 したがって、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面には、ハウジング本体部が漏斗形部材、上部ハウジング部材、下部ハウジング部材を有し、各部材が射出成形された成形材料により接合され、漏斗形部材が大きい端部と小さい端部とを備え、大きい端部が上部ハウジング部材及び下部ハウジング部材によって画定される圧縮機通風管の内部に位置して前記圧縮機通風管を共同画定し、前記小さい端部が前記圧縮機通風管の外部に位置すること、3つのキャビティを有する成形用金型で、下部ハウジング部材、上部ハウジング部材および漏斗形部材を形成することが記載されているから、訂正事項6は願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。 c 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項6は、明瞭でない記載の釈明、及び特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正であり、訂正前の請求項6に記載されていた発明特定事項を減縮するものであって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。 キ 訂正事項7 訂正事項7は、請求項11が引用する請求項を減らす訂正であるから、特許法第120条の5第2項第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、かつ、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。 ク 訂正事項8 訂正事項8は、請求項12を削除するというものであるから、特許法第120条の5第2項第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、かつ、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。 ケ 訂正事項9 訂正事項9は、請求項13が引用する請求項を減らす訂正であるから、特許法第120条の5第2項第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、かつ、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。 コ 一群の請求項について 訂正前の請求項2~8,11~13は、本件訂正の対象である訂正前の請求項1の記載を直接または間接的に引用するものであり、また、訂正前の請求項10~13は、本件訂正の対象である訂正前の請求項9の記載を直接または間接的に引用するものであり、少なくとも訂正前の請求項11,13を介して訂正前の請求項1,9が互いに連関しているから、訂正前において、請求項1~13は一群の請求項に該当するものである。 したがって、本件訂正の請求は、一群の請求項ごとにされたものである。 (3)小括 したがって、本件訂正による訂正事項1~9は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項、及び、同条第9項で準用する同法第126条第4項から第6項までの規定に適合するので、訂正後の請求項〔1~13〕について訂正を認める。 3 特許異議の申立てについて (1)本件発明 本件訂正により訂正された請求項1,4~11,13に係る発明(以下、請求項順に「本件発明1」、「本件発明4」等という。)は、特許請求の範囲の請求項1,4~11,13に記載された以下のとおりのものである。 「【請求項1】 吸気管、圧縮機通風管および出口管を備える半径流圧縮機のハウジングであって、前記ハウジングが繊維強化熱可塑性プラスチックポリマー合成物で作製された、少なくとも、前記吸気管を画定する漏斗形部材、上部ハウジング部材および下部ハウジング部材を含むハウジング本体部を含み、射出成形部材である前記漏斗形部材と、射出成形部材である前記上部ハウジングと、射出成形部材である前記下部ハウジングとが他の射出成形部により接合されており、前記漏斗形部材が、大きい端部と小さい端部とを備え、前記大きい端部が、前記上部ハウジング部材及び前記下部ハウジング部材によって画定される前記圧縮機通風管の内部に位置して前記圧縮機通風管を共同画定しており、前記小さい端部が前記圧縮機通風管の外部に位置している、半径流圧縮機のハウジング。 【請求項2】 (削除) 【請求項3】 (削除) 【請求項4】 前記繊維強化熱可塑性プラスチックポリマー合成物が、JIS K6257による空気中の老化試験により求めて、150℃で少なくとも3,000時間の引張り強さ半減期を有する、請求項1に記載のハウジング。 【請求項5】 JIS K6257による空気中の老化試験により求めて、引張り強さ半減期が180℃で3,000時間以上である、請求項4に記載のハウジング。 【請求項6】 前記繊維強化熱可塑性プラスチックポリマー合成物が、前記繊維強化熱可塑性プラスチックポリマー合成物の重量に対して20~80重量%の強化繊維を含む、請求項1,4,5のいずれか一項に記載のハウジング。 【請求項7】 前記繊維強化熱可塑性プラスチックポリマー合成物が、ポリイミド、フェノール樹脂、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアミドイミド、ポリエーテルスルフォン、硫化ポリフェニレンおよびポリアミドからなる群から選択された熱可塑性ポリマーを含む、請求項1,4~6のいずれか一項に記載のハウジング。 【請求項8】 前記熱可塑性ポリマーがポリアミド46である、請求項7に記載のハウジング。 【請求項9】 半径流圧縮機のためのハウジングを製造する方法であって、前記ハウジングが吸気管、圧縮機通風管および出口管を有し、前記方法が単一の型内で行われるプロセスであり、 a.繊維強化熱可塑性プラスチックポリマー合成物を融解処理することによってポリマー融液を形成するステップと、 b.少なくとも3つのキャビティを有する成形用金型に前記ポリマー融液を射出成型することにより、少なくとも、大きい端部と小さい端部とを備えて前記吸気管を画定する漏斗形部材、上部ハウジング部材および下部ハウジング部材を含む少なくとも3つの部材を形成するステップと、 c.前記大きい端部が、前記上部ハウジング部材及び前記下部ハウジング部材によって画定される前記圧縮機通風管の内部に位置して前記圧縮機通風管を共同画定し、前記小さい端部が前記圧縮機通風管の外部に位置するように、前記少なくとも3つの部材を合わせて組み立てることにより前記吸気管、前記圧縮機通風管および前記出口管を画定するハウジング本体部を形成するステップと、 d.熱可塑性の成形材料を2次射出し、射出成型することにより、前記組み立てられた部材を互いに固定するステップと、を含む、ハウジングを製造する方法。 【請求項10】 前記固定はオーバーモールドおよび/またはインフィルモールドによって行われる、請求項9に記載の方法。 【請求項11】 前記ハウジングが、請求項1,4~8のいずれか一項に記載の半径流圧縮機のためのハウジングである、請求項9に記載の方法。 【請求項12】 (削除) 【請求項13】 自動車用のターボチャージャのための、請求項1,4~8のいずれか一項に記載の前記ハウジングの使用。」 (2)取消理由の概要 (A)訂正前の請求項1~13に係る特許に対して平成29年2月23日付けで通知した取消理由(決定の予告)の要旨は以下のとおりである。 ア 請求項1~8,12~13に係る発明は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。 請求項1~8,12~13は物の発明を、製造方法により特定しようとするものであるから明確でない。 イ 請求項1~13に係る発明は特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものである。 刊行物1(甲第1号証):独国特許出願公開第10112764号明細書 刊行物2(甲第3号証):小屋松博志,他2名,「型内組立による射出成形品の高付加価値化」,成形加工,社団法人プラスチック成形加工学会,2001年5月20日,第13巻,第5号,第298~305頁 刊行物3:特表2008-527129号公報 刊行物4:特表2006-528260号公報 請求項1~3,9~13に係る発明は、刊行物1~2に記載された事項に基づいて、請求項4~8に係る発明は、刊行物1~2に記載された事項と、刊行物3~4に記載された周知技術とに基づいて、それぞれ、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1~13に係る発明の特許は特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものである。 (B)本件訂正前の請求項9~11に係る特許に対して平成29年9月27日付けで通知した取消理由(決定の予告)の要旨は以下のとおりである。 ア 請求項9~11に係る発明は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。 (3)刊行物の記載 ア 刊行物1 取消理由通知において引用した刊行物1(独国特許出願公開第10112764号明細書)には、図面とともに以下の事項が記載されている。なお、ウムラウトについてはae、oe、ueで、エスツェットについてはssで代替表示した。また、異議申立人が提出した翻訳文の記載を参考に当審が作成した仮訳を付記した。 A.「[0001] Die Erfindung betrifft ein Radialverdichter insbesondere eines Turboladers nach dem Oberbegriff des unabhaengigen Anspruchs 1.」 (仮訳:[0001]本発明は、独立請求項1の前提部分に基づく、特にターボチャージャの遠心圧縮機に関する。) B.「[0012] Eine Ausgestaltung des Verfahrens sieht vor, bei Verwendung eines thermoplastischen Kunststoffes fuer das Verdichtergehause im Kernausschmelzverfahren die Herstellung der akustisch wirksamen Oeffnungen durchzufuehren. Dabei besteht die Giessform aus einer niedrigschmelzenden Metalllegierung, welche nach dem Spritzgiessen des thermoplastischen Kunststoffs ausgeschmolzen wird.」 (仮訳:[0012]本方法の実施形態では、コンプレッサハウジングに熱可塑性プラスチックを用いて、音響的効果のある開口部の製造をロストコア方式で実施するようになっている。このとき、鋳型は低温で溶解する金属合金から成り、これは熱可塑性プラスチックを射出成形した後に溶融する。) C.「[0017] Bei der in Fig. 1 dargestellten Ausfuehrungsform ist ein Gehaeuse 10 vorgesehen. Der Radialverdichter ist Bestandteil eines hier nicht weiter dargestellten Abgasturboladers. Die Achse 11 steht senkrecht zur Zeichenebene. Das Gehaeuse 10 weist einen zur Achse 11 koaxialen Ansaugstutzen 12, sowie einen Druckstutzen 13 auf. Durch welchen die mit dem Radialverdichter komprimierte Luft radial ausstroemt. Das Laufrad 14 des Radialverdichters ist nur schematisch angedeutet. Im Stroemungsweg der komprimierten Luft sind am Umfang verteilt akustisch wirksame Oeffnungen 15 vorgesehen. Die Verteilung der Oeffnungen erfolgt dabei so, dass eine Optimierung der Daempfung erzielt wird.」 (仮訳:[0017]図1に示されている実施形態では、ハウジング10が設けられている。この遠心圧縮機は、ここでは特に図示されていないエグゾーストターボチャージャの構成部品である。軸11は、図の平面に対して垂直に立っている。ハウジング10は、軸11に対して同軸のインテークエアダクト12と、ブーストエアダクト13とを有している。このブーストエアダクトを通って、遠心圧縮機で圧縮された空気が半径方向に流れ出る。遠心圧縮機のインペラ14は概略的にのみ示されている。圧縮空気の流路内には、音響的効果のある開口部15が周囲に分配された形で設けられている。開口部の分配は、この場合、減衰の最適化が達成されるように行われる。) D.[0018] Fig. 2 zeigt in einer Detaildarstellung einen Schnitt laengs der Schnittebene AA von Fig. 1. Die zu komprimierende Luft tritt ueber den Ansaugstutzen 12 ein, wird mit dem Laufrad 14 verdichtet und stroemt entlang der Kammer 16 zu dem hier nicht dargestellten Druckstutzen. In der Kammer 16 sind die akustisch wirksamen Oeffnungen 15, 17, 18 gezeigt. Wie in der Zeichnung zu erkennen, haben die Oeffnungen unterschiedliche Tiefen, zweckmaessigerweise sind die Oeffnungen λ/4 Stoerbohrungen, dass heisst die Tiefe der Bohrung ist auf die zu loeschende Schallfrequenz abgestimmt. Es besteht auch die Moeglichkeit, die Bohrungen als Kammern auszugestalten und mit einem Lochblech gegenuber der Kammer 16 zu verbinden.」 (仮訳:[0018]図2は、図1の切断面AAの詳細な断面図である。圧縮する空気はインテークエアダクト12を介して流入し、インペラ14で圧縮され、チャンバ16に沿ってブーストエアダクト(ここでは図示されていない)へ流れる。チャンバ16の中には、音響的効果のある開口部15、17、18が示されている。図で分かるように、これらの開口部それぞれ異なる深さを有しており、有利にはこれらの開口部がλ/4の干渉穴である。すなわち、穴の深さは音が消失すべき周波数に合わせて調整されている。また、これらの穴をチャンバとして形成し、多孔版によってチャンバ16に向かって接続することも可能である。) E.「7. Verfahren nach Anspruch 6, dadurch gekennzeichnet, dass das Verdichtergehause (10) aus thermoplastischem Kunststoff besteht und die Giessform eine niedrigschmelzende Metalllegierung ist, welche im Kernausschmelzverfahren nach dem Herstellen des Verdichtergehauses ausgeschmolzen wird.」 (仮訳:7.前記遠心圧縮機ハウジング(10)が熱可塑性プラスチックから成り、前記鋳型は低温で溶融する金属合金であり、該金属合金はロストコア方式において前記遠心圧縮機ハウジングを製造した後に溶融することを特徴とする、請求項6に記載の方法。) また、0017段落、0018段落、図1及び図2を踏まえると、遠心圧縮機のハウジング10は、インテークエアダクト12、チャンバ16およびブーストエアダクト13を備えるものであると認められる。 さらに、0012段落及び請求項7を踏まえると、ハウジング10は、熱可塑性プラスチックを射出成形した後に鋳型を溶融させて製造するロストコア方式で作製されており、ロストコア方式射出成形品であると認められる。 以上を踏まえると、刊行物1には、以下の発明(以下、「引用発明1-1」と言う。)が記載されていると認められる。 「インテークエアダクト12、チャンバ16およびブーストエアダクト13を備える遠心圧縮機のハウジング10であって、前記ハウジング10が熱可塑性プラスチックで作製されており、前記ハウジング10はロストコア方式射出成形品である、ターボチャージャの遠心圧縮機のハウジング10。」 また、刊行物1には、以下の発明(以下、「引用発明1-9」と言う。)も記載されていると認められる。 「ターボチャージャの遠心圧縮機のためのハウジング10を製造する方法であって、前記ハウジング10がインテークエアダクト12、チャンバ16およびブーストエアダクト13を有し、前記方法はロストコア方式で行われるものであり、ハウジング10が熱可塑性プラスチックを射出成形することにより形成される、ハウジング10を製造する方法。」 イ 刊行物2 取消理由通知において引用した刊行物2(小屋松博志、他2名、「型内組立による射出成形品の高付加価値化」、成形加工、社団法人プラスチック成形加工学会、2001年5月20日、第13巻、第5号、第298~305頁)には、図面とともに以下の事項が記載されている。 F.「2.従来の中空成形法 一般に射出成形法でアンダーカットを持つ中空成形品をつくることは,製品を離型しなければならないので,容易なことではない. 各種の中空成形品の成形法を表1に示す.プラスチック中空成形品を成形する代表的な方法には,射出成形品の内部にガスを送り込むガスアシスト成形法と,円筒形上の溶融樹脂(パリソン)を上方から供給し,内部にガスを吹き込んで周囲の金型に密着させるブロー成形法がある. どちらの方法も圧縮ガスを中空品内部に吹き付け,ガス圧力で樹脂を金型壁面に押し付ける.ところが樹脂は,金型形状によって局所的な伸び率に差がある.そのため,意図する肉厚に成形することには限界があり,コーナー部で肉厚のばらつきが生じやすく,成形の安定性や製品強度の維持に問題がある. これらの問題を解消した成形法として,ロストコアがある.この方法は,まず低融点の金属や,可溶性の材料で中子を成形し,これを金型内に置いて射出成形する.コア部分は後から加熱または溶かして除去することにより,中空成形品を得る.ただし,この方法は成型工程のほかに,中子をセットする前工程と,中子を除去する後工程が必要で,大量生産向きとは言えない.または中子を除去しなければならないので,密閉された中空品をつくることはできない. これら以外の方法としては,中空品を複数の構成部品に分解して成形し,後工程で組み立てる方法がある.構成部品をボルトや接着剤を使って接合する締結法や接着法,溶着によって接合する振動溶着法や熱板溶着法などが該当する.いずれも後工程の省略化が困難,その他にも接合形状がおおよそ平面でないと溶着できない,温度制御が難しい,サイクルタイムが長い,消費電力が多い,工程数が多い,設備面積が大きくなるなどの問題を抱えている. DSI,DRIはこれら従来の中空成形法の欠点を解決するとともに,不可能とされてきた中空成形品の内部にリブやボスを設けることも可能にした.肉厚の調整も自由である.また,後で説明するように金型をスライド,または回転させる機構を追加するだけで,通常の射出成形機がそのまま使える.DSIにするかDRIにするかの選択は,その製品の機能,形状,生産量によって決定する.」(第298~299頁「2.従来の中空成形法」) G.「3.1 DSIプロセス DSIの最大の特徴は,一次成形後に金型をスライドすることにある.この特許は,1985年に最初の出願を経て1990年に成立している.当社はその他に関連特許を多数出願している. DSIプロセスを図1に示す.まず一次射出で一次成形品(中空品の半割り体)を成形し(b),一次成形品をキャビティに残したまま金型を開く(c).金型は,射出成形機に設けたダイスライド機構で移動できる構造になっている.この機構で金型を,一次成形品同士が向き合う位置に移動する(d).再度型を閉じ(e),一次成形品を付き合わせた合わせ目の部分をくるむように,ハチ巻き状に樹脂を二次射出し,一体化する.離型しない一次成形品は,温度が室温まで下がりきることなく二次成形によって接合・一体化される.」(第299頁「3.1 DSIプロセス」) H.「3.2 射出融着メカニズムと接合形状 (中略) 接合形状は,射出条件と同様,融着強度を向上させるために重要である.当社は,DSI製品に適正な融着強度を付与するために,いろいろな接合形状の開発を行ってきた.一般に接合形状は,成形品の用途および外観等の観点から決定される.図4に接合形状の例を示す. (a)最も採用実績がある標準的な接合形状である.1次成形品外面の突き合わせ部は,L次を上下に対向させる形状となっており,これを内倒れ防止と呼んでいる.2次成形時の樹脂は,その圧力によって接合部を拘束するものがない内面側に押し広げようとし,成形品内部に漏出することがある.内倒れ防止は,成形品肉厚方向の変形を拘束し,樹脂漏れを防いでいる. (b)接合部を中空対成形品の角に配置するときに用いられる接合形状である.(a)と同様,内倒れ防止を有する. (c)(b)と同様の目的で採用される接合形状であるが,内倒れ防止を伴わない.そのため成形品形状は,制約を受ける. (d)(c)と同様の目的で採用される接合形状であるが,成形品形状のみならず,用いる樹脂も制約を受ける. (e)後に述べるDSIボールで採用した接合形状である.(d)と同様,内倒れ防止を有さず,成形品形状と樹脂は,制約を受ける. (f)DSIとインサート成形を組み合わせるときに採用される接合形状である.この接合形状は,3つの1次成形品を2次樹脂で1つに融着でき,1つの中空体製品内をインサートによって2つの空間に分割することを可能にしている.」(第299~300頁「3.2 射出融着メカニズムと接合形状」) I.「3.3 DSIの特長 (中略) さらにDSIは,ガスアシスト成形や消失中子を用いる方法に比べて中空品内部の表面仕上がりが良好なものも特徴である.一次成形品を離型しないまま融着するので,反り変形による合わせ不良を考える必要もない.二次成形時融着が表面のみなので残留ひずみが小さいことも利点として挙げられる.接着剤を使わないため,作業環境も改善できるほか,炊飯器や調理器具など食品関連への用途展開も適している.」(第300頁「3.3 DSIの特長」) J.「3.4 DSIの成形例 DSIの製品化は91年から本格的に始まり,現在までにユーザーは約75社,230例程度の実績がある.最初はレジャー用部品から始まり,工業用部品,家電部品,自動車部品へと用途展開が進んでいる.樹脂製品への用途展開に限らず,鋳造品から樹脂製品への素材転換を促しており,95年頃からエンジン吸気系部品で実用化され始めた.現在も生産性向上とコスト低減を武器に,その用途拡大を加速しつつある.まずDSI成形の例として,DSIボール,インテークマニホールドについて解説する. DSIボール DSIボール(図5)は,99年に開催された国際プラスチックフェア(IPF'99)でのデモンストレーションのために開発した.一台の射出成形機と一つの金型だけで形成している.図5の右に示す1/4断面形状のように,この成形品は円形パイプと立方体部分から成り,すべての部分が中空である.また二次成形で樹脂が注入される空間は,図5に示すように成形品内表面,外表面ともに露出しないよう一次成形品によって囲まれた形状になっている.この空間には細い注入口から樹脂を注入する. 基本的なDSIは,図1で見たように,二つの一次成形品をダイスライドによって突き合わせ,二次成形によって融着して中空品を得る.この方法だと,比較的単純な形状の中空製品しか得られない.これに対しDSIボールの金型は,五つの一次成形品をダイスライドによって突き合わせ,中空パイプが3次元的に錯綜する密閉中空体製品の成形を可能にした. (中略) インテークマニホールド インテークマニホールドは自動車部品で,吸入空気をエンジンのシリンダ内に供給する分配管をいう.DSIは,エンジン吸気系部品への展開が活発であり,これまで振動溶着で製造するケースが多かったレゾネータチャンバ-やエアダクトなどに多く応用されている.さらに最近ではコスト削減や車体軽量化の要求から,インテークマニホールドが従来のアルミ鋳造品から樹脂製に変わりつつある. 樹脂製インテークマニホールドは,当初消失コア法など後工程が必要な方法で成形されていたが,複雑な形状でも後工程なしに成形でき,吸入空気の抵抗を減らせる高い内面精度が評価され,DSIが使われるようになってきた.図7に99年秋の第33回東京モータショーに東京濾器(本社横浜)が展示したDSIによるインテークマニホールドを示す.このインテークマニホールドは,三菱自動車工業のワゴン車「RVR」に採用されたもので,新聞報道によれば従来のアルミ合金鋳造品に比べて質量を35%低減,部品コストも30%低減したという.」(第300~301頁「3.4 DSIの成形例」) K.「4.1 DRIプロセス DSIが,一次成形後に片方の金型がスライドして,二つの一次成形品(半割り体)に突き合わせるのに対し,DRIは,一方の金型が120°の正転と反転を繰り返すことによって二次成形するところが異なる.DRIプロセスを図8に,DRI金型の例を図9に示す. 円形の金型内には3箇所の成形エリアがあり,型締め後,二つの半割り体の一次成形と,半割り体接合部の二次成形を同時に行う(a).型開き時には,二次成形の終わった中空製品を取り出す.この時,二つの半割り体はキャビティ内に残る.次に金型を120°回転させ,二つの半割り体同士を突き合わせる(b).半割り体の接合面の隙間に樹脂を射出して融着すると同時に,二つの半割体を同一金型内で一次成形する(c). このようにDRIは,1回の型開閉動作ごとに一つの成形体が得られるので,成形サイクルは一般的な射出成形と同等にできる.」(第301頁「4.1 DRIプロセス」) L.「4.2 DRIの成形例 次に,DRIの成形品の例として,吸気パイプ,インテークマニホールドについて解説する. 吸気パイプ 吸気パイプはインテークマニホールドの一部品であり,ジー・ピー・ダイキョーが成形したDRIの最初の試作品である(図10).図において左が従来のアルミ合金の鋳造品であり,右がDRI品である.インテークマニホールドの最大の機能は,エンジンの燃焼室内に空気を送ることであり,空気を正常に送れないとエンジン性能を損なうばかりでなく,ガソリンを含んだ混合気が漏れ出し,重大な不具合に発展する可能性がある. そのため接合部の肉厚は,他の部分の肉厚が2mm程度なのに対し,4mmとした.外観上は接合面が目立たないように,内面も空気の流れを妨げる段差や凹凸を避けた.パイプ部分とフランジ部分の境界を接合部にすることで,金型製作の難易度や成形性,外観仕上がりなども考慮した. 材質PA(ポリアミド)6で,耐熱,耐振,耐久試験において,漏れ,強度とも要求仕様を十分に満足しており,アルミ合金の鋳造品に比べて半分以下に軽量化することができた.パイプ内表面は,アルミニウム鋳造品に比べて滑らかであり,吸気抵抗を減らすことができた. 3気筒インテークマニホールド ダイハツ工業とジー・ピー・ダイキョーが開発,98年10月に発売された軽乗用車のエンジンに採用されたものである.材質はガラス繊維強化PA6製である.開発した3気筒インテークマニホールド(図11)は,熊手のような形をしており,金型が円形であるDRIで成形するのに適していた. (後略)」(第301~302頁「4.2 DRIの成形例」) ウ 刊行物3 取消理由通知において引用した刊行物3(特表2008-527129号公報)には、図面とともに以下の事項が記載されている。 M.「【0001】 本発明は、熱可塑性ポリアミド組成物および熱安定化系を含む熱的安定化熱可塑性成形組成物に関する。本発明は特に、フェノール系熱的安定剤、有機ホスファイト、芳香族アミン、周期表のIB族、IIB族、III族およびIV族からの元素からなる群から選択される金属の金属塩、ならびにアルカリおよびアルカリ土類金属ハロゲン化物、そしてこれらの組み合わせからなる群から選択される熱的安定剤を含む熱的安定化熱可塑性ポリアミド成形組成物と、高温用途で使用するためにこれらの組成物から製造された成形熱可塑性物品とに関する。 【0002】 成形物品の高温使用用途は、本明細書では、成形物品がその通常の耐用寿命中に少なくとも140℃の温度に頻繁に到達するおよび/またはより長い期間到達する熱源と接触している用途であると理解される。熱源は発熱デバイスまたは被加熱デバイスでもよいし、あるいは少なくとも140℃の温度の条件に成形物品がさらされる周囲環境でもよい。このような高温使用用途は、電気、電子および自動車産業で使用される物品の場合には定常的に経験される。被加熱デバイスまたは発熱デバイスの例は、エンジンまたはその要素、および半導体などの電子デバイスである。自動車セグメントでは、高温使用用途はいわゆるフード下(under-the-hood)またはボンネット下(under-the-bonnet)の用途で定常的に見られ、本明細書では自動車部品とも称される。従って本発明は、特に、電気、電子および自動車産業で使用するための成形物品に関する。 【0003】 電気、電子および自動車産業のための成形物品、ならびにこれらの用途のために使用される熱可塑性材料に基づく成形組成物は、通常、成形された組成物のために良好な寸法安定性、高い熱変形温度(HDT)、ならびに高引張強さおよび高引張弾性率を含む良好な機械特性を含む複雑な特性プロファイルに従わなければならない。上記のように、自動車のフード下用途およびいくつかの電気または電子用途において役立つ成形物品は、長期間にわたって比較的高温にさらされ得る。そのため、これらの用途で使用される成形組成物は、高温で長期間にわたって良好な熱安定性を有することが必要とされる。非安定化熱可塑性成形組成物は、通常、ポリマーの熱分解のために機械特性の低下を示す傾向がある。この作用は熱老化と呼ばれる。この作用は望ましくない程度まで生じ得る。熱可塑性ポリマーとしてポリアミドを用いる場合は特に、高温にさらすことによる劣化作用が非常に著しいことがある。通常、示された用途に使用される材料は、熱的安定剤とも呼ばれる熱安定剤を含有する。熱安定剤の機能は、成形物品が高温にさらされたときに組成物の特性をより良く保持することである。熱安定剤を使用する場合、材料の種類、使用条件、ならびに熱安定剤または熱的安定剤の種類および量に応じて、成形された材料の耐用寿命は著しく延長され得る。例えばポリアミドにおいて典型的に使用される熱安定剤の例は、フェノール系酸化防止剤、有機ホスファイトおよび芳香族アミンのような有機安定剤、ならびに周期表のIB族、IIB族、III族およびIV族の金属塩である。フェノール系酸化防止剤および芳香族アミンは、通常、約130℃までの高温における安定化のために使用される。よく使用される金属塩は銅塩である。銅含有安定剤は、より高い温度における安定化のために適切であり、長年にわたって利用されている。」 N.「【0025】 本発明に従う成形組成物中の第1のポリアミド(PA-1)として使用することができるポリアミドは、少なくとも200℃の融点Tm-1を有する半結晶性ポリアミドまたはガラス転移点Tg-1を有するアモルファスポリアミドでよく、T-1は少なくとも200℃である。Tm-1およびTg-1はさらに、本明細書では、合わせてT-1で示される。適切なポリアミドとしては、PA4,6およびPA6,6のような脂肪族ポリアミド、ならびに半芳香族ポリアミド、そしてこれらの混合物があげられる。」 O.「【0030】 第2のポリアミド(PA-2)として使用することができる適切な脂肪族ポリアミドは、例えば、PA-6およびPA-6,6、ならびにPA-6およびPA-6,6のコポリマーや、PA-6およびPA-6,6と、例えばPA-4,6、PA-4,8、PA-4,10、PA-4,12、PA-6,6、PA-6,9、PA-6,10、PA-6,12、PA-10,10、PA-12,12とのコポリマー、PA-6/6,6-コポリアミド、PA-6/12-コポリアミド、PA-6/11-コポリアミド、PA-6,6/11-コポリアミド、PA-6,6/12-コポリアミド、PA-6/6、10-コポリアミド、PA-6,6/6,10-コポリアミド、PA-4,6/6-コポリアミド、PA-6/6,6/6、10-ターポリアミド、そして1,4-シクロヘキサンジカルボン酸ならびに2,2,4-および2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミンから得られるコポリアミドのような脂肪族ポリアミドであるが、コポリアミドは、最大でも7のC/N比を有し、T-2が第1のポリアミドのT-1よりも少なくとも20℃低いという必要条件を満たすことを条件とする。」 P.「【0039】 本発明の成形組成物のための強化剤として、ポリアミドのために任意で表面処理された市販のガラス繊維、鉱物繊維および炭素繊維を使用することができる。強化剤は、広い範囲にわたって変化する量、例えば熱可塑性ポリアミド組成物の全質量に対して5~300質量%の量で使用することができる。適切には、強化剤は、熱可塑性ポリアミド組成物の全質量に対して10~200質量%、好ましくは25~100質量%の量で存在する。」 Q.「【0052】 また本発明は、本発明に従う組成物からなる成形部品にも関する。成形部品は、例えば、自動車部品またはエンジン部品(排気系部品、ベアリング、ギアボックス、エンジンカバー、エアダクト、吸気マニホルド、中間冷却器のエンドキャップ、キャスターまたはトロリー部品など)、もしくは電気または電子部品(コネクタ、ボルトおよびコイルボビンなど)でよい。 【0053】 また本発明は、本発明に従う成形部品の、自動車エンジン、機械、もしくは電気または電子設備を製造するための組立方法における使用にも関する。 【0054】 本発明はさらに、自動車、汎用輸送手段、家庭用電気機具、および一般産業用設備、電気および電子設備を含む、本発明に従う成形部品を含む製品に関する。その利点は、単一のポリアミドおよびヨウ化銅/ヨウ化カリウム安定化系を含む対応する既知の組成物で製造された成形部品を含む製品と比較して、高温にさらされることによる成形部品の劣化に関して前記製品の耐用年数がより長いこと、および/または前記成形部品の交換を遅延できること、および/または製品がより高い温度で動作され得ることである。」 R.「【0055】 本発明は、以下の実施例および比較実験によってさらに説明される。 【0056】 材料 PA-1 PA46:ポリアミド-4,6、タイプKS200、粘度数160ml/g (ISO 307に従って測定)、(オランダのDSMから) PA-2 PA46/6(g質量%PA6コポリマー単位)、タイプKS411 (オランダのDSMから) PA-3 PA46:ポリアミド-4,6、タイプKS300、粘度数205ml/g (ISO 307に従って測定)、(オランダのDSMから) PA-4 PA-6:ポリアミド6、タイプK122、粘度数115ml/g (ISO 307に従って測定)(オランダのDSMから) PA-5 PA-11:リルサン(Rilsan)BM140 (フランスのアトケム(Atochem)から) PA-6 PA6/66(85/15)、Tm198℃、ウルトラミッド (Ultramid)C35(BASFから) Cu-stab 銅安定剤:CuI/KI(10質量%のCuI) FeOX 酸化鉄Fe2O3(シコトランス・レッド(Sicotrans Red)、 K2915、D50=400nm)(BASFから) 【0057】 成形コンパウンド 実施例Iおよび比較実験A~F(ガラス繊維強化成形組成物、シリーズI、表1)、ならびに実施例II~IIIおよび比較実験G~L(非強化成形組成物、シリーズII、表2)の組成物は、ZSK25二軸スクリュー押出機(ワーナー&フライデラー(Werner&Fleiderer)から)を用いて調製した。押出機のシリンダー温度は300℃であり、スクリューの回転速度は275RPM、そしてスループットは20kg/時であった。スロート部においてホッパーを介して、強化剤を除く全ての成分を添加した。強化剤は、サイド投与により溶融物に添加した。配合材料をストランドの形態で押出して、水浴中で冷却し、そして顆粒状に切断した。得られた顆粒を真空下105℃で16時間乾燥させた。 【0058】 乾燥させた顆粒は、スクリュー直径22mmの射出成形機タイプ75(エンゲル(Engel)から)において、ISO 527タイプ1Aに従って厚さ4mmを有するテストバーの形態で射出成形した。射出成形機内の溶融物の温度は315℃であり、モールドの温度は120℃であった。 【0059】 老化試験 シリーズI(Ex.IおよびCE A~F)では230℃、そしてシリーズII(Ex.II~IIIおよびCE G~L)では240℃において、フォトシュ(Votsh)オーブン(タイプNT4 60/60)またはグレンコ(GRENCO)オーブン(タイプ:GTTS12500S)内でテストバーを熱老化させた。特定の熱老化時間の後、テストバーをオーブンから取り出し、室温まで冷却させておき、視覚的な検査を行い、そして23℃においてISO 527に従う引張試験により機械特性に関して試験した。 【0060】 組成および熱老化後の典型的な試験結果は、表1および2にまとめた。シリーズIの材料の熱老化前の弾性率および引張強さの値はそれぞれ、全ておよそ8000~8500MPaおよび140~180MPaであった。 【0061】 【表1】 」 エ 刊行物4 取消理由通知において引用した刊行物4「(特表2006-528260号公報)には、図面とともに以下の事項が記載されている。 S.「【0002】 熱可塑性材料に基づき、繊維強化剤を含む成形組成物には、通常、例えば、良好な寸法安定性、高い熱変形温度(HDT)および高引張強度や引張モジュラスなどの良好な機械的特性を備えた成形された組成物を含む複雑な特性プロフィールという特徴がある。熱安定剤の機能は、成形材料を高温にさらした際に組成物の特性を良好に保持することである。自動車アンダーフード用途やいくつかの電気または電子用途において機能する対象物の場合等、成形組成物を長時間にわたって比較的高温にさらすと、組成物は、通常、ポリマーの熱劣化のために機械的特性が減少する傾向がある。この影響は熱老化と呼ばれている。繊維強化ポリマーにおいては、これらの材料が用いられる温度は高いことが多いため、この影響はよりいっそう重要である。影響は望ましくない範囲まで生じ得る。特に、ガラス繊維強化ポリアミドの場合には、高温にさらすことにより劣化の影響が非常に著しい。熱可塑性成形組成物の多くの用途において、160℃、さらには180℃~200℃以上と高い温度に長期間にわたってさらされた後に機械的特性を保持するのは基本的な要件となっている。熱老化特性の改善された組成物を必要とする特別な用途の数も増えている。熱安定剤を用いると、材料の種類、使用条件ならびに熱安定剤の種類および量に応じて、成形材料の耐用年数が大幅に延長できる。例えば、ポリアミドに一般的に用いられる熱安定剤としては、フェノール酸化防止剤および芳香族アミンのような有機安定剤、およびヨウ化カリウムや臭化カリウムと組み合わせた銅塩の形態か、または元素銅の形態のいずれかの銅が例示される。フェノール酸化防止剤および芳香族アミンは、約130℃までの高温での安定化に通常用いられる。安定剤を含有する銅は、高温での安定化に好適であり、長年にわたって利用されている。」 T.「【0018】 本発明による方法および組成物に用いることのできる好適な非晶質ポリマーは、例えば、ポリイミド(PI)ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリスルホン(PSU)、ポリアクリレート(PAR)および非晶質ポリアミドである。 【0019】 好適な半結晶質ポリマーは、例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、半結晶質ポリアミド、ポリフェニルスルフィド(PPS)ならびに、ポリシクロヘキシルジメチルテレフタレート(PCT)、ポリエチレンエーテルテレフタレート(PET)およびポリブチレンテレフタレート(PBT)などのポリエステルである。 【0020】 熱可塑性ポリマーはまた異なる熱可塑性ポリマーのブレンドを含んでいてもよい。 【0021】 好ましくは、熱可塑性ポリマーはポリエステルまたはポリアミド(PA)であり、より好ましくはポリアミドである。熱可塑性ポリマーがポリアミドである本発明による利点は、繊維強化ポリアミドが、高温にさらされる悪影響を非常に受けた場合、本発明による元素鉄と組み合わせるとこの影響が大きく低減されるということである。 【0022】 本発明による方法および該方法により得られる組成物中に用いることのできる好適なポリアミドは、例えば、脂肪族ポリアミド、半芳香族ポリアミドおよびこれらの混合物である。 【0023】 好適な脂肪族ポリアミドは、例えば、PA-6、PA-11、PA-12、PA-4,6、PA-4,8、PA-4,10、PA-4,12、PA-6,6、PA-6,9、PA-6,10、PA-6,12、PA-10,10、PA-12,12、PA-6/6,6-コポリアミド、PA-6/12-コポリアミド、PA-6/11-コポリアミド、PA-6,6/11-コポリアミド、PA-6,6/12-コポリアミド、PA-6/6,10-コポリアミド、PA-6,6/6,10-コポリアミド、PA-4,6/6-コポリアミド、PA-6/6,6/6,10-ターポリアミドおよび1,4-シクロヘキサンジカルボン酸と2,2,4-および2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミンから得られるコポリアミド、ならびに上述したポリアミドのコポリアミドである。 【0024】 好適な半芳香族ポリアミドは、例えば、PA-6,I、PA-6,I/6,6-コポリアミド、PA-6,T、PA-6、T/6-コポリアミド、PA-6、T/6,6-コポリアミド、PA-6,I/6,T-コポリアミド、PA-6,6/6、T/6、I-コポリアミド、PA-6、T/2-MPMD、T-コポリアミド(2-MPMD=2-メチルペンタメチレンジアミン)、PA-9,T、PA-9T/2-MOMD、T(2-MOMD=2-メチル-1,8-オクタメチレンジアミン)、テレフタル酸、2,2,4-および2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミンから得られるコポリアミド、イソフタル酸、ラウリンラクタムおよび3,5-ジメチル-4,4-ジアミノ-ジシクロヘキシルメタンから得られるコポリアミド、イソフタル酸、アゼライン酸および/またはセバシン酸および4,4-ジアミノジシクロヘキシルメタンから得られるコポリアミド、カプロラクタム、イソフタル酸および/またはテレフタル酸および4,4-ジアミノジシクロヘキ シルメタンから得られるコポリアミド、カプロラクタム、イソフタル酸および/またはテレフタル酸およびイソホロンジアミンから得られるコポリアミド、イソフタル酸および/またはテレフタル酸および/または他の芳香族または脂肪族ジカルボン酸、任意でアルキル置換ヘキサメチレンジアミンおよびアルキル置換4,4-ジアミノジシクロヘキシルアミンから得られるコポリアミド、ならびに上述したポリアミドのコポリアミドである。 【0025】 好ましくは、ポリアミドは、PA-6、PA-6,6、PA-6,10、PA-4,6、PA-11、PA-12、PA-12,12、PA-6,I、PA-6,T、PA-6,I/6、T-コポリアミド、PA-6、T/6,6-コポリアミド、PA-6、T/6-コポリアミド、PA-6/6,6-コポリアミド、PA-6,6/6,T/6、I-コポリアミド、PA-6、T/2-MPMD、T-コポリアミド、PA-9,T、PA-9T/2-MOMD、T-コポリアミド、PA-4,6/6-コポリアミドおよび上述したポリアミドの混合物およびコポリアミドからなる群より選択される。より好ましくは、PA-6,I、PA-6,T、PA-6,I/6、T-コポリアミド、PA-6,6、PA-6,6/6T、PA-6,6/6、T/6,I-コポリアミド、PA-6,T/2-MPMD、T-コポリアミド、PA-9,T、PA-9T/2-MOMD、T-コポリアミドまたはPA-4,6、あるいはこれらの混合物またはコポリアミドからなる群よりポリアミドとして選択される。 【0026】 ポリアミドは、任意で、変性末端基、例えば、モノカルボン酸で変性されたアミン末端基および/または単官能性アミンで変性されたカルボン酸末端基を含有していてもよい。ポリアミド中に変性末端基を適用すると、溶融混合による製造中、または該組成物の成形方法中、組成物の溶融安定性が改善され有利である。 【0027】 本発明による方法の好ましい実施形態において、熱可塑性ポリマーは、少なくとも260℃の融点を有する半結晶質ポリアミドと、260℃未満の溶融温度を有する第2のポリアミドのブレンドである。あるいは、第2のポリアミドが非晶質ポリアミドの場合には、ガラス転移温度は260℃未満である。 【0028】 本発明による方法に用いることができ、かつ該方法により得られる組成の繊維強化剤は、高温用途に用いる繊維強化熱可塑性組成物に用いるのに好適な任意の種類の非金属繊維強化剤としてよい。繊維強化剤は、本明細書においては、幅および厚さ、そして平均長さが幅と厚さの両方よりも大幅に長い長さを有する材料と考えられる。通常、かかる材料の、長さ(L)と幅と厚さの最大(D)の平均比として定義されるアスペクト比L/Dは少なくとも5である。繊維強化剤のアスペクト比は好ましくは少なくとも10、より好ましくは少なくとも20、さらにより好ましくは少なくとも50である。 【0029】 本発明による方法に用いることができ、かつ該方法により得られる組成の好適な非金属繊維強化剤は、例えば、ガラス繊維、カーボンまたはグラファイトファイバー、アラミドファイバー、セラミックファイバー、珪灰石などの鉱物繊維およびウィスカである。ガラス繊維を選択するのが好ましい。銅、鉄およびアルミニウム繊維などの金属繊維は、組成物について想定される適用分野を鑑みると、本発明による方法および組成物には好ましくない。 【0030】 本発明による方法に用いる繊維強化剤の量は広い範囲にわたって変えることができる。通常、その量は熱可塑性ポリマー100重量部(pbw)を基準として5~300pwbである。その量は熱可塑性ポリマー100pbwを基準として好ましくは10~235pbw、より好ましくは15~150pbwである。」 U.「【0066】 特に、成形品は、例えば、マイカー、モータバイク、トラックおよびバンなどの自動車、列車、飛行機および船をはじめとする一般輸送手段、芝刈り機および小エンジンなどの屋内電気器具、およびポンプ、コンプレッサ、コンベヤベルトなどの一般工業施設に適用することのできる機械およびエンジンに用いる成形品、または家庭用電気機器およびポータブル電気装置のような電気電子施設に用いる成形品である。 【0067】 部品は、例えば、ベアリング、ギヤボックス、エンジンカバー、エアダクト、吸気マニホルド、インタークーラーエンドキャップ、キャスタまたはトロリ部品としてもよい。 【0068】 本発明はまた、本発明による成形品の、エンジン、機械、電子電気器具における使用、更に、本発明による成形品を含むエンジン、機械および組み立て物品にも関する。 【0069】 本発明は更に、自動車、一般輸送手段、屋内電気器具および一般工業施設、電気電子施設をはじめとする、本発明による成形品を含む製品に関する。利点は、高温にさらすことによる成形品の劣化のために該成形品を交換する必要性に関して、該製品の耐用年数が長くなり、かつ/またはヨウ化銅/ヨウ化カリウム安定系を含む公知の組成物で作製された成形品を含む対応の製品に比べて、製品を高温で操作できるということである。」 V.「【0070】 以下の実施例および比較実験により本発明を更に説明する。 【0071】 材料 PA-6-1番 ポリアミド6、種類K122、粘度数115ml/g(ISO307に従って測定)(例えば、オランダのDSM(DSM, The Netherlands)製) PA-6-2番 ポリアミド6、種類K123、粘度数129ml/g(ISO307に従って測定)(例えば、オランダのDSM(DSM, The Netherlands)製) PA-6,6 ポリアミド-6,6、種類S222、粘度数115ml/g(ISO307に従って測定)(例えば、オランダのDSM(DSM, The Netherlands)製) PA-4,6 ポリアミド-4,6、種類K200、粘度数160ml/g(ISO307に従って測定)(例えば、オランダのDSM(DSM, The Netherlands)製) PA-6,6/6,T ポリアミド-6,6/6,T、種類FE5011(例えば、スイスのEMS(EMS, Switzerland)) 相容剤-I 無水マレイン酸変性ポリエチレン(例えば、オランダのDSM(DSM, TheNetherlands)製) 強化剤 ガラス繊維:ポリアミド用標準型 元素鉄マスターバッチ PE中、平均粒度が30μmの20質量%の鉄粒子を含有するマスターバッチ 安定助剤A ヨウ化物安定剤201(ステアリン酸中ヨウ化銅/ヨウ化カリウム(80/10/10))(例えば、スイスのチバ(Ciba,Switzerland)製) 安定助剤B ヨウ化銅(Cul)(例えば、DSMミネラBV(DSM Minera BV)...) 安定助剤C ヨウ化カリウム(Kl)(例えば、DSMミネラBV(DSM Minera BV)) 処理助剤 アクラワックス(Acrawax)C(潤滑剤)(例えば、イタリアのロンツァ(Lonza,Italy)) Amodel AS1133HS 半芳香族ポリアミド組成物、PA-6,6/6,T/6,I、ガラス含量33質量%、黒色、例えば、ソルベイ(Solvay)製 Amodel AS1145HS 半芳香族ポリアミド組成物、PA-6,6/6,T/6,I、ガラス含量45質量%、黒色、例えば、ソルベイ(Solvay)製 Amodel AS4145HS 半芳香族ポリアミド組成物、PA-6,6/6,T、ガラス含量45質量%、天然色、例えば、ソルベイ(Solvay)製 グリボリー(Grivory)HTV5H1 半芳香族ポリアミド組成物、PA-6,T /6,I、ガラス含量50質量%、天然色、例えば、EMS製 ザイテル(Zytel)HTN51G35HSL 半芳香族ポリアミド組成物、PA-6,T/2-MPMD,T、ガラス含量35質量%、天然色、例えば、デュポン(Du Pont)製 ザイテル(Zytel)HTN52G35HSL 半芳香族ポリアミド組成物、PA-6,6/6,T、ガラス含量35質量%、天然色、例えば、デュポン(Du Pont)製 【実施例】 【0072】 実施例1および比較実験A ZSK25二軸押出し機(例えば、ヴェルナ&フライデラー(Werner&Fleiderer)製)を用いて、実施例1および比較実験Aの組成物を製造した。押出し機のシリンダ温度は260℃、スクリューの回転速度は275RPMおよび処理量20kg/時であった。強化剤以外は、全成分をホッパーを介してスロートで添加した。強化剤をサイド投与により溶融物に添加した。コンパウンドされた材料を、ストランドの形態で押出し、水浴中で冷却して、切断して顆粒とした。得られた顆粒を真空下で105℃で16時間乾燥した。 【0073】 乾燥した顆粒を、厚さ4mm、ISO527型1Aに沿った試験バーの形態の直径22 mmのスクリューを備えた射出成形機型75(例えば、エンジェル(Engel)製)で 射出成形した。射出成形機の溶融物の温度は280℃、金型の温度は80℃であった。 【0074】 試験バーをグレンコ(GRENCO)オーブン(型:GTTS12500S)にて215℃で熱老化した。特定の熱老化時間後、試験バーをオーブンから取り出し、室温まで冷やし、ISO527に従って23℃で引張試験により機械的特性を試験した。 【0075】 実施例1および比較実験Aの組成および一般試験結果を表1にまとめてある。 【0076】 【表1】 【0077】 実施例2および比較実験B コンパウンドについて押出し機のシリンダ温度が280℃、射出成形について溶融物の温度が290℃であった以外は、実施例2および比較実験Bの組成物およびそれで作製された試験バーを、実施例1および比較実験Aと同様にして製造した。熱老化を230℃で行った。実施例2および比較実験Bの組成および一般試験結果を表2にまとめてある。 【0078】 【表2】 【0079】 実施例3および比較実験C コンパウンドについて押出し機のシリンダ温度が310℃、射出成形について溶融物の温度が315℃であった以外は、実施例3および比較実験Cの組成物およびそれで作製された試験バーを、実施例1および比較実験Aと同様にして製造した。熱老化を230℃で行った。実施例3および比較実験Cの組成および一般試験結果を表3にまとめてある。 【0080】 【表3】 【0081】 実施例4 コンパウンドについて押出し機のシリンダ温度が300℃、射出成形について溶融物の温度が335℃、金型の温度が140℃であった以外は、実施例4の組成物およびそれで作製された試験バーを、実施例1と同様にして製造した。熱老化を230℃で行った。実施例4の組成および一般試験結果を表4にまとめてある。 【0082】 【表4】 【0083】 比較例D-1 比較実験D-1については、市販の半芳香族ポリアミド組成物を用いた。溶融温度および金型温度を表5に示したようにした以外は実施例4と同様に射出成形によりこれらの組成物から試験バーを作製した。熱老化を実施例4に関して230℃で行った。比較実験D-1の組成および一般試験結果を表5にまとめてある。 【0084】 【表5】 【0085】 表4および5の結果を比較すると、比較例のガラス含量が実施例4のガラス含量より高いという事実にも関らず、本発明による組成物、この場合は実施例4が、比較例D-1による比較組成物よりも老化後にはるかに高い引張強度を保持していることが分かる。」 (4)判断 ア 特許法第36条第6項第2号 (ア)本件発明1,4~8,13について 訂正後の請求項1の記載は、上記3(1)に記載されたとおりである。 請求項1は、ハウジングという物の発明を、その製造方法によって規定することなく記載したものであり、請求項1に記載された発明は、物の発明として明確であるから、本件発明1が明確でないとすることはできない。 本件発明4~8,13についても同様に明確でないとすることはできない。 (イ)本件発明9~11について 訂正後の請求項9の記載は、上記3(1)に記載されたとおりである。 請求項9は、少なくとも3つのキャビティを有する成形用金型により、少なくとも3つの部材を形成する方法が記載されたものであり、物の製造方法として明確であるから、本件発明9が明確でないとすることはできない。 本件発明10~11についても同様に明確でないとすることはできない。 (ウ)小括 訂正後の請求項1,4~11,13に係る発明は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たす。 イ 特許法第29条第2項 (ア)本件発明1 本件発明1と引用発明1-1とを対比すると、引用発明1-1は、本件発明1が有する、ハウジングが「少なくとも、前記吸気管を画定する漏斗形部材、上部ハウジング部材および下部ハウジング部材を含むハウジング本体部を含み、射出成形部材である前記漏斗形部材と、射出成形部材である前記上部ハウジング部材と、射出成形部材である前記下部ハウジング部材とが他の射出成形部材により接合されており、前記漏斗形部材が、大きい端部と小さい端部とを備え、前記大きい端部が、前記上部ハウジング部材及び下部ハウジング部材によって画定される前記圧縮機通風管の内部に位置して前記圧縮機通風管を共同画定しており、前記小さい端部が前記圧縮機通風管の外部に位置している」という発明特定事項を有しておらず、当該発明特定事項は刊行物1~4に記載も示唆も無く、また、当業者であっても引用発明1-1及び刊行物2~4に記載された技術的事項に基づいて容易になし得たものであるとはいえない。 したがって、本件発明1は、引用発明1-1及び刊行物2~4に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (イ)本件発明4~8,11,13 本件発明1を引用する本件発明4~8,11,13についても、前記(ア)と同様であるから、引用発明1-1及び刊行物2~4に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (ウ)本件発明9 本件発明9と引用発明1-9とを対比すると、引用発明1-9は、本件発明9が有する、「b.少なくとも3つのキャビティを有する成形用金型に前記ポリマー融液を射出成型することにより、少なくとも、大きい端部と小さい端部とを備えて前記吸気管を画定する漏斗形部材、上部ハウジング部材および下部ハウジング部材を含む少なくとも3つの部材を形成するステップと、c.前記大きい端部が、前記上部ハウジング部材及び前記下部ハウジング部材によって画定される前記圧縮機通風管の内部に位置して前記圧縮機通風管を共同画定し、前記小さい端部が前記圧縮機通風管の外部に位置するように、前記少なくとも3つの部材を合わせて組み立てることにより前記吸気管、前記圧縮機通風管および前記出口管を画定するハウジング本体部を形成するステップ」という発明特定事項を有しておらず、当該発明特定事項は刊行物1~4に記載も示唆も無く、また、当業者であっても引用発明1-9及び刊行物2~4に記載された技術的事項に基づいて容易になし得たものであるとはいえない。 したがって、本件発明9は、引用発明1-9及び刊行物2~4に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (エ)本件発明10~11 本件発明9を引用する本件発明10~11についても、前記(ウ)と同様であるから、引用発明1-9及び刊行物2~4に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (オ)小括 本件発明1,4~11,13は、刊行物1~4に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。 (5)特許異議申立人の意見について 特許異議申立人は、平成29年1月12日付け意見書において、訂正前の請求項1について、「単一の型内で行われる2段階射出成形工程で作成され」は不明であり、どのような工程を意味するのかまた、どのように実施(製作)するのか明細書及び図面を参照しても不明であると主張している。 しかし、本件発明1は、訂正により2段階射出成形工程が削除され、追加された「前記ハウジングが繊維強化熱可塑性プラスチックポリマー合成物で作製された、少なくとも、前記吸気管を画定する漏斗形部材、上部ハウジング部材および下部ハウジング部材を含むハウジング本体部を含み、射出成形部材である前記漏斗形部材と、射出成形部材である前記上部ハウジングと、射出成形部材である前記下部ハウジングとが他の射出成形部により接合され」との事項は願書に添付した明細書【0017】,【0020】,【0023】,【0038】,図面の図2に記載されたものであり、実施することができないとはいえないから、かかる主張は理由がない。 (6)取消理由通知(決定の予告)において採用しなかった特許異議申立理由について ア 特許法第29条第2項 特許異議申立人一条淳は、訂正前の請求項1~13に係る特許について、甲第1~第4号証を提出し、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから特許を取り消すべきものである旨主張している。 甲第1号証:上記3(2)刊行物1に同じ 甲第2号証:独国特許出願公開第10260042号明細書 甲第3号証:上記3(2)刊行物2に同じ 甲第4号証:橋本富仁,「DSI成形樹脂インテークマニホールド」,高分子,社団法人高分子学会,2001年12月1日,第50巻,第42号,第838~841ページ しかしながら、本件発明1は、ハウジングが「少なくとも、前記吸気管を画定する漏斗形部材、上部ハウジング部材および下部ハウジング部材を含むハウジング本体部を含み、射出成形部材である前記漏斗形部材と、射出成形部材である前記上部ハウジング部材と、射出成形部材である前記下部ハウジング部材とが他の射出成形部材により接合されており、前記漏斗形部材が、大きい端部と小さい端部とを備え、前記大きい端部が、前記上部ハウジング部材及び下部ハウジング部材によって画定される前記圧縮機通風管の内部に位置して前記圧縮機通風管を共同画定しており、前記小さい端部が前記圧縮機通風管の外部に位置している」という発明特定事項を有しており、当該事項は甲第1~第4号証に記載されておらず、当業者が容易に想到できるものではない。本件発明1を引用する本件発明4~8,13についても同様のことがいえる。 また、本件発明9は、「b.少なくとも3つのキャビティを有する成形用金型に前記ポリマー融液を射出成型することにより、少なくとも、大きい端部と小さい端部とを備えて前記吸気管を画定する漏斗形部材、上部ハウジング部材および下部ハウジング部材を含む少なくとも3つの部材を形成するステップと、c.前記大きい端部が、前記上部ハウジング部材及び前記下部ハウジング部材によって画定される前記圧縮機通風管の内部に位置して前記圧縮機通風管を共同画定し、前記小さい端部が前記圧縮機通風管の外部に位置するように、前記少なくとも3つの部材を合わせて組み立てることにより前記吸気管、前記圧縮機通風管および前記出口管を画定するハウジング本体部を形成するステップ」という発明特定事項を有しており、当該事項は甲第1~第4号証に記載されておらず、当業者が容易に想到できるものではない。本件発明9を引用する本件発明10~11についても同様のことがいえる。 したがって、特許異議申立人の上記主張は理由がない。 イ 特許法第36条第6項第2号 特許異議申立人一条淳は、訂正前の請求項1~8,12,13に係る特許について、請求項1~8は「ハウジング」の発明、請求項12,13は「ハウジングの使用」の発明であるが、請求項にはその物の製造方法が記載されているため明確でなく特許法第36条第6項第2号の規定に違反してされたものであるから特許を取り消すべきものである旨主張している。 しかしながら、本件特許1,4~8,13は請求項に製造方法が記載されていない。 したがって、特許異議申立人の上記主張は理由がない。 4.むすび 以上の通り、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項1,4~11,13に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件請求項1,4~11,13に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 また、本件請求項2,3,12に係る特許は、訂正により削除されたため、本件特許の請求項2,3,12に対してなされた特許異議の申立てについては、対象となる請求項が存在しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2016-700172

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