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特許拒絶査定不服審判

2016-019185

自動化検知器具

審判番号
2016-019185
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2014-188512外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2016年12月22日
審決日
2017年08月16日
公報発行日
2018年03月30日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-Z (G01N) / P18 .536-Z (G01N) / P18 .537-Z (G01N)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項特許法36条6項2号
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第36条第6項第2号、特許法第29条第2項、特許法第36条、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第36条第4項第1号、特許法第17条の2第6項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2014-188512「自動化検知器具」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 4月25日出願公開、特開2016- 61620〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 本願は、平成26年9月17日を出願日とする出願であって、平成27年9月16日付けで拒絶理由が通知され、平成28年3月17日に意見書及び手続補正書が提出されたが、同年8月25日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年12月22日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに、同時に手続補正(以下「本件補正」という)がなされたものである。 第2 本件補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 本件補正を却下する。 [理由] 1 本件補正後の請求項1に記載された発明 本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、次のとおりに補正された。(下線は補正箇所を示す。) 「【請求項1】 分子生物研究、生化検査、放射性免疫検定、及び薬品開発に適用できる自動化検知器具であって、 チップ(tip)等の消耗材が挿入され、また、異なる高さや幅に変化することができ、液体を吸引したり排出する機能を発揮でき、また、分散させるように吹飛ばす機能を有して、ウエル(well)内のサンプルを分散させるように吹飛ばすことができるディスペンサ(111、121)を有する第一充填ユニット(11)と第二充填ユニット(12)を備えた充填機構(1)と、 該充填機構(1)の一側に設けられる挟み持ち機構(2)と、 上記充填機構(1)と挟み持ち機構(2)の下方に設けられる載置テーブル(3)と、 該載置テーブル(3)上に設けられ、試験管セット枠、96 ウエル(well)、エッペンドルフ(Eppendorf)チューブ、セラムチューブ、又はチップ(tip)ボックス等の小さい体積の容器をセットするための装填ステージ(4)と、 上記載置テーブル(3)上に設けられ、試薬を収納する収納槽(5)と、 上記載置テーブル(3)上に設けられ、第一設置ユニット(61)と第二設置ユニット(62)を備え、該第一設置ユニット(61)には温度制御器(611)と揺動ユニット(612)とが備えられ、該第二設置ユニット(62)の底部には磁性のある材料を吸着できる磁性吸着素子(621)が設けられた、設置機構(6)と、 上記載置テーブル(3)上に設けられ、サンプルが均一に分散するように振動させる振動機構(7)と、 上記載置テーブル(3)上に設けられ、分子生物研究や生化検査や薬品開発のために吸収スペクトルや冷光を検知し、又は、放射性免疫検定のためにγ放射線を検知する検知機構(8)と、 が含有されることを特徴とする自動化検知器具。」 特許請求の範囲の請求項1についての上記の補正は、補正前の「充填機構」について、補正前の「チップ(tip)等の消耗材が挿入されるディスペンサを有する」を「チップ(tip)等の消耗材が挿入され、また、異なる高さや幅に変化することができ、液体を吸引したり排出する機能を発揮でき、また、分散させるように吹飛ばす機能を有して、ウエル(well)内のサンプルを分散させるように吹飛ばすことができるディスペンサ(111、121)を有する第一充填ユニット(11)と第二充填ユニット(12)を備えた」と、さらに限定するものを含むことから、上記補正は、少なくとも特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当すると認められる。 そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下「補正発明」という。)が特許出願の際に独立して特許を受けることができるものであるか(同法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか否か)について以下に検討する。 2 独立特許要件についての検討 2-1 特許法第36条について (1)特許法第36条第6項第2号違反 a.補正発明では、「ディスペンサ」に関し、本件補正により新たに「分散させるように吹飛ばす機能を有して、ウエル(well)内のサンプルを分散させるように吹飛ばすことができる」点を特定している。 しかしながら、自動検知器具において、サンプルはウエル(well)内で検知を行うのが本出願時の技術常識であるから、補正発明のように「ウエル(well)内のサンプルを」「吹飛ば」してしまっては、もはやサンプルをウエル内で検知することはできない状態となる。この点、本願明細書を参照しても、「ウエル(well)内のサンプルを分散させるように吹飛ばす」ことにより、サンプルを検知する点においてどのような技術的意義があるのか開示されていない。 してみれば、「分散させるように吹飛ばす機能を有して、ウエル(well)内のサンプルを分散させるように吹飛ばすことができる」ことについて、本願明細書を参照しても、その技術的意義は不明であり、どのような技術的事項を特定しようとしているのか理解できない。 b.拒絶査定の理由(特許法第36条第6項第2号)の一部にもなっているが、補正発明では、「分子生物研究、生化検査、放射性免疫検定、及び薬品開発に適用できる自動化検知器具」が、「分子生物研究や生化検査や薬品開発のために吸収スペクトルや冷光を検知し、又は、放射性免疫検定のためにγ放射線を検知する検知機構(8)」を含むため、依然として、「自動化検知器具」がこれらのすべてに適用できる器具かどうかが明確でなく、「第一充填ユニット(11)と第二充填ユニット(12)」、「挟み持ち機構(2)」、「第一設置ユニット(61)と第二設置ユニット(62)を備え、該第一設置ユニット(61)には温度制御器(611)と揺動ユニット(612)とが備えられ、該第二設置ユニット(62)」「には」「磁性のある材料を吸着できる磁性吸着素子(621)が設けられた」こと、「サンプルが均一に分散するように振動させる振動機構(7)」、「分子生物研究や生化検査や薬品開発のために吸収スペクトルや冷光を検知し、又は、放射性免疫検定のためにγ放射線を検知する検知機構(8)」が、単に、器具を構成する機構として記載されているだけであり、「分子生物研究、生化検査、放射性免疫検定、及び薬品開発に適用できる自動化検知器具」において、それぞれの機構が有機的にどのように関連して「分子生物研究」、「生化検査」、「放射性免疫検定」、及び「薬品開発」に適用できるのか明確に特定されておらず、この点、本願明細書にも具体的に何ら説明されていないため、「分子生物研究、生化検査、放射性免疫検定、及び薬品開発に適用できる自動化検知器具」の発明として不明確といわざるをえない。 c.小括 よって、補正発明は、不明確であり、特許法第36条第6項第2号の規定を満たしているとはいえない。 (2)特許法第36条第4項第1号違反 上記「(1)a」の指摘に加えて、「ディスペンサ」が「分散させるように吹飛ばす機能を有して、ウエル(well)内のサンプルを分散させるように吹飛ばすこと」が、本願明細書に記載されていない某かの技術的意義があるにしても、それについて、発明の詳細な説明には、 「【0023】 上記充填機構1は、少なくとも、第一充填ユニット11と第二充填ユニット12が備えられ、上記第一充填ユニット11は、少なくとも、四つのディスペンサ111を有し、また、上記第二充填ユニット12は、少なくとも、九十六のディスペンサ121を有し、各ディスペンサ111、121に、チップ(tip)等の消耗材が挿入され、また、異なる高さや幅に変化することができ、液体を吸引したり排出する機能を発揮でき、また、分散させるように吹飛ばす機能を有し、ウエル(well)内のサンプルを分散させるように吹飛ばすことができる。」 と、当該特定事項と同様の技術内容が記載されているのみである。 そして、本願明細書の段落【0023】以外の記載及び図面の記載並びに出願時の技術常識を考慮しても、「ウエル(well)内のサンプルを分散させるように吹飛ばす」ために、ディスペンサを具体的にどのように利用しているか、例えば、ディスペンサ開口から圧縮空気を出して、「ウエル(well)内のサンプルを分散させるように吹飛ばす」のか、又は、圧縮空気以外の媒体を用いているのか、それとも、ディスペンサに挿入されたチップ等の消耗材をウエル(well)内のサンプルと接触させて当該「サンプルを分散させるように吹飛ばす」のか、などが理解できないため、発明の詳細な説明の記載は、補正発明を実施することができる程度に十分かつ明確に記載したものとはいえない。 (3)特許法第36条についてのまとめ 以上のとおりであるから、請求項1の記載は、特許法第36条第6項第2号の規定する要件を満たしておらず、特許出願の際に独立して特許を受けることができるものではない。また、発明の詳細な説明の記載は、同法第36条第4項第1号の規定する要件を満たしておらず、特許出願の際に独立して特許を受けることができるものではない。 2-2 特許法第29条第2項について (1)検討対象とする補正発明について 補正発明は、上記「2-1(1)a及びb」において検討したように明確ではないものの、上記aについては、「ディスペンサ」における「分散させるように吹飛ばす機能を有して、ウエル(well)内のサンプルを分散させるように吹飛ばすことができる」という記載を、「ディスペンサから液体を排出させることにより、混合撹拌させる機能を有して、ウエル(well)内のサンプルを混合撹拌することができる」という技術的意味を有するものと解して、上記bについては、補正発明の「自動化検知器具」が「分子生物研究、生化検査、放射性免疫検定、及び薬品開発に適用できる」ために、それぞれの機構がどのように有機的に関連しているのか明確にされていない以上、それぞれの機構は単に器具を備わっている以上の技術的意義はないものと解して、以下、検討を行うこととする。 (2)引用文献及びその記載事項 ア 引用文献1(特開2004-239778号公報) 原査定の拒絶の理由に引用され、本願出願前に頒布された引用文献1には、液状試料自動分析装置について、次の事項が図面の記載とともに記載されている(下線は、当審において付与したもの。以下同様。)。 (ア)「【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明は、例えば血液、尿等の液状の試料を分析するための自動分析装置に関する。」 (イ)「【0023】 図1は、本実施形態に係る液状試料自動分析装置10の全体構造の概要を示す前面図、図2は、同平面図である。 【0024】 液状試料自動分析装置10は、液状の試料を保持するための複数の凹部12Aが形成された試料保持プレート12と、交換可能なチップ14Aを装着してなり、試料保持プレート12の凹部12Aに試料を分注するための分注手段14と、試料保持プレート12の凹部12A内の試料を分析するための分析手段16と、分注のために試料保持プレート12を載置するための分注ステージ18及び分析のために試料保持プレート12を載置するための分析ステージ20を有してなる処理ステージ22と、を備えている。 【0025】 この液状試料自動分析装置10は、試料保持プレート12を格納するための複数の格納部24を有してなり、且つ、複数の格納部24が共通の鉛直面に沿うように並設されて前記鉛直面に垂直な前後方向に被格納物を搬入・搬出するようにされた格納手段26と、格納手段26及び分注ステージ18の間で試料保持プレート12を搬送するために試料保持プレート12を保持して前記鉛直面に沿って移動可能とされた搬送手段28と、を備えたことを特徴としている。 【0026】 又、液状試料自動分析装置10は、分注手段14の交換用のチップ14Aを保持するチップラック30が用意され、チップラック30を載置するためのチップ供給ステージ32が分注ステージ18の近傍に配設されると共に、格納手段26にチップラック30を格納するための複数の格納部34が前記鉛直面に沿うように並設され、且つ、搬送手段28が格納手段26及びチップ供給ステージ32の間でチップラック30を搬送するためにチップラック30を保持して前記鉛直面に沿って移動可能とされたことを特徴としている。 【0027】 更に、液状試料自動分析装置10は、試料保持プレート12を収容して所定の反応温度に保持するための複数の恒温槽36が前記鉛直面に沿うように格納手段26の近傍に並設され、且つ、搬送手段28が恒温槽36及び処理ステージ22の間で試料保持プレート12を搬送するようにしたことを特徴としている。 【0028】 他の構成については、従来の液状試料自動分析装置と同様であるので、説明を適宜省略することとする。 【0029】 試料保持プレート12は透明な長方形板状体で、上面に円形の複数の凹部12Aが複数(本実施形態では8×12=96個)が形成されている。又、液状試料自動分析装置10は、検体の希釈のために凹部12Aよりも容量が大きな凹部13Aが形成された試料保持プレート13を備えている。尚、試料保持プレート12の凹部12Aには所定の試薬が予め固相化されているのに対し、試料保持プレート13の凹部13Aには試薬等は固相化されていない。 【0030】 分注手段14は、チップ14Aと、該チップ14Aを下端において着脱自在に支持する8本の分注ノズル14Bと、分注ノズル14Bを等ピッチで支持する分注ヘッド14Cと、分注ヘッド14Cを水平方向に駆動するためのXY駆動機構14Dと、を有して構成されている。 【0031】 チップ14Aは細い管状体で上端部が分注ノズル14Bの下端部に押し付けられることにより分注ノズル14Bに装着可能とされている。分注ノズル14Bは、チップ14Aから試料を真空吸引し、又、試料を吐出するようにされている。分注ヘッド14Cは各分注ノズル14B間のピッチを調節可能とされ、凹部のピッチが異なる他の試料保持プレート、複数の試験管を保持する試験管ラック等に試料を分注可能とされている。 【0032】 分注ステージ18は、第1の載置台18A及び第2の載置台18Bを備え、2枚の試料保持プレート12が載置可能とされている。第1の載置台18Aは、試料保持プレート12を定位置に保持すると共に、下部に設けられた加振装置18Cにより水平方向に振動して、凹部12A内の試料を撹拌可能とされている。一方、第2の載置台18Bも、試料保持プレート12を定位置に保持するようにされているが加振装置は設けられていない。 【0033】 分析ステージ20には、分析手段16及び洗浄器40が備えられている。 【0034】 分析手段16は、試料保持プレート12の凹部12Aに所定の波長の光を投光するための図示しない投光器及び凹部12Aを透過した光を受光するための受光器を有して構成され、所定の波長の光の強度を測定することにより、試料の分析を行なうようにされている。 ・・・(中略)・・・ 【0044】 恒温槽36は、箱状のケース36Aと、ケース36Aの底面を構成する伝熱板36Bと、伝熱板36Bの下面に隣接して設けられたペルチェ素子36Cと、ペルチェ素子36Cの下面に隣接して設けられたヒートシンク36Dと、を備えている。更に、恒温槽36は、開口部に設けられ、上下方向に開閉自在の扉体36Eと、扉体36Eを閉方向に付勢するためのねじりコイルばね(付勢手段)36Fと、を備えている。尚、扉体36Eの外側には前方に突出する突起36Gが設けられている。恒温槽36は、伝熱板36Bの上に試料保持プレート12を載置し、ペルチェ素子36Cに通電することにより、試料保持プレート12を冷却又は加熱して所定の反応温度に保持するようにされている。 【0045】 搬送手段28は図1、2及び7~9に示されるように、試料保持プレート12を挟持・解放自在とされた一対の挟持部材50A、50Bを有してなる挟持手段50と、前後方向のラック52A及びピニオン52Bを有してなり、挟持手段50を前後方向に駆動するためのヘッド部52と、ヘッド部52を前記鉛直面に沿う水平方向に駆動するための水平方向駆動手段54と、ヘッド部52を前記鉛直面に沿う鉛直方向に駆動するための鉛直方向駆動手段55と、を備えている。 ・・・(中略)・・・ 【0051】 又、処理ステージ22には、血液、尿等の検体を載置して分注手段14に供給するための検体供給ステージ56と、複数の試薬ボトルを載置して分注手段14に供給するための試薬供給ステージ58が設けられている。検体供給ステージ56には、検体を保持するための複数(本実施形態では8×12=96)の凹部60Aが形成された検体保持トレイ60を6枚載置可能とされている。一方、試薬供給ステージ58には各種の試薬を保持するための複数(本実施形態では16個)の試薬ボトル62A~62Pを設置可能とされている。」 (ウ)「【0064】 次に分注ヘッド14Cは、分注ステージ18の第2の載置台18Bの上に移動し、検体が分注されている各凹部13Aに希釈液を分注する。尚、希釈液の分注は、12回連続して実行し、この間チップ14Aは交換しない。これにより、第2の載置台18Bに載置された試料保持プレート13の全ての凹部13Aに検体及び希釈液が分注され、各凹部13A内の検体は、所定の濃度に希釈される。」 (エ)「【0076】 まず、搬送手段28が試料保持プレート12を第1の載置台18Aから分析ステージ20のベルトコンベア41上に搬送・載置する。ベルトコンベア41が試料保持プレート12を送りつつ、分析手段16の投光器から各凹部12Aに特定の波長の光を投光し、受光器が特定の波長の吸光度を測定する。吸光度の測定結果に基づいて各凹部12A内の検体の特性を連続して分析することができる。試料保持プレート12の全ての凹部12Aに関する分析が完了すると、搬送手段28は、試料保持プレート12を格納部24に返却する。」 (オ)「【0097】 又、本実施形態において、格納手段26は処理ステージ22の下方に配設され、液状試料自動分析装置のコンパクト化を図るためにはこのように構成することが望ましいが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、施設の形状、装置の用途等により処理ステージ22の上方、側方に格納手段を配設してもよい。恒温槽についても同様である。尚、この場合も処理ステージの近傍に格納手段を配設することが好ましい。」 (カ) (キ) イ 引用発明 上記アの記載を総合すると、引用文献1には、次の発明が記載されていると認められる。 「血液、尿等の液状の試料を分析するための液状試料自動分析装置10であって、 液状の試料を保持するための複数(96個)の凹部12Aが形成された試料保持プレート12と、交換可能なチップ14Aを装着してなり、試料保持プレート12の凹部12Aに試料を分注するための分注手段14と、試料保持プレート12の凹部12A内の試料を分析するための分析手段16と、分注のために試料保持プレート12を載置するための分注ステージ18及び分析のために試料保持プレート12を載置するための分析ステージ20を有してなる処理ステージ22と、を備えており、 試料保持プレート12を格納するための複数の格納部24を有してなり、且つ、複数の格納部24が共通の鉛直面に沿うように並設されて前記鉛直面に垂直な前後方向に被格納物を搬入・搬出するようにされた格納手段26と、格納手段26及び分注ステージ18の間で試料保持プレート12を搬送するために試料保持プレート12を保持して前記鉛直面に沿って移動可能とされた搬送手段28と、を備え、 又、分注手段14の交換用のチップ14Aを保持するチップラック30が用意され、チップラック30を載置するためのチップ供給ステージ32が分注ステージ18の近傍に配設されると共に、格納手段26にチップラック30を格納するための複数の格納部34が前記鉛直面に沿うように並設され、且つ、搬送手段28が格納手段26及びチップ供給ステージ32の間でチップラック30を搬送するためにチップラック30を保持して前記鉛直面に沿って移動可能とされ、 更に、試料保持プレート12を収容して所定の反応温度に保持するための複数の恒温槽36が前記鉛直面に沿うように格納手段26の近傍に並設され、且つ、搬送手段28が恒温槽36及び処理ステージ22の間で試料保持プレート12を搬送するようにし、 分注手段14は、チップ14Aと、該チップ14Aを下端において着脱自在に支持する8本の分注ノズル14Bと、分注ノズル14Bを等ピッチで支持する分注ヘッド14Cと、分注ヘッド14Cを水平方向に駆動するためのXY駆動機構14Dと、を有して構成されており、 チップ14Aは細い管状体で上端部が分注ノズル14Bの下端部に押し付けられることにより分注ノズル14Bに装着可能とされており、分注ノズル14Bは、チップ14Aから試料を真空吸引し、又、試料を吐出するようにされており、分注ヘッド14Cは各分注ノズル14B間のピッチを調節可能とされ、凹部のピッチが異なる他の試料保持プレート、複数の試験管を保持する試験管ラック等に試料を分注可能とされており、 分注ステージ18は、第1の載置台18A及び第2の載置台18Bを備え、2枚の試料保持プレート12が載置可能とされており、第1の載置台18Aは、試料保持プレート12を定位置に保持すると共に、下部に設けられた加振装置18Cにより水平方向に振動して、凹部12A内の試料を撹拌可能とされており、 分析ステージ20には、分析手段16及び洗浄器40が備えられており、 分析手段16は、試料保持プレート12の凹部12Aに所定の波長の光を投光するための投光器及び凹部12Aを透過した光を受光するための受光器を有して構成され、所定の波長の光の強度(吸光度)を測定することにより、試料の分析を行なうようにされており、 恒温槽36は、伝熱板36Bの上に試料保持プレート12を載置し、ペルチェ素子36Cに通電することにより、試料保持プレート12を冷却又は加熱して所定の反応温度に保持するようにされており、 搬送手段28は、試料保持プレート12を挟持・解放自在とされた一対の挟持部材50A、50Bを有してなる挟持手段50と、前後方向のラック52A及びピニオン52Bを有してなり、挟持手段50を前後方向に駆動するためのヘッド部52と、ヘッド部52を前記鉛直面に沿う水平方向に駆動するための水平方向駆動手段54と、ヘッド部52を前記鉛直面に沿う鉛直方向に駆動するための鉛直方向駆動手段55と、を備えており、 又、処理ステージ22には、血液、尿等の検体を載置して分注手段14に供給するための検体供給ステージ56と、複数の試薬ボトルを載置して分注手段14に供給するための試薬供給ステージ58が設けられており、 処理ステージ22の側方近傍に格納手段26及び恒温槽36を配設できる、 液状試料自動分析装置10。」(以下、「引用発明」という。) ウ 引用文献2(特開2003-262643号公報) 同じく、原査定の拒絶の理由に引用され、本願出願前に頒布された引用文献2には、自動分注装置について、次の事項が図面の記載とともに記載されている。 (ア)「(57)【要約】 【課題】 省スペースを図ることができて設備コストが低く、しかも試験作業の効率を向上させることができる自動分注装置を提供することを目的とする。 【解決手段】 試料収納用の凹部が格子状に設けられたプレート4に薬剤や検体などの液状の試料を分注する自動分注装置1において、試料を収納したプレート4を載置して分注操作を行う分注ステージ10と、この分注ステージ10にプレート4やチップ容器5を搬入・搬出するロボット20と、分注ステージ10を共通の作業範囲とする第1の分注ヘッド14と第2の分注ヘッド16を備えた。第1の分注ヘッド14には格子状に配列された複数の分注チップ15が、第2の分注ヘッド16には列状に配列された複数の分注チップ15がそれぞれ装着されている。これにより2種類の分注ヘッドの使い分けを必要とする各種の分注操作を同一の分注ステージ10内で行うことができる。」 (イ)「【0027】次に図6を参照して第2の分注ヘッド16を用いて行われる希釈系列作成操作について説明する。まず第2の分注ヘッド16に備えられた一列の分注チップ15により、ステージ10D上の薬剤プレート4Bから規定量の薬液を吸入し、ステージ10C上の希釈プレート4Aの第1列目の凹部4aに注入し、分注チップ15により凹部4a内を攪拌する。これにより、薬液は希釈プレートの凹部4a中に既に容れられている希釈液と混合され、所定の希釈率の希釈薬液が作成される。」 エ 引用文献3(特開平8-271521号公報) 同じく、原査定の拒絶の理由に引用され、本願出願前に頒布された引用文献3には、酵素免疫反応測定装置について、次の事項が記載されている。 「【0035】また、免疫反応の測定手法によっては、恒温に維持しながら加振する必要が生じる。そのため、本実施例では、恒温槽機構の上部に恒温槽室加振機構を装備している。そして、ベルト機構制御部は、この恒温槽室加振機構を偏心運動させるモータの駆動を制御している。」 オ 引用文献4(特開2011-13148号公報) 同じく、原査定の拒絶の理由に引用され、本願出願前に頒布された引用文献4には、自動分析装置について、次の事項が記載されている。 「【0022】 BFテーブル232は、所定の洗浄液を吸引吐出して検体または試薬における未反応物質を分離するBF(bound-free)分離を実施するBF洗浄処理を行なう。BFテーブル232は、BFテーブル232の中心を通る鉛直線を回転軸として反応ラインごとに回動自在であり、BFテーブル232に配置された反応容器を所定タイミングで所定位置に移送する。BFテーブル232は、BF分離に必要な磁性粒子を集磁する集磁機構と、BF希釈溶液を反応容器内に吐出・吸引してBF分離を実施するBF洗浄ノズルを有するBF洗浄部232aと、集磁された磁性粒子を分散させる攪拌機構とを有する。このBFテーブル232におけるBF洗浄処理として、第1BF洗浄処理および第2BF洗浄処理が行われる。なお、BF洗浄部232aは、複数のBF液吐出ノズルと、各BF液吐出ノズルに対応する複数のBF液吸引ノズルとを有する。」 カ 引用文献5(国際公開第2006/107016号) 同じく、原査定の拒絶の理由に引用され、本願出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献5には、生体サンプルの複合自動分析装置について、次の事項が記載されている。 (ア)「 [0036] こうしてR3試薬(又はR2試薬)を分注された反応キュベット25は、反応基台31の回転によって攪拌位置35cまで移動して停止し、攪拌操作を受ける。続いて、反応キュベット25は、B/F分離位置 35dにて B/F分離操作を受ける。ここで、磁性ビーズを利用する場合は、磁石によってB/F分離操作を行うことができる。磁石を使用する場合は、磁性ビーズ収集までの時間が比較的長く必要になるので、反応基台31の停止時間が比較的長くなる。しかしながら、本発明装置では、第 2測定ユニット3の反応基台31を第1測定ユニット2の反応基台21と分離しているので、回転運動における長い停止時間によって、全体の処理時間が長くなることを防止することができる。」 (イ)「[0052] 本発明の複合自動分析装置においては、前記第 1測定ユニットにて、生化学測定又はラテックス凝集測定を比色又は比濁測定法で実施し、前記第2測定ユニットにて、酵素免疫学的測定を化学発光法で実施し、前記第3測定ユニットにて、血液凝固時間測定を実施する組合せが好ましい。更に、前記の組合せに加えて、記第 4測 定ユニットにて、イオン分析を実施するのが好ましい。なお、前記第 2測定ユニットでの化学発光酵素免疫学的測定を、磁性担体によって実施するのがより好ましい。その場合、周知技術である磁石を用いてB/F分離を行うことができる。」 (3)補正発明と引用発明との対比・判断 ア 対比 補正発明と引用発明とを対比する。 (ア)引用発明の「液状試料自動分析装置10」と、補正発明の「分子生物研究、生化検査、放射性免疫検定、及び薬品開発に適用できる自動化検知器具」とは、「自動化検知器具」である点で共通する。 (イ) a.引用発明の「チップ14A」、「複数(96個)の凹部12Aが形成された試料保持プレート12」及び「分注ノズル14B」は、それぞれ補正発明の「チップ(tip)等の消耗材」、「ウエル(well)」及び「ディスペンサ(111、121)」に相当する。また、引用発明の「分注手段14」と、補正発明の「第一充填ユニット(11)と第二充填ユニット(12)を備えた充填機構(1)」とは、「充填ユニットを備えた充填機構」である点で共通する。 b.上記aの対応関係を踏まえると、引用発明の「チップ14Aを下端において着脱自在に支持する」「分注ノズル14B」は、補正発明の「チップ(tip)等の消耗材が挿入され」る「ディスペンサ(111、121)」に相当する。 c.上記aの対応関係を踏まえると、引用発明の「各分注ノズル14B間のピッチを調節可能とされ」る「分注ノズル14B」は、補正発明の「異なる高さや幅に変化することができ」る「ディスペンサ(111、121)」に相当する。 d.上記aの対応関係を踏まえると、引用発明の「試料を真空吸引し、又、試料を吐出する」「分注ノズル14B」は、補正発明の「液体を吸引したり排出する機能を発揮でき」る「ディスペンサ(111、121)」に相当する。 e.以上のことから、引用発明の「チップ14Aを下端において着脱自在に支持」し、また、「各分注ノズル14B間のピッチを調節可能とされ」、「試料を真空吸引し、又、試料を吐出する」「分注ノズル14B」を有する「分注手段14」と、補正発明の「チップ(tip)等の消耗材が挿入され、また、異なる高さや幅に変化することができ、液体を吸引したり排出する機能を発揮でき、また、分散させるように吹飛ばす機能を有して、ウエル(well)内のサンプルを分散させるように吹飛ばすことができるディスペンサ(111、121)を有する第一充填ユニット(11)と第二充填ユニット(12)を備えた充填機構(1)」とは、「チップ(tip)等の消耗材が挿入され、また、異なる高さや幅に変化することができ、液体を吸引したり排出する機能を発揮できるディスペンサを有する充填ユニットを備えた充填機構」である点で共通する。 (ウ)引用発明の「一対の挟持部材50A、50Bを有してなる挟持手段50」「を備えた」「搬送手段28」は、補正発明の「挟み持ち機構(2)」に相当する。また、引用発明において、「分注手段14」が、「処理ステージ22」に「載置」されている「試料保持プレート12の凹部12Aに試料を分注」し、「搬送手段28」が、「処理ステージ22」に「載置」されている「試料保持プレート12を搬送する」ものであるから、引用発明の「搬送手段28」が「分注手段14」に隣接した位置、すなわち一側にあることは、自明の事項である。 してみると、引用発明の「一対の挟持部材50A、50Bを有してなる挟持手段50」「を備えた」「搬送手段28」は、補正発明の「該充填機構(1)の一側に設けられる挟み持ち機構(2)」に相当する。 (エ)引用発明において、「処理ステージ22の側方近傍に格納手段26及び恒温槽36を配設」した場合、「処理ステージ22」の下方に「試料保持プレート12」を移動することはないから、「試料保持プレート12」を「載置」する「処理ステージ22」の上方に、「分注手段14」と「搬送手段28」があるといえる。 してみると、引用発明の「処理ステージ22」は、補正発明の「上記充填機構(1)と挟み持ち機構(2)の下方に設けられる載置テーブル(3)」に相当する。 (オ)引用発明の「分注のために」「複数(96個)の凹部12Aが形成された」「試料保持プレート12を載置するための分注ステージ18」は、「処理ステージ22」の一部にあるから、補正発明の「該載置テーブル(3)上に設けられ、試験管セット枠、96 ウエル(well)、エッペンドルフ(Eppendorf)チューブ、セラムチューブ、又はチップ(tip)ボックス等の小さい体積の容器をセットするための装填ステージ(4)」に相当する。 (カ)引用発明の「試薬ボトルを載置」する「試薬供給ステージ58」は、「処理ステージ22」の一部にあるから、補正発明の「上記載置テーブル(3)上に設けられ、試薬を収納する収納槽(5)」に相当する。 (キ)引用発明の「恒温槽36」は、「試料保持プレート12を冷却又は加熱して所定の反応温度に保持する」手段を備えているから、引用発明の「恒温槽36」と、補正発明の「上記載置テーブル(3)上に設けられ、第一設置ユニット(61)と第二設置ユニット(62)を備え、該第一設置ユニット(61)には温度制御器(611)と揺動ユニット(612)とが備えられ、該第二設置ユニット(62)の底部には磁性のある材料を吸着できる磁性吸着素子(621)が設けられた、設置機構(6)」とは、「第一設置ユニットを備え、第一設置ユニットには温度制御器が備えられた設置機構」である点で共通する。 (ク)引用発明の「下部に設けられた加振装置18Cにより水平方向に振動して、凹部12A内の試料を撹拌可能とされて」いる「第1の載置台18A」は、「処理ステージ22」の一部にあるから、補正発明の「上記載置テーブル(3)上に設けられ、サンプルが均一に分散するように振動させる振動機構(7)」に相当する。 (ケ)引用発明の「所定の波長の光の強度(吸光度)を測定する」「分析手段16」は、「処理ステージ22」の一部である「分析ステージ20」にあるから、引用発明の「分析手段16」と、補正発明の「上記載置テーブル(3)上に設けられ、分子生物研究や生化検査や薬品開発のために吸収スペクトルや冷光を検知し、又は、放射性免疫検定のためにγ放射線を検知する検知機構(8)」とは、「上記載置テーブル上に設けられ、吸収度を検知する検知機構」である点で共通する。 イ 一致点・相違点 したがって、補正発明と引用発明とは、次の一致点で一致し、次の相違点において相違する。 (一致点) 「自動化検知器具であって、 チップ(tip)等の消耗材が挿入され、また、異なる高さや幅に変化することができ、液体を吸引したり排出する機能を発揮できるディスペンサを有する充填ユニットを備えた充填機構と、 該充填機構の一側に設けられる挟み持ち機構と、 上記充填機構と挟み持ち機構の下方に設けられる載置テーブルと、 該載置テーブル上に設けられ、試験管セット枠、96 ウエル(well)、エッペンドルフ(Eppendorf)チューブ、セラムチューブ、又はチップ(tip)ボックス等の小さい体積の容器をセットするための装填ステージと、 上記載置テーブル上に設けられ、試薬を収納する収納槽と、 第一設置ユニットを備え、該第一設置ユニットには温度制御器とが備えられた設置機構と、 上記載置テーブル上に設けられ、サンプルが均一に分散するように振動させる振動機構と、 上記載置テーブル上に設けられ、吸収度を検知する検知機構と、 が含有される自動化検知器具。」 (相違点1) 自動化検知器具が、補正発明では、「分子生物研究、生化検査、放射性免疫検定、及び薬品開発に適用できる」のに対し、引用発明では、この点につき不明である点。 (相違点2) ディスペンサが、補正発明では、「分散させるように吹飛ばす機能を有して、ウエル(well)内のサンプルを分散させるように吹飛ばすことができる」、すなわち、「ディスペンサから液体を排出させることにより、混合撹拌させる機能を有して、ウエル(well)内のサンプルを混合撹拌することができる」(上記「(1)a」参照。)のに対し、引用発明では、この点につき不明である点。 (相違点3) 充填ユニットが、補正発明では、第一充填ユニット(11)と「第二充填ユニット(12)」を備えているのに対し、引用発明では、第二充填ユニットを備えていない点。 (相違点4) 第一設置ユニットが、補正発明では、「載置テーブル(3)上に設けられ」ているのに対し、引用発明では、第一設置ユニットに相当する「恒温槽36」が、「処理ステージ22の側方近傍に」「配設できる」点。 (相違点5) 第一設置ユニットが、補正発明では、温度制御器(611)と「揺動ユニット(612)」とが備えられているのに対し、引用発明では、揺動ユニットを備えていない点。 (相違点6) 設置機構が、補正発明では、「第二設置ユニット(62)を備え、」「該第二設置ユニット(62)の底部には磁性のある材料を吸着できる磁性吸着素子(621)が設けられ」ているのに対し、引用発明では、このような第二設置ユニットを備えていない点。 (相違点7) 検知機構が、補正発明では、「分子生物研究や生化検査や薬品開発のために吸収スペクトルや冷光を検知し、又は、放射性免疫検定のためにγ放射線を検知する」のに対し、引用発明では、「所定の波長の光の強度(吸光度)を測定する」点。 ウ 相違点についての検討 (ア)相違点1について 自動分析装置が、分子生物研究、生化検査、放射性免疫検定、薬品開発などの分野で用いる分析設備であることは、出願時の技術常識(例えば、特開2011-75573号公報の段落【0001】~【0004】参照。)にすぎず、引用発明の「液状試料自動分析装置10」が、上記分野を限定するものでなく、いずれの分野でも利用できる分析設備であること(例えば、引用文献1の段落【0102】などを参照。)から、引用発明の「液状試料自動分析装置10」は、補正発明の「分子生物研究、生化検査、放射性免疫検定、及び薬品開発に適用できる自動化検知器具」に相当するといえ、相違点1に係る補正発明の構成は、引用発明との実質的な相違点であるとはいえない。 仮に実質的な相違点であるとしても、相違点1に係る補正発明の構成は、引用発明及び出願時の技術常識に基づいて当業者が容易に為し得たことである。 (イ)相違点2について 引用発明の「分注ノズル14B」の使い方に関して、 引用文献1には、「【0064】 検体が分注されている各凹部13Aに希釈液を分注する。・・・各凹部13A内の検体は、所定の濃度に希釈される。」という記載(上記「(2)ア(ウ)」を参照。)があり、当該記載から、引用発明の「分注ノズル14B」が、「ディスペンサ(分注ノズル14B)から液体(希釈液)を排出させることにより、混合撹拌させる機能を有して、ウエル(well)内のサンプル(検体又は試料)を混合撹拌することができる」ことは、例えば、引用文献2に「【0027】・・・分注チップ15により、・・・凹部4aに注入し、分注チップ15により凹部4a内を攪拌する。これにより、薬液は希釈プレートの凹部4a中に既に容れられている希釈液と混合され、所定の希釈率の希釈薬液が作成される。」と記載されている(上記「(2)ウ(イ)」を参照。)点を踏まえても、技術的に明らかである。 したがって、相違点2に係る補正発明の構成は、引用発明との実質的な相違点であるとはいえない。 仮に実質的な相違点であるとしても、相違点2に係る補正発明の構成は、引用発明並びに引用文献1及び2の記載事項に基づいて当業者が容易に為し得たことである。 (ウ)相違点3について 引用文献2には、試料収納用の凹部が格子状に設けられたプレート4に薬剤や検体などの液状の試料を分注する自動分注装置1において、試験作業の効率を向上させるため、試料を収納したプレート4を載置して分注操作を行う分注ステージ10と、この分注ステージ10にプレート4やチップ容器5を搬入・搬出するロボット20と、分注ステージ10を共通の作業範囲とする第1の分注ヘッド14と第2の分注ヘッド16を備えたことが記載されている(上記「(2)ウ(ア)」を参照。)。 そして、引用発明において、分析作業の効率改善を図ることは、内在する課題である(例えば、引用文献1の段落【0009】などを参照。)ことから、上記引用文献2に記載された事項に鑑み、「分注手段14」を更に追加し、相違点3に係る補正発明の構成とすることは、当業者が容易に為し得たことである。 (エ)相違点4について 引用発明において、「処理ステージ22の側方近傍に」「恒温槽36を配設」する際、「恒温槽36を配設」する台として、別途用意せずに「処理ステージ22」を用いることは、設計効率上ごく自然なことであるから、相違点4に係る補正発明の構成とすることは、当業者が容易に為し得たことである。 (オ)相違点5について 自動分析装置において、恒温槽に温度制御器と揺動ユニットを備えることは、例えば、引用文献3(上記「(2)エ」を参照。)に記載されているように周知の技術である。 そして、引用発明が、自動分析装置である以上、検体と試薬との反応の安定・促進を図ることは、普遍的な課題であるから、引用発明において、上記周知技術に鑑み「恒温槽36」に揺動ユニットを追加し、相違点5に係る補正発明の構成とすることは、当業者が容易に為し得たことである。 (カ)相違点6について 自動分析装置において、設置ユニットに、磁性のある材料を吸着できる磁性吸着素子を備えることは、例えば、引用文献4(上記「(2)オ」を参照。)、引用文献5(上記「(2)カ」を参照。)に記載されているように周知の技術である。 そして、引用発明が、自動分析装置である以上、検体と試薬との反応の安定・促進を図ることは、普遍的な課題であるから、引用発明において、上記周知技術に鑑み設置機構に、磁性のある材料を吸着できる磁性吸着素子を備える第二設置ユニットを追加し、相違点6に係る補正発明の構成とすることは、当業者が容易に為し得たことである。 (キ)相違点7について 自動分析装置において、吸収スペクトルや冷光(例えば、蛍光)を検知する検知機構(吸収スペクトル分析器、蛍光分析器)を用いること、γ放射線を検知する検知機構(ラジオアイソトープシンチレーションカウンター)を用いることは、いずれも例示するまでもなく周知技術(例えば、特開2011-75573号公報の段落【0001】~【0004】参照。)である。 そして、引用発明が、上記(ア)において説示したとおり、分子生物研究、生化検査、放射性免疫検定、薬品開発のいずれの分野でも利用できる自動分析装置であることから、引用発明を、上記周知技術に鑑み、分子生物研究や生化検査や薬品開発で用いる場合、吸収スペクトルや冷光を検知する検知機構を採用し、放射性免疫検定で用いる場合、γ放射線を検知する検知機構を採用し、相違点7に係る補正発明の構成とすることは、当業者が容易に為し得たことである。 エ 補正発明の奏する作用効果 そして、本願明細書には「人力負担が低減され、操作時間が節約され、実験誤差を低下でき、実験正確率や実験効率を向上する効果が得られ、そのため、本発明は、より進歩的かつより実用的で、法に従って特許を出願する。」(段落【0032】参照。)との記載があるものの、上記「2-1(1)b」で説示したように、補正発明で特定される各々の機構が有機的にどのように関連して技術的な効果をもたらすのか不明であり、その効果も、引用文献1、2に記載された事項、上記技術常識及び上記周知技術から格別顕著なものとはいえない。 (4)特許法第29条第2項についてのまとめ 以上のとおりであるから、補正発明は、引用発明及び上記周知技術に基づいて、又は、引用発明、引用文献1、2に記載された事項、上記技術常識及び上記周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができるものではない。 4 まとめ したがって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するものであり、同法第159条第1項で読み替えて準用する第53条第1項の規定により却下されるべきものである。 第3 本願発明について 1 本願発明 本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1~10に係る発明は、平成28年3月17日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~10に記載された事項により特定されるものであって、その請求項1は以下のとおりのものである(以下「本願発明」という。)。 「【請求項1】 分子生物研究や生化検査、放射性免疫検定及び薬品開発に適用できる自動化検知器具であって、 チップ(tip)等の消耗材が挿入されるディスペンサを有する充填機構と、 該充填機構に隣接する挟み持ち機構と、 上記充填機構と挟み持ち機構との下方に設けられる載置テーブルと、 該載置テーブル上に設けられ、試験管セット枠や96 ウエル(well)、エッペンドルフ(eppendorf)、セラムチューブ及びチップ(tip)ボックス等の小さい体積の容器をセットする装填機構と、 上記載置テーブル上に設けられ、薬品を収納する収納槽と、 上記載置テーブル上に設けられ、磁性のある材料を吸着できる設置機構と、 上記載置テーブル上に設けられ、サンプルが均一に分散するように振動させる振動機構と、 上記載置テーブル上に設けられ、連続波長吸光度や冷光検知を検知でき、また、γ放射線を検知する検知機構と、 が含有されることを特徴とする自動化検知器具。」 2 特許法第36条第6項第2号違反について 上記本件補正は、拒絶理由通知書で通知した特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないとの理由で拒絶査定した事項を解消しようとした補正も含むため、その補正が含まれていない本願発明が、その事項が解消されていないことは明らかであるから、同法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。 3 引用文献及びその記載事項 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1~5とその記載事項は、前記「第2 2-2(2)」に記載したとおりである。 4 本願発明と引用発明との対比・判断 本願発明は、上記2のとおり不明確な点があるものの、前記「第2 2-2(3)」で検討したとおり、少なくとも補正発明から、ディスペンサについての「異なる高さや幅に変化することができ、液体を吸引したり排出する機能を発揮でき、また、分散させるように吹飛ばす機能を有して、ウエル(well)内のサンプルを分散させるように吹飛ばすことができる」旨の限定を削除したものであり、その余の上記本願発明の特定事項を鑑みても、補正発明の技術的事項を越える発明特定事項があるとはいえないことから、上記本願発明は、技術的に補正発明を包含するものといえる。 そうすると、本願発明は、補正発明と同様に、引用発明及び上記周知技術に基づいて、又は、引用発明、引用文献1、2に記載された事項、上記技術常識及び上記周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 第4 むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法第36条第6項第2号の規定する要件を満たしておらず、仮に明確なものとして解したとしても、同法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項について論及するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2016-019185

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