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特許拒絶査定不服審判

2016-019171

ユーザ数推定システム

審判番号
2016-019171
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2015-250329外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2016年12月21日
審決日
2017年10月03日
公報発行日
2017年11月24日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-WY (G06Q)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2015-250329「ユーザ数推定システム」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 6月29日出願公開、特開2017-117107、請求項の数(3)〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 本願は、平成27年12月22日の出願であって、平成28年4月22日付けで拒絶理由通知がなされ、同年6月21日に手続補正がなされ、同年7月28日付けで拒絶理由通知(最後)がなされ、同年9月23日に手続補正がなされたが、同年10月14日付けで補正の却下の決定がなされるとともに拒絶査定(原査定)がなされ、これに対し、同年12月21日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。 第2 原査定の概要 原査定(平成28年10月14日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。 請求項1-4に係る発明は、引用文献1及び引用文献2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献等一覧 1.福崎雄生,他,“Wi-Fiパケット人流センシングにおける統計的実数解析”,マルチメディア,分散,協調とモバイル(DICOMO2015)シンポジウム論文集, 情報処理学会シンポジウムシリーズ[CD-ROM],日本,一般社団法人情報処理学会,2015年7月1日,第2015巻,第1号,p.7-14 2.特開2005-234947号公報 第3 本願発明 本願請求項1-3に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明3」という。)は、平成28年12月21日の手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-3に記載された事項により特定される以下のとおりの発明である。 「【請求項1】 施設における各ユーザが所持する移動可能な携帯端末の数を計測することで、前記施設のユーザの数を推定するシステムであって、 携帯端末からプローブ要求を受信する受信手段と、 受信した前記プローブ要求をもとに、前記携帯端末の識別情報を含むプローブ情報を生成するプローブ情報生成手段と、 前記携帯端末の前記プローブ情報を記憶する第1データベースと、 前記計測を開始する前に、計測対象から外すべき携帯端末の端末識別情報の入力を受け付ける受付手段と、 前記計測を開始する前に、計測対象から外すべき前記携帯端末の前記端末識別情報を記憶する第2データベースと、 前記第1データベースに登録されたプローブ情報の中から、前記第2データベースに登録された端末識別情報と一致する端末識別情報を有するプローブ情報を除いてプローブ情報の数を計測する計測手段と、 計測したプローブ情報の数を前記施設におけるユーザの数と推定する推定手段と、 前記第1データベースに記憶されている一定期間の前記プローブ情報を解析し、解析結果に基づいて前記計測対象から外すべき携帯端末の端末識別情報を特定する特定手段と、 特定された前記計測対象から外すべき携帯端末の端末識別情報に基づいて、前記第2データベースの記憶内容を更新する更新手段とを具備し、 前記特定手段は、前記一定期間の前記プローブ情報に含まれる時刻情報をもとに、各携帯端末の検知時刻を求め、求めた検知時刻が所定条件を満たす場合に、前記携帯端末の端末識別情報を前記計測対象から外す、ユーザ数推定システム。 【請求項2】 前記特定手段は、前記一定期間の前記プローブ情報に含まれる時刻情報をもとに、各携帯端末の前記検知時刻とともに検知頻度を求め、求めた前記検知時刻および前記検知頻度が所定条件を満たす場合に、前記携帯端末の端末識別情報を前記計測対象から外す、請求項1に記載のユーザ数推定システム。 【請求項3】 検知端末と解析装置と情報処理装置を備え、施設における各ユーザが所持する移動可能な携帯端末の数を計測することで、前記施設のユーザの数を推定するシステムであって、 前記検知端末は、 携帯端末からプローブ要求を受信する受信手段と、受信した前記プローブ要求をもとに、前記携帯端末の識別情報を含むプローブ情報を生成するプローブ情報生成手段と、 生成したプローブ情報を送信する送信手段とを備え、 前記解析装置は、 前記検知端末から送信される前記携帯端末の前記プローブ情報を記憶する第1データベースと、 前記計測を開始する前に、計測対象から外すべき携帯端末の端末識別情報の入力を受け付ける受付手段と、 前記計測を開始する前に、前記計測対象から外すべき携帯端末の前記端末識別情報を記憶する第2データベースと、 前記第1データベースに登録されたプローブ情報の中から、前記第2データベースに登録された端末識別情報と一致する端末識別情報を有するプローブ情報を除いてプローブ情報の数を計測する計測手段と、 計測したプローブ情報の数を前記施設におけるユーザの数と推定する推定手段と、 推定した前記ユーザの数を推定ユーザ数情報として前記情報処理装置に送信する送信手段と、 前記第1データベースに記憶されている一定期間の前記プローブ情報を解析し、解析結果に基づいて前記計測対象から外すべき携帯端末の端末識別情報を特定する特定手段と、 特定された前記計測対象から外すべき携帯端末の端末識別情報に基づいて、前記第2データベースの記憶内容を更新する更新手段とを具備し、 前記特定手段は、前記一定期間の前記プローブ情報に含まれる時刻情報をもとに、各携帯端末の検知時刻を求め、求めた検知時刻が所定条件を満たす場合に、前記携帯端末の端末識別情報を前記計測対象から外し、 前記情報処理装置は、 前記解析装置から送信される前記推定ユーザ数情報を表示する表示手段を備える、ユーザ数推定システム。」 第4 引用文献、引用発明等 1.引用文献1(福崎 雄生,他,“Wi-Fiパケット人流センシングにおける統計的実数解析”) 原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は、当審において付与した。) ア.「3.人流のリアルタイム解析システム概要 本論文では実環境で人流のリアルタイム解析を行う際に,解析対象領域内に存在する人の実数を推定する手法について提案するが,ここではその前提となる人流解析システムの概要について説明する.人流解析システムは図1に示すとおり,時刻同期された複数台のWi-Fiパケットセンサとクラウドストレージサーバで構成され,Wi-Fi対応機器から定期的に送信されるProbe RequestフレームをWi-Fiパケットセンサで観測し,MACアドレスを一方向性ハッシュ関数によって暗号化することで匿名化した識別子であるAMACアドレスに変換した後にVPNによるセキュアな通信路を通じてサーバにアップロードする.人の分布や流量を把握するための人流リアルタイム解析処理はクラウドストレージサーバ上の人流解析処理系で行われる. 人流解析処理系では(a)パーソントリップデータの抽出と,(b)パーソントリップデータを基にした分布および流量の把握という2つの処理を行う.(a)に関しては,まずAMACアドレスを識別子としてWi-Fi対応機器ごとに観測データを集約し,Probe RequestフレームのRSSI値が最大のWi-Fiパケットセンサの近傍にいるという判定により人と共に移動するWi-Fi対応機器(以下,移動端末と呼ぶ)の位置を求める.求めた位置情報を時系列順に繋ぐことで各Wi-Fi対応機器のパーソントリップデータを作成する.次に抽出したパーソントリップデータ群を基にして移動端末の分布や流量を把握する.・・・(中略)・・・加えて,各センサに注目し,ある時間における滞留者数を求め,さらにはその滞留者達がどこから移動して来てどこへ移動して行ったかというデータを集約する.」(9ページ左欄9行~右欄15行) イ.「4.1 観測データの純化 本人流解析手法では解析対象領域内において,移動端末のみを解析対象とする.しかし,近年のWi-Fi対応機器の普及は著しく,テレビやプリンタにもWi-Fi機能が搭載されるまでに至っている.このため,特定の場所に備え付けられたWi-Fi対応機器(以下,固定端末と呼ぶ)もProbe Requestフレームを送信している場合がある.さらに,予備調査ではWi-Fiパケットセンサと携帯端末を最大で188m離してもProbe Requestを観測できるという結果を得ており,例えばある建物内を解析対象にした場合に,その建物の付近を偶然通りかかったWi-Fi対応機器(以下,近傍通過端末と呼ぶ)を観測してしまう.そこで,Wi-Fiパケットセンサの観測データから固定端末と近傍通過端末のデータを取り除き純化を行う。 4.1.1 固定端末の除去 固定端末は特定の場所に備え付けられていると定義していることから,長期間観測されていて,かつ観測位置にばらつきがない端末を固定端末と判定する. ・・・(中略)・・・ 4.1.2 近傍通過端末の除去 観測データ中,時間的に連続して観測されず突発的にのみ検知される端末を,観測対象領域付近を偶発的に通過した近傍通過端末として判別する.解析対象領域内のセンサ設置位置とWi-Fiパケットセンサの受信可能距離を加味した上で,解析対象領域付近を通過しただけの携帯端末が観測されうる最長の時間を見積もる.見積もった時間よりも観測時間が短い端末は近傍通過端末として判別し除去を行う.」(10ページ左欄下から4行~右欄34行) ウ.「5.1 複合商業施設における実証実験 約2ヶ月間(65日間),複合商業施設内に複数台のWi-Fiパケットセンサを設置し,Probe Requestフレームを収集した.」(11ページ左欄9行~12行) エ.「5.2 Wi-Fiパケットセンサ観測データの純化 Wi-Fiパケットセンサ観測ログの純化にかかる評価について述べる. 5.2.1 固定基地局の判定 ・・・(中略)・・・したがって,2週間の観測ログにおいて観測位置の標準偏差が20m以下で,1時間毎の観測の有無を集計した結果が200回以上である端末を固定端末と判定する. 5.2.2 近傍通過端末の判定 ・・・(中略)・・・そのため,ある時点で観測された移動端末が,5分経過後にも観測されている場合には入館者とみなし,他方5分経過後に観測が存在せず単発にしか観測できていない端末については近傍通過端末と判断する.」(11ページ左欄15行~右欄18行) オ.「5.3 滞留者数の判定 ・・・(中略)・・・ 同様にしてProbe Requestフレームの観測ログからも滞留者数を算出する.そこで,ある日にある端末が一番最初に観測された時刻を入館時刻とし,一番最後に観測された時刻を退館時刻と考える.そして1時間経過毎の累積入館数と累積退館数の差分を滞留者数とみなす.」(12ページ左欄1行~右欄3行) 前記ア.~オ.によれば、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているといえる。 <引用発明> 「解析対象領域内に存在する人の実数を推定するための人流解析システムであって(前記ア.)、 時刻同期された複数台のWi-Fiパケットセンサとクラウドストレージサーバで構成され(前記ア.)、 Wi-Fiパケットセンサは、Wi-Fi対応機器から定期的に送信されるProbe Requestフレームを観測し,MACアドレスを一方向性ハッシュ関数によって暗号化することで匿名化した識別子であるAMACアドレスに変換した後にクラウドストレージサーバにアップロードし(前記ア.)、 クラウドストレージサーバは、人の分布や流量を把握するための人流リアルタイム解析処理を行い、加えて、ある時間における滞留者数を求め(前記ア.)、 人流解析は、解析対象領域内において、人と共に移動するWi-Fi対応機器(移動端末)のみを解析対象とし(前記イ.)、長期間観測されていて,かつ観測位置にばらつきがない端末を特定の場所に備え付けられたWi-Fi対応機器(固定端末)と判定し(前記イ.)、また、解析対象領域付近を通過しただけの携帯端末が観測されうる最長の時間を見積もり、見積もった時間よりも観測時間が短い端末は、その建物の付近を偶然通りかかったWi-Fi対応機器(近傍通過端末)として判別して(前記イ.)、Wi-Fiパケットセンサの観測データから固定端末と近傍通過端末のデータを取り除き(前記イ.)、 複合商業施設の実証実験では、 複合商業施設内に複数台のWi-Fiパケットセンサを設置し、Probe Requestフレームを収集し(前記ウ.)、 2週間の観測ログにおいて観測位置の標準偏差が20m以下で,1時間毎の観測の有無を集計した結果が200回以上である端末を固定端末と判定し(前記エ.)、 ある時点で観測された移動端末が,5分経過後にも観測されている場合には入館者とみなし,他方5分経過後に観測が存在せず単発にしか観測できていない端末については近傍通過端末と判断し(前記エ.)、 ある日にある端末が一番最初に観測された時刻を入館時刻とし,一番最後に観測された時刻を退館時刻と考え、1時間経過毎の累積入館数と累積退館数の差分を滞留者数とみなして、Probe Requestフレームの観測ログから滞留者数を算出する(前記オ.)、 人流解析システム。」 2.引用文献2(特開2005-234947号公報) 原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は、当審において付与した。) ア.「【0001】 本発明は、通過する人の数を計数する人数計数装置に関するものである。」 イ.「【0014】 図1は、本発明の第1実施形態に係る人数計数装置のブロック図である。図1において、破線で囲んでいる部分が本実施形態にかかる人数計数装置101である。1はコンピュータであって、制御部11、記憶部12、操作部13、および表示部14から構成されている。・・・(中略)・・・2は動画像を撮像する監視用カメラである。この監視用カメラ2は、店舗、駅、施設等のような特定場所の通路に向けて設置されていて、通路を通過する人を撮像して、撮像した画像をコンピュータ1に出力する。」 ウ.「【0015】 3はハードディスクから構成されている第1記憶装置であって、特定者データベース30を格納している。この特定者データベース30には、特定者の顔の特徴を示す顔データが予め記憶される。なお、特定者としては、通過人数の計数を行う特定場所を頻繁に通過することが予め分かっていて、通過人数から除外したい人物を設定する。具体例を挙げると、店舗であれば店員、空港や駅といった交通機関であれば当該交通機関の係員、遊園地やテーマパークといった施設であれば当該施設のスタッフ等である。4はハードディスクから構成されている第2記憶装置であって、通過者データベース40を格納している。この通過者データベース40には、制御部11が監視用カメラ2で撮像された画像から抽出した顔データが記憶される。」 エ.「【0020】 図4は、特定者データベース30への特定者の顔データの登録手順を示すフローチャートである。なお、本手順は、例えば前述の表示部14に登録開始ボタン(図示省略)が表示され、当該登録開始ボタンが前述の操作部13により操作されたときに、コンピュータ1の制御部11が実行する。図4において、前述の顔画像入力装置5がコンピュータ1に接続された後、登録開始ボタンが操作されると、制御部11は、特定者を撮像した画像のデータを顔画像入力装置5から取得する(ステップS1)。次に、制御部11は、取得した画像データより顔を検出する(ステップS2)。この顔の検出には、肌色検出による方法、背景画像との差分を抽出する方法、パターンマッチングから顔らしさを抽出する方法など、公知の方法が用いられる。顔を検出すると、制御部11は、顔画像から目、鼻、口、耳等の特徴点を検出し、検出した各特徴点についてそれらの形状や位置に関する特徴量を抽出する(ステップS3)。この特徴量の抽出も、目、鼻、口、耳等の濃淡画像からテンプレートマッチングにより特徴量を抽出する方法など、公知の方法を用いて行うことができる。特徴量を抽出すると、制御部11は、当該特徴量を特定者の顔データとして特定者データベース30に記憶させて登録して(ステップS4)、処理を終了する。」 オ.「【0022】 図5において、例えば上述した計数開始ボタンが操作されると、制御部11は、通過者データベース40の記憶内容をクリア(全消去)し(ステップS11)、記憶部12の通過人数カウンタC1の示す値をクリア(0に初期化)する(ステップS12)。この後、制御部11は、監視用カメラ2から出力される画像データを取得し(ステップS13)、取得した画像データより通過者の顔を検出する(ステップS14)。顔を検出すると、制御部11は、検出した顔をトラッキングし(ステップS15)、トラッキングして取得できた静止画像である顔画像から目、鼻、口、耳等の特徴点を検出し、検出した各特徴点についてそれらの形状や位置に関する特徴量を抽出する(ステップS16)。・・・(中略)・・・ 【0023】 上記のように特徴量を抽出すると、制御部11は、抽出した特徴量と特定者データベース30に記憶されている特定者の特徴量32(図2)とを照合して(ステップS17)、今回の通過者が特定者であるか否かを判定する(ステップS18)。ここで、抽出した特徴量と特定者データベース30の特徴量32とが一致すると、制御部11は、特定者であると判断する(ステップS18:YES)。このように判断すると、制御部11は、次の通過者を処理するためにステップS13へ移行し、再びステップS13~ステップS18を上述した手順で実行する。 【0024】 一方、ステップS18で、抽出した特徴量と特定者データベース30の特徴量32とが一致しなければ、制御部11は、特定者ではないと判断する(ステップS18:NO)。このように判断すると、制御部11は、抽出した特徴量と通過者データベース40に記憶されている既に通過した人(以下、既通過者という)の特徴量42(図3)とを照合して(ステップS19)、今回の通過者と同一人物が既通過者の中に居るか否かを判定する(ステップS20)。ここで、抽出した特徴量と通過者データベース40の特徴量42とが一致しなければ、制御部11は、同一人物は居ないと判断する(ステップS20:NO)。・・・(中略)・・・このように判断すると、制御部11は、通過人数カウンタC1の示す値に1を加算し(ステップS21)、抽出した特徴量を通過者の顔データとして通過者データベース40に記憶させて保存する(ステップS23)。このとき、通過者データベース40には、図3に示したように通過者の特徴量42とともに、保存番号41、通過日時43、およびID番号44が記憶される。 【0025】 上記に対して、ステップS20で、抽出した特徴量と通過者データベース40の特徴量42とが一致すると、制御部11は、同一人物が居ると判断する(ステップS20:YES)。このように判断すると、制御部11は、今回抽出した特徴量に関連付けて同一人物検出フラグを立てる(ステップS22)。なお、同一人物検出フラグを立てる領域は、通過者データベース40に設けてもよいし、制御部11に内蔵されたメモリまたは記憶部12に設けてもよい。同一人物検出フラグを立てると、制御部11は、抽出した特徴量を通過者の顔データとして通過者データベース40に記憶させて保存する(ステップS23)。このときにも、通過者データベース40には、図3に示したように通過者の特徴量42とともに、保存番号41、通過日時43、およびID番号44が記憶される。 【0026】 特徴量を保存すると、制御部11は、通過人数の計数を終了するか否かを判断する(ステップS24)。ここで、例えば上述した計数終了ボタンが未だ操作されていなければ、制御部11は、通過人数の計数を終了しないと判断し(ステップS24:NO)、次の通過者を処理するためにステップS13へ移行して、再びステップS13~ステップS24を上述した手順で実行する。そして、ステップS13~ステップS24を何回か繰り返し実行した後に、ステップS24で、計数終了ボタンが操作されていると、制御部11は、通過人数の計数を終了すると判断し(ステップS24:YES)、処理を終了する。 【0027】 上記のように処理を終了した後、制御部11は、このときの通過人数カウンタC1の示す値を特定場所の通過人数として前述の表示部14に表示させて通知する。」 前記ア.~オ.によれば、引用文献2には、次の発明(以下、「引用文献2発明」という。)が記載されているといえる。 <引用文献2発明> 「通過する人の数を計数する人数計数装置において(【0001】)、 制御部11を有するコンピュータ1と(【0014】)、 店舗、駅、施設の通路に向けて設置され、通路を通過する人を撮像して、撮像した画像をコンピュータ1に出力する監視用カメラ2と(【0014】)、 特定者データベース30を格納した第1記憶装置と(【0015】)、 監視用カメラ2で撮像された画像から抽出した顔データが記憶される通過者データベース40を格納した第2記憶装置と(【0015】)、 を備え、 特定者データベース30には、通過人数の計数を行う特定場所を頻繁に通過することが予め分かっていて、通過人数から除外したい人物の顔の特徴を示す顔データが予め記憶され、当該人物は、店舗であれば店員、空港や駅といった交通機関であれば当該交通機関の係員、遊園地やテーマパークといった施設であれば当該施設のスタッフであり(【0015】)、 制御部11は、 登録開始ボタンが操作されると、特定者を撮像した画像のデータを顔画像入力装置5から取得し(ステップS1、【0020】)、 取得した画像データより顔を検出し(ステップS2、【0020】)、 顔画像から特徴量を抽出し(ステップS3、【0020】)、 当該特徴量を特定者の顔データとして特定者データベース30に登録し(ステップS4、【0020】)、 また、計数開始ボタンが操作されると(ステップS11、【0022】)、 監視用カメラ2から出力される画像データを取得し(ステップS13、【0022】)、 取得した画像データより、通過者の顔を検出して特徴量を抽出し(ステップS14~S16、【0022】)、 抽出した特徴量と特定者データベース30に記憶されている特定者の特徴量32とを照合して、通過者が特定者であるか否かを判定し(ステップS17~S18、【0023】)、 特定者であると判断すると、次の通過者を処理するためにステップS13へ移行し、再びステップS13~ステップS18を実行し(【0023】)、 特定者ではないと判断すると、抽出した特徴量と通過者データベース40に記憶されている既通過者の特徴量42とを照合して、今回の通過者と同一人物が既通過者の中に居るか否かを判定し(ステップS19~S20、【0024】)、 同一人物は居ないと判断すると、通過人数カウンタC1の示す値に1を加算し(ステップS21、【0024】)、抽出した特徴量を通過者の顔データとして通過者データベース40に記憶し(ステップS23、【0024】)、 同一人物が居ると判断すると、今回抽出した特徴量に関連付けて同一人物検出フラグを立て(ステップS22、【0025】)、抽出した特徴量を通過者の顔データとして通過者データベース40に記憶させ(ステップS23、【0025】)、 特徴量を保存すると、通過人数の計数を終了するか否かを判断し(ステップS24)、通過人数の計数を終了しないと判断すると、次の通過者を処理するためにステップS13へ移行して、再びステップS13~ステップS24を実行する(【0026】)、 人数計数装置。」 第5 対比・判断 1.本願発明1について (1)対比 次に、本願発明1と引用発明とを対比する。 ・引用発明の「人と共に移動するWi-Fi対応機器(移動端末)」は、施設内にいる人の移動端末を含むから、本願発明1の「施設における各ユーザが所持する移動可能な携帯端末」に相当する。 ・引用発明は、複合商業施設の実証実験において、ある端末が一番最初に観測された時刻を入館時刻とし,一番最後に観測された時刻を退館時刻と考え、1時間経過毎の累積入館数と累積退館数の差分を滞留者数とするものであるから、上記滞留者数は、施設のユーザの数といえる。 また、滞留者数は、滞留者が所持する携帯端末を観測して、その数から推定された数といえる。 したがって、移動端末の1時間経過毎の累積入館数と累積退館数の差分から滞留者数を求めることは、本願発明1の「施設における各ユーザが所持する移動可能な携帯端末の数を計測することで、前記施設のユーザの数を推定する」ことといえる。 以上のことから、引用発明の、複合商業施設に設けられた、移動端末を観測して滞留者数を求める人流解析システムは、本願発明1の「施設における各ユーザが所持する移動可能な携帯端末の数を計測することで、前記施設のユーザの数を推定するシステム」に相当する。 ・ 引用発明のWi-Fiパケットセンサは、人と共に移動するWi-Fi対応機器(移動端末)からProbe Request(プローブ要求)を受信するから、本願発明1の「携帯端末からプローブ要求を受信する受信手段」に相当する。 ・引用発明の「Wi-Fiパケットセンサの観測データ」は、「MACアドレスを一方向性ハッシュ関数によって暗号化することで匿名化した識別子であるAMACアドレス」を含むから、本願発明1の「前記携帯端末の識別情報を含むプローブ情報」に相当する。 ・引用発明の観測データは、受信したプローブ要求をもとに生成されたといえるから、この観測データを生成する手段は、本願発明1の「受信した前記プローブ要求をもとに、前記携帯端末の識別情報を含むプローブ情報を生成するプローブ情報生成手段」に相当する。 ・引用発明の「近傍通過端末」は、「解析対象領域付近を通過しただけの携帯端末」であり、そのデータは観測データから取り除かれるから、本願発明1の「計測対象から外すべき携帯端末」に相当する。 ・引用発明の、Wi-Fiパケットセンサの観測データから近傍通過端末のデータを取り除くことと、本願発明1の「前記第1データベースに登録されたプローブ情報の中から、前記第2データベースに登録された端末識別情報と一致する端末識別情報を有するプローブ情報を除いて」は、「プローブ情報の中から、計測対象から外すべき携帯端末のプローブ情報を除いて」の点で共通する。 また、引用発明の「ある日にある端末が一番最初に観測された時刻を入館時刻とし,一番最後に観測された時刻を退館時刻と考え」て、「1時間経過毎の累積入館数と累積退館数の差分」を求めることは、1時間経過毎に、ある端末を一番最初に観測したプローブ情報の数、一番最後に観測したプローブ情報の数を累積して、その差分に当たるプローブ情報の数を計測することといえる。 したがって、引用発明の「Wi-Fiパケットセンサの観測データ」から「近傍通過端末のデータを取り除き」、「1時間経過毎の累積入館数と累積退館数の差分」を求める手段と、本願発明1の「前記第1データベースに登録されたプローブ情報の中から、前記第2データベースに登録された端末識別情報と一致する端末識別情報を有するプローブ情報を除いてプローブ情報の数を計測する計測手段」は、「前記プローブ情報の中から、計測対象から外すべき携帯端末のプローブ情報を除いてプローブ情報の数を計測する計測手段」の点で共通する。 ・引用発明の「1時間経過毎の累積入館数と累積退館数の差分を滞留者数とみなす」手段は、1時間経過毎に、ある端末を一番最初に観測したプローブ情報の数、一番最後に観測したプローブ情報の数を累積して、その差分に当たるプローブ情報の数を、施設におけるユーザの数と推定することといえるから、本願発明1の「計測したプローブ情報の数を前記施設におけるユーザの数と推定する推定手段」に相当する。 ・引用発明の「解析対象領域付近を通過しただけの携帯端末が観測されうる最長の時間を見積もり、見積もった時間よりも観測時間が短い端末は、その建物の付近を偶然通りかかったWi-Fi対応機器(近傍通過端末)として判別」する手段と、本願発明1の「前記第1データベースに記憶されている一定期間の前記プローブ情報を解析し、解析結果に基づいて前記計測対象から外すべき携帯端末の端末識別情報を特定する特定手段」は、「前記プローブ情報を解析し、解析結果に基づいて前記計測対象から外すべき携帯端末を特定する特定手段」の点で共通する。 ・引用発明の「解析対象領域付近を通過しただけの携帯端末が観測されうる最長の時間を見積もり、見積もった時間よりも観測時間が短い端末は、その建物の付近を偶然通りかかったWi-Fi対応機器(近傍通過端末)として判別して、Wi-Fiパケットセンサの観測データから固定端末と近傍通過端末のデータを取り除」く手段は、観測データが「見積もった時間よりも観測時間が短い」という所定条件を満たす場合に、携帯端末を計測対象から外す手段といえる。 したがって、引用発明の上記手段と、本願発明1の「前記特定手段は、前記一定期間の前記プローブ情報に含まれる時刻情報をもとに、各携帯端末の検知時刻を求め、求めた検知時刻が所定条件を満たす場合に、前記携帯端末の端末識別情報を前記計測対象から外す」は、「前記特定手段は、プローブ情報が所定条件を満たす場合に、前記携帯端末を前記計測対象から外す」の点で共通する。 したがって、本願発明1と引用発明との一致点・相違点は次の通りである。 <一致点> 「施設における各ユーザが所持する移動可能な携帯端末の数を計測することで、前記施設のユーザの数を推定するシステムであって、 携帯端末からプローブ要求を受信する受信手段と、 受信した前記プローブ要求をもとに、前記携帯端末の識別情報を含むプローブ情報を生成するプローブ情報生成手段と、 前記プローブ情報の中から、計測対象から外すべき携帯端末のプローブ情報を除いてプローブ情報の数を計測する計測手段と、 計測したプローブ情報の数を前記施設におけるユーザの数と推定する推定手段と、 前記プローブ情報を解析し、解析結果に基づいて前記計測対象から外すべき携帯端末を特定する特定手段と、 とを具備し、 前記特定手段は、プローブ情報が所定条件を満たす場合に、前記携帯端末を前記計測対象から外す、ユーザ数推定システム。」 <相違点1> 本願発明1は、「前記携帯端末の前記プローブ情報を記憶する第1データベース」を具備するのに対し、引用発明は、移動端末の観測データを記憶するためのデータベースを備えていない点。 <相違点2> 本願発明1は、「前記計測を開始する前に、計測対象から外すべき携帯端末の端末識別情報の入力を受け付ける受付手段」を具備するのに対し、引用発明は当該受付手段を備えていない点。 <相違点3> 本願発明1は、「前記計測を開始する前に、計測対象から外すべき前記携帯端末の前記端末識別情報を記憶する第2データベース」を具備するのに対し、引用発明は当該第2データベースを備えていない点。 <相違点4> 「前記プローブ情報の中から、計測対象から外すべき携帯端末のプローブ情報を除いてプローブ情報の数を計測する計測手段」が、本願発明1では、「前記第1データベースに登録されたプローブ情報の中から、前記第2データベースに登録された端末識別情報と一致する端末識別情報を有するプローブ情報を除」くものであるのに対し、引用発明では、プローブ情報(観測データ)が、「第1データベースに登録された」ものではなく、また、除かれるプローブ情報は、「ある時点で観測された移動端末」が「5分経過後に観測が存在せず単発にしか観測できていない」ときの、観測された単発のプローブ情報(観測データ)であり、「前記第2データベースに登録された端末識別情報と一致する端末識別情報を有するプローブ情報」ではない点。 <相違点5> 特定手段によって解析されるプローブ情報が、本願発明1では「前記第1データベースに記憶されている一定期間の前記プローブ情報」であるのに対し、引用発明では、「第1データベースに記憶されている一定期間」のものではない点。 また、特定手段が、本願発明1では「端末識別情報」を特定するのに対し、引用発明では、「端末識別情報」を特定しているかどうか不明である点。 <相違点6> 本願発明1は、「特定された前記計測対象から外すべき携帯端末の端末識別情報に基づいて、前記第2データベースの記憶内容を更新する更新手段」を具備するのに対し、引用発明は当該更新手段を備えていない点。 <相違点7> 「プローブ情報が所定条件を満たす場合」が、本願発明1では「前記一定期間の前記プローブ情報に含まれる時刻情報をもとに、各携帯端末の検知時刻を求め、求めた検知時刻が所定条件を満たす場合」であるのに対し、引用発明では「ある時点で観測された移動端末」が,「5分経過後に観測が存在せず単発にしか観測できていない」という所定条件を満たす場合である点。 また、この条件を満たす場合に、計測対象から外すものが、本願発明1では「前記携帯端末の端末識別情報」であるのに対し、引用発明では「近傍通過端末」である点。 (2)判断 まず、上記相違点4について検討する。 引用発明において、近傍通過端末について取り除かれる観測データは、「ある時点で観測された移動端末」が「5分経過後に観測が存在せず単発にしか観測できていない」と判別されたときの、その単発の観測データであり、観測データの中から近傍通過端末のAMACアドレスに該当するものを取り除くものではない。 すなわち、複合商業施設の入館者と判別されたときの観測データは、たとえ、近傍通過端末のAMACアドレスに該当したとしても、取り除かれない。 一方、本願発明1は、「前記携帯端末の前記プローブ情報を記憶する第1データベース」を設け、「前記第1データベースに登録されたプローブ情報の中から、前記第2データベースに登録された端末識別情報と一致する端末識別情報を有するプローブ情報を除」くものである。 したがって、本願発明1と引用発明とでは、取り除く対象となるプローブ情報が異なっており、相違点4に係るプローブ情報を除くことは、引用発明において示唆されていない。また、引用文献2発明はプローブ情報を利用するものではなく、この点は、引用文献2発明においても示唆もされていない。 したがって、相違点4に係る構成は、引用発明及び引用文献2発明に基づいて容易に想到し得るものではない。 次に、上記相違点3について検討する。 引用発明の近傍通過端末は、建物の付近を偶然通りかかった携帯端末であり、その端末識別情報は、観測中に偶然取得されるものである。したがって、近傍通過端末の端末識別情報を記憶するデータベースを設けたとしても、観測を開始する前に、近傍通過端末の端末識別情報を記憶させることはない。 一方、本願発明1の第2のデータベースは、「前記計測を開始する前に、計測対象から外すべき前記携帯端末の前記端末識別情報を記憶する」ものである。 したがって、引用発明に、近傍通過端末の端末識別情報を記憶するデータベースを設けたとしても、相違点3に係る第2データベースを容易に想到し得ない。 また、本願発明1の第2のデータベースは、「携帯端末」を対象とするものであるから、引用発明において、「固定端末」の端末識別情報を記憶するデータベースを設けたとしても、相違点3に係る第2データベースを容易に想到し得ない。 さらに、引用文献2発明の特定者データベースは、通過人数の計数を行う特定場所を頻繁に通過することが予め分かっていて、通過人数から除外したい人物の顔の特徴を示す顔データを予め記憶するものであり、計測対象から外すべき携帯端末の端末識別情報を記憶するものではない。したがって、相違点3に係る第2データベースは引用文献2発明にも示されていない。また、引用発明における近傍通過端末のユーザは、引用文献2発明の特定者に該当しないから、近傍通過端末のユーザを通過人数の計数から除くために引用文献2発明の特定者データベースを適用する動機もない。 したがって、他の相違点1,2、5-7について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用発明、引用文献2発明に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。 2.本願発明2について 本願発明2も、本願発明1の「前記計測を開始する前に、計測対象から外すべき前記携帯端末の前記端末識別情報を記憶する第2データベース」と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献2発明に基づいて容易に発明できたものとはいえない。 3.本願発明3について 本願発明3は、本願発明1の各手段を検知端末と解析装置とに備えるとともに、解析装置から送信される推定ユーザ数情報を表示する表示手段を備える情報処理装置を付加した発明であり、本願発明1の「前記計測を開始する前に、計測対象から外すべき前記携帯端末の前記端末識別情報を記憶する第2データベース」に対応する構成を備えるものであるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献2発明に基づいて容易に発明できたものとはいえない。 第6 原査定について 審判請求時の補正による本願発明1-3は、「前記計測を開始する前に、計測対象から外すべき前記携帯端末の前記端末識別情報を記憶する第2データベース」及び対応する構成を備えるものであるから、当業者であっても、拒絶査定において引用された引用文献1、2に基づいて容易に発明できたものとはいえない。 したがって、原査定の理由を維持することはできない。 第7 むすび 以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。

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2016-019171

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