特許拒絶査定不服審判
2016-018135
遮蔽電気ケーブルの電気的特性
- 審判番号
- 2016-018135
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2013-152639外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2016年12月02日
- 審決日
- 2017年06月26日
- 公報発行日
- 2017年08月25日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 分類
- P18 .121-WY (H01B) / P18 .575-WY (H01B)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2013-152639「遮蔽電気ケーブルの電気的特性」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 1月30日出願公開、特開2014- 17254、請求項の数(3)〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、2010年12月16日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2010年8月31日 米国)を国際出願日とする出願である特願2013-503734号の一部を、平成25年7月23日に新たな特許出願としたものであって、平成26年6月25日付けで拒絶理由が通知され、平成27年1月5日付けで手続補正がされ、同年8月31日付けで拒絶理由が通知され、平成28同年3月8日付けで手続補正がされ、同年7月27日付けで拒絶査定(原査定)がされ、これに対し、同年12月2日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がされたものである。
第2 原査定の理由の概要
原査定(平成28年7月27日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
本願請求項1-3に係る発明は、以下の引用文献1-2に基いて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献等一覧
1..特開2006-286480号公報
2.実願昭60-076507号(実開昭61-194218号)のマイクロフィルム
第3 本願発明
本願請求項1-3に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明3」という。)は、平成28年12月2日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-3に記載された事項により特定される発明であり、以下のとおりの発明である。
「【請求項1】
遮蔽電気ケーブルであって、
前記ケーブルの長さに沿って延在し、かつ前記ケーブルの幅に沿って互いに間隔を置いて配置されている複数の導体セットであって、各導体セットは二芯構成に配置された2つの導体を有し、前記導体のそれぞれは、24AWG(直径0.511mm)以下の寸法を有する、導体セットと、
前記ケーブルの対向する側に配置される電気的に導電性の第1遮蔽フィルム及び第2遮蔽フィルムであって、いずれの遮蔽フィルムも、前記ケーブルの両側で導体セットを被覆するように前記遮蔽フィルムを向ける長手方向の折り畳み部を含まず、当該第1及び第2遮蔽フィルムがカバー部分及び挟まれた部分を含み、横断面において、前記第1及び第2遮蔽フィルムの前記カバー部分が組み合わされて各導体セットを実質的に包囲し、前記第1及び第2遮蔽フィルムの前記挟まれた部分が組み合わされて各導体セットの両側に前記ケーブルの挟まれた部分を形成するように配置される、第1遮蔽フィルム及び第2遮蔽フィルムと、
前記第1及び第2遮蔽フィルムの間に配置され、前記第1及び第2遮蔽フィルムの前記挟まれた部分では前記第1遮蔽フィルムと前記第2遮蔽フィルムとを互いに結合し、前記第1及び第2遮蔽フィルムの前記カバー部分では前記第1及び第2遮蔽フィルムを各導体セットに結合する接着層であって、前記第1及び第2遮蔽フィルムの前記カバー部分では第1の厚さを有し、前記第1及び第2遮蔽フィルムの前記挟まれた部分ではより大きな第2の厚さを有する、接着層と、
を備え、
各導体セットの挿入損失は、1メートル当たり約-5dB未満、又は1メートル当たり約-4dB未満、又は1メートル当たり約-3dB未満である、遮蔽電気ケーブル。
【請求項2】
遮蔽電気ケーブルであって、
前記ケーブルの長さに沿って延在し、かつ前記ケーブルの幅に沿って互いに間隔を置いて配置されている複数の導体セットであって、各導体セットは二芯構成に配置された2つの導体を有し、前記導体のそれぞれは、24AWG(直径0.511mm)以下の寸法を有する、導体セットと、
前記ケーブルの対向する側に配置される電気的に導電性の第1遮蔽フィルム及び第2遮蔽フィルムであって、いずれの遮蔽フィルムも、前記ケーブルの両側で導体セットを被覆するように前記遮蔽フィルムを向ける長手方向の折り畳み部を含まず、当該第1及び第2遮蔽フィルムがカバー部分及び挟まれた部分を含み、横断面において、前記第1及び第2遮蔽フィルムの前記カバー部分が組み合わされて各導体セットを実質的に包囲し、前記第1及び第2遮蔽フィルムの前記挟まれた部分が組み合わされて各導体セットの両側に前記ケーブルの挟まれた部分を形成するように配置される、第1遮蔽フィルム及び第2遮蔽フィルムと、
前記第1及び第2遮蔽フィルムの間に配置され、前記第1及び第2遮蔽フィルムの前記挟まれた部分では前記第1遮蔽フィルムと前記第2遮蔽フィルムとを互いに結合し、前記第1及び第2遮蔽フィルムの前記カバー部分では前記第1及び第2遮蔽フィルムを各導体セットに結合する接着層であって、前記第1及び第2遮蔽フィルムの前記カバー部分では第1の厚さを有し、前記第1及び第2遮蔽フィルムの前記挟まれた部分ではより大きな第2の厚さを有する、接着層と、
を備え、
前記ケーブルは、約20psec/メートル未満、又は約10psec/メートル未満のスキューを有する、遮蔽電気ケーブル。
【請求項3】
遮蔽電気ケーブルであって、
前記ケーブルの長さに沿って延在し、かつ前記ケーブルの幅に沿って互いに間隔を置いて配置されている複数の導体セットであって、前記導体セットはそれぞれ二芯構成に配置された2つの導体を含み、前記導体はそれぞれ、24AWG(直径0.511mm)以下の寸法を有する、導体セットと、
前記ケーブルの対向する側に配置される電気的に導電性の第1遮蔽フィルム及び第2遮蔽フィルムであって、いずれの遮蔽フィルムも、前記遮蔽フィルムをそれ自体に結合させるシームを含まず、当該第1及び第2遮蔽フィルムがカバー部分及び挟まれた部分を含み、横断面において、前記第1及び第2遮蔽フィルムの前記カバー部分が組み合わされて各導体セットを実質的に包囲し、前記第1及び第2遮蔽フィルムの前記挟まれた部分が組み合わされて各導体セットの両側に前記ケーブルの挟まれた部分を形成するように配置される、第1遮蔽フィルム及び第2遮蔽フィルムと、
前記第1及び第2遮蔽フィルムの間に配置され、前記第1及び第2遮蔽フィルムの前記挟まれた部分では前記第1遮蔽フィルムと前記第2遮蔽フィルムとを互いに結合し、前記第1及び第2遮蔽フィルムの前記カバー部分では前記第1及び第2遮蔽フィルムを各導体セットに結合する接着層であって、前記第1及び第2遮蔽フィルムの前記カバー部分では第1の厚さを有し、前記第1及び第2遮蔽フィルムの前記挟まれた部分ではより大きな第2の厚さを有する、接着層と、
を備え、
前記第1遮蔽フィルム及び第2遮蔽フィルムの第1の前記カバー部分間の最大離間距離はDであり、前記第1遮蔽フィルム及び第2遮蔽フィルムの第1の前記挟まれた部分間の最小離間距離はd1であり、d1/Dは約0.25未満である、遮蔽電気ケーブル。」
第4 引用文献、引用発明等
1.引用文献1について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。(下線部は当審において付加した。以下、同じ。)
ア.「【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピュータデバイスの周辺機器、高解像度の画像の伝送や高速HDDなどの記憶媒体の伝送回路に用いられる差動信号伝送ケーブルに関する。」(2頁14-17行)
イ.「【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
まず、本発明の実施の形態を図1、図2、図3に基づいて説明する。
【0023】
ここで、図1は本発明の差動信号伝送ケーブルを構成する差動信号対電線の斜視図、図2は差動信号伝送ケーブルの部分拡大断面図、図3は差動信号伝送ケーブルの断面図である。
【0024】
まず、図1に示すように差動信号対電線9は、例えば外径0.254mmの軟銅線からなる中心導体1とこの中心導体1の外周に設けた厚さ0.28mmの難燃ポリオレフィンからなる絶縁層2により構成された絶縁電線3を2本平行に並べ、その両側面に接して平行に配置されたドレイン線4、4を包含するように導電性テープ5が縦添えされシールド層が構成されている。この導電性テープ5は樹脂フィルム層5aの表面に金属層5bを設けさらにその金属層5bの表面上に接着層5cが設けられており、導電性テープ5の接着層5cが絶縁電線3並びにドレイン線4の側に向くように縦添えされている。またドレイン線4は中心導体1に用いたものと同じ外径の軟銅線である。
【0025】
ここで、中心導体1とドレイン線4を軟銅線として説明したが錫メッキや銀メッキを施した軟銅線の単線若しくは撚り線であっても良い。
【0026】
また、絶縁層2は難燃ポリオレフィンに限られるものではなく高周波でも安定した低誘電率特性のあるポリエチレン、TPE、フッ素樹脂や発泡体であっても良い。
【0027】
そして、導電性テープ5は厚さ0.015mmのアルミ蒸着ポリエステルフィルムのアルミ面上にホットメルトタイプの熱可塑性樹脂を接着層としてアルミ面上の全面若しくは部分的に薄くコーティングしたものが良い。ただし導電性テープ5は絶縁フィルム層5aの表面に金属層5bを設けさらにその金属層5bの表面に接着層5cを設けた構成であれば良く上記構成に限定されるものでない。
【0028】
次に、図2及び図3に示すように差動信号伝送ケーブル10は、複数本の差動信号対電線9がコネクターピッチ間隔に合わせて平面状に平行に揃えて並べられ、フィルム層7aと接着層7bから成る絶縁フィルム7、7により両側から貼り合わせられることにより外部絶縁層8が形成されている。
【0029】
ここで絶縁フィルム7はフィルム層7aの表面上に接着層7bを設けたものであれば良く、このような絶縁フィルム7としては例えば厚さ0.3mmのポリエステルテープの表面に熱可塑性樹脂を接着層として全面若しくは部分的に設けたものが良い。
【0030】
さらにコネクターピッチ間隔はコネクタの仕様に合わせ例えば3.81mmの倍数の間隔で平面状に配列されている。
【0031】
このようにして形成された差動信号伝送ケーブル10は、図1に示すように差動信号対電線9のシールド層が導電性テープ5を縦添えすることにより形成されるので、絶縁電線3やドレイン線4が捻られることはなく差動信号対電線の対内スキューは生じない。」(4頁25行-5頁18行)
したがって、上記引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
〈引用発明〉
「複数本の差動信号対電線9がコネクターピッチ間隔に合わせて平面状に平行に揃えて並べられ、フィルム層7aと接着層7bから成る絶縁フィルム7、7により両側から貼り合わせられることにより外部絶縁層8が形成されている差動信号伝送ケーブル10であって、
前記差動信号対電線9は、外径0.254mmの軟銅線からなる中心導体1とこの中心導体1の外周に設けた厚さ0.28mmの難燃ポリオレフィンからなる絶縁層2により構成された絶縁電線3を2本平行に並べ、その両側面に接して平行に配置されたドレイン線4、4を包含するように導電性テープ5が縦添えされシールド層が構成したものであって、
前記導電性テープ5は樹脂フィルム層5aの表面に金属層5bを設けさらにその金属層5bの表面上に接着層5cが設けられており、導電性テープ5の接着層5cが絶縁電線3並びにドレイン線4の側に向くように縦添えされる、
差動信号伝送ケーブル10。」
2.引用文献2について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。
ア.「(産業上の利用分野)
本考案は通信装置および電子装置用の配線用電線であって、厚さが薄く、平らな形状をしており、床、壁、天井等に貼り付けて配線する電線に関するものである。」(1頁11-15行)
イ.「第1図に示すように、熱可塑性樹脂もしくは加熱硬化性樹脂の絶縁体2により被覆された軟銅線もしくはメッキ付き軟銅線からなる導体1に、さらにもう一層、保護層としてポリイミド樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂もしくはポリエーテルイミド樹脂等の強靭なプラスチックからなる保護層3で被覆したものを1条として、それを2条ないし4条ずつを密接に引きそろえ、その上下両側から金属テープ4で挾んで融着し、遮蔽体とする。さらにその上に両側から、PE、PVC、PET、PP、PVDF等のプラスチック単体もしくは複数の材質を貼り合わせた保護用プラスチックテープ5で貼り合わせて、平形の電線を作成する。この場合、所要の対数の条数を平行に引きそろえたものに沿わせて1本の軟銅線からなる接地線12を金属テープ4の中に一緒に封入して、導体に沿えた接地線として使用する。」(4頁20行-5頁16行)
・上記イ.には、平形の電線において、絶縁体2により被覆された軟銅線からなる導体1を保護層3で被覆したものを1条として、それを2条ずつを密接に引きそろえ、その上下両側から金属テープ4で挾んで融着し、遮蔽体とすること、が記載されている。
・また、図1の記載によれば、上記「上下両側から金属テープ4で挾んで融着」される部分は、「2条」の線の両側部分である。
したがって、引用文献2には、以下の技術的事項(以下、「引用文献2記載の技術事項」という。)が記載されていると認められる。
「平形の電線において、絶縁体2により被覆された軟銅線からなる導体1を保護層3で被覆したものを1条として、それを2条ずつを密接に引きそろえ、その上下両側から金属テープ4で挾んで前記2条の両側部分を融着し、遮蔽体とすること。」
第5 対比・判断
1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。
ア.引用発明の「差動信号伝送ケーブル10」は、「導電性テープ5が縦添えされ」た「シールド層」を有するものであるから、引用発明の「差動信号伝送ケーブル10」は、本願発明1の「遮蔽電気ケーブル」に相当する。
。
イ.引用発明の「2本平行に並べ」た「絶縁電線3」は、「セット」といえ、さらに、「複数本」が「コネクターピッチ間隔に合わせて平面状に平行に揃えて並べられ」た「差動信号対電線9」を構成するものであり、また、各「絶縁電線3」の「中心導体1」は「外径0.254mmの軟銅線からなる」ものであるから、引用発明の「中心導体1」は、本願発明1の「24AWG(直径0.511mm)以下の寸法を有する」「導体」に相当し、そして、引用発明の「2本平行に並べ」た「絶縁電線3」は、本願発明1の「前記ケーブルの長さに沿って延在し、かつ前記ケーブルの幅に沿って互いに間隔を置いて配置されている複数の導体セットであって、各導体セットは二芯構成に配置された2つの導体を有し、前記導体のそれぞれは、24AWG(直径0.511mm)以下の寸法を有する、導体セット」に相当する。
ウ.引用発明の「導電性テープ5」は、「表面に金属層5bを設け」たものであって、さらに、「絶縁電線3を2本平行に並べ、その両側面に接して平行に配置されたドレイン線4、4を包含するように」「縦添えされシールド層」を「構成」するものであるから、引用発明の「導電性テープ5」と、本願発明1の「前記ケーブルの対向する側に配置される電気的に導電性の第1遮蔽フィルム及び第2遮蔽フィルムであって、いずれの遮蔽フィルムも、前記ケーブルの両側で導体セットを被覆するように前記遮蔽フィルムを向ける長手方向の折り畳み部を含まず、当該第1及び第2遮蔽フィルムがカバー部分及び挟まれた部分を含み、横断面において、前記第1及び第2遮蔽フィルムの前記カバー部分が組み合わされて各導体セットを実質的に包囲し、前記第1及び第2遮蔽フィルムの前記挟まれた部分が組み合わされて各導体セットの両側に前記ケーブルの挟まれた部分を形成するように配置される、第1遮蔽フィルム及び第2遮蔽フィルム」とは、「電気的に導電性であって、各導体セットを実質的に包囲する遮蔽フィルム」の点では共通する。
エ.引用発明の「接着層5c」は、「導電性テープ5」の「金属層5b」の表面に設けられたものであって、「絶縁電線3並びにドレイン線4の側に向くように縦添えされ」るものであり、「接着層5c」は、「導電性テープ5」を「絶縁電線3」に結合するものと認められることから、引用発明の「接着層5c」と、本願発明1の「前記第1及び第2遮蔽フィルムの間に配置され、前記第1及び第2遮蔽フィルムの前記挟まれた部分では前記第1遮蔽フィルムと前記第2遮蔽フィルムとを互いに結合し、前記第1及び第2遮蔽フィルムの前記カバー部分では前記第1及び第2遮蔽フィルムを各導体セットに結合する接着層であって、前記第1及び第2遮蔽フィルムの前記カバー部分では第1の厚さを有し、前記第1及び第2遮蔽フィルムの前記挟まれた部分ではより大きな第2の厚さを有する、接着層」とは、「遮蔽フィルムを各導体セットに結合する接着層」の点では共通する。
よって、本願発明1と引用発明は、以下の点で一致、ないし相違している。
(一致点)
「遮蔽電気ケーブルであって、
前記ケーブルの長さに沿って延在し、かつ前記ケーブルの幅に沿って互いに間隔を置いて配置されている複数の導体セットであって、各導体セットは二芯構成に配置された2つの導体を有し、前記導体のそれぞれは、24AWG(直径0.511mm)以下の寸法を有する、導体セットと、
電気的に導電性であって、各導体セットを実質的に包囲する遮蔽フィルムと、
前記遮蔽フィルムを各導体セットに結合する接着層と、
を備えた、
遮蔽電気ケーブル。」
(相違点1)
上記「遮蔽フィルム」が、本願発明1では、「前記ケーブルの対向する側に配置される電気的に導電性の第1遮蔽フィルム及び第2遮蔽フィルムであって、いずれの遮蔽フィルムも、前記ケーブルの両側で導体セットを被覆するように前記遮蔽フィルムを向ける長手方向の折り畳み部を含まず、当該第1及び第2遮蔽フィルムがカバー部分及び挟まれた部分を含み、横断面において、前記第1及び第2遮蔽フィルムの前記カバー部分が組み合わされて各導体セットを実質的に包囲し、前記第1及び第2遮蔽フィルムの前記挟まれた部分が組み合わされて各導体セットの両側に前記ケーブルの挟まれた部分を形成するように配置される、第1遮蔽フィルム及び第2遮蔽フィルム」であり、
さらに、「前記第1及び第2遮蔽フィルムの間に配置され、前記第1及び第2遮蔽フィルムの前記挟まれた部分では前記第1遮蔽フィルムと前記第2遮蔽フィルムとを互いに結合し、前記第1及び第2遮蔽フィルムの前記カバー部分では前記第1及び第2遮蔽フィルムを各導体セットに結合する接着層であって」、さらに、「前記第1及び第2遮蔽フィルムの前記カバー部分では第1の厚さを有し、前記第1及び第2遮蔽フィルムの前記挟まれた部分ではより大きな第2の厚さを有する、接着層」を有するのに対して、
引用発明では、「導電性テープ5」は、そのような2つのものから構成されておらず、1本のテープで「2本平行に並べ」た「絶縁電線3」を「包含する」ように縦添えされたものであって、「接着層5c」は「2本平行に並べ」た「絶縁電線3」のみに結合するものである点。
(相違点2)
本願発明1では、「各導体セットの挿入損失は、1メートル当たり約-5dB未満、又は1メートル当たり約-4dB未満、又は1メートル当たり約-3dB未満である」のに対して、引用発明では、「2本平行に並べ」た「絶縁電線3」に関してそのような特定はされていない点。
(2)相違点についての判断
上記相違点1について検討する。
上記「第4」2.の引用文献2には、平形の電線において、絶縁体2により被覆された軟銅線からなる導体1を保護層3で被覆したものを1条として、それを2条ずつを密接に引きそろえ、その上下両側から金属テープ4で挾んで前記2条の両側部分を融着し、遮蔽体とする、という技術事項が記載されている。
また、引用文献2の金属テープ4は、2条の線を遮蔽する遮蔽部材であるから、引用発明における遮蔽部材である「導電性テープ5」に代え用いることは、当業者が容易に想到し得たことと認められる。
さらに、結合手段として接着を用いることは常套手段と認められる。
しかしながら、引用文献2では金属テープを融着して遮蔽体を構成するものであって、接着層により金属テープを結合した場合、金属テープ間の接着層により遮蔽体としての性能に影響が及ぶことは明らかであるから、引用文献2においては、結合手段として融着以外の手段を用いる動機が存在しない。
してみると、引用発明1の遮蔽部材として金属テープに代え引用文献2記載の技術事項を用いることは、当業者が容易に想到し得たことと認められるが、その際に、金属テープ同士の結合手段として融着に代え接着を用いる動機付けが存在しない。
したがって、上記相違点2について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用発明、引用文献2記載の技術事項及び常套手段に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。
2.本願発明2、3について
本願発明2、3も、本願発明1の「前記第1及び第2遮蔽フィルムの間に配置され、前記第1及び第2遮蔽フィルムの前記挟まれた部分では前記第1遮蔽フィルムと前記第2遮蔽フィルムとを互いに結合し、前記第1及び第2遮蔽フィルムの前記カバー部分では前記第1及び第2遮蔽フィルムを各導体セットに結合する接着層であって、前記第1及び第2遮蔽フィルムの前記カバー部分では第1の厚さを有し、前記第1及び第2遮蔽フィルムの前記挟まれた部分ではより大きな第2の厚さを有する、接着層」と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献2記載の技術事項及び上記常套手段に基づいて容易に発明できたものとはいえない。
第6 原査定について
本願発明1-3は「前記第1及び第2遮蔽フィルムの間に配置され、前記第1及び第2遮蔽フィルムの前記挟まれた部分では前記第1遮蔽フィルムと前記第2遮蔽フィルムとを互いに結合し、前記第1及び第2遮蔽フィルムの前記カバー部分では前記第1及び第2遮蔽フィルムを各導体セットに結合する接着層であって、前記第1及び第2遮蔽フィルムの前記カバー部分では第1の厚さを有し、前記第1及び第2遮蔽フィルムの前記挟まれた部分ではより大きな第2の厚さを有する、接着層」という事項を有するものであるから、当業者であっても、拒絶査定に引用された引用文献1-2に基づいて容易に発明できたものとは認められない、したがって、原査定の理由を維持することはできない。
第7 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2016-018135