特許拒絶査定不服審判
2016-018023
遊技機
- 審判番号
- 2016-018023
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2012-120943外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2016年12月01日
- 審決日
- 2017年07月03日
- 公報発行日
- 2017年10月27日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】京楽産業.株式会社
- 【請求人代理人】特許業務法人 エビス国際特許事務所
- 分類
- P18 .121-Z (A63F) / P18 .575-Z (A63F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第6項、特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2012-120943「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成25年12月 9日出願公開、特開2013-244282〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、平成24年5月28日の出願であって、平成28年2月1日付けで拒絶理由通知がされ、これに対し同年4月6日付けで手続補正がなされたが、同年8月30日付け(発送日:同年9月6日)で拒絶査定がなされ、これに対して、同年12月1日付けで拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに手続補正(以下、「本件補正」という。)がなされたものである。
第2 本件補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
本件補正を却下する。
[理由]
1.本件補正の概要
本件補正は特許請求の範囲の請求項1の記載を含む補正であり、平成28年4月6日付けの手続補正と本件補正の特許請求の範囲の請求項1の記載はそれぞれ、以下のとおりである(下線部は補正箇所を示す。)。
(補正前:平成28年4月6日付けの手続補正)
「【請求項1】
所定の始動条件の成立に基づいて、遊技者に付与する遊技価値を決定するための遊技データを抽選により取得する遊技データ抽選手段と、
演出音を出力することが可能な音出力手段と、
特定演出音を含む複数種類の前記演出音を予め記憶する演出音記憶手段と、
前記遊技データ抽選手段によって取得された前記遊技データに基づいて、前記演出音記憶手段に記憶された前記演出音を前記音出力手段から出力させるように制御する演出制御手段と、
遊技機の管理をおこなう管理者の操作により前記音出力手段から出力される前記演出音の音量の基準となる第1音量値を複数の前記第1音量値のなかから設定することが可能な第1の音量設定手段と、
前記第1の音量設定手段によって設定された前記第1音量値に応じて初期値が設定されるとともに所定の操作手段への遊技者の操作により調節され前記音出力手段から出力される前記演出音の音量である、第2音量値を設定することが可能な第2の音量設定手段と、を備え、
前記演出制御手段は、
前記音出力手段から前記特定演出音を出力させる制御を行う場合に限って、前記第2の音量設定手段により設定された前記第2音量値を有効とする制御をおこなうとともに、
複数の前記第1音量値のうち特定の前記第1音量値が設定されている状態で第1の操作態様により前記操作手段の操作がおこなわれた場合と、複数の前記第1音量値のうち特定の前記第1音量値とは異なる他の前記第1音量値が設定されている状態で第2の操作態様により前記操作手段の操作がおこなわれた場合とで、同一の前記第2音量値にて前記演出音を出力可能な制御をおこなうことを特徴とする遊技機。」
(補正後:本件補正)
「【請求項1】
所定の始動条件の成立に基づいて、遊技者に付与する遊技価値を決定するための遊技データを抽選により取得する遊技データ抽選手段と、
演出音を出力することが可能な音出力手段と、
特定演出音を含む複数種類の前記演出音を予め記憶する演出音記憶手段と、
前記遊技データ抽選手段によって取得された前記遊技データに基づいて、前記演出音記憶手段に記憶された前記演出音を前記音出力手段から出力させるように制御する演出制御手段と、
遊技機の管理をおこなう管理者の操作により前記音出力手段から出力される前記演出音の音量の基準となる第1音量値を複数の前記第1音量値のなかから設定することが可能な第1の音量設定手段と、
前記第1の音量設定手段によって設定された前記第1音量値に応じて初期値が設定されるとともに所定の操作手段への遊技者の操作により調節され前記音出力手段から出力される前記演出音の音量である、第2音量値を設定することが可能な第2の音量設定手段と、
を備え、
前記第2の音量設定手段は、
前記初期値を所定の音量範囲内で設定することができる一方、
前記第2音量値を、前記初期値を基準として増減させることにより前記所定の音量範囲を超えて設定することが可能であり、
前記演出制御手段は、
前記音出力手段から前記特定演出音を出力させる制御を行う場合に限って、前記第2の音量設定手段により設定された前記第2音量値を有効とする制御をおこなうとともに、
複数の前記第1音量値のうち特定の前記第1音量値が設定されている状態で第1の操作態様により前記操作手段の操作がおこなわれた場合と、複数の前記第1音量値のうち特定の前記第1音量値とは異なる他の前記第1音量値が設定されている状態で第2の操作態様により前記操作手段の操作がおこなわれた場合とで、同一の前記第2音量値にて前記演出音を出力可能な制御をおこなうことを特徴とする
遊技機。」
2.補正の適否
本件補正によって、請求項1の記載は、上記1.の下線部に係る事項が加わるように補正された。すなわち、補正後の請求項1は、補正前の請求項1に記載された発明特定事項である「第2の音量設定手段」について、「前記初期値を所定の音量範囲内で設定することができる一方、前記第2音量値を、前記初期値を基準として増減させることにより前記所定の音量範囲を超えて設定することが可能であ」るという限定を付加したものである。
そうすると、補正後の請求項1に記載された発明は、補正前の請求項1に記載された発明と、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とする補正に該当する。
そして、本件補正は、明細書の段落【0064】及び【図23】等の記載に基づいており、新規事項を追加するものではない。
3.独立特許要件
そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か、すなわち、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか否か、について以下において検討する。
(1)本件補正後の請求項1に係る発明
補正後の請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)は、上記1.の本件補正の概要において示した次に特定されるとおりのものである(A~Jについては発明を分説するため当審で付与した。)。
「A 所定の始動条件の成立に基づいて、遊技者に付与する遊技価値を決定するための遊技データを抽選により取得する遊技データ抽選手段と、
B 演出音を出力することが可能な音出力手段と、
C 特定演出音を含む複数種類の前記演出音を予め記憶する演出音記憶手段と、
D 前記遊技データ抽選手段によって取得された前記遊技データに基づいて、前記演出音記憶手段に記憶された前記演出音を前記音出力手段から出力させるように制御する演出制御手段と、
E 遊技機の管理をおこなう管理者の操作により前記音出力手段から出力される前記演出音の音量の基準となる第1音量値を複数の前記第1音量値のなかから設定することが可能な第1の音量設定手段と、
F 前記第1の音量設定手段によって設定された前記第1音量値に応じて初期値が設定されるとともに所定の操作手段への遊技者の操作により調節され前記音出力手段から出力される前記演出音の音量である、第2音量値を設定することが可能な第2の音量設定手段と、
を備え、
G 前記第2の音量設定手段は、
前記初期値を所定の音量範囲内で設定することができる一方、
H 前記第2音量値を、前記初期値を基準として増減させることにより前記所定の音量範囲を超えて設定することが可能であり、
I 前記演出制御手段は、
前記音出力手段から前記特定演出音を出力させる制御を行う場合に限って、前記第2の音量設定手段により設定された前記第2音量値を有効とする制御をおこなうとともに、
J 複数の前記第1音量値のうち特定の前記第1音量値が設定されている状態で第1の操作態様により前記操作手段の操作がおこなわれた場合と、複数の前記第1音量値のうち特定の前記第1音量値とは異なる他の前記第1音量値が設定されている状態で第2の操作態様により前記操作手段の操作がおこなわれた場合とで、同一の前記第2音量値にて前記演出音を出力可能な制御をおこなうことを特徴とする遊技機。」
(2)刊行物に記載された事項
(2-1)原査定の拒絶の理由に引用された本願の出願前に頒布された刊行物である特開2007-89784号公報(以下、「刊行物1」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている(下線は当審で付した。)。
ア 「【0022】
メダル受け部16の上方の左右には、スピーカ21L、21Rが設けられている。スピーカ21L、21Rからは遊技の状況に応じた演出音や報知音などの遊技音が出音される。なお、本実施形態のスピーカ21L、21Rは、本発明の遊技音出力手段を構成する。」
イ 「【0059】
また、本実施形態では、副制御回路61には、音量調節ボタンである音量上げボタン201と音量下げボタン202、及び、音量設定ボタン210が接続されている。副制御回路61は、音量設定ボタン210が遊技機の提供者により操作されることに基づき、特定の遊技音の最大音量値を設定する。さらに、副制御回路61は、BB作動状態において、音量調節ボタンが遊技者により操作されることに基づき、消音となる最小音量値から遊技機の提供者によって設定される最大音量値の範囲内で、スピーカ21L、21Rから出力させる特定の遊技音の音量を調節する。なお、本実施形態の音量設定ボタン210は、本発明の最大音量設定手段を構成する。」
ウ 「【0061】
遊技機1では、メダルの投入を条件に、遊技者のスタートレバーに対する操作によって、スタートスイッチ6Sから単位遊技を開始する信号が出力されると・・・」
エ 「【0064】
また、スタートスイッチ6Sから開始信号が出力されると、乱数発生器36やサンプリング回路37により乱数値が抽出される。遊技機1では、乱数値が抽出されると、RAM33の乱数値記憶領域に記憶される。そして、乱数値記憶領域に記憶された乱数値に基づいて後述の内部抽籤処理が行われ、内部当籤役が決定される。」
オ 「【0073】
副制御回路61は、図4に示すように、画像制御回路70と、音・ランプ制御回路90と、を有している。画像制御回路70は、液晶表示装置5を制御する。また、音・ランプ制御回路90は、スピーカ21L、21Rから出力される音と、LED101及びランプ102の点灯を制御する。」
カ 「【0076】
画像制御マイコン72は、プログラムROM73に記憶されているプログラムに基づいて、液晶表示装置5の表示制御などを行う。具体的には、画像制御マイコン72は、主制御回路60から遊技状態や当籤役等を示すコマンド等を受信し、また、カレンダーIC75から日時に係るデータ(以下、「日時データ」という。)を取得し、ワークRAM74に記憶させる。画像制御マイコン72は、ワークRAM74に記憶された遊技状態識別子、当籤役識別子及び日時データ等を参照しながら、プログラムを実行することにより、液晶表示装置5、スピーカ21L、21R、LED101及びランプ102等による演出内容を規定する演出識別子及び演出データを決定する。」
キ 「【0090】
音源IC95は、音・ランプ制御マイコン92による制御に応じて、音源ROM97に記憶されている音データを読み出すとともに、読み出した音データを、パワーアンプ96を用いて増幅する。」
ク 「【0117】
また、遊技機の提供者は、BB作動状態において出力される遊技音の音量の上限を指定するために、音量設定ボタン210を操作することにより、最大音量値として「0」から「3」の何れかの値を設定することができる。一方、遊技者は、当該最大音量値を上限とする範囲内において、音量上げボタン201及び音量下げボタン202を操作することにより、遊技音の音量を調節することができる。例えば、遊技機の提供者が、最大音量値を「2」に設定した場合には、遊技者は、「0」から「2」の音量値の範囲内において出力音量を調節することができる。したがって、遊技者は、音量値を「0」として遊技音を全く出力させないこと、すなわち、消音とすることもできる。」
ケ 「【0124】
次に、メインCPU31は、スタートスイッチ6Sがオンされたと判別すると、内部当籤役を決定するための乱数値を抽出する(ステップS5)。具体的には、メインCPU31は、乱数発生器36とサンプリング回路37によって「0~65535」の範囲から1つの乱数値を抽出し、抽出した乱数値を前述のRAM33の乱数値記憶領域に記憶する。」
コ 「【0126】
次に、メインCPU31は、後で図14を参照して説明する内部抽籤処理を行う(ステップS7)。この内部抽籤処理では、メインCPU31は、遊技状態に基づいて、前述の抽籤回数決定テーブル(図6参照)と、内部抽籤テーブル(図7(1)、図7(2)参照)と、内部当籤役決定テーブル(図8参照)を参照して内部当籤役を決定する。」
サ 「【0196】
初めに、音・ランプ制御マイコン92は、演出データに基づいて音声出力制御処理を行う(ステップS341)。具体的には、音声出力制御処理では、音・ランプ制御マイコン92は、演出データに該当する音声信号を音源IC95に生成させ、所定のタイミングにてスピーカ21L、21Rから出力させる。」
シ 「【0201】
次に、画像制御マイコン72は、操作された音量設定ボタン210に基づいて、最大音量値を設定する(ステップS352)。すなわち、画像制御マイコン72は、操作された音量設定ボタン210に基づいて、最大音量値として、「0」~「3」の何れかの値を設定する。ここで、音量設定ボタン210は、前述のように、遊技機の提供者のみが操作することができることから、遊技機の提供者のみが最大音量値を設定することができる。また、最大音量値とは、遊技機1のスピーカ21L、21Rから出力される最大の音量値である。画像制御マイコン72は、この処理を終了すると、音量設定割込処理を終了させる。」
上記ア~シの記載事項から刊行物1には以下の事項が記載されているといえる。
(a)上記ウ【0061】には「メダルの投入を条件に、遊技者のスタートレバーに対する操作によって、スタートスイッチ6Sから単位遊技を開始する信号が出力される」ことが記載されている。
また、上記エ【0064】には「スタートスイッチ6Sから開始信号が出力されると」「乱数値が抽出され」、「乱数値が抽出されると」「乱数値に基づいて」「内部抽籤処理が行われ、内部当籤役が決定される」ことが記載されている。
さらに、上記コ【0126】には「メインCPU31」が「内部抽籤処理を行う」ことが記載されている。
したがって、刊行物1には、メダルの投入を条件に、遊技者のスタートレバーに対する操作によって、スタートスイッチ6Sから単位遊技を開始する信号が出力されると、内部当籤役を決定するための乱数値を抽出する内部抽籤処理を行うメインCPU31について記載されているといえる。
(b)上記ア【0022】には「スピーカ21L、21Rからは遊技の状況に応じた演出音」「などの遊技音が出音される」ことが記載されている。
したがって、刊行物1には、遊技の状況に応じた演出音などの遊技音を出音するスピーカ21L、21Rについて記載されているといえる。
(c)上記キ【0090】には「音源IC95」が「音源ROM97に記憶されている音データを読み出」し「増幅する」ことが記載されている。
また、上記サ【0196】には「演出データに該当する音声信号を音源IC95に生成させ」ることが記載されている。
ここで、「音源IC95」が「読み出」し「増幅する」「音源ROM97に記憶されている音データ」と、「音源IC95に生成させ」る「演出データに該当する音声信号」は、いずれも、上記ア【0022】の「遊技の状況に応じた演出音」「などの遊技音」に相当することは明らかである。
したがって、刊行物1には、遊技の状況に応じた演出音などの遊技音を記憶する音源ROM97について記載されているといえる。
(d)上記ア【0022】には「スピーカ21L、21Rからは遊技の状況に応じた演出音」「などの遊技音が出音される」ことが記載されている。
ここで、「遊技の状況に応じた演出音」「などの遊技音」が、上記カ【0076】の「当籤役識別子」「等を参照しながら」「決定」される「演出データ」に含まれることは、上記サ【0196】の「演出データに基づいて音声出力制御処理を行う」ことから明らかである。
そして、上記エ【0064】の「内部当籤役が」「乱数値に基づいて」「決定される」という記載から、「当籤役識別子」が乱数値に基づいて決定されることは明らかである。
また、「遊技の状況に応じた演出音」「などの遊技音」が上記キ【0090】の「音データ」に対応し、「音源ROM97に記憶されている」ことは明らかである。
さらに、上記ケ【0124】には「メインCPU31」によって「乱数値を抽出する」ことが記載されている。
そのうえ、上記オ【0073】の「副制御回路61」が「音・ランプ制御回路90」「を有し」、「音・ランプ制御回路90は、スピーカ21L、21Rから出力される音」「を制御する」との記載から、「副制御回路61」が「スピーカ21L、21Rから出力される音を制御する」ことは明らかである。
したがって、刊行物1には、メインCPU31によって抽出された乱数値に基づいて、音源ROM97に記憶された遊技の状況に応じた演出音などの遊技音をスピーカ21L、21Rから出力させる副制御回路61について記載されているといえる。
(e)上記シ【0201】には「操作された音量設定ボタン210に基づいて、最大音量値として、「0」~「3」の何れかの値を設定する」こと、「音量設定ボタン210は遊技機の提供者のみが操作することができることから、遊技機の提供者のみが最大音量値を設定することができる」こと、「最大音量値とはスピーカ21L、21Rから出力される最大の音量値である」ことが記載されている。
したがって、刊行物1には、遊技機の提供者の操作によりスピーカ21L、21Rから出力される最大音量値として「0」~「3」の何れかの値を設定することができる音量設定ボタン210について記載されているといえる。
(f)上記イ【0059】には、「音量調節ボタンである音量上げボタン201と音量下げボタン202」、「音量設定ボタン210が遊技機の提供者により操作されることに基づき、特定の遊技音の最大音量値を設定する」こと、「BB作動状態において、音量調節ボタンが遊技者により操作されることに基づき、消音となる最小音量値から遊技機の提供者によって設定される最大音量値の範囲内で、スピーカ21L、21Rから出力させる特定の遊技音の音量を調節する」ことが記載されている。
したがって、刊行物1には、遊技機の提供者による音量設定ボタン210の操作に基づき設定される最大音量値から消音となる最小音量値の範囲内で、遊技者により操作されることに基づき、スピーカ21L、21Rから出力させる特定の遊技音の音量を調節する音量調節ボタン(音量上げボタン201と音量下げボタン202)について記載されているといえる。
(i)上記イ【0059】には「副制御回路61は、BB作動状態において、音量調節ボタンが遊技者により操作されることに基づき」、「スピーカ21L、21Rから出力させる特定の遊技音の音量を調節する」ことが記載されている。
したがって、刊行物1には、副制御回路61は、BB作動状態において出力される特定の遊技音の出力音量を調節するための音量調節ボタンに対する遊技者の操作によって、スピーカ21L、21Rから出力させる特定の遊技音の音量を調節するものであることについて記載されているといえる。
(j)上記ク【0117】には「遊技機の提供者は、BB作動状態において出力される遊技音の音量の上限を指定するために、音量設定ボタン210を操作することにより、最大音量値として「0」から「3」の何れかの値を設定することができる。一方、遊技者は、当該最大音量値を上限とする範囲内において、音量上げボタン201及び音量下げボタン202を操作することにより、遊技音の音量を調節することができる。例えば、遊技機の提供者が、最大音量値を「2」に設定した場合には、遊技者は、「0」から「2」の音量値の範囲内において出力音量を調節することができる。」と記載されている。
また、これらの制御が、「副制御回路61」により行われることは、上記イ【0059】の記載から明らかである。
したがって、刊行物1には、副制御回路61は、遊技機の提供者が、BB作動状態において出力される遊技音の音量の上限を指定するために、音量設定ボタン210を操作することにより、最大音量値として「0」から「3」の何れかの値を設定することができ、一方、遊技者が、当該最大音量値を上限とする範囲内において、音量上げボタン201及び音量下げボタン202を操作することにより、遊技音の音量を調節することができ、例えば、遊技機の提供者が、最大音量値を「2」に設定した場合には、遊技者は、「0」から「2」の音量値の範囲内において出力音量を調節することができるものであることについて記載されているといえる。
上記記載事項ア~シ及び上記(a)~(j)の認定事項を総合すれば、刊行物1には以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている(a~jは発明の構成を分説するため当審で付与した。)。
「a メダルの投入を条件に、遊技者のスタートレバーに対する操作によって、スタートスイッチ6Sから単位遊技を開始する信号が出力されると、内部当籤役を決定するための乱数値を抽出する内部抽籤処理を行うメインCPU31と、
b 遊技の状況に応じた演出音などの遊技音を出音するスピーカ21L、21Rと、
c 遊技の状況に応じた演出音などの遊技音を記憶する音源ROM97と、
d メインCPU31によって抽出された乱数値に基づいて、音源ROM97に記憶された遊技の状況に応じた演出音などの遊技音をスピーカ21L、21Rから出力させる副制御回路61と、
e 遊技機の提供者の操作によりスピーカ21L、21Rから出力される最大音量値として「0」~「3」の何れかの値を設定することができる音量設定ボタン210と、
f 遊技機の提供者による音量設定ボタン210の操作に基づき設定される最大音量値から消音となる最小音量値の範囲内で、遊技者により操作されることに基づき、スピーカ21L、21Rから出力させる特定の遊技音の音量を調節する音量調節ボタン(音量上げボタン201と音量下げボタン202)と、を備え、
i 前記副制御回路61は、
BB作動状態において出力される特定の遊技音の出力音量を調節するための音量調節ボタンに対する遊技者の操作によって、スピーカ21L、21Rから出力させる特定の遊技音の音量を調節するとともに、
j 遊技機の提供者が、BB作動状態において出力される遊技音の音量の上限を指定するために、音量設定ボタン210を操作することにより、最大音量値として「0」から「3」の何れかの値を設定することができ、一方、遊技者が、当該最大音量値を上限とする範囲内において、音量上げボタン201及び音量下げボタン202を操作することにより、遊技音の音量を調節することができ、例えば、遊技機の提供者が、最大音量値を「2」に設定した場合には、遊技者は、「0」から「2」の音量値の範囲内において出力音量を調節することができる遊技機。」
(2-2)原査定の拒絶の理由に引用された本願の出願前に頒布された刊行物である特開2008-237229号公報(以下、「刊行物2」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている(下線は当審で付した。)。
「【請求項6】
全てのリールが停止している状態において、遊技者のリール停止スイッチの操作により発信された前記操作信号に基づいて、前記音量変更手段が前記音量を変更するための制御処理を行なうことを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載のスロットマシン。
・・・
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の図柄が表示された複数のリールを回転させた後、役抽選の結果に応じて回転させたリールを停止させ、停止時における図柄の組み合わせによって遊技結果を定めるスロットマシンに関し、特に、音声を発生させる機能を備えたスロットマシンに関するものである。
・・・
【0040】
上述した3つのリール40L,40C及び40Rの回転速度が一定速度に達したときには、遊技者による停止スイッチ52L、52C及び52Rの操作が有効となる。
停止スイッチ52Lを遊技者が押動操作したときには、左リール40Lが停止する。停止スイッチ52Cを遊技者が押動操作したときには、中リール40Cが停止する。停止スイッチ52Rを遊技者が押動操作したときには、右リール40Rが停止する。
リール40L、40Cまたは40Rが停止するときには、リールの各々の外周面に描かれている図柄が、上述した入賞ラインL1、L2A、L2B、L3A及びL3B上に位置付けられるように、3つのリール40L、40Cまたは40Rの各々は、停止制御される。なお、本実施形態においては、左右の停止スイッチ52L、52Rを、音量調整用のスイッチとして兼用できるようになっている。更に詳細な説明は後述する。
・・・
【0123】
・・・
以上のように、本サブルーチンでは、全リールが停止した状態で、遊技者が左リールまたは右リールに対応するリールの停止スイッチの操作を継続している間、音量操作信号を20msec毎に副制御回路200へ送信し、この停止操作を終了したとき、またはスタートスイッチを操作してリールが回転開始するとき、音量操作停止信号を副制御回路200へ送信するようになっている。
・・・
【0125】
ステップS230の判断で、もし、音声操作信号を受信した(YES)と判別したときには、副制御回路200に備えられた(図示せず)タイマーを起動し(ステップS232)、次に、パラメータJに対応するボリューム表示画像を表示装置70に表示する。
・・・
【0131】
筐体内部に取り付けられたボリュームスイッチは、筐体を開いて初めてボリューム変更が可能なものであり、主に遊技場側で設定する基本の音量設定スイッチである。本実施例では、ボリュームスイッチのボリュームが小の場合に変更可能な音量を図21(a)の表に示し、ボリュームスイッチのボリュームが中の場合に変更可能な音量を図21(b)の表に示し、ボリュームスイッチのボリュームが大の場合に変更可能な音量を図21(c)の表に示す。ボリュームスイッチの各々の設定において、変更可能な音量は、パラメータJ=-1、0、+1の3段階の音量である。
【0132】
また、ボリュームスイッチの各々の設定において、一般音量データと特別音量データが設定されており、パラメータJ=0となる基準音量は両者で同一であるが、音量を変更できる範囲は、特別音量データの方が大きくなっている。つまり、パラメータJ=-1の最小音量においては、特別音量データの方が音量が小さくなり、パラメータJ=+1の最大音量においては、特別音量データの方が音量が大きくなる。なお、図21では、音量を、音声発生素子のマスターボリューム値で示している。
また、ボリュームスイッチの各々の設定に対応した一般音量データの音量変更範囲を図19に示し、ボリュームスイッチの各々の設定に対応した特別音量データの音量変更範囲を図20に示す。」
【図19】
【図20】
【図21】
(2-3)本願の出願前に頒布された刊行物である特開2005-261808号公報(以下、「刊行物3」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている(下線は当審で付した。)。
「【技術分野】
【0001】
本発明は、音発生手段より発せられる音量を設定する音量設定手段を有する遊技機に関し、特に、遊技機の表面側と裏面側とに設けられた第1及び第2音量操作手段の操作の組み合わせによって音量を設定するパチンコ機等の遊技機に関する。
・・・
【0095】
・・・音量決定テーブル126は、図22に示すように、遊技店側が操作する裏側音量調節スイッチ121によって設定された裏側音量段階と、遊技者側が操作する表側音量調節スイッチ120によって設定された表側音量段階とによってスピーカ15より発せられる音量を決定するテーブルである。各スイッチによって設定される音量段階はそれぞれ1~5の5段階であり、決定される音量は合計25種類となる。
・・・
【0096】
尚、音量を決定する際には、後述するように、先ず遊技店側が裏側音量調節スイッチ121によって裏側音量段階を設定し、その後に遊技者が遊技開始時若しくは遊技中に表側音量調節スイッチ120によって表側音量段階を設定する。即ち、遊技者は、遊技店側が予め設定した裏音量段階に従って設定された5種類の音量の範囲(図22の音量決定テーブル縦方向に並んだ5つの音量)に基づいて、その中より音量を設定することとなる。例えば、予め遊技店側が裏側音量段階を段階4に設定していた場合においては、遊技客は「-11dB」、「-9dB」、「-7dB」、「-5dB」、「-3dB」の5種類の音量の中より表側音量調節スイッチ121によって設定することとなる。
【0097】
また、表側音量段階には初期設定値として段階3が設定されており、遊技店側が裏側音量調節スイッチによって音量段階を変更した場合、及び液晶画面が待機中となった場合には、表側音量段階は自動的に段階3に設定される(図23参照)。
【0098】
次に、音制御基板65の音量設定に関する制御プログラムについて図23に基づき説明する。図23は第3実施形態に係る音制御基板の音量設定に関する制御プログラムのフローチャートである。尚、図23にフローチャートで示される各プログラムは音制御基板65が備えているROM98に記憶されており、音制御用CPU97により実行される。
先ず、ステップ(以下、Sと略記する)1において、遊技店側によって裏側音量設定スイッチ121が操作され、裏側音量段階が設定される。具体的には、パチンコ機1の背面側に設けられたUpボタン121A及びDownボタン121Bの2種類のボタンが用いられ(図18参照)、Upボタン121A及びDownボタン121Bの操作情報をデータ送信部124により音制御用CPU97に送信する(図18参照)。そして、送信された操作情報に基づいて現在の裏側音量段階がRAM99内の裏側音量段階記憶エリア99Bに随時記録される。尚、裏側音量段階は段階1~5の5段階よりなり、Upボタン121Aを押すと現在の段階が一段階上がり、Downボタン121Bを押すと現在の段階が一段階下がるように設定されている。
【0099】
続いて、S2では、音制御用CPU97は、前記S1で設定されRAM99内の裏側音量段階記憶エリア99Bに記録された裏側音量段階の設定値(段階1~5)を取得する。そして、S3において、予め定められた表側音量段階の初期値である段階3に基づいて、スピーカ15より発せられる音量が決定される。例えば、前記S1において設定された裏側音量段階が「段階5」であった場合には、設定される音量は-4dBである(図22参照)。同様に、前記S1において設定された裏側音量段階が「段階4」であった場合には-7dB、裏側音量段階が「段階3」であった場合には-10dB、裏側音量段階が「段階2」であった場合には-13dB、裏側音量段階が「段階1」であった場合には-13dB(当審注:「-13dB」は「-16dB」の誤記と認められる。)である(図22参照)。通常、遊技者が遊技を開始する際にはこの初期設定音量により開始される。」
【図22】
(3)対比
本願補正発明と引用発明とを対比する。なお、見出し(a)~(j)とし、本願補正発明、引用発明の分説に対応させている。
(a)引用発明の「メダルの投入を条件に、遊技者のスタートレバーに対する操作」は、本願補正発明の「所定の条件の成立」に相当する。
また、引用発明の「内部当籤役を決定するための乱数値」は、本願補正発明の「遊技者に付与する遊技価値を決定するための遊技データ」に相当する。
さらに、引用発明の「乱数値を抽出する内部抽籤処理を行うメインCPU31」は、本願補正発明の「遊技データを抽選により取得する遊技データ抽選手段」に相当する。
したがって、引用発明の「メダルの投入を条件に、遊技者のスタートレバーに対する操作によって、スタートスイッチ6Sから単位遊技を開始する信号が出力されると、内部当籤役を決定するための乱数値を抽出する内部抽籤処理を行うメインCPU31」は、本願補正発明の「所定の始動条件の成立に基づいて、遊技者に付与する遊技価値を決定するための遊技データを抽選により取得する遊技データ抽選手段」に相当する。
(b)引用発明の「遊技の状況に応じた演出音などの遊技音を出音するスピーカ21L、21R」は、本願補正発明の「演出音を出力することが可能な音出力手段」に相当する。
(c)引用発明の「遊技の状況に応じた演出音などの遊技音を記憶する音源ROM97」は、iの「BB作動状態において出力される特定の遊技音」を含むことは明らかであるから、本願補正発明の「特定演出音を含む複数種類の前記演出音を予め記憶する演出音記憶手段」に相当する。
(d)引用発明の「メインCPU31によって抽出された乱数値に基づいて、音源ROM97に記憶された遊技の状況に応じた演出音などの遊技音をスピーカ21L、21Rから出力させる副制御回路61」は、本願補正発明の「前記遊技データ抽選手段によって取得された前記遊技データに基づいて、前記演出音記憶手段に記憶された前記演出音を前記音出力手段から出力させるように制御する演出制御手段」に相当する。
(e)引用発明の「最大音量値」は、本願補正発明の「第1音量値」に相当する。
したがって、引用発明の「遊技機の提供者の操作によりスピーカ21L、21Rから出力される最大音量値として「0」~「3」の何れかの値を設定することができる音量設定ボタン210」は、本願補正発明の「遊技機の管理をおこなう管理者の操作により前記音出力手段から出力される前記演出音の音量の基準となる第1音量値を複数の前記第1音量値のなかから設定することが可能な第1の音量設定手段」に相当する。
(f)引用発明の「特定の遊技音の音量」は、本願補正発明の「第2音量値」に相当する。
しかしながら、引用発明において、遊技機の提供者が音量設定ボタン210により設定した最大音量値に応じて、音量調節ボタン(音量上げボタン201と音量下げボタン202)により調節される特定の遊技音の音量の初期値が設定されるか否かは不明である。
したがって、引用発明の「遊技機の提供者によって音量設定ボタン210により設定される最大音量値から消音となる最小音量値の範囲内で、遊技者により操作されることに基づき、スピーカ21L、21Rから出力させる特定の遊技音の音量を調節する音量調節ボタン(音量上げボタン201と音量下げボタン202)」と、本願補正発明の「前記第1の音量設定手段によって設定された前記第1音量値に応じて初期値が設定されるとともに所定の操作手段への遊技者の操作により調節され前記音出力手段から出力される前記演出音の音量である、第2音量値を設定することが可能な第2の音量設定手段」とは、「所定の操作手段への遊技者の操作により調節され前記音出力手段から出力される前記演出音の音量である、第2音量値を設定することが可能な第2の音量設定手段」である点で共通する。
(i)引用発明では「前記副制御回路61は、BB作動状態において出力される特定の遊技音の出力音量を調節するための音量調節ボタンに対する遊技者の操作によって、BB作動状態において、スピーカ21L、21Rから出力させる特定の遊技音の音量を調節する」のであり、BB作動状態に限って特定の遊技音の出力音量を調節することは明らかである。
したがって、引用発明の「前記副制御回路61は、BB作動状態において出力される特定の遊技音の出力音量を調節するための音量調節ボタンに対する遊技者の操作によって、スピーカ21L、21Rから出力させる特定の遊技音の音量を調節」することは、本願補正発明の「前記演出制御手段は、前記音出力手段から前記特定演出音を出力させる制御を行う場合に限って、前記第2の音量設定手段により設定された前記第2音量値を有効とする制御をおこなう」ことに相当する。
(j)引用発明の「遊技機の提供者が、BB作動状態において出力される遊技音の音量の上限を指定するために、音量設定ボタン210を操作することにより、最大音量値として「0」から「3」の何れかの値を設定することができ、一方、遊技者が、当該最大音量値を上限とする範囲内において、音量上げボタン201及び音量下げボタン202を操作することにより、遊技音の音量を調節することができ、例えば、遊技機の提供者が、最大音量値を「2」に設定した場合には、遊技者は、「0」から「2」の音量値の範囲内において出力音量を調節することができる」のであるから、例えば、遊技機の提供者により最大音量値が「3」に設定されている状態で遊技者が出力音量を「2」に設定した場合と、遊技機の提供者により最大音量値が「2」に設定されている状態で遊技者が出力音量を「2」に設定した場合とで、同一の音量値で演出音が出力されることは明らかである。
したがって、引用発明の「副制御回路61は」「遊技機の提供者が、BB作動状態において出力される遊技音の音量の上限を指定するために、音量設定ボタン210を操作することにより、最大音量値として「0」から「3」の何れかの値を設定することができ、一方、遊技者が、当該最大音量値を上限とする範囲内において、音量上げボタン201及び音量下げボタン202を操作することにより、遊技音の音量を調節することができ、例えば、遊技機の提供者が、最大音量値を「2」に設定した場合には、遊技者は、「0」から「2」の音量値の範囲内において出力音量を調節することができる遊技機」は、本願補正発明の「前記演出制御手段は」「複数の前記第1音量値のうち特定の前記第1音量値が設定されている状態で第1の操作態様により前記操作手段の操作がおこなわれた場合と、複数の前記第1音量値のうち特定の前記第1音量値とは異なる他の前記第1音量値が設定されている状態で第2の操作態様により前記操作手段の操作がおこなわれた場合とで、同一の前記第2音量値にて前記演出音を出力可能な制御をおこなう」「遊技機」に相当する。
そうすると、両者は、
「A 所定の始動条件の成立に基づいて、遊技者に付与する遊技価値を決定するための遊技データを抽選により取得する遊技データ抽選手段と、
B 演出音を出力することが可能な音出力手段と、
C 特定演出音を含む複数種類の前記演出音を予め記憶する演出音記憶手段と、
D 前記遊技データ抽選手段によって取得された前記遊技データに基づいて、前記演出音記憶手段に記憶された前記演出音を前記音出力手段から出力させるように制御する演出制御手段と、
E 遊技機の管理をおこなう管理者の操作により前記音出力手段から出力される前記演出音の音量の基準となる第1音量値を複数の前記第1音量値のなかから設定することが可能な第1の音量設定手段と、
F’所定の操作手段への遊技者の操作により調節され前記音出力手段から出力される前記演出音の音量である、第2音量値を設定することが可能な第2の音量設定手段と、
を備え、
I 前記演出制御手段は、
前記音出力手段から前記特定演出音を出力させる制御を行う場合に限って、前記第2の音量設定手段により設定された前記第2音量値を有効とする制御をおこなうとともに、
J 複数の前記第1音量値のうち特定の前記第1音量値が設定されている状態で第1の操作態様により前記操作手段の操作がおこなわれた場合と、複数の前記第1音量値のうち特定の前記第1音量値とは異なる他の前記第1音量値が設定されている状態で第2の操作態様により前記操作手段の操作がおこなわれた場合とで、同一の前記第2音量値にて前記演出音を出力可能な制御をおこなう遊技機。」
である点で一致し、次の点で相違する。
(相違点1)
(遊技者の操作により調節される)第2の音量設定手段に関して、本願発明は、「前記第1の音量設定手段によって設定された前記第1音量値に応じて初期値が設定される」のに対し、引用発明は、そのように特定されていない点。(F)
(相違点2)
(遊技者の操作により調節される)第2の音量設定手段に関して、本願補正発明は、「前記初期値を所定の音量範囲内で設定することができる一方、第2音量値を、前記初期値を基準として増減させることにより前記所定の音量範囲を超えて設定することが可能であ」るのに対し、引用発明は、そのように特定されていない点。(G、H)
(4)判断
(相違点1について)
スロットマシン等の遊技機において、遊技者の操作により調節される第2の音量設定手段に関して、第1の音量設定手段によって設定された第1音量値に応じて初期値が設定されることは、例えば、
ア 原査定の拒絶の理由に引用された本願の出願前に頒布された刊行物である特開2004-215805号公報
(「【0038】・・・音量調節部65は、遊技場側は音量を調整したが、遊技者側が音量を未だ調整していない場合は、遊技場側が音量調整により設定した遊技場側の設定値SP1を音の大きさ(当審注:本願補正発明の「初期値」に相当する。)とするように設定され・・・音量調節部65は・・・UPスイッチ5A及びDOWNスイッチ5Bを遊技者に操作させて、音量の調整を行う」)、
イ 刊行物2
(遊技場側で設定するボリュームスイッチにより設定された基準音量40、65、90(本願補正発明の「初期値」に相当する。)を基準として遊技者の左右の停止スイッチ52L、52Rの操作により音量を増減させる、【請求項6】、【0001】、【0040】、【0123】、【0125】、【0131】~【0132】、図19~21参照。)
に記載されているように周知技術である。
そして、引用発明において「遊技者」が「音量調整ボタン(音量上げボタン201と音量下げボタン202)」を「操作」しなくても「特定の遊技音」が出力されるように、遊技機の提供者が音量設定ボタン210により設定した最大音量値や、最大音量値と最小音量値の中間値など、最大音量値から消音となる最小音量値の範囲内で初期値が予め設定されなければならないことは明らかであり、上記周知技術を適用して、遊技者の操作により調節される第2の音量設定手段に関して、第1の音量設定手段によって設定された第1音量値に応じて初期値が設定されるようにして、相違点1に係る本願補正発明の構成に想到することは当業者が容易になし得るものである。
(相違点2について)
引用発明は、「遊技機の提供者による音量設定ボタン210の操作に基づき設定される最大音量値から消音となる最小音量値の範囲内で、遊技者により操作される」「音量調節ボタン(音量上げボタン201と音量下げボタン202)」「に基づき」、「スピーカ21L、21Rから出力させる」「特定の遊技音の音量を調節する」ものである。
これに対し、刊行物2には、遊技場側で設定するボリュームスイッチにより設定された基準音量40、65、90(本願補正発明の「初期値」に相当する。)を基準として遊技者の左右の停止スイッチ52L、52Rの操作により音量を増減させることにより基準音量の範囲40~90(本願補正発明の「所定の音量範囲」に相当する。)を超えて28~102又は20~110の範囲で音量を設定可能な遊技機が記載されている(【請求項6】、【0001】、【0040】、【0123】、【0125】、【0131】~【0132】、図19~21参照。)。
また、刊行物3には、遊技店側が設定する裏側音量調節スイッチ121により設定される初期設定音量-4dB、-7dB、-10dB、-13dB、-16dB(本願補正発明の「初期値」に相当する。)を基準として、遊技者側が操作する表側音量スイッチ120によって初期設定音量の範囲-4dB~-13dB(本願補正発明の「所定の音量範囲」に相当する。)を超えた0~-20dBの範囲で音量を設定可能な遊技機が記載されている【0001】、【0095】~【0099】、図22参照。)。
したがって、刊行物2、刊行物3の記載から、刊行物2、刊行物3には、遊技者の操作により調節される第2の音量設定手段に関して、初期値を所定の音量範囲内で設定することができる一方、第2音量値を、前記初期値を基準として増減させることにより前記所定の音量範囲を超えて設定することが可能であることが記載されており、この点は周知であるといえる。
そして、引用発明の上記構成において、「スピーカ21L、21Rから出力させる」「特定の遊技音の音量」の初期値をどのように設定し、「遊技者により操作される」「音量調節ボタン(音量上げボタン201と音量下げボタン202)」「に基づき」、「スピーカ21L、21Rから出力させる」「特定の遊技音の音量を調節する」範囲をどのように設定するかは設計事項にすぎないから、上記周知技術に基づいて、初期値を所定の音量範囲内で設定することができる一方、第2音量値を、前記初期値を基準として増減させることにより前記所定の音量範囲を超えて設定することを可能にして、上記相違点に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者が容易になし得るものである。
また、本願補正発明の奏する効果は、引用発明及び周知技術から予測できる範囲のものであり格別顕著なものではない。
したがって、本願補正発明は、引用発明及び周知技術から当業者が容易に発明をすることができたものである。
(5)請求人の主張について
請求人は、審判請求書の第6頁第4~22行で次のような主張をしている。
「本願発明は、上述したように、特に、構成要件g(当審注:当審決の本願補正発明の構成要件G及びHに相当。)を備えているため、遊技場側で音量値を設定したとしても、所定条件のもと、遊技者は、遊技場側で設定した音量値よりも小さな音量に調節できるほか、当該音量値よりも大きな音量にも調節できるものである。
このため、本願発明は、遊技者の音量調節の自由度を確実に向上させることができ、その結果、遊技者がより確実に「自分の好みの音量で楽しむ」ことができるものといえる(段落0014参照)。
これに対し、引用文献1に記載の遊技機は、上述したように、遊技場側で設定した音量値の範囲を超えて遊技者が音量の調節をすることができないため、遊技者の音量調節の自由度が乏しく、本願発明ほど、遊技者が自分の好みの音量で楽しむことができるものではない。
この点、引用文献2~引用文献4(当審注:「引用文献4」は当審決の「刊行物2」に相当。)についても、引用文献1と同様なことがいえる。
また、遊技場側で設定した音量値の範囲を超えて遊技者が音量を調節することができる、といった技術が、引用文献1~引用文献4にも記載されていないことからも明らかなように、周知・慣用技術とはいえないものである。
このように、本願発明は、引用文献1~引用文献4と比較した有利な効果を有しているため、これら引用文献に基づいて当業者が容易に発明することができたものではない。」
しかしながら、構成要件g(本願補正発明のG及びH)については、上記(4)で検討したように、設計事項にすぎず、周知技術のように構成してG及びHに係る本願補正発明の構成に想到することは当業者が容易になし得るものである。
そして、本願補正発明の奏する作用効果は、引用発明及び周知技術から予測できる範囲のものであり格別顕著なものではない。
したがって、請求人の主張は採用できない。
(6)小括
よって、本願補正発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定に基づいて特許出願の際独立して特許を受けることができない。
4.むすび
以上より、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
第3 本願発明
本件補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成28年4月6日付けの手続補正書により補正された、上記第2の1.で示した特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりのものである。
1.刊行物
原査定の拒絶の理由に引用された刊行物1の記載事項は、上記第2の3.(2-1)に記載したとおりである。
2.対比・判断
本願発明は、本願補正発明の発明特定事項から、上記第2の1.の下線部の構成(G、H)を省いたものでる。
そうすると、本願発明と引用発明とは、上記第2の3.(3)の(相違点1)のみにおいて相違し、その余の点で一致するから、本願発明も、上記第2の3.(4)の(相違点1について)と同様の理由により、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
3.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2016-018023