特許拒絶査定不服審判
2016-017957
遊技機
- 審判番号
- 2016-017957
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2015-026513外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2016年12月01日
- 審決日
- 2017年07月19日
- 公報発行日
- 2017年10月27日
- 結論
- 請求不成立
- 分類
- P18 .121-Z (A63F) / P18 .572-Z (A63F) / P18 .575-Z (A63F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第6項、特許法第29条第2項、特許法第159条第1項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2015- 26513号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 8月18日出願公開、特開2016-147008号〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、平成27年2月13日の出願であって、平成28年1月4日付けで拒絶理由が通知され、平成28年3月10日付けで手続補正がなされたが、平成28年9月1日付けで拒絶査定がなされ、これに対し平成28年12月1日付けで拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに、これと同時に手続補正(以下、「本件補正」という。)がなされたものである。
第2 本件補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
本件補正を却下する。
[理由]
1.本件補正の概要
本件補正は特許請求の範囲の請求項1の記載を含む補正であり、平成28年3月10日付けの手続補正と本件補正の特許請求の範囲の請求項1の記載はそれぞれ、以下のとおりである(下線部は、補正箇所を示す。)。
(補正前:平成28年3月10日付け手続補正)
「【請求項1】
始動条件の成立により、特別遊技に当選したか否かを判定する判定手段と、
図柄の変動表示を行う図柄表示手段と、
前記判定手段の判定結果に基づいて、前記図柄表示手段に表示する図柄の変動表示を制御する図柄制御手段と、
前記図柄制御手段により前記図柄表示手段に表示される図柄が所定図柄で停止表示された後、前記特別遊技を実行する特別遊技実行手段と、
第1演出手段および第2演出手段と、
前記第1演出手段および前記第2演出手段に演出を行わせる演出制御手段と、を備え、
前記演出制御手段は、
前記図柄変動表示中に前記第1演出手段および前記第2演出手段を用いた第1特定報知演出と、前記特別遊技中に前記第1演出手段および前記第2演出手段を用いた第2特定報知演出と、を実行可能な特定報知演出実行手段を有し、
前記特定報知演出実行手段は、前記第1演出手段を所定タイミングから所定期間作動させると共に、前記第2演出手段を前記所定タイミングから前記所定期間とは異なる期間作動させることを特徴とする遊技機。」
(補正後:本件補正である平成28年12月1日付け手続補正)
「【請求項1】
始動条件の成立により、特別遊技に当選したか否かを判定する判定手段と、
図柄の変動表示を行う図柄表示手段と、
前記判定手段の判定結果に基づいて、前記図柄表示手段に表示する図柄の変動表示を制御する図柄制御手段と、
前記図柄制御手段により前記図柄表示手段に表示される図柄が所定図柄で停止表示された後、前記特別遊技を実行する特別遊技実行手段と、
第1演出手段および第2演出手段と、
前記第1演出手段および前記第2演出手段に演出を行わせる演出制御手段と、を備え、
前記演出制御手段は、
前記図柄変動表示中に前記第1演出手段および前記第2演出手段を用いた第1特定報知演出と、前記特別遊技中に前記第1演出手段および前記第2演出手段を用いた第2特定報知演出と、を実行可能な特定報知演出実行手段を有し、
前記特定報知演出実行手段は、
前記第1特定報知演出を実行する際には、前記第1演出手段を第1のタイミングから第1期間作動させると共に、前記第2演出手段を前記第1のタイミングから第2期間作動させ、
前記第2特定報知演出を実行する際には、前記第1演出手段を第2のタイミングから第3期間作動させると共に、前記第2演出手段を前記第2のタイミングから第4期間作動させることを特徴とする遊技機。」
2.補正の適否
(1)本件補正により、特許請求の範囲の請求項1に記載される「特定報知演出実行手段」については、補正前の「前記第1演出手段を所定タイミングから所定期間作動させると共に、前記第2演出手段を前記所定タイミングから前記所定期間とは異なる期間作動させる」なる記載から、「前記第1特定報知演出を実行する際には、前記第1演出手段を第1のタイミングから第1期間作動させると共に、前記第2演出手段を前記第1のタイミングから第2期間作動させ、前記第2特定報知演出を実行する際には、前記第1演出手段を第2のタイミングから第3期間作動させると共に、前記第2演出手段を前記第2のタイミングから第4期間作動させる」なる記載に補正されている。
ここで、上記「第2演出手段」を作動させる期間については、「前記所定期間とは異なる期間」なる記載を削除しており、「前記第1特定報知演出を実行する際には、・・・前記第2演出手段を・・・第2期間作動させ、前記第2特定報知演出を実行する際には、・・・前記第2演出手段を・・・第4期間作動させる」と記載されるのみであるから、第1特定報知演出を実行する際の第2期間が第1期間と異なる期間であること、および、第2特定報知演出を実行する際の第4期間が第3期間と異なる期間であることは記載されていない。このため、該「前記所定期間とは異なる期間」を削除した点は、直列的に記載された発明特定事項の一部の削除にあたり、発明特定事項の限定とはいえない。
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に規定する「特許請求の範囲の減縮(補正前の請求項に記載された発明と産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一である発明となるように請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものに限る。)」を目的とするものに該当しない。
また、本件補正は、同項第1号の請求項の削除、第3号の誤記の訂正、及び、第4号の明瞭でない記載の釈明(拒絶理由に示された事項についてするものに限る。)、のいずれを目的とするものでもないことは明らかである。
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第5項に規定する要件を満たしていないものであるから、特許法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
(2)ここで、上記本件補正が、「特定報知演出実行手段」の「第2演出手段」を作動させる期間について、補正前の「前記所定期間とは異なる期間」なる記載を加味した、第1特定報知演出を実行する際の第2期間が第1期間と異なる期間であり、第2特定報知演出を実行する際の第4期間が第3期間と異なる期間であるとして、かつ、「所定タイミング」を「第1のタイミング」、「第2のタイミング」と区別して限定したものとして、本件補正が特許法第17条の2第5項第2号の、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるとした場合に、本件補正後の請求項1に記載された発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か、すなわち、特許法第17条の2第6項において準用する同様第126条第7項の規定に適合するか否か、についても一応、以下で検討する。
3.独立特許要件
(1)本件補正後の請求項1に係る発明
補正後の請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)は、上記1.の本件補正の概要において示した次のとおりのものである(A~Hは本願補正発明を分説するため当審で付与した。)。
「A 始動条件の成立により、特別遊技に当選したか否かを判定する判定手段と、
B 図柄の変動表示を行う図柄表示手段と、
C 前記判定手段の判定結果に基づいて、前記図柄表示手段に表示する図柄の変動表示を制御する図柄制御手段と、
D 前記図柄制御手段により前記図柄表示手段に表示される図柄が所定図柄で停止表示された後、前記特別遊技を実行する特別遊技実行手段と、
E 第1演出手段および第2演出手段と、
F 前記第1演出手段および前記第2演出手段に演出を行わせる演出制御手段と、を備え、
G 前記演出制御手段は、
前記図柄変動表示中に前記第1演出手段および前記第2演出手段を用いた第1特定報知演出と、前記特別遊技中に前記第1演出手段および前記第2演出手段を用いた第2特定報知演出と、を実行可能な特定報知演出実行手段を有し、
H 前記特定報知演出実行手段は、
前記第1特定報知演出を実行する際には、前記第1演出手段を第1のタイミングから第1期間作動させると共に、前記第2演出手段を前記第1のタイミングから第2期間作動させ、
前記第2特定報知演出を実行する際には、前記第1演出手段を第2のタイミングから第3期間作動させると共に、前記第2演出手段を前記第2のタイミングから第4期間作動させることを特徴とする遊技機。」
(2)引用文献に記載された事項
原査定の拒絶の理由に引用された特開2013-212140号公報(以下、「引用文献1」という。)には、次の事項が記載されている(下線は当審で付した。)。
(ア)「【0024】
前記遊技盤20に配設された枠状装飾体25の表示窓口25aの上部には、遊技演出に合わせて可動する可動演出装置26が配設されている。この可動演出装置26は、駆動モータ27に連結されて回転駆動される可動体26aを備え、該駆動モータ27は、後述する統括制御基板65に電気的に接続されており、該統括制御基板65から出力される制御信号(制御コマンド)に基づいて、駆動モータ27が制御されるようになっている。また、可動体26aの内部には、LED等の発光体を配設した可動体ランプ装置28が配設され、該可動体ランプ装置28は、前記統括制御基板65に電気的に接続され、該統括制御基板65から出力される制御信号(制御コマンド)に基づいて発光体が発光制御されるようになっている。すなわち、前記枠状装飾体25に配設された可動演出装置26の可動体26aおよび可動体ランプ装置28は演出実行手段として機能するよう構成されている」
(イ)「【0027】
・・・そして、前記図柄表示装置17での図柄変動演出の結果、該図柄表示装置17に所定の当り表示(大当り表示)となる図柄組み合わせ(例えば同一飾図の3つ揃い等)で飾図が確定停止表示されることで、遊技者に有利な当り遊技(大当り遊技)が付与され、当り遊技の発生に伴って前記特別入賞装置40を所定の開放条件で開放する当り遊技が行われて、遊技者が賞球を獲得し得る機会が与えられるよう構成されている。・・・」
(ウ)「【0073】
また、実施例のパチンコ機10には、サブ制御基板として、遊技演出を全体的に制御する統括制御基板65と、図柄表示装置17での表示内容を制御する表示制御基板70と、パチンコ機10が備える各種発光演出手段(ランプ装置18等)の発光制御を行うランプ制御基板72と、パチンコ機10が備えるスピーカ19の音出力制御を行う音制御基板73とを備えている。すなわち、メイン制御基板60が出力した制御信号(制御コマンド)に基づいて、前記統括制御基板65が表示制御基板70、ランプ制御基板72および音制御基板73を制御するよう構成されており、パチンコ機10で実行される各種遊技演出(図柄変動演出や発光演出、音声演出)を統括的にコントロールし得るようになっている。ここで、表示制御基板70は、統括制御基板65から出力された制御信号(制御コマンド)に基づいて、図柄表示装置17に表示される図柄(飾図)や背景画像等の図柄変動演出の表示内容を制御するよう構成される。また、ランプ制御基板72は、統括制御基板65から出力された制御信号(制御コマンド)に基づいて、パチンコ機10が備える各種発光演出手段の点灯・消灯のタイミングや、発光強度等を制御するものである。そして、音制御基板73は、統括制御基板65から出力された制御信号(制御コマンド)に基づき、パチンコ機10が備える各種スピーカ19からの音声出力のタイミングや大きさ等を制御するものである。」
(エ)「【0090】
すなわち、始動入賞装置30への入賞を契機として当りか否かを判定すると共に、複数種類の当り遊技の中から付与する当り遊技の種類を決定する当り遊技決定手段(当り判定手段)および決定した種類の当り遊技を特図変動表示終了後(図柄変動演出終了後)に実行する当り遊技実行手段としての機能を前記メイン制御CPU60aが備えている。メイン制御CPU60aは、前記始動入賞装置30への入賞に基づいて、前記メイン制御ROM60bが記憶する複数種類の変動パターンの中から1つの変動パターンを決定する変動パターン決定手段としての機能を備えている。・・・」
(オ)「【0101】
ここで、ステップB28,B29,B30,B31において変動パターンおよび最終停止図柄(特図2)を決定したメイン制御CPUは、統括制御基板65に対し、所定の制御コマンドを所定のタイミングで出力する(ステップB26)。具体的には、メイン制御CPU60aは、変動パターンを指定すると共に図柄変動の開始を指示する変動パターン指定コマンドを出力すると共に、変動パターンで特定された演出時間の計測を開始する。・・・」
(カ)「【0109】
(統括制御について)
次に、統括制御基板65で実行される処理について説明する。統括制御基板65の統括制御CPU65aは、前記メイン制御CPU60aから入力された変動パターン指定コマンドに基づいて、当該図柄変動演出において実行する演出パターンを決定し、決定した演出パターンを指定する演出パターン指定コマンドを表示制御基板70やランプ制御基板72、音制御基板73等に出力する。・・・」
(キ)「【0122】
(一発報知演出について)
前記パチンコ機10では、前記第1および第2始動入賞口31a,31bへのパチンコ球の入賞を契機とする大当り判定が肯定判定の場合に、前記図柄表示装置17での図柄変動演出中に大当り(特典状態)が発生することを報知する一発報知演出(特典状態報知演出)を実行可能に構成されている。すなわち、前記統括制御CPU65aは、メイン制御CPU60aから入力された変動パターンに基づいて、一発報知演出の実行可否および演出実行タイミングを決定し、一発報知演出の実行が決定された場合は、該統括制御CPU65aが決定した演出実行タイミングで一発報知演出を実行するよう構成されている。そして、一発報知演出の後述する実行判定に際し、一発報知演出を実行することを決定する確率は、一発報知演出の実行判定に際して滞在している前記演出種類モードMA,MB,MC,MDによって異なるよう設定されている。なお、本実施例では、確変状態においての大当り判定の肯定判定で非確変状態となる大当りに当選した場合は、一発報知演出を行わないよう構成されている。
【0123】
(一発報知演出パターンについて)
本実施例では、前記一発報知演出は、メイン制御CPU60aから入力された変動パターンに基づき決定した演出パターンによって特定される演出内容が異なる複数(本実施例では10通り)の一発報知演出パターンK1~K10が設定されており、これら一発報知演出パターンK1~K10は統括制御ROM65bに記憶されている。各一発報知演出パターンK1~K10は、前記可動演出装置26の可動体26aを回転する演出、可動体ランプ装置28における発光体の点灯,消灯(点滅)による演出およびスピーカ19から出力する特定効果音による演出を、単独または複数を組み合わせた演出によって構成されている。
・・・
【0125】
すなわち、第1一発報知演出パターンK1は、演出全体の演出時間(以下、単に演出時間という)が8000msに設定され、可動体26aについては、一発報知演出の開始から終了まで連続的に一方向(実施例では右回り)に回転するよう設定される。また、発光体については、一発報知演出の開始から点灯して1500ms後に消灯し、該消灯状態を2500ms継続した後に、点灯100msと消灯100msとを繰り返すパターンを10回行い、該パターンが終わった後に500ms消灯を継続してから点灯して一発報知演出の終了により消灯するよう設定される。更に、スピーカ19からの効果音については、一発報知演出の開始から出力して、発光体の最初の消灯に合わせて消音し、該発光体の次の点灯に合わせて出力してから一発報知演出の終了まで出力を継続した後に消音するよう設定される。」
上記(ア)~(キ)の記載事項から、以下の事項がいえる。なお、(a)~(h)は、本願補正発明の構成A~Hに対応した事項を示している。
(a)上記(エ)の【0090】には「始動入賞装置30への入賞を契機として当りか否かを判定すると共に、複数種類の当り遊技の中から付与する当り遊技の種類を決定する当り遊技決定手段(当り判定手段)および決定した種類の当り遊技を特図変動表示終了後(図柄変動演出終了後)に実行する当り遊技実行手段としての機能を前記メイン制御CPU60aが備えている」と記載されている。
したがって、引用文献1には、始動入賞装置30への入賞を契機として当りか否かを判定するメイン制御CPU60aが記載されている。
(b)上記(ウ)の【0073】には「表示制御基板70は、統括制御基板65から出力された制御信号(制御コマンド)に基づいて、図柄表示装置17に表示される図柄(飾図)や背景画像等の図柄変動演出の表示内容を制御するよう構成される」と記載されている。
したがって、引用文献1には、図柄変動演出が表示される図柄表示装置17が記載されている。
(c)上記(ウ)の【0073】には「表示制御基板70は、統括制御基板65から出力された制御信号(制御コマンド)に基づいて、図柄表示装置17に表示される図柄(飾図)や背景画像等の図柄変動演出の表示内容を制御するよう構成される」と記載されている。
また、上記(エ)の【0090】には「始動入賞装置30への入賞を契機として当りか否かを判定すると共に、複数種類の当り遊技の中から付与する当り遊技の種類を決定する当り遊技決定手段(当り判定手段)および決定した種類の当り遊技を特図変動表示終了後(図柄変動演出終了後)に実行する当り遊技実行手段としての機能を前記メイン制御CPU60aが備えている。メイン制御CPU60aは、前記始動入賞装置30への入賞に基づいて、前記メイン制御ROM60bが記憶する複数種類の変動パターンの中から1つの変動パターンを決定する変動パターン決定手段としての機能を備えている」と記載され、(オ)の【0101】には「変動パターンおよび最終停止図柄(特図2)を決定したメイン制御CPUは、統括制御基板65に対し、所定の制御コマンドを所定のタイミングで出力する(ステップB26)。具体的には、メイン制御CPU60aは、変動パターンを指定すると共に図柄変動の開始を指示する変動パターン指定コマンドを出力する」と記載され、(カ)の【0109】には「統括制御基板65の統括制御CPU65aは、前記メイン制御CPU60aから入力された変動パターン指定コマンドに基づいて、当該図柄変動演出において実行する演出パターンを決定し、決定した演出パターンを指定する演出パターン指定コマンドを表示制御基板70やランプ制御基板72、音制御基板73等に出力する」と記載されているから、メイン制御CPU60aは、始動入賞装置30への入賞を契機として当りか否かを判定して決定した1つの変動パターンを指定する変動パターン指定コマンドを統括制御基板65に対して出力し、統括制御基板65の統括制御CPU65aは、該変動パターン指定コマンドに基づいて決定した演出パターンを指定する演出パターン指定コマンドを表示制御基板70に出力していることが記載されているといえる。
そうすると、表示制御基板70に出力される演出パターン指定コマンドとは、メイン制御CPU60aの判定した結果によるものであることが記載されているといえる。
したがって、引用文献1には、メイン制御CPU60aの判定した結果によるものである演出パターン指定コマンドに基づいて、図柄表示装置17に表示される図柄変動演出の表示内容を制御する表示制御基板70が記載されている。
(d)上記(ウ)の【0073】には「表示制御基板70は、統括制御基板65から出力された制御信号(制御コマンド)に基づいて、図柄表示装置17に表示される図柄(飾図)や背景画像等の図柄変動演出の表示内容を制御するよう構成される」と記載され、上記(イ)の【0027】には「前記図柄表示装置17での図柄変動演出の結果、該図柄表示装置17に所定の当り表示(大当り表示)となる図柄組み合わせ(例えば同一飾図の3つ揃い等)で飾図が確定停止表示されることで、遊技者に有利な当り遊技(大当り遊技)が付与され、当り遊技の発生に伴って前記特別入賞装置40を所定の開放条件で開放する当り遊技が行われて、遊技者が賞球を獲得し得る機会が与えられるよう構成されている」と記載されているから、表示制御基板70により図柄表示装置17に所定の当り表示となる図柄組み合わせで飾図が確定停止表示されることが記載されているといえる。
また、上記(エ)の【0090】には「決定した種類の当り遊技を特図変動表示終了後(図柄変動演出終了後)に実行する当り遊技実行手段としての機能を前記メイン制御CPU60aが備えている」と記載されている。
したがって、引用文献1には、表示制御基板70により図柄表示装置17に所定の当り表示となる図柄組み合わせで飾図が確定停止表示された後、決定した種類の当り遊技を実行するメイン制御CPU60aが記載されている。
(e)上記(ア)の【0024】には「この可動演出装置26は、駆動モータ27に連結されて回転駆動される可動体26aを備え、該駆動モータ27は、後述する統括制御基板65に電気的に接続されており、該統括制御基板65から出力される制御信号(制御コマンド)に基づいて、駆動モータ27が制御されるようになっている。また、可動体26aの内部には、LED等の発光体を配設した可動体ランプ装置28が配設され、該可動体ランプ装置28は、前記統括制御基板65に電気的に接続され、該統括制御基板65から出力される制御信号(制御コマンド)に基づいて発光体が発光制御されるようになっている」と記載され、(ウ)の【0073】には「音制御基板73は、統括制御基板65から出力された制御信号(制御コマンド)に基づき、パチンコ機10が備える各種スピーカ19からの音声出力のタイミングや大きさ等を制御するものである」ている。
したがって、引用文献1には、可動演出装置26および可動体ランプ装置28ならびにスピーカ19が記載されている。
(f)上記(e)に記載したとおり、引用文献1には、可動演出装置26の駆動モータ27の制御、可動体ランプ装置28の発光制御、および、スピーカ19からの音声出力のタイミングや大きさ等の制御をする統括制御基板65が記載されている。
(g)上記(キ)の【0122】には「前記パチンコ機10では、前記第1および第2始動入賞口31a,31bへのパチンコ球の入賞を契機とする大当り判定が肯定判定の場合に、前記図柄表示装置17での図柄変動演出中に大当り(特典状態)が発生することを報知する一発報知演出(特典状態報知演出)を実行可能に構成されている。すなわち、前記統括制御CPU65aは、メイン制御CPU60aから入力された変動パターンに基づいて、一発報知演出の実行可否および演出実行タイミングを決定し、一発報知演出の実行が決定された場合は、該統括制御CPU65aが決定した演出実行タイミングで一発報知演出を実行するよう構成されている」と記載され、【0123】には「各一発報知演出パターンK1~K10は、前記可動演出装置26の可動体26aを回転する演出、可動体ランプ装置28における発光体の点灯,消灯(点滅)による演出およびスピーカ19から出力する特定効果音による演出を、単独または複数を組み合わせた演出によって構成されている」と記載されている。
また、上記(カ)の【0109】には「統括制御基板65の統括制御CPU65a」と記載されている。
したがって、統括制御基板65が、図柄変動演出中に大当りが発生することを報知する一発報知演出であって、可動演出装置26の可動体26aを回転する演出、可動体ランプ装置28における発光体の点灯、消灯(点滅)による演出およびスピーカ19から出力する特定効果音による演出である一発報知演出を実行するよう構成されている統括制御CPU65aを有していることが記載されている。
(h)上記(キ)の【0125】には「第1一発報知演出パターンK1は、演出全体の演出時間(以下、単に演出時間という)が8000msに設定され、可動体26aについては、一発報知演出の開始から終了まで連続的に一方向(実施例では右回り)に回転するよう設定される。また、発光体については、一発報知演出の開始から点灯して1500ms後に消灯し、該消灯状態を2500ms継続した後に、点灯100msと消灯100msとを繰り返すパターンを10回行い、該パターンが終わった後に500ms消灯を継続してから点灯して一発報知演出の終了により消灯するよう設定される。更に、スピーカ19からの効果音については、一発報知演出の開始から出力して、発光体の最初の消灯に合わせて消音し、該発光体の次の点灯に合わせて出力してから一発報知演出の終了まで出力を継続した後に消音するよう設定される」と記載され、【0122】には「前記パチンコ機10では、前記第1および第2始動入賞口31a,31bへのパチンコ球の入賞を契機とする大当り判定が肯定判定の場合に、前記図柄表示装置17での図柄変動演出中に大当り(特典状態)が発生することを報知する一発報知演出(特典状態報知演出)を実行可能に構成されている。すなわち、前記統括制御CPU65aは、メイン制御CPU60aから入力された変動パターンに基づいて、一発報知演出の実行可否および演出実行タイミングを決定し、一発報知演出の実行が決定された場合は、該統括制御CPU65aが決定した演出実行タイミングで一発報知演出を実行するよう構成されている」と記載されている。
したがって、引用文献1には、統括制御CPU65aは、第1一発報知演出パターンK1では、可動体26aについては、一発報知演出の開始から終了までの8000ms連続的に一方向(実施例では右回り)に回転するよう設定され、発光体については、一発報知演出の開始から点灯して1500ms後に消灯し、スピーカ19からの効果音については、一発報知演出の開始から出力して、発光体の最初の消灯に合わせて消音しているパチンコ機が記載されている。
したがって、上記(ア)~(キ)の記載事項、上記(a)~(h)認定事項を総合すれば、引用文献1には、次の発明が記載されている(以下、「引用発明」という。a~hは引用発明を分説するため当審で付した。)。
「a 始動入賞装置30への入賞を契機として当りか否かを判定するメイン制御CPU60aと、
b 図柄変動演出が表示される図柄表示装置17と、
c メイン制御CPU60aの判定した結果によるものである演出パターン指定コマンドに基づいて、図柄表示装置17に表示される図柄変動演出の表示内容を制御する表示制御基板70と、
d 表示制御基板70により図柄表示装置17に所定の当り表示となる図柄組み合わせで飾図が確定停止表示された後、決定した種類の当り遊技を実行するメイン制御CPU60aと、
e 可動演出装置26および可動体ランプ装置28ならびにスピーカ19と、
f 可動演出装置26の駆動モータ27の制御、可動体ランプ装置28の発光制御、および、スピーカ19からの音声出力のタイミングや大きさ等の制御をする統括制御基板65と、を備え、
g 統括制御基板65が、図柄変動演出中に大当りが発生することを報知する一発報知演出であって、可動演出装置26の可動体26aを回転する演出、可動体ランプ装置28における発光体の点灯、消灯(点滅)による演出およびスピーカ19から出力する特定効果音による演出である一発報知演出を実行するよう構成されている統括制御CPU65aを有し、
h 統括制御CPU65aは、第1一発報知演出パターンK1では、可動体26aについては、一発報知演出の開始から終了までの8000ms連続的に一方向(実施例では右回り)に回転するよう設定され、発光体については、一発報知演出の開始から点灯して1500ms後に消灯し、スピーカ19からの効果音については、一発報知演出の開始から出力して、発光体の最初の消灯に合わせて消音しているパチンコ機。」
(3)対比
本願補正発明と引用発明とを対比する。対比の見出しとしての(a)~(h)は引用発明の分説構成と対応させた。
(a)遊技機においては、始動入賞装置30へ入賞することで始動するための条件が成立すること、および、当りが特別な遊技のことであることはそれぞれ自明なことであるから、引用発明における「始動入賞装置30への入賞を契機として当りか否かを判定する」ことは、本願補正発明における「始動条件の成立により、特別遊技に当選したか否かを判定する」ことに相当する。
また、引用発明における「メイン制御CPU60a」は、当りか否かを判定しているから、本願補正発明における「判定手段」に相当する。
したがって、引用発明の「始動入賞装置30への入賞を契機として当りか否かを判定するメイン制御CPU60a」は、本願補正発明の「始動条件の成立により、特別遊技に当選したか否かを判定する判定手段」に相当する。
(b)引用発明における「図柄表示装置17」は、本願補正発明における「図柄表示手段」に相当する。
したがって、引用発明の「図柄変動演出が表示される図柄表示装置17」は、本願補正発明の「図柄の変動表示を行う図柄表示手段」に相当する。
(c)引用発明における「表示制御基板70」は、本願補正発明における「図柄制御手段」に相当する。
したがって、上記(a)において言及したように、引用発明の「メイン制御CPU60a」は、本願補正発明における「判定手段」に相当し、上記(b)において言及したように、引用発明の「図柄表示装置17」は、本願補正発明における「図柄表示手段」に相当するから、引用発明の「メイン制御CPU60aの判定した結果によるものである演出パターン指定コマンドに基づいて、図柄表示装置17に表示される図柄変動演出の表示内容を制御する表示制御基板70」は、本願補正発明の「前記判定手段の判定結果に基づいて、前記図柄表示手段に表示する図柄の変動表示を制御する図柄制御手段」に相当する。
(d)引用発明における「メイン制御CPU60a」は、図柄変動演出終了後に当り遊技を実行しているから、本願補正発明における「特別遊技実行手段」にも相当する。
また、引用発明における「所定の当り表示となる図柄組み合わせ」の図柄は、本願補正発明における「所定図柄」に相当する。
したがって、上記(c)において言及したように、引用発明における「表示制御基板70」は、本願補正発明における「図柄制御手段」に相当するから、引用発明の「表示制御基板70により図柄表示装置17に所定の当り表示となる図柄組み合わせで飾図が確定停止表示された後、決定した種類の当り遊技を実行するメイン制御CPU60a」は、本願補正発明の「前記図柄制御手段により前記図柄表示手段に表示される図柄が所定図柄で停止表示された後、前記特別遊技を実行する特別遊技実行手段」に相当する。
(e)引用発明における「可動演出装置26」は、本願補正発明における「第1演出手段」に相当する。
また、引用発明における「可動体ランプ装置28ならびにスピーカ19」は、可動体ランプ装置28における発光体の点灯、消灯(点滅)も演出であり、スピーカ19から出力する音も演出であるといえるから、本願補正発明における「第2演出手段」に相当する。
したがって、引用発明の「可動演出装置26および可動体ランプ装置28ならびにスピーカ19」は、本願補正発明の「第1演出手段および第2演出手段」に相当する。
(f)引用発明における「可動演出装置26の駆動モータ27の制御、可動体ランプ装置28の発光制御、および、スピーカ19からの音声出力のタイミングや大きさ等の制御をする」ことは、「可動演出装置26」、「可動体ランプ装置28」、および、「スピーカ19」により演出が行われることといえるから、引用発明における「統括制御基板65」は、本願補正発明における「演出制御手段」に相当する。
したがって、上記(e)において言及したように、引用発明の「可動演出装置26および可動体ランプ装置28ならびにスピーカ19」は、本願補正発明の「第1演出手段および第2演出手段」に相当するから、引用発明の「可動演出装置26の駆動モータ27の制御、可動体ランプ装置28の発光制御、および、スピーカ19からの音声出力のタイミングや大きさ等の制御をする統括制御基板65」は、本願補正発明の「前記第1演出手段および前記第2演出手段に演出を行わせる演出制御手段」に相当する。
(g)引用発明における「図柄変動演出中」は、本願補正発明における「図柄変動表示中」に相当する。
また、引用発明における「一発報知演出」は、可動演出装置26の可動体26aを回転する演出、可動体ランプ装置28における発光体の点灯、消灯(点滅)による演出およびスピーカ19から出力する特定効果音による演出であるから、本願補正発明における「第1特定報知演出」に相当する。
そして、引用発明における「統括制御CPU65a」は、一発報知演出を実行しているから、本願補正発明における「特定報知演出実行手段」に相当する。
したがって、上記(f)において言及したように、引用発明における「統括制御基板65」は、本願補正発明における「演出制御手段」に相当するから、引用発明の「統括制御基板65が、図柄変動演出中に大当りが発生することを報知する一発報知演出であって、可動演出装置26の可動体26aを回転する演出、可動体ランプ装置28における発光体の点灯、消灯(点滅)による演出およびスピーカ19から出力する特定効果音による演出である一発報知演出を実行するよう構成されている統括制御CPU65aを有し」ていることは、本願補正発明と「前記演出制御手段は、前記図柄変動表示中に前記第1演出手段および前記第2演出手段を用いた第1特定報知演出を実行可能な特定報知演出実行手段を有し」ていることで共通している。
(h)引用発明における「一発報知演出の開始」、「パチンコ機」は、それぞれ本願補正発明における「第1のタイミング」、「遊技機」に相当する。
また、引用発明における「一発報知演出の開始から終了までの8000ms」、「1500ms」は、それぞれ異なる期間であるから、それぞれ本願補正発明における「第1期間」、第1期間と異なる期間である「第2期間」に相当する。
したがって、上記(g)において言及したように、引用発明における「統括制御CPU65a」は、本願補正発明における「特定報知演出実行手段」に相当するから、引用発明の「統括制御CPU65aは、第1一発報知演出パターンK1では、可動体26aについては、一発報知演出の開始から終了までの8000ms連続的に一方向(実施例では右回り)に回転するよう設定され、発光体については、一発報知演出の開始から点灯して1500ms後に消灯し、スピーカ19からの効果音については、一発報知演出の開始から出力して、発光体の最初の消灯に合わせて消音しているパチンコ機」は、本願補正発明と「前記特定報知演出実行手段は、前記第1特定報知演出を実行する際には、前記第1演出手段を第1のタイミングから第1期間作動させると共に、前記第2演出手段を前記第1のタイミングから第2期間作動させる遊技機」である点で共通している。
以上(a)~(h)の検討より、本願補正発明と引用発明とは、
「A 始動条件の成立により、特別遊技に当選したか否かを判定する判定手段と、
B 図柄の変動表示を行う図柄表示手段と、
C 前記判定手段の判定結果に基づいて、前記図柄表示手段に表示する図柄の変動表示を制御する図柄制御手段と、
D 前記図柄制御手段により前記図柄表示手段に表示される図柄が所定図柄で停止表示された後、前記特別遊技を実行する特別遊技実行手段と、
E 第1演出手段および第2演出手段と、
F 前記第1演出手段および前記第2演出手段に演出を行わせる演出制御手段と、を備え、
G’ 前記演出制御手段は、
前記図柄変動表示中に前記第1演出手段および前記第2演出手段を用いた第1特定報知演出を実行可能な特定報知演出実行手段を有し、
H’ 前記特定報知演出実行手段は、
前記第1特定報知演出を実行する際には、前記第1演出手段を第1のタイミングから第1期間作動させると共に、前記第2演出手段を前記第1のタイミングから第2期間作動させる遊技機。」
の点で一致し、以下の点で相違する。
[相違点1]
「演出制御手段」が有する「特定報知演出実行手段」について、本願補正発明は、「前記特別遊技中に前記第1演出手段および前記第2演出手段を用いた第2特定報知演出」も「実行可能」であるのに対して、引用発明は、そのような特定がなされていない点。
[相違点2]
「特定報知演出実行手段」について、本願補正発明は、「前記第2特定報知演出を実行する際には、前記第1演出手段を第2のタイミングから第3期間作動させると共に、前記第2演出手段を前記第2のタイミングから第4期間作動させる」のに対して、引用発明は、そのような特定がなされていない点。
(4)判断
(ア)上記[相違点1]について検討する。
引用文献1の【0224】には(変更例)として「(1)実施例では、遊技者に付与される特典状態を報知する特典状態報知演出として、大当りを報知する一発報知演出を図柄変動演出中に実行する場合で説明したが、特典状態は大当りに限定されるものでなく、確変状態等、遊技者にとって有利な状態であればよい。すなわち、特典状態を報知する一発報知演出は、大当り遊技中において確変状態を報知するための演出として実行するものであってもよく、該一発報知演出の演出実行タイミングは、図柄変動演出の開始から大当り遊技の終了までの間に設定されればよい。従って、図柄変動演出の開始から大当り遊技の終了を示すエンディング演出が終了するまでの間に、一発報知演出の演出実行タイミングが設定されていればよい。また、例えば特殊確変大当り遊技に当選した場合の当該大当り遊技において、1ラウンド目における開閉扉の3回目の開放に合わせて一発報知演出を実行することによって、当該大当り遊技が出球の少ない2R突然確変大当り遊技でなく、出球の多い特殊確変大当り遊技であることを報知するものであってもよい」と記載されており、「特典状態を報知する一発報知演出は、大当り遊技中において確変状態を報知するための演出として実行するものであってもよ」いこと、および、「特殊確変大当り遊技に当選した場合の当該大当り遊技において、1ラウンド目における開閉扉の3回目の開放に合わせて一発報知演出を実行すること」が記載されている。
ここで、上記特典状態報知演出は遊技者に付与される特典状態を報知することが目的であり、報知する特典状態を1つのみに限定する理由はないから、いずれの特典状態の報知を実行するようにするかは、当業者が適宜選択し得た事項である。
したがって、引用発明に、引用文献1に記載された「特典状態を報知する一発報知演出は、大当り遊技中において確変状態を報知するための演出として実行する」こと、または、「特殊確変大当り遊技に当選した場合の当該大当り遊技において、1ラウンド目における開閉扉の3回目の開放に合わせて一発報知演出を実行すること」を適用し、前記相違点1に係る特別遊技中に第1演出手段および第2演出手段を用いた第2特定報知演出も実行可能とすることは、当業者であれば容易に想到し得たことである。
(イ)上記[相違点2]について検討する。
特典状態を報知する一発報知演出の1例として、引用文献1の【0125】に「第1一発報知演出パターンK1は、演出全体の演出時間(以下、単に演出時間という)が8000msに設定され、可動体26aについては、一発報知演出の開始から終了まで連続的に一方向(実施例では右回り)に回転するよう設定される。また、発光体については、一発報知演出の開始から点灯して1500ms後に消灯し、該消灯状態を2500ms継続した後に、点灯100msと消灯100msとを繰り返すパターンを10回行い、該パターンが終わった後に500ms消灯を継続してから点灯して一発報知演出の終了により消灯するよう設定される。更に、スピーカ19からの効果音については、一発報知演出の開始から出力して、発光体の最初の消灯に合わせて消音し、該発光体の次の点灯に合わせて出力してから一発報知演出の終了まで出力を継続した後に消音するよう設定される」と記載されるように、可動体26aについては、一発報知演出の開始から終了までの8000ms連続的に一方向(実施例では右回り)に回転するよう設定され、発光体については、一発報知演出の開始から点灯して1500ms後に消灯し、スピーカ19からの効果音については、一発報知演出の開始から出力して、発光体の最初の消灯に合わせて消音している演出が記載されているといえる。
ここで、大当り遊技中において確変状態を報知するための演出として上記一発報知演出を実行すること、または、特殊確変大当り遊技に当選した場合の当該大当り遊技において、1ラウンド目における開閉扉の3回目の開放に合わせて上記一発報知演出を実行することは、当業者が適宜設定し得た事項である。その際、引用文献1に記載される「一発報知演出の開始」は、本願補正発明における「第2のタイミング」に相当する。また、引用文献1に記載される「一発報知演出の開始から終了までの8000ms」、「1500ms」は、それぞれ異なる期間であるから、それぞれ本願補正発明における「第3期間」、第3期間と異なる期間である「第4期間」に相当する。
したがって、引用発明に、引用文献1に記載された「特典状態を報知する一発報知演出は、大当り遊技中において確変状態を報知するための演出として実行する」こと、または、「特殊確変大当り遊技に当選した場合の当該大当り遊技において、1ラウンド目における開閉扉の3回目の開放に合わせて一発報知演出を実行すること」を適用するとともに、該「一発報知演出」として、引用文献1に記載された、可動体26aについては、一発報知演出の開始から終了までの8000ms連続的に一方向(実施例では右回り)に回転するよう設定され、発光体については、一発報知演出の開始から点灯して1500ms後に消灯し、スピーカ19からの効果音については、一発報知演出の開始から出力して、発光体の最初の消灯に合わせて消音している演出を適用し、前記相違点2に係る第2特定報知演出を実行する際には、第1演出手段を第2のタイミングから第3期間作動させると共に、第2演出手段を第2のタイミングから第4期間作動させる構成とすることは、当業者であれば容易に想到し得たことである。
(ウ)まとめ
そうすると、引用発明において、引用文献1の記載事項を適用することにより、「可動体演出装置26」と、「可動体ランプ装置28」および「スピーカ19」とについて、作動開始を同じタイミングとするともに作動期間を異なる期間とした上記一発報知演出を、図柄変動演出中に加え、大当たり遊技中においても実行可能とし、上記相違点1、2に係る本願補正発明のように構成することは、当業者が容易に想到し得たことである。
そして、本願補正発明の作用効果も、引用発明及び上記引用文献1に記載される事項から当業者が予測できる範囲のものである。
(5)審判請求人の主張について
本願請求人は平成28年12月1日付け審判請求書において「つまり、引用文献1に係る発明は、特典状態を報知する一発報知演出を用いて、本願発明の第1特定報知演出を実行するか、あるいは第1特定報知演出に代えて第2特定報知演出を実行しても良いことが開示されております。しかし、引用文献1には、本願発明の第1特定報知演出と第2特定報知演出の両方を実行可能であることは開示されておらず、またそれを示唆するような記載もありません」と主張している。しかしながら、上記(4)において既に検討したように、上記特典状態報知演出は遊技者に付与される特典状態を報知することが目的であり、報知する特典状態を1つのみに限定する理由はなく、ここで例示される「大当り」、「確変状態」(または「特殊確変大当り」)はそれぞれ別の「特典状態」であることも明らかであるから、いずれか一つの「特典状態」のみを報知することには限られず、複数の特典状態の報知を実行することは当業者が容易に想到し得たことであるので、該主張は採用できない。
また、本願請求人は同審判請求書において「引用文献1の記載に基づいて、本願発明の第1特定報知演出と第2特定報知演出の両方を実行することは、当業者であれば容易に想到し得る事項であったとしても、第1特定報知演出における第1演出手段および第2演出手段の動作態様と、第2特定報知演出における第1演出手段および第2演出手段の動作態様とが異なっていることまでは、たとえ当業者であっても、引用文献1に記載された発明から容易に想到し得るものではありません」とも主張するものの、請求項1には第1期間と第3期間とが異なる期間である点、第2期間と第4期間とが異なる期間である点は明記されていないから、該主張は請求項1の記載に基づくものではないため採用できない。
(6)小括
本願補正発明は、引用発明及び上記引用文献1に記載される事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
4.むすび
上記2.(1)で検討したとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項に規定する要件を満たしていないものであるから、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。
さらに、上記3.で検討したとおり、仮に本件補正を限定的減縮として独立特許要件を判断しても、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
第3 本願発明
本願補正発明は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という)は、平成28年3月10日付けの手続補正書により補正された、上記第2の1.の本件補正の概要において示した次のとおりのものである(A~Hは本願補正発明を分説するため当審で付与した。)。
「A 始動条件の成立により、特別遊技に当選したか否かを判定する判定手段と、
B 図柄の変動表示を行う図柄表示手段と、
C 前記判定手段の判定結果に基づいて、前記図柄表示手段に表示する図柄の変動表示を制御する図柄制御手段と、
D 前記図柄制御手段により前記図柄表示手段に表示される図柄が所定図柄で停止表示された後、前記特別遊技を実行する特別遊技実行手段と、
E 第1演出手段および第2演出手段と、
F 前記第1演出手段および前記第2演出手段に演出を行わせる演出制御手段と、を備え、
G 前記演出制御手段は、
前記図柄変動表示中に前記第1演出手段および前記第2演出手段を用いた第1特定報知演出と、前記特別遊技中に前記第1演出手段および前記第2演出手段を用いた第2特定報知演出と、を実行可能な特定報知演出実行手段を有し、
H 前記特定報知演出実行手段は、前記第1演出手段を所定タイミングから所定期間作動させると共に、前記第2演出手段を前記所定タイミングから前記所定期間とは異なる期間作動させることを特徴とする遊技機。」
1.引用文献1
原査定の拒絶理由に引用された引用文献1の記載事項は、上記第2の3.(2)において示した次のとおりのものである(a~hは引用発明を分説するため当審で付した。)。
「a 始動入賞装置30への入賞を契機として当りか否かを判定するメイン制御CPU60aと、
b 図柄変動演出が表示される図柄表示装置17と、
c メイン制御CPU60aの判定した結果によるものである演出パターン指定コマンドに基づいて、図柄表示装置17に表示される図柄変動演出の表示内容を制御する表示制御基板70と、
d 表示制御基板70により図柄表示装置17に所定の当り表示となる図柄組み合わせで飾図が確定停止表示された後、決定した種類の当り遊技を実行するメイン制御CPU60aと、
e 可動演出装置26および可動体ランプ装置28ならびにスピーカ19と、
f 可動演出装置26の駆動モータ27の制御、可動体ランプ装置28の発光制御、および、スピーカ19からの音声出力のタイミングや大きさ等の制御をする統括制御基板65と、を備え、
g 統括制御基板65が、図柄変動演出中に大当りが発生することを報知する一発報知演出であって、可動演出装置26の可動体26aを回転する演出、可動体ランプ装置28における発光体の点灯、消灯(点滅)による演出およびスピーカ19から出力する特定効果音による演出である一発報知演出を実行するよう構成されている統括制御CPU65aを有し、
h 統括制御CPU65aは、第1一発報知演出パターンK1では、可動体26aについては、一発報知演出の開始から終了までの8000ms連続的に一方向(実施例では右回り)に回転するよう設定され、発光体については、一発報知演出の開始から点灯して1500ms後に消灯し、スピーカ19からの効果音については、一発報知演出の開始から出力して、発光体の最初の消灯に合わせて消音しているパチンコ機。」
2.対比
本願発明と引用発明とを対比する。対比の見出しとしての(a)~(h)は引用発明の分説構成と対応させる。
ここで、上記第2の3.(1)に示した、仮に本件補正が特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって適法であると解釈した場合における本願補正発明の、発明を特定するために必要な事項である「特定報知演出実行手段」について、「前記第1特定報知演出を実行する際には、前記第1演出手段を第1のタイミングから第1期間作動させると共に、前記第2演出手段を前記第1のタイミングから第2期間作動させ、前記第2特定報知演出を実行する際には、前記第1演出手段を第2のタイミングから第3期間作動させると共に、前記第2演出手段を前記第2のタイミングから第4期間作動させること」という各々を具体的な記載で限定する記載を省き、「前記第1演出手段を所定タイミングから所定期間作動させると共に、前記第2演出手段を前記所定タイミングから前記所定期間とは異なる期間作動させること」としたものが本願発明であるから、本願発明と引用発明との対比でも、上記第2の3.(3)において示した(a)~(g)の検討については共通するため、(a)~(g)の検討については省略し、(h)の検討をする。
(h)引用発明における「一発報知演出の開始」、「パチンコ機」は、それぞれ本願発明における「所定タイミング」、「遊技機」に相当する。
また、引用発明における「一発報知演出の開始から終了までの8000ms」、「1500ms」は、それぞれ異なる期間であるから、それぞれ本願発明における「所定期間」、「前記所定期間とは異なる期間」に相当する。
したがって、引用発明の「統括制御CPU65aは、第1一発報知演出パターンK1では、可動体26aについては、一発報知演出の開始から終了までの8000ms連続的に一方向(実施例では右回り)に回転するよう設定され、発光体については、一発報知演出の開始から点灯して1500ms後に消灯し、スピーカ19からの効果音については、一発報知演出の開始から出力して、発光体の最初の消灯に合わせて消音しているパチンコ機」は、本願発明と「前記特定報知演出実行手段は、前記第1演出手段を所定タイミングから所定期間作動させると共に、前記第2演出手段を前記所定タイミングから前記所定期間とは異なる期間作動させる遊技機」である点で共通している。
以上(a)~(h)の検討より、本願発明と引用発明とは、
「A 始動条件の成立により、特別遊技に当選したか否かを判定する判定手段と、
B 図柄の変動表示を行う図柄表示手段と、
C 前記判定手段の判定結果に基づいて、前記図柄表示手段に表示する図柄の変動表示を制御する図柄制御手段と、
D 前記図柄制御手段により前記図柄表示手段に表示される図柄が所定図柄で停止表示された後、前記特別遊技を実行する特別遊技実行手段と、
E 第1演出手段および第2演出手段と、
F 前記第1演出手段および前記第2演出手段に演出を行わせる演出制御手段と、を備え、
G’ 前記演出制御手段は、
前記図柄変動表示中に前記第1演出手段および前記第2演出手段を用いた第1特定報知演出を実行可能な特定報知演出実行手段を有し、
H’ 前記特定報知演出実行手段は、前記第1演出手段を所定タイミングから所定期間作動させると共に、前記第2演出手段を前記所定タイミングから前記所定期間とは異なる期間作動させる遊技機。」
の点で一致し、以下の点で相違する。
[相違点1]
「演出制御手段」が有する「特定報知演出実行手段」について、本願発明は、「前記特別遊技中に前記第1演出手段および前記第2演出手段を用いた第2特定報知演出」も「実行可能」であるのに対して、引用発明は、そのような特定がなされていない点。
[相違点2]
「特定報知演出実行手段」について、上記[相違点1]で言及したように本願発明は、「前記特別遊技中に前記第1演出手段および前記第2演出手段を用いた第2特定報知演出」も「実行可能」であるのに対して、引用発明は、そのような特定がなされていないので、本願発明は、「前記第2特定報知演出」を「実行」する際も「前記第1演出手段を所定タイミングから所定期間作動させると共に、前記第2演出手段を前記所定タイミングから前記所定期間とは異なる期間作動させる」のに対して、引用発明は、そのような特定がなされていない点。
3.判断
上記第2の3.(1)に示した、仮に本件補正が特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって適法であると解釈した場合における本願補正発明の、発明を特定するために必要な事項である「特定報知演出実行手段」について、「前記第1特定報知演出を実行する際には、前記第1演出手段を第1のタイミングから第1期間作動させると共に、前記第2演出手段を前記第1のタイミングから第2期間作動させ、前記第2特定報知演出を実行する際には、前記第1演出手段を第2のタイミングから第3期間作動させると共に、前記第2演出手段を前記第2のタイミングから第4期間作動させること」という各々を具体的な記載で限定する記載を省き、「前記第1演出手段を所定タイミングから所定期間作動させると共に、前記第2演出手段を前記所定タイミングから前記所定期間とは異なる期間作動させること」としたものが本願発明である。
ここで、上記本願補正発明は、「特定報知演出実行手段」の「第2演出手段」を作動させる期間について、補正前の「前記所定期間とは異なる期間」なる記載を加味した、第1特定報知演出を実行する際の第2期間が第1期間と異なる期間であり、第2特定報知演出を実行する際の第4期間が第3期間と異なる期間であるとして、かつ、「所定タイミング」を「第1のタイミング」、「第2のタイミング」と区別して限定したものとしている。
そうすると、本願発明の構成要件をすべて含み、さらに、本願発明よりも「特定報知演出実行手段」について各々を具体的な記載で限定する記載をしている本願補正発明が、上記第2の3.(4)に記載したとおり、引用発明及び上記引用文献1に記載される事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、相違点1、2については、引用発明及び上記引用文献1に記載される事項に基づいて、当業者が容易に行い得ることである。
したがって、本願発明は、引用発明及び上記引用文献1に記載される事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
4.むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
審決本文(J-PlatPat)
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2016-017957