意匠拒絶査定不服審判
2016-017828
飲料注出コック
- 審判番号
- 2016-017828
- 法域
- 意匠
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 意願2015-012224外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2016年11月29日
- 審決日
- 2017年07月25日
- 公報発行日
- 2017年09月29日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 分類
- D18 .121-WY (C6-6)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 意匠法3条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 意匠法第3条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
意願2015-12224「飲料注出コック」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。
結論
【結 論】
原査定を取り消す。
本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由
【理 由】
第1 本願意匠
本願は,平成27年(2015年)6月2日付けの意匠登録出願であり,その意匠(以下「本願意匠」という)は,意匠に係る物品を「飲料注出コック」とし,その形態を願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである(別紙第1参照)。
第2 原審の拒絶の理由
原審における拒絶の理由は,本願意匠が,出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形態に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものと認められるので,意匠法第3条第2項の規定に該当するとしたものであって,具体的には,本願意匠は,飲料注出コックに係るものであるが,この種の物品分野において,ノズル部を正面視において,注出管から斜め下方向に向けて形成することは,出願前に公然知られていたことであるから(例示意匠1),本願の意匠は,出願前に公然知られた飲料注出コックにおいて(例示意匠2)ノズル部を出願前に公然知られた態様の様に正面視において,注出管から斜め下方向に形成し,飲料と泡の両ノズルを単に同方向に向けるという変更を加え,飲料注出コックの意匠としたまでのものであるから,当業者であれば容易に創作できたものと認められる,としたものである。
(例示意匠1)
特許庁発行の意匠公報記載
意匠登録第1101457号の意匠
「飲料注出コック」の意匠。
(例示意匠2)
特許庁発行の公開特許公報記載
特開2008-222266
「飲料供給装置」の【図2】に表された「飲料注出コック」(30)の意匠。
第3 当審の判断
以下において,本願意匠の意匠法第3条第2項の該当性,つまり,本願意匠が当業者であれば容易に創作することができたか否かについて,検討し,判断する。
1.本願意匠
本願意匠は,全自動の飲料供給装置の前面に取り付けるものであって,前後方向の注出管に,その手前端(注出管先端)の上部に鉛直上方に突出する操作レバー,注出管の下部前後に,発泡性飲料を泡状態にて注出する泡ノズルと,発泡性飲料を液状態で注出する液ノズルを設けたものである。後側の液ノズル(以下「後ノズル」ともいう。)は,全自動の飲料供給装置であっても,液状態の発泡性飲料を容器の内周面に沿って螺旋状に流れ落ちるようするために,前方(手前)に傾斜しているだけでなく,向かって右側に傾斜している。前側の泡ノズル(以下「前ノズル」ともいう。)は,泡状態の発泡性飲料が容器内の発泡性飲料の液面に衝突するときに飛び散るのを防ぐことができるように,液ノズルと同じ角度で前方に傾斜しているだけでなく,液ノズルと同じ角度で向かって右側に傾斜している(よって,前後のノズルは平行である。)。
また,液ノズル及び泡ノズルの出口を互いに近い位置になるよう,両ノズルをほぼ同じ長さにしている。そして,泡ノズル内に泡状態の発泡性飲料が残らないようにするための後ダレ防止用のスリットについては,泡ノズルを右側に傾斜させたことから,ノズルの上側にのみスリットを形成している。
2.引用意匠
原審において,本願意匠が,意匠法第3条第2項の規定に該当するとした根拠に用いた例示意匠1及び同2の形態について認定する。
2-1.例示意匠1について
例示意匠1は,前後に延びる注出管に,その手前端の上部に鉛直上方に突出する操作レバー,注出管の下部前後に,泡ノズルと液ノズルを設けたものである。前ノズルは,右側にのみ傾斜した短いもので,その周面にはスリットを設けていないものである。後ノズルは,前方及び左に傾斜しているものであって,前ノズルの約1.5倍の長さとしたものである。
2-2.例示意匠2について
例示意匠2は,前後に延びる注出管に,その手前端の上部に鉛直上方に突出する操作レバー,注出管の下部前後に,泡ノズルと液ノズルを設けたものである。前後のノズルは,共に前方に傾斜し,正面視において同じ方向に向いていると推認できるものであって,前ノズルの周面の左右の2か所にスリットを設けたものであって,後ノズルは,前ノズルの約1.5倍の長さとしたものである。
3.本願意匠の創作の容易性について
本願意匠の創作内容は,次のとおりである。
すなわち,全自動の飲料供給装置用の飲料注出コックであって,発泡性飲料を過剰に泡立つことなく注出することを目的に,液状飲料に無用な発泡をさせないために,(ジョッキ等)容器内に飲料を穏やかに流れ落ちるように,飲料を容器の内周面に沿って螺旋状に流れるようにするために,後側の液ノズルは,前方及び右側に傾斜している。また,前側の泡ノズルは,泡状態の発泡性飲料が容器内の発泡性飲料の液面に衝突するときに飛び散るのを防ぐために,液ノズルと同じ角度で(前方と右側に)傾斜し(平行にし),前後の両ノズルをほぼ同じ長さにしている。そして,泡ノズルには,後ダレ防止用のスリットを,ノズルの上側にのみに形成している。
そうすると,全自動の飲料供給機用のために,後ノズルを前方及び右側に傾斜させ,なおかつ,泡状飲料が飛び散るのを防ぐために,前ノズルを後ノズルと平行にしたという点は,本願意匠の創作内容の要といえるところ,そのような態様は,原審拒絶理由通知書に記載された意匠1及び同2には表れていない。加えて,右側に傾斜した泡ノズルの上側にのみスリットを設けた態様も,原審拒絶理由通知書に記載された意匠には表れていないのであるから,これらの出願前公知の意匠を根拠に,本願意匠の創作が容易であったとはいえない。
4.結び
したがって,本願意匠は,意匠法第3条第2項の規定に該当しないので,原審の拒絶の理由によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また,当審が更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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