特許拒絶査定不服審判
2016-017316
芳名カード
- 審判番号
- 2016-017316
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2015-225497外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2016年11月21日
- 審決日
- 2017年07月18日
- 公報発行日
- 2017年11月24日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】有宗 由香利
- 分類
- P18 .121-Z (B42D)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2015-225497「芳名カード」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 1月12日出願公開、特開2017- 7323〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、出願日が平成27年6月19日である実願2015-3115号(以下「原出願」という。)を平成27年11月18日に特許出願に変更したものであって、平成28年6月1日付けで手続補正がなされ、同年8月2日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年11月21日付けで拒絶査定に対する不服審判請求がなされたものである。
第2 本願発明
本願の請求項1に係る発明は、上記平成28年6月1日付けの手続補正によって補正された特許請求の範囲の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認められる。(以下「本願発明」という。)
「【請求項1】
横長のカード表面に氏名及び住所の記入欄、香典・玉串料及び献花料の記入欄並びに供花の基・対の数の記入欄及び供物の基・対・箱の数の記入欄を備え、カード裏面に故人へのメッセージ欄と遺族へのメッセージ欄を備えており、裏面を内側に中央で2枚折りして重ねて使用し、カード表面及び裏面の四隅部に綴込孔を設けたことを特徴とする芳名カード。」
第3 引用刊行物
1 刊行物1
原査定の拒絶理由で引用された、本願の原出願の出願日前である平成26年11月13日に頒布された刊行物である実用新案登録第3194206号公報(以下「刊行物1」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている。(なお、下線は審決で付した。以下同じ。)
(1)「【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】
空白だったカード式芳名録裏面に、会葬者が故人への想い・遺族へのお悔やみの言葉を書き込むためのメッセージ欄。
【考案の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本考案は、会葬者が故人への想い、遺族へのお悔やみの言葉を書き込むため、カードの裏面にメッセージ欄を設けたものである。
【背景技術】
【0002】
従来の芳名録では会葬者が、故人への想い、遺族へのお悔やみの言葉を書き込む事が出来なかった。
【考案の概要】
【考案が解決しようとする課題】
【0003】
会葬者が遺族と充分に会話が出来ない慌ただしい葬儀の中で、従来の芳名録では、住所・氏名の項目は書けても、故人への想い、遺族へのお悔やみの言葉を書き込む事が出来ない難点があった。
本考案は、この課題を解決するためになされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
カード式の芳名録の利用されて無かった空白裏面に、会葬者が故人への想い、遺族に対してのお悔やみの言葉を書き込むメッセージ欄を設けた。
【考案の効果】
【0005】
慌ただしい葬儀の限られた時間内に会葬者は、故人への想い・遺族へのお悔やみの言葉を書き残す事が出来る。
このため葬儀後に遺族は落ち着いて読むことが出来、心が癒される。
【考案を実施するための形態】
【0006】
芳名録の裏面に、故人への想い・遺族へのお悔やみの言葉を書き込めるように四角で囲んだ枠内に、2段に分けたメッセージ欄を設ける。」
(2)上記(1)及び図1より、表面に芳名、住所、香典(玉串料・献花料)、供花、供物の記入欄を備えた横長のカード式芳名録及び裏面に会葬者が故人への想いの言葉を書き込むためのメッセージ欄及び遺族へのお悔やみの言葉を書き込むためのメッセージ欄が看取できる。
上記(1)及び(2)から、刊行物1には、次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されているものと認められる。
「表面に芳名、住所、香典(玉串料・献花料)、供花、供物の記入欄を備えた横長のカード式芳名録であって、裏面に、会葬者が故人への想いの言葉を書き込むためのメッセージ欄及び遺族へのお悔やみの言葉を書き込むためのメッセージ欄を設けたカード式芳名録。」
2 刊行物2
原査定の拒絶理由で引用された、本願の原出願の出願日前である平成19年6月28日に頒布された刊行物である実用新案登録第3132998号公報(以下「刊行物2」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている。
(1)「【請求項1】
折り曲げ線に沿って二つ折り可能に形成したメッセージカードであって、該メッセージカードの内側面には、メッセージを記入するメッセージ記入欄を設けてあると共に、前記折り曲げ線に対向する端部の一方に接着剤層を設け、該接着剤層を覆って剥離紙を貼付したメッセージカード。」
(2)「【技術分野】
【0001】
本考案は、葬儀や法事のときにメッセージを記入して棺等に入れたり、祈願又は報謝のメッセージを記入して神社、仏閣等に奉納したりすることができるメッセージカードに関する。」
(3)「【考案が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の葬儀用メッセージカードは、メッセージカードに記入したメッセージの内容が不特定多数の者に視認可能なために、故人のみへ宛てたメッセージを記入し難く、又、故人のプライバシーも損なわれる恐れがあるという課題があった。
【0005】
また、祈願又は報謝のメッセージを記入して神社、仏閣等に奉納する絵馬は、祈願した者の氏名等の個人情報と共に願い事を記入して、不特定多数の者に見られ得る状態で吊り下げられるために、秘密性がなく祈願した者のプライバシーが損なわれるという課題があった。
【0006】
そこで、本考案は、故人に宛てたメッセージや、神社、仏閣等に奉納する祈願メッセージの秘密性を保持することができるメッセージカードを提供するものである。」
(4)図3及び図4より、内側面を内側に中央で2枚折りして重ねて使用する横長のメッセージカードが看取できる。
上記(1)乃至(4)から、刊行物2には、次の発明(以下「引用発明2」という。)が記載されているものと認められる。
「折り曲げ線に沿って二つ折り可能に形成したメッセージカードであって、該メッセージカードの内側面には、故人に宛てたメッセージを記入するメッセージ記入欄を設けてあると共に、前記折り曲げ線に対向する端部の一方に接着剤層を設け、該接着剤層を覆って剥離紙を貼付し、内側面を内側に中央で2枚折りして重ねて使用する横長のメッセージカード。」
3 刊行物3
原査定の拒絶理由で引用された、本願の原出願の出願日前である平成6年8月16日に頒布された刊行物である登録実用新案第3000771号公報(以下「刊行物3」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている。
(1)「【請求項1】カード表面に、少なくとも、氏名を記入するための氏名記入欄と、住所又は会社名等の居所を記入するための居所記入欄とを区分けして設けるとともに、これら記入欄を識別する文字を印刷し、また金額を追記するための金額追記欄を設けたことを特徴とする芳名録カード。
…
【請求項4】綴込孔を設けたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の芳名録カード。」
(2)「【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、葬儀や結婚式やパーティー等において、参列者に氏名や住所などを記入してもらうための芳名録カードに関する。」
(3)「【0004】
本考案の目的は、従来のこのような問題点に鑑み、葬儀や結婚式やパーティー等において、参列者一人一人に一枚ずつ渡して別々に記入するカード形式とすることにより、参列者に対する受付業務の簡素化及び迅速化が図れるとともに、受付の混雑を解消でき、また式後における各種の事務処理を能率的に行え、特にコンピュータ管理とする場合、式場において即時に必要事項の入力が可能になるとともに、入力ミスの発生も少なくできる芳名録カードを提供することにある。」
(4)図1乃至図5より、カードの表面及び裏面の二隅部に綴込孔を設けた芳名録カードが看取できる。
4 刊行物4
原査定の拒絶理由で引用された、本願の原出願の出願日前である平成15年11月19日に頒布された刊行物である特開2003-326874号公報(以下「刊行物4」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている。
(1)「【請求項1】 表面に記名者に関係する関係事項の記入欄を印刷した芳名シートからなり、該芳名シート周縁部に係止孔を設けた芳名録。
【請求項2】 前記関係事項の記入欄は、記名者の住所及び郵便番号欄と、氏名欄と、電話番号欄及び記名者の関係する会社、業界、学校、商店会、官公庁、町会等の組織体の表示欄により形成されていることを特徴とする請求項1に記載の芳名録。」
(2)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、通夜、告別式などの葬儀の式又は結婚式等のために使用する整理が簡便な芳名録に関する。」
(3)「【0007】本発明はかかる煩雑な葬儀その他の式後の整理作業を簡潔にし、整理が簡便な芳名録を提供することを目的とする。」
(4)図1乃至図3より、周縁部の二隅部に綴込孔を設けた芳名録カードが看取できる。
5 刊行物5
原査定の拒絶理由で引用された、本願の原出願の出願日前である平成14年12月18日に頒布された刊行物である特開2002-362064号公報(以下「刊行物5」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている。
(1)「【請求項1】来場者に少なくとも住所氏名を記入してもらうための芳名カードにおいて、
少なくとも受付カード部と引換券部とを切り離し可能に有してなり、
前記受付カード部は、来場者が少なくとも住所氏名を記入するための記入欄を有しかつ当該受付カード部を一意に特定するための識別コードが予め記載されたものであり、
前記引換券部は、前記受付カード部と同一の識別コードが予め記載されたものであって、前記受付カード部へ記入した来場者に切り離されて引き渡され、後に返礼品との引き換えに使用されるものであることを特徴とする芳名カード。」
(2)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、来場者の住所氏名および返礼品の引き渡し状況を管理するための芳名カード、芳名録管理装置、芳名録管理システムおよび芳名録管理方法に関する。」
(3)「【0005】本発明は、このような従来の技術が有する問題点に着目してなされたもので、葬儀等における当日返しの渡し漏れに対して円滑な対応が可能な芳名カード、芳名録管理装置、芳名録管理システム、芳名録管理方法を提供することを目的としている。」
(4)「【0026】香典金額を記入した後、受付カード110と控えカード120とを切り離し、受付カード110を順次綴じ込むことで、会葬帳が出来上がる。また控えカード120を順次綴じこむことで、データ入力用の入力用原本が出来上がる。」
(5)上記(4)、図1及び図4より、周縁部の二隅部に綴込孔が設けられた芳名カードが看取できる。
第4 対比
そこで、本願発明と引用発明とを対比すると、
後者の「横長のカード式芳名録」、「表面」、「裏面」、及び「カード式芳名録」は、それぞれ、前者の「横長のカード」、「カード表面」、「カード裏面」、及び「芳名カード」に相当する。
後者の「芳名」、「住所」、「香典(玉串料・献花料)」、「供花」、及び「供物」は、ぞれぞれ、前者の「氏名」、「住所」、「香典・玉串料及び献花料」、「供花」、及び「供物」に相当し、それぞれの「記入欄」が設けられていることも共通する。
また、「供花」の「記入欄」には、「供花の基・対の数」を、「供物」の「記入欄」には、「供物の基・対・箱の数」を記入することは、一般社会常識から、明らかである。
後者の「会葬者が故人への想い・遺族へのお悔やみの言葉」は、前者の「故人へのメッセージと遺族へのメッセージ」に相当するから、後者の「会葬者が故人への想いの言葉を書き込むためのメッセージ欄」、及び「遺族へのお悔やみの言葉を書き込むためのメッセージ欄」は、そぜぞれ、前者の「故人へのメッセージ欄」、及び「遺族へのメッセージ欄」に相当する。
したがって、両者は、
「横長のカード表面に氏名及び住所の記入欄、香典・玉串料及び献花料の記入欄並びに供花の基・対の数の記入欄及び供物の基・対・箱の数の記入欄を備え、カード裏面に故人へのメッセージ欄と遺族へのメッセージ欄を備えた芳名カード。」
の点で一致し、以下の点で相違する。
[相違点]
本願発明が、「裏面を内側に中央で2枚折りして重ねて使用し、カード表面及び裏面の四隅部に綴込孔を設けた」ものであるのに対し、引用発明は、そのようなものでない点。
第5 判断
上記相違点について以下検討する。
引用発明2の「横長のメッセージカード」、「内側面」、及び「故人に宛てたメッセージを記入するメッセージ記入欄」は、それぞれ、本願発明の「横長のカード(芳名カード)」、「裏面」、及び「故人へのメッセージ記入欄」に相当する。
引用発明2の「メッセージカード」は、「内側面を内側に中央で2枚折りして重ねて使用する」ものであるから、「裏面を内側に中央で2枚折りして重ねて使用」するといえる。
そして、引用発明1も引用発明2も、葬儀の際に用いる芳名カードである点で技術分野が共通する。
引用発明1は、故人へのメッセージ欄を芳名カードの裏面に設けるものであって、故人へのメッセージの秘密性を保持したいという意図は明らかである。そうすると、引用発明1と引用発明2とは、故人へのメッセージの秘密性を保持したいという共通の課題を有するものであるから、引用発明1に、引用発明2を適用することは、当業者が容易に想到し得るものである。
また、上記刊行物3乃至刊行物5の記載事項から、当該技術分野において、芳名カードの周縁部の二隅部に綴込孔を設けることは周知の技術手段といえる(以下「周知の技術手段」という。)。
そして、上記周知の技術手段も、葬儀の際に用いる芳名カードである点で引用発明1と、技術分野が共通する。
また、引用発明1も上記周知の技術手段も、芳名カードを用いることにより、会葬者の整理管理を能率的に行うという点で共通の課題を有するものであるから、引用発明1に、上記周知の技術手段を適用することは、当業者が容易に想到し得るものである。
ここで、上記引用発明1に、引用発明2を適用するに際し、上記周知の技術手段を踏まえれば、2枚折りして重ねて使用する芳名カードの二隅部に綴込孔を設けると、カードの表面及び裏面の四隅部に綴込孔が設けられることは明らかである。
したがって、引用発明1において、引用発明2、及び上記周知の技術事項を適用することにより、上記相違点に係る本願発明の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得るものである。
そして、本願発明の発明特定事項によって奏される効果も、引用発明1、引用発明2、及び上記周知の技術事項から、当業者が予測しうる範囲内のものである。
第6 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、引用発明1、引用発明2、及び上記周知の技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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