特許拒絶査定不服審判
2024-020948
高分子マトリックスの層の屈折率を調整して微小光学(MO)焦点を最適化するためのナノ粒子の使用
- 審判番号
- 2024-020948
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2021-567833
- 請求日
- 2024年12月26日
- 審決日
- 2026年02月10日
- 公報発行日
- 2026年07月31日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】クレイン アンド カンパニー、 インコーポレイテッド
- 【請求人代理人】弁理士法人太陽国際特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 川俣 洋史
- 審判官 殿川 雅也
- 審判官 門 良成
- 分類
- P18 .121-Z (B42D)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 行政事件訴訟法46条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条、特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2021-567833「高分子マトリックスの層の屈折率を調整して微小光学(MO)焦点を最適化するためのナノ粒子の使用」拒絶査定不服審判事件〔令和2年11月26日国際公開、WO2020/237261、令和4年7月19日国内公表、特表2022-532717〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、2020年(令和2年)5月20日を国際出願日とする外国語特許出願であって(パリ条約による優先権主張外国庁受理2019年5月20日、2019年6月20日、いずれも米国)、その手続の経緯の概略は、次のとおりである。なお、以下、2019年5月20日を「最先の優先日」という。
令和3年11月11日 :翻訳文の提出
令和5年 5月16日 :手続補正書の提出
令和6年 3月22日付け:拒絶理由通知書
同年 7月 1日 :意見書、手続補正書の提出
同年 8月 8日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)
(同月27日 :原査定の謄本の送達)
同年12月26日 :審判請求書の提出
第2 本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、令和6年7月1日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「 【請求項1】
セキュリティデバイス(100、600、700、1000、1050)であって、
1つ以上の画像アイコン配列(110a、110b、615、715、1020)と、
1つ以上の屈折型の画像アイコン集光素子配列(120、605、705、1010)と、
封止層(125、600、1005)と、を備え、
前記1つ以上の屈折型の画像アイコン集光素子配列の一部が、前記1つ以上の画像アイコン配列の一部の合成画像を投影するように、前記1つ以上の屈折型の画像アイコン集光素子配列が、前記1つ以上の画像アイコン配列の上に配設され、
前記1つ以上の屈折型の画像アイコン集光素子配列が、非平面の境界に沿って前記封止層に接触し、
前記封止層及び前記1つ以上の屈折型の画像アイコン集光素子配列のうちの少なくとも1つが、第1の屈折率を有する有機樹脂混合物を含み、前記有機樹脂混合物が、前記有機樹脂混合物全体に分散された金属ナノ粒子を含み、
前記封止層及び前記屈折型の画像アイコン集光素子配列のうちの少なくとも1つが、低屈折率材料を含み、前記低屈折率材料が第2の屈折率を有し、
前記第1の屈折率と前記第2の屈折率との間の相対値は、前記屈折型の画像アイコン集光素子の形状に影響を与える、
セキュリティデバイス。」
第3 原査定の拒絶の理由の概要
原査定の拒絶の理由は、以下の理由を含むものである。
(進歩性)この出願の令和5年5月16日付け手続補正書における請求項7に係る発明は、その最先の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された下記の引用文献1、4に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
<引用文献等一覧>
1.特開2018-156110号公報
4.国際公開第2013/188518号
第4 当審の判断
1 引用文献、引用発明
(1)引用文献1
前記第3の原査定の拒絶の理由で引用された、本願の最先の優先日前に発行された特開2018-156110号公報(以下「引用文献1」という。)には、次の事項が記載されている(下線は当審において付した。以下同じ。)。
ア 「【0002】
本発明は1つまたは複数の合成光学画像を表示する光学システムに関し、光学的劣化をもたらす外部効果に対する改良された耐性を示すものである。
【背景技術】
【0003】
合成画像を表示するマイクロ光学材料は一般に、(a)光透過性のポリマー基板、(b)そのポリマー基板上または基板内に配置された微小寸法の画像アイコンの配列、及び(c)集光要素(例えばマイクロレンズ)の配列、からなる。画像アイコン及び集光要素の配列は、画像アイコンの配置を集光要素の配列を通してみると1つまたは複数の合成画像が表示されるように構成される。この表示された画像は、いくつかの異なる光学効果を示しうる。そのような効果を示しうる材料構成は、Steenblikらに対する米国特許第7,333,268号、Steenblikらに対する米国特許第7,468,842号、Steenblikらに対する米国特許第7,738,175号、Commanderらに対する国際特許公開第2005/106601(A2)号、Kauleらに対する国際特許公開第2007/076952(A2)号、Kauleらに対する国際特許公開第2009/000527号、Kauleらに対する国際特許公開第2009/000528号、Kauleらに対する国際特許公開第2009/000529号、及びKauleに対する国際特許公開第2009/000530号に記載されている。
【0004】
このような光学的可変材料は、紙幣やそのほかのセキュア文書や製品を認証するためのセキュリティデバイスとして使用しうる。紙幣やそのほかのセキュア文書に関しては、これらの光学可変材料は典型的には、ストリップ、スレッド、パッチ、またはオーバーレイの形態で、紙幣やその他のセキュア文書内に部分的に埋め込まれるか、またはその表面に貼付されて使用される。これらの材料は、後から印刷または個人専用化処理をするための基板としての使用に供する、独立型製品としても利用しうる。」
「【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者らは、これらの光学的可変材料が、汚れや物理的な摩耗(引っ掻きなど)に対して、また攪乱を起こす材料が配列面に接触した場合に起きる集光特性の擾乱に対して、集光要素配列部での感受性に関する、ある程度の光学的感度を有すると判断した。集光特性にそのような擾乱を起こす攪乱材料としては、接着剤被覆基板(テープなど)や液体や、空気とは異なる屈折率を有するそのほかの材料がある。具体的には、このような攪乱性の材料が集光要素配列面に貼付された場合、その攪乱性材料が配列表面で屈折角を好ましくないように変化させて、これらの材料によって表示される単一または複数の合成画像を、消滅させたり、焦点をずらしたり、ぼかしたりする傾向がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、光学的劣化をもたらす外部効果に対して改良された耐性を示す、1つまたは複数の合成光学画像を表示する光学システムを提供してこの問題点に対処するものである。本発明のシステムは基本的に、
(a)1つまたは複数の画像アイコンの配列と、
(b)1つまたは複数の部分的または全体的に埋め込まれた画像アイコン集光要素の配列と、を備え、
この1つまたは複数の画像アイコン集光要素の配列は、画像アイコン集光要素の少なくとも一部が少なくとも画像アイコンの一部の少なくとも1つの合成画像を形成するように、1つまたは複数の画像アイコン配列に対して配置されている。
【0008】
例示的な一実施形態においては、1つまたは複数の画像アイコン集光要素の配列は、屈折性集光要素(例えば、マイクロレンズ)である。この例示的システムの外表面から屈折界面への屈折率は、第1の屈折率と第2の屈折率との間で変化し、この第1の屈折率は、第2の屈折率とは実質的すなわち測定可能な程度に異なっている。
【0009】
この例示的実施形態において、集光要素配列は観察者の目と画像アイコン配列との間にあって、(i)画像アイコン集光要素の少なくとも一部の間の隙間に充填されているか、及び/又はこれらの集光要素を覆っているかして、集光要素を形成している材料(以後、“第1の材料”と称する)との間に明確な界面を形成しているか、または(ii)この第1の材料の中に拡散して、第1の材料との間に傾斜界面を形成しているかのいずれかの材料(以後、“第2の材料”と称する)を利用して、屈折率の変化を実現している。第2の材料は、集光要素配列の中に部分的、または全面的に埋め込まれていてもよいし、または本発明のシステムを封じ込んでいてもよい。より好ましくは、第2の材料は、画像アイコン集光要素配列の外部境界(すなわち外部層)を形成する(集光要素配列の全体埋め込み)か、または、画像アイコン集光要素配列と画像アイコン配列の両方の外部境界(すなわち外部層)を形成する(システムの全体埋め込み)。
【0010】
ここで使用している、“実質的に、すなわち測定可能な程度に異なる”という表現は、集光要素の焦点距離を少なくとも約0.1μm変化させる(例えば第1の材料と第2の材料との間の)屈折率の違いを意味する。
【0011】
本発明のシステムにおける集光要素の焦点距離は、集光に与かる界面(例えば屈折界面)が確実にシステム内に埋め込まれるようにすることによって定位置に固定される。言い換えれば、本発明システムに他の透明な物質又は層を接触させても、焦点距離や、このシステムで形成される合成画像の光学的尖鋭度を材質的に変化せることはできない。
【0012】
本発明によって、発明者らは外部的な光学劣化効果に対する耐性を向上させたシステムの提供に加えて、画像アイコン集光要素上へ実質的すなわち測定可能な程度に異なる屈折率を有する材料(例えば第2の材料)を用いることで、過剰な光学効果を起こすほどの集光要素のF値を増加させ得ることを発見した。例えば本発明のシステムを傾斜させると、合成画像は、所望の光学効果に依存して、システムのより後方またはより前面に見えたり、より速く動くように見えたりし得る。
【0013】
好適な一実施形態において、システムは、(a)画像アイコンのアレイと、(b)屈折率(n1)を有する第1の材料からなる画像アイコン集光要素のアレイと、(c)異なる屈折率(n2)を有して集光要素同士の隙間を充填し、及び/又は集光要素を覆い、第1の材料との間に明確な界面を有する第2の材料と、を備える。この好適な実施形態において、アレイの外部境界(または外部層)を形成することにより集光要素のアレイを全面的に埋め込みうる第2の材料は、画像アイコンのアレイも覆うかもしくは埋め込むことにより、システムを封じ込めてもよい。
【0014】
第1の材料の屈折率(n1)が第2の材料の屈折率(n2)よりも大きい場合(n1>n2)、この好適な実施形態における集光要素は、集束性(例えば凸の)レンズである。逆に、第1の材料の屈折率(n1)が第2の材料の屈折率(n2)よりも小さい場合(n1<n2)、この好適な実施形態における集光要素は、発散性(例えば凹の)レンズである。
【0015】
第2の材料が集光要素アレイを全面的に埋め込む実施形態は、例えば、セキュリティストリップ、スレッド、パッチ、またはオーバレイの形で利用されて、繊維質または非繊維質のシート材料(例えば紙幣、パスポート、身分証明書すなわちIDカード、クレジットカード、ラベルなど)、または商業製品(例えば、光ディスク、CD、DVD、医薬品パッケージ)などに、認証目的で組み込まれうる。この実施形態はまた、独立型製品(例えば、後から印刷または個人専用化処理をするための基板)の形で、またはたとえば紙幣、パスポートなどを作製するための非繊維質シート材料の形で使用されうる。当業者には容易に理解されるように、本発明の光学システムにより与えられる視覚効果は、このような材料の偽造防止に大いに役に立つ。
【0016】
第2の材料が、画像アイコン集光要素アレイ及び画像アイコンアレイの両方の外部境界(または外部層)を形成して本発明のシステムを全面的に包み込むような実施形態は、上記のように利用されうるし、またはより厚くより頑健な形状を取って、例えばIDカード、高価値の、またはその他のセキュリティ文書に使用され得る。」
「【0045】
ここで図1、2を参照すると、本発明のシステムの例示的実施形態が、全体を10として示されている。システム10は基本的に、
(a)画像アイコン12のアレイと、
(b)図1の収束(例えば凸)レンズ18と図2の発散(例えば凹)レンズを構成している、屈折率(n1)を有する第1の材料で形成された画像アイコンン(当審注:「画像アイコン」の誤記と認める。)集光要素14のアレイと、
(c)屈折率(n2)を有する第2の材料22と、
(d)画像アイコン12のアレイと画像アイコンン(当審注:「画像アイコン」の誤記と認める。)集光要素14のアレイとの間に位置する光学スペーサ24、とを備え、
第2の材料22はまた画像アイコン12のアレイの上に層を形成し、それによってシステムを全体的に埋め込む。
【0046】
これらの例示的実施形態において、レンズの幾何配置と屈折率n1とn2とを調整して所望の焦点距離を実現する。焦点距離は、これらの実施形態ではいずれも0よりも大きい。」
「【0054】
IDカードや、高価なセキュリティ文書またはその他のセキュリティ文書のベースプラットフォームの形で利用される場合には、本発明のシステムの全体の厚さは、好ましくは約1mm以下であって、(これに限定されないが)約200μm~約500μmの範囲、約50μm~約199μmの範囲、約50μm未満の範囲、が含まれる。画像アイコン集光要素のアレイは好ましくは、ウレタンアクリレートとアクリルモノマーの群から選択され、約1.35~約1.49の範囲の屈折率を有する第1の材料で形成される。第2の材料は好ましくは、エポキシアクリレート、ポリエステルオリゴマー、芳香族炭酸塩ポリマー、脂肪族炭酸塩ポリマーの群から選択され、約1.5~約1.8の範囲の屈折率を有する第2の材料で形成される。より好ましくは、第1の材料はトリプロピレングリコールジアクリラートであって、これはSartomer社から製品記号SR306で入手可能である。この第1の材料は約1.449~約1.46の範囲の屈折率を有する。一方、第2の材料は、ポリカーボネートであり、これはBayer MaterialScience AG社(Kaiser-Wilhelm-Allee, 51368 Leverkusen Germany)から入手可能であり、この第2の材料は約1.584~約1.685の範囲の屈折率を有する。
【0055】
この実施形態において、凹レンズ形状は、低屈折率材料(すなわち第1の材料)を用いた光学スペーサの中に形成されてもよい。高屈折率を有するポリカーボネート層(すなわち第2の材料)が、凹レンズを覆って配置されてもよい。次に熱と圧力をかけて、内部に捕捉されていた空気を押し出し、ポリカーボネートをプレスしてレンズ空洞とする。冷却されるとこのシステムは、平滑な保護表面層を有した状態で、鮮明に焦点の合った合成画像を表示できる。」
「【図2】
[図:0001436871000001.jpg]
」
イ 前記ア【0045】の「システム10は基本的に、
(a)画像アイコン12のアレイと、
(b)図1の収束(例えば凸)レンズ18と図2の発散(例えば凹)レンズを構成している、屈折率(n1)を有する第1の材料で形成された画像アイコン集光要素14のアレイと、
(c)屈折率(n2)を有する第2の材料22と、
(d)画像アイコン12のアレイと画像アイコン集光要素14のアレイとの間に位置する光学スペーサ24、とを備え、
第2の材料22はまた画像アイコン12のアレイの上に層を形成し、それによってシステムを全体的に埋め込む。」との記載における「システム10」と、前記ア【0007】、【0013】に記載されたシステムの関係について検討する。
ウ 前記「システム10」と、前記ア【0007】に記載されたシステムとの関係について
(ア)前記「システム10」の「(a)画像アイコン12のアレイ」は、前記ア【0007】の「(a)1つまたは複数の画像アイコンの配列」に対応する。
(イ)前記「システム10」の「第2の材料22」は、「システムを全体的に埋め込む」ものであることと、【図2】をふまえると、「画像アイコン集光要素14」は、全体的に埋め込まれたものといえるので、前記ア【0007】の「(b)1つまたは複数の部分的または全体的に埋め込まれた画像アイコン集光要素の配列」に対応する。
(ウ)さらに、前記ア【0007】の「本発明のシステムは基本的に、・・・(a)・・・(b)・・・を備え、・・・配置されている。」との記載をふまえると、前記「システム10」は、前記ア【0007】に記載されたシステムの構成を備えると解される。
エ 前記「システム10」と、前記ア【0013】に記載されたシステムとの関係について
(ア)前記「システム10」の「(a)画像アイコン12のアレイ」は、前記ア【0013】の「(a)画像アイコンのアレイ」に対応する。
(イ)前記「システム10」の「(b)図1の収束(例えば凸)レンズ18と図2の発散(例えば凹)レンズを構成している、屈折率(n1)を有する第1の材料で形成された画像アイコン集光要素14のアレイ」は、前記ア【0013】の「(b)屈折率(n1)を有する第1の材料からなる画像アイコン集光要素のアレイ」に対応する。
(ウ)前記「システム10」の「(c)屈折率(n2)を有する第2の材料22」は、前記ア【0013】の「「(c)異なる屈折率(n2)を」「有する第2の材料」」に対応する。
(エ)前記「システム10」の「第2の材料22」は、「システムを全体的に埋め込む」ものであることと、【図2】をふまえると、「画像アイコン集光要素14」も埋め込むものといえるので、前記ア【0013】の「「画像アイコンのアレイも覆うかもしくは埋め込むことにより、システムを封じ込めてもよい」「集光要素のアレイを全面的に埋め込みうる第2の材料」」に対応する。
(オ)前記(ア)~(エ)をふまえると、前記ア【0013】に記載されたシステムは、前記「システム10」を包含するものであるから、前記ア【0013】~【0016】に記載された「好適な実施形態」が、前記「システム10」のことであることは明らかである。
オ 前記ア~エをふまえると、引用文献1には下記の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。
「光学的劣化をもたらす外部効果に対して改良された耐性を示し(【0007】)、セキュリティストリップの形で利用されて、紙幣に組み込まれるシステム10であって(【0015】)、
1つまたは複数の画像アイコンの配列と(【0007】、【0013】、【0045】)、
凹レンズを構成しており、屈折率(n1)を有する第1の材料で形成された、1つまたは複数の画像アイコン集光要素の配列と(【0007】、【0013】、【0045】)、
屈折率(n2)を有して画像アイコン集光要素同士の隙間を充填し、及び/又は画像アイコン集光要素を覆い、第1の材料との間に明確な界面を有する第2の材料と(【0007】、【0013】、【0045】)、
を備え、
1つまたは複数の画像アイコン集光要素の配列は、画像アイコン集光要素の少なくとも一部が少なくとも画像アイコンの一部の少なくとも1つの合成画像を形成するように、1つまたは複数の画像アイコン配列に対して配置されており(【0007】)、
画像アイコン集光要素の配列は、約1.35~約1.49の範囲の屈折率を有する第1の材料で形成され(【0054】)、
第2の材料は、脂肪族炭酸塩ポリマーからなり、約1.5~約1.8の範囲の屈折率を有し(【0054】)、
第1の材料の屈折率(n1)が第2の材料の屈折率(n2)よりも小さい(【0014】)、
システム10。」
(2)引用文献4
前記第3の原査定の拒絶の理由で引用された、本願の最先の優先日前に発行された国際公開第2013/188518号(以下「引用文献4」という。)には、次の事項が記載されている。
ア 「[0002] The present invention generally relates to a micro-optic material with improved abrasion resistance, and more particularly relates to a micro-optic security device that demonstrates improved abrasion resistance while continuing to provide optimal optical performance.」
(当審訳:[0002] 本発明は、一般に、耐摩耗性が向上したマイクロ光学材料に関し、より具体的には、最適な光学性能を提供しながら耐摩耗性が向上したマイクロ光学セキュリティデバイスに関するものである。)
「[0011] The present invention more specifically provides a formulation suitable for use in preparing arrangements or arrays of focusing elements (e.g., microlenses) for micro-optic materials, as well as layers embedding focusing element arrangements, the formulation comprising an effective amount of one or more nanocomposites. The term "nanocomposite", as used herein, is intended to mean a nanoparticle-polymer nanocomposite (e.g., a silica-polymer nanocomposite, an alumina-polymer nanocomposite), which is a composite having nanoparticles (average particle size of less than about 100 nanometers (nm), preferably from about 20 to about 50nm) uniformly dispersed in a polymer medium. The nanoparticles are preferably non-agglomerated nanoparticles.」
(当審訳:[0011] 本発明は、より具体的には、マイクロ光学材料用の集光素子(例えばマイクロレンズ)の配列またはアレイの調製、ならびに集光素子配列を埋め込んだ層に使用するのに適した組成物を提供するものであり、該組成物は1つ以上のナノコンポジットの有効量を含む。本明細書で使用される「ナノコンポジット」という用語は、ナノ粒子-ポリマーナノコンポジット(例えば、シリカ-ポリマーナノコンポジット、アルミナ-ポリマーナノコンポジット)を意味するものであり、これはナノ粒子(平均粒子径が約100ナノメートル(nm)未満、好ましくは約20~約50nm)がポリマー媒体中に均一に分散した複合体を意味する。ナノ粒子は、好ましくは凝集していないナノ粒子である。)
「[0016] The present invention further provides a micro-optic material with improved abrasion resistance in which an outermost layer of the micro-optic material is prepared from a formulation comprising an effective amount of one or more nanocomposites (e.g., one or more silica-polymer nanocomposites, one or more alumina-polymer nanocomposites).
[0017] The inventive micro-optic material, in an exemplary embodiment, comprises one or more optionally embedded arrangements of focusing elements, and one or more arrangements of image icons, wherein the arrangement(s) of image icons and the arrangement(s) of focusing elements cooperate to form at least one synthetic image of at least a portion of the image icons, wherein when the arrangement(s) of focusing elements is an outermost layer of the micro-optic material, the arrangement(s) of focusing elements is prepared from a formulation comprising an effective amount of one or more nanocomposites, and wherein when the arrangement(s) of focusing elements is embedded by an embedding layer, and the embedding layer constitutes an outermost layer of the micro-optic material, the embedding layer is prepared from a formulation comprising an effective amount of one or more nanocomposites.」
(当審訳:[0016]本発明はさらに、マイクロ光学材料の最外層を、1種以上のナノコンポジット(例えば、1種以上のシリカ-ポリマーナノコンポジット、1種以上のアルミナ-ポリマーナノコンポジット)の有効量を含む配合物から調製することにより、耐摩耗性が改善されたマイクロ光学材料を提供する。
[0017] 本発明のマイクロ光学材料は、一実施形態において、1つ以上の任意に埋め込まれた集光素子配列と、1つ以上の画像アイコン配列とを含み、画像アイコン配列と集光素子配列とが協働して、少なくとも一部の画像アイコンからなる少なくとも1つの合成像を形成する。ここで、集光素子配列がマイクロ光学材料の最外層である場合、集光素子配列は、一つ以上のナノコンポジットの有効量を含む配合物から調製される。また、集光素子配列が埋め込み層によって埋め込まれ、かつ埋め込み層がマイクロ光学材料の最外層を構成する場合、埋め込み層は、一つ以上のナノコンポジットの有効量を含む配合物から調製される。)
「[0038] The inventive micro-optic materials may be used in the form of very thin threads, strips, ribbons, or patches that are partially embedded in, or mounted on a surface of a security document. Such security documents include, but are not limited to, those documents having one or more through-holes, the inventive micro-optic material positioned in the through-hole(s).」
(当審訳:本発明のマイクロ光学材料は、セキュリティドキュメントの表面に部分的に埋め込まれたり、取り付けられる非常に薄いスレッド、ストリップ、リボン、またはパッチの形態で使用することができる。このようなセキュリティドキュメントは、これに限定されないが、1つまたは複数の貫通孔や貫通孔(単数または複数)内に配置された本発明のマイクロ光学材料を有するこれらのドキュメントを含む。)
イ 前記アから、引用文献4には下記の事項(以下「引用文献4技術事項」という。)が記載されていると認められる。
「耐摩耗性が向上したマイクロ光学材料であって([0002])、
セキュリティドキュメントの表面に取り付けられ([0038])、
1つ以上の任意に埋め込まれた集光素子配列と、1つ以上の画像アイコン配列とを含み、画像アイコン配列と集光素子配列とが協働して、少なくとも一部の画像アイコンからなる少なくとも1つの合成像を形成し([0017])、
集光素子配列が埋め込み層によって埋め込まれ、かつ埋め込み層がマイクロ光学材料の最外層を構成し、埋め込み層は、一つ以上のアルミナ-ポリマーナノコンポジットの有効量を含む配合物から調製され([0016]、[0017])、
「ナノコンポジット」という用語は、ナノ粒子-ポリマーナノコンポジットを意味するものであり、これはナノ粒子がポリマー媒体中に均一に分散した複合体を意味する([0011])、
マイクロ光学材料。」
2 対比
本願発明と引用発明1を対比する。
(1)後者の「1つまたは複数の画像アイコンの配列」は、前者の「1つ以上の画像アイコン配列」に相当する。
(2)後者の「1つまたは複数の画像アイコン集光要素の配列」は、「凹レンズを構成しており、屈折率(n1)を有する第1の材料で形成され」るものであって、「画像アイコン集光要素の少なくとも一部」が「画像アイコンの一部の少なくとも1つの合成画像を形成するように、1つまたは複数の画像アイコン配列に対して配置され」たものであるから、前者の「1つ以上の屈折型の画像アイコン集光素子配列」と後者の「1つまたは複数の画像アイコン集光要素の配列」は、「一部が、前記1つ以上の画像アイコン配列の一部の合成画像を投影するように、前記1つ以上の屈折型の画像アイコン集光素子配列が、前記1つ以上の画像アイコン配列の上に配設され」た「1つ以上の屈折型の画像アイコン集光素子配列」である点で一致する。
(3)後者の「第2の材料」は、「屈折率(n2)を有して画像アイコン集光要素同士の隙間を充填し、及び/又は画像アイコン集光要素を覆」うものであるから、前者の「封止層」と後者の「第2の材料」は、「封止層」である点で一致する。
(4)後者の「システム10」は、「セキュリティストリップの形で利用されて、紙幣に組み込まれる」ものであって、「1つまたは複数の画像アイコンの配列」、「1つまたは複数の画像アイコン集光要素の配列」、及び「第2の材料」を備えたものであるから、前記(1)~(3)をふまえると、前者の「セキュリティデバイス」と後者の「システム10」は、「1つ以上の画像アイコン配列と、1つ以上の屈折型の画像アイコン集光素子配列と、封止層と、を備えるセキュリティデバイス」である点で一致する。
(5)後者の「1つまたは複数の画像アイコン集光要素の配列」は、「凹レンズを構成しており、屈折率(n1)を有する第1の材料で形成された」ものであって、「凹レンズ」の外面は曲面であるところ、後者の「第2の材料」が「第1の材料との間に明確な界面を有する」ものであること、及び前記(2)をふまえると、前者の「1つ以上の屈折型の画像アイコン集光素子配列」と後者の「1つまたは複数の画像アイコン集光要素の配列」は、「非平面の境界に沿って前記封止層に接触」するものである点でも一致する。
(6)後者の「第2の材料」は、「脂肪族炭酸塩ポリマーからなり、約1.5~約1.8の範囲の屈折率を有」するものであるから、前記(3)をふまえると、前者の「封止層」と後者の「第2の材料」は、「第1の屈折率を有する有機樹脂を含」むものである点で一致する。
(7)後者の「1つまたは複数の画像アイコン集光要素の配列」は、「約1.35~約1.49の範囲の屈折率を有する第1の材料で形成され」たものであるから、前者の「1つ以上の屈折型の画像アイコン集光素子配列」と後者の「1つまたは複数の画像アイコン集光要素の配列」は、「屈折率を有する材料を含み、前記屈折率を有する材料が第2の屈折率を有」するものである点でも一致する。
(8)後者の「1つまたは複数の画像アイコン集光要素の配列」が「凹レンズを構成しており、屈折率(n1)を有する第1の材料で形成された」ものであり、後者の「第2の材料」が「画像アイコン集光要素同士の隙間を充填し、及び/又は画像アイコン集光要素を覆」うものであって、「画像アイコン集光要素の少なくとも一部が少なくとも画像アイコンの一部の少なくとも1つの合成画像を形成する」ものであること、及び「第1の材料の屈折率(n1)が第2の材料の屈折率(n2)よりも小さい」ことをふまえると、後者の「システム10」が「合成画像」を形成するために、「凹レンズ」の形状及び「第1の材料の屈折率(n1)」、及び「第2の材料の屈折率(n2)」が適切なものに設定されていると解される。
そうすると、前者の「セキュリティデバイス」と後者の「システム10」は、「前記第1の屈折率と前記第2の屈折率との間の相対値は、前記屈折型の画像アイコン集光素子の形状に影響を与える」ものである点でも一致する。
(9)以上のとおり、本願発明と引用発明1は、
[一致点]
「セキュリティデバイスであって、
1つ以上の画像アイコン配列と、
1つ以上の屈折型の画像アイコン集光素子配列と、
封止層と、を備え、
前記1つ以上の屈折型の画像アイコン集光素子配列の一部が、前記1つ以上の画像アイコン配列の一部の合成画像を投影するように、前記1つ以上の屈折型の画像アイコン集光素子配列が、前記1つ以上の画像アイコン配列の上に配設され、
前記1つ以上の屈折型の画像アイコン集光素子配列が、非平面の境界に沿って前記封止層に接触し、
前記封止層が、第1の屈折率を有する有機樹脂を含み、
前記屈折型の画像アイコン集光素子配列が、屈折率を有する材料を含み、前記屈折率を有する材料が第2の屈折率を有し、
前記第1の屈折率と前記第2の屈折率との間の相対値は、前記屈折型の画像アイコン集光素子の形状に影響を与える、
セキュリティデバイス。」
で一致し、以下の点で相違する。
[相違点1]
本願発明は、「封止層」が「全体に分散された金属ナノ粒子を含」む「有機樹脂混合物」を含むのに対し、引用発明1の「第2の材料」がそのような構成であるか不明である点。
[一応の相違点2]
本願発明は、「屈折型の画像アイコン集光素子配列」が「低屈折率材料を含」むのに対し、引用発明1の「第1の材料」が「低屈折率材料」であるか不明である点。
3 判断
(1)相違点1について
ア 引用文献4技術事項の「1つ以上の画像アイコン配列」は、本願発明の「1つ以上の画像アイコン配列」に相当する。
イ 引用文献4技術事項の「集光素子配列」は、「画像アイコン配列」と「協働して、少なくとも一部の画像アイコンからなる少なくとも1つの合成像を形成」するものであるから、本願発明の「1つ以上の屈折型の画像アイコン集光素子配列」と引用文献4技術事項の「集光素子配列」は、「一部が、前記1つ以上の画像アイコン配列の一部の合成画像を投影するように、前記1つ以上の画像アイコン集光素子配列が、前記1つ以上の画像アイコン配列の上に配設され」た「1つ以上の画像アイコン集光素子配列」である点で一致する。
ウ 引用文献4技術事項の「埋め込み層」は、「一つ以上のアルミナ-ポリマーナノコンポジットの有効量を含む配合物から調製され」たものであるから、「ナノコンポジット」という用語が、ナノ粒子がポリマー媒体中に均一に分散した複合体を意味することをふまえると、「埋め込み層」には、アルミナのナノ粒子がポリマー媒体中に均一に分散しているといえる。
そして、引用文献4技術事項の「埋め込み層」は、「集光素子配列」を埋め込むものであって、「マイクロ光学材料の最外層を構成」するものであるから、本願発明の「封止層」と引用文献4技術事項の「埋め込み層」は、「有機樹脂混合物を含み、前記有機樹脂混合物が、前記有機樹脂混合物全体に分散された金属ナノ粒子を含」む「封止層」である点で一致する。
エ 引用文献4技術事項の「マイクロ光学材料」は、「セキュリティドキュメントの表面に取り付けられ」、「1つ以上の任意に埋め込まれた集光素子配列と、1つ以上の画像アイコン配列とを含」むものであるから、前記ア~ウをふまえると、本願発明の「セキュリティデバイス」と引用文献4技術事項の「マイクロ光学材料」は、「1つ以上の画像アイコン配列と、1つ以上の画像アイコン集光素子配列と、封止層と、を備えるセキュリティデバイス」である点で一致する。
オ 前記ウのとおり、引用文献4技術事項は、相違点1の構成を充足するといえる。
そして、引用発明1と引用文献4技術事項は、共にセキュリティデバイスに関する技術分野に属するものであって、画像アイコンの合成画像を形成するように配置した集光要素を覆う構成が共通している。
また、引用文献4技術事項は、耐摩耗性を向上させる技術なので、セキュリティドキュメントの表面の耐摩耗性を向上させることで光学的劣化をもたらす外部効果(ここでは摩耗)に対して耐性を与えるものといえる点で、引用発明1と課題が一致する。
よって、引用発明1に引用文献4技術事項を適用する動機があるといえる。
そうすると、引用発明1の「システム10」の最外層である「第2の材料」に引用文献4技術事項を適用し、アルミナのナノ粒子を「脂肪族炭酸塩ポリマー」の媒体中に均一に分散させ、前記相違点1に係る本願発明の構成とすることは、当業者が適宜設計し得た事項である。
カ また、本願発明の効果も、引用発明1、及び引用文献4技術事項から、当業者が予測し得る程度のものといえる。
(2)一応の相違点2について
ア 引用発明1の「第1の材料の屈折率(n1)」は、「第2の材料の屈折率(n2)よりも小さい」ことから、引用発明1の「第1の材料」は、本願発明の「低屈折率材料」に相当するといえるから、一応の相違点2は実質的な相違点とはいえない。
イ 次に、本願明細書の【0039】の「特定の実施形態によれば、封止層125での使用に好適な低-RI材料は、1.3~1.4の間にRIを有する材料、または1.3未満のRIを有する材料を含む。」との記載等を参酌し、本願発明の「低屈折率材料」が、屈折率が1.4以下の材料のことを意味するとして検討する。
(ア)引用発明1の「第1の材料」は、屈折率が1.35の材料を包含するものであるから、この点で本願発明と相違するものではないので、一応の相違点2は実質的な相違点とはいえない。
(イ)また、引用発明1の「約1.35~約1.49の範囲の屈折率を有する第1の材料」のうち、1.35~1.4の屈折率を有する材料を選択して使用することは、当業者が適宜設計し得る事項である。
(3)令和6年12月26日に提出された審判請求書の主張について
ア 審判請求人の主張の概要
審判請求人は、令和6年12月26日に提出された審判請求書の3.において、概略次の主張をしている。
(ア)3.(2)<引用文献1>
「しかしながら、金属ナノ粒子により各層の屈折率を調整することは、引用文献1には記載されておりません。」
(イ)3.(2)<引用文献4>
「しかしながら、引用文献4のこれらの記載は、セキュリティデバイスの埋め込み層に、耐摩耗性を高めるために、シリカ-UV硬化性アクリレートポリマーナノコンポジット、アクリレートモノマーなどの「ナノコンポジット」を配合できることを開示しているに過ぎません。引用文献4に記載の「ナノコンポジット」は、本願発明の「金属ナノ粒子」に相当するものではありません。」
(ウ)3.(3)本願発明と引用発明との対比
「しかしながら、引用文献4の「シリカ-ポリマーナノコンポジット」製剤は、本願発明の「金属ナノ粒子」に該当しないものと思料いたします。例えば、引用文献4の段落[0030]には「製剤が 有効量の1つ以上のシリカ-UV硬化性アクリレートポリマーナノコンポジット、1つ以上の官能性アクリレートモノマー、及び1つ以上の光重合開始剤を含む」との記載があり、この製剤はUV硬化性アクリレート製剤に過ぎません。 仮に、引用文献4の「シリカ-ポリマーナノコンポジット」製剤が、本願発明の「金属ナノ粒子」を含むとしても、引用文献4の段落[0014]では、製剤は「約1.5~約1.7」の屈折率を有し得ると一般的に述べられているに過ぎず、引用文献4には製剤が材料の屈折率に及ぼす影響について記載がありません。すなわち、引用文献4に記載の発明は、耐摩耗性の改善を目的として「シリカ-ポリマーナノコンポジット」製剤を使用するものであり、屈折率を調整することや集光素子の形状を変更することを意図しておりません。
従いまして、引用文献1に記載の画像アイコン集光要素14や第2の材料22の層に、引用文献4の「シリカ-ポリマーナノコンポジット」製剤が適用されたとしても、各層の耐摩耗性が改善するだけであり、各層の屈折率を所望の値に調整することは困難であると思料いたします。」
イ 審判請求人の主張についての見解
(ア)前記1(1)オで示したとおり、引用発明1は金属ナノ粒子により各層の屈折率を調整するものではないものの、前記(1)ウで示したとおり、本願発明の「封止層」と引用文献4技術事項の「埋め込み層」は、「有機樹脂混合物を含み、前記有機樹脂混合物が、前記有機樹脂混合物全体に分散された金属ナノ粒子を含」む「封止層」である点で一致する。
(イ)一方、本願発明は「前記第1の屈折率と前記第2の屈折率との間の相対値は、前記屈折型の画像アイコン集光素子の形状に影響を与える」ことが特定されているものの、屈折率を調整することや集光素子の形状を変更することは特定されていない(そもそも「セキュリティデバイス」という物の発明において、完成品である「セキュリティデバイス」の「金属ナノ粒子」の分散を変更することは不可能であるから、事後的に屈折率を調整したり、集光素子の形状を変更することは不可能であり、セキュリティデバイスを製造する際に集光素子の屈折率及び形状が決まっている点おいては、本願発明と、引用発明1又は引用文献4技術事項のセキュリティドキュメントは異なるところがない。)。
そして、前記(1)オで示したとおり、引用発明1に引用文献4技術事項を適用する動機があり、引用発明1の「システム10」の最外層である「第2の材料」に引用文献4技術事項を適用し、アルミナのナノ粒子を「脂肪族炭酸塩ポリマー」の媒体中に均一に分散させ、前記相違点1に係る本願発明の構成とすることは、当業者が適宜設計し得た事項である。
(ウ)よって、審判請求人の前記アの主張は、前記2、3の判断を左右するものでなく採用できない。
4 まとめ
以上のとおり、本願発明は、引用発明1、及び引用文献4技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものである。
第5 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本願の他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
したがって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2024-020948