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特許拒絶査定不服審判

2016-017282

肉牛におけるトウモロコシに代わる褐色中肋トウモロコシサイレージの使用

審判番号
2016-017282
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2013-510224外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2016年11月18日
審決日
2018年03月05日
公報発行日
2018年09月28日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-Z (A23K)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第17条の2第5項第4号、特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第2号
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2013-510224「肉牛におけるトウモロコシに代わる褐色中肋トウモロコシサイレージの使用」拒絶査定不服審判事件〔平成23年11月17日国際公開、WO2011/143157、平成25年 6月24日国内公表、特表2013-526278〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 本願は、2011年(平成23年)5月10日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2010年5月13日、米国)を国際出願日とする出願であって、平成27年2月12日付けで拒絶理由が通知され、同年5月14日付けで意見書及び手続補正書が提出され、さらに、同年11月18日付けで拒絶理由が通知され、平成28年2月23日付けで意見書及び手続補正書が提出され、同年7月8日付けで拒絶査定されたのに対し、同年11月18日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、それと同時に手続補正がなされたものである。 第2 本願発明 平成28年11月18日付けでなされた手続補正は、補正前の請求項1の「サイレージ飼養動物の肉量を増加させる」及び「規定食中の乾物の15%より多い量のサイレージ」を、「肥育仕上げのためにサイレージ飼養動物の肉量を増加させる」及び「規定食中の乾物の15%またはそれより多い量のサイレージ」とする補正である。 前者は、補正前の請求項1の「飼料」について「肥育仕上げ用飼料」とされているのに対し、対象となる「サイレージ飼養動物」については規定がないため、対象となる動物が肥育仕上げ期の動物であることを意味するのか不明であることから、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないとの理由で拒絶査定したことに対応するものであることから、特許法第17条の2第5項第4号に掲げる明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。 また、後者は、拒絶査定時に、「15%より多い量」との記載では「15%」は含まれないと解され、請求項1を引用する請求項12の「15%~30%」と整合していないことを指摘したことに対応するものであるから、特許法第17条の2第5項第4号に掲げる明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。 してみれば、本願請求項1~17に係る発明は、上記平成28年11月18日付けで補正された特許請求の範囲の請求項1~17に記載された事項により特定されるものと認められるところ、そのうち請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、以下のとおりのものである。 「【請求項1】 肥育仕上げのためにサイレージ飼養動物の肉量を増加させる方法であって、 前記動物の規定食中の乾物の15%またはそれより多い量のサイレージを肥育仕上げ用飼料中に提供する工程であって、前記サイレージが、減少されたリグニン含有率を呈示するトウモロコシ植物品種からのものであり、前記肥育仕上げ用飼料が穀粒トウモロコシを含まない、工程、及び 前記サイレージを前記肥育仕上げ用飼料中にて前記動物に給餌する工程 を含み、 前記動物の増体量:飼料比(G:F)が、野生型リグニン含有率を有するトウモロコシ植物から生産された同等量のサイレージを含む飼育仕上げ用飼料を給餌された同じ種の動物のG:Fと比較して増加する、方法。」 第3 引用例の記載事項及び引用発明 1 記載事項について 本願の優先日前に頒布され、原査定の拒絶の理由に引用された刊行物である「E.A.Keith et al.,PERFORMANCE OF FEEDLOT CATTLE FED BROWN MIDRIB-THREE OR NORMAL CORN SILAGE WITH VARIOUS LEVELS OF ADDITIONAL CORN GRAIN,Journal of Animal Science,1981年,vol.52,No.1,pp.8-13」(以下「引用例」という。)には、次の事項が記載されている。 (タイトルの当審訳:穀粒トウモロコシの追加量を変えた褐色中肋3又は普通のトウモロコシサイレージを給餌した家畜の成育度) (1ア)「Corn silage with varying levels of added grain has been used extensively in feedlot operations as the sole roughage for finishing beef cattle(Goodrich and Meiske, 1971).」(8頁右欄8~11行) (当審訳:穀粒の追加量を変えたトウモロコシサイレージは、肥育仕上げ段階の牛家畜に対する単独の粗飼料として、家畜の肥育作業において広く使われてきた(GoodrichとMeiske,1971年)。) (1イ)「The purpose of this study was to compare the growth rate, feed intake and feed conversion of feedlot cattle fed bm3 corn silage or its normal genetic counterpart corn silage with and without various levels of added corn grain.」(8頁右欄36~41行) (当審訳:この研究の目的は、穀粒トウモロコシを追加あるいは追加しないという追加量を変えた褐色中肋3又は普通のトウモロコシサイレージを給餌した家畜の飼料摂取と摂取した飼料の増体への変換について、成育度を比べることにあった。) (1ウ)「Lignin content of bm3 silage has been consistently lower than lignin content of normal silage.」(10頁左欄最下行~右欄2行) (当審訳:褐色中肋3サイレージのリグニン含有量は、一貫して、普通のサイレージのリグニン含有量より少いものであった。) (1エ)「Comparative performances of cattle fed bm3 silages and those fed normal corn silages are presented in table 2(year 1) and table 3(year 2). Cattle fed bm3 silage gained more rapidly (P<.10)than those fed normal silage when no supplemental corn was offered(both years) and when corn was fed at 1% of BW (year 2).」(11頁左欄15~20行) (当審訳:褐色中肋3サイレージを給餌した家畜と普通のトウモロコシサイレージを給餌した家畜とを比較した成育度が、表2(1年)と表3(2年)に示されている。補助的なトウモロコシを与えないとき(両年)と体重の1%だけトウモロコシを与えたとき(2年)には、褐色中肋3サイレージを給餌した家畜の方が、普通のトウモロコシサイレージを給餌した家畜よりも、速く(P<.10)成長した。) (1オ)「When diets for feedlot cattle consisted mainly of corn silage, bm3 corn silage may have improved weight gains and increased DM intake because of lower lignin content and greater fiber utilization by the ruminant animal.」(12頁左欄11~15行) (当審訳:家畜の規定食が主にトウモロコシサイレージからなるとき、褐色中肋3サイレージが体重増加を促進し、飼料の乾燥物としての摂取を増加させた。bm3は、リグニンの含有量が低く、反芻動物において繊維の利用を高めるからである。) (1カ)「Thus, more energy per unit of DM from bm3 corn was available to the animal for growth.」(12頁左欄20~21行) (当審約:このように、褐色中肋3トウモロコシからの乾燥物単位量当たりのより多いエネルギー摂取は、動物の成長に対して利用できた。) (1キ)TABLE 2として、以下の表が記載されている。 (TABLE 2のタイトルの当審訳:表2 穀粒トウモロコシを追加あるいは追加しない場合における、褐色中肋3又は普通のトウモロコシサイレージを1年間給餌した去勢牛の成育度) (1ク)TABLE 3として、以下の表が記載されている。 (TABLE 3のタイトルの当審訳:表3 穀粒トウモロコシを追加あるいは追加しない場合における、褐色中肋3又は普通のトウモロコシサイレージを2年間給餌した雌牛の成育度) 2 引用発明について (1)表2及び表3について 上記摘記(1キ)及び(1ク)の表2及び表3から、以下の事項がいえる。 ア 表2の「Feed conversion, kg DM / kg gain」について、「No added corn」の「bm3」を見ると7.43と記載され、「Normal」を見ると7.56と記載されている。ここで、「Feed conversion, kg DM / kg gain」とは、1kgの動物の増体量を得るためにどれだけの飼料(乾物として)が必要であるかを示したものであり、飼料比:動物の増体量(F:G)を表したものであるから、「No added corn」において「bm3」が「Normal」より「Feed conversion, kg DM / kg gain」の値が小さいということは、動物の増体量:飼料比(G:F)が逆に大きいことを示している。 同様に、表3の「Feed conversion, kg DM / kg gain」について、「No added corrn」の「bm3」を見ると6.78と記載され、「Normal」を見ると7.24と記載されており、「No added corn」において「bm3」が「Normal」より「Feed conversion, kg DM / kg gain」の値が小さいということは、動物の増体量:飼料比(G:F)が大きいことを示している。 してみれば、表2及び表3から、去勢牛又は雌牛の同じ種の動物に、飼料を穀粒トウモロコシを追加せずに給餌するとき、褐色中肋3トウモロコシサイレージの動物の増体量:飼料比(G:F)は、同等量の普通のトウモロコシサイレージのG:Fと比較して増加しているといえる。 イ 表2の「Feed intake, kg DM / day」について、「No added corn」の「bm3」を見ると、「Corn silage」が5.90で、「Supplement A」が0.80と記載されている。これより、1日当たりの規定食中において、「Corn silage」の割合は乾物として、5.90/(5.90+0.80)×100であり、約88%ということになる。 同様に、表3の「Feed intake, kg DM / day」について、「No added corn」の「bm3」を見ると、「Corn silage」が6.18で、「Supplement A」が0.80と記載されており、1日当たりの規定食中において、「Corn silage」の割合は乾物として、約88%ということになる。 してみれば、去勢牛又は雌牛の規定食中の乾物の約88%の量の褐色中肋3トウモロコシサイレージを飼料中に提供しているといえる。 (2)引用発明 上記1の摘記事項及び上記(1)ア及びイを踏まえれば、上記引用例には、以下の発明が記載されていると認められる。 「家畜の規定食が主にトウモロコシサイレージからなるときに、家畜の体重増加を促進させる方法であって、 家畜が去勢牛又は雌牛であり、 規定食中の乾物の約88%の量の褐色中肋3トウモロコシサイレージを飼料中に提供しており、 去勢牛又は雌牛の同じ種の動物に、飼料を穀粒トウモロコシを追加せずに給餌するとき、褐色中肋3トウモロコシサイレージの動物の増体量:飼料比(G:F)は、同等量の普通のトウモロコシサイレージのG:Fと比較して増加する方法。」(以下「引用発明」という。) 第4 対比・判断 1 対比 本願発明と引用発明とを対比する (1)引用発明の「規定食が主にトウモロコシサイレージからなる」「家畜」である「去勢牛又は雌牛」は、本願発明の「サイレージ飼養動物」に相当する。 (2)引用発明の「規定食中の乾物の約88%の量の褐色中肋3トウモロコシサイレージを飼料中に提供」すること及びそれを「去勢牛又は雌牛」に「給餌する」ことと、本願発明の「動物の規定食中の乾物の15%またはそれより多い量のサイレージを肥育仕上げ用飼料中に提供する工程」及び「前記サイレージを前記肥育仕上げ用飼料中にて前記動物に給餌する工程」とは、「動物の規定食中の乾物の15%またはそれより多い量のサイレージを飼料中に提供する工程」及び「前記サイレージを前記飼料中にて前記動物に給餌する工程」の点で共通する。 (3)引用発明の「褐色中肋3トウモロコシサイレージ」は、摘記(1ウ)に記載されているとおり、普通のトウモロコシサイレージよりもリグニン含有率が減少されたものであるから、本願発明の「前記サイレージが、減少されたリグニン含有率を呈示するトウモロコシ植物品種からのものであ」ることに相当する。 (4)引用発明の「飼料を穀粒トウモロコシを追加せずに給餌する」ことは、本願発明の「飼料が穀粒トウモロコシを含まない」ことに相当する。 (5)本願発明の「野生型リグニン含有率を有するトウモロコシ植物から生産された」「サイレージ」とは、本願明細書に「減少されたリグニン含有率を呈示するトウモロコシ植物品種から生産されたサイレージは、野生型トウモロコシ植物と比較して・・・トウモロコシ植物をサイロに貯蔵することによって調製することができる。」(【0012】)と記載されていることからも、褐色中肋3トウモロコシ等のように突然変異したものではなく、普通のトウモロコシ植物のサイレージしたものといえる。してみれば、引用発明の「普通のトウモロコシサイレージ」は、本願発明の「野生型リグニン含有率を有するトウモロコシ植物から生産された」「サイレージ」に相当する。 したがって、引用発明の「褐色中肋3トウモロコシサイレージの動物の増体量:飼料比(G:F)は、同等量の普通のトウモロコシサイレージ」を「同じ種の動物に、飼料を」「給餌するとき」「のG:Fと比較して増加する」ことは、本願発明の「前記動物の増体量:飼料比(G:F)が、野生型リグニン含有率を有するトウモロコシ植物から生産された同等量のサイレージを含む飼料を給餌された同じ種の動物のG:Fと比較して増加する」ことに相当する。 (6)本願発明の「肉量を増加させる」ことについて、本願明細書に「トウモロコシサイレージについてのG:Fを増加させることにより、サイレージ飼養動物の肉量を増加させる方法を開示する。」(【0008】)と記載されている。引用発明はG:Fを増加させることにより「家畜の体重増加を促進させ」ており、一般に、家畜の体重増加は肉量の増加といえることから、引用発明の「家畜の体重増加を促進させる方法」は、本願発明の「飼養動物の肉量を増加させる方法」に相当するといえる。 (7)一致点及び相違点について 上記(1)~(6)を踏まえれば、本願発明と引用発明とは、 (一致点) 「サイレージ飼養動物の肉量を増加させる方法であって、 前記動物の規定食中の乾物の15%またはそれより多い量のサイレージを飼料中に提供する工程であって、前記サイレージが、減少されたリグニン含有率を呈示するトウモロコシ植物品種からのものであり、前記飼料が穀粒トウモロコシを含まない、工程、及び 前記サイレージを前記飼料中にて前記動物に給餌する工程 を含み、 前記動物の増体量:飼料比(G:F)が、野生型リグニン含有率を有するトウモロコシ植物から生産された同等量のサイレージを含む飼料を給餌された同じ種の動物のG:Fと比較して増加する、方法。」 の点で一致し、以下の点で相違する。 (相違点) 肉量を増加させること及び飼料が、本願発明では、前者が「肥育仕上げのため」であり、後者が「肥育(飼育)仕上げ用」であるのに対し、引用発明では、それらについて不明である点。 なお、本願発明には「肥育仕上げ用」飼料と「飼育仕上げ用」飼料との用語が存在するが、本願明細書では「肥育仕上げ用飼料」と記載されており、両者は同じものと解されることから、以下、両者を「肥育仕上げ用」飼料とする。 2 判断 (1)相違点の判断 ア 引用例の摘記(1ア)に「トウモロコシサイレージは、肥育仕上げ段階の牛家畜に対する単独の粗飼料として、家畜の肥育作業において広く使われてきた。」と記載されているように、牛家畜の肥育仕上げ段階において、家畜を肥育させるためにトウモロコシサイレージを給餌させることは本願優先日前に当業者において周知である。 そして、引用発明の「褐色中肋3トウモロコシサイレージ」もトウモロコシサイレージの1種であり、普通のトウモロコシサイレージよりも動物の増体量:飼料比(G:F)が大きいものであるから、引用発明の「褐色中肋3トウモロコシサイレージ」が「提供」されている「飼料」を、より家畜を肥育させようとする肥育仕上げ段階に用いること、すなわち、引用発明において、飼料を「肥育仕上げ用」とし、「肥育仕上げのため」に家畜の体重増加を促進することは当業者が容易になし得たことである。 (2)効果について 上記相違点に基づく効果は、引用例から当業者が予期しうるものであり、格別顕著なものではない。 (3)請求人の主張について 請求人は、審判請求書で「引用文献1には、飼料が『肥育仕上げ用飼料』であることは開示されていない。・・・引用文献1には、動物の規定食中の乾物の15%またはそれより多い量の中に、減少したリグニン含有率を呈示するトウモロコシ植物から生産されたサイレージを含有する規定食は記載されていない。また、本願発明は、該動物の増体量:飼料比(G:F)が、例えば、引用文献1の表2において観察されるものと比較して増加するという予測し得ない効果を有する。」(引用文献1は上記引用例である)と主張しているが、前者の肥育仕上げ用飼料については上記(1)で説示したとおりであり、後者の規定食におけるサイレージの割合及び動物の増体量:飼料比(G:F)については、上記第3の2(1)で説示したとおり、引用例1の表2及び表3に記載されているといえるものである。 3 小括 したがって、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 第5 むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その余の請求項に係る発明について言及するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり、審決する。

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2016-017282

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