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特許拒絶査定不服審判

2016-018481

ヤシを原料とする動物飼料

審判番号
2016-018481
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2015-558928外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2016年12月08日
審決日
2018年09月04日
公報発行日
2019年03月29日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-WZ (A23K)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2015-558928「ヤシを原料とする動物飼料」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 8月28日国際公開、WO2014/130578、平成28年 5月26日国内公表、特表2016-514952〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 本願は、2014年(平成26年)2月19日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2013年2月20日、同年3月8日、同年3月11日、いずれも米国)を国際出願日とする出願であって、平成28年2月23日付けの拒絶理由が通知され、同年5月31日に意見書が提出されるとともに手続補正がなされ、同年7月29日付けで拒絶査定がなされたのに対し、同年12月8日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、それと同時に手続補正がなされ、そして、当審において平成30年1月19日付けの拒絶理由が通知され、これに対し、同年7月23日に意見書が提出されるとともに手続補正がなされたものである。 第2 本願発明 本願の請求項1~24に係る発明は、平成30年7月23日になされた手続補正によって補正された特許請求の範囲の請求項1~24に記載された事項により特定されるものと認められるところ、そのうち請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、以下のとおりのものである。 「【請求項1】 加工ヤシ葉状体成分; デーツである、ヤシ果実成分; 小麦である、栄養添加物;及び 前記栄養添加物以外のタンパク質源 を含む、ヤシ葉状体を原料とする動物飼料であって、前記加工ヤシ葉状体成分が、動物飼料の総質量の40%~60%の間であり、前記ヤシ果実成分が、動物飼料の総質量の10%~45%の間であり、前記栄養添加物が動物飼料の総質量の20%~40%の間であり、粗タンパク質10%~20%、粗脂肪2%~8%、及び粗繊維15%~45%の栄養素含有量を有する、動物飼料。」 第3 拒絶の理由 平成30年1月19日付けの当審が通知した拒絶理由は、次のとおりのものである。 この出願の請求項1~6に係る発明は、その出願(優先日)前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献1:特開昭62-158457号公報 引用文献2:英国特許出願公開第2200027号明細書 引用文献3:特開2002-51707号公報 引用例4:All About Palm Dates ::,Canampak Dates Industry (Pvt.) Ltd.,2009年,URL,http://www.canampakdates.com/about-dates.htm 引用文献5:英国特許第797763号明細書 具体的には、請求項1に係る発明について、引用文献1に記載された発明及び周知技術(例えば、引用例4及び引用文献5にはデーツを動物飼料に混合させることが、引用文献2には動物試料において粗タンパク質を高めに設定することが記載されている)に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとしたものである。 第4 引用文献の記載及び引用発明 1 引用文献1について (1)引用文献1には、以下の事項が記載されている。なお、下線は当審において付与した。 (1ア)「(産業上の利用分野) 本発明はオイルパームの葉(以下 OPLと記す)の飼料化に関し、さらに詳しくはOPLを裁断および/または粉砕し、更に所望により揉捻して微小化して飼料とするか、更に、微小化されたOPL単独、若しくは他の飼料原料を加えてペレット、キューブおよびウェハーなどに成形加工した飼料に関するものである。」(1頁左欄9~15行) (1イ)「本発明は、OPLを裁断および/または粉砕し、更に所望により揉捻して微小化して飼料とするか、或は微小化されたOPL単独、又は他の飼料原料を加えて、さらにペレット、キューブおよびウェハー等に加工成形し、家畜の嗜好性のよい、且つ飼料価値の高い飼料とすることを目的とする。」(2頁左上欄14~20行) (1ウ)「OPLは多数の小葉(leaflet)と葉柄(rachis)とから成るが、本発明ではそれぞれ単独にまたは両者を一緒に用いることができる。」(2頁右上欄8~11行) (1エ)「OPLに他の飼料原料を添加して成形加工する場合は、添加する飼料原料としては、通常使用されている飼料原料を使用することができる。例えば米、麦、とうもろこしなどの穀物類、例えば大豆、えんどうなどの豆類、例えば大豆粕、ひまわり粕、ヤシ粕、パーム核粕およびなたね粕などの油粕類、例えば米ぬかおよびふすまなどのぬか類、例えばかんしょ、ばれいしょ、ポテトミール、キャッサバ、ポテトフレークおよびきくいもなどのいも類、例えばかぶ、飼料用ビート、大根、砂糖大根および人蓼などの根菜類、例えば、でんぷん粕、キャッサバでんぷん粕、グルテンフィード、グルテンミールおよび糖蜜などの製造粕類、例えば魚粉、魚粕、乾燥さなぎ、鯨肉粉、みゝず、いなご、脱脂乳、ガゼイン、肉粉および骨付肉粉などの動物質飼料、例えば、オーチャードグラス、クローバーおよびアルファルファなどの牧草類などがあり、これらをOPLに通常の添加量で1種乃至数種混合し、粉砕して飼料とするか、所望により揉捻して飼料とする。または微小化されたOPLに粉砕された他の飼料を混合してもよい。又これをペレット、キューブ及びウェハーなどに成形加工して使用することもできる。」(3頁右下欄10~4頁左上欄13行) (1オ)「実施例 6 実施例3の方法で作ったOPLの小葉の揉捻物7重量部に対し、玄米粉砕物3重量部の割合で混合した混合物を回転ダイス型ペレッターで径約8mm、長さ約2cmのペレットEとした。又実施例3の方法で作ったOPLの小葉を裁断、乾燥したもの7重量部に対し、玄米粉砕物3重量部の割合で混合した混合物をスクリュー型揉捻押出造粒機で径約8mm、長さ約2cmのペレットFとした。ペレットEおよびペレットFについてそれぞれ実施例3と同様に消化率試験を行った。試験の結果は第4表の通りであった。 第 4 表 」(6頁1~最下行) (2)引用発明について 上記(1)の摘記事項を踏まえれば、上記引用文献1には、以下の発明が記載されていると認められる。 「多数の小葉と葉柄とから成るオイルパームの葉であるOPLを裁断および/または粉砕し、更に揉捻して微小化し、他の飼料原料を加えた、家畜飼料であって、 他の飼料原料として、麦である穀物類、及び、魚粉、魚粕、乾燥さなぎ、鯨肉粉、みゝず、いなご、脱脂乳、ガゼイン、肉粉および骨付肉粉などの動物質飼料などを混合した、 家畜飼料。」(以下「引用発明」という。) 2 引用文献2について 引用文献2には、以下の事項が記載されている。 「Animals are often presently fed high protein animal feeds in order to cause the animals to grow quickly.」(1頁最下行~2頁2行) (当審訳:動物は、現在頻繁に、その成長を早めるために、高タンパク質の動物飼料が与えられている。) 3 引用例4について 引用例4には、以下の事項が記載されている。 「It has been reported that the damaged dates that are not fit for human consumption are added tom animal feeds that increase the flow of milk in farm animals.」(ALL ABOUT DATESのページ) ここで、「are added tom animal」の「tom」は「to」の誤記と認められる。 (当審訳:人の消費に向かない痛んだデーツは動物飼料に添加され、家畜において乳流量を多くすることが報告されてきた。) 4 引用文献5について 引用文献5には、以下の事項が記載されている。 「The present invention relates to the production of animal feeding stuffs and of additives therefore. It is well known that dates have a high food value. Their use as an ingredient in animal feeding stuffs has however been largely prevented by difficulties encountered in the handling and processing of the cheaper grades. ・・・ The present inevention has for its object to enable dates obtainable in this form to be converted economically into a dry product having a food value comparable with that of the dates before conversion, which dry product is, or can readily be rendered, suitable for packaging in paper bags or the like and for admixture with or incorporation in manufactured and other animal food products.」(1頁左欄8~34行) (当審訳:この発明は、動物飼料とそれの添加物の製造に関する。 デーツは栄養価が高いことがよく知られている。デーツは動物飼料における添加物としての用途があるが、より安価な処理、製造によっては困難が伴うことから、その使用が広く妨げられてきた。 ・・・ この発明は、このような状態で得られたデーツを、変質(乾燥)前のデーツに匹敵する栄養価を持った乾燥物に経済的に変え、その乾燥物は、紙袋あるいはそのような物による梱包や、生産された他の動物飼料への混合物や合体物に適しているか、容易に適するようにできることを目的とする。) 第5 対比 1 本願発明と引用発明との対比 (1)引用発明の「裁断および/または粉砕し、更に揉捻して微小化」された「多数の小葉と葉柄とから成るオイルパームの葉であるOPL」は、本願発明の「加工ヤシ葉状体成分」に相当する。 (2)引用発明の「麦」は、小麦のことといえ、麦自体には栄養があり、「他の飼料原料」として加えられるものであるから、栄養添加物といえる。そうすると、引用発明の「麦」は、本願発明の「小麦である、栄養添加物」に相当する。 また、引用発明の「魚粉、魚粕、乾燥さなぎ、鯨肉粉、みゝず、いなご、脱脂乳、ガゼイン、肉粉および骨付肉粉などの動物質飼料」は、タンパク質源であり、「麦」以外のものであるから、本願発明の「前記栄養添加物以外のタンパク質源」に相当する。 (3)引用発明の「多数の小葉と葉柄とから成るオイルパームの葉であるOPL」を原料としている「家畜飼料」は、本願発明の「ヤシ葉状体を原料とする動物飼料」に相当する。 2 一致点及び相違点について 上記1を踏まえると、本願発明と引用発明とは、 (一致点) 「加工ヤシ葉状体成分; 小麦である、栄養添加物;及び 前記栄養添加物以外のタンパク質源 を含む、ヤシ葉状体を原料とする動物飼料。」の点で一致し、以下の点で相違する。 (相違点1) 本願発明では、「デーツである、ヤシ果実成分」を含み、「加工ヤシ葉状体成分が、動物飼料の総質量の40%~60%の間であり、」「ヤシ果実成分が、動物飼料の総質量の10%~45%の間であり、」「栄養添加物が動物飼料の総質量の20%~40%の間であ」るのに対し、引用発明では、デーツ(ヤシ果実成分)を含んでおらず、「OPL」、ヤシ果実成分及び「麦」それぞれの「家畜飼料」の総質量に対する割合が不明である点。 (相違点2) 「栄養素含有量」が、本願発明では、「粗タンパク質10%~20%、粗脂肪2%~8%、及び粗繊維15%~45%」であるのに対し、引用発明では、不明である点。 第6 判断 (1)相違点の判断 ア 相違点1について 上記引用例4及び上記引用文献5に記載されているとおり、デーツを動物飼料に添加することは優先日前に周知である。引用発明の家畜飼料はOPLを原料とするものであるところ、同じヤシ科のナツメヤシの果実であるデーツを、上記周知技術に鑑みて、引用発明における「他の飼料原料」として添加させることは当業者が容易に想起し得たことである。 また、一般に、家畜飼料において、飼料を構成する原料の配合割合は、動物の種類、雄雌、年齢、家畜を何用(例えば牛の場合、乳牛、肉牛)として飼育するのかなどによって変わってくるものであり、それらを考慮して原料の配合割合を適宜設定できるものである。なお、この点、本願明細書においても「動物飼料のために用いられる比率は、それを食べることが予期される動物の種類に依存し得る。以下に記述する様々な実施態様は乳牛及び肉牛に特定された実施例を提供するが、記述される様々な比率を、ウマ、又は畜牛、ヒツジ、ヤギ、ブタ若しくはラクダなどの反芻動物を含む、様々な動物のための飼料に用いることができることが理解される。」(【0059】)と記載されている。 してみれば、引用発明において、他の飼料原料としてデーツを添加させる際、摘記(1オ)に記載されている上記引用文献1の実施例6として記載されているように、穀物類よりもOPLの質量を多くする、すなわち、OPL及び麦の家畜飼料の総質量における割合を40%~60%の間、20%~40%の間であるようにし、添加物であるデーツをそれらより少なめ(10%~)に混合させること、すなわちヤシ果実成分を家畜飼料の総質量の10%~45%の間を満たすように混合させることは当業者が適宜なし得たことである。 イ 相違点2について 一般に、栄養素含有量の割合についても、家畜飼料において、動物の種類、雄雌、年齢、家畜を何用(例えば牛の場合、乳牛、肉牛)として飼育するのかなどによって変わってくるものであり、それらを考慮して家畜飼料の栄養素含有量の割合を適宜設定できるものである。なお、この点、本願明細書においても「所望のタンパク質含有量は、飼料を食べる動物の種類に依存する。」(【0037】)及び「本願明細書で記述する他の栄養素含有量も、同様に変動することができる。」(【0038】)と記載されている。 そして、上記アで述べた引用文献1の実施例6では、穀物類として玄米を用い、「動物質飼料」は添加されていない例であるが、その栄養素含有量は、上記摘記(1オ)の第4表のようになっていることが記載されている。それに対し、引用発明は、穀物類が「麦」で、さらに「動物質飼料」が添加されるものであり、「動物質飼料」の分だけさらに粗タンパク質の含有量は高くなるものであるから、引用発明の家畜飼料の粗タンパク質、粗脂肪及び粗繊維の栄養素含有量は、本願発明で特定される粗タンパク質が10%~20%、粗脂肪が2%~8%及び粗繊維が15%~45%の範囲を満たすか、あるいは満たさないとしても、それらの範囲にかなり近接したものであるとえいる。 してみれば、引用発明の家畜飼料において、他の飼料原料としてデーツを添加させる際、その家畜の種類、雄雌、年齢、家畜を何用として飼育するのかに合わせて、粗タンパク質が「10%~20%」、粗脂肪が「2%~8%」、及び粗繊維が「15%~45%」を満たすような栄養素含有量とすることは当業者が適宜なし得たことである。 (2)効果について ア 原料の配合割合について 本願発明において「前記加工ヤシ葉状体成分が、動物飼料の総質量の40%~60%の間であり、前記ヤシ果実成分が、動物飼料の総質量の10%~45%の間であ」ることについて、請求人は平成30年7月23日に提出の意見書(以下「意見書」という。)で、本願明細書の【0062】及び【0082】に記載されていると述べているので、当該段落を含む本願明細書を参照するに、 「【0058】 図6に図示するように、ある実施態様において、ヤシ葉状体ベースは種々の比率の粗化成分(roughening component)、野菜及び/若しくは果実成分、並びに/又は糖成分と組み合わせることができる。粗化成分には、例えば、アーモンドの殻、クルミ殻、ピーナッツの殻、核、又は他の粗い食用生産物を含むことができる。野菜及び/又は果実成分には、例えば、綿実、トウモロコシ、小麦、ビール醸造所由来の穀物、蒸留酒製造所由来の穀物、ジャガイモ、レタス、トマト、桃、リンゴ、イチゴ、大豆、カブ、果実の外皮又は皮などを含むことができる。糖成分には、例えば、ビートパルプ、テンサイ、サトウキビ、柑橘類、オレンジ、グレープフルーツ、レモン、ブドウ、レーズンなどを含むことができる。ある実施態様において、デーツなどの特定の添加物は、高い栄養素含有量及び高い糖含有量を有し、野菜/果実成分及び/又は糖成分として加えることができる。ある実施態様において、他のビタミン及びミネラルも加えることができる。」 「【0062】 ある実施態様において、肉牛用の動物飼料は約40%以上及び/又は約60%以下のヤシ葉状体成分を有し得る。前記飼料は、約15%以上及び/又は約35%以下の野菜/果実成分を有し得る。前記飼料は、約15%以上及び/又は約35%以下の糖成分を有し得る。また、ある実施態様において、前記飼料は、変動する量の粗化成分を有することもできる。」(ここで、上記【0058】を参照すると、「野菜/果実成分」に「小麦」が、「野菜/果実成分」及び/又は「糖成分」に「デーツ」が区分されることになる。) 「【0073】 ある実施態様において、動物飼料は、ヤシ葉状体、アルファルファ、大豆、トウモロコシ、小麦、乾牧草、牧草、及び/又は他のサイレージ成分などの、1種以上のベース飼料を含むベース飼料成分を有することができる。図9は、野菜/果実成分、糖成分、及び粗化成分を混合したベース飼料成分の例を図示する。ある実施態様において、動物飼料は、約50%以上及び/又は約90%以下のベース飼料成分を有し得る。前記飼料は、約2%以上及び/又は約10%以下の粗化成分を有し得る。前記飼料は、約10%以上及び/又は約20%以下の野菜/果実成分を有し得る。前記飼料は、約5%以上及び/又は約15%以下の糖成分を有し得る。これらの比率、以下に記述する様々な比率は、ある実施態様においては予め混合した容積の比率を記述し、他の実施態様においては質量比を記述することが理解される。 「【0082】 ある実施態様において、動物飼料は、約40%以上及び/又は約60%以下のベース飼料成分を有し得る。前記飼料は、約10%以上及び/又は約45%以下のヤシ果実成分、例えばデーツなどを有し得る。また、ある実施態様において、前記飼料は、変動する量の粗化成分を有することもできる。」(ここで、上記【0073】を参照すると、「ベース飼料成分」に「ヤシ葉状体」及び「小麦」が区分されることになる。)と記載されている。 これに対し、本願発明では「前記加工ヤシ葉状体成分が、動物飼料の総質量の40%~60%の間であり、前記ヤシ果実成分が、動物飼料の総質量の10%~45%の間であり、前記栄養添加物が動物飼料の総質量の20%~40%の間」と特定されており、「加工ヤシ葉状体成分が、動物飼料の総質量の40%~60%の間」については上記【0062】の記載、「ヤシ果実成分(デーツ)が、動物飼料の総質量の10%~45%の間」については上記【0082】の記載であり、それぞれ別の記載に基づいたものといえるが、上記加工ヤシ葉状体成分、ヤシ果実成分(デーツ)、栄養添加物(小麦)が本願発明で特定される範囲を同時に満たすことによる効果は、上記のとおり本願明細書には記載されておらず、これらの範囲を同時に満たすことによる当業者が予期しえない格別顕著な効果は認められない。 この点、意見書では、「本願発明は、本願明細書の第[0014]段落、第[0024]段落、第[0026]段落、及び第[0035]段落に記載しているとおり、デーツであるヤシ果実成分を、上記の特定の質量比で加工ヤシ葉状体と混合することにより、混合物の粘着性が高くなりすぎることを防ぎ、また機械の動きを悪くしたり詰まらせたりすることを防ぐことができます。さらに、所望の飼料濃度及び組成を生成するために望ましくかつ有利な粘性の混合物をもたらすことができます。」と主張しており、当該主張は、本願明細書の 「【0026】 ある実施態様において、これらの比率は質量比の代わりに容積比とすることができる。例えば、8:1の容積比とは、加工ヤシ葉状体及びヤシ果実の混合物が、8すくいの加工ヤシ葉状体と1すくいのヤシ果実とを混合することによって形成されたことを指す。好ましくは、以下でさらに記述するような、加工機械を用いる実施態様においては、比率は、混合物の粘性が高くなりすぎて機械の動きを悪くしたり詰まらせたりしないような比率である。他の実施態様において、混合物の粘性は、所望の飼料濃度及び組成を生成するために望ましく有利である。」に基づくものであるといえるが、このような効果をもたらす加工ヤシ葉状体とヤシ果実の比率は、容積比で8:1であり、本願発明の「前記加工ヤシ葉状体成分が、動物飼料の総質量の40%~60%の間であり、前記ヤシ果実成分が、動物飼料の総質量の10%~45%の間」ということではない。 してみれば、本願発明の「前記加工ヤシ葉状体成分が、動物飼料の総質量の40%~60%の間であり、前記ヤシ果実成分が、動物飼料の総質量の10%~45%の間であ」ることに基づかない効果である。 また、上記意見書で主張している効果は、動物飼料を、動物飼料となるベース飼料をミルランを含むミルに通すことによって製造する際の効果であって、製造後の動物飼料自体が奏しうる効果ではない。 したがって、上記主張は受け入れられない。 イ 栄養素含有量の割合について 本願明細書では、栄養素含有量の割合について、 「【0037】 ある実施態様において、混合物は、様々な量の粗タンパク質含有量を有し得る。例えば、ある実施態様において、混合物は、約5%以上及び/又は約30%以下の粗タンパク質含有量を有し得る。ある実施態様において、混合物は、約8%以上及び/又は約15%以下の粗タンパク質含有量を有し得る。ある実施態様において、混合物は、約12%以上及び/又は約15%以下の粗タンパク質含有量を有し得る。ある実施態様において、所望のタンパク質含有量は、飼料を食べる動物の種類に依存する。例えば、ある実施態様において、乳牛用の飼料は、約10%以上及び/又は約20%以下の粗タンパク質含有量を有し得る。ある実施態様において、肉牛用の飼料は、約20%以上及び/又は約30%以下の粗タンパク質含有量を有し得る。 【0038】 本願明細書で記述する他の栄養素含有量も、同様に変動することができる。例えば、ある実施態様において、混合物は、約45%以上及び/又は約65%以下のTDNを有し得る。ある実施態様において、混合物は、約50%以上及び/又は約60%以下のTDNを有し得る。 【0039】 ある実施態様において、混合物は、約2%以上及び/又は約8%以下であってもよい粗脂肪含有量を有し得る。ある実施態様において、混合物は、約2%以上及び/又は約5%以下であってもよい粗脂肪含有量を有し得る。 【0040】 同様に、ある実施態様において、混合物は、約15%以上及び/又は約45%以下であってもよい繊維含有量を有し得る。ある実施態様において、混合物は、約20%以上及び/又は約30%以下であってもよい繊維含有量を有し得る。」と記載されている。 上記アで述べたように原料を配合する際には肉牛用として配合しているのに対し、栄養素含有量の割合では乳牛用となっており、粗タンパク質含有量をどのような目的で特定したものか統一性がなく、本願明細書を参照しても、粗タンパク質含有量、粗脂肪含有量、粗繊維含有量を本願発明の範囲にしたことによる当業者が予期しない格別顕著な効果は認められない。 (3)小括 したがって、本願発明は、引用発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 第7 むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その余の請求項に係る発明について言及するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり、審決する。

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2016-018481

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