意匠拒絶査定不服審判
2016-015353
スイッチ用カバープレート
- 審判番号
- 2016-015353
- 法域
- 意匠
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 意願2016-001600外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2016年10月13日
- 審決日
- 2017年01月10日
- 公報発行日
- 2017年04月28日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】パナソニックIPマネジメント株式会社
- 【請求人代理人】鎌田 健司
- 【請求人代理人】前田 浩夫
- 分類
- D18 .113-WY (H2-4)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 意匠法3条1項3号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 意匠法第3条第1項第3号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
意願2016- 1600「スイッチ用カバープレート」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。
結論
【 結 論】
原査定を取り消す。
本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由
【 理 由】
第1 本願意匠
本願は,平成28年(2016年)1月27日の意匠登録出願であって,その意匠(以下「本願意匠」という。)は,願書及び願書に添付した図面の記載によれば,意匠に係る物品は「スイッチ用カバープレート」であり,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形態」という。)は,願書及び願書に添付した図面に記載されたとおりのものである。(別紙第1参照)
第2 原査定における拒絶の理由及び引用意匠
原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠(先行の公知意匠に類似する意匠)に該当するため,同条同項柱書の規定により意匠登録を受けることができないとしたものであって,拒絶の理由に引用した意匠(以下「引用意匠」といい,本願意匠と合わせて「両意匠」という。)は,本願の出願日よりも前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載され,又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった,下記の意匠である。
【引用意匠】(別紙第2参照)
特許庁発行の意匠公報記載
意匠登録第1219462号
(意匠に係る物品,スイッチ用カバープレート)の意匠
第3 当審の判断
1 両意匠の対比
(1)両意匠の意匠に係る物品
両意匠の意匠に係る物品は,いずれも,壁面等のスイッチに取り付けて使用する「スイッチ用カバープレート」であると認められる。
したがって,両意匠の意匠に係る物品は,一致する。
(2)両意匠の形態
両意匠の形態を対比すると,主として,以下のとおりの共通点及び相違点が認められる。
<共通点>
(A)全体が,背面側の本体部と正面側の蓋部とからなる略角丸平板状のスイッチ用カバープレートである点
(B)本体部と蓋部とが,上端付近のヒンジ部において,回動可能に接合されている点
(C)本体部の正面中央に,正面視略縦長長方形状の開口部が設けられている点
(D)蓋部が透明である点
(E)蓋部正面の左右の縁寄りの部分が緩やかに背面側に傾斜した形状である点
(F)蓋部正面の下方に正面視略四角形状の窓部が設けられており,窓部の左右及び下側の内周を傾斜面に形成して背面に向かってすぼまった形状である点
(G)蓋部正面の上方に正面視略四角形状の区画部が設けられており,区画部と,窓部背面側の開口とを合わせた領域は,閉蓋状態の正面視において,本体部に設けられた開口部と略同一の略縦長長方形状に表れる点
<相違点>
(ア)引用意匠よりも本願意匠の方が,正面視における本体部及び蓋部の四隅の曲率半径が小さい点
(イ)引用意匠では,正面視における開口部の縦方向の長さが本体部の長さの約3/4であり,縦横比が約2:1であるのに対し,本願意匠では,縦方向の長さが本体部の約4/7であり,縦横比が約8:5である点
(ウ)引用意匠では,正面視における窓部の縦方向の長さが本体部の長さの約3/7であり,縦横比が約1:1であるのに対し,本願意匠では,縦方向の長さが本体部の約1/3であり,縦横比が約8:11である点
(エ)引用意匠では,正面視及び側面視において,蓋部と本体部とが略面一(つらいち)に表れるのに対し,本願意匠では,蓋部が本体部よりも上下方向及び左右方向に張り出して表れる点
(オ)引用意匠では,底面中央に底面視略横長長方形状の凹部が設けられているのに対し,本願意匠では,このような凹部が設けられていない点
(カ)引用意匠では,正面視においてヒンジ部が蓋部の上端に表れるのに対し,本願意匠では,正面視においてヒンジ部が蓋部の背後に隠れる点
(キ)引用意匠では,蓋部と本体部との厚みが略同一であるのに対し,本願意匠では,蓋部よりも本体部の方が厚みが大きい点
(ク)引用意匠では,蓋部の上下の縁寄りの部分が略平坦であるのに対し,本願意匠では,緩やかに背面側に傾斜した形状である点
(ケ)引用意匠では,本体部の左右両端部及び上下両端部が緩やかに背面側に傾斜した形状であるのに対し,本願意匠では,略平坦である点
(コ)引用意匠では,正面視における開口部の四隅が略直角であるのに対し,本願意匠では,本体部の四隅と同程度の曲率で,丸みを帯びた形状である点
2 両意匠の類否判断
上記1(1)のとおり,両意匠は,意匠に係る物品は一致するが,形態については以下のとおりである。
(1)共通点について
ア 共通点(A)ないし(E)は,下記参考意匠に見られるように,当該物品分野において公然知られた態様であって,需要者に対して新規な印象を与えるものではないから,両意匠の類否判断に与える影響は,小さい。
イ 共通点(F)及び(G)は,両意匠に特有の態様であり,かつ,需要者の注意を強く引く部位に係るものであるから,両意匠の類否判断に一定の影響を与えるものであるといえる。
しかしながら,共通点(F)及び(G)は,両意匠の態様を概略的に捉えた場合の共通点にすぎないものであって,具体的態様においては,相違点(ア)ないし(コ)において相違するのであるから,共通点(F)及び(G)のみをもって,直ちに両意匠が類似するものであるということはできない。
ウ 上記ア及びイのとおり,共通点(A)ないし(E)が両意匠の類否判断に与える影響は小さく,また,共通点(F)及び(G)が両意匠の類否判断に与える影響は一定程度にとどまるものであって,共通点全体があいまって生じさせる美感を考慮しても,両意匠の類否判断を決定付けるまでには至らないものである。
【参考意匠】(別紙第3参照)
特許庁が平成15年(2003年)10月20日に発行した意匠公報記載
意匠登録第1187770号
【意匠に係る物品】 防滴プレート付きスイッチ
【意匠の説明】 左側面図は右側面図と対称に表れるので、左側面図を省略した。A-A拡大断面図において二重ハッチングで表される開閉蓋部分は透明材質である。複数の横筋模様はシーソースイッチ表面に施された印刷模様である。
(2)相違点について
ア 相違点(ア)ないし(ウ)は,特に目に付きやすい部位に係るものであり,相違の程度も大きいから,両意匠の視覚的印象を大きく異ならせるものであるといえる。
したがって,相違点(ア)ないし(ウ)が両意匠の類否判断に与える影響は,いずれも大きい。
イ 相違点(エ)及び(オ)は,蓋部の開閉に際して直接手に触れて操作する注目される部位に係るものであるから,その操作時には需要者の注意を強く引くものであるといえる。
したがって,相違点(エ)及び(オ)が両意匠の類否判断に与える影響は,いずれも大きい。
ウ 相違点(カ)は,ヒンジのデザイン処理について大いに異なるものであり,当該相違によって,本願意匠は引用意匠よりもすっきりとしたシンプルな印象を与えるものであるということができる。
したがって,相違点(カ)が両意匠の類否判断に与える影響は,大きい。
エ 上記1(1)のとおり,両意匠の意匠に係る物品は,壁面等のスイッチに取り付けて使用するものと認められるから,使用状態における壁面との一体感や調和感は,需要者にとっての大きな関心事であるといえる。
そして,相違点(キ)及び(ク)により,引用意匠は壁面から突出して配された印象を与えるものであるのに対し,本願意匠は壁面と一体的で調和した印象を与えるものであるといえるから,相違点(キ)及び(ク)が両意匠の類否判断に与える影響は,いずれも大きい。
オ 相違点(ケ)は,開蓋状態において特に目に付きやすい部位に係るものであり,また,蓋部が透明であることに鑑みれば,閉蓋状態においても一定の注意を引くものであるといえる。
したがって,相違点(ケ)が両意匠の類否判断に与える影響は,大きい。
カ 相違点(コ)により,引用意匠は蓋部と開口部とが統一なく別々に創作されたものであるとの印象を与えるものであるのに対し,本願意匠は蓋部と開口部とが一体的に創作されたものであるとの印象を与えるものであるといえる。
したがって,相違点(コ)が両意匠の類否判断に与える影響は,大きい。
キ 上記アないしカのとおり,相違点(ア)ないし(コ)が両意匠の類否判断に与える影響は,いずれも大きい。
(3)小括
上記1(1)のとおり,両意匠は,意匠に係る物品は一致するものの,形態においては,上記2(1)ウのとおり,共通点が両意匠の類否判断を決定付けるまでには至らないものであるのに対し,上記2(2)キのとおり,相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は大きく,相違点の印象は,共通点の印象を凌駕(りょうが)し,両意匠は,視覚的印象を異にするというべきであるから,本願意匠は,引用意匠に類似するということはできない。
第4 むすび
以上のとおりであって,本願意匠は,原査定の引用意匠をもって,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するということはできないから,同条同項柱書によって,本願意匠を拒絶すべきものとすることはできない。
また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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