特許拒絶査定不服審判
2016-015038
発光デバイスパッケージ及びこれを備えるライトユニット
- 審判番号
- 2016-015038
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2015-027327外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2016年10月06日
- 審決日
- 2018年01月30日
- 公報発行日
- 2018年08月31日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 分類
- P18 .121-WZ (H01L) / P18 .575-WZ (H01L)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第6項、特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2015- 27327「発光デバイスパッケージ及びこれを備えるライトユニット」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 5月14日出願公開、特開2015- 92639〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、2008年4月17日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2007年4月19日、韓国)を国際出願日とする特願2010-503977号(以下「原出願」という。)の一部を平成25年3月27日に新たな特許出願とした特願2013-66840号の一部を、さらに、平成27年2月16日に新たな特許出願としたものである。
その後の主な手続の経緯は、以下のとおりである。
平成27年11月10日:拒絶理由通知(11月17日発送)
平成28年 4月18日:意見書・手続補正
同年 6月 1日:拒絶査定(6月7日送達)
同年10月 6日:審判請求・手続補正
平成29年 2月24日:上申書
同年 6月14日:拒絶理由通知(6月20日発送)
同年 9月12日:意見書・手続補正
同年 9月15日:最後の拒絶理由通知(9月26日発送)
同年12月14日:意見書・手続補正
第2 平成29年12月14日付け手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成29年12月14日付け手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[補正却下の決定の理由]
1 補正内容
本件補正は、特許請求の範囲についてするものであり、その特許請求の範囲の請求項1については、
本件補正前(平成29年9月12日付け手続補正後のもの)に、
「リードフレームを用意するステップと、
前記リードフレームの底面と接しながら、上面の一部が露出するようにキャビティを備えた本体を形成するステップと、
前記露出したリードフレームの上面に発光素子を配置させるステップと、を含み、
前記リードフレームを用意するステップにおいて、
前記リードフレームは、前記本体を軸方向に貫通する貫通部及びキャビティに露出される露出部を含む第1リードフレーム及び第2リードフレームを含み、
前記第1リードフレームは、前記露出部を形成する第1底面フレームと、前記第1底面フレームの両端から前記貫通部の軸とは異なる他の軸方向に両側に延長される第1側壁フレーム及び第2側壁フレームとを含み、
前記第2リードフレームは、前記露出部を形成する第2底面フレームと、前記第2底面フレームの両端から前記貫通部の軸とは異なる他の軸方向に両側に延長される第3側壁フレーム及び第4側壁フレームとを含み、
前記第1側壁フレーム及び前記第2側壁フレームは、前記第1底面フレームに垂直な軸を基準として傾斜角度が15度乃至30度に傾斜し、
前記第3側壁フレーム及び前記第4側壁フレームは、前記第2底面フレームに垂直な軸を基準として傾斜角度が15度乃至30度に傾斜し、
前記第1側壁フレームと前記第2側壁フレームとの間の内部角度が30度乃至60度であり、
前記第3側壁フレームと前記第4側壁フレームとの間の内部角度が30度乃至60度であり、
前記第1リードフレームは、前記第1側壁フレーム及び前記第2側壁フレームを形成するための折り曲げの後に形成された第1メッキ層を含み、
前記第2リードフレームは、前記第3側壁フレーム及び前記第4側壁フレームを形成するための折り曲げの後に形成された第2メッキ層を含み、
前記本体を形成するステップにおいて、
前記第1底面フレーム及び前記第2底面フレームが延在する方向と直交する方向に沿った前記キャビティの側面は、前記第1側壁フレーム乃至前記第4側壁フレームによって覆われることなく露出され、
前記本体の底面は、前記発光素子と重畳する領域に凹部を含む発光素子パッケージの製造方法。」とあったものを、
「リードフレームを用意するステップと、
前記リードフレームの底面と接しながら、上面の一部が露出するようにキャビティを備えた本体を形成するステップと、
前記露出したリードフレームの上面に発光素子を配置させるステップと、を含み、
前記リードフレームを用意するステップにおいて、
前記リードフレームは、前記本体を軸方向に貫通する貫通部及びキャビティに露出される露出部を含む第1リードフレーム及び第2リードフレームを含み、
前記第1リードフレームは、前記露出部を形成する第1底面フレームと、前記第1底面フレームの両端から前記貫通部の軸とは異なる他の軸方向に両側に延長される第1側壁フレーム及び第2側壁フレームとを含み、
前記第2リードフレームは、前記露出部を形成する第2底面フレームと、前記第2底面フレームの両端から前記貫通部の軸とは異なる他の軸方向に両側に延長される第3側壁フレーム及び第4側壁フレームとを含み、
前記第1側壁フレーム及び前記第2側壁フレームは、前記第1底面フレームに垂直な軸を基準として傾斜角度が15度乃至30度に傾斜し、
前記第3側壁フレーム及び前記第4側壁フレームは、前記第2底面フレームに垂直な軸を基準として傾斜角度が15度乃至30度に傾斜し、
前記第1側壁フレームと前記第2側壁フレームとの間の内部角度が30度乃至60度であり、
前記第3側壁フレームと前記第4側壁フレームとの間の内部角度が30度乃至60度であり、
前記第1リードフレームは、前記第1側壁フレーム及び前記第2側壁フレームを形成するための折り曲げの後に形成された第1メッキ層を含み、
前記第2リードフレームは、前記第3側壁フレーム及び前記第4側壁フレームを形成するための折り曲げの後に形成された第2メッキ層を含み、
前記本体を形成するステップにおいて、
前記第1底面フレーム及び前記第2底面フレームが延在する第1の方向と直交する第2の方向に沿った前記キャビティの側面は、前記第1側壁フレーム乃至前記第4側壁フレームによって覆われることなく露出され、
前記第1の方向に沿った前記キャビティの側面は、前記第1側壁フレーム乃至前記第4側壁フレームのいずれかによって覆われる第1の部分と、前記第1側壁フレーム乃至前記第4側壁フレームのいずれかの表面と略同一平面上に位置する第2の部分とを含み、
前記本体の底面は、前記発光素子と重畳する領域に凹部を含む発光素子パッケージの製造方法。」と補正する内容を含むものである(下線は、請求人が手続補正書において付したものである。)。
2 補正目的
(1)上記「1」の補正内容は、本件補正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な「キャビティ」と「第1側壁フレーム乃至第4側壁フレーム」との位置関係を限定するものであって、補正前後で、発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であることから、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであると認められる。
(2)よって、本件補正後の請求項1についての補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものと認められる。
そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本願補正発明」という。)について、これが特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)否かを、以下に検討する。
3 独立特許要件
(1)引用文献
ア 平成29年9月15日付け最後の拒絶理由通知で引用文献1として引用した、原出願の優先日(2007年4月19日)前に頒布された刊行物である特開2004-146815号公報(2004年5月20日公開)には、図とともに以下の記載がある(下線は、当審で付した。以下同じ。)。
(ア)「【請求項1】
絶縁材料により形成され、内側に空間部を有する箱形の枠体と、導電材料により形成され、前記枠体に固定されるリードフレームと、このリードフレームに固定される発光チップとを備え、前記リードフレームは、前記発光チップを固定する第1リードフレームと、前記発光チップをワイヤボンディングにより接続する第2リードフレームとを含み、前記第1リードフレームには、その両側辺を折り曲げることにより前記枠体の側壁内部に位置する立ち上がり部が形成されていることを特徴とする発光素子。」
(イ)「【0015】
以下、本発明の実施形態を図に基づき説明する。
【0016】
図1、2に本発明の第1実施形態を示す。図1は発光素子の断面図、図2は図1の発光素子に用いられたリードフレームの斜視図である。
【0017】
発光素子はエポキシ樹脂などの絶縁材料からなる箱形の枠体1を備える。枠体1は、四方(前後左右方向)の側壁2、3、4、5により、上部が開放した空間部6をその内側に形成している。枠体1には第1リードフレーム7と第2リードフレーム8を固定する。第1、第2リードフレーム7、8は銅、鉄、アルミニウムなどの導電材料からなり、枠体1の成型時に一体に組み合わされる。
【0018】
図2に見られるとおり、第1リードフレーム7と第2リードフレーム8は互いにほぼ対称形状であり、各々両側辺を上方に折り曲げて、第1リードフレーム7にあっては立ち上がり部9、9を、第2リードフレーム8にあっては立ち上がり部10、10を、それぞれ形成している。立ち上がり部9、9及び10、10は、枠体1の成型時、側壁2、3の内部に位置するように埋め込まれ、これによって第1、第2リードフレーム7、8は枠体1に固定される。
【0019】
第1リードフレーム7の底面部12に発光チップ11が固定される。発光チップ11はワイヤボンディング13によって第2リードフレーム8に接続されている。
【0020】
発光チップ11の発生する熱は第1リードフレーム7に伝わる。高温になった第1リードフレーム7は立ち上がり部9、9を通じて枠体1の外部の空間に放熱を行う。すなわち第1リードフレーム7に伝わった熱は外部空間に強制的に放熱される。また第2リードフレーム8は空間部6から熱を受け取り、立ち上がり部10、10を通じて枠体1の外部の空間に放熱する。上記の放熱作用により、枠体1の温度上昇が抑えられ、枠体1の変形や変色を防止することができる。従って、枠体1の変形や変色を気にかけることなく、発光チップ11の高出力化を図ることができる。
【0021】
立ち上がり部9、9、10、10を成形するについては、第1、第2リードフレーム7、8の成形工程に折り曲げ工程を追加するだけでよく、製作容易である。
【0022】
図2の構成では、第1リードフレーム7、第2リードフレーム8ともに立ち上がり部を設けている。この構成に代え、立ち上がり部を設けるのは一方のリードフレームのみにとどめ、ただしその立ち上がり部には延長部を設けて全長を長くすることもできる。かかるリードフレームの変形例を図3に示す。
【0023】
……
【0024】
図4に本発明の第2実施形態を示す。図4は発光素子の断面図である。
【0025】
第2実施形態においては、発光素子は図2又は図3と同様形状の第1リードフレーム7と第2リードフレーム8を備える。ただし第1、第2リードフレーム7、8の立ち上がり部9、9、10、10は、側壁2、3の内部にではなく、側壁2、3の内壁面に沿い、内壁面に密着する形で設けられている。立ち上がり部9、9、10、10は発光チップ11と直接向かい合うことになり、発光チップ11の発する熱をより速やかに放熱することができる。」
(ウ)第1実施形態の図1及び図2は、以下のものである。
図1
図2
(エ)第2実施形態の図4は、以下のものである。
イ 引用文献1に記載された発明
(ア)上記ア(ア)の記載からして、引用文献1には、
「絶縁材料により形成され、内側に空間部を有する箱形の枠体と、
導電材料により形成され、前記枠体に固定されるリードフレームと、
このリードフレームに固定される発光チップとを備え、
前記リードフレームは、
前記発光チップを固定する第1リードフレームと、前記発光チップをワイヤボンディングにより接続する第2リードフレームとを含み、前記第1リードフレームには、その両側辺を折り曲げることにより前記枠体の側壁内部に位置する立ち上がり部が形成されている、発光素子。」が記載されているものと認められる。
(イ)上記ア(イ)の記載を踏まえて、図1及び図2を見ると、以下のことが理解できる。
a 上記(ア)の「絶縁材料により形成され、内側に空間部を有する箱形の枠体」は、具体的には、「エポキシ樹脂などからなる、内側に空間部を有する箱形の枠体」であってもよいこと。
b 上記(ア)の「導電材料」は、「銅、鉄、アルミニウムなどの導電材料」であってもよいこと。
c 上記(ア)の「第1リードフレーム」は、「枠体の軸方向に延びる部分と、発光チップを固定する底面部と、両側辺を垂直に上方に折り曲げた立ち上がり部(9、9)が形成された第1リードフレーム7」であってもよいこと。
d 上記(ア)の「第2リードフレーム」は、「枠体の軸方向に延びる部分と、ワイヤをボンディング接続する底面部と、両側辺を垂直に上方に折り曲げた立ち上がり部(10、10)が形成された第2リードフレーム8」であってもよいこと。
(ウ)また、上記ア(イ)の記載から、第2実施形態(図4)における、第1リードフレーム及び第2リードフレームは、第1実施形態(図2)における第1リードフレーム及び第2リードフレームと同じ形状であって、図4を見ると、「立ち上がり部(9、9)」は、枠体の内壁面に沿い、内壁面の途中の高さまで密着する形で設けられていてもよいことが理解できる。
(エ)以上のことから、引用文献1には、第2実施形態(図4)に関して、次の「発光素子」が記載されているものと認められる。
「エポキシ樹脂などからなる、内側に空間部を有する箱形の枠体と、
銅、鉄、アルミニウムなどの導電材料により形成され、前記枠体に固定されるリードフレームと、
このリードフレームに固定される発光チップとを備え、
前記リードフレームは、
前記枠体の軸方向に延びる部分と、前記発光チップを固定する底面部と、両側辺を垂直に上方に折り曲げた立ち上がり部(9、9)が形成された第1リードフレーム7と、
前記枠体の軸方向に延びる部分と、ワイヤをボンディング接続する底面部と、両側辺を垂直に上方に折り曲げた立ち上がり部(10、10)が形成された第2リードフレーム8とを含み、
前記立ち上がり部(9、9)及び前記立ち上がり部(10、10)は、前記枠体の側壁の内壁面に沿い、内壁面の途中の高さまで密着する形で設けられた、発光素子。」
(オ)そして、引用文献1には、上記(エ)の「発光素子」の製造方法、つまり、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。
「エポキシ樹脂などからなる、内側に空間部を有する箱形の枠体と、
銅、鉄、アルミニウムなどの導電材料により形成され、前記枠体に固定されるリードフレームと、
このリードフレームに固定される発光チップとを備えた、発光素子の製造方法であって、
前記リードフレームは、
前記枠体の軸方向に延びる部分と、前記発光チップを固定する底面部と、両側辺を垂直に上方に折り曲げた立ち上がり部(9、9)が形成された第1リードフレーム7と、
前記枠体の軸方向に延びる部分と、ワイヤをボンディング接続する底面部と、両側辺を垂直に上方に折り曲げた立ち上がり部(10、10)が形成された第2リードフレーム8とを含み、
前記立ち上がり部(9、9)及び前記立ち上がり部(10、10)は、前記枠体の側壁の内壁面に沿い、内壁面の途中の高さまで密着する形で設けられた、発光素子の製造方法。」
ウ 同様に、平成29年9月15日付け最後の拒絶理由通知で引用文献2として引用した、原出願の優先日(2007年4月19日)前に頒布された刊行物である特開2003-152228号公報(2003年5月23日公開)には、図とともに以下の記載がある。
(ア)「【0044】また、この場合、リフレクター20は、図1及び図2に示すように、金属製リードフレーム16から傾斜して立設することが好ましい。これにより、リフレクター20を垂直に立設した場合に比べ、LED14から照射された光を比較的大きな角度で反射させて少ない反射回数で外部へ放射することができ、リフレクター20が反射したLED14からの光の照射を効率的に外部へ放出することができるため、輝度をより一層効果的に向上させることができる。なお、この場合のリフレクター20の傾斜角度は、約45°から88°の範囲とすることが好ましい。特に、好ましくは60°から80°の範囲である。」
(イ)図1及び図2は、以下のものである。
図1
図2
(2)対比
ア 本願補正発明と引用発明とを対比する。
a 引用発明の「エポキシ樹脂などからなる、内側に空間部を有する箱形の枠体」は、本願補正発明の「キャビティを備えた本体」に相当する。
以下、同様に、
「リードフレーム」は、「リードフレーム」に、
「発光チップ」は、「発光素子」に、
「発光素子」は、「発光素子パッケージ」に、相当する。
b 引用発明の「リードフレーム」は、「エポキシ樹脂などからなる、内側に空間部を有する箱形の枠体」に固定され、発光チップは、該「リードフレーム」に固定されることから、発光チップは「(露出した)リードフレーム」の上面に固定されることは明らかである。
c してみると、本願補正発明と引用発明とは、
「リードフレームを用意するステップと、
前記リードフレームの底面と接しながら、上面の一部が露出するようにキャビティを備えた本体を形成するステップと、
前記露出したリードフレームの上面に発光素子を配置させるステップと、を含む」点で一致する。
d 引用発明の「リードフレーム」は、「第1リードフレーム7」及び「第2リードフレーム8」を含み、「第1リードフレーム7」及び「第2リードフレーム8」は、いずれも、「枠体の軸方向に延びる部分」と、(露出した)「底面部」と、「両側辺を垂直に上方に折り曲げた立ち上がり部(9、9)(10、10)」が形成され」ており、該「立ち上がり部(9、9)(10、10)」は、本願補正発明の「第1側壁フレーム及び第2側壁フレーム」に相当する。
してみると、本願補正発明と引用発明とは、
「リードフレームを用意するステップにおいて、
前記リードフレームは、前記本体の軸方向に延びる部分と、前記キャビティに露出される露出部を含む第1リードフレーム及び第2リードフレームを含み、
前記第1リードフレームは、前記露出部を形成する第1底面フレームと、前記第1底面フレームの両端から前記軸とは異なる他の軸方向に両側に延長される第1側壁フレーム及び第2側壁フレームとを含み、
前記第2リードフレームは、前記露出部を形成する第2底面フレームと、前記第2底面フレームの両端から前記軸とは異なる他の軸方向に両側に延長される第3側壁フレーム及び第4側壁フレームとを含み、
前記第1側壁フレーム及び前記第2側壁フレームは、前記第1底面フレームに垂直な軸を基準として傾斜角度が所定角度Aに傾斜し、
前記第3側壁フレーム及び前記第4側壁フレームは、前記第2底面フレームに垂直な軸を基準として傾斜角度が所定角度Aに傾斜し、
前記第1側壁フレームと前記第2側壁フレームとの間の内部角度が所定角度Bであり、
前記第3側壁フレームと前記第4側壁フレームとの間の内部角度が所定角度Bである」点で一致する。
e 引用発明の「リードフレーム」における、立ち上がり部は、枠体の側壁の内壁面に沿い、内壁面の途中の高さまで密着する形で設けられたものであるから、
本願補正発明と引用発明とは、
「本体を形成するステップにおいて、
第1底面フレーム及び第2底面フレームが延在する第1の方向と直交する第2の方向に沿ったキャビティの側面は、第1側壁フレーム乃至第4側壁フレームによって覆われることなく露出され、
前記第1の方向に沿った前記キャビティの側面は、前記第1側壁フレーム乃至前記第4側壁フレームのいずれかによって覆われる第1の部分と、前記第1側壁フレーム乃至前記第4側壁フレームのいずれかによって覆われていない第2の部分とを含む」点で一致する。
f 上記aないしfからして、
引用発明の「発光素子の製造方法」は、本願補正発明の「発光素子パッケージの製造方法」に相当する。
g 以上のことから、本願補正発明と引用発明とは、以下の点で一致する。
<一致点>
「リードフレームを用意するステップと、
前記リードフレームの底面と接しながら、上面の一部が露出するようにキャビティを備えた本体を形成するステップと、
前記露出したリードフレームの上面に発光素子を配置させるステップと、を含み、
前記リードフレームを用意するステップにおいて、
前記リードフレームは、前記本体の軸方向に延びる部分と、前記キャビティに露出される露出部を含む第1リードフレーム及び第2リードフレームを含み、
前記第1リードフレームは、前記露出部を形成する第1底面フレームと、前記第1底面フレームの両端から前記軸とは異なる他の軸方向に両側に延長される第1側壁フレーム及び第2側壁フレームとを含み、
前記第2リードフレームは、前記露出部を形成する第2底面フレームと、前記第2底面フレームの両端から前記軸とは異なる他の軸方向に両側に延長される第3側壁フレーム及び第4側壁フレームとを含み、
前記第1側壁フレーム及び前記第2側壁フレームは、前記第1底面フレームに垂直な軸を基準として傾斜角度が所定角度Aに傾斜し、
前記第3側壁フレーム及び前記第4側壁フレームは、前記第2底面フレームに垂直な軸を基準として傾斜角度が所定角度Aに傾斜し、
前記第1側壁フレームと前記第2側壁フレームとの間の内部角度が所定角度Bであり、
前記第3側壁フレームと前記第4側壁フレームとの間の内部角度が所定角度Bであり、
前記本体を形成するステップにおいて、
第1底面フレーム及び第2底面フレームが延在する第1の方向と直交する第2の方向に沿ったキャビティの側面は、第1側壁フレーム乃至第4側壁フレームによって覆われることなく露出され、
前記第1の方向に沿った前記キャビティの側面は、前記第1側壁フレーム乃至前記第4側壁フレームのいずれかによって覆われる第1の部分と、前記第1側壁フレーム乃至前記第4側壁フレームのいずれかによって覆われていない第2の部分とを含む、
発光素子パッケージの製造方法。」
h 一方、両者は、以下の点で相違する。
<相違点1>
リードフレームの本体の軸方向に延びる部分に関して、
本願補正発明は、「本体を軸方向に貫通する貫通部」であるのに対して、
引用発明は、枠体を貫通しているか否か不明である点。
<相違点2>
第1リードフレームの「第1側壁フレーム及び第2側壁フレーム」並びに第2リードフレームの「第3側壁フレーム及び第4側壁フレーム」に関して、
本願補正発明は、いずれも、「傾斜角度が15度乃至30度に傾斜し」、「内部角度が30度乃至60度」であるのに対して、
引用発明は、立ち上がり部(9、9)(10、10)に関して、そのような角度ではない点。
<相違点3>
リードフレームに関して、
本願補正発明は、「第1リードフレームは、第1側壁フレーム及び第2側壁フレームを形成するための折り曲げの後に形成された第1メッキ層を含み、
第2リードフレームは、第3側壁フレーム及び第4側壁フレームを形成するための折り曲げの後に形成された第2メッキ層を含」むのに対して、
引用発明は、メッキ層を含むか否か不明である点。
<相違点4>
第1の方向に沿ったキャビティの側面に関して、
本願補正発明は、「第1側壁フレームないし第4側壁フレームのいずれかの表面と略同一平面上に位置する第2の部分」を含むのに対して、
引用発明は、枠体の表面は、立ち上がり部の表面と略同一平面上に位置するか否か不明である点。
<相違点5>
本体の底面の形状に関して、
本願補正発明は、「発光素子と重畳する領域に凹部を含む」のに対して、
引用発明は、そのような凹部を含むか否か不明である点。
(3)判断
ア 上記<相違点1>について
(ア)引用発明の「第1リードフレーム7」の底面部には発光チップが固定され、「第2リードフレーム8」の底面部にはワイヤがボンディング接続されていることから、箱形の枠体の外部から「発光チップ」に「リードフレーム」を介して給電していることは明らかである。
してみると、箱形の枠体の外部から発光チップに給電するために、「第1リードフレーム7」及び「第2リードフレーム8」の「枠体の軸方向に延びる部分」を箱形の枠体を貫通するように外部に露出させることは、当業者が必要に応じて適宜なし得たことである。
(イ)よって、引用発明において、上記<相違点1>に係る本願補正発明の発明特定事項を採用することは、当業者が容易になし得たことである。
イ 上記<相違点2>について
(ア)引用文献2に、「リフレクター20は、図1及び図2に示すように、金属製リードフレーム16から傾斜して立設することが好ましい。これにより、リフレクター20を垂直に立設した場合に比べ、LED14から照射された光を比較的大きな角度で反射させて少ない反射回数で外部へ放射することができ、リフレクター20が反射したLED14からの光の照射を効率的に外部へ放出することができるため、輝度をより一層効果的に向上させることができる。なお、この場合のリフレクター20の傾斜角度は、約45°から88°の範囲とすることが好ましい。特に、好ましくは60°から80°の範囲である。」(摘記アを参照。)と記載されている。
(イ)してみると、引用発明の「立ち上がり部(9、9)」及び「立ち上がり部(10、10)」を(リードフレームの)底面部に対して、例えば、傾斜角度が70°となるように折り曲げることは、当業者が容易になし得たことである。
(ウ)上記(イ)のように折り曲げた「立ち上がり部(9、9)」及び「立ち上がり部(10、10)」の「傾斜角度A」は、(底面部に垂直な軸を基準として)それぞれ「20度」となり、また、「内部角度B」は、それぞれ「40度」となる。
(エ)よって、引用発明において、上記<相違点2>に係る本願補正発明の発明特定事項を採用することは、当業者が引用文献2の記載に基づいて容易になし得たことである。
ウ 上記<相違点3>について
(ア)発光チップを搭載する「リードフレーム」の表面に金や銀などのメッキ層を形成する際に、曲げ加工後にメッキ層を形成することは、原出願の優先日時点で周知(以下「周知技術1」という。)であることから、「第1リードフレーム7」及び「第2リードフレーム8」の表面に、曲げ加工後にメッキ層を形成することに何ら困難性は認められない。
特開2004-311857号公報(【0007】及び図4)
特開平10-189792号公報(【0018】)
(イ)よって、引用発明において、上記<相違点3>に係る本願補正発明の発明特定事項を採用することは、当業者が上記周知技術1に基づいて容易になし得たことである。
エ 上記<相違点4>について
(ア)引用発明の「立ち上がり部(9、9)及び立ち上がり部(10、10)」は、枠体の側壁の内壁面に沿い、内壁面の途中の高さまで密着する形で設けられたものであるところ、「立ち上がり部(9、9)及び立ち上がり部(10、10)」の上部表面を内壁面と略同一平面上に位置するようになすことは、例えば、下記の文献に記載されているように、当業者が適宜なし得た設計事項である(以下「周知技術2」という。)。
特開2004-63494号公報(図3及び図4)
ちなみに、図4は、以下のものである。
(イ)よって、引用発明において、上記<相違点4>に係る本願補正発明の発明特定事項を採用することは、当業者が上記周知技術2に基づいて容易になし得たことである。
オ 上記<相違点5>について
(ア)発光チップを搭載した樹脂パッケージにおいて、底面部の発光チップと重畳する領域に凹部を形成することは、例えば、下記の文献に記載されているように、適宜なし得た設計事項である(以下「周知技術3」という。)。
特開2007-27761号公報(図5)
特開2007-19505号公報 (図3)
特開2004-281996号公報(図11)
(イ)よって、引用発明において、上記<相違点5>に係る本願補正発明の発明特定事項を採用することは、当業者が上記周知技術3に基づいて容易になし得たことである。
カ 効果
本願補正発明の奏する効果は、引用発明の奏する効果、引用文献2に記載の技術事項及び上記各周知技術から予測し得る範囲内のものである。
(4)平成29年12月14日提出の意見書について
請求人は、平成29年12月14日提出の意見書において、以下のように主張していることから、この点について検討する。
ア 「請求項1、2に係る発明のように、『立ち上がり部(9、9)』及び『立ち上がり部(10、10)の『傾斜角度』を『15度乃至30度』にする場合には、必然的に、リードフレームの(上から見た場合の)面積が増加することになります。これは、絶縁処置を回避するためリードフレーム全体を囲むために必要な枠体の大型化、及び/又は、枠体からはみ出した部分への絶縁処置の必要性を生じさせるものであると認められます。」(意見書第3頁上段)
しかしながら、引用文献1の【0005】に記載された「……しかしながらリードフレームの面積を単純に増大すると、増大部分が枠体からはみ出すことがある。枠体からはみ出した部分には絶縁処置を施さねばならず、工程が増えてコストアップ要因になる。絶縁処置を回避するため、増大部分まで含めてリードフレーム全体を枠体で囲むこととすると、全体が大型化する。これは部品の小型化に逆行するものである。」は、リードフレームを枠体からはみ出すように単純に増大することは、好ましくないことを述べているのであり、引用発明において、立ち上がり部の傾斜角度を15度乃至30度としても、「箱形の枠体」からリードフレームがはみ出すことはなく、追加の絶縁処理が必要になるものではない。
イ 「引用文献1の段落0025には、『・・・立ち上がり部9、9、10、10は発光チップ11と直接向かい合うことになり、発光チップ11の発する熱をより速やかに放熱することができる。』と記載されているところ、これは、段落0030、0031にも記載されている通り、『発光チップ11』の発する熱の輻射が阻止されるからであると解するのが相当です。
ここで、仮に、請求項1、2に係る発明のように、『立ち上がり部(9、9)』及び『立ち上がり部(10、10)』の『傾斜角度』を0°から『15度乃至30度』にする場合には、必然的に、『発光チップ11』が斜め上方に発する熱の輻射が阻止されることなく、拡散されてしまう蓋然性が高くなります。これは、『発光チップ11の発する熱をより速やかに放熱する』という引用文献1に記載の発明の効果を減衰させるものであると認められます。
そうすると、引用文献1には、この点においても相違点2に対応する特徴を適用することに対して阻害要因が存在すると思料いたします。」(意見書第3頁中段)
しかしながら、引用文献の【背景技術】、【発明が解決しようとする課題】及び【課題を解決するための手段】の欄の記載からして、引用文献に記載された発明は、「箱形の枠体」の内側に「放熱部(立ち上がり部又は金属性反射枠)」を配置させることで、追加の絶縁処理を施すことなく、発光チップの高出力化を可能にするものであると解される。
つまり、引用文献に記載された発明は、「(絶縁材料により形成された)箱形の枠体」の内側に「(金属性の)放熱部」を配置させる点に特徴のある発明であることが理解できる。
そして、引用文献には、図9等に示されているように、「放熱部」を傾斜させることも開示されていることから、「立ち上がり部」を傾斜させることに阻害要因が存在するとはいえない。
ウ 以上のことから、上記請求人の主張は、上記判断を左右するものではない。
(5)独立特許要件についてのまとめ
本願補正発明は、当業者が引用発明、引用文献2に記載の技術事項及び周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
4 補正却下の決定の理由のむすび
上記「3」のとおり、本願補正発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第5項の規定に違反する。
したがって、本件補正は、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
第3 本願発明
1 本願発明
本件補正は、上記のとおり却下されたため、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、前記「第2 1」にて本件補正前の請求項1として記載したとおりのものである。
2 引用文献
引用文献及びその記載事項は、前記「第2 3(1)」に記載したとおりである。
3 対比・判断
本願補正発明は、前記「第2 1及び2」に記載したとおり、本願発明を限定したものに相当する。
そうすると、本願発明の構成要件を全て含み、さらに限定を付加したものに相当する本願補正発明が前記「第2 3」で検討したとおり、当業者が引用発明、引用文献2に記載の技術事項及び周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様の理由により、当業者が引用発明、引用文献2に記載の技術事項及び周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものである。
第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、当業者が引用文献1に記載された発明、引用文献2に記載された技術事項及び周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、本願は、他の請求項について検討するまでもく、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2016-015038