特許拒絶査定不服審判
2016-013702
能動遮蔽を有するコネクタ
- 審判番号
- 2016-013702
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2012-152226外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2016年09月13日
- 審決日
- 2017年07月18日
- 公報発行日
- 2017年09月29日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
- 【請求人代理人】加藤 公延
- 【請求人代理人】大島 孝文
- 分類
- P18 .121-WY (H01R) / P18 .537-WY (H01R)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第2号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2012-152226「能動遮蔽を有するコネクタ」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 1月31日出願公開、特開2013- 20969、請求項の数(18)〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
【理 由】
第1.手続の経緯
本願は、平成24年7月6日(パリ条約による優先権主張2011年7月7日、米国)の出願であって、平成27年11月19日付けで拒絶理由が通知され、平成28年2月19日に意見書及び手続補正書が提出され、同年6月2日付け(発送日:同年6月7日)で拒絶査定(以下、「原査定」という。)がなされ、これに対し、同年9月13日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に、特許請求の範囲を補正する手続補正書が提出され、その後、当審において平成29年3月3日付けで拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)が通知され、同年6月6日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。
第2.本願発明
本願の請求項1ないし18に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明18」という。)は、平成29年6月6日の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし18に記載された次のとおりのものである。
「【請求項1】
電気コネクタであって、
前記電気コネクタから延びる配線に接続され、かつ嵌合するコネクタ内の対応するコネクタ端子と相互接続されるように結合される1つ又は2つ以上のコネクタ端子と、
前記コネクタ端子に隣接して実装され、かつ前記電気コネクタ付近の第1の磁場を感知して、前記感知した磁場に基づいて、前記第1の磁場により前記配線及び前記コネクタ端子内に誘導される妨害を低減する第2の磁場を発生させるように構成されている能動遮蔽回路と、を含み、
前記能動遮蔽回路は、前記コネクタ端子を取り囲むように構成されておらず、
前記電気コネクタは、互いに嵌合しかつ前記コネクタ端子をそれぞれ含む第1のコネクタと第2のコネクタとを含み、
前記能動遮蔽回路は、前記第1のコネクタ内に配されており、
前記第1のコネクタと前記第2のコネクタとが嵌合した際に、前記能動遮蔽回路の少なくとも一部が、互いに結合された前記第1および第2のコネクタの前記コネクタ端子と近接しかつ並行して位置付けられるように構成されている、電気コネクタ。
【請求項2】
コネクタハウジングを含み、前記コネクタ端子及び前記能動遮蔽回路が前記コネクタハウジング内に装着されている、請求項1に記載の電気コネクタ。
【請求項3】
前記能動遮蔽回路が、前記第1の磁場を感知するための少なくとも1つの感知コイルと、前記第2の磁場を発生させるための少なくとも1つの発生器コイルと、前記感知コイルにより感知された前記第1の磁場に基づいて、前記発生器コイルを駆動するよう構成されている駆動回路と、を含む、請求項1に記載の電気コネクタ。
【請求項4】
前記コネクタ端子が平面内に配置され、前記感知コイル及び前記発生器コイルが前記平面と平行である、請求項3に記載の電気コネクタ。
【請求項5】
前記少なくとも1つの発生器コイルが第1の発生器コイル及び第2の発生器コイルを含み、前記第1の発生器コイル及び第2の発生器コイルが、前記コネクタ端子を含む前記平面の第1の側及び前記第1の側の反対側の第2の側にそれぞれ配置されている、請求項4に記載の電気コネクタ。
【請求項6】
前記駆動回路が、前記感知した第1の磁場を示す第1の電流を用いて駆動されるオペアンプと、前記オペアンプにより制御されて前記発生器コイルを駆動するための第2の電流を生成する電流源とを含む、請求項3に記載の電気コネクタ。
【請求項7】
前記感知コイル及び前記発生器コイルが、少なくとも1つのプリント基板(PCB)上に配置されている、請求項3に記載の電気コネクタ。
【請求項8】
前記能動遮蔽回路が、前記第1の磁場の周波数帯域と合わされる、請求項1に記載の電気コネクタ。
【請求項9】
前記第2の磁場が、振幅において前記第1の磁場と等しく、かつ極性において前記第1の磁場の反対である、請求項1に記載の電気コネクタ。
【請求項10】
カテーテルであって、
前記カテーテルの遠位端内に装着されている変換器と、
前記変換器と電気信号を交換するためのケーブルと、
前記ケーブルに接続されて前記電気信号を伝達する電気コネクタであって、
前記電気コネクタから延びる配線に接続され、かつ嵌合するコネクタ内の対応するコネクタ端子と相互接続されるように結合される1つ又は2つ以上のコネクタ端子と、
前記コネクタ端子に隣接して実装され、かつ前記電気コネクタ付近の第1の磁場を感知して、前記感知した磁場に基づいて、前記第1の磁場により前記配線及び前記コネクタ端子内に誘導される妨害を低減する第2の磁場を発生させるよう構成されている能動遮蔽回路と、を含む、電気コネクタと、を備え、
前記能動遮蔽回路は、前記コネクタ端子を取り囲むように構成されておらず、
前記電気コネクタは、互いに嵌合しかつ前記コネクタ端子をそれぞれ含む第1のコネクタと第2のコネクタとを含み、
前記能動遮蔽回路は、前記第1のコネクタ内に配されており、
前記第1のコネクタと前記第2のコネクタとが嵌合した際に、前記能動遮蔽回路の少なくとも一部が、互いに結合された前記第1および第2のコネクタの前記コネクタ端子と近接しかつ並行して位置付けられるように構成されている、カテーテル。
【請求項11】
コネクタを磁気妨害から保護するための方法であって、
電気コネクタを介して1つ又は2つ以上の信号を伝達することであって、前記電気コネクタが1つ又は2つ以上のコネクタ端子を含み、前記コネクタ端子が、前記電気コネクタから延びる配線に接続され、かつ嵌合するコネクタ内の対応するコネクタ端子と相互接続されるように結合される、ことと、
前記コネクタ端子に隣接して実装された能動遮蔽回路によって、前記電気コネクタ付近で第1の磁場を感知することと、
前記能動遮蔽回路によって、前記感知した磁場に基づいて、前記第1の磁場によって前記配線及び前記コネクタ端子において前記信号中に誘導される妨害を低減する第2の磁場を発生させることと、を含み、
前記能動遮蔽回路は、前記コネクタ端子を取り囲むように構成されておらず、
前記電気コネクタは、互いに嵌合しかつ前記コネクタ端子をそれぞれ含む第1のコネクタと第2のコネクタとを含み、
前記能動遮蔽回路は、前記第1のコネクタ内に配されており、
前記第1のコネクタと前記第2のコネクタとが嵌合した際に、前記能動遮蔽回路の少なくとも一部が、互いに結合された前記第1および第2のコネクタの前記コネクタ端子と近接しかつ並行して位置付けられるように構成されている、方法。
【請求項12】
前記第1の磁場を感知することが、少なくとも1つの感知コイルを使用して前記第1の磁場を測定することを含み、前記第2の磁場を発生させることが、少なくとも1つの発生器コイルを使用して前記第2の磁場を生成することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記コネクタ端子が平面内に配置され、前記感知コイル及び前記発生器コイルが前記平面と平行である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第2の磁場を発生させることが、前記コネクタ端子を含む前記平面の第1の側及び前記第1の側の反対側の第2の側にそれぞれ配置されている、第1の発生器コイル及び第2の発生器コイルを使用して前記第2の磁場を生成することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第1の磁場を感知することが、前記感知した第1の磁場を示す第1の電流を用いてオペアンプを駆動することを含み、前記第2の磁場を発生させることが、前記オペアンプにより制御される電流源により生成された第2の電流を用いて前記発生器コイルを駆動することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記感知コイル及び前記発生器コイルが、少なくとも1つのプリント基板(PCB)上に配置されている、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記第1の磁場を感知すること及び前記第2の磁場を発生させることが、前記第1の磁場の周波数帯域と合わされた回路構成を操作することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記第2の磁場が、振幅において前記第1の磁場と等しく、かつ極性において前記第1の磁場の反対である、請求項11に記載の方法。」
第3.刊行物
1.刊行物1
原査定に引用され、本願の優先日前に頒布された特開2010-17549号公報(以下「刊行物1」という。)には、「カテーテルハンドルの遮蔽」に関して、図面(特に、【図1】、【図2】、【図4】、【図7】参照。)とともに、次の事項が記載されている。 下線は当審が付した。 以下同様。
(1)「【0002】
〔発明の技術分野〕
本発明は、概して医療的な診断および治療用システムに関し、特に、このようなシステムで使用するプローブおよびセンサの、磁気干渉に対する遮蔽に関する。」
(2)【0022】
ここで図2~図4を参照すると、本発明の実施形態によるカテーテル22およびアダプタ26の細部、特にコネクタアセンブリ28が模式的に示される。図2および図3は各々、カテーテルおよびアダプタの側面図であり、図4はコネクタアセンブリの部分的な分解図である。これらの図が示すように、カテーテル22は、コネクタアセンブリ28のレセプタクル44に挿入されるコネクタ40を、近位端に備える。レセプタクルはケーブル42によってコネクタ30と接続し、コネクタ30は上述の通り、コンソール24に差し込まれる。ミューメタルシールド46は、レセプタクル44を囲んでスライドし、シェル48は、シールドを覆ってスライドし、図3に示す外観となる。シェル48は、適切な絶縁材料、典型的にはポリブチレンテレフタレート(PBT)等のプラスチックを含む。
【0023】
ミューメタルは、当業者が知る通り、ニッケルおよび鉄の合金であり、特殊な焼き戻し処理を施すことによって透磁率(u)を高めたものである。シールド46はチューブ状に形成され、継ぎ目を重ねて溶接を施してあるため、単一構造の鞘として作用し、電磁場が漏れるような不連続部分が全長にわたって存在しない。このようなミューメタル部品は、多数の供給業者、例えばニューハンプシャー州ロンドンデリーのミューシールド(MuShield)から注文入手可能である。シールド46は、チューブ内に包含される内部容積を囲んで画定するが、内部容積では外部磁場が大きく弱まるため、ワイヤおよび他の電子部品が磁気干渉から保護される。本発明者は、この保護された容積内の磁場が、容積外部の磁場強度と比べて3桁低下することを発見した。チューブ端部は開いているが、境界条件が磁場を拘束することによって、チューブ端部からコネクタ自体が位置する中心部に向かって、磁場が著しく低下する。」
(3)「【0027】
図7は、本発明の実施形態によるカテーテル22およびアダプタ26の電子部品を、模式的に示すブロック図である。この図は特に、センサ36の細部、およびコネクタアセンブリ28のシールド46が囲んで画定する遮蔽容積に包含される接続および部品の細部を示す。
【0028】
センサ36は、3つの非同心円状のコイル60を備え、これらのコイルは相互に直交する軸に沿って整合する場合もある。コイルワイヤ62は、きつく撚り合せたツイストペア線で巻かれ、カテーテル22内を延在するケーブル64によって、コネクタ40のピン66と接続する。(単純化のために、図7では1本のピンのみが各ケーブルと接続するが、実際には、ピンの対が個別に、各ケーブルのツイストペアワイヤと接続することができる。)典型的には、ツイストペアワイヤは、シールド46の遮蔽容積に包含されるコネクタ40内でのみ、撚り合せていない。ピン66は、レセプタクル44のソケット68と嵌合する。典型的には、ケーブル64はシールド70を備え、シールド70はコネクタ40の接地ピン72によって、レセプタクル44内のアース線74と接続する。
【0029】
ソケット68は、コイル60の出力部を、上述の通り基板50に搭載可能な個別の増幅器80に接続する。増幅器80は、典型的には低ノイズで歪み率の低い増幅器、例えばアリゾナ州タクソン(Tucson)のバー・ブラウン(Burr-Brown)製のINA103増幅器を備える。システム20におけるように、磁気位置検出に適用するために、高い利得(gain)、典型的には2000のレンジで得られるように、増幅器を設定および較正する。増幅器80およびその入力部に繋いだ配線も、同様にシールド46で保護される。増幅器80によって増幅された信号は、コンダクタ82を通してケーブル42へと送られ、ケーブル42は信号を、コネクタ30によってコンソール24へ伝送する。これらの増幅された信号は、コイル60が出力した信号よりはるかに強いため、磁気干渉の影響を受けにくい。また、別の構成においては、増幅器を別の個所(例えばコンソール24)に配置し、コネクタ40およびレセプタクル44のみをシールド46に包含させることができる。コンソールは、典型的には信号をフィルタリング、デジタル化、および処理することにより、カテーテル22の遠位端34の位置および方向座標を演算する。
【0030】
カテーテル22は、デジタル部品76、例えばカテーテルに関する特定および較正情報を保存するメモリ部品を備えることができる。部品76からのデジタル情報は、バス84およびケーブル42を経由して、コンソール24へ伝送される。代わりに、または加えて、コネクタアセンブリ28はデジタル部分(図示せず)を含み、デジタル部品76が保存する情報を、場合によってはこのデジタル部分が保存する他の情報と併せて受信および処理し、結果をコンソールへ送ることができる。このような構成が、上述の米国公開特許第2007/0185397号に記載されている。」
(4)上記(2)の「ミューメタルシールド46は、レセプタクル44を囲んで」との記載、【図4】、及び【図7】によれば、ミューメタルシールド46は、ソケット68を取り囲むように構成されることが分かり、また、前記ミューメタルシールド46は、前記コネクタアセンブリ28内であって、レセプタクル44の外側に配されていることが分かる。
上記記載事項、認定事項及び図面の図示内容を総合し、本願発明1の記載ぶりに則って整理すると、刊行物1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。
「コネクタアセンブリ28及びコネクタ40であって、
前記コネクタアセンブリ28及びコネクタ40から延びるケーブル42及びケーブル70に接続され、かつ嵌合するコネクタアセンブリ28内の対応するソケット68と相互接続されるように結合されるピン66と、
ミューメタルシールド46と、を含み、
前記ミューメタルシールド46は、前記ソケット68を取り囲むように構成され、
前記コネクタアセンブリ28及びコネクタ40は、互いに嵌合しかつ前記ソケット68を含むコネクタアセンブリ28とピン66を含むコネクタ40とを含み、
前記ミューメタルシールド46は、前記コネクタアセンブリ28内に配されるとともにレセプタクル44の外側に配されているコネクタアセンブリ28及びコネクタ40。」
2.刊行物2
原査定に引用され、本願の優先日前に頒布された特開2005-3503号公報(以下「刊行物2」という。)には、「誘導コイルを用いた磁気遮蔽方法」に関して、図面(特に、【図1】、【図2】、【図3】参照。)とともに、次の事項が記載されている。
(1)「【請求項1】
立方体非磁性材フレームに固定された誘導コイルと補償コイルが補償磁場を介してフィードバックループを形成する構造で、立方体非磁性材フレーム内の環境磁気ノイズを誘導コイルより検出し、補償コイルから立方体非磁性材フレームの計測空間に対して、検出した環境磁気ノイズと逆位相の磁場である補償磁場を印加する方法により、能動的に環境磁気ノイズを低減する磁気遮蔽方法。」
(2)「【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は誘導コイルを用いた磁気検出センサにより環境磁気ノイズを検出し補償コイルより補償磁場を計測空間に印加する方法で能動的に環境磁気ノイズを低減する技術に関する。」
(3)「【0026】
図1に誘導コイルを用いた磁気遮蔽システムの概念図を示す。本システムは床面に対して垂直方向の磁界のみを遮蔽するものである。図1に示すように、誘導コイル4(角型ソレノイドコイル)、補償コイル5(角型ヘルムホルツコイル)、磁界制御用コントローラ6から構成され、誘導コイル4と補償コイル5は補償磁場を介してフィードバックループを形成している。」
(4)「【0034】
次に本磁気遮蔽方法の原理について述べる。誘導コイル4が環境磁場を検出し、図3に示されるように、誘導コイル4からの電圧出力を低雑音アンプで増幅した後、積分器を通す。誘導コイル4の電圧出力は磁場の微分信号であるため積分器を通すことで磁場出力として扱うことができる。磁場変換した後の出力は補償コイル5を介して誘導コイル4にフィードバックされる。その結果、フィードバック量を計測することにより、誘導コイル4で検出される環境磁場を求めることができる。またさらに、誘導コイル4の出力をフィードバックすることで、誘導コイル4で検出される環境磁場は補償コイル5によって逆向きの磁場が加わるため、検出する環境磁場が打ち消されるという仕組みになっている。」
(5)上記(1)の「立方体非磁性材フレームに固定された誘導コイルと補償コイルが補償磁場を介してフィードバックループを形成する構造で、立方体非磁性材フレーム内の環境磁気ノイズを誘導コイルより検出し、補償コイルから立方体非磁性材フレームの計測空間に対して、検出した環境磁気ノイズと逆位相の磁場である補償磁場を印加する方法により、能動的に環境磁気ノイズを低減する磁気遮蔽方法。」との記載によれば、磁気遮蔽方法は、環境磁気ノイズを検出して、前記検出した環境磁気ノイズに基づいて、前記環境磁気ノイズと逆位相の磁場である補償磁場を発生させる能動的な磁気遮蔽方法であることが分かり、また、誘導コイルと補償コイルを有することから、この能動的な磁気遮蔽方法は電気的な回路を用いてなされることは明らかである。
上記記載事項及び認定事項を総合すると、刊行物2には、次の事項が記載されている(以下、「刊行物2に記載された事項」という。)。
「環境磁気ノイズを検出して、前記検出した環境磁気ノイズに基づいて、前記環境磁気ノイズと逆位相の磁場である補償磁場を発生させる能動的な磁気遮蔽を行う回路。」
第4.対比・判断
1.本願発明1について
本願発明1と引用発明とを対比すると、引用発明の「コネクタアセンブリ28及びコネクタ40」は本願発明1の「電気コネクタ」に相当し、以下同様に、「コネクタアセンブリ28」は「コネクタ」及び「第1のコネクタ」に、「ケーブル42」は「配線」に、「ケーブル70」は「配線」に、「対応するソケット68」は[対応するコネクタ端子」に、「ピン66」は「2つ以上のコネクタ端子」に、「コネクタ40」は「第2のコネクタ」に、それぞれ相当する。
また、引用発明の「ミューメタルシールド46」は、「磁気遮蔽のための部材」という限りにおいて、本願発明1の「能動遮蔽回路」と共通する。
したがって、両者は、
「電気コネクタであって、
前記電気コネクタから延びる配線に接続され、かつ嵌合するコネクタ内の対応するコネクタ端子と相互接続されるように結合される2つ以上のコネクタ端子と、
磁気遮蔽のための部材と、を含み、
前記電気コネクタは、互いに嵌合しかつ前記コネクタ端子をそれぞれ含む第1のコネクタと第2のコネクタとを含み、
前記磁気遮蔽のための部材は、前記第1のコネクタ内に配されている電気コネクタ。」
で一致し、次の点で相違する。
〔相違点〕
本願発明1は、「磁気遮蔽のための部材」が、「コネクタ端子に隣接して実装され、かつ前記電気コネクタ付近の第1の磁場を感知して、前記感知した磁場に基づいて、前記第1の磁場により前記配線及び前記コネクタ端子内に誘導される妨害を低減する第2の磁場を発生させるように構成されている能動遮蔽回路」であって、「能動遮蔽回路は、前記コネクタ端子を取り囲むように構成されておらず」、「前記第1のコネクタと前記第2のコネクタとが嵌合した際に、前記能動遮蔽回路の少なくとも一部が、互いに結合された前記第1および第2のコネクタの前記コネクタ端子と近接しかつ並行して位置付けられるように構成されている」のに対し、引用発明は、「磁気遮蔽のための部材」が、「ミューメタルシールド46」であって、かかる構成を有しない点。
そこで、相違点について検討する。
本願発明1と刊行物2に記載された事項とを対比すると、刊行物2に記載された事項の「環境磁気ノイズ」は本願発明1の「第1の磁場」に相当し、以下同様に、「環境磁気ノイズを検出して」は「第1の磁場を感知して」に、「能動的な磁気遮蔽を行う回路」は「能動遮蔽回路」に、それぞれ相当する。
また、刊行物2に記載された事項の「環境磁気ノイズと逆位相の磁場である補償磁場」は、逆位相の磁場である補償磁場が、環境磁気により環境内に誘導されるノイズを低減するものであるから、「第1の磁場により誘導される環境内の妨害を低減する第2の磁場」という限りにおいて、本願発明1における「第1の磁場により前記配線及び前記コネクタ端子内に誘導される妨害を低減する第2の磁場」と共通する。
したがって、刊行物2に記載された事項は、「第1の磁場を感知して、前記感知した磁場に基づいて、前記第1の磁場により誘導される環境内の妨害を低減する第2の磁場を発生させる能動遮蔽回路」であるといえる。
しかしながら、刊行物2に記載された事項は、相違点に係る本願発明1の「能動遮蔽回路は、前記コネクタ端子を取り囲むように構成されておらず」および「前記第1のコネクタと前記第2のコネクタとが嵌合した際に、前記能動遮蔽回路の少なくとも一部が、互いに結合された前記第1および第2のコネクタの前記コネクタ端子と近接しかつ並行して位置付けられるように構成されている」との発明特定事項を少なくとも備えていない。
また、引用発明に刊行物2に記載された事項を適用して、相違点に係る本願発明1の前記発明特定事項を当業者が容易に想到し得たとはいえない。
したがって、本願発明1は、引用発明及び刊行物2に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
2.本願発明2ないし9について
本願発明2ないし9は、本願発明1をさらに限定したものであるので、本願発明1と同じ理由により、引用発明及び刊行物2に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
3.本願発明10について
本願発明10は、カテーテルに係る発明であるが、「コネクタ端子に隣接して実装され、かつ前記電気コネクタ付近の第1の磁場を感知して、前記感知した磁場に基づいて、前記第1の磁場により前記配線及び前記コネクタ端子内に誘導される妨害を低減する第2の磁場を発生させるように構成されている能動遮蔽回路」を有し、「能動遮蔽回路は、前記コネクタ端子を取り囲むように構成されておらず」、「前記第1のコネクタと前記第2のコネクタとが嵌合した際に、前記能動遮蔽回路の少なくとも一部が、互いに結合された前記第1および第2のコネクタの前記コネクタ端子と近接しかつ並行して位置付けられるように構成されている」ものであって、相違点に係る本願発明1の発明特定事項を実質的に備えているから、本願発明1と同じ理由により、引用発明及び刊行物2に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
4.本願発明11について
本願発明11は、コネクタを磁気妨害から保護するための方法に係る発明であるが、「能動遮蔽回路」が、「コネクタ端子に隣接して実装され」、「前記電気コネクタ付近の第1の磁場を感知」し、「前記感知した磁場に基づいて、前記第1の磁場によって前記配線及び前記コネクタ端子において前記信号中に誘導される妨害を低減する第2の磁場を発生させる」ものであって、「能動遮蔽回路は、前記コネクタ端子を取り囲むように構成されておらず」、「前記第1のコネクタと前記第2のコネクタとが嵌合した際に、前記能動遮蔽回路の少なくとも一部が、互いに結合された前記第1および第2のコネクタの前記コネクタ端子と近接しかつ並行して位置付けられるように構成されている」ものであって、相違点に係る本願発明1の発明特定事項を実質的に備えているから、本願発明1と同じ理由により、引用発明及び刊行物2に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
5.本願発明12ないし18について
本願発明12ないし18は、本願発明11をさらに限定したものであるので、本願発明11と同じ理由により、引用発明及び刊行物2に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
第5.原査定の概要及び原査定についての判断
原査定は、平成28年2月19日の手続補正により補正された請求項1ないし18について上記刊行物1及び刊行物2に基いて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないというものである。
しかしながら、平成29年6月6日の手続補正により補正された請求項1、10及び11は、「前記電気コネクタは、互いに嵌合しかつ前記コネクタ端子をそれぞれ含む第1のコネクタと第2のコネクタとを含み、前記能動遮蔽回路は、前記第1のコネクタ内に配されており、前記第1のコネクタと前記第2のコネクタとが嵌合した際に、前記能動遮蔽回路の少なくとも一部が、互いに結合された前記第1および第2のコネクタの前記コネクタ端子と近接しかつ並行して位置付けられるように構成されている」との事項を備えるものとなっており、上記のとおり、本願発明1ないし18は、引用発明及び刊行物2に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
したがって、原査定を維持することはできない。
第6.当審拒絶理由について
当審では、特許請求の範囲の記載が以下の点で不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないとの拒絶の理由を通知している。
(1)請求項10は文頭に「カテーテルであって、」と記載され、文末に「電気コネクタ。」と記載されているため、発明の対象が何であるかが明確でない。
これに対して、平成29年6月6日の手続補正により、請求項10の文末の「電気コネクタ。」は「カテーテル。」と補正された結果、この拒絶の理由は解消した。
(2)請求項11は文頭に「方法であって、」と記載され、文末に「方法。」と記載されているが、いずれも「方法」とのみ記載されているため、発明の対象が何の方法であるかが明確でない。
同様の理由で、請求項11を直接的または間接的に引用する請求項12ないし18の記載も明確でない。
これに対して、平成29年6月6日の手続補正により、請求項11の文頭の「方法であって、」は「コネクタを磁気妨害から保護するための方法であって、」と補正された結果、この拒絶の理由は解消した。
第7.むすび
以上のとおり、本願発明1ないし18は、いずれも、引用発明及び刊行物2に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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2016-013702