特許拒絶査定不服審判
2016-013675
遊技機
- 審判番号
- 2016-013675
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2015-073838外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2016年09月12日
- 審決日
- 2017年05月15日
- 公報発行日
- 2017年08月25日
- 結論
- 請求不成立
- 分類
- P18 .113-Z (A63F) / P18 .121-Z (A63F) / P18 .575-Z (A63F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条1項3号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第6項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第29条第2項、特許法第29条第1項第3号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2015- 73838「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成28年11月17日出願公開、特開2016-193007〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、平成27年3月31日の出願であって、平成28年2月18日付けで拒絶理由通知がなされ、平成28年4月12日付けで手続補正がなされたが、平成28年6月13日付けで拒絶査定がなされ、これに対し平成28年9月12日付けで拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに、これと同時に手続補正(以下、「本件補正」という。)がなされたものである。
第2 本件補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
本件補正を却下する。
[理由]
1.本件補正の概要
本件補正は特許請求の範囲の請求項1の記載を含む補正であり、平成28年4月12日付けの手続補正と本件補正の特許請求の範囲の請求項1の記載はそれぞれ、以下のとおりである(下線部は、補正箇所を示す。)。
(補正前:平成28年4月12日付け手続補正)
「【請求項1】
原点位置と進出位置との間を変位可能な可動体と、
前記可動体を制御可能な制御手段と、
前記可動体と前記制御手段を電気的に接続して前記制御手段からの制御信号を少なくとも送信可能な電線と、
前記電線の所定区間をカバーするカバー体と、
を備えた遊技機であって、
前記可動体が変位する際、前記可動体側へ配線される電線を誘導する誘導部と、
該誘導部に設けられた周壁から成り、前記可動体が変位する際、前記電線を所定領域において内在させて保護する保護部と、
を有し、前記可動体の変位に伴って前記電線が予め定められた軌道上を移動すること
を特徴とする遊技機。」
(補正後:本件補正である平成28年9月12日付け手続補正)
「【請求項1】
原点位置と進出位置との間を変位可能な可動体と、
前記可動体を制御可能な制御手段と、
前記可動体と前記制御手段を電気的に接続して前記制御手段からの制御信号を少なくとも送信可能な電線と、
前記電線の所定区間をカバーするカバー体と、
を備えた遊技機であって、
前記可動体が変位する際、前記可動体側へ配線される電線を円弧状の外周壁に沿わせて方向転換させて誘導可能な誘導部と、
該誘導部に設けられた周壁から成り、前記可動体が変位する際、前記電線を所定領域において内在させて保護する保護部と、
を有し、前記可動体の変位に伴って前記電線が予め定められた軌道上を移動すること
を特徴とする遊技機。」
2.補正の適否
本件補正は、補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「誘導部」について、「誘導する」という記載を「円弧状の外周壁に沿わせて方向転換させて誘導可能な」と限定を付加する補正を行うものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そして、本件補正は新規事項を追加するものではない。
3.独立特許要件
そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か、すなわち、特許法第17条の2第6項において準用する同様第126条第7項の規定に適合するか否か、について以下に検討する。
(1)本件補正後の請求項1に係る発明
補正の請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)は、上記1.の本件補正の概要において示した次のとおりのものである(A~Hは本願補正発明を分説するため当審で付与した。)。
「A 原点位置と進出位置との間を変位可能な可動体と、
B 前記可動体を制御可能な制御手段と、
C 前記可動体と前記制御手段を電気的に接続して前記制御手段からの制御信号を少なくとも送信可能な電線と、
D 前記電線の所定区間をカバーするカバー体と、
E を備えた遊技機であって、
F 前記可動体が変位する際、前記可動体側へ配線される電線を円弧状の外周壁に沿わせて方向転換させて誘導可能な誘導部と、
G 該誘導部に設けられた周壁から成り、前記可動体が変位する際、前記電線を所定領域において内在させて保護する保護部と、
H を有し、前記可動体の変位に伴って前記電線が予め定められた軌道上を移動すること
を特徴とする遊技機。」
(2)引用文献に記載された事項
原査定の拒絶の理由に引用された特開2014-110991号公報(以下、「引用文献1」という。)には、次の事項が記載されている(下線は当審で付した。)。
(ア) 「【0158】
(第2演出装置)
次に、本実施例のパチンコ遊技機1に設けられた第2演出装置600の構造について、図15~図25にもとづいて説明する。・・・」
(イ) 「【0160】
図15~図18に示すように、第2演出装置600の本体は、合成樹脂材により板状に形成されたベース部材601と、該ベース部材601の前面側に組み付けられるカバー部材602と、により箱状に形成されるケース体603にて構成されており、ケース体603の上面には、カバー部材602の上面に形成された切欠部により開口604が形成されている。また、ケース体603内部には後述する可動部としての役物605が設けられており、該役物605は、開口604を介して、ケース体603内部に収納される収納位置とケース体603の上方に突出した突出位置との間で昇降可能に設けられている。」
【0161】
尚、本実施例における役物605は、特に詳細な図示はしないが、例えばロボット等の胴体部を模した第1可動部605aと、第1可動部605aに軸支され脚部を模した第2可動部605b,605cと、から構成されているが、このように複数の可動部にて構成されていなくてもよいし、形態等も種々に変更可能である。
【0162】
また、第1可動部605aには、電気部品の一例である役物LED606が複数配設されたLED基板607(図17参照)が設けられている。LED基板607は、前述した演出制御基板80に配線接続されており、演出制御基板80から役物LED606に対し電力供給や制御信号の出力が行われる。・・・」
(ウ) 「【0179】
図22(b)に示すように、このようにベース部材601に対し昇降可能に設けられた第2昇降板630には、役物LED606が設けられたLED基板607が取り付けられている。LED基板607は、ケース体603を設置する設置部(図示略)所定箇所に設けられた中継基板635を介して演出制御基板80に配線接続されており、演出制御基板80から電力が供給されるとともに、演出制御用マイクロコンピュータにより発光制御されるようになっている。
【0180】
図22(b)に示すように、LED基板607と演出制御基板80とを電気的に接続する配線のうち、中継基板635とLED基板607との間は、可撓性を有する線状のケーブルCにて接続されている。詳しくは、ケーブルCは、一端に設けられた配線側コネクタCNH1を介してLED基板607に設けられた基板側コネクタCNK1に接続されているとともに、他端に設けられた配線側コネクタCNH2を介して中継基板635に設けられた基板側コネクタCNK2に接続されている。」
(エ) 「【0188】
従って、ケーブルCは、少なくとも基板側コネクタCNK2と基板側コネクタCNK1との離間距離が最長となる位置において必要な長さ寸法が確保されているため、役物605が収納位置に近づくにつれて余ってしまうが、屈曲部に設けられた結束バンド647aにケーブルCの所定箇所が係止されていることで、図22(b)に示すように、役物605が突出位置からが収納位置に近づくにつれて、図23(b)及び図24(b)に示すように、第1リンク641と第2リンク642とが伸長状態から屈曲状態に変位することで、結束バンド647aに係止された箇所が、第2昇降板630の移動領域から離れる方向、つまり上下方向の移動領域に対し交差する方向である右側方に移動される。
【0189】
よって、余ったケーブルCが下端の連結軸645と第2昇降板630との間に挟まったり、伸縮の繰り返しによりケーブルCが意図しない方向に屈曲したり捩れたりすることが防止される。
・・・
【0191】
尚、本実施例では、ケーブルCを第1,2リンク641,642に沿って配線するために結束バンドが用いられていたが、例えば図21(c)に示すように、第1,2リンク641,642を中空状の管体にて構成し、挿通孔648a~648cを介してケーブルCを内部に挿通することにより、第1,2リンク641,642に沿って配線できるようにしてもよい。この場合、挿通孔648bが移動係止部に対応する。」
上記記載事項(ア)~(エ)から、以下の事項が導かれる。
(オ) 上記(イ)の【0161】には、「役物605は、特に詳細な図示はしないが、例えばロボット等の胴体部を模した第1可動部605aと、第1可動部605aに軸支され脚部を模した第2可動部605b,605cと、から構成されている」と記載されているから、役物605は第1可動部605aから構成されていることが記載されているといえる。
また、同【0162】には、「第1可動部605aには、電気部品の一例である役物LED606が複数配設されたLED基板607(図17参照)が設けられている。LED基板607は、前述した演出制御基板80に配線接続されており、演出制御基板80から役物LED606に対し電力供給や制御信号の出力が行われる」と記載されているから、第1可動部605aには役物LED606が複数配設されたLED基板607が設けられ、役物LED606に対して制御信号を出力する演出制御基板80が記載されているといえる。
そうすると、役物605には役物LED606が設けられていることが記載されているといえる。
したがって、役物605の役物LED606に対して制御信号を出力する演出制御基板80が記載されているといえる。
(カ) 上記(エ)の【0188】には、「屈曲部に設けられた結束バンド647aにケーブルCの所定箇所が係止されていることで、図22(b)に示すように、役物605が突出位置からが収納位置に近づくにつれて、図23(b)及び図24(b)に示すように、第1リンク641と第2リンク642とが伸長状態から屈曲状態に変位することで、結束バンド647aに係止された箇所が、第2昇降板630の移動領域から離れる方向、つまり上下方向の移動領域に対し交差する方向である右側方に移動される」と記載されているから、役物605が突出位置から収納位置に近づくにつれて、第1リンク641と第2リンク642とが変位することにより、ケーブルCの結束バンド647aに係止された箇所が移動することが記載されているといえる。
また、上記(ウ)の【0180】には、「LED基板607と演出制御基板80とを電気的に接続する配線のうち、中継基板635とLED基板607との間は、可撓性を有する線状のケーブルCにて接続されている。」と記載されているから、ケーブルCはLED基板607と演出制御基板80とを電気的に接続する配線のうち、中継基板635とLED基板607との間にあるといえる。
したがって、役物605が突出位置から収納位置に近づくにつれて、LED基板607と演出制御基板80とを電気的に接続する配線のうち、中継基板635とLED基板607との間のケーブルCを移動させる第1リンク641と第2リンク642が記載されているといえる。
(キ) 上記(エ)の【0191】には、「第1,2リンク641,642を中空状の管体にて構成し、挿通孔648a~648cを介してケーブルCを内部に挿通することにより、第1,2リンク641,642に沿って配線できるようにしてもよい。」と記載されているから、第1リンク641と第2リンク642とを中空状の管体にて構成し、ケーブルCを内部に挿通する中空状の管体が記載されているといえる。
また、同【0191】には、「この場合、挿通孔648bが移動係止部に対応する。」と記載され、同【0188】には、「屈曲部に設けられた結束バンド647aにケーブルCの所定箇所が係止されていることで、図22(b)に示すように、役物605が突出位置からが収納位置に近づくにつれて、図23(b)及び図24(b)に示すように、第1リンク641と第2リンク642とが伸長状態から屈曲状態に変位することで、結束バンド647aに係止された箇所が、第2昇降板630の移動領域から離れる方向、つまり上下方向の移動領域に対し交差する方向である右側方に移動される」と記載されていることから、第1リンク641と第2リンク642とを中空状の管体にて構成した場合でも、役物605が突出位置から収納位置に近づく際、ケーブルCを中空状の管体の内部に挿通していることは明らかである。
したがって、第1リンク641と第2リンク642とを中空状の管体にて構成し、役物605が突出位置から収納位置に近づく際、ケーブルCを内部に挿通する中空状の管体が記載されているといえる。
なお、上記(エ)の【0191】には、「例えば図21(c)に示すように、第1,2リンク641,642を中空状の管体にて構成し、挿通孔648a~648cを介してケーブルCを内部に挿通することにより、・・・」と記載されているものの、「第1,2リンク641,642を中空状の管体にて構成し、挿通孔648a~648cを介してケーブルCを内部に挿通すること」は、図21(c)には記載がなく、図21(d)にしか記載がないことから、上記「例えば図21(c)に示すように、・・・」は「例えば図21(d)に示すように、・・・」の誤記であることは明らかである。
以上(ア)~(エ)の記載事項及び(オ)~(キ)の認定事項を総合すれば、引用文献1には、次の発明が記載されている(以下、「引用発明」という。a~hは引用発明を分説するため当審で付した。)。
「a ケース体603内部に収納される収納位置とケース体603の上方に突出した突出位置との間で昇降可能に設けられている役物605と、(【0160】)
b 役物605の役物LED606に対して制御信号を出力する演出制御基板80と、(認定事項(オ))
c LED基板607と演出制御基板80とを電気的に接続して演出制御基板80からの制御信号を出力する配線と、(【0162】、【0180】)
d 中空状の管体にて構成し、ケーブルCを内部に挿通する第1リンク641と2リンク642と、(【0191】)
e を備えたパチンコ遊技機1であって、(【0158】)
f 役物605が突出位置から収納位置に近づくにつれて、LED基板607と演出制御基板80とを電気的に接続する配線のうち、中継基板635とLED基板607との間のケーブルCを移動させる第1リンク641と第2リンク642と、(認定事項(カ))、
g 第1リンク641と第2リンク642とを中空状の管体にて構成し、役物605が突出位置から収納位置に近づく際、ケーブルCを内部に挿通する中空状の管体と(認定事項(キ))
h を有し、役物605が突出位置から収納位置に近づくにつれて、ケーブルCは上下方向の移動領域に対し交差する方向である右側方に移動される(【0188】)
パチンコ遊技機1。(段落【0158】)」
(3) 対比
本願補正発明と引用発明とを対比する。対比の見出しとしての(a)~(h)は引用発明の分説構成と対応させた。
(a) 引用発明における「収納位置」、「突出位置」は、それぞれ、本願補正発明における「原点位置」、「進出位置」に相当する。
また、引用発明における「昇降可能に設けられている役物605」とは、変位することが可能である役物605といえるため、本願補正発明の「変位可能な可動体」に相当する。
したがって、引用発明の「ケース体603内部に収納される収納位置とケース体603の上方に突出した突出位置との間で昇降可能に設けられている役物605」は、本願補正発明の「原点位置と進出位置との間を変位可能な可動体」に相当する。
(b) 引用発明における「役物605の役物LED606に対して制御信号を出力する演出制御基板80」は、演出制御基板80が役物605の役物LED606を制御することが可能であることは明らかであるため、本願補正発明の「前記可動体を制御可能な制御手段」に相当する。
(c) 引用発明における「LED基板607」も「役物605」に設けられた構成であることから、引用発明の「LED基板607と演出制御基板80とを電気的に接続して演出制御基板80からの制御信号を出力する配線」は、本願補正発明の「前記可動体と前記制御手段を電気的に接続して前記制御手段からの制御信号を少なくとも送信可能な電線」に相当する。
(d) 引用発明における「中空状の管体にて構成し、ケーブルCを内部に挿通する」ことは、ケーブルCの所定区間を中空状の管体でカバーすることといえるため、本願補正発明の「前記電線の所定区間をカバーする」ことに相当する。
したがって、引用発明の「中空状の管体にて構成し、ケーブルCを内部に挿通する第1リンク641と2リンク642」は、本願補正発明の「前記電線の所定区間をカバーするカバー体」に相当する。
(e) 引用発明の「パチンコ遊技機1」は、本願補正発明の「遊技機」に相当する。
(f) 引用発明の「役物605が突出位置から収納位置に近づく」ことは、役物605が突出位置から収納位置に近づくことにより、役物605が突出位置から収納位置へと変位することといえるため、本願補正発明の「可動体が変位する」ことに相当する。
また、引用発明の「ケーブルC」は、LED基板607と演出制御基板80とを電気的に接続する配線のうち役物605側となる、中継基板635とLED基板607との間に接続されている配線であることから、本願補正発明の「可動体側へ配線される電線」に相当する。
そして、引用発明の「ケーブルCを移動させる第1リンク641と第2リンク642」は、第1リンク641と第2リンク642とがケーブルCを移動させるため該ケーブルCを誘導しているといえるため、本願補正発明の「電線を誘導可能な誘導部」に相当する。
したがって、引用発明の「役物605が突出位置から収納位置に近づくにつれて、ケーブルCを移動させる第1リンク641と第2リンク642」は、本願補正発明の「前記可動体が変位する際、前記可動体側へ配線される電線を誘導可能な誘導部」に相当する。
(g) 引用発明の「中空状の管体」の「ケーブルCを内部に挿通して」いる領域は、本願補正発明の「所定領域」に相当する。
また、引用発明の「中空状の管体」は、ケーブルCを内部に挿通しているから、ケーブルCを内在させて保護していることは明らかである。
そうすると、引用発明の「ケーブルCを内部に挿通する中空状の管体」は、本願補正発明の「電線を所定領域において内在させて保護する保護部」に相当する。
そして、引用発明の「中空状の管体」は、内部のケーブルCの周りを囲う壁であるといえるため、本願補正発明における「周壁」に相当する。
したがって、上記(f)を考慮すると、引用発明の「第1リンク641と2リンク642とを中空状の管体にて構成し、役物605が突出位置から収納位置に近づく際、ケーブルCを内部に挿通する中空状の管体」は、本願補正発明の「該誘導部に設けられた周壁から成り、前記可動体が変位する際、前記電線を所定領域において内在させて保護する保護部」に相当する。
(h) 引用発明の「ケーブルCは上下方向の移動領域に対し交差する方向である右側方に移動される」ことは、ケーブルCを内部に挿通する第1リンク641と第2リンク642との移動の仕方が決まっているから、ケーブルCが予め定められた軌道上を移動することといえるため、本願補正発明の「電線が予め定められた軌道上を移動すること」に相当する。
したがって、上記(f)を考慮すると、引用発明の「役物605が突出位置から収納位置に近づくにつれて、ケーブルCは上下方向の移動領域に対し交差する方向である右側方に移動される」ことは、本願補正発明の「前記可動体の変位に伴って前記電線が予め定められた軌道上を移動すること」に相当する。
以上(a)~(h)の検討より、本願補正発明と引用発明とは、
「A 原点位置と進出位置との間を変位可能な可動体と、
B 前記可動体を制御可能な制御手段と、
C 前記可動体と前記制御手段を電気的に接続して前記制御手段からの制御信号を少なくとも送信可能な電線と、
D 前記電線の所定区間をカバーするカバー体と、
E を備えた遊技機であって、
F’ 前記可動体が変位する際、前記可動体側へ配線される電線を誘導可能な誘導部と、
G 該誘導部に設けられた周壁から成り、前記可動体が変位する際、前記電線を所定領域において内在させて保護する保護部と、
H を有し、前記可動体の変位に伴って前記電線が予め定められた軌道上を移動する
遊技機。」
の点で一致し、以下の点で相違する。
[相違点]
「可動体が変位する際、可動体側へ配線される電線を」「誘導可能な誘導部」について、本願補正発明は、「電線を円弧状の外周壁に沿わせて方向転換させて」いるのに対して、引用発明は、そのような特定がなされていない点。
(4) 判断
上記[相違点]について検討する。
複数の連結した回動するアームの内部に電線を収容する構造として、アーム間で電線を方向転換するために、回動する部分の内部で該電線を円弧状の外周壁に沿わせている構造は、実願昭56-058779号(実開昭57-171211号)のマイクロフィルム(アームa1内の電線10は、中空ボス1及び2内の中空部において中心ボルト8の周囲に巻き付けられて、1乃至複数条のらせん状電線部10’が形成されてアームa2内に導入される点が記載されている。第5頁第5-8行目、第1、3図参照。)、実願昭61-114664号(実開昭63-020310号)のマイクロフィルム(コード80は、アーム74内を通って中心軸88に1回以上コイル状に巻いてアーム内78内に挿通してある点が記載されている。第2頁第15-17行目、第5図参照。)に記載されているように、本願の出願前に周知の技術(以下「周知技術」という。)である。
また、引用発明の配線処理装置640も、第1リンクと第2リンクとの内部にケーブルCを収容する構造であって、ケーブルCを第1リンクと第2リンクとの間で方向転換している構造である。
そして、引用発明と上記周知技術とは、複数の連結した部分の内部に電線を収容する点で共通し、電線を方向転換する部分でも保護することは当業者にとって当然の課題でもある。
したがって、引用発明に上記周知技術を適用して、上記相違点に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たものである。
そして、本願補正発明の作用効果も、引用発明及び上記周知技術から当業者が予測できる範囲のものである。
したがって、本願補正発明は、引用発明及び上記周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
4.むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
第3 本願発明
本願補正発明は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という)は、平成28年4月12日付けの手続補正書により補正された、上記「第2 1.」で前述した特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものである。
1.引用文献1
原査定の拒絶理由に引用された引用文献1の記載事項は、上記「第2 3.(2)」に記載したとおりである。
2.対比・判断
本願発明は、本願補正発明の発明を特定するために必要な事項である「誘導部」について、上記「第2 1.」の下線部の「円弧状の外周壁に沿わせて方向転換させて誘導可能な」と限定する補正をした記載を省き、「誘導する誘導部」としたものである。
そうすると、本願発明は、本願補正発明に対し、実質的に上記「第2 3.(3)」の[相違点]の構成を削除したものであり、本願発明と引用発明との相違点はない。
したがって、本願発明は、引用発明と同一であり、引用文献1に記載された発明であるということができる。
3.むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
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2016-013675