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特許拒絶査定不服審判

2016-013362

半導体発光素子

審判番号
2016-013362
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2012-131673外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2016年09月07日
審決日
2017年11月20日
公報発行日
2018年02月23日
結論
請求不成立
審判長/審判官
分類
P18 .121-Z (H01L)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第3項、特許法第17条の2第6項、特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2012-131673「半導体発光素子」拒絶査定不服審判事件〔平成25年12月26日出願公開、特開2013-258174〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 本願は,平成24年6月11日の出願であって,平成28年2月16日付けで拒絶理由が通知され,同年4月12日に手続補正がされ,同年6月1日付けで拒絶査定がされ,これに対して,同年9月7日に審判請求がされるとともに同時に手続補正がされたものである。 第2 補正の却下の決定 平成28年9月7日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 本件補正の内容 本件補正は,特許請求の範囲を補正するものであり,本件補正の前後で特許請求の範囲の請求項1は以下のとおりである。 〈補正前〉 「【請求項1】 第1半導体層,活性層及び第2半導体層がこの順で積層されてなる複数の発光素子部と, 該複数の発光素子部間を接続する接続部と, 外部と接続するための一対の第1電極及び第2電極とを備える半導体発光素子であって, 前記第1電極は,少なくとも1つの発光素子部において,前記第1半導体層と電気的に接続され,かつ絶縁膜を介して前記第2半導体層上に配置され, 前記第2電極は,少なくとも1つの発光素子部において,前記第2半導体層と電気的に接続され,かつ前記第2半導体層上にのみ配置され, 前記複数の発光素子部は,互いに同一の活性層の面積を有しており, 前記第1半導体層に電気的に接続され,延長する第1配線電極と, 前記第2半導体層に電気的に接続され,延長する第2配線電極とを備え, 少なくとも1つの前記接続部は,1つの前記発光素子部の第1配線電極又は第2配線電極と,他の1つの前記発光素子部の第1配線電極又は第2配線電極とを接続し,前記第1配線電極又は第2配線電極の延長方向に略垂直に延長する部位を備えることを特徴とする半導体発光素子。」 〈補正後〉 「【請求項1】 第1半導体層,活性層及び第2半導体層がこの順で積層されてなる複数の発光素子部と, 該複数の発光素子部間を接続する接続部と, 外部と接続するための一対の第1電極及び第2電極とを備える半導体発光素子であって, 前記第1電極は,少なくとも1つの発光素子部において,前記第1半導体層と電気的に接続され,かつ絶縁膜を介して前記第2半導体層上に配置され, 前記第2電極は,少なくとも1つの発光素子部において,前記第2半導体層と電気的に接続され,かつ前記第2半導体層上にのみ配置され, 前記複数の発光素子部は,互いに同一の活性層の面積を有しており, 前記第1半導体層に電気的に接続され,一方向の長さがこれに直交する他方向の長さよりも長い形状で延長する第1配線電極と, 前記第2半導体層に電気的に接続され,一方向の長さがこれに直交する他方向の長さよりも長い形状で延長する第2配線電極とを備え, 少なくとも1つの前記接続部は,1つの前記発光素子部の第1配線電極又は第2配線電極と,他の1つの前記発光素子部の第1配線電極又は第2配線電極とを接続し,前記第1配線電極又は第2配線電極の長い形状で延長する延長方向に略垂直に延長することを特徴とする半導体発光素子。」 2 補正事項の整理 本件補正の,請求項1についての補正事項は以下のとおりである。 〈補正事項1〉 補正前の請求項1の「前記第1半導体層に電気的に接続され,延長する第1配線電極」を,補正後の請求項1の「前記第1半導体層に電気的に接続され,一方向の長さがこれに直交する他方向の長さよりも長い形状で延長する第1配線電極」と補正する。 〈補正事項2〉 補正前の請求項1の「前記第2半導体層に電気的に接続され,延長する第2配線電極」を,補正後の請求項1の「前記第2半導体層に電気的に接続され,一方向の長さがこれに直交する他方向の長さよりも長い形状で延長する第2配線電極」と補正する。 〈補正事項3〉 補正前の請求項1の「少なくとも1つの前記接続部は,1つの前記発光素子部の第1配線電極又は第2配線電極と,他の1つの前記発光素子部の第1配線電極又は第2配線電極とを接続し,前記第1配線電極又は第2配線電極の延長方向に略垂直に延長する部位を備えること」を,補正後の請求項1の「少なくとも1つの前記接続部は,1つの前記発光素子部の第1配線電極又は第2配線電極と,他の1つの前記発光素子部の第1配線電極又は第2配線電極とを接続し,前記第1配線電極又は第2配線電極の長い形状で延長する延長方向に略垂直に延長すること」と補正する。 3 補正の目的の適否及び新規事項の追加の有無についての検討 (1)補正事項1について 補正事項1は,補正前の請求項1の発明特定事項である「延長する第1配線電極」について,「一方向の長さがこれに直交する他方向の長さよりも長い形状で延長する」として,その延長の形状について技術的に限定するものである。よって,補正事項1は,特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 また,「一方向の長さがこれに直交する他方向の長さよりも長い形状で延長する第1配線電極」は,本願の願書に最初に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面(以下「当初明細書等」という。)の段落【0021】,並びに図2A等に記載されている。よって,補正事項1は,特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たすものである。 (2)補正事項2について 補正事項2は,補正前の請求項1の発明特定事項である「延長する第2配線電極」について,前記補正事項1と同様な技術的限定を行うものであり,当該事項は当初明細書等の段落【0021】並びに図2A等に記載されている。 よって補正事項2は,特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり,また,特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たすものである。 (3)補正事項3について 補正事項3は,補正前の請求項1の発明特定事項である「接続部」が「延長」することについて,上記補正事項1及び2により,「第1配線電極」及び「第2配線電極」の形状が特定されたことに伴い,「前記第1配線電極又は第2配線電極の長い形状で延長する延長方向に略垂直に延長する」として技術的に限定するものである。また,同「接続部」が補正前の請求項1の「延長する部位を備えること」を,補正後の請求項1の「延長すること」とすることは,補正前においては「接続部」が延長する「部位」を備えていたもの,すなわち部分的に延長することを包含していたものが,補正後においては「接続部」が全体として延長するものに限られるものとなったので,当該点についても,技術的に限定するものといえる。 よって,補正事項3は,特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 また,「少なくとも1つの前記接続部は,1つの前記発光素子部の第1配線電極又は第2配線電極と,他の1つの前記発光素子部の第1配線電極又は第2配線電極とを接続し,前記第1配線電極又は第2配線電極の長い形状で延長する延長方向に略垂直に延長すること」は,当初明細書等の,例えば段落【0047】,並びに図4等に記載されている。よって,補正事項3は,特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たすものである。 上記のとおり,本件補正は,特許請求の範囲の減縮を目的とするであるから,以下においては,本件補正後の特許請求の範囲に記載された発明が,特許出願の際独立して特許を受けることができるものか(特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項に規定する独立特許要件を満たすか)どうかについて検討する。 4 独立特許要件についての検討 (1)本願補正発明 本件補正後の請求項1に係る発明は,本件補正により補正された明細書,特許請求の範囲及び図面の記載から見て,その請求項1に記載された事項により特定される以下のとおりのものである(再掲。以下「本願補正発明」という。)。 「【請求項1】 第1半導体層,活性層及び第2半導体層がこの順で積層されてなる複数の発光素子部と, 該複数の発光素子部間を接続する接続部と, 外部と接続するための一対の第1電極及び第2電極とを備える半導体発光素子であって, 前記第1電極は,少なくとも1つの発光素子部において,前記第1半導体層と電気的に接続され,かつ絶縁膜を介して前記第2半導体層上に配置され, 前記第2電極は,少なくとも1つの発光素子部において,前記第2半導体層と電気的に接続され,かつ前記第2半導体層上にのみ配置され, 前記複数の発光素子部は,互いに同一の活性層の面積を有しており, 前記第1半導体層に電気的に接続され,一方向の長さがこれに直交する他方向の長さよりも長い形状で延長する第1配線電極と, 前記第2半導体層に電気的に接続され,一方向の長さがこれに直交する他方向の長さよりも長い形状で延長する第2配線電極とを備え, 少なくとも1つの前記接続部は,1つの前記発光素子部の第1配線電極又は第2配線電極と,他の1つの前記発光素子部の第1配線電極又は第2配線電極とを接続し,前記第1配線電極又は第2配線電極の長い形状で延長する延長方向に略垂直に延長することを特徴とする半導体発光素子。」 (2)刊行物等に記載された発明 ア 引用例1: 特開2003-110148号公報 (ア)原査定の拒絶の理由に引用され,本願の出願の日前に日本国内において頒布された刊行物である,特開2003-110148号公報(以下「引用例1」という。)には,図2及び図3とともに,以下の記載がある。(下線は当審において付加。以下同様。) a「【0013】そこで本発明は,発光素子の放熱性を高めた,寿命や一定の発光出力を保ち続けるなどの発光能力に優れた半導体発光装置を提供することを目的とし,さらには,大面積でかつ放熱効率の良い集積型の半導体発光装置を提供することを目的とする。」 b「【0020】 【発明の実施の形態】実施の形態1.本発明に係わる実施形態の半導体発光装置は,透光性を有する基板を介して発光した光を出力するいわゆる基板側発光タイプの半導体素子であって,例えば,図1に示すように,サファイアからなる基板上に,n型窒化物半導体層,窒化物半導体活性層,p型窒化物半導体層が積層され,p側,n側オーミック電極が各層上に形成され,p側のオーミック電極の一部にp側パッド電極が形成されている半導体素子において,これらn側オーミック電極およびp側パッド電極上に,金属からなる第1のバンプが設けられ,さらに第1のバンプと同様の金属材料からなる第2のバンプが設けられており,実装基体にマウントされているものである。」 c「【0031】尚,本実施の形態は複数個の半導体素子を並べ,大面積の発光素子とした場合にも適用される。 【0032】これらの条件を満たすことにより,例えば大面積の発光素子にみられるように,電極上のバンプから距離が長く放熱が十分に行われない等の問題を有する半導体素子における放熱性を高め,活性層から生じた熱が堆積されずに放熱されることにより,半導体発光装置の劣化を抑制することができる。実施の形態2本実施の形態2の窒化物半導体発光装置は,例えば図2に示すような1000μm×1000μmのサファイア基板上に長方形の3つの半導体素子1,2,3を互いに平行に配置しかつ,放熱性を高めるために複数のバンプを,各素子を接続している接続電極上に設け,実装基体24との接触面積を大きくさせることにより,工程上容易に且つ均等な放熱が可能となることから,電極からの距離が比較的遠く熱の放散が不十分である部分での発光素子の温度上昇を抑え,その結果として,長寿命で,長時間でも安定した均一な発光能力を持つ半導体発光装置を実現できる。」 d「【0037】本実施の形態2の好ましい形態を,以下に挙げる。図3は本実施の形態における半導体発光装置を断面から見たときの模式断面図である。 【0038】サファイア基板上にn型窒化物半導体層12,窒化物半導体活性層10,およびp型窒化物半導体層13が順次積層され,形成された複数個の窒化物半導体発光素子において,隣りあった2つの半導体素子を接続電極により電気的に接続し,大面積の発光素子とした場合,n側オーミック電極14上およびp側パッド電極16上に形成された外部接続電極22(図中においてn側を22a,p側を22bとする)に金属材料からなる第1のバンプ31を設け,さらに,各素子を電気的に接続している接続電極上21に,第1のバンプ31と同様の金属材料からなる第2のバンプ32を設ける。」 e「【0067】 【実施例2】次に,3つの半導体素子を並べ大面積とした形態を例として,実施の形態2の実施例を以下に示す。 【0068】サファイア基板上にn型窒化物半導体層,窒化物半導体活性層,p型窒化物半導体層を,実施例1と同様の方法で積層する。 【0069】次に窒化物半導体を成長させたウエハを反応容器から取り出し,分離溝を形成する部分を除きウエハ全体にSiO2マスクを形成し,RIEによって,サファイア基板に到達するまでエッチングを行うことにより分離溝41を設け,半導体素子1,2,3を形成する。 【0070】次にn型窒化物半導体層上にnオーミック電極およびp型窒化物半導体層上にpオーミック電極,pパッド電極を実施例1と同様の方法で形成する。 【0071】本実施例2の半導体発光装置の半導体素子1,2,3において,各半導体層および電極は図3に示すような構造であり,それぞれは以下のように形成される。 【0072】n型窒化物半導体層12は,好ましくはサファイア基板11上に形成された膜厚1.5μmのアンドープGaN層,膜厚2.2μmのSiドープGaN層,膜厚3000ÅのアンドープGaN層,膜厚300ÅのSiドープGaN層,膜厚50ÅのアンドープGaN層,多層膜層の積層構造とする。 ・・・(中略)・・・ 【0075】窒化物半導体活性層10は,n層12とほぼ同一の長さとn層12より狭い幅を有する長方形であって,その1つの長辺がn層12の1つの長辺に実質的に一致するようにn層12上に形成される。このように形成することにより,n層12上に窒化物半導体活性層10に沿ってn側オーミック電極を形成するための領域が確保される。 【0076】ここで,本実施例2では,窒化物半導体活性層10の幅は,n側オーミック電極から離れた側に位置する長辺とn側オーミック電極との距離が220μmになるように設定した。 【0077】n側オーミック電極14は,窒化物半導体活性層10とほぼ同一の長さを有し,n層12上に,窒化物半導体活性層10に沿ってかつ窒化物半導体活性層10と近接して形成される。更にこのn側オーミック電極14と窒化物半導体活性層10との間隔は,製造上の制約により,10~20μmに設定されるが,本発明においては間隔を10μm以下にすることが好ましく,このようにすると,均一に電流を注入することができる幅を大きくすることができる。 【0078】また,n側オーミック電極14は,n層12とのオーミック接触を良好にするために,WとAlを含む層とすることが好ましく,更に好ましくは,W層(200Å),W層(500Å),Pt層(3000Å),Ni層(60Å)を順次積層することにより形成する。 【0079】p型窒化物半導体層13は,窒化物半導体活性層10と同一平面形状を有して窒化物半導体活性層10上に重ねて形成される。 【0080】実際には,窒化物半導体活性層10およびp型窒化物半導体層13は,n層12上に窒化物半導体活性層10およびp型窒化物半導体層13を重ねて形成した後,n側オーミック電極14を形成するn型窒化物半導体層12表面を露出させるために一括してエッチングすることにより形成する。 【0081】尚,p型窒化物半導体層13は,1500Åの厚さに形成した。 【0082】p側オーミック電極15は,p型窒化物半導体層13上のほぼ全面に形成され,p型窒化物半導体層13と良好なオーミック接触を得るために,Ni層とPt層とを積層することにより構成することが好ましく,より好ましくは,Ni層100ÅとPt層500Åを積層することにより構成する。 【0083】そして,p側パッド電極16は,例えば,膜厚3000ÅのPtからなり,p側オーミック電極15上において,n側オーミック電極14とは離れた側に位置するp側オーミック電極15の長辺に沿って形成される。 【0084】上述のように構成された半導体素子1,2,3は,絶縁保護膜17により素子間が分離され,接続電極21により以下のように接続される。 【0085】絶縁保護膜17は,各半導体素子のp側パッド電極16上およびn側オーミック電極14上を除いて素子全体を覆うように形成される。 【0086】接続電極21は,半導体素子1のn側オーミック電極14上,分離溝41に形成された絶縁保護膜17および半導体素子2のp型オーミック電極16上に連続して形成され,これにより,半導体素子1のn側オーミック電極14と半導体素子2のp側オーミック電極16が接続される。 【0087】また,接続電極21は,半導体素子2と半導体素子3との間においても同様に形成され,これにより,半導体素子2のn側オーミック電極14と半導体素子3のp側オーミック電極16が接続される。接続電極21は,Pt又はAu等,種々の金属で構成することができるが,pおよびnオーミック電極との密着性を良好にするために,Ti(例えば400Å),Pt(例えば,6000Å),Au(例えば,1000Å),Ni(例えば,60Å)を順に積層した構造とすることが望ましい。 【0088】尚,本実施例ではさらに,半導体素子1のp側パッド電極16上に接続電極21と同様の材料からなる外部接続電極22bが形成され,半導体素子3のnオーミック電極14上に接続電極21と同様の材料からなる外部接続電極22aが形成される。 【0089】次に,絶縁保護膜18はp側外部接続電極22b,n側外部接続電極22aおよび各接続電極21上を除いて,素子全体を覆うように形成される。 【0090】 ・・・(中略)・・・ 【0094】以上のようにして,図3に示すような大面積で発光する窒化物半導体発光装置を形成する。」 f 図2及び図3は以下のものである。 【図2】 【図3】 g ここで,段落【0075】の「窒化物半導体活性層10は,n層12とほぼ同一の長さとn層12より狭い幅を有する長方形であって,その1つの長辺がn層12の1つの長辺に実質的に一致するようにn層12上に形成される。このように形成することにより,n層12上に窒化物半導体活性層10に沿ってn側オーミック電極を形成するための領域が確保される」,及び段落【0077】の「n側オーミック電極14は,窒化物半導体活性層10とほぼ同一の長さを有し,n層12上に,窒化物半導体活性層10に沿ってかつ窒化物半導体活性層10と近接して形成される」との記載とともに上記図2を参照すると,n側オーミック電極14は,その長さ(図示上下方向)よりも短い幅(図示左右方向)を有することがわかる。さらに,段落【0079】の「p型窒化物半導体層13は,窒化物半導体活性層10と同一平面形状を有して窒化物半導体活性層10上に重ねて形成される」,及び段落【0082】の「p側オーミック電極15は,p型窒化物半導体層13上のほぼ全面に形成され」との記載も参照すると,p側オーミック電極15は,その長さ(図示上下方向)よりも短い幅(図示左右方向)を有することがわかる。 また,上記段落【0075】~【0083】の記載とともに上記図3を参照すると,分離溝41内に絶縁保護膜17が形成されて素子間が分離されることがわかる。 h なお,上記図3においては「n側オーミック電極14」が層13に接し,「p側オーミック電極15」が層12に接するように記載されているものの,段落【0072】の「n型窒化物半導体層12は,好ましくはサファイア基板11上に形成された ・・・(中略)・・・,多層膜層の積層構造とする。」との記載,及び段落【0080】の「窒化物半導体活性層10およびp型窒化物半導体層13は,n層12上に窒化物半導体活性層10およびp型窒化物半導体層13を重ねて形成した後,n側オーミック電極14を形成するn型窒化物半導体層12表面を露出させる」との記載からみて,同図における,n側オーミック電極14に接する層に付された「13」,及びp側オーミック電極15に接する層に付された「12」は,それぞれ「12」及び「13」の誤記と認められる。 また,上記図2において,異なる破線長方形に同じ「15」が付されているが,接続電極21が設けられた範囲を考慮すると,より大きい破線長方形に付された「15」は,「12」(すなわち「n層窒化物半導体層」)の誤記と認められる。 i 以上を総合すると,引用例1には以下の発明が記載されているものと認められる(以下「引用発明」という。)。 「サファイア基板上にn型窒化物半導体層12,窒化物半導体活性層10,およびp型窒化物半導体層13が順次積層され,形成された複数個の窒化物半導体発光素子において,各半導体素子1,2,3の隣りあった2つの半導体素子を接続電極により電気的に接続し,大面積の発光素子としたものであって, 半導体素子1,2,3は,サファイア基板に到達するまでエッチングを行うことにより分離溝41を設けて形成されたものであり, n型窒化物半導体層12上にnオーミック電極14,p型窒化物半導体層13上にpオーミック電極15およびpパッド電極16がそれぞれ設けられており, n側オーミック電極14は,窒化物半導体活性層10とほぼ同一の長さを有し,その長さよりも短い幅を有し,n層12上に,窒化物半導体活性層10に沿ってかつ窒化物半導体活性層10と近接して設けられ, p側オーミック電極15は,その長さよりも短い幅を有し,p型窒化物半導体層13上のほぼ全面に設けられ, p側パッド電極16は,p側オーミック電極15上において,n側オーミック電極14とは離れた側に位置するp側オーミック電極15の長辺に沿って設けられ, 絶縁保護膜17が,各半導体素子のp側パッド電極16上およびn側オーミック電極14上を除いて素子全体を覆うように設けられ, n側オーミック電極14上に形成された外部接続電極22a,およびp側パッド電極16上に形成された外部接続電極22bのそれぞれに金属材料からなる第1のバンプ31が設けられ,さらに,各半導体素子1,2,3の隣りあった2つの半導体素子を電気的に接続している接続電極上21に,第1のバンプ31と同様の金属材料からなる第2のバンプ32が設けられており, 半導体素子1,2,3は,分離溝41内に絶縁保護膜17が設けられて,素子間が分離され, 接続電極21は,半導体素子1のn側オーミック電極14上,分離溝41に形成された絶縁保護膜17および半導体素子2のp型オーミック電極16上に連続して設けられ,これにより,半導体素子1のn側オーミック電極14と半導体素子2のp側オーミック電極16が接続され, また,接続電極21は,半導体素子2と半導体素子3との間においても同様に設けられ,これにより,半導体素子2のn側オーミック電極14と半導体素子3のp側オーミック電極16が接続され, さらに,半導体素子1のp側パッド電極16上に接続電極21と同様の材料からなる外部接続電極22bが設けられ,半導体素子3のnオーミック電極14上に接続電極21と同様の材料からなる外部接続電極22aが設けられ, 絶縁保護膜18が,側外部接続電極22b,n側外部接続電極22aおよび各接続電極21上を除いて,素子全体を覆うように設けられる, 大面積の発光素子。」 (3)対比 本願補正発明と引用発明とを比較する。 ア 引用発明の「n型窒化物半導体層12,窒化物半導体活性層10,およびp型窒化物半導体層13が順次積層され,形成された複数個の窒化物半導体発光素子」である「各半導体素子1,2,3」は,本願補正発明の「第1半導体層,活性層及び第2半導体層がこの順で積層されてなる複数の発光素子部」に相当する。 イ 引用発明においては,「各半導体素子1,2,3の隣りあった2つの半導体素子を接続電極により電気的に接続」するから,当該「接続電極」は,本願補正発明の「該複数の発光素子部間を接続する接続部」に相当する。 ウ 引用発明の「n型窒化物半導体層12上に」「設けられて」いる「nオーミック電極14」は,「窒化物半導体活性層10とほぼ同一の長さを有し,その長さよりも短い幅を有し」ているから,本願補正発明の「前記第1半導体層に電気的に接続され,一方向の長さがこれに直交する他方向の長さよりも長い形状で延長する第1配線電極」に相当する。 ウ 引用発明の「p側オーミック電極15は,その長さよりも短い幅を有し,p型窒化物半導体層13上のほぼ全面に設けられ」ているから,本願補正発明の「前記第2半導体層に電気的に接続され,一方向の長さがこれに直交する他方向の長さよりも長い形状で延長する第2配線電極」に相当する。 エ 引用発明の「n側オーミック電極14上に形成された外部接続電極22a」と,本願補正発明の「外部と接続するための一対の第1電極」であって,「前記第1電極は,少なくとも1つの発光素子部において,前記第1半導体層と電気的に接続され,かつ絶縁膜を介して前記第2半導体層上に配置され」たものとは,「外部と接続するための一対の第1電極」であって,「前記第1電極は,少なくとも1つの発光素子部において,前記第1半導体層と電気的に接続され」たものである点で一致する。 オ 引用発明においては,「p型窒化物半導体層13上にpオーミック電極15およびpパッド電極16がそれぞれ設けられて」いるから,「p側パッド電極16上に形成された外部接続電極22b」は,本願補正発明の「外部と接続するための」「第2電極」であって,「前記第2電極は,少なくとも1つの発光素子部において,前記第2半導体層と電気的に接続され,かつ前記第2半導体層上にのみ配置され」たものとは,「外部と接続するための」「第2電極」であって,「前記第2電極は,少なくとも1つの発光素子部において,前記第2半導体層と電気的に接続され」たものである点で一致する。 カ 引用発明においては,「接続電極21は,半導体素子1のn側オーミック電極14上,分離溝41に形成された絶縁保護膜17および半導体素子2のp型オーミック電極16上に連続して設けられ,これにより,半導体素子1のn側オーミック電極14と半導体素子2のp側オーミック電極16が接続され,また,接続電極21は,半導体素子2と半導体素子3との間においても同様に設けられ,これにより,半導体素子2のn側オーミック電極14と半導体素子3のp側オーミック電極16が接続され」るものであるから,当該構成は,本願補正発明の「少なくとも1つの前記接続部は,1つの前記発光素子部の第1配線電極又は第2配線電極と,他の1つの前記発光素子部の第1配線電極又は第2配線電極とを接続し,前記第1配線電極又は第2配線電極の長い形状で延長する延長方向に略垂直に延長する」とは,「少なくとも1つの前記接続部は,1つの前記発光素子部の第1配線電極又は第2配線電極と,他の1つの前記発光素子部の第1配線電極又は第2配線電極とを接続」するものである点で一致する。 キ 引用発明の「大面積の発光素子」は,本願補正発明の「半導体発光素子」に相当する。 ク したがって,引用発明と本願補正発明とは, 「第1半導体層,活性層及び第2半導体層がこの順で積層されてなる複数の発光素子部と, 該複数の発光素子部間を接続する接続部と, 外部と接続するための一対の第1電極及び第2電極とを備える半導体発光素子であって, 前記第1電極は,少なくとも1つの発光素子部において,前記第1半導体層と電気的に接続され, 前記第2電極は,少なくとも1つの発光素子部において,前記第2半導体層と電気的に接続され, 前記第1半導体層に電気的に接続され,一方向の長さがこれに直交する他方向の長さよりも長い形状で延長する第1配線電極と, 前記第2半導体層に電気的に接続され,一方向の長さがこれに直交する他方向の長さよりも長い形状で延長する第2配線電極とを備え, 少なくとも1つの前記接続部は,1つの前記発光素子部の第1配線電極又は第2配線電極と,他の1つの前記発光素子部の第1配線電極又は第2配線電極とを接続することを特徴とする半導体発光素子。」 である点で一致する。 ケ 一方両者は,以下の各点で相違する。 《相違点1》 本願補正発明は「前記第1電極は,少なくとも1つの発光素子部において,前記第1半導体層と電気的に接続され,かつ絶縁膜を介して前記第2半導体層上に配置され」る構成を備えるのに対して,引用発明は「前記第1電極は,少なくとも1つの発光素子部において,前記第1半導体層と電気的に接続され」る構成は備えるものの,「絶縁膜を介して前記第2半導体層上に配置され」る構成までは備えない点。 《相違点2》 本願補正発明は「前記複数の発光素子部は,互いに同一の活性層の面積を有して」いる構成を備えるのに対して,引用発明はそのような構成を備えるか否か不明である点。 《相違点3》 本願補正発明は「前記第2電極は,少なくとも1つの発光素子部において,前記第2半導体層と電気的に接続され,かつ前記第2半導体層上にのみ配置され」る構成を備えるのに対して,引用発明は「前記第2電極は,少なくとも1つの発光素子部において,前記第2半導体層と電気的に接続され」る構成は備えるものの,「かつ前記第2半導体層上にのみ配置され」る構成を備えるか否か不明である点。 《相違点4》 本願補正発明は,「少なくとも1つの前記接続部は,1つの前記発光素子部の第1配線電極又は第2配線電極と,他の1つの前記発光素子部の第1配線電極又は第2配線電極とを接続し,前記第1配線電極又は第2配線電極の長い形状で延長する延長方向に略垂直に延長する」構成を備えるのに対して,引用発明は「少なくとも1つの前記接続部は,1つの前記発光素子部の第1配線電極又は第2配線電極と,他の1つの前記発光素子部の第1配線電極又は第2配線電極とを接続する」構成は備えるものの,「前記第1配線電極又は第2配線電極の長い形状で延長する延長方向に略垂直に延長する」構成を備えるか否か不明である点。 (4)判断 上記各相違点について検討する。 ア 相違点1について サファイア基板上に設けられた窒化物半導体層からなる窒化物半導体発光素子において,サファイア基板側に設けられた半導体層(例えばn型層)に対する外部取り出し電極を当該半導体層上に設けると,発光領域となる活性層の面積が小さくなり発光輝度が減じられるため,これを解消するために,当該半導体層のサファイア基板とは反対側に設けられる半導体層(例えばp型層)上に絶縁膜を介して前記外部取り出し電極を設けることは,例えば以下の周知例1及び2にも記載されているように,従来より周知の技術である。 そして,半導体発光素子において発光輝度を向上させることは普遍的な技術課題であるから,引用発明においても発光輝度を向上させるべく上記周知技術を適用して,nオーミック電極14に接続される外部接続電極22aを,p型窒化物半導体層13(及びp側オーミック電極15)上に絶縁保護膜17を介して設けることで,相違点1に係る「前記第1電極は,少なくとも1つの発光素子部において,前記第1半導体層と電気的に接続され,かつ絶縁膜を介して前記第2半導体層上に配置され」る構成を備えるようにすることは,当業者が適宜になし得たことである。 よって,相違点1は当業者が適宜になし得たことである。 周知例1:特開2000-114595号公報 原査定の拒絶の理由に引用され,本願の出願の日前に日本国内において頒布された刊行物である,特開2000-114595号公報(以下「周知例1」という。)には,図7とともに,以下の記載がある。 「【0007】 【発明が解決しようとする課題】GaN系の化合物半導体の発光素子では,先に図7で説明したように,p型層53の一部をエッチングしてn型層52を部分的に露出させ,この露出部分にn側電極52aが形成される。この場合,発光域となる活性層はn型層52とp型層53との間の境界領域なので,エッチングによってp型層53の面積が小さくなると発光輝度が下がることになる。したがって,n型層52の露出部分及びn側電極52aはできるだけ狭くしたほうが好ましく,エッチングによって形成されるn型層52の表面の面積はp側光透過性電極53aに対して相対的に小さくする必要がある。そして,p型層53の表面全体を光反射可能な電極として図8のように基板51を発光方向側に向けた姿勢とし,その上面を主光取出し面とするような場合でも,p型層53の面積を広くしたほうが反射光の回収効率は高くなるので,発光輝度も向上する。このことからも,p側光透過性電極53aのほうが面積的にはn側電極52aよりも優勢になることが多い。」 「【0014】 【課題を解決するための手段】本発明は,光透過性であって絶縁性の基板にn型層とp型層とを積層するとともにその積層体の同一面にn側電極とp側電極とを形成し,前記基板側を発光観測面側とするGaN系化合物半導体発光素子において,前記n型層の表面から前記光透過性の電極の表面の一部にかけて光透過性の絶縁膜を被膜形成し,前記n側電極を,前記絶縁膜の表面であって前記p側電極の一部に覆い被さる領域まで展開させてなることを特徴とする。 【0015】この構成では,n側電極をn型層のコンタクト面に対して適正な接合面積を最小限確保しておくことにより,発光素子サイズの低減が可能となると同時に,p側電極の領域部分にまで覆い被さる部分の面積が広くなるので,マイクロバンプの接合のための製造が簡単になる。また,p型層の一部をエッチングして形成された段差面から抜ける光をn側電極によって発光素子の中に反射させて回収できるので,発光輝度も向上する。」 周知例2:特開2011-139037号公報 原査定の拒絶の理由に引用され,本願の出願の日前に日本国内において頒布された刊行物である,特開2011-139037号公報(以下「周知例2」という。)には,図1~4とともに,以下の記載がある。 「【0008】 図1は,対角電極構造を有する発光ダイオードを説明するための図である。 【0009】 図1において,1はN電極で,2はP電極で,3は露出されたN型半導体層で,4は透明電極層である。 【0010】 ・・・(中略)・・・ 【0014】 しかしながら,P電極31の延長部32,33とN電極21の延長部22,23を形成するためには,メサエッチングによりN型半導体層13を露出させなければならないので,発光面積のが減少することが不可避であるという問題がある。 【0015】 併せて,電流拡散のために,一つのチップに形成される電極パッドが2個以上に増加する傾向にあり,これらの電極及び電極の延長部を形成するためのメサエッチング面積も拡大されている。電極パッド数の増加によるメサエッチング面積の拡大は,同一のチップ面積を基準にして発光面積を減少させ,発光効率を低下させるようになる。 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0016】 本発明が達成しようとする技術的課題は,電極及び電極パッドによる発光面積の減少を抑制することができる発光ダイオードを提供することにある。 【課題を解決するための手段】 【0017】 本発明の一実施形態によれば,基板上に形成された下部半導体層と,前記下部半導体層のエッジ領域の少なくとも一部が露出されるように前記下部半導体層の上部に配置された上部半導体層と,前記上部半導体層の一部領域上に絶縁層を介して形成され,前記下部半導体層に電流を供給するために形成された第1の電極と,前記上部半導体層の他の一部領域上に前記上部半導体層に電流を供給するために形成された第2の電極と,前記第1の電極から延長され,前記露出された下部半導体層の少なくとも一部に至るように形成された 第1の電極の延長部と,を含む発光ダイオードが提供される。 【0018】 ・・・(中略)・・・ 【発明の効果】 【0033】 本発明によれば,下部半導体層に電流を供給するための電極及び延長部を形成するとき,これらを絶縁層を介して上部半導体層上に形成している。これによって,電極及び延長部を形成するためにメサエッチングによって除去される半導体層の面積の減少に伴なう発光面積の減少を抑制することができる。」 「【0057】 以下,図2及び図4を比較し,本発明の一実施例に係る発光ダイオードにおける発光領域面積の改善事項について説明する。 【0058】 図2及び図4を比較すると,下部半導体層に電流を供給するための下部電極21及び第1の電極121によって減少する発光領域の面積に大きな差があることが分かる。すなわち,図2の発光ダイオードでは,下部電極21を形成するために,その面積に該当する活性層15を含む発光領域がメサエッチングによって除去される。その一方,図4の発光ダイオードでは,第1の電極121は,第1の絶縁層119及び第2の絶縁層140を介して上部半導体層117上に形成され,活性層115がそのまま残っている。したがって,本発明の一実施形態に係る発光ダイオードは,従来の発光領域の減少に関する問題を効果的に解決することができる。」 ここで,図4は以下のものである。 イ 相違点2について 複数の発光ダイオードを配列し,接続した半導体発光素子において,各発光ダイオードに均一に電流を流し均一な発光を得るために,各発光ダイオードの形状を同じくすることは,例えば以下の周知例3にも示されているように従来より周知の技術である。ここでいう「形状を同じくする」ことは,その大きさも同じくすることは,均一に電流を流し均一な発光を得る観点から当然のことである。 そして,引用発明においてもムラのない均一な発光が好ましいことは明らかであるから,引用発明における各半導体素子1,2,3について,その形状を同一として,相違点2に係る「前記複数の発光素子部は,互いに同一の活性層の面積を有して」いる構成を備えることは,当業者が適宜になし得たことである。 よって,相違点2は,当業者が適宜になし得たことである。 周知例3:特開2009-296011号公報 原査定の拒絶の理由に引用され,本願の出願の日前に日本国内において頒布された刊行物である,特開2009-296011号公報(以下「周知例3」という。)には,図6,7とともに,以下の記載がある。 「【0020】 図6には,二次元アレイが具体的に示されている。図2の等価回路図に対応するものである。図において,サファイア基板10上に合計40個のLED1が形成されており,それぞれ20個ずつ2組に分けられ,エアブリッジ配線28により直列接続されて2つのLEDアレイを形成している。 ・・・(中略)・・・ 【0023】 このように,複数のLED1を二次元アレイ状に配置することで,基板面積を有効に活用しつつ高駆動電圧,特に商用電源での駆動も可能となるが,二次元アレイのパターンとしてはこの他にも種々のパターンが可能である。一般に,二次元アレイパターンとしては,以下の条件を備えることが望ましい。 (1)各LEDに均一に電流を流し,均一な発光を得るためには各LEDの形状,電極位置が同一であることが望ましい。 (2)ウエハをカットしてチップにするためには,各LEDの辺は直線であることが望ましい。 (3)光取り出し効率を向上させるため,標準的なマウントを使用して周辺からの反射を利用するためにはLEDは平面形状が正方形に近い形状が望ましい。 (4)2つの電極(ボンディングパット)の大きさは100μm角程度で,互いに離れていることが望ましい。 (5)ウエハ面積の有効利用のため,配線,パッドの占める割合は小さい方が望ましい。もちろん,これらは必須ではなく,例えば各LEDの形状としては平面形状三角形を用いることも可能であろう。各LEDの形状が三角形であっても,これらを組み合わせることで全体形状を略正方形とすることができる。以下,二次元アレイパターンの例をいくつか示す。」 ウ 相違点3について 前記(2)ア(ア)fに摘記した引用例1の図2を,同hで指摘した事項も考慮して参照すると,p側の外部接続電極22bはp側オーミック電極15上のみに設けられ,また,前記(2)ア(ア)eで摘記した段落【0082】の記載から,p側オーミック電極15はp型窒化物半導体層13上のみに形成されているといえる。 よって,本願補正発明の「第2電極」に相当する,引用発明の「外部接続電極22b」は,本願補正発明の「第2半導体層」に相当する,引用発明の「p型窒化物半導体層13」の上にのみ形成されているといえる。 よって,相違点3は実質的な相違点ではなく,仮にそうでないとしても当業者が適宜になし得たことである。 エ 相違点4について 前記(2)ア(ア)fに摘記した引用例1の図2,3を,同hで指摘した事項も考慮して参照すると,接続電極21は,図2の図示上下方向に長く図示左右方向に短い長方形を備えるとともに,隣り合う素子のn型窒化物半導体層12上のn側オーミック電極14と,p型窒化物半導体層13上のp型オーミック電極15とを電気的に接続していることがわかる。ここで,本願補正発明の「第1配線電極」に相当する,引用発明の「n側オーミック電極14」,及び,本願補正発明の「第2配線電極」に相当する,引用発明の「p側オーミック電極15」は,ともに「その長さよりも短い幅」を有するところ,これらも接続電極21と同じく,図示上下方向に長く図示左右方向に短い長方形を備えるものである。 そして,接続電極21において,前記左右方向の短い長さは前記電気的接続が行われるためであり,当該左右方向が,n側オーミック電極14およびp型オーミック電極15の長さ方向に垂直な方向となることは明らかである。 すなわち,引用発明において,接続電極21が左右方向の短い長さを備えることは,相違点4に係る「前記第1配線電極又は第2配線電極の長い形状で延長する延長方向に略垂直に延長する」構成にあたるといえる。 よって,相違点4は実質的な相違点ではなく,仮にそうでないとしても当業者が適宜になし得たことである。 (5)小括 よって,本願補正発明は,周知技術を勘案して,引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により,特許を受けることができない。 よって,本願補正発明は,特許出願の際独立して特許を受けることができない。 5 まとめ 以上のとおりであるから,本件補正は,特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので,同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3 本願発明について 1 本願発明 平成28年9月7日にされた手続補正は,上記のとおり却下されたので,本願の請求項1に係る発明は,平成28年4月12日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。(以下「本願発明」という。) 「【請求項1】 第1半導体層,活性層及び第2半導体層がこの順で積層されてなる複数の発光素子部と, 該複数の発光素子部間を接続する接続部と, 外部と接続するための一対の第1電極及び第2電極とを備える半導体発光素子であって, 前記第1電極は,少なくとも1つの発光素子部において,前記第1半導体層と電気的に接続され,かつ絶縁膜を介して前記第2半導体層上に配置され, 前記第2電極は,少なくとも1つの発光素子部において,前記第2半導体層と電気的に接続され,かつ前記第2半導体層上にのみ配置され, 前記複数の発光素子部は,互いに同一の活性層の面積を有しており, 前記第1半導体層に電気的に接続され,延長する第1配線電極と, 前記第2半導体層に電気的に接続され,延長する第2配線電極とを備え, 少なくとも1つの前記接続部は,1つの前記発光素子部の第1配線電極又は第2配線電極と,他の1つの前記発光素子部の第1配線電極又は第2配線電極とを接続し,前記第1配線電極又は第2配線電極の延長方向に略垂直に延長する部位を備えることを特徴とする半導体発光素子。」 2 引用発明 引用発明は,前記第2の4「(2)刊行物等に記載された発明」に記載したとおりのものである。 3 対比・判断 前記第2「1 本件補正の内容」~第2「3 補正の目的の適否及び新規事項の追加の有無についての検討」において記したように,本願補正発明は,補正前の請求項1における発明特定事項である「延長する第1配線電極」,「延長する第2配線電極」及び「接続部」について,より限定するものである。言い換えると,本願発明は,本願補正発明から当該限定を除いたものである。 そうすると,本願発明の構成要件をすべて含み,これをより限定したものである本願補正発明が,前記第2 4「(3)対比」~第2 4「(5)小括」において検討したとおり,周知技術を勘案して,引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,本願発明も同様の理由により,当業者が容易に発明をすることができたものである。 よって,本願発明は,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 第4 むすび 以上のとおりであるから,本願は,他の請求項に係る発明について検討するまでもなく,拒絶すべきものである。 よって,結論のとおり審決する。

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2016-013362

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  • 2025-001807拒絶査定不服審判 / 2026-08-20 / 原査定取消(特許/登録すべき)太陽電池セルおよび太陽電池
    共通の審決分類: 121・H01L
  • 2025-002107拒絶査定不服審判 / 2026-06-29 / 請求不成立熱硬化性樹脂組成物
    共通の審決分類: 121・H01L
  • 2025-001151拒絶査定不服審判 / 2026-06-08 / 請求不成立光電変換装置及び飛行体
    共通の審決分類: 121・H01L
  • 2024-013328拒絶査定不服審判 / 2026-03-30 / 請求不成立光起電力モジュールの製造方法及び光起電力モジュール
    共通の審決分類: 121・H01L

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