特許拒絶査定不服審判
2016-013322
遊技機
- 審判番号
- 2016-013322
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2013-234069外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2016年09月06日
- 審決日
- 2017年03月21日
- 公報発行日
- 2017年07月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】京楽産業.株式会社
- 【請求人代理人】特許業務法人 小笠原特許事務所
- 分類
- P18 .121-Z (A63F) / P18 .113-Z (A63F) / P18 .575-Z (A63F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条1項3号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第6項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第29条第2項、特許法第29条第1項第3号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2013-234069「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 5月18日出願公開、特開2015- 93048〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、平成25年11月12日に特許出願されたものであって、平成27年3月25日付けで拒絶理由通知がされ、これに対し同年5月21日付けで手続補正がなされ、同年10月30日付けで最後の拒絶理由通知がされ、これに対し同年12月24日付けで手続補正がなされたが、平成28年6月1日付け(発送日:同年6月7日)で、平成27年12月24日付けの手続補正が却下されるとともに拒絶査定がなされ、これに対して、同年9月6日付けで拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに手続補正(以下、「本件補正」という。)がなされたものである。
第2 本件補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
本件補正を却下する。
[理由]
1.本件補正の概要
平成27年12月24日付けの手続補正は既に却下されている。そして、本件補正は特許請求の範囲の請求項1の記載を含む補正であり、平成27年5月21日付けの手続補正と本件補正の特許請求の範囲の請求項1の記載はそれぞれ、以下のとおりである(下線部は補正箇所を示す。)。
(補正前:平成27年5月21日付け手続補正)
「【請求項1】
所定の始動条件の成立により、遊技情報を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された遊技情報に基づいて、特別遊技を行うか否かを判定する特別遊技判定手段と、
前記特別遊技判定手段による判定結果を報知する報知演出を演出実行手段に実行させる報知演出制御手段と、
遊技者により操作される操作手段と、
前記操作手段が操作されたか否かを検出する検出手段と、
予め定められた条件を満たす前記操作手段の操作が行われたことを前記検出手段が検出したことを契機として操作契機演出を実行する操作契機演出実行手段とを備え、
1回の前記報知演出の実行中に、前記操作手段の操作を有効とする第1の有効期間と、前記操作手段の操作を有効としない非有効期間と、前記操作手段の操作を有効とする第2の有効期間とが順にあるとき、前記検出手段は、前記第1の有効期間及び前記第2の有効期間に、予め定められた条件を満たす前記操作手段の操作が行われたか否かを検出し、
前記操作契機演出実行手段は、前記検出手段の検出結果に基づき、1回の前記報知演出の実行中に複数回の前記操作契機演出を実行可能である、遊技機。」
(補正後:本件補正である平成28年9月6日付け手続補正)
「【請求項1】
所定の始動条件の成立により、遊技情報を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された遊技情報に基づいて、特別遊技を行うか否かを判定する特別遊技判定手段と、
前記特別遊技判定手段による判定結果を報知する報知演出を演出実行手段に実行させる報知演出制御手段と、
遊技者により操作される操作手段と、
前記操作手段が操作されたか否かを検出する検出手段と、
予め定められた条件を満たす前記操作手段の操作が行われたことを前記検出手段が検出したことを契機として操作契機演出を実行する操作契機演出実行手段とを備え、
1回の前記報知演出の実行中に、前記操作手段の操作を有効とする第1の有効期間と、前記操作手段の操作を有効としない非有効期間と、前記操作手段の操作を有効とする第2の有効期間とが順にあるとき、前記検出手段は、前記第1の有効期間及び前記第2の有効期間に、予め定められた条件を満たす前記操作手段の操作が行われたか否かを検出し、前記第1の有効期間及び前記第2の有効期間のそれぞれにおいて検出対象とする前記操作手段の操作を変更可能であり、
前記操作契機演出実行手段は、前記検出手段の検出結果に基づき、1回の前記報知演出の実行中に複数回の前記操作契機演出を実行可能である、遊技機。」
2.補正の適否
審判請求時の補正によって、請求項1の記載は、上記1.の下線部が加わるように補正された。すなわち、補正後の請求項1は、補正前の請求項1に記載された発明特定事項である「検出手段」が「前記第1の有効期間及び前記第2の有効期間」において検出する「前記操作手段の操作」について、「前記第1の有効期間及び前記第2の有効期間のそれぞれにおいて検出対象とする前記操作手段の操作を変更可能であ」るという限定を付加するものである。
そうすると、補正後の請求項1に記載された発明は、補正前の請求項1に記載された発明と、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とする補正に該当する。
そして、本件補正は、明細書の段落【0270】の記載に基づいており、新規事項を追加するものではない。
3.独立特許要件
そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か、すなわち、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか否か、について以下において検討する。
(1)本件補正後の請求項1に係る発明
補正後の請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)は、上記1.の本件補正の概要において示したとおりのものである。
(2)刊行物に記載された事項
原査定の拒絶の理由に引用された本願の出願前に頒布された刊行物である特開2012-200466号公報(以下、「刊行物1」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている(下線は当審で付した。)。
ア 「【0009】
以下、図面を用いて、本発明の一実施形態に係る遊技台(例えば、パチンコ機等の弾球遊技台やスロット機等の回胴遊技台)について詳細に説明する。」
イ 「【0015】
…球貯留皿付扉108は…遊技者の操作によって各種演出装置206の演出態様に変化を与えるチャンスボタン136と…を備える。」
ウ 「【0086】
<主制御部タイマ割込処理>
次に、図7を用いて、主制御部300のCPU304が実行する主制御部タイマ割込処理について説明する。なお、同図は主制御部タイマ割込処理の流れを示すフローチャートである。
…
【0096】
ステップS217では、入賞受付処理を行う。この入賞受付処理では、第1特図始動口230、第2特図始動口232、普図始動口228および可変入賞口234への入賞があったか否かを判定する。ここでは、ステップS203における入賞判定パターン情報と一致するか否かの判定結果を用いて判定する。第1特図始動口230へ入賞があった場合且つRAM308に設けた対応する保留数記憶領域が満タンでない場合、カウンタ回路318の当選用カウンタ値記憶用レジスタから値を特図1当選乱数値として取得するとともに特図1乱数値生成用の乱数カウンタから値を特図1乱数値として取得して対応する乱数値記憶領域に格納する。第2特図始動口232へ入賞があった場合且つRAM308に設けた対応する保留数記憶領域が満タンでない場合、カウンタ回路318の当選用カウンタ値記憶用レジスタから値を特図2当選乱数値として取得するとともに特図2乱数値生成用の乱数カウンタから値を特図2乱数値として取得して対応する乱数値記憶領域に格納する。普図始動口228へ入賞があった場合且つRAM308に設けた対応する保留数記憶領域が満タンでない場合、普図当選乱数値生成用の乱数カウンタから値を普図当選乱数値として取得して対応する乱数値記憶領域に格納する。可変入賞口234へ入賞があった場合には、可変入賞口用の入賞記憶領域に、可変入賞口234に球が入球したことを示す情報を格納する。
・・・
【0115】
ステップS225およびステップS227における特図状態更新処理が終了すると、今度は、ステップS229およびステップS231として、特図1および特図2それぞれについての特図関連抽選処理を行う。ここでも先に、特図2についての特図関連抽選処理(特図2関連抽選処理)を行い(ステップS229)、その後で、特図1についての特図関連抽選処理(特図1関連抽選処理)を行う(ステップS231)。これらの特図関連抽選処理についても、主制御部300が特図2関連抽選処理を特図1関連抽選処理よりも先に行うことで、特図2変動遊技の開始条件と、特図1変動遊技の開始条件が同時に成立した場合でも、特図2変動遊技が先に変動中となるため、特図1変動遊技は変動を開始しない。また、装飾図柄表示装置208による、特図変動遊技の大当り判定の結果の報知は、第1副制御部400によって行われ、第2特図始動口232への入賞に基づく抽選の抽選結果の報知が、第1特図始動口230への入賞に基づく抽選の抽選結果の報知よりも優先して行われる。特図関連抽選処理については、後で詳述する。」
エ 「【0126】
図8を用いて、第1副制御部400の処理について説明する。なお、同図(a)は、第1副制御部400のCPU404が実行するメイン処理のフローチャートである。同図(b)は、第1副制御部400のコマンド受信割込処理のフローチャートである。同図(c)は、第1副制御部400のタイマ変数割込処理のフローチャートである。同図(d)は、第1副制御部400の画像制御処理のフローチャートである。
…
【0132】
ステップS311では、チャンスボタン136の押下を検出するチャンスボタン検出センサ426を監視し、チャンスボタン136の押下を検出した場合、ステップS309で更新した演出データをチャンスボタン136の押下に応じた演出データに変更する処理を行う。詳細は後述するが、本実施形態では、特図および装飾図柄の変動表示中に、チャンスボタン136の押下操作の受付を可能とするボタン受付期間を設けている。このボタン受付期間では、変動開始から所定時間が経過した時点(例えば、図13(b)のt0秒が経過した時点)で計時を開始するものとする。
【0133】
また、このボタン受付期間の開始時に、チャンスボタン136の押下操作の受付が可能であることを遊技者に報知するための演出データを準備し、後述する画像制御処理において、例えば、図14(b)に示すような報知(この例では、チャンスボタン136を模した画像の表示)を行う。また、ボタン受付期間中にチャンスボタン136の押下を検出した場合には、予告を行うための演出データを準備し、後述する画像制御処理において、例えば、図14(d)の右側に示すような予告(この例では、「激アツだ!!」という文字表示)を行う。そして、ボタン受付期間(例えば、6秒)の経過後に計時を終了するとともに、ボタン受付期間の報知や予告を消去するための処理を行う。」
オ 「【0258】
<実施例8>
…
【0271】
まず、装飾図柄が停止する前の1回目のボタン受付期間では、第1の報知態様でメータは青色(基準色)で表示され、続く第2の報知態様でメータの色は引き続き青色(基準色)で表示されるとともに、メータの残量が増加している。すなわち、期待度が低いものからやや低いものに上がったものの遊技者に与える大当りへの期待感はまだ低いものとなっている。このボタン受付期間中にチャンスボタン136が操作されれば、例えば図16に示す「・・・。」との予告が表示されるようにする。
【0272】
なお、t0~t1秒の第1の報知期間中にチャンスボタン136が操作された場合と、t1~t2秒の第2の報知期間中にチャンスボタン136が操作された場合とで、実施例2で説明したように予告の内容を異ならせてもよい。例えば、t0~t1秒の第1の報知期間中にチャンスボタン136が操作された場合は「・・・。」と表示され、t1~t2秒の第2の報知期間中にチャンスボタン136が操作された場合は「激アツ!!」と表示されるようにしてもよい。
【0273】
リーチ中の2回目のボタン受付期間では、t5秒が経過した時点で第1の報知態様から第2の報知態様へと変化し、メータの色が青色から赤色(特別色)へと変化して、大当りへの期待感がやや低い状態から高い状態へと移行する。そして、当否判定結果が15R特別大当り(確変大当り)または15R大当り(通常大当り)の場合には、t7秒の時点で予め定められた大当り用の装飾図柄の組合せ(例えば、「装飾2-装飾2-装飾2」の組合せ)で停止し、それ以外の場合には予め定められたはずれ用の装飾図柄の組合せ(例えば「装飾2-装飾1-装飾2」の組合せ)で停止する。当否判定結果が15R特別大当りまたは15R大当りの場合には再抽選が行われ、3回目のボタン受付期間が開始する。
【0274】
なお、2回目のボタン受付期間中では、例えば実施例1と同様に、第1の報知期間中にチャンスボタン136が操作された場合に行われる予告の内容と第2の報知期間中にチャンスボタン136が操作された場合に行われる予告の内容とを同じに設定してもよい。あるいは、実施例2と同様に、異なる内容に設定してもよい。また、15R特別大当りおよび15R大当りは、遊技者に付与する利益量が相対的に大きな利益量となる当否判定結果である。」
カ 【図28】は、ボタン受付期間およびそのボタン受付期間の残り時間の報知態様の時間変化を示すタイムチャートであり、装飾図柄の変動時間中に1回目ボタン受付期間t0~t1と、非ボタン受付期間t2~t4と、2回目のボタン受付期間t4~t6とが順にあることが見てとれる。
【図28】
上記記載事項ア~エは各実施例に共通の技術事項を説明するものである。この中で、上記エの段落【0132】の「図13(b)」は実施例1の態様であり、段落【0133】の「図14(b)」及び「図14(d)」は実施例2の態様であるが、各実施例に共通の技術事項を説明する際に、例示的にそれらを用いたにすぎないものである。
そして、各実施例に共通の技術事項である上記記載事項ア~エ、並びに、実施例8に係る記載事項オ及び認定事項カを総合すれば、刊行物1には以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。
「第1特図始動口230へ入賞があった場合、特図1乱数値生成用の乱数カウンタから値を特図1乱数値として取得し、第2特図始動口232へ入賞があった場合、特図2乱数値生成用の乱数カウンタから値を特図2乱数値として取得する(【0096】)主制御部300(【0086】)と、
装飾図柄表示装置208により、特図変動遊技の大当り判定の結果の報知を行う第1副制御部400(【0115】)と、
遊技者により操作されるチャンスボタン136(【0015】)と、
チャンスボタン136の押下を検出するチャンスボタン検出センサ426(【0132】)と、
特図および装飾図柄の変動表示中に、チャンスボタン136の押下操作の受付を可能とするボタン受付期間を設け(【0132】)、ボタン受付期間中にチャンスボタン136の押下を検出した場合には、予告を行うための演出データを準備し、画像制御処理において、予告を行う(【0133】)第1副制御部400(【0126】)とを備え、
装飾図柄の変動時間中に1回目のボタン受付期間t0~t1と、非ボタン受付期間t2~t4と、2回目のボタン受付期間t4~t6とが順にあり(カ)、
1回目のボタン受付期間中にチャンスボタン136が操作されれば予告が表示され(【0271】)、
2回目のボタン受付期間中にチャンスボタン136が操作された場合にも予告が行われる(【0273】、【0274】)
遊技台(【0009】)。」
(3)対比
本願補正発明と引用発明とを対比する。
ア 引用発明の「第1特図始動口230へ入賞があった場合」及び「第2特図始動口232へ入賞があった場合」は、本願補正発明の「所定の始動条件の成立」に相当する。
また、引用発明の「特図1乱数値」及び「特図2乱数値」は、本願補正発明の「遊技情報」に相当する。
したがって、引用発明の「第1特図始動口230へ入賞があった場合、特図1乱数値生成用の乱数カウンタから値を特図1乱数値として取得し、第2特図始動口232へ入賞があった場合、特図2乱数値生成用の乱数カウンタから値を特図2乱数値として取得」する「主制御部300」は、本願補正発明の「所定の始動条件の成立により、遊技情報を取得する取得手段」に相当する。
イ 引用発明の「主制御部300」が「特図1乱数値」及び「特図2乱数値」に基づいて大当り遊技すなわち特別遊技を行うか否かを判定することは遊技台におけるパチンコ機等の遊技台における技術常識であるから、引用発明の「主制御部300」は、本願補正発明の「前記取得手段により取得された遊技情報に基づいて、特別遊技を行うか否かを判定する特別遊技判定手段」を備えるものといえる。
ウ 引用発明の「装飾図柄表示装置208」が装飾図柄の変動及び停止という報知演出により「特図変動遊技の大当り判定の結果の報知を行う」ことは、パチンコ機等の遊技台における技術常識から明らかである。
したがって、引用発明の「装飾図柄表示装置208により、特図変動遊技の大当り判定の結果の報知を行う第1副制御部400」は、本願補正発明の「前記特別遊技判定手段による判定結果を報知する報知演出を演出実行手段に実行させる報知演出制御手段」に相当する。
エ 引用発明の「遊技者により操作されるチャンスボタン136」は、本願補正発明の「遊技者により操作される操作手段」に相当する。
オ 引用発明の「チャンスボタン136の押下を検出するチャンスボタン検出センサ426」は、本願補正発明の「前記操作手段が操作されたか否かを検出する検出手段」に相当する。
カ 引用発明における「ボタン受付期間中」の「押下」は予め定められた条件を満たす操作といえるから、引用発明における「ボタン受付期間中」の「チャンスボタン136の押下」は、本願補正発明の「予め定められた条件を満たす前記操作手段の操作」に相当する。
また、引用発明の「画像制御処理において」「行」われる「予告」は、チャンスボタン136の押下を検出した場合に行われるから、本願補正発明の「操作契機演出」に相当する。
したがって、引用発明の「ボタン受付期間中にチャンスボタン136の押下を検出した場合には、予告を行うための演出データを準備し、画像制御処理において、予告を行う第1副制御部400」は、本願補正発明の「予め定められた条件を満たす前記操作手段の操作が行われたことを前記検出手段が検出したことを契機として操作契機演出を実行する操作契機演出実行手段」に相当する。
キ 引用発明の「装飾図柄の変動時間中」は、1回の装飾図柄の変動という報知演出の実行中といえるから、本願補正発明の「1回の前記報知演出の実行中」に相当する。
また、引用発明の「1回目のボタン受付期間t0~t1と、非ボタン受付期間t2~t4と、2回目のボタン受付期間t4~t6とが順にあ」ることは、本願補正発明の「前記操作手段の操作を有効とする第1の有効期間と、前記操作手段の操作を有効としない非有効期間と、前記操作手段の操作を有効とする第2の有効期間とが順にある」ことに相当する。
そして、引用発明の「チャンスボタン136の押下を検出するチャンスボタン検出センサ426」が、「1回目のボタン受付期間中にチャンスボタン136が操作され」たか否か、及び、「2回目のボタン受付期間中にチャンスボタン136が操作された」か否かを検出することは明らかであるから、引用発明は、本願補正発明のように「前記検出手段は、前記第1の有効期間及び前記第2の有効期間に、予め定められた条件を満たす前記操作手段の操作が行われたか否かを検出」するものといえる。
したがって、引用発明の「装飾図柄の変動時間中に1回目のボタン受付期間t0~t1と、非ボタン受付期間t2~t4と、2回目のボタン受付期間t4~t6とが順にあり、1回目のボタン受付期間中にチャンスボタン136が操作されれば予告が表示され、2回目のボタン受付期間中にチャンスボタン136が操作された場合にも予告が行われる」ことは、本願補正発明の「1回の前記報知演出の実行中に、前記操作手段の操作を有効とする第1の有効期間と、前記操作手段の操作を有効としない非有効期間と、前記操作手段の操作を有効とする第2の有効期間とが順にあるとき、前記検出手段は、前記第1の有効期間及び前記第2の有効期間に、予め定められた条件を満たす前記操作手段の操作が行われたか否かを検出」することに相当する。
ク 引用発明の「チャンスボタン136の押下を検出するチャンスボタン検出センサ426」が、「1回目のボタン受付期間中にチャンスボタン136が操作され」たか否か、及び、「2回目のボタン受け月期間中にチャンスボタン136が操作された」か否かを検出することは明らかであるから、引用発明の「第1副制御部400」により「装飾図柄が停止する前の1回目のボタン受付期間中にチャンスボタン136が操作されれば予告が表示され、リーチ中の2回目のボタン受付期間中にチャンスボタン136が操作された場合にも予告が行われる」ことは、本願補正発明の「前記操作契機演出実行手段は、前記検出手段の検出結果に基づき、1回の前記報知演出の実行中に複数回の前記操作契機演出を実行可能である」ことに相当する。
ケ 引用発明の「遊技台」は、本願補正発明の「遊技機」に相当する。
そうすると、両者は、
「所定の始動条件の成立により、遊技情報を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された遊技情報に基づいて、特別遊技を行うか否かを判定する特別遊技判定手段と、
前記特別遊技判定手段による判定結果を報知する報知演出を演出実行手段に実行させる報知演出制御手段と、
遊技者により操作される操作手段と、
前記操作手段が操作されたか否かを検出する検出手段と、
予め定められた条件を満たす前記操作手段の操作が行われたことを前記検出手段が検出したことを契機として操作契機演出を実行する操作契機演出実行手段とを備え、
1回の前記報知演出の実行中に、前記操作手段の操作を有効とする第1の有効期間と、前記操作手段の操作を有効としない非有効期間と、前記操作手段の操作を有効とする第2の有効期間とが順にあるとき、前記検出手段は、前記第1の有効期間及び前記第2の有効期間に、予め定められた条件を満たす前記操作手段の操作が行われたか否かを検出し、
前記操作契機演出実行手段は、前記検出手段の検出結果に基づき、1回の前記報知演出の実行中に複数回の前記操作契機演出を実行可能である、遊技機。」
である点で一致しており、次の点で相違する。
(相違点)
操作手段について、本願補正発明は「前記第1の有効期間及び前記第2の有効期間のそれぞれにおいて検出対象とする」「操作を変更可能であ」るのに対し、引用発明はそのような特定がない点。
(4)判断
そこで、前記相違点について検討する。
まず、遊技機、とりわけ、パチンコ機において、演出目的としたボタン操作には、連打、長押し、一発(一撃)等の種類があることは従来から広く知られている。
そして、装飾図柄の変動時間中に複数回のボタン受付期間がある遊技台において、1つのボタン受付期間中の検出対象とするボタンの操作を変更可能とすることは、例えば、以下の刊行物2、刊行物3に示されるように本願出願前において周知技術(下線部を参照。)である。
ア 刊行物2:パチンコ必勝ガイドULTMATE CRぱちんこ必殺仕事人IV 白夜ムック453,株式会社白夜書房,平成24年1月9日発行,16頁、26~27頁、40頁、53頁
16頁の「予告アクションフローチャート」の欄には「デジタル回転開始」の後「充電」と「蝋燭」から「左右テンパイ」に発展することが記載されている。そして、その「充電」と「蝋燭」に関して、26頁の「充電予告」の欄に「ボタン長押しで左右の図柄を表示させることができればチャンス。成功時に発せられる順之助のセリフで期待度が変化し、「リーチ」「好機」「激アツ」の3パターンが存在する。」と記載され、27頁の「蝋燭予告」の欄には「サプライズボタンを押して蝋燭の火を消してください」と記載されている。
また、40頁の「リーチアクションフローチャート」の欄には「デジタル回転開始」の後「左右図柄テンパイ」から「政・竜SP」に発展することが記載されている。そして、その「政・竜SP」に関して、53頁の「政・竜SPリーチ」の欄には「政・竜それぞれのSP序盤に、ボタンで縦カットインが発生すれば、政・竜SPに発展。実写ムービーを中心に、2人が結託して大当りを狙う。発展した時点で信頼度は40%と大幅に高まるが、2人を仕切るラインが太ければさらに期待大となる。」と記載されている。
これらより、刊行物2には、装飾図柄の変動時間中たる「デジタル回転開始」の後の「予告アクション」と「リーチアクション」の2つのボタン受付期間がある遊技台において、1つのボタン受付期間中たる「予告アクション」にて検出対象とするボタンの操作を「長押し」と通常の一発押しとに変更可能とすることが開示されているといえる。
イ 刊行物3:特許第5336637号公報(平成25年11月6日発行)
刊行物3には以下の事項が記載されている。
(ア) 「遊技機」(【0001】)において、「特定のリーチ演出中には、遊技者が演出ボタン26を操作した場合にその操作が有効になる第1の有効期間が存在しており、この第1の有効期間になると、遊技者に演出ボタン26の操作を促す第1の報知演出が行われ」(【0079】)、「第1の報知演出が行われているときにその報知演出に従って遊技者が演出ボタン26を連打すると、その連打操作に応じて…第1の演出変化が発生する…そして、第1の有効期間が終了すると、例えば、大当たり遊技終了後に時短遊技状態に移行する大当たりとなったことを報知する演出が行われる」(【0080】)。
(イ) 「第1の有効期間中に遊技者に演出ボタン26を連打させる場合について説明したが、第1の有効期間中に遊技者に演出ボタン26を1回だけ操作させる場合…第1の報知演出として、「連打」ではなく例えば「一撃」といった文言を含む報知演出画像が表示され、演出ボタン26が1回でも押下されると第1の報知演出画像が画面から消去されて通常の演出画像のみの表示となる。そして、このような1回のボタン操作が行われた場合には、例えば、いわゆるカットインと呼ばれる特定の演出画像をボタン操作前に表示されている演出画像に重畳表示させるといった第1の演出変化が発生する。」(【0082】)
(ウ) 「上記実施形態では、1回の特別図柄の変動表示に伴ってボタン演出が1回だけ行われる場合について説明したが、1変動内に複数の有効期間を設けて、1回の特別図柄の変動表示に伴ってボタン演出を複数回行うようにしてもよい。すなわち、1変動内に第1の有効期間を複数設けたり…してもよい。」(【0228】)
上記(ア)~(ウ)から、刊行物3には、「1変動内に複数の有効期間を設けて、1回の特別図柄の変動表示に伴ってボタン演出を複数回行う」「すなわち、1変動内に第1の有効期間を複数設け」た「遊技機」、つまり、装飾図柄の変動時間中に複数回のボタン受付期間がある遊技台において、「第1の有効期間中に遊技者に演出ボタン26を連打させる場合」と「第1の有効期間中に遊技者に演出ボタン26を1回だけ操作させる場合」があること、つまり、1つのボタン受付期間中の検出対象とするボタンの操作を変更可能とすることが開示されているといえる。
そして、ボタン操作に種々の態様があることは前述のとおりであり、遊技の興趣を向上させるために、引用発明に上記周知技術を適用し、第1の有効期間及び前記第2の有効期間のいずれにおいても、検出対象とするボタンの操作を変更可能とすることは当業者の通常の創作能力の発揮であり、格別困難性なく行い得ることである。したがって、引用発明と周知技術から上記相違点に係る本願補正発明の構成に想到することは当業者が容易になし得るものである。
そして、本願補正発明の効果は、引用発明及び上記周知技術からみて格別なものではない。
(5)審判請求人の主張
審判請求人は請求書第3頁において次のような主張をしている。
「本願発明に係る遊技機では、第1の有効期間及び第2の有効期間のそれぞれで操作手段の異なる操作を遊技者に行わせることにより、操作手段を用いた報知演出のバリエーションを豊富にすることができ、遊技者を飽きさせることなく、遊技者の興味を持続させることができる(本願明細書の段落[0270])。
これに対して、引用文献1(特開2012-200466号公報)には、1回の変動中に、ボタン受付期間を複数設け、各ボタン受付期間内のチャンスボタン操作に基づいて、複数回のボタン演出を実行できる遊技台が記載されている(図28~31、段落[0271]~[0274])。
しかしながら、引用文献1には、複数回のボタン受付期間のそれぞれにおいて検出対象とするチャンスボタン操作を変更することについては何ら記載されていない。」
しかし、装飾図柄の変動時間中に複数回のボタン受付期間がある遊技台において、1つのボタン受付期間中の検出対象とするボタンの操作を変更可能とすることは、上記(4)で説示したように周知技術であって、興趣の向上のために引用発明に適用し、第1の有効期間及び前記第2の有効期間のいずれにおいても、検出対象とするボタンの操作を変更可能とすることに格別の困難性はない。また、請求人が主張する、第1の有効期間及び第2の有効期間のそれぞれで操作手段の異なる操作を遊技者に行わせることにより、操作手段を用いた報知演出のバリエーションを豊富にすることができ、遊技者を飽きさせることなく、遊技者の興味を持続させることができるという本願補正発明の効果は、引用発明及び上記周知技術から予測できる範囲のものであり格別のものではない。よって、審判請求人の主張は採用できない。
(6)小括
したがって、本願補正発明は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明できたものであり、特許法第29条第2項の規定に基づいて特許出願の際独立して特許を受けることができない。
4.むすび
以上より、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
第3 本願発明
本件補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成27年5月21日付けの手続補正書により補正された、上記第2の1.で示した特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりのものである。
1.刊行物
原査定の拒絶の理由に引用された刊行物1の記載事項は、上記第2の3.(2)に記載したとおりである。
2.対比・判断
本願発明は、本願補正発明の発明特定事項から、上記第2の1.の下線部の構成を省いたものである。
上記第2の3.(3)で検討したとおり、本願補正発明と引用発明の相違点は上記第2の1.の下線部の構成のみであるから、そうすると、この構成を省いた本願発明と引用発明に相違点は存在しない。
したがって、本願発明は、引用発明と同一であり、刊行物1に記載された発明であるといえる。
3.むすび
以上のとおり、本願発明は、刊行物1に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができないものである。
したがって、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2016-013322