特許拒絶査定不服審判
2016-012068
遊技機
- 審判番号
- 2016-012068
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2014-257620外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2016年08月09日
- 審決日
- 2017年03月06日
- 公報発行日
- 2017年06月30日
- 結論
- 請求不成立
- 分類
- P18 .121-WZ (A63F) / P18 .575-WZ (A63F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第6項、特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第3項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2014-257620号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成27年3月26日出願公開、特開2015-57159号〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、平成23年11月28日付けで出願された特願2011-259561号の一部を平成26年12月19日に新たな特許出願としたものであって、平成28年1月28日付けで拒絶理由通知がなされ、同年4月1日付けで手続補正がなされたが、同年5月6日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、同年8月9日付けで拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに手続補正(以下、「本件補正」という。)がなされ、同年9月5日付けで前置報告書が作成され、同年10月12日付けで上申書が提出された。
第2 本件補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
本件補正を却下する。
[理由]
1 本件補正の概要
本件補正は、特許請求の範囲を補正する内容を含んでおり、本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、
(補正前:平成28年4月1日付け手続補正)
「【請求項1】
可変表示を行い、遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機であって、
可変表示に関する情報を保留情報として記憶可能な保留記憶手段と、
前記保留記憶手段に記憶されている前記保留情報の各々に対応した保留特定情報を表示する保留表示手段と、
前記保留情報に基づいて、予告演出を実行する予告演出実行手段と、
遊技の進行を制御する遊技制御手段と、
前記遊技制御手段からの情報に基づいて可変表示に対応した演出を制御する演出制御手段と、を備え、
前記遊技制御手段は、前記保留記憶手段において前記保留情報が増加するときに保留通知情報と、前記保留情報の内容を示す情報と、を送信する情報送信手段を含み、
前記演出制御手段は、前記情報送信手段が送信する前記保留通知情報と前記保留情報の内容を示す情報とのいずれかを取りこぼした場合に、前記予告演出を制限する制限手段を含み、
前記予告演出実行手段は、前記保留特定情報の表示態様を変化させる前記予告演出を実行可能であることを特徴とする遊技機。」
から、
(補正後:本件補正である平成28年8月9日付け手続補正)
「【請求項1】
可変表示を行い、遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機であって、
可変表示に関する情報を保留情報として記憶可能な保留記憶手段と、
前記保留記憶手段に記憶されている前記保留情報の各々に対応した保留特定情報を表示する保留表示手段と、
可変表示に関する情報に基づいて、予告演出を実行する予告演出実行手段と、
遊技の進行を制御する遊技制御手段と、
前記遊技制御手段からの情報に基づいて可変表示に対応した演出を制御する演出制御手段と、を備え、
前記遊技制御手段は、前記保留記憶手段において前記保留情報が増加するときに保留通知情報と、可変表示に関する情報の内容を示す情報と、を送信する情報送信手段を含み、
前記演出制御手段は、前記情報送信手段が送信する前記保留通知情報を受信したが前記可変表示に関する情報の内容を示す情報を取りこぼした場合に、前記予告演出を制限する制限手段を含み、
前記予告演出実行手段は、前記保留特定情報の表示態様を変化させる前記予告演出を実行可能であることを特徴とする遊技機。」
に補正された(下線は、補正箇所を明示するために当審で付した。)。
2 本件補正の適否
本件補正は、補正前の請求項1に記載された「前記保留情報」、つまり「可変表示に関する情報を保留情報として記憶可能」という記載で前記されていた「保留情報」について、「可変表示に関する情報」として表現上の変更を行い、あわせて、補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「予告演出を制限する制限手段」に関して、予告演出を制限する場合が、補正前には「前記保留通知情報と前記保留情報の内容を示す情報とのいずれかを取りこぼした場合」とされていたところを、「前記保留通知情報を受信したが前記可変表示に関する情報の内容を示す情報を取りこぼした場合」とすることで、当該予告演出を制限する場合を限定するものである。
したがって、本件補正は、補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「予告演出を制限する制限手段」に関して、予告演出を制限する場合を限定するものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
また、特許法第17条の2第3項に違反するところはない。
3 独立特許要件
そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について以下に検討する。
(1) 本願補正発明
本願補正発明は、上記1の本件補正の概要において示した次のとおりのものである(A~Iは、本願補正発明を分説するため当審で付した。)。
「【請求項1】
A 可変表示を行い、遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機であって、
B 可変表示に関する情報を保留情報として記憶可能な保留記憶手段と、
C 前記保留記憶手段に記憶されている前記保留情報の各々に対応した保留特定情報を表示する保留表示手段と、
D 可変表示に関する情報に基づいて、予告演出を実行する予告演出実行手段と、
E 遊技の進行を制御する遊技制御手段と、
F 前記遊技制御手段からの情報に基づいて可変表示に対応した演出を制御する演出制御手段と、を備え、
G 前記遊技制御手段は、前記保留記憶手段において前記保留情報が増加するときに保留通知情報と、可変表示に関する情報の内容を示す情報と、を送信する情報送信手段を含み、
H 前記演出制御手段は、前記情報送信手段が送信する前記保留通知情報を受信したが前記可変表示に関する情報の内容を示す情報を取りこぼした場合に、前記予告演出を制限する制限手段を含み、
I 前記予告演出実行手段は、前記保留特定情報の表示態様を変化させる前記予告演出を実行可能であることを特徴とする遊技機。」
(2) 刊行物に記載された事項
原査定の拒絶の理由に引用された特開2011-167365号公報(以下、「刊行物1」という。)には、次の事項が記載されている(下線は当審で付した。)。
(ア) 「【0038】
遊技球が第1始動入賞口62に入球すると、第1特別図柄表示装置70において第1特別図柄192が変動表示され、演出図柄表示装置60の表示領域194において装飾図柄190が変動表示される。遊技球が第2始動入賞口63に入球すると、第2特別図柄表示装置71において第2特別図柄193が変動表示され、演出図柄表示装置60の表示領域194において装飾図柄190が変動表示される。第1特別図柄192、第2特別図柄193、装飾図柄190の変動表示は、表示に先だって決定された変動時間の経過後に停止される。停止時の第1特別図柄192および装飾図柄190が大当たり態様であった場合、通常遊技よりも遊技者に有利な遊技状態である特別遊技に移行し、第1大入賞口91の開閉動作が開始される。このときスロットマシンのゲームを模した装飾図柄190は、3つの図柄を一致させるような表示態様をとる。停止時の第2特別図柄193および装飾図柄190が大当たり態様であった場合、通常遊技よりも遊技者に有利な遊技状態である特別遊技に移行し、第2大入賞口92の開閉動作が開始される。」
(イ) 「【0045】
図2は、ぱちんこ遊技機の背面側における基本的な構造を示す。電源スイッチ40はぱちんこ遊技機10の電源をオンオフするスイッチである。メイン基板102は、ぱちんこ遊技機10の全体動作を制御し、とくに第1始動入賞口62、第2始動入賞口63へ入賞したときの抽選等、遊技動作全般を処理する。サブ基板104は、液晶ユニット42を備え、演出図柄表示装置60における表示内容を制御し、特にメイン基板102による抽選結果に応じて表示内容を変動させる。メイン基板102およびサブ基板104は、遊技制御装置100を構成する。・・・
【0046】
図3は、第1実施例におけるぱちんこ遊技機10の機能ブロックを示す。ぱちんこ遊技機10において、遊技制御装置100は、第1始動入賞口62、第2始動入賞口63、第1大入賞口91、第2大入賞口92、一般入賞口72、作動口68、第1特別図柄表示装置70、第2特別図柄表示装置71、演出図柄表示装置60、普通図柄表示装置59、操作ボタン82、スピーカ18、遊技効果ランプ90のそれぞれと電気的に接続されており、各種制御信号の送受信を可能とする。遊技制御装置100は、遊技の基本動作だけでなく、図柄変動表示や電飾等の演出的動作も制御する。遊技制御装置100は、遊技の基本動作や遊技の進行を含むぱちんこ遊技機10の全体動作を制御する主制御装置としてのメイン基板102と、図柄の演出等を制御する副制御装置としてのサブ基板104とに機能を分担させた形態で構成される。遊技制御装置100は、ハードウエア的にはデータやプログラムを格納するROMやRAM、演算処理に用いるCPU等の素子を含んで構成される。
【0047】
第1実施例におけるメイン基板102は、入球判定手段110、第1抽選手段126、第2抽選手段128、普図抽選手段136、保留制御手段116、メイン表示制御手段118、特別遊技制御手段120、特定遊技実行手段122、開閉制御手段124、条件保持手段176を備える。第1実施例におけるサブ基板104は、パターン記憶手段130、演出決定手段132、演出表示制御手段134を備える。・・・」
(ウ) 「【0073】
一部既述したように、第1実施例の第1抽選手段126は、第1始動入賞口62への入球時に、事前判定処理として、事前当否判定・事前図柄判定・事前パターン判定を実行する。同様に、第1実施例の第2抽選手段128は、第2始動入賞口63への入球時に、事前判定処理として、事前当否判定・事前図柄判定・事前パターン判定を実行する。そして第1抽選手段126および第2抽選手段128は、事前判定処理の結果データ(以下、「事前判定結果」とも呼ぶ。)として、当否範囲、図柄範囲、パターン範囲のそれぞれを示す複数種類のデータ(以下、「コマンド」とも呼ぶ。)を設定する。なお、第1抽選手段126および第2抽選手段128は、第1始動入賞口62および第2始動入賞口63への入球順に事前判定処理および本判定処理を実行する。
【0074】
第1抽選手段126は、第1始動入賞口62への入球時に、第1の抽選であることを示す値や、第1の遊技における保留数および第2の遊技における保留数を含む入賞情報を設定し、入賞情報と事前判定結果とをともに演出決定手段132へ送信する。第2抽選手段128は、第2始動入賞口63への入球時に、第2の抽選であることを示す値や、第1の遊技における保留数および第2の遊技における保留数を含む入賞情報を設定し、入賞情報と事前判定結果とをともに演出決定手段132へ送信する。
【0075】
・・・
【0076】
保留制御手段116は、第1保留手段144、第2保留手段146、普図保留手段147を含む。第1保留手段144は、新たに第1の抽選が実行されるときにそれ以前の抽選に対応する図柄変動が表示されている場合、新たな第1の抽選の結果をその抽選に対応する図柄の変動表示開始まで保留する。第1実施例では第1の抽選の結果として4個を上限として当否抽選値と事前判定結果としての当否範囲、図柄範囲、パターン範囲の設定を、入球順序と対応づけて保持する。あるいは、当否抽選値とは別の領域に事前判定の結果を保持してもよい。第2保留手段146は、新たに第2の抽選が実行されるときにそれ以前の抽選に対応する図柄変動が表示されている場合、新たな第2の抽選の結果をその抽選に対応する図柄の変動表示開始まで保留する。第1実施例では第2の抽選の結果として4個を上限として当否抽選値と事前判定結果としての当否範囲、図柄範囲、パターン範囲の設定を、入球順序と対応づけて保持する。あるいは、当否抽選値とは別の領域に事前判定の結果を保持してもよい。保留制御手段116は、入球順序の管理方法として、第1の抽選および第2の抽選の両方を含む入球順序、例えば合計8個中の何番目の入球かを示す情報を、個々の抽選の結果とともに保持してもよい。また、抽選の結果の情報とは別の順序情報として入球順序を保持してもよい。普図保留手段147は、普図抽選手段136により取得された普図抽選値を保留球として保持する。これらの保留数がそれぞれ第1特図保留ランプ20、第2特図保留ランプ21、普図保留ランプ22の点灯数または点滅数により表される。なお、第1保留手段144および第2保留手段146による保留の数は、演出図柄表示装置60の第1保留数196および第2保留数197としても表示される。」
(エ) 「【0101】
第1実施例における特徴的な構成を以下説明する。
演出決定手段132は、第1始動入賞口62への入球に対応する入賞情報と事前判定結果とを第1抽選手段126から受け付けると、その事前判定結果の内容に応じて前兆設定をして、表示させるべき予告演出パターンを決定する。同様に、第2始動入賞口63への入球に対応する入賞情報と事前判定結果とを第2抽選手段128から受け付けると、その事前判定結果の内容に応じて前兆設定をして、表示させるべき予告演出パターンを決定する。前兆設定がなされた場合、演出表示制御手段134は、その前兆設定の契機となった入球に対応する図柄変動の実行前、例えば他の入球に対応する図柄変動において、予告演出パターンに応じた予告演出を表示させる。以下、事前判定結果に応じて設定される予告演出を「先読み演出」とも呼ぶこととする。
【0102】
また演出決定手段132は、入賞情報に設定された第1保留手段144における保留数(以下、「第1の保留数」とも呼ぶ。)と第2保留手段146における保留数(以下、「第2の保留数」とも呼ぶ。)、および、図柄変動の実行状況(すなわち保留の消化状況)に応じて、現在時点での第1の保留数および第2の保留数を特定する。演出表示制御手段134は、演出決定手段132において特定された第1の保留数および第2の保留数を、演出図柄表示装置60の第1保留数196および第2保留数197に表示させる。また、演出決定手段132において保留数が新たに特定されると、第1保留数196および第2保留数197を逐次更新する。
【0103】
第1実施例の演出決定手段132は、実際の図柄変動の態様を示唆しない、すなわち意図しない内容の先読み演出が表示されることを抑止して、意図する内容の先読み演出の表示を確保するために、入賞情報を受け付けた際、および、変動開始コマンドを受け付けた際に、以下の検証処理をさらに実行する。
【0104】
すなわち、演出決定手段132は、事前判定結果を受け付けた際に、その事前判定結果の内容と、所定のコマンドテーブルにおいて予め定められた事前判定結果のあるべき形式とが整合するか否かを判定する。具体的には、コマンドテーブルを参照して、以下の3点の整合性を判定する。1点目は、コマンドテーブルで規定された事前判定結果に設定されるべき全コマンド(この第1実施例では当否範囲・図柄範囲・パターン範囲のそれぞれを示すコマンド)が、検証対象の事前判定結果に設定されているかを判定する。
【0105】
2点目は、複数のコマンドが、コマンドテーブルで規定された順序どおりに、検証対象の事前判定結果に設定されているかを判定する。3点目は、検証対象の事前判定結果に設定された各コマンド値が、コマンドテーブルで規定された遊技状態ごとの値範囲にあるかを確認する。例えば図9の事前パターン判定テーブルが使用される場合で、当否結果が外れ(すなわち当否範囲が「3」)の場合は、事前判定結果においてパターン範囲を示すコマンドが「1~3」の範囲で設定されていることを確認する。演出決定手段132は、事前判定結果の設定内容とコマンドテーブルでの規定内容とが不整合である場合、以降の先読み演出の設定および表示を抑止する。
【0106】
また演出決定手段132は、入賞情報を受け付けた際に、その入賞情報に含まれる第1の保留数が、その時点で特定される第1の保留数と整合しない場合、典型的には保留数が2以上増加した場合、以降の先読み演出の表示を抑止する。同様に、入賞情報に含まれる第2の保留数が、その時点で特定される第2の保留数と整合しない場合も、以降の先読み演出の設定および表示を抑止する。」
(オ) 「【0117】
図15は、図14におけるS150の先読み処理を詳細に示すフローチャートである。いわゆる先読みによって得られる情報に基づいてどのような演出をサブ基板104において実行するか、また事前判定結果がどのような結果の場合にその結果に応じた演出を実行するかといった基準は、ぱちんこ遊技機10における遊技性の設計に応じて種々考えられる。第1実施例および後述する第2実施例においては、「スーパー1」の変動パターンが選択されたことを事前判定処理の結果に基づいてあらかじめサブ基板104側でも認識し、大当たりの期待度が高いことを演出的に示唆することとする。なお、以下の「先読み設定」は、先読み処理そのものを実施するか(オン)否か(オフ)を示すフラグであり、初期状態はオンに設定される。「前兆設定」は、先読み処理の結果先読み演出を実行するか(オン)否か(オフ)を示すフラグであり、初期状態はオフに設定される。これらのフラグは、RAMやレジスタ等の所定の記憶領域に設定され、演出決定手段132により更新される。
【0118】
サブ基板104の演出決定手段132がメイン基板102から入賞情報と事前判定結果を受信した場合(S160のY)、演出表示制御手段134は入賞情報が示す第1の抽選と第2の抽選のいずれであるかを示す値および保留数の情報に基づいて演出図柄表示装置60における保留数の表示を更新する(S162)。先読み設定がオフである場合(S163のY)、以降の処理はスキップされて本図のフローを終了する。先読み設定がオンであり(S163のN)、入賞情報の保留数および事前判定結果の設定内容が適正である場合(S164のY)、演出決定手段132は、入賞情報と事前判定結果を所定のバッファに記憶させる(S165)。そして、その時点での保留数が例えば「3個以上」といった所定の前兆演出をするのに十分な個数であり(S166のY)、事前判定により設定された当否範囲の値が「1」でパターン範囲の値が「4」の場合や(S168のY)、異なる値であっても(S168のN)、事前判定により設定された当否範囲の値が「3」でパターン範囲の値が「1」の場合は(S170のY)、前兆設定をオンにする(S172)。S170において当否範囲の値とパターン範囲の値が該当しない場合は(S170のN)、S172をスキップする。保留数が所定数に満たない場合は(S166のN)、S168からS172までの処理をスキップする。
【0119】
事前判定結果の設定内容があるべき形式に不整合の場合(S164のN)、以下の先読み演出抑止処理を実行する。すなわち、演出決定手段132は、先読み設定をオフにするとともに(S174)、前兆設定をオフにする(S176)。演出表示制御手段134は、演出図柄表示装置60における保留の表示態様を通常時とは異なる態様へ変更し(S178)、本図のフローを終了する。事前判定処理の結果を受信していない場合は本図のフロー全体をスキップする(S160のN)。」
(カ) 「【0167】
上記の第1実施例および第2実施例においては特に言及しなかったが、変形例として、先読み演出を設定する契機、言い換えれば前兆設定の契機となった入賞情報について、その保留の表示態様を通常とは異なる態様に変更してもよい。また事前判定結果を示唆する表示態様としてもよい。例えば、第1保留数196または第2保留数197における入賞情報に対応する保留表示を、その先読み演出の内容の信頼性が比較的高い場合は赤色で表示し、その先読み演出の内容の信頼性が比較的低い場合は黄色で表示し、その先読み演出の内容がリーチを含む図柄変動を示唆する場合は青色で表示してもよい。」
(キ) 上記(イ)の【0047】には、「サブ基板104は・・・演出決定手段132・・・を備える」と記載されているから、サブ基板104は、演出決定手段132を含むことが記載されているといえる。
また、上記(ウ)の【0073】には、「第1抽選手段126および第2抽選手段128は、・・・事前判定結果・・・として、当否範囲、図柄範囲、パターン範囲のそれぞれを示す・・・コマンド・・・を設定する」と記載され、また、同【0074】には、「第1抽選手段126は・・・入賞情報と事前判定結果とをともに演出決定手段132へ送信する。第2抽選手段128は・・・入賞情報と事前判定結果とをともに演出決定手段132へ送信する」と記載されているから、第1抽選手段126及び第2抽選手段128が、入賞情報と事前判定結果として当否範囲、図柄範囲、パターン範囲のそれぞれを示すコマンドを送信することが記載されているといえる。
さらに、上記(オ)の【0117】には、「「前兆設定」は、先読み処理の結果先読み演出を実行するか(オン)否か(オフ)を示すフラグであり、初期状態はオフに設定される」と記載され、同【0118】には、「サブ基板104の演出決定手段132がメイン基板102から入賞情報と事前判定結果を受信した場合(S160のY)・・・入賞情報の保留数および事前判定結果の設定内容が適正である場合(S164のY)、演出決定手段132は、入賞情報と事前判定結果を所定のバッファに記憶させる(S165)」と記載され、同【0119】には、「事前判定結果の設定内容があるべき形式に不整合の場合(S164のN)、以下の先読み演出抑止処理を実行する。すなわち、演出決定手段132は・・・前兆設定をオフにする(S176)」と記載されているから、入賞情報と事前判定結果を受信したが、事前判定結果の設定内容があるべき形式に不整合の場合に、先読み演出を実行するか否かを示す前兆設定をオフにする演出決定手段132の機能が記載されているといえる。
ここで、当該「事前判定結果の設定内容があるべき形式に不整合の場合」であるか否かの具体的な判定について、上記(エ)の【0104】には、「具体的には・・・コマンドテーブルで規定された事前判定結果に設定されるべき・・・当否範囲・図柄範囲・パターン範囲のそれぞれを示すコマンド・・・が、検証対象の事前判定結果に設定されているかを判定する」と記載され、また、同【0105】には、「演出決定手段132は、事前判定結果の設定内容とコマンドテーブルでの規定内容とが不整合である場合、以降の先読み演出の設定および表示を抑止する」と記載されている。そして、当該「設定されるべき・・・当否範囲・図柄範囲・パターン範囲のそれぞれを示すコマンド・・・が、検証対象の事前判定結果に設定されて」いない場合には、「事前判定結果の設定内容とコマンドテーブルでの規定内容とが不整合」となって、演出決定手段132が「先読み演出の設定および表示を抑止する」ことは明らかである。
そうすると、上記(エ)には、当否範囲、図柄範囲、パターン範囲のそれぞれを示すコマンドについて、設定されるべき全コマンドが設定されていない場合に、先読み演出の設定および表示を抑止することが記載されているといえる。
したがって、上記(イ)~(オ)から、サブ基板104は、第1抽選手段126及び第2抽選手段128が送信する入賞情報と事前判定結果を受信したが、事前判定結果としての当否範囲、図柄範囲、パターン範囲のそれぞれを示すコマンドについて、設定されるべき全コマンドが設定されていない場合に、先読み演出を実行するか否かを示す前兆設定をオフにして、先読み演出の設定および表示を抑止する演出決定手段132を含むことが記載されているといえる。
(ク) 上記(エ)の【0101】には、「演出表示制御手段134は・・・予告演出を表示させる。以下、事前判定結果に応じて設定される予告演出を「先読み演出」とも呼ぶ」と記載されているから、「演出表示制御手段134」は、「予告演出」である「先読み演出」を制御しているといえる。
また、同【0102】には、「演出表示制御手段134は、演出決定手段132において特定された第1の保留数および第2の保留数を、演出図柄表示装置60の第1保留数196および第2保留数197に表示させる」と記載されているから、「演出表示制御手段134」は「第1の保留数および第2の保留数」の表示を制御しているといえる。
さらに、上記(カ)の【0167】には、「先読み演出を設定する契機、言い換えれば前兆設定の契機となった入賞情報について、その保留の表示態様を通常とは異なる態様に変更してもよい。また事前判定結果を示唆する表示態様としてもよい」と記載されている。
そして、当該【0167】に記載された、「先読み演出」を設定する契機となった入賞情報について「保留の表示態様」を事前判定結果を示唆する表示態様とする演出は、「第1の保留数および第2の保留数」の表示態様を変更する「予告演出」であることは明らかであるし、当該【0102】、【0101】の記載から、「演出表示制御手段134」によって制御される演出であることも明らかである。
したがって、上記(エ)、(カ)から、演出表示制御手段134は、第1の保留数および第2の保留数の表示態様を変更する予告演出を制御することが記載されているといえる。
以上(ア)~(カ)の記載事項及び(キ)、(ク)の認定事項から、刊行物1には、次の発明が記載されていると認められる(以下、「引用発明」という。a~iは引用発明を分説するため当審で付した。)。
「a 第1特別図柄192、第2特別図柄193、装飾図柄190が変動表示され、遊技者に有利な遊技状態である特別遊技に移行するぱちんこ遊技機10であって、(【0038】、【0045】)
b 第1の抽選の結果又は第2の抽選の結果として当否抽選値と事前判定結果としての当否範囲、図柄範囲、パターン範囲の設定を保持し、その抽選に対応する図柄の変動表示開始まで保留する、第1保留手段144及び第2保留手段146と、(【0076】)
c 第1保留手段144と第2保留手段146における第1の保留数と第2の保留数、および、図柄変動の実行状況に応じて特定された、現在時点での第1の保留数および第2の保留数を表示する演出図柄表示装置60と、(【0102】)
d 事前判定結果に応じて設定される予告演出である先読み演出を表示させる演出表示制御手段134と、(【0101】)
e 遊技の進行を制御するメイン基板102と、(【0046】)、
f メイン基板102による抽選結果に応じて演出図柄表示装置60における表示内容、図柄の演出等を制御するサブ基板104と、を備え、(【0045】、【0046】)
g メイン基板102は、第1始動入賞口62又は第2始動入賞口63への入球時に、第1の抽選又は第2の抽選であることを示す値や、第1の遊技又は第2の遊技における保留数を含む入賞情報と、当否範囲、図柄範囲、パターン範囲のそれぞれを示すコマンドが設定された事前判定結果とをともに演出決定手段132へ送信する第1抽選手段126又は第2抽選手段128、とを備え、(【0047】、【0073】、【0074】)、
h’ サブ基板104は、第1抽選手段126及び第2抽選手段128が送信する入賞情報と事前判定結果を受信したが、事前判定結果としての当否範囲、図柄範囲、パターン範囲のそれぞれを示すコマンドについて、設定されるべき全コマンドが設定されていない場合、先読み演出を実行するか否かを示す前兆設定をオフにして、先読み演出の設定および表示を抑止する演出決定手段132を含み、(キ)
i 演出表示制御手段134は、第1の保留数および第2の保留数の表示態様を変更する予告演出を制御するぱちんこ遊技機10。((ク)、【0045】)」
(3) 対比
本願補正発明と引用発明とを対比する。対比の見出しとしての(a)~(i)は引用発明の分説構成と対応させた。
(a) 引用発明における、「第1特別図柄192、第2特別図柄193、装飾図柄190が変動表示され」ること、「遊技者に有利な遊技状態」である特別遊技に「移行」し得ること、「ぱちんこ遊技機10」は、それぞれ、本願補正発明における、「可変表示」が行われること、「遊技者にとって有利な有利状態」に「制御可能」であること、「遊技機」に相当する。
したがって、引用発明の「第1特別図柄192、第2特別図柄193、装飾図柄190が変動表示され、遊技者に有利な遊技状態である特別遊技に移行するぱちんこ遊技機10」は、本願補正発明の「可変表示を行い、遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機」に相当する。
(b) 引用発明における「第1の抽選の結果又は第2の抽選の結果として当否抽選値と事前判定結果としての当否範囲、図柄範囲、パターン範囲の設定」は、「その抽選に対応する図柄の変動表示開始まで保留」される情報であるから、本願補正発明における「保留情報」に相当するし、図柄の変動表示に関する情報であることも明らかであるから、本願補正発明における「可変表示に関する情報」に相当する。
また、引用発明における、「保持」し得ること、「第1保留手段144及び第2保留手段146」は、それぞれ、本願補正発明における、「記憶可能」であること、「保留記憶手段」に相当する。
したがって、引用発明の「第1の抽選の結果又は第2の抽選の結果として当否抽選値と事前判定結果としての当否範囲、図柄範囲、パターン範囲の設定を保持し、その抽選に対応する図柄の変動表示開始まで保留する、第1保留手段144及び第2保留手段146」は、本願補正発明の「可変表示に関する情報を保留情報として記憶可能な保留記憶手段」に相当する。
(c) 引用発明の「第1保留手段144と第2保留手段146」は、本願補正発明の「前記保留記憶手段」に相当する。
引用発明における「第1の保留数と第2の保留数、および、図柄変動の実行状況に応じて特定された、現在時点での第1の保留数および第2の保留数」は、「第1保留手段144と第2保留手段146」に「保留」された「当否抽選値」等の保留情報について、各々に対応した現在時点での保留の数を特定する情報であるといえるから、本願補正発明の「前記保留情報の各々に対応した保留特定情報」に相当する。
そうすると、引用発明の「現在時点での第1の保留数および第2の保留数」を「表示」する「演出図柄表示装置60」は、本願補正発明の「保留特定情報」を「表示」する「保留表示手段」を備えているといえる。
したがって、引用発明の「第1保留手段144と第2保留手段146における第1の保留数と第2の保留数、および、図柄変動の実行状況に応じて特定された、現在時点での第1の保留数および第2の保留数を表示する演出図柄表示装置60」は、本願補正発明の「前記保留記憶手段に記憶されている前記保留情報の各々に対応した保留特定情報を表示する保留表示手段」を備えている。
(d) 引用発明の「事前判定結果」は、上記(b)に示したとおり、「当否範囲、図柄範囲、パターン範囲の設定」からなり、当該「当否範囲、図柄範囲、パターン範囲の設定」は、図柄の変動表示に関する情報であることは明らかであるから、引用発明の「事前判定結果」としての「当否範囲、図柄範囲、パターン範囲の設定」は、本願補正発明の「可変表示に関する情報」に相当する。
また、引用発明における、「予告演出である先読み演出」、「演出を表示させる」ことは、それぞれ、本願補正発明における、「予告演出」、「演出を実行する」ことに相当する。
そうすると、引用発明における「事前判定結果」としての「当否範囲、図柄範囲、パターン範囲の設定」に応じて設定され「表示」される「予告演出である先読み演出」は、本願補正発明における「可変表示に関する情報」に基づいて「実行」される「予告演出」に相当する。
そして、引用発明の「演出表示制御手段134」は、本願補正発明の「予告演出実行手段」に相当する。
したがって、引用発明の「事前判定結果に応じて設定される予告演出である先読み演出を表示させる演出表示制御手段134」は、本願補正発明の「可変表示に関する情報に基づいて、予告演出を実行する予告演出実行手段」に相当する。
(e) 引用発明の「遊技の進行を制御するメイン基板102」は、本願補正発明の「遊技の進行を制御する遊技制御手段」に相当する。
(f) 引用発明において、「メイン基板102による抽選結果に応じて」演出を制御することは、本願補正発明において、「前記遊技制御手段からの情報に基づいて」演出を制御することに相当する。
また、引用発明において、「演出図柄表示装置60における表示内容、図柄の演出等を制御する」ことは、図柄の変動表示に対応した演出を制御することを含むことは明らかであるから、本願補正発明において、「可変表示に対応した演出を制御する」ことに相当する。
そして、引用発明の「サブ基板104」は、本願補正発明の「演出制御手段」に相当する。
したがって、引用発明の「メイン基板102による抽選結果に応じて演出図柄表示装置60における表示内容、図柄の演出等を制御するサブ基板104」は、本願補正発明の「前記遊技制御手段からの情報に基づいて可変表示に対応した演出を制御する演出制御手段」に相当する。
(g) 引用発明において、「第1始動入賞口62又は第2始動入賞口63への入球時」に、保留数等の情報を「送信」することは、当該「入球時」に「保留数」が増加することに応じて行われていることは明らかである。そして、引用発明において、当該「保留数」が増加するときには、「第1保留手段144と第2保留手段146における第1の保留数と第2の保留数」のいずれかが増加することも明らかである。そうすると、引用発明において、「第1始動入賞口62又は第2始動入賞口63への入球時」に、保留数等の情報を「送信」することは、本願補正発明において、「前記保留記憶手段において前記保留情報が増加するときに」情報を「送信」することに相当する。
また、引用発明の「第1の抽選又は第2の抽選であることを示す値や、第1の遊技又は第2の遊技における保留数を含む入賞情報」は、保留に関して通知される情報であるといえるから、本願補正発明の「保留通知情報」に相当する。
さらに、上記(b)に示したとおり、引用発明の「当否範囲、図柄範囲、パターン範囲のそれぞれを示すコマンド」は、「事前判定結果」としての「当否範囲、図柄範囲、パターン範囲の設定」の内容を示す情報、つまり本願補正発明の「可変表示に関する情報」の内容を示す情報であるといえるから、本願補正発明の「可変表示に関する情報の内容を示す情報」に相当する。
そして、引用発明の「第1抽選手段126又は第2抽選手段128」は、本願補正発明の「情報送信手段」に相当し、引用発明において「メイン基板102」が「第1抽選手段126又は第2抽選手段128」を「備える」ことは、本願補正発明において「前記遊技制御手段」が「情報送信手段」を「含む」ことに相当する。
したがって、引用発明において、「メイン基板102は、第1始動入賞口62又は第2始動入賞口63への入球時に、第1の抽選又は第2の抽選であることを示す値や、第1の遊技又は第2の遊技における保留数を含む入賞情報と、当否範囲、図柄範囲、パターン範囲のそれぞれを示すコマンドが設定された事前判定結果とをともに演出決定手段132へ送信する第1抽選手段126又は第2抽選手段128とを備える」ことは、本願補正発明において、「前記遊技制御手段は、前記保留記憶手段において前記保留情報が増加するときに保留通知情報と、可変表示に関する情報の内容を示す情報と、を送信する情報送信手段とを含む」ことに相当する。
(h) 引用発明における、「サブ基板104」、「第1抽選手段126及び第2抽選手段128」、「入賞情報」を「受信した」こと、「事前判定結果としての当否範囲、図柄範囲、パターン範囲のそれぞれを示すコマンド」、「先読み演出を実行するか否かを示す前兆設定をオフにして、先読み演出の設定および表示を抑止する」ことは、それぞれ、本願補正発明における、「前記演出制御手段」、「前記情報送信手段」、「前記保留通知情報」を「受信した」こと、「前記可変表示に関する情報の内容を示す情報」、「前記予告演出を制限する」ことに相当する。
そして、引用発明の「演出決定手段132」は、「先読み演出を実行するか否かを示す前兆設定をオフにして、先読み演出の設定および表示を抑止する」、つまり本願補正発明の「前記予告演出を制限する」手段であるから、本願補正発明の「制限手段」に対応する。
また、引用発明の「事前判定結果としての当否範囲、図柄範囲、パターン範囲のそれぞれを示すコマンドについて、設定されるべき全コマンドが設定されていない場合」と、本願補正発明の「前記可変表示に関する情報の内容を示す情報を取りこぼした場合」は、いずれも正常でない状態であり、予告演出を制限している点で共通する。
したがって、引用発明と本願補正発明は、「前記演出制御手段」は、「前記情報送信手段が送信する前記保留通知情報を受信したが」正常でない状態の「前記可変表示に関する情報の内容を示す情報」に基づいて「前記予告演出を制限する」「制限手段」を含む点で共通する。
(i) 引用発明における、「演出表示制御手段134」、「第1の保留数および第2の保留数」、「表示態様を変更する」こと、「予告演出を制御する」こと、「ぱちんこ遊技機10」は、それぞれ、本願補正発明における、「前記予告演出実行手段」、「前記保留特定情報」、「表示態様を変化させる」こと、「前記予告演出を実行可能である」こと、「遊技機」に相当する。
したがって、引用発明の「演出表示制御手段134は、第1の保留数および第2の保留数の表示態様を変更する予告演出を制御する」ぱちんこ遊技機10は、本願補正発明の「前記予告演出実行手段は、前記保留特定情報の表示態様を変化させる前記予告演出を実行可能である」遊技機に相当する。
以上(a)~(i)の検討より、本願補正発明と引用発明とは、
「A 可変表示を行い、遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機であって、
B 可変表示に関する情報を保留情報として記憶可能な保留記憶手段と、
C 前記保留記憶手段に記憶されている前記保留情報の各々に対応した保留特定情報を表示する保留表示手段と、
D 可変表示に関する情報に基づいて、予告演出を実行する予告演出実行手段と、
E 遊技の進行を制御する遊技制御手段と、
F 前記遊技制御手段からの情報に基づいて可変表示に対応した演出を制御する演出制御手段と、を備え、
G 前記遊技制御手段は、前記保留記憶手段において前記保留情報が増加するときに保留通知情報と、可変表示に関する情報の内容を示す情報と、を送信する情報送信手段を含み、
H’ 前記演出制御手段は、前記情報送信手段が送信する前記保留通知情報を受信したが正常でない状態の前記可変表示に関する情報の内容を示す情報に基づいて前記予告演出を制限する制限手段を含み、
I 前記予告演出実行手段は、前記保留特定情報の表示態様を変化させる前記予告演出を実行可能であることを特徴とする遊技機。」
の点で一致し、以下の点で相違する。
[相違点]:予告演出を、本願補正発明では「前記保留通知情報を受信したが前記可変表示に関する情報の内容を示す情報を取りこぼした場合」に制限するのに対し、引用発明では「入賞情報を受信したが、事前判定結果としての当否範囲、図柄範囲、パターン範囲のそれぞれを示すコマンドについて、設定されるべき全コマンドが設定されていない場合」に制限しており、「取りこぼした場合」に制限するという特定がされていない点。(H)
(4) 判断
ア 相違点について
本願補正発明の「情報を取りこぼした」とは、送信されてきた情報の少なくとも一部を正常に受け取ることができなかったことを意味するといえる。
そして、引用発明は、「入賞情報を受信したが、事前判定結果としての当否範囲、図柄範囲、パターン範囲のそれぞれを示すコマンドについて、設定されるべき全コマンドが設定されていない場合」に予告演出を制限するものであるが、当該「設定されるべき全コマンドが設定されていない場合」として、「第1抽選手段126及び第2抽選手段128」から送信された「事前判定結果としての当否範囲、図柄範囲、パターン範囲のそれぞれを示すコマンド」の少なくとも一部を正常に受け取ることができなかった、つまり当該コマンドを取りこぼしたために、当該「設定」がされなかった場合が含まれることは明らかである。
そうすると、引用発明において、正常でない状態の「事前判定結果としての当否範囲、図柄範囲、パターン範囲のそれぞれを示すコマンド」に基づいて予告演出を制限するか否かを判定するために、「設定されるべき全コマンドが設定されていない」かの判定に代えて、「事前判定結果としての当否範囲、図柄範囲、パターン範囲のそれぞれを示すコマンド」の少なくとも一部を正常に受け取ることができなかったか、つまり当該コマンドを取りこぼしたか、を判定することで、上記相違点に係る本願補正発明の構成とすることは、引用発明に含まれる事項の一部を適宜採用する程度のことであって、当業者であれば容易になし得たことである。
イ 請求人の主張及び本願補正発明が奏する効果について
a 審判請求書における主張について
請求人は本願補正発明について、審判請求書(5.(1))において、「引用文献1の段落0006~0010に記載された発明は、入球時に通知される情報と変動開始時に通知される情報とが整合しているか否かを判定しているのであって、「保留通知情報を受信したが前記可変表示に関する情報の内容を示す情報を取りこぼした」か否かを判定するものではありません。なお、引用文献1の段落0008には・・・結果として不整合があった場合には、入賞情報または事前判定結果の通知における異常が発生していたことがわかることが記載されているだけであって、異常の種類を特定することは記載されていません。即ち、引用文献1の段落0006~0010に記載された発明は、実際に入賞情報または事前判定結果の欠落があったか否かを判定していません。・・・また・・・補正後の請求項1に係る発明は、保留通知情報は受信したが可変表示に関する情報の内容を示す情報を取りこぼした場合に、予告演出を制限するものであって、引用文献1の段落0106に記載の内容とは前提が異なります」と主張する。
しかしながら、当該引用文献1、つまり刊行物1については、請求人が引用する段落の記載のみならず、上記(2)に示したとおりの記載事項等を有し、上記(3)及び上記アに示したとおりに判断できる。
また、請求人が主張する「異常の種類を特定する」という効果は、本件補正後の請求項1の記載に基づくものではないから採用することができない。仮に、当該主張が、本件補正後の請求項1の記載に基づいて「前記保留通知情報を受信したが前記可変表示に関する情報の内容を示す情報を取りこぼした場合」を特定することができるという、上記(3)に示した上記相違点に係る効果を主張するものであったとしても、そのような効果を含め上記相違点によって本願補正発明が奏する効果は、当業者が引用発明から予測し得る程度のものであって、格別のものではない。
したがって、請求人の主張は採用することができない。
b 上申書における主張について
請求人は本願補正発明について、平成28年10月12日付けの上申書(2.)において、刊行物1の【0012】の記載に関して、「前置報告書における・・・検討・・・では、「第1始動口または第2始動口への入球があったときに、その入球に対応する事前判定結果が予め定められた所定の形式と不整合である場合も、以降の先読み演出を制限してもよい。」との記載が、本願請求項1に係る「前記演出制御手段は、前記情報送信手段が送信する前記保留通知情報を受信したが前記可変表示に関する情報の内容を示す情報を取りこぼした場合に、前記予告演出を制限する制限手段を含み」に相当すると認定されています。しかしながら、「入球に対応する事前判定結果が予め定められた所定の形式と不整合である」ことは、「保留通知情報を受信したが前記可変表示に関する情報の内容を示す情報を取りこぼした場合」には相当しないものと思料します」と主張する。
しかしながら、刊行物1については、請求人が引用する【0012】の記載のみならず、上記(2)に示したとおりの記載事項等を有し、上記(3)及び上記アに示したとおりに判断できることは、上記aに示したとおりである。
したがって、請求人の主張は採用することができない。
(5) まとめ
以上のように、本願補正発明は、当業者が引用発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。
4 補正却下の決定についてのむすび
上記3より、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1、2に係る発明は、平成28年4月1日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1、2に記載されたとおりのものであり、請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は次のとおりのものである(A~Iは本願発明を分説するため当審で付した。)。
「【請求項1】
A 可変表示を行い、遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機であって、
B 可変表示に関する情報を保留情報として記憶可能な保留記憶手段と、
C 前記保留記憶手段に記憶されている前記保留情報の各々に対応した保留特定情報を表示する保留表示手段と、
D’ 前記保留情報に基づいて、予告演出を実行する予告演出実行手段と、
E 遊技の進行を制御する遊技制御手段と、
F 前記遊技制御手段からの情報に基づいて可変表示に対応した演出を制御する演出制御手段と、を備え、
G’ 前記遊技制御手段は、前記保留記憶手段において前記保留情報が増加するときに保留通知情報と、前記保留情報の内容を示す情報と、を送信する情報送信手段を含み、
H’ 前記演出制御手段は、前記情報送信手段が送信する前記保留通知情報と前記保留情報の内容を示す情報とのいずれかを取りこぼした場合に、前記予告演出を制限する制限手段を含み、
I 前記予告演出実行手段は、前記保留特定情報の表示態様を変化させる前記予告演出を実行可能であることを特徴とする遊技機。」
2 刊行物に記載された事項
刊行物1の記載事項、認定事項及び刊行物1に記載された発明(引用発明)については、上記「第2 3 (2)」に示したとおりである。
3 対比、判断
本願発明は、上記「第2 3 (1)」に示した本願補正発明から、「予告演出を制限する制限手段」が予告演出を制限する「場合」に関して、本願補正発明の「前記保留通知情報を受信したが前記可変表示に関する情報の内容を示す情報を取りこぼした場合」という限定を実質的に削除して、当該場合を実質的に含む「前記保留通知情報と前記保留情報の内容を示す情報とのいずれかを取りこぼした場合」としつつ、あわせて、「可変表示に関する情報」という記載に関して、当該情報を実質的に含む「前記保留情報」としたものである。
しかしながら、引用発明も「事前判定結果としての当否範囲、図柄範囲、パターン範囲のそれぞれを示すコマンドについて、設定されるべき全コマンドが設定されていない場合」に予告演出を制限するものであって、当該「事前判定結果としての当否範囲、図柄範囲、パターン範囲のそれぞれを示すコマンド」は、本願発明の「前記保留情報の内容を示す情報」に相当するから、本願発明と引用発明は、上記「第2 (3)」に示したように、引用発明では「取りこぼした場合」に予告演出を制限するという特定がされていない点で相違するのみである。
そうすると、当該相違点については、上記「第2 3 (4)」に示したとおりに判断でき、引用発明において当該相違点に係る本願発明の構成とすることは、引用発明に含まれる事項の一部を適宜採用する程度のことであって、当業者であれば容易になし得たことであるといえる。
したがって、本願発明は、当業者が引用発明に基づいて容易に発明をすることができたものである。
4 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
したがって、その余の請求項について検討するまでもなく、本願は、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2016-012068