特許拒絶査定不服審判
2016-011770
遊技機
- 審判番号
- 2016-011770
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2013-048992外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2016年08月04日
- 審決日
- 2017年03月14日
- 公報発行日
- 2017年06月30日
- 結論
- 請求不成立
- 分類
- P18 .121-Z (A63F) / P18 .575-Z (A63F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第5項第2号、特許法第29条第2項、特許法第17条の2第6項、特許法第17条の2第5項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2013- 48992「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 9月22日出願公開、特開2014-171786〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、平成25年3月12日の出願であって、平成27年10月16日付けで手続補正がなされ、同年12月25日付けで拒絶理由通知がなされ、平成28年1月26日付けで手続補正がなされ、同年2月29日付けで拒絶理由通知がなされ、同年4月8日付けで手続補正がなされ、同年5月25日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、同年8月4日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに手続補正がなされたものである。
第2 平成28年8月4日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成28年8月4日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 補正の内容
本件補正は、特許請求の範囲の請求項1、2の記載を含んでおり、平成28年4月8日付けの手続補正と本件補正の特許請求の範囲の請求項1、2の記載はそれぞれ、以下のとおりである(下線部は、補正箇所を示す。)。
(補正前:平成28年4月8日付け手続補正)
「【請求項1】
打ち出された遊技球が流下する遊技領域を有する遊技盤と、
前記遊技領域を流下する遊技球の入球が可能な第1入球口と、
前記遊技領域を流下する遊技球の入球が可能な第2入球口と、
前記第2入球口への遊技球の入球を困難にする第1状態と遊技球の入球を容易にする第2状態とに変位することが可能な開閉部材と、
前記第1入球口への遊技球の入球を契機として、特定遊技状態を生起させるか否かを決定する当たり抽選を実行する当たり抽選手段と、
前記当たり抽選に当選した場合に、生起させる前記特定遊技状態の種別を決定する種別決定手段と、
前記当たり抽選が実行された場合に、当該当たり抽選の結果を報知する報知表示を実行する表示制御手段と、
前記当たり抽選に当選した場合に、前記種別決定手段により決定された種別に応じて、前記特定遊技状態を生起させる特定遊技状態生起手段と、を備え、
前記特定遊技状態の生起中には、前記開閉部材が前記第1状態から前記第2状態に変位されるラウンド遊技が実行され、
前記特定遊技状態の種別として、実行される前記ラウンド遊技の回数が互いに異なる複数の種別が含まれ、
前記報知表示は、識別情報の変動表示と、前記当たり抽選の結果に応じた態様による識別情報の停止表示と、を含み、
前記表示制御手段は、前記当たり抽選に当選した場合に、識別情報の変動表示においてリーチ状態を形成し、前記種別決定手段により前記複数の種別のうち所定種別が決定された場合に、当該当たり抽選の結果を報知する前記報知表示の実行中における前記リーチ状態の形成より後に、当該所定種別の前記特定遊技状態において獲得することが可能な賞球数を球数の表示により示唆する示唆演出を開始することを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記表示制御手段は、識別情報の停止表示の実行中に、前記示唆演出を開始することを特徴とする請求項1に記載の遊技機。」
(補正後:平成28年8月4日付け手続補正)
「【請求項1】
打ち出された遊技球が流下する遊技領域を有する遊技盤と、
前記遊技領域を流下する遊技球の入球が可能な第1入球口と、
前記遊技領域を流下する遊技球の入球が可能な第2入球口と、
前記第2入球口への遊技球の入球を困難にする第1状態と遊技球の入球を容易にする第2状態とに変位することが可能な開閉部材と、
前記第1入球口への遊技球の入球を契機として、特定遊技状態を生起させるか否かを決定する当たり抽選を実行する当たり抽選手段と、
前記当たり抽選に当選した場合に、生起させる前記特定遊技状態の種別を決定する種別決定手段と、
前記当たり抽選が実行された場合に、当該当たり抽選の結果を報知する報知表示を実行する表示制御手段と、
前記当たり抽選に当選した場合に、前記種別決定手段により決定された種別に応じて、前記特定遊技状態を生起させる特定遊技状態生起手段と、を備え、
前記特定遊技状態の生起中には、前記開閉部材が前記第1状態から前記第2状態に変位されるラウンド遊技が実行され、
前記特定遊技状態の種別として、実行される前記ラウンド遊技の回数が互いに異なる複数の種別が含まれ、
前記報知表示は、識別情報の変動表示と、前記当たり抽選の結果に応じた態様による識別情報の停止表示と、を含み、
前記表示制御手段は、前記当たり抽選に当選した場合に、識別情報の変動表示においてリーチ状態を形成し、前記種別決定手段により前記複数の種別のうち所定種別が決定された場合に、当該当たり抽選の結果を報知する前記報知表示の実行中における前記リーチ状態の形成より後に、当該所定種別の前記特定遊技状態において獲得することが可能な賞球数である最多賞球数より少ない賞球数を示唆する示唆情報の表示を実行した後に、前記最多賞球数を示唆する示唆情報の表示を実行することを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記表示制御手段は、識別情報の停止表示の実行中に、前記示唆情報の表示を開始することを特徴とする請求項1に記載の遊技機。」
2 補正の適否
(1)本件補正
本件補正は、特許請求の範囲の請求項1、2について、以下に挙げる補正事項を含むものである。
ア 補正事項1
補正前の請求項1に「当該所定種別の前記特定遊技状態において獲得することが可能な賞球数を球数の表示により示唆する示唆演出を開始する」と記載されていたのを、
「当該所定種別の前記特定遊技状態において獲得することが可能な賞球数である最多賞球数より少ない賞球数を示唆する示唆情報の表示を実行した後に、前記最多賞球数を示唆する示唆情報の表示を実行する」とする補正。
イ 補正事項2
補正前の請求項2に「前記表示制御手段は、識別情報の停止表示の実行中に、前記示唆演出を開始する」と記載されていたのを、
「前記表示制御手段は、識別情報の停止表示の実行中に、前記示唆情報の表示を開始する」とする補正。
(2)補正の目的等についての検討
本件補正の目的等について、以下に検討する。
ア 補正事項1
補正事項1は、請求項1において、「獲得することが可能な賞球数」の「表示」について、補正前は、「球数」を表示するようにしていたのを、「賞球数を示唆する示唆情報」の表示を実行するようにしたものであるところ、当該補正により、「球数」を表示する態様に限られなくなるから、「獲得することが可能な賞球数」の表示態様について拡張するものであり、特許法第17条の2第5項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当しない。また、同条第5項第2号に掲げる他のいずれかの事項を目的とするものということもできない。
イ 補正事項2
補正事項2は、請求項2において、「識別情報の停止表示の実行中」に「開始」する対象が、補正前は、「前記示唆演出」であったのを、当該補正により「前記示唆情報の表示」とするものであるところ、「前記示唆情報の表示」は、「前記示唆演出」中に行われるものであるので、当該補正により、「前記示唆演出」が「識別情報の停止表示の実行」前に開始する場合も含むことになり、補正前の「前記示唆演出」の「開始」タイミングについて拡張することとなるから、当該補正は、特許法第17条の2第5項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当しない。また、同条第5項第2号に掲げる他のいずれかの事項を目的とするものということもできない。
上記のとおり、補正事項1及び補正事項2は、特許法第17条の2第5項に掲げるいずれを目的とするものにも該当しない。
よって、本件補正は、却下すべきものである。
上記のとおりであるが、仮に、本件補正が、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するとして、以下検討する。
3 独立特許要件について
そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について以下に検討する。
(1)本件補正後の請求項1に係る発明
補正後の請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)は、「第2[理由]1補正の内容」において示したとおりのものである(A~Kは、本願補正発明を分説するために当審で付した。)。
「【請求項1】
A 打ち出された遊技球が流下する遊技領域を有する遊技盤と、
B 前記遊技領域を流下する遊技球の入球が可能な第1入球口と、
C 前記遊技領域を流下する遊技球の入球が可能な第2入球口と、
D 前記第2入球口への遊技球の入球を困難にする第1状態と遊技球の入球を容易にする第2状態とに変位することが可能な開閉部材と、
E 前記第1入球口への遊技球の入球を契機として、特定遊技状態を生起させるか否かを決定する当たり抽選を実行する当たり抽選手段と、
F 前記当たり抽選に当選した場合に、生起させる前記特定遊技状態の種別を決定する種別決定手段と、
G 前記当たり抽選が実行された場合に、当該当たり抽選の結果を報知する報知表示を実行する表示制御手段と、
H 前記当たり抽選に当選した場合に、前記種別決定手段により決定された種別に応じて、前記特定遊技状態を生起させる特定遊技状態生起手段と、を備え、
I 前記特定遊技状態の生起中には、前記開閉部材が前記第1状態から前記第2状態に変位されるラウンド遊技が実行され、
前記特定遊技状態の種別として、実行される前記ラウンド遊技の回数が互いに異なる複数の種別が含まれ、
J 前記報知表示は、識別情報の変動表示と、前記当たり抽選の結果に応じた態様による識別情報の停止表示と、を含み、
K 前記表示制御手段は、前記当たり抽選に当選した場合に、識別情報の変動表示においてリーチ状態を形成し、前記種別決定手段により前記複数の種別のうち所定種別が決定された場合に、当該当たり抽選の結果を報知する前記報知表示の実行中における前記リーチ状態の形成より後に、当該所定種別の前記特定遊技状態において獲得することが可能な賞球数である最多賞球数より少ない賞球数を示唆する示唆情報の表示を実行した後に、前記最多賞球数を示唆する示唆情報の表示を実行することを特徴とする、遊技機。」
(2)刊行物に記載された事項
ア 刊行物1
原査定の拒絶理由において引用された本願の出願前に頒布された刊行物である特開2012-45305号公報(以下、「刊行物1」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている(下線は当審で付した。以下同じ。)。
(1-ア)「【0016】
以下、本発明をパチンコ遊技機に具体化した一実施形態を図1~図11にしたがって説明する。
パチンコ遊技機の遊技盤10のほぼ中央には、液晶ディスプレイ型の画像表示部GHを有する表示手段としての演出表示装置11が配設されている。演出表示装置11には、複数列(本実施形態では3列)の図柄列を変動させて行う図柄変動ゲームを含み、該ゲームに関連して実行される各種の表示演出が画像表示される。本実施形態において演出表示装置11の図柄変動ゲームでは、複数列(本実施形態では3列)の図柄からなる図柄組み合わせを導出する。なお、演出表示装置11の図柄変動ゲームは、表示演出を多様化するための飾り図柄(演出図柄)を用いて行われる。そして、演出表示装置11では、図柄変動ゲームが開始すると、各図柄列において予め定めた表示順序で、予め定めた変動方向(実施形態では、縦スクロール方向)に沿って飾り図柄が変動表示されるようになっている。
・・・
【0022】
また、特別図柄表示装置12の左下方には、複数個(本実施形態では4個)の特別図柄保留発光部を備えた特別図柄保留記憶表示装置Raが配設されている。特別図柄保留記憶表示装置Raは、機内部で記憶した特別図柄用の始動保留球の記憶数(以下、「特図始動保留記憶数」と示す)を遊技者に報知する。特図始動保留記憶数は、遊技盤10に配設した始動入賞口(上始動入賞口14又は下始動入賞口15)に遊技球が入球することで1加算される一方で、図柄変動ゲームの開始により1減算される。・・・」
(1-イ)「【0023】
また、演出表示装置11の下方には、遊技球の入球口14aを有する上始動入賞口14と遊技球の入球口15aを有する下始動入賞口15が上下方向に並ぶように配置されている。上始動入賞口14は、常時遊技球の入球を許容し得るように入球口14aを常時開放させた構成とされている。一方で、下始動入賞口15は普通電動役物とされ、図示しないアクチュエータ(ソレノイド、モータなど)の作動により開閉動作を行う開閉羽根16を備えており、開閉羽根16が開動作することにより遊技球の入球を許容し得るように入球口15aを開放させる構成とされている。
【0024】
上始動入賞口14と下始動入賞口15の各奥方には、入球した遊技球を検知する始動口スイッチSW1,SW2(図2に示す)が配設されている。上始動入賞口14と下始動入賞口15は、入球した遊技球を検知することにより、図柄変動ゲームの始動条件と予め定めた個数の賞球としての遊技球の払出条件を付与し得る。
【0025】
下始動入賞口15の下方には、図示しないアクチュエータ(ソレノイド、モータなど)の作動により開閉動作を行う大入賞口扉17を備えた大入賞口(特別電動役物)18が配設されている。大入賞口18の奥方には、入球した遊技球を検知するカウントスイッチSW3(図2に示す)が配設されている。大入賞口18は、入球した遊技球を検知することにより、予め定めた個数の賞球としての遊技球の払出条件を付与し得る。大入賞口18は、大当り遊技中に大入賞口扉17の開動作によって開放されることで遊技球の入球が許容される。このため、大当り遊技中、遊技者は、賞球を獲得できるチャンスを得ることができる。
・・・
【0031】
・・・また、16R確変大当り遊技では、規定ラウンド数を「16回」としている一方で、7R確変大当り遊技及び7R非確変大当り遊技では、規定ラウンド数を「7回」としている。
【0032】
本実施形態では、規定ラウンド数に関係なく、1回のラウンド遊技における入球上限個数を「9球」に設定するとともに、1回のラウンド遊技時間を「25秒」としている。これにより、規定ラウンド数が多いほど、獲得し得る賞球数が多くなる。・・・
【0033】
また、本実施形態のパチンコ遊技機では、大当り中昇格演出を実行可能に構成されている。大当り中昇格演出は、大当り遊技中を演出実行時期として行われる演出であり、大当り遊技中のラウンド遊技において予め定めた特定演出を実行させる演出態様で行われる。なお、特定演出としては、遊技者自身を投影する味方キャラクタが敵キャラクタとの戦いに勝利する態様、又は「昇格」からなるメッセージを表示させる態様などであっても良い。
【0034】
本実施形態では、2種類の大当り中昇格演出が設定されている。1つ目は、7R確変大当り又は7R非確変大当りに当選した場合に実行される大当り中確変昇格演出である。・・・
【0035】
2つ目は、16R確変大当り又は7R確変大当りに当選した場合に実行される大当り中ラウンド昇格演出である。該大当り中ラウンド昇格演出では、16R確変大当りに当選している場合には、1ラウンド目~6ラウンド目のうち何れかのラウンドで、特定演出によって16Rに昇格する旨が報知される。その一方で、7R確変大当りに当選している場合には、1ラウンド目~6ラウンド目のうち何れかのラウンドで、特定演出によって16Rに昇格しない旨が報知される。大当り中ラウンド昇格演出によれば、図柄変動ゲームで最終的に導出された飾り図柄の大当り図柄が「16R確変大当り」を認識し得ない大当り図柄であっても、大当り遊技中に「16R確変大当り」に当選していたことが報知される期待感、すなわち有利な大当りへ昇格する期待感を遊技者に抱かせることができる。」
(1-ウ)「【0042】
主制御用ROM30bには、メイン制御プログラムや複数種類の変動パターンが記憶されている。変動パターンは、図柄変動ゲームが開始してから図柄変動ゲームが終了する迄の間の演出(表示演出、発光演出、音声演出)のベースとなるパターンであって、図柄変動ゲームの演出内容及び変動時間(演出時間)を特定し得る。そして、変動パターンは、大当り演出用、はずれリーチ演出用及びはずれ演出用からなる変動内容毎に分類されている。
【0043】
大当り演出は、図柄変動ゲームが、リーチ演出を経て最終的に大当り図柄を確定停止表示させるように展開される演出である。また、はずれリーチ演出は、図柄変動ゲームが、リーチ演出を経て最終的にはずれ図柄を確定停止表示させるように展開される演出である。また、はずれ演出は、図柄変動ゲームが、リーチ演出を経ることなく最終的にはずれ図柄を確定停止表示させるように展開される演出である。リーチ演出は、演出表示装置11の飾り図柄による図柄変動ゲームにおいて、リーチが形成されてから最終的に図柄組み合わせ(大当り図柄又ははずれ図柄)が導出される迄の間に行われる演出である。・・・」
(1-エ)「【0058】
最初に、特別図柄入力処理について説明する。
主制御用CPU30aは、上始動入賞口14又は下始動入賞口15へ遊技球が入球し、該遊技球を検知した始動口スイッチSW1,SW2が出力する検知信号を入力すると、大当り判定用乱数、リーチ判定用乱数、特図振分用乱数、及び変動パターン振分用乱数の値を主制御用RAM30cから取得する。そして、主制御用CPU30aは、これらの値を主制御用RAM30cに記憶されている特図始動保留記憶数に対応付けて主制御用RAM30cに一時的に記憶する。・・・
【0059】
次に、特別図柄開始処理について説明する。
・・・
【0060】
一方、特図始動保留記憶数が1以上の場合、主制御用CPU30aは、特図始動保留記憶数から1減算する。そして、主制御用CPU30aは、特図始動保留記憶数(最も先に記憶した特図始動保留記憶数)に対応付けられて主制御用RAM30cに記憶した大当り判定用乱数の値を読み出し、該値と大当り判定値とを比較し、大当りか否かの大当り判定(大当り抽選)を行う。なお、大当り判定において主制御用CPU30aは、遊技状態が非確変状態である場合には、低確率用の大当り判定値と大当り判定用乱数の値を比較する一方で、遊技状態が確変状態である場合には、高確率用の大当り判定値と大当り判定用乱数の値を比較する。大当り判定の判定結果が肯定の場合、主制御用CPU30aは、取得した特図振分用乱数の値に基づき、特別図柄表示装置12に確定停止表示させる大当り図柄を決定する。なお、特別図柄の大当り図柄は、前述したように大当りの種類毎に設定されていることから、大当り図柄を決定することによって遊技者に付与する大当りの種類を決定したことになる。本実施形態では、大当りの種類を決定する主制御用CPU30aが、大当り種決定手段として機能する。大当りを決定した場合、主制御用CPU30aは、変動パターン振分用乱数の値に基づき、大当り演出用の変動パターンを選択し、決定する。
【0061】
また、主制御用CPU30aは、大当り判定の判定結果が否定の場合、はずれを決定する。そして、主制御用CPU30aは、特別図柄表示装置12に確定停止表示させる特別図柄としてはずれ図柄を決定する。・・・
【0062】
そして、リーチ判定の判定結果が肯定の場合、主制御用CPU30aは、変動パターン振分用乱数の値に基づき、はずれリーチ演出用の変動パターンを選択し、決定する。一方、リーチ判定結果が否定の場合、主制御用CPU30aは、変動パターン振分用乱数の値に基づき、はずれ演出用の変動パターンを選択し、決定する。
【0063】
特別図柄及び変動パターンを決定した主制御用CPU30aは、決定事項に従って生成した制御コマンドを所定のタイミングで演出制御基板31(演出制御用CPU31a)に出力する。具体的に言えば、主制御用CPU30aは、変動パターンを指示するとともに図柄変動ゲームの開始を指示する変動パターン指定コマンドを図柄変動ゲームの開始に際して最初に出力する。また、主制御用CPU30aは、特別図柄を指示する特別図柄用の停止図柄指定コマンドを変動パターン指定コマンドの出力後、次に出力する。そして、主制御用CPU30aは、指示した変動パターンに定められている変動時間の経過時に図柄変動ゲームの終了(図柄の確定停止)を指示する図柄停止コマンドを前記変動時間の経過に伴って出力する。
【0064】
そして、主制御用CPU30aは、大当りを決定した場合、決定した変動パターンに基づく図柄変動ゲームの終了後、最終停止図柄に基づき特定された種類の大当り遊技の制御を開始する。」
(1-オ)「【0066】
次に、演出制御基板31の演出制御用CPU31aが制御プログラムに基づき実行する各種処理について説明する。
演出制御用CPU31aは、変動パターン指定コマンドを入力すると、当該コマンドに指示される変動パターンに対応する演出内容(変動内容)をもとに、画像表示用データを選択する。また、演出制御用CPU31aは、特別図柄用の停止図柄指定コマンドを入力すると、当該コマンドにしたがって演出表示装置11に確定停止表示させる飾り図柄を決定する。具体的に言えば、演出制御用CPU31aは、特別図柄として16R確変大当りに対応する大当り図柄が指示されている場合、飾り図柄として確変大当りを確定的に認識し得る図柄組み合わせを決定する。なお、本実施形態における確変大当りを確定的に認識し得る図柄組み合わせは、[111]、[333]、[555]、及び[777]で示す4種類となっている。
【0067】
一方、7R確変大当りに対応する大当り図柄が指示されている場合、飾り図柄として確変大当りを確定的に認識し得る図柄組み合わせ、又は確変大当りを確定的に認識し得ない図柄組み合わせを決定する。なお、本実施形態における確変大当りを確定的に認識し得ない図柄組み合わせは、[222]、[444]、[666]、及び[888]で示す4種類となっている。本実施形態では、7R確変大当りに当選している場合、演出制御用CPU31aは、大当り中ラウンド昇格演出の実行を決定したのであれば、確変大当りを確定的に認識し得る図柄組み合わせを決定する。その一方で、演出制御用CPU31aは、7R確変大当りに当選している場合、大当り中確変昇格演出の実行を決定したのであれば、確変大当りを確定的に認識し得ない図柄組み合わせを決定する。」
(1-カ)「【0074】
そして、演出制御用CPU31aは、画像表示用データをもとに図柄変動ゲームを画像表示させるように演出表示装置11の表示内容を制御するとともに、図柄変動ゲーム中に図柄停止コマンドを入力すると、決定した飾り図柄を演出表示装置11に確定停止表示させて図柄変動ゲームを終了させる。
・・・
【0078】
具体的に説明すると、本実施形態では、大当りの図柄組み合わせが導出されてから変動パターンP5に定められた変動時間が経過するまでの間に、タイトルデモ演出として実行された動画を構成する演出内容を断片的に再生する動画再生演出が、遊技演出として実行されるようになっている。図5に示すように、動画再生演出の対象となる動画は、動画K1~動画K10で示す10種類が設定されており、使用する画像データがタイトルデモ演出と共通化されている。ただし、前述したように、変動パターンP5に基づく図柄変動ゲームでは、大当りの図柄組み合わせが導出されるタイミングが異なっているため、それに伴って変動パターンP5に定められた変動時間に占める動画再生演出の演出時間の割合も異なってくる。そして、本実施形態における動画再生演出では、大当りの図柄組み合わせが導出されてから変動パターンP5に定められた変動時間が経過するまでの間、複数の動画をランダムかつ断片的に繋ぎ合わせて、残り時間が「0秒」となるまで動画再生演出を実行させる構成としている。すなわち、タイトルデモ演出のように、動画K1~動画K10の順で動画が再生されるとは限らない。このため、選択された動画の種類によっては、タイトルデモ演出が完全再現されているような流れで演出が実行されるのではなく、タイトルデモ演出が断片的に再現されるような態様で演出が実行される場合もある。本実施形態では、演出制御用CPU31aが、実行制御手段として機能する。」
(1-キ)「【0099】
図10(a)~(e)に示すように、大当りの図柄組み合わせを構成する図柄が確定図柄であった場合に選択可能な動画選択テーブルとして、動画選択テーブルT6,T7,T8,T9,T10の5種類のテーブルが設定されている。これらの動画選択テーブルT6~T10では、動画再生演出の残り時間、及び規定ラウンド数に応じて動画K1~K10の選択確率が異なるように設定されている。なお、動画選択テーブルT6~T10は、動画選択テーブルT1~T5において、大当り中確変昇格演出の有無に応じて動画選択用の振分値を設定していたのに対し、規定ラウンド数に応じて動画選択用の振分値を設定した点のみが異なっている。そして、動画選択テーブルT6には、動画選択テーブルT1と同一の振分値が設定されている一方で、動画選択テーブルT7には、動画選択テーブルT2と同一の振分値が設定されている。以下同様に、動画選択テーブルT8には、動画選択テーブルT3と同一の振分値が設定されている一方で、動画選択テーブルT9には、動画選択テーブルT4と同一の振分値が設定されている。また、動画選択テーブルT10には、動画選択テーブルT5と同一の振分値が設定されている。」
(1-ク)「【0104】
つまり、動画再生演出では、大当りの図柄組み合わせから想定できる大当りの種類とは異なる観点で、決定された大当りの種類が示唆されるようになっている。すなわち、確変大当りを確定的に認識し得る図柄組み合わせからは、規定ラウンド数は想定できないものの、確変状態が付与されることを確定的に認識できる。そして、確変大当りを確定的に認識し得る図柄組み合わせが一旦停止表示された際に実行される動画再生演出では、その演出内容から、規定ラウンド数が想定可能となる。すなわち、動画の1回あたりの演出時間が長いほど、16R確変大当り遊技が付与される可能性が高いことが示唆される。一方、確変大当りを確定的に認識し得ない図柄組み合わせからは、規定ラウンド数が「7」であることは確定的に認識できるものの、確変状態が付与されるか否かは想定できない。そして、確変大当りを確定的に認識し得ない図柄組み合わせが確定停止表示された際に実行される動画再生演出では、その演出内容から確変状態が付与される確率が想定可能となる。すなわち、動画の1回あたりの演出時間が長いほど、大当り遊技終了後に確変状態が付与される可能性が高いことが示唆される。」
(1-ケ)「【0113】
その後、演出制御用CPU31aは、所定の演算領域に設定した残り時間を確認し、その残り時間が「18秒」であることに基づき、動画選択テーブルT6(図10(a))を選択する。以下、演出制御用RAM31cに設定した動画再生演出の残り時間が「0秒」となるまで、演出制御用CPU31aは、図11(b)と同様の手順にて動画を決定し、再生させる。なお、図11(c)に示す例では、動画K10が実行されなかったとしても、動画K10の次に演出時間が長く設定された動画K9が実行されたことにより、大当り遊技の開始前であっても、規定ラウンド数が「16ラウンド」であることに対して期待を持たせ易い。そして、動画再生演出が実行された後、大当り遊技中に大当り中ラウンド昇格演出が実行され、特定演出の実行によって規定ラウンド数が「16ラウンド」に昇格する旨が報知される。そして、大当り遊技は、動画K9及び大当り中ラウンド昇格演出によって報知されたように、16ラウンドまで付与されることになる。
【0114】
したがって、本実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
・・・
【0115】
(2)報知演出で報知された報知内容(実施形態では、確定停止表示された図柄組み合わせ)とは異なる観点で、決定された大当りの種類を示唆するよう、遊技演出(実施形態では、動画再生演出)を実行させた。これにより、同じ遊技演出が実行された場合であっても、その遊技演出が実行される迄に報知演出によって特典の種類がどこまで報知されたかによってその意味合いが異なってくるため、遊技者に対して有利な展開となることに期待を持たせることができる。
【0116】
(3)確変大当りを確定的に認識し得る図柄組み合わせが確定停止表示された状態時では、大当り遊技終了時点で獲得し得る総賞球数(実施形態では、規定ラウンド数)を確定的又は非確定的に示唆する遊技演出(実施形態では、動画再生演出)を実行させる。その一方で、確変大当りを確定的に認識し得ない図柄組み合わせが確定停止表示された状態時では、少なくとも大当り抽選の抽選確率を確定的又は非確定的に示唆する遊技演出を実行させるようにした。これにより、同じ遊技演出が実行された場合であっても、その遊技演出が実行される迄に確変大当りを確定的に認識し得る図柄組み合わせが確定停止表示されたか否かによってその意味合いが異なってくる。そして、どのような大当りの図柄組み合わせが導出された場合であっても、遊技演出の種類によって遊技者にとって有利な展開となることに対して期待を持たせることができる。」
上記記載事項(1-ア)~(1~ケ)から以下のことが導かれる。なお、(1-a)~(1-k)は、本願補正発明の構成A~Kに対応した事項を示している。
(1-a)図1で図示されるパチンコ機の全体構成と上記段落【0022】の「遊技盤10に配設した始動入賞口(上始動入賞口14又は下始動入賞口15)に遊技球が入球する」との記載から、前記「遊技盤10」が、打ち出された「遊技球」が流下する遊技領域を有していることは明らかである。
以上から、図1及び上記段落【0022】には、「打ち出された遊技球が流下する遊技領域を有する遊技盤10」が記載されているといえる。
(1-b)上記段落【0022】の「遊技盤10に配設した始動入賞口(上始動入賞口14又は下始動入賞口15)に遊技球が入球する」との記載、上記段落【0023】の「上始動入賞口14は、常時遊技球の入球を許容し得るように入球口14aを常時開放させた構成とされ・・・下始動入賞口15は、・・・開閉羽根16が開動作することにより遊技球の入球を許容し得るように入球口15aを開放させる構成とされ」と記載されている。
上記記載から、上記段落【0022】、【0023】には、「遊技領域を流下する遊技球の入球が可能な始動入賞口(上始動入賞口14又は下始動入賞口15)」が記載されているといえる。
(1-c)上記段落【0025】には、「下始動入賞口15の下方には、・・・開閉動作を行う大入賞口扉17を備えた大入賞口・・・18が配設されて」、「大入賞口18は、大当り遊技中に大入賞口扉17の開動作によって開放されることで遊技球の入球が許容される」との記載がある。
上記記載から、上記段落【0025】には、「遊技領域を流下する遊技球の入球が可能な大入賞口18」が記載されているといえる。
(1-d)上記段落【0025】には、「大入賞口18は、大当り遊技中に大入賞口扉17の開動作によって開放されることで遊技球の入球が許容され」との記載がある。この記載は、反面、「大入賞口18は、大当り遊技中に大入賞口扉17の閉動作によって閉鎖される」ことを意味することは明らかである。
以上から、上記段落【0025】には、「開動作によって大入賞口18を開放することで遊技球の入球を許容し、閉動作によって大入賞口18を閉鎖する大入賞口扉17」が記載されているといえる。
(1-e)上記段落【0058】には、「主制御用CPU30aは、・・・上始動入賞口14又は下始動入賞口15へ遊技球が入球し、該遊技球を検知した始動口スイッチSW1,SW2が出力する検知信号を入力すると、大当り判定用乱数・・・の値を・・・取得する」との記載がある。上記段落【0060】には、「主制御用CPU30aは、・・・大当り判定用乱数の値を読み出し、該値と大当り判定値とを比較し、大当りか否かの大当り判定(大当り抽選)を行う」との記載がある。上記段落【0064】には、「主制御用CPU30aは、大当りを決定した場合・・・大当り遊技の制御を開始する」との記載がある。
これらの記載から、上記段落【0058】、【0060】、【0064】には、「上始動入賞口14又は下始動入賞口15へ遊技球が入球したのを契機として、大当り遊技の制御を開始する大当りか否かを判定する大当たり抽選を行う主制御用CPU30a」が記載されているといえる。
(1-f)上記段落【0060】には、「大当りか否かの大当り判定(大当り抽選)を行う。・・・大当り判定の判定結果が肯定の場合、・・・特別図柄表示装置12に確定停止表示させる大当り図柄を決定する。なお、特別図柄の大当り図柄は、前述したように大当りの種類毎に設定されている」、「大当りの種類を決定する主制御用CPU30aが、大当り種決定手段として機能する」との記載がある。
これらの記載から、上記段落【0060】には、「大当たり抽選で結果が肯定の場合に、大当りの種類を決定する主制御用CPU30a」が記載されている。
(1-g)上記段落【0066】には、「演出制御用CPU31aは、特別図柄用の停止図柄指定コマンド・・・にしたがって演出表示装置11に確定停止表示させる飾り図柄を決定する」との記載がある。上記段落【0074】には、「演出制御用CPU31aは、画像表示用データをもとに図柄変動ゲームを画像表示させるように演出表示装置11の表示内容を制御するとともに、図柄変動ゲーム中に図柄停止コマンドを入力すると、決定した飾り図柄を演出表示装置11に確定停止表示させて図柄変動ゲームを終了させる」との記載がある。
これらの記載から、上記段落【0066】、【0074】には、「特別図柄用の停止図柄指定コマンドにしたがって決定された飾り図柄を演出表示装置11に確定停止表示させる演出制御用CPU31a」が記載されているといえる。
(1-h)上記段落【0064】には、「主制御用CPU30aは、大当りを決定した場合・・・最終停止図柄に基づき特定された種類の大当り遊技の制御を開始する」との記載がある。
この記載から、上記段落【0064】には、「大当りを決定した場合、最終停止図柄に基づき特定された種類の大当り遊技の制御を開始する主制御用CPU30a」が記載されているといえる。
(1-i)上記段落【0031】には、「16R確変大当り遊技では、規定ラウンド数を「16回」としている一方で、7R確変大当り遊技・・・では、規定ラウンド数を「7回」としている」との記載があり、上記段落【0066】には、「演出制御用CPU31aは、特別図柄として16R確変大当りに対応する大当り図柄が指示されている場合、飾り図柄として確変大当りを確定的に認識し得る図柄組み合わせを決定する」との記載がある。上記段落【0067】には、「7R確変大当りに対応する大当り図柄が指示されている場合、飾り図柄として確変大当りを確定的に認識し得る図柄組み合わせ、又は確変大当りを確定的に認識し得ない図柄組み合わせを決定する」との記載がある。そして、上記段落【0025】には、「大入賞口18は、大当り遊技中に大入賞口扉17の開動作によって開放されることで遊技球の入球が許容される」との記載がある。
これらの記載から、上記段落【0031】、【0066】、【0067】、【0025】には、「特別図柄として規定ラウンド数を16回とする16R確変大当り及び規定ラウンド数を7回とする7R確変大当りに対応する大当り図柄が指示されている場合、大入賞口扉17の開動作によって開放されることで遊技球の入球が許容される大当り遊技とする」ことが記載されているといえる。
(1-j)上記段落【0043】には、「大当り演出は、図柄変動ゲームが、リーチ演出を経て最終的に大当り図柄を確定停止表示させるように展開される演出である」、「はずれ演出は、図柄変動ゲームが、リーチ演出を経ることなく最終的にはずれ図柄を確定停止表示させるように展開される演出である」との記載がある。
これらの記載から、上記段落【0043】には、「大当り演出又ははずれ演出に係る図柄変動ゲームは、最終的に「大当り図柄」又は「はずれ図柄」を確定停止表示させるまで行う展開と確定停止表示とを含むこと」が記載されているといえる。
(1-k)上記段落【0099】には、「大当りの図柄組み合わせを構成する図柄が確定図柄であった場合に選択可能な動画選択テーブルとして、・・・5種類のテーブルが設定されている。これらの動画選択テーブル・・・では・・・規定ラウンド数に応じて動画K1~K10の選択確率が異なるように設定されている」と記載されている。上記段落【0104】には、「確変大当りを確定的に認識し得る図柄組み合わせが一旦停止表示された際に実行される動画再生演出では、その演出内容から、規定ラウンド数が想定可能となる。すなわち、動画の1回あたりの演出時間が長いほど、16R確変大当り遊技が付与される可能性が高いことが示唆される」と記載されている。そして、大当りの図柄組み合わせが形成された際の演出実行態様を示すタイミングチャートを示している図11(c)には、「リーチ形成よりも後に動画再生演出を行うこと」が図示されている。そして、上記段落【0113】には、「演出制御用CPU31aは、・・・動画を決定し、再生させる」との記載がある。
なお、上記【0032】には、「1回のラウンド遊技における入球上限個数を「9球」に設定するとともに、1回のラウンド遊技時間を「25秒」としている。これにより、規定ラウンド数が多いほど、獲得し得る賞球数が多くなる」との記載があり、「規定ラウンド数」が「大当り遊技において獲得し得る賞球数を示唆する」ことが記載されているといえる。
以上から、上記段落【0032】、【0099】、【0104】、【0113】、図11(c)には、「演出制御用CPU31aは、大当り抽選で結果が肯定の場合に、リーチ演出を経る大当り演出を行い、大当りの図柄組み合わせを構成する図柄が確定図柄であった場合に、前記大当り演出の実行中におけるリーチ形成よりも後に、規定ラウンド数に応じた動画再生演出を行うことにより、大当り遊技において獲得し得る賞球数を示唆すること」が記載されている。
上記記載事項(1-ア)~(1-ケ)、認定事項(1-a)~(1-k)から、刊行物1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる(a~lは、本願補正発明のA~Kに対応させて当審で付した。)。
「a 打ち出された遊技球が流下する遊技領域を有する遊技盤10と(認定事項(1-a))、
b 遊技領域を流下する遊技球の入球が可能な始動入賞口(上始動入賞口14又は下始動入賞口15)と(認定事項(1-b))、
c 遊技領域を流下する遊技球の入球が可能な大入賞口18と(認定事項(1-c))、
d 開動作によって大入賞口18を開放することで遊技球の入球を許容し、閉動作によって大入賞口18を閉鎖する大入賞口扉17と(認定事項(1-d))、
e 上始動入賞口14又は下始動入賞口15へ遊技球が入球したのを契機として、大当り遊技の制御を開始する大当りか否かを判定する大当り抽選を行う主制御用CPU30aと(認定事項(1-e))、
f 大当たり抽選で結果が肯定の場合に、大当りの種類を決定する主制御用CPU30aと(認定事項(1-f))、
g 特別図柄用の停止図柄指定コマンドにしたがって決定された飾り図柄を演出表示装置11に確定停止表示させる演出制御用CPU31aと(認定事項(1-g))、
h 大当りを決定した場合、最終停止図柄に基づき特定された種類の大当り遊技の制御を開始する主制御用CPU30aと(認定事項(1-h))、
を備え、
i 特別図柄として規定ラウンド数を「16回」とする16R確変大当り及び規定ラウンド数を「7回」とする7R確変大当りに対応する大当り図柄が指示されている場合、大入賞口扉17の開動作によって開放されることで遊技球の入球が許容される大当り遊技とし(認定事項(1-i)、
j 大当り演出又ははずれ演出に係る図柄変動ゲームは、最終的に「大当り図柄」又は「はずれ図柄」を確定停止表示させるまで行う展開と、確定停止表示とを含み(認定事項(1-j))、
k 演出制御用CPU31aは、大当り抽選で結果が肯定の場合に、リーチ演出を経る大当り演出を行い、大当りの図柄組み合わせを構成する図柄が確定図柄であった場合に、前記大当り演出の実行中におけるリーチ形成よりも後に、規定ラウンド数に応じた動画再生演出を行うことにより、大当り遊技において獲得し得る賞球数を示唆する(認定事項(1-k))パチンコ遊技機(段落【0016】)」
が記載されている。
イ 刊行物2
本願の出願前に頒布された刊行物である特開2006-109958号公報(以下、「刊行物2」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている(下線は当審で付した。以下同じ。)。
「【請求項3】
前記演出データ記憶手段は、前記遊技態様指定コマンドから特定される実行回数よりも少ないラウンド数を特定可能に一旦報知し、該少ないラウンド数を実行した後にさらに実行されるラウンドがあることを報知する上乗せ演出の実行が可能な上乗せ演出データを記憶し、
前記遊技態様報知演出制御手段は、
前記演出パターン決定手段によって前記上乗せ演出データが選択されたとき、前記遊技態様指定コマンドから特定される実行回数よりも少ないラウンド数を特定可能に一旦報知する演出の実行を制御する少数ラウンド報知演出制御手段と、
前記少数ラウンド報知演出制御手段によって報知されたラウンド数を実行したときに、更に実行されるラウンドがあることを報知する演出の実行を制御する継続可能報知演出制御手段と、
を備える、
ことを特徴とする請求項2に記載の遊技機。
・・・
【0260】
・・・プロセス制御では、遊技状態に応じてパチンコ遊技機を所定の順序で制御するためのプロセスフラグに従って該当する処理が選び出されて実行される。・・・
【0261】
図43は、図40のステップS575の上乗せ演出処理の一例を示すフローチャートである。
・・・
【0264】
VDP203は、このときに設定されたCGROM204のアドレスから画像データを読み出し、その画像データから生成した映像信号を第2表示装置4Bに供給することで、ラウンドの実行中においてこれまで報知されていたラウンドの実行回数よりも継続ラウンド回数として決定されたラウンドの実行回数の方が多く、さらにラウンドを継続させることが可能である旨を報知する演出表示を行わせることができる。このため、遊技者は、少ないラウンド数が報知されたときでも、報知された回数のラウンドの終了後、さらにラウンドが継続可能である旨が報知されるのではないかと期待を持つことができる。このようにして、大当り状態における遊技の興趣を高めることができる。」
以上の記載から、刊行物2には、以下の技術事項が記載されているといえる。
「ラウンドの実行中に、継続ラウンド回数として決定されたラウンドの実行回数よりも少ないラウンド数を一旦報知する演出を行った後、これまで報知されていたラウンドの実行回数よりも更に実行されるラウンドがあることを報知する演出を行うことが可能なパチンコ遊技機。」
ウ 刊行物3
本願の出願前に頒布された刊行物である特開2007-215866号公報(以下、「刊行物3」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている(下線は当審で付した。以下同じ。)。
「【0025】実施の形態1.
まず、遊技機の一例であるパチンコ遊技機の全体の構成について説明する。図1はパチンコ遊技機を正面からみた正面図である。
・・・
【0154】
ステップS202において大当りフラグがセットされていると判定されたときは(ステップS202のY)、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、15Rフラグがセットされているかどうかによって、大当りが15ラウンドの大当りであるか否かを確認する(ステップS207)。大当りが15ラウンドの大当りでなく2ラウンドの大当りであるときは(ステップS207のN)、特別図柄の変動パターンとしてノーマルリーチの変動パターン♯3を決定する(ステップS208)。大当りが15ラウンドの大当りであるときは(ステップS207のY)、特別図柄の変動パターンとしてスーパーリーチの変動パターン♯4を決定する(ステップS209)。このように、遊技状態が通常遊技状態のとき、2ラウンドの大当りの場合にノーマルリーチを伴う変動パターン♯3が常に決定され、15ラウンドの大当りの場合にスーパーリーチを伴う変動パターン♯4が常に決定されることになる。
・・・
【0231】
・・・図21は、スーパーリーチを伴う変動パターンの表示例を示す説明図である。・・・スーパーリーチを伴う変動では、最初、左中右の飾り図柄が高速で変動する通常変動が可変表示装置9において行われる。・・・この実施の形態では、遊技状態が確変状態のときは、大当りのときにしかリーチが発生しないので・・・、リーチが発生すると大当りの発生が確定していることになる。従って、遊技者は、通常変動が行われているときはリーチの発生をまず期待する。
【0232】
図21に示すように、飾り図柄の変動が開始されてから所定時間経過すると、リーチ(ノーマルリーチ)の発生を予告する予告演出が実行される。図21に示す例では、「UFO」が出現することによりリーチの発生を予告している。このとき、遊技者は、予告演出の実行によりリーチの発生を認識し、リーチの発生により15ラウンド大当りの発生を期待する。
【0233】
その後、左右の飾り図柄が同一図柄「7」で停止することにより、ノーマルリーチに発展する。そして、ノーマルリーチに発展してから所定時間が経過すると、中の飾り図柄が「8」で停止する。このとき、図21に示すように、可変表示装置9には「787」の飾り図柄が停止表示されている。このままスーパーリーチに発展せずに「787」の図柄が停止図柄として確定すると(変動が終了すると)、遊技者にとって望ましくない2ラウンドの大当りが発生することになる。従って、このとき、遊技者は、スーパーリーチに発展して15ラウンドの大当りが確定することを期待する。
【0234】
図21に示す例では、「787」の図柄は仮停止された状態であって、再び、中の飾り図柄の変動が開始される。これにより、スーパーリーチに発展する。遊技者は、スーパーリーチに発展したことにより15ラウンドの大当りが発生することを認識する。図21に示すスーパーリーチの変動では、キャラクタ(人のキャラクタ)が登場するとともに、中の飾り図柄が低速で変動している。なお、スーパーリーチの変動パターンとして図8に示したようにあらかじめ複数種類用意されているが、確変状態のときに実行されるスーパーリーチの変動パターンは、前回の大当りの終了時にミッションとして提示されたスーパーリーチの変動パターン(複数のスーパーリーチが提示されたときはそのうちの一の変動パターン)である。
【0235】
そして、所定時間経過後に、中の飾り図柄が左右の飾り図柄と同一の図柄「7」で停止することによって、左中右の飾り図柄が同一図柄で揃った状態(「777」)となり、15ラウンドの大当りが発生する。
【0236】
以上のように、確変状態に制御されているときは、ノーマルリーチが発生するか否かと、ノーマルリーチが発生した後にスーパーリーチに発展するか否かとに興味を持たせることができ、その結果、ノーマルリーチが発生する前と後の両時点において遊技者に15ラウンド大当りに対する期待感を持たせることができる。・・・
【0237】
なお、遊技状態が通常遊技状態に制御されているときは、リーチ(ノーマルリーチおよびスーパーリーチ)が発生しても、必ずしも大当りになるとは限らない(ステップS201のN、S202~S204、S207~S209参照)。このため、リーチが発生するか否かやスーパーリーチに発展するか否かに対する興味は確変状態のときよりも弱くなるかもしれないが、大当りが発生するときは常にリーチを伴う変動パターンが実行され、また15ラウンドの大当りが発生するときは常にスーパーリーチの変動パターンが実行されるように構成しているので(ステップS207~S209)、遊技者はリーチが発生することにより大当りの発生を当然期待し、またスーパーリーチに発展することにより15ラウンドの大当りの発生を当然期待することになる。」
以上の記載から、刊行物3には、以下の技術事項が記載されているといえる。
「遊技状態が確変状態、通常遊技状態のいずれの状態であっても、15ラウンドの大当りが確定した場合のスーパーリーチを伴う変動において、ノーマルリーチが発生した後にスーパーリーチに発展すれば、遊技者は15ラウンドの大当りが発生することを認識し、スーパーリーチに発展しなければ2ラウンドの大当りが発生するようにしたパチンコ遊技機。」
(3)対比
本願補正発明と引用発明とを、分説に従って対比する。
(a)引用発明の「遊技盤10」は、本願補正発明の「遊技盤」に相当するから、引用発明の「打ち出された遊技球が流下する遊技領域を有する遊技盤10」は、本願補正発明の「打ち出された遊技球が流下する遊技領域を有する遊技盤」に相当する。
したがって、引用発明における構成aは、本願補正発明における構成Aに相当する。
(b)引用発明の「始動入賞口(上始動入賞口14又は下始動入賞口15)」は、本願補正発明の「第1入球口」に相当するから、引用発明の「遊技領域を流下する遊技球の入球が可能な始動入賞口(上始動入賞口14又は下始動入賞口15)」は、本願補正発明の「前記遊技領域を流下する遊技球の入球が可能な第1入球口」に相当する。
したがって、引用発明における構成bは、本願補正発明における構成Bに相当する。
(c)引用発明の「大入賞口18」は、本願補正発明の「第2入球口」に相当するから、引用発明の「遊技領域を流下する遊技球の入球が可能な大入賞口18」は、本願補正発明の「前記遊技領域を流下する遊技球の入球が可能な第2入球口」に相当する。
したがって、引用発明における構成cは、本願補正発明における構成Cに相当する。
(d)引用発明の「大入賞口扉17」は、本願補正発明の「開閉部材」に相当する。引用発明の「開動作によって大入賞口18を開放することで遊技球の入球を許容」する状態は、本願補正発明の「前記第2入球口への遊技球の入球を容易にする第1状態」に相当し、引用発明の「閉動作によって大入賞口18を閉鎖する」状態は、本願補正発明の「遊技球の入球を困難にする第2状態」に相当する。
したがって、引用発明における構成dは、本願補正発明における構成Dに相当する。
(e)引用発明の「上始動入賞口14又は下始動入賞口15へ遊技球が入球したのを契機として」は、本願補正発明の「前記第1入球口への遊技球の入球を契機として」に相当する。
引用発明の「大当り遊技」は、本願補正発明の「特定遊技状態」に相当する。引用発明の「主制御用CPU30a」は、「大当り遊技の制御を開始する大当たりか否かを判定する大当たり抽選を行う」から、本願補正発明の「当たり抽選手段」に相当する。
したがって、引用発明における構成eは、本願補正発明における構成Eに相当する。
(f)引用発明の「大当たり抽選で結果が肯定の場合」は、本願補正発明の「前記当たり抽選に当選した場合」に相当する。引用発明の「大当りの種類」は、本願補正発明の「生起させる前記特定遊技状態の種別」に相当する。引用発明の「主制御用CPU30a」は、「大当たり抽選で結果が肯定の場合、大当りの種類を決定する」から、本願補正発明の「種別決定手段」に相当する。
したがって、引用発明における構成fは、本願補正発明における構成Fに相当する。
(g)引用発明の「特別図柄用の停止図柄指定コマンドにしたがって決定された飾り図柄」は、本願補正発明の「当たり抽選の結果」に相当し、上記「決定された飾り図柄」を「演出表示装置11に確定停止表示させる」ことは、本願補正発明の「当該当たり抽選の結果」を「報知する報知表示を実行」することに相当する。引用発明の「演出制御用CPU31a」は、「特別図柄用の停止図柄指定コマンドにしたがって決定された飾り図柄を演出表示装置11に確定停止表示させる」から、本願補正発明の「表示制御手段」に相当する。
したがって、引用発明における構成gは、本願補正発明における構成Gに相当する。
(h)引用発明の「大当りを決定した場合」は、本願補正発明の「前記当たり抽選に当選した場合」に相当する。引用発明の「最終停止図柄に基づき特定された種類」の「大当り遊技」は、「前記種別決定手段により決定された種別に応じ」た「前記特定遊技状態」に相当し、引用発明の「大当り遊技の制御を開始する」ことは、本願補正発明の「前記特定遊技状態を生起させる」ことに相当する。引用発明の「主制御用CPU30a」は、「最終停止図柄に基づき特定された種類の大当り遊技の制御を開始する」から、本願補正発明の「特定遊技状態生起手段」に相当する。
したがって、引用発明における構成hは、本願補正発明における構成Hに相当する。
(i)引用発明の「特別図柄として規定ラウンド数を「16回」とする16R確変大当り及び規定ラウンド数を「7回」とする7R確変大当りに対応する大当り図柄が指示されている場合」は、本願補正発明の「前記特定遊技状態の生起中」に相当する。引用発明の「16R確変大当り及び7R確変大当り」に対応する「大入賞口扉17の開動作によって開放されることで遊技球の入球が許容される大当り遊技」は、本願補正発明の「前記開閉部材が前記第1状態から前記第2状態に変位されるラウンド遊技」に相当する。引用発明の「規定ラウンド数を「16回」とする16R確変大当り」及び「規定ラウンド数を「7回」とする7R確変大当り」は、本願補正発明の「実行される前記ラウンド遊技の回数が互いに異なる複数の種別」に相当する。
したがって、引用発明における構成iは、本願補正発明における構成Iに相当する。
(j)引用発明の「最終的に「大当り図柄」又は「はずれ図柄」を確定停止表示させるまで行う展開」は、本願補正発明の「識別情報の変動表示」に相当し、引用発明の「最終的」な「大当り図柄」又は「はずれ図柄」の「確定停止表示」は、本願補正発明の「前記当たり抽選の結果に応じた態様による識別情報の停止表示」に相当する。
したがって、引用発明における構成jは、本願補正発明における構成Jに相当する。
(k)引用発明の「大当り抽選で結果が肯定の場合」は、本願補正発明の「前記当たり抽選に当選した場合」に相当する。
引用発明の「大当り演出」は、「リーチ演出を経る」ものであるから、本願補正発明の「識別情報の変動表示」に含まれる。
引用発明の「大当りの図柄組み合わせを構成する図柄が確定図柄であった場合」は、本願補正発明の「前記種別決定手段により前記複数の種別のうち所定種別が決定された場合」に相当する。
また、本願補正発明の「当該所定種別の前記特定遊技状態において獲得することが可能な賞球数である最多賞球数・・・を示唆する示唆情報」の解釈について、本願明細書の「前記示唆情報により示唆される賞球数は、前記所定種別の特定遊技状態において実行される前記ラウンド遊技の回数に基づいて決定されることを特徴とする」(段落【0009】参照)との記載、及び、パチンコ遊技機におけるラウンド遊技において、特定の演出内容を、当該大当り遊技におけるラウンド数及び獲得可能な賞球数(出玉数)を示唆するものとすることは、本願の出願日当時の技術常識であること(例えば、「CRヱヴァンゲリヲン~始まり福音~Light Ver.II」,パチンコ必勝ガイド パチンコ年鑑2011,株式会社白夜書房,平成23年1月22日,第23巻,第5号,p.140参照。大当り中の特定演出が、15R確変への昇格とこれに伴う約2025発の出玉獲得を示唆すること、8R確変への昇格とこれに伴う約1080発の出玉獲得を示唆することが図示されている。)にかんがみ、上記「当該所定種別の前記特定遊技状態において獲得することが可能な賞球数である最多賞球数・・・を示唆する示唆情報」には、「ラウンド遊技の回数」や当該「ラウンド遊技の回数を示唆する特定の演出内容」も含まれるものとして解釈するのが妥当である。
そうすると、引用発明における「規定ラウンド数に応じた動画再生演出を行うことにより、大当り遊技において獲得し得る賞球数を示唆する」ことは、本願補正発明の「当該所定種別の前記特定遊技状態において獲得することが可能な賞球数である最多賞球数を示唆する示唆情報の表示を実行」することに相当する。
そして、引用発明の「演出制御用CPU31a」は、(g)で示したとおり、本願補正発明の「表示制御手段」に相当し、引用発明の「パチンコ遊技機」は、本願補正発明の「遊技機」に相当するものである。
以上から、引用発明における構成kと本願補正発明における構成Kとは、「前記当たり抽選に当選した場合に、識別情報の変動表示においてリーチ状態を形成し、前記種別決定手段により前記複数の種別のうち所定種別が決定された場合に、当該当たり抽選の結果を報知する前記報知表示の実行中における前記リーチ状態の形成より後に、当該所定種別の前記特定遊技状態において獲得することが可能な賞球数である最多賞球数を示唆する示唆情報の表示を実行する遊技機」である点で共通する。
上記(a)~(k)から、本願補正発明と引用発明とは、
[一致点]
「A 打ち出された遊技球が流下する遊技領域を有する遊技盤と、
B 前記遊技領域を流下する遊技球の入球が可能な第1入球口と、
C 前記遊技領域を流下する遊技球の入球が可能な第2入球口と、
D 前記第2入球口への遊技球の入球を困難にする第1状態と遊技球の入球を容易にする第2状態とに変位することが可能な開閉部材と、
E 前記第1入球口への遊技球の入球を契機として、特定遊技状態を生起させるか否かを決定する当たり抽選を実行する当たり抽選手段と、
F 前記当たり抽選に当選した場合に、生起させる前記特定遊技状態の種別を決定する種別決定手段と、
G 前記当たり抽選が実行された場合に、当該当たり抽選の結果を報知する報知表示を実行する表示制御手段と、
H 前記当たり抽選に当選した場合に、前記種別決定手段により決定された種別に応じて、前記特定遊技状態を生起させる特定遊技状態生起手段と、を備え、
I 前記特定遊技状態の生起中には、前記開閉部材が前記第1状態から前記第2状態に変位されるラウンド遊技が実行され、
前記特定遊技状態の種別として、実行される前記ラウンド遊技の回数が互いに異なる複数の種別が含まれ、
J 前記報知表示は、識別情報の変動表示と、前記当たり抽選の結果に応じた態様による識別情報の停止表示と、を含み、
K’前記表示制御手段は、前記当たり抽選に当選した場合に、識別情報の変動表示においてリーチ状態を形成し、前記種別決定手段により前記複数の種別のうち所定種別が決定された場合に、当該当たり抽選の結果を報知する前記報知表示の実行中における前記リーチ状態の形成より後に、当該所定種別の前記特定遊技状態において獲得することが可能な賞球数である最多賞球数を示唆する示唆情報の表示を実行する遊技機。」
である点で一致し、以下の点で相違する。
[相違点]
「表示制御手段」が「当該報知表示の実行中における前記リーチ状態の形成より後」に「当該所定種別の前記特定遊技状態において獲得することが可能な賞球数である最多賞球数を示唆する示唆情報の表示」を実行する際、本願補正発明は、「最多賞球数より少ない賞球数を示唆する示唆情報の表示を実行した後に、前記最多賞球数を示唆する示唆情報の表示を実行する」のに対し、引用発明は、そのような特定がなされていない点。
(4)判断
上記相違点について検討する。
ア 相違点について
まず、本願補正発明の「当該当たり抽選の結果を報知する前記報知表示の実行中における前記リーチ状態の形成より後に」の解釈について、本願の明細書の「「賞球数報知リーチ」では、演出図柄z1,z2がリーチ状態を形成した際に、リーチ演出として、リーチ時賞球数報知演出が実行される。リーチ時賞球数報知演出では、その後に生起される大当たり遊技状態・・・において獲得することが可能な賞球数を示す情報である獲得予定賞球数情報が表示される。」(段落【0139】参照)、「 「ボーナス演出」では、当たり時賞球数報知演出及び獲得球数報知演出が実行される。当たり時賞球数報知演出では、当該大当たり遊技状態・・・において獲得することが可能な賞球数を示す情報である獲得予定賞球数情報が表示される。」(段落【0139】参照)などの記載にかんがみると、上記「当該当たり抽選の結果を報知する前記報知表示の実行中における前記リーチ状態の形成より後に」の期間には、「当たり抽選の結果を報知する前記報知表示の実行中」に限らず、当該リーチ状態の形成に起因してその後に生起する「大当たり遊技状態における演出中」も含まれる。
「第2[理由]3(2)イ」で認定したとおり、刊行物2には、「ラウンドの実行中に、継続ラウンド回数として決定されたラウンドの実行回数よりも少ないラウンド数を一旦報知する演出を行った後、これまで報知されていたラウンドの実行回数よりも更に実行されるラウンドがあることを報知する演出を行うことが可能なパチンコ遊技機」が記載されているといえる。
ここで、刊行物2の記載の「ラウンドの実行回数」は、本願補正発明の「当該所定種別の前記特定遊技状態において獲得することが可能な賞球数を示唆する示唆情報」に対応する。また、刊行物2に記載の「継続ラウンド回数として決定されたラウンドの実行回数よりも少ないラウンド数を一旦報知する演出」及び「これまで報知されていたラウンドの実行回数よりも更に実行されるラウンドがあることを報知する演出」は、それぞれ、本願補正発明の「最多賞球数より少ない賞球数を示唆する示唆情報の表示」及び「前記最多賞球数を示唆する示唆情報の表示」に対応する。
そして、「第2[理由]3(2)ア」で示した刊行物1の段落【0035】には、16R確変大当りに当選している場合にいずれかのラウンドで16Rに昇格させる演出を行うことが記載され、引用発明と刊行物2に記載された技術事項は、ラウンド遊技の回数が異なる大当り遊技状態を有し、ラウンド数を示唆することで遊技者の興趣を高めるものに関する点で共通する。
そうすると、7R確変大当り遊技状態と16R確変大当り遊技状態(引用発明の構成iを参照)を有する引用発明において、7R確変大当り遊技状態から16Rへの昇格演出に、刊行物2に記載の上記技術事項を適用し、7R確変大当り遊技状態にあることの報知(最多賞球数より少ない賞球数を示唆する示唆情報の表示)を行った後に、16Rへの昇格が行われたことの報知(前記最多賞球数を示唆する示唆情報の表示)を行うことで、上記相違点に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者が容易に想到しえた事項である。
そして、本願補正発明の作用効果は、引用発明、刊行物1及び刊行物2に記載された技術事項からみて格別のものではない。
イ 請求人の主張について
(ア)本願補正発明における「当該当たり抽選の結果を報知する前記報知表示の実行中における前記リーチ状態の形成より後に」の解釈については以上のとおりであるが、請求人は、平成28年8月4日付け審判請求書第3頁15行~同頁22行において、「本発明の構成」について、「本発明では、報知表示の実行中において、まず、示唆情報により、当選した種別の特定遊技状態により獲得することが可能な賞球数より少ない賞球数が示唆され、その後に、示唆情報により示唆されている賞球数が、当選した種別の特定遊技状態により獲得することが可能な賞球数に増加されます。」と主張しているので、本願の明細書の段落【0050】等に記載の「賞球数報知リーチ」、すなわち、演出図柄がリーチ状態を形成した際に、リーチ演出として、リーチ時賞球数報知演出が実行する場合について、一応検討しておく。
「第2[理由]3(2)ウ」で認定したとおり、刊行物3には、「遊技状態が確変状態、通常遊技状態のいずれの状態であっても、15ラウンドの大当りが確定した場合のスーパーリーチを伴う変動において、ノーマルリーチが発生した後にスーパーリーチに発展すれば、遊技者は15ラウンドの大当りが発生することを認識し、スーパーリーチに発展しなければ2ラウンドの大当りが発生するようにしたパチンコ遊技機」が記載されているといえる。
ここで、刊行物3に記載の「スーパーリーチに発展しな」い「ノーマルリーチ」及び「スーパーリーチ」は、それぞれ、「2ラウンドの大当り」、「15ラウンドの大当り」が発生することを遊技者に認識させるから、本願補正発明の「最多賞球数より少ない賞球数を示唆する示唆情報の表示」及び「前記最多賞球数を示唆する示唆情報の表示」に対応する。
そして、7R確変大当り遊技状態と16R確変大当り遊技状態(引用発明の構成iを参照)を有する引用発明において、遊技者の興趣を高めるために、規定ラウンド数に応じた動画再生演出に代えて、刊行物3に記載の技術事項を採用し、7R確変大当りに対応するリーチ演出(最多賞球数より少ない賞球数を示唆する示唆情報の表示)を行った後に、遊技者に16R確変大当りが発生することを認識させるリーチ演出に発展させること(前記最多賞球数を示唆する示唆情報の表示)で、上記相違点に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者が容易に想到しえた事項である。
そして、本願補正発明の作用効果は、引用発明、刊行物1及び刊行物3に記載された技術事項からみて格別のものではない。
(イ)また、請求人は、平成28年8月4日付け審判請求書第4頁14行~第5頁15行において、
「(b)本発明と引用発明との比較
引用文献1には、「確変大当りを確定的に認識し得る図柄組み合わせが一旦停止表示された際に実行される動画再生演出では、その演出内容から、規定ラウンド数が想定可能となる。すなわち、動画の1回あたりの演出時間が長いほど、16R確変大当り遊技が付与される可能性が高いことが示唆される。」旨が記載されております(段落0104参照)。
してみると、引用文献1に記載された発明では、動画再生演出が、その全体によって、一の「規定ラウンド数(総賞球数)」を示唆する構成となっております。
すなわち、引用文献1に記載された発明では、動画再生演出の実行中において、示唆される「規定ラウンド数(総賞球数)」が変更されることがありません。
これに対して、本発明では、報知表示の実行中において、示唆情報により示唆される賞球数が、当選した種別の特定遊技状態により獲得することが可能な賞球数より少ない賞球数から、当選した種別の特定遊技状態により獲得することが可能な賞球数に変更(増加)されます。
これによって、本発明では、報知表示の実行中において、特定遊技状態に当選したことに対する遊技者の達成感や幸福感を段階的に向上することが可能となります。
以上のように、引用文献1には、本発明に係る「所定種別の特定遊技状態において獲得することが可能な賞球数である最多賞球数より少ない賞球数を示唆する示唆情報の表示を実行した後に、最多賞球数を示唆する示唆情報の表示を実行する」構成が開示されておらず、これを示唆する記載もありません。また、かかる構成は、他の引用文献においても、開示も示唆もされておりません。
したがって、引用文献1乃至3に記載された発明では、本発明に係る「報知表示の実行中において、特定遊技状態に当選したことに対する遊技者の達成感や幸福感を段階的に向上することができ、遊技の興趣を向上することが可能となる」効果を奏することはありません。」
と主張している。
しかしながら、刊行物2又は刊行物3には、上記「ア 相違点について」及び「イ 請求人の主張について」(ア)で検討したとおり、遊技者が、少ないラウンド数が報知されたときであっても、ラウンド数が増加する旨の報知がさらになされるのではないかとの期待を持つことができるようにすることが記載されているから、請求人の当該主張を採用することができない。
ウ 小活
よって、本願補正発明は、引用発明、刊行物1及び刊行物2に記載された事項に基づいて当業者が容易に想到したものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際に独立して特許を受けることができない。
また、本願補正発明は、引用発明、刊行物1及び刊行物3に記載された事項に基づいて当業者が容易に想到したものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際に独立して特許を受けることができない
4 むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に規定するいずれの事項を目的とするものでもないから却下すべきものである。
また、仮に、本件補正が、特許請求の範囲の減縮に該当するとしたとしても、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、本件補正は、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正(平成28年8月4日付け手続補正)は、上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成28年4月8日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された、「第2[理由]1補正の内容」で示した特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものである(A~Kは、本願発明を分説するために当審で付した。)。
「【請求項1】
A 打ち出された遊技球が流下する遊技領域を有する遊技盤と、
B 前記遊技領域を流下する遊技球の入球が可能な第1入球口と、
C 前記遊技領域を流下する遊技球の入球が可能な第2入球口と、
D 前記第2入球口への遊技球の入球を困難にする第1状態と遊技球の入球を容易にする第2状態とに変位することが可能な開閉部材と、
E 前記第1入球口への遊技球の入球を契機として、特定遊技状態を生起させるか否かを決定する当たり抽選を実行する当たり抽選手段と、
F 前記当たり抽選に当選した場合に、生起させる前記特定遊技状態の種別を決定する種別決定手段と、
G 前記当たり抽選が実行された場合に、当該当たり抽選の結果を報知する報知表示を実行する表示制御手段と、
H 前記当たり抽選に当選した場合に、前記種別決定手段により決定された種別に応じて、前記特定遊技状態を生起させる特定遊技状態生起手段と、を備え、
I 前記特定遊技状態の生起中には、前記開閉部材が前記第1状態から前記第2状態に変位されるラウンド遊技が実行され、
前記特定遊技状態の種別として、実行される前記ラウンド遊技の回数が互いに異なる複数の種別が含まれ、
J 前記報知表示は、識別情報の変動表示と、前記当たり抽選の結果に応じた態様による識別情報の停止表示と、を含み、
K 前記表示制御手段は、前記当たり抽選に当選した場合に、識別情報の変動表示においてリーチ状態を形成し、前記種別決定手段により前記複数の種別のうち所定種別が決定された場合に、当該当たり抽選の結果を報知する前記報知表示の実行中における前記リーチ状態の形成より後に、当該所定種別の前記特定遊技状態において獲得することが可能な賞球数を球数の表示により示唆する示唆演出を開始することを特徴とする遊技機。」
2 刊行物に記載された事項
原査定の拒絶理由に引用された本願の出願前に頒布された刊行物1の記載事項及び引用発明の認定については、「第2[理由]3(2)ア」に記載したとおりである。
3 対比・判断
(1)対比
本願発明と引用発明とを対比する。
本願発明は、「第2[理由]」で検討した本願補正発明から、「当該所定種別の前記特定遊技状態において獲得することが可能な賞球数」に係る「表示」について、「最多賞球数より少ない賞球数を示唆する示唆情報の表示を実行した後に、前記最多賞球数を示唆する示唆情報の表示を実行する」なる限定を省くとともに、表示態様を「賞球数を示唆する示唆情報」ではなく、「球数」としたものである。
してみると、本願発明は、本願補正発明について検討した「第2[理由]3(3)対比」における[相違点]とは異なる以下の相違点を有する。
[相違点]
「当該報知表示の実行中における前記リーチ状態の形成より後」に「当該所定種別の前記特定遊技状態において獲得することが可能な賞球数」を、本願発明は、「球数」の表示により示唆するのに対し、引用発明は、そのような特定がなされていない点。
(2)判断
上記相違点について検討する。
ア 相違点について
パチンコ遊技機における演出において大当り遊技に関連して賞球の球数を表示することは、例えば、「パチンコ必勝本CLIMAX7月号,第21巻,第7号」(株式会社綜合図書,平成24年7月1日発行)(『パッチくんの教えてお姉さん!!』の特にp.123の下欄には、VICTORYモードにおいて、"5000 VOLT"の図柄を表示することにより、大当りを引いた場合に約5000発の出玉確定を示唆することが記載されている。また、『ぱちんこ超電磁ロボ コンバトラーV』の特にp.22の下方には、リーチ演出中に同様の図柄を表示することが記載されている。)、特開2012-213561号公報(段落【0047】~【0048】、【0051】、図6~9)や、特開2012-152595号公報(段落【0314】~【0315】、図24)等にも記載されているように本願の出願日当時、周知の技術事項である。
そして、引用発明は、ラウンド競技の回数が異なる大当り遊技状態を有し、大当リ遊技を開始する前にラウンド数を示唆する演出を行うことで遊技者の興趣を高めるものであるから、7R確変大当り遊技状態と16R確変大当り遊技状態(引用発明の構成iを参照)を有する引用発明において、16R確変大当りが確定した場合の当該大当り遊技の開始前の演出に、上記周知の技術事項を適用し、16R確変大当り状態において獲得可能な最多賞球数を表示することで、上記相違点に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易に想到しえた事項である。
そして、本願発明の作用効果は、引用発明、刊行物1に記載された事項及び上記周知の技術事項からみて格別のものではない。
4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。
したがって、その余の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2016-011770