特許拒絶査定不服審判
2016-008289
積層パッケージの製造システムおよび製造方法
- 審判番号
- 2016-008289
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2013-056338外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2016年06月06日
- 審決日
- 2017年04月18日
- 公報発行日
- 2017年06月30日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】パナソニックIPマネジメント株式会社
- 【請求人代理人】鎌田 健司
- 【請求人代理人】前田 浩夫
- 分類
- P18 .121-WY (H01L)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2013- 56338「積層パッケージの製造システムおよび製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 9月29日出願公開、特開2014-183162、請求項の数(4)〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、平成25年3月19日の出願であって、平成27年7月2日付け拒絶理由通知に対して同年8月3日付けで意見書が提出されたが、平成28年3月10日付けで拒絶査定がされ、これに対して、同年6月6日付けで拒絶査定不服審判が請求されたものである。
第2 本願発明
本願の請求項1ないし4に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明4」という。)は、願書に最初に添付された特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載された事項により特定される発明であるところ、本願発明3は次のとおりのものである。
「【請求項3】
ボトムパッケージにトップパッケージを積層して成る積層パッケージを製造する積層パッケージの製造方法であって、
複数の前記ボトムパッケージを保持したキャリアを光学認識することにより、前記キャリアに形成された代表マークの位置および前記キャリアにおける各ボトムパッケージの個別位置を検出する検査工程と、
前記個別位置が検出された後の前記キャリアに保持されたボトムパッケージに前記トップパッケージを実装する実装工程とを含み、
前記検査工程において、前記個別位置の前記代表マークに対する相対位置を各ボトムパッケージ毎に示す位置データを求めて前記実装工程へ転送し、
前記実装工程において、前記代表マークのみを位置認識した認識結果と前記転送された位置データとに基づいて各ボトムパッケージにトップパッケージを実装することを特徴とする積層パッケージの製造方法。」
第3 原査定の概要
原査定(平成28年3月10日付け拒絶査定)の概要は、次のとおりである。
本願請求項1ないし4に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
・引用例1:特開2008-263039号公報
・引用例2:特開2009-146969号公報(周知技術を示す文献)
・引用例3:特開2005-093839号公報(周知技術を示す文献)
第4 引用例
(1)原査定で引用された引用例1(特開2008-263039号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。なお、下線は当審で付与した。
ア.「【0001】
本発明は接続材料塗布装置および半導体装置の製造方法に関し、より詳細には半導体パッケージの接続端子にはんだ接合用の接続材料、たとえばフラックス、はんだペーストまたは銀ペースト等を塗布する接続材料塗布装置およびこの装置を用いて製造する半導体装置の製造方法に関する。」
イ.「【0018】
図1(a)は、粘着シートキャリア20をローダーから支持ステージ22上に搬出してセットした後、粘着シートキャリア20に半導体パッケージ50を整列させて配置している状態を示す。
粘着シートキャリア20に半導体パッケージ50をセットする際には、検知部25により支持ステージ22上における粘着シートキャリア20の位置を認識し、検知部25の認識結果に基づいて移載ヘッド26により粘着シートキャリア20の所定位置に半導体パッケージ50を搭載する。
【0019】
粘着シートキャリア20の上面に、位置認識用の識別マーク20a、20bを形成し、検知部25によりこれらの識別マーク20a、20bを検知することによって、支持ステージ22上における粘着シートキャリア20の位置(X-Y-θ位置)を検知することができる。
移載ヘッド26は半導体パッケージ50が収納されているトレイから、半導体パッケージ50を粘着シートキャリア20の所定位置に移載する操作をなす。制御部27は、検知部25によって検知された粘着シートキャリア20の位置に基づいて移載ヘッド26を制御し、粘着シートキャリア20上に所定配置で半導体パッケージ50を移載して配置する。」
ウ.「【0032】
図4は、スタック型の半導体装置を製造する場合における次工程を示したもので、粘着シートキャリア20に支持された半導体パッケージ50に接続材料60を供給した後、半導体装置の下段となる半導体パッケージ55を各々の半導体パッケージ50に位置合わせして搭載した状態を示す。半導体パッケージ55は、粘着シートキャリア20に整列して配置されている半導体パッケージ50に対して正確に位置合わせして搭載される。粘着シートキャリア20および半導体パッケージ50の位置はあらかじめ位置データとして認識されているから、これらの位置データに基づいて下段となる半導体パッケージ55を搭載すればよい。
半導体パッケージ55を搭載した後、粘着シートキャリア20に半導体パッケージ50、55を支持したままはんだリフロー炉に搬入してはんだリフロー工程を経過させ、半導体パッケージ50、55を一体に接合してスタック型の半導体装置が得られる。」
・上記ア及びウによれば、引用例1は、半導体パッケージ50、55を一体に接合したスタック型半導体装置の製造方法に関するものである。
・上記イによれば、粘着シートキャリア20に形成の識別マーク20a、20bを検知することによって、粘着シートキャリア20の位置を認識し、粘着シートキャリア20に半導体パッケージ50を搭載するものである。
・上記ウによれば、半導体パッケージ55を各々の半導体パッケージ50に搭載するものである。また、あらかじめ認識されている粘着シートキャリア20および半導体パッケージ50の位置データに基づいて半導体パッケージ55を搭載するものである。
したがって、上記摘示事項及び図面を総合勘案すると、上記引用例1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。
「半導体パッケージ50、55を一体に接合したスタック型半導体装置を製造する製造方法であって、
粘着シートキャリア20に形成の識別マーク20a、20bを検知することによって、該粘着シートキャリア20の位置を認識し、前記粘着シートキャリア20に前記半導体パッケージ50を搭載し、
前記半導体パッケージ55を各々の前記半導体パッケージ50に搭載し、
あらかじめ認識されている前記粘着シートキャリア20および前記半導体パッケージ50の位置データに基づいて前記半導体パッケージ55を搭載するスタック型半導体装置の製造方法。」
(2)原査定で引用された引用例2(特開2009-146969号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。なお、下線は当審で付与した。
エ.「【0020】
次に、キャリアにセットされた下側パッケージ20の表面(上面)を固定点に配設されたカメラにより撮影し、制御部が撮影画像を画像データ処理して異型パッド27の位置からキャリア上にセットされている下側パッケージ20の位置データを算出する。制御部には異型パッド27が基準位置にセットされた状態における基準画像データがあらかじめ登録されているので、撮影した下側パッケージ20の画像データと基準画像データとの差分から、キャリアにセットされている下側パッケージ20の基準位置に対する水平面内ずれ量および回転角度を算出することができる。このようにして算出した水平面内におけるずれ量および回転角度からなる位置ずれ量データ(位置データ)に基づいて、制御手段は搬送装置の把持部が自ら保持している上側パッケージ30を、待機位置からキャリアにセットされている下側パッケージ20に接近させ、接続パッド26および異型パッド27に、上側パッケージ30の外部接続端子38のそれぞれを位置合わせさせた状態で載置するように搬送装置の把持部の動作を制御する。
【0021】
下側パッケージ20の表面を撮影した画像の画像データをデータ処理する際において、異型パッド27が検出されるべき位置に接続パッド26が検出された場合には、キャリアにセットされている下側パッケージ20の向きが180度回転していることになる。このような場合、制御部は搬送装置の把持部の動作を停止させ、下側ペッケージ20に上側パッケージ30を搭載しないようにする。また、必要に応じてエラーメッセージを発する。」
したがって、上記エによれば、引用例2には、「キャリアにセットされた下側パッケージをカメラにより撮影し、撮影画像を画像データ処理して下側パッケージの位置データを算出する」技術事項、及び「キャリアにセットされている下側パッケージの向きが180度回転している場合、下側パッケージに上側パッケージを搭載しないようにする」技術事項が記載されていると認められる。
(3)原査定で引用された引用例3(特開2005-093839号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。なお、下線は当審で付与した。
オ.「【要約】
【課題】バンプの形状精度を高めてチップ電極中心と接続バンプ中心との位置ずれを低減するとともに、認識バンプを画像認識する際のコントラストが得やすい電子回路装置の製造方法および電子回路装置を提供する。
【解決手段】一方主面上に電極11を有する回路素子10と、一方主面上に設けられた接続バンプ電極2と認識バンプ用電極3とを有する基板1とを準備し、接続バンプ用電極2と認識バンプ用電極3とにそれぞれワイヤーボンディング法を用いて接続バンプ12と認識バンプ13とを形成する。光学的手段30を用いて撮影した認識バンプ13の画像に基づき、認識バンプ13の位置を検出し、その位置に基づき、回路素子10を接続バンプ12を介して基板1上に接合する。認識バンプ13の上部は凸形状であるため、電極3とのコントラストが得やすく、認識バンプ13の位置を計画に検出できる。
【選択図】 図7」
したがって、上記オによれば、引用例3には、「光学的手段を用いて、基板に形成された認識バンプの位置を検出する」技術事項が記載されていると認められる。
第5 対比・判断
1.本願発明3について
(1)対比
本願発明3と引用発明とを対比すると次のことがいえる。
a.引用発明の「半導体パッケージ50」、「半導体パッケージ55」及び「スタック型半導体装置」は、本願発明3の「ボトムパッケージ」、「トップパッケージ」及び「積層パッケージ」にそれぞれ相当するから、引用発明の「半導体パッケージ50、55を一体に接合したスタック型半導体装置を製造する方法」は、本願発明3の「ボトムパッケージにトップパッケージを積層して成る積層パッケージを製造する積層パッケージの製造方法」に相当する。
b.引用発明の「粘着シートキャリア20」及び「識別マーク20a、20b」は、本願発明3の「キャリア」及び「代表マーク」に相当する。
よって、引用発明の「粘着シートキャリア20に形成の識別マーク20a、20bを検知することによって、該粘着シートキャリア20の位置を認識し」は、本願発明3の「キャリアに形成された代表マークの位置を検出する検査工程」に相当する。
但し、本願発明3は、「複数の前記ボトムパッケージを保持した」キャリアであり、前記キャリアを「光学認識する」ものであり、「前記キャリアに形成された代表マークの位置および前記キャリアにおける各ボトムパッケージの個別位置」を検出しているのに対し、引用発明は、その旨の特定がされていない。
c.引用発明の「半導体パッケージ50」は、粘着シートキャリア20に搭載されるのである。よって、引用発明の「前記半導体パッケージ55を各々の前記半導体パッケージ50に搭載し」は、本願発明3の「前記キャリアに保持されたボトムパッケージに前記トップパッケージを実装する実装工程」に相当する。
d.本願発明3は、「前記検査工程において、前記個別位置の前記代表マークに対する相対位置を各ボトムパッケージ毎に示す位置データを求めて前記実装工程へ転送し」、「前記実装工程において、前記代表マークのみを位置認識した認識結果と前記転送された位置データとに基づいて」各ボトムパッケージにトップパッケージを実装するのに対し、引用発明は、その旨の特定がされていない。
したがって、本願発明3と引用発明とは、次の点で一致ないし相違する。
<一致点>
「ボトムパッケージにトップパッケージを積層して成る積層パッケージを製造する積層パッケージの製造方法であって、
キャリアに形成された代表マークの位置を検出する検査工程と、
前記キャリアに保持されたボトムパッケージに前記トップパッケージを実装する実装工程とを含み、
各ボトムパッケージにトップパッケージを実装する積層パッケージの製造方法。」
<相違点1>
検査工程において、本願発明3は、「複数の前記ボトムパッケージを保持した」キャリアを「光学認識する」ことにより、「前記キャリアに形成された代表マークの位置および前記キャリアにおける各ボトムパッケージの個別位置」を検出するのに対し、引用発明は、その旨の特定がされていない。
<相違点2>
検査工程において、本願発明3は、「前記個別位置の前記代表マークに対する相対位置を各ボトムパッケージ毎に示す位置データを求めて前記実装工程へ転送し」ているのに対し、引用発明は、その旨の特定がされていない。
<相違点3>
実装工程において、本願発明3は、「前記代表マークのみを位置認識した認識結果と前記転送された位置データとに基づいて各ボトムパッケージにトップパッケージを実装する」のに対し、引用発明は、その旨の特定がされていない。
(2)相違点についての判断
上記<相違点2>について検討する。
引用例2,3にも、相違点2に係る「前記検査工程において、前記個別位置の前記代表マークに対する相対位置を各ボトムパッケージ毎に示す位置データを求めて前記実装工程へ転送」することについての記載がない。
そして、本願発明3は、実装工程においてボトムパッケージの位置認識を個別に行う必要がなく、積層パッケージの製造における生産性を向上させることができるという効果を奏するものである(段落【0008】参照)。
よって、引用発明に引用例2及び3に記載された技術的事項を組み合わせたとしても、相違点2に係る発明特定事項を当業者が容易になし得たこととすることはできない。
なお、原査定では、「引用例1には、前記検知部25によって検知された粘着シートキャリア20上における半導体パッケージ50の位置データにしたがって転写機構部30と供給機構部40を制御する(第23段落)点が記載されていることから、検知部25は、粘着シートキャリア20上における半導体パッケージ50の個別位置を検出する機能を備えるものと認められ、位置データは、個別位置の識別マーク(代表マーク)に対する相対位置を示すデータであると認められる。」としている。
しかしながら、引用例1の上記イの記載によれば、検知部25によって検知された粘着シートキャリア20の位置に基づいて、半導体パッケージ50を粘着シートキャリア20上の所定位置に配置するものであるが、検知部25により検知されるのは、粘着シートキャリア20の位置のみであり、半導体パッケージ50の個別位置を検知しているとはいえない。
したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本願発明3は、引用発明及び引用例2,3に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
2.本願発明1について
本願発明1は、本願発明3に対応するシステム(物の発明)であり、本願発明3の相違点2に対応する発明特定事項を備えるものであるから、本願発明3と同様の理由により、引用発明及び引用例2,3に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明できたものとはいえない。
3.本願発明2及び4について
本願発明2及び4は、本願発明3の相違点2に対応する発明特定事項を備えるものであり、更に他の発明特定事項が限定されたものであるから、引用発明及び引用例2,3に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明できたものとはいえない。
第6 むすび
以上のとおり、本願発明1ないし4は、引用発明及び引用例2,3に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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