特許拒絶査定不服審判
2016-007945
遊技機
- 審判番号
- 2016-007945
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2014-230801外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2016年05月31日
- 審決日
- 2017年01月23日
- 公報発行日
- 2017年04月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】京楽産業.株式会社
- 【請求人代理人】特許業務法人 小笠原特許事務所
- 分類
- P18 .121-Z (A63F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第6項、特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2014-230801号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成27年3月19日出願公開、特開2015-51307号〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯の概要
本願は、平成24年12月14日に出願した特願2012-273321号の一部を平成26年11月13日に新たな特許出願(特願2014-230801号)としたものであって、平成27年11月12日付けで拒絶の理由が通知され、平成28年1月14日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、同年2月23日付けで拒絶査定がなされ(発送日:同年3月1日)、それに対し、同年5月31日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正書が提出されたものである。
第2 平成28年5月31日付けの手続補正についての補正却下の決定
平成28年5月31日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 補正の内容
本件補正は、特許請求の範囲の補正を含んでおり、本件補正により、平成28年1月14日付けの手続補正書における特許請求の範囲の請求項1における
「始動条件の成立により判定情報を取得する判定情報取得手段と、
前記判定情報取得手段により取得された判定情報に基づいて、特別遊技を行うか否かを判定する特別遊技判定手段と、
前記判定情報取得手段により取得された判定情報を所定数まで保留して記憶可能な判定情報記憶手段と、
画像表示手段に表示される演出を制御する演出制御手段とを備え、
前記演出制御手段は、
前記特別遊技判定手段による判定結果に基づいて、段階的に進行しない第1パターンの報知演出と、段階的に進行する第2パターンの報知演出とのいずれかを実行可能な報知演出制御手段と、
前記判定情報記憶手段により記憶されている判定情報があることを示す保留画像を、
前記判定情報記憶手段により記憶される判定情報の数だけ前記画像表示手段に表示させる保留画像表示制御手段とを有し、
前記保留画像表示制御手段は、前記報知演出制御手段により表示制御される1変動中において、前記報知演出制御手段が前記第1パターンの報知演出を実行する場合には、前記保留画像の表示から非表示の切り替えと、前記保留画像の非表示から表示への切り替えとを行わず、前記報知演出制御手段が前記第2パターンの報知演出を実行する場合には、前記報知演出の段階が進行するときに、前記保留画像の表示から非表示への切り替えと、前記保留画像の非表示から表示への切り替えとを行う、遊技機。」は、
審判請求時に提出された手続補正書(平成28年5月31日付け)における
「A 始動条件の成立により判定情報を取得する判定情報取得手段と、
B 前記判定情報取得手段により取得された判定情報に基づいて、特別遊技を行うか否かを判定する特別遊技判定手段と、
C 前記判定情報取得手段により取得された判定情報を所定数まで保留して記憶可能な判定情報記憶手段と、
D 画像表示手段に表示される演出を制御する演出制御手段とを備え、
E 前記演出制御手段は、
前記特別遊技判定手段による判定結果に基づいて、段階的に進行しない第1パターンの報知演出と、段階的に進行する第2パターンの報知演出とのいずれかを実行可能な報知演出制御手段と、
F 前記判定情報記憶手段により記憶されている判定情報があることを示す保留画像を、前記判定情報記憶手段により記憶される判定情報の数だけ前記画像表示手段に表示させる保留画像表示制御手段とを有し、
G 前記保留画像表示制御手段は、前記報知演出制御手段により表示制御される1変動中において、
G1 前記報知演出制御手段が前記第1パターンの報知演出を実行する場合には、前記保留画像の表示から非表示の切り替えと、前記保留画像の非表示から表示への切り替えとを行わず、
G2 前記報知演出制御手段が前記第2パターンの報知演出のうち、特定の報知演出を実行する場合には、前記報知演出の段階が進行するときに、前記保留画像の表示から非表示への切り替えと、前記保留画像の非表示から表示への切り替えとを行い、
G3 前記報知演出制御手段が前記第2パターンの報知演出のうち、前記特定の報知演出以外の報知演出を実行する場合には、前記保留画像の表示から非表示への切り替えと、前記保留画像の非表示から表示への切り替えとを行わない、遊技機。」に補正された(下線は、補正箇所を明示するために審決にて付した。また、A~Jは、当審にて分説して付与した。)。
2 補正の目的
上記補正は、補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「第2パターンの報知演出」に関して、「前記報知演出制御手段が前記第2パターンの報知演出を実行する場合には、前記報知演出の段階が進行するときに、前記保留画像の表示から非表示への切り替えと、前記保留画像の非表示から表示への切り替えとを行う」を「前記報知演出制御手段が前記第2パターンの報知演出のうち、特定の報知演出を実行する場合には、前記報知演出の段階が進行するときに、前記保留画像の表示から非表示への切り替えと、前記保留画像の非表示から表示への切り替えとを行い、前記報知演出制御手段が前記第2パターンの報知演出のうち、前記特定の報知演出以外の報知演出を実行する場合には、前記保留画像の表示から非表示への切り替えと、前記保留画像の非表示から表示への切り替えとを行わない」と限定するものであり、かつ、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1に記載された発明と本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そして、本件補正は新規事項を追加するものではない。
3 独立特許要件について
そこで、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に係る発明は、その請求項1に記載された事項により特定されるものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下「本件補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について以下に検討する。
(1)刊行物
原査定の拒絶理由において提示された、本願の遡及日前に頒布された刊行物である特開2011-120793号公報(以下「刊行物1」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている(下線は審決にて付した。以下同じ。)。
ア「【請求項1】
所定の始動領域を遊技媒体が通過した後に、可変表示の開始を許容する開始条件の成立にもとづいて、各々を識別可能な複数種類の識別情報の可変表示を行い表示結果を導出表示する可変表示部を備え、該可変表示部に特定表示結果が導出表示されたときに遊技者にとって有利な特定遊技状態に移行させる遊技機であって、
始動領域を遊技媒体が通過したときに、少なくとも、前記特定遊技状態に移行させるか否かを決定するための特定遊技状態決定用数値データを含む数値データを抽出する抽出手段と、
前記始動領域を遊技媒体が通過したにもかかわらず前記開始条件が成立していない可変表示について、前記抽出手段が抽出した前記数値データを所定の上限数を限度として保留記憶として記憶する保留記憶手段と、
前記保留記憶手段が記憶する保留記憶の数を視認可能に表示する保留記憶表示手段と、
前記特定遊技状態決定用数値データを用いて、前記特定遊技状態に移行させるか否かを表示結果の導出表示以前に決定する事前決定手段と、
前記事前決定手段による決定結果にもとづいて、前記識別情報の可変表示が開始されてから表示結果が導出表示されるまでに一旦非特定表示結果となる特殊表示結果を仮停止表示させた後に前記識別情報の可変表示を再度実行する再可変表示を1回または複数回実行する再可変表示パターンを含む複数種類の可変表示パターンから1の可変表示パターンを選択する可変表示パターン選択手段と、
前記可変表示パターン選択手段により選択された可変表示パターンにもとづいて、前記識別情報の可変表示を開始してから表示結果を導出するまでの演出を制御する演出制御手段と、
前記保留記憶の数を視認可能な状態から視認不能または視認困難な状態に切り替える切替手段と、を備え、
前記切替手段は、前記演出制御手段による前記再可変表示パターンにもとづく演出の実行中に、前記保留記憶の数を視認可能な状態から視認不能または視認困難な状態とし、
前記演出制御手段は、前記特殊表示結果が仮停止表示される可能性を予告する予告演出を実行する手段であって、予告演出の種類に応じて前記特殊表示結果となる割合が異なるように複数種類の予告演出のいずれかを選択して実行する予告演出実行手段を含む
ことを特徴とする遊技機。」
イ 「【技術分野】【0001】
本発明は、所定の始動領域を遊技媒体が通過した後に、可変表示の開始を許容する開始条件の成立にもとづいて、各々を識別可能な複数種類の識別情報の可変表示を行い表示結果を導出表示する可変表示部を備え、該可変表示部に特定表示結果が導出表示されたときに遊技者にとって有利な特定遊技状態に移行させるパチンコ遊技機等の遊技機に関する。」
ウ 「【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本発明は、再可変表示による演出を行う遊技機において、再可変表示が継続するか否かに対して遊技者の関心を高めさせることができ、遊技に対する興趣を向上させることができるようにすることを目的とする。」
エ「【0010】
本発明による遊技機は、所定の始動領域(例えば、第1始動入賞口13、第2始動入賞口14)を遊技媒体(例えば、遊技球)が通過した後に、可変表示の開始を許容する開始条件の成立(例えば、第1特別図柄および第2特別図柄のいずれの可変表示も実行されておらず、かつ大当り遊技状態でもないこと)にもとづいて、各々を識別可能な複数種類の識別情報(例えば、第1特別図柄、第2特別図柄、演出図柄)の可変表示を行い表示結果を導出表示する可変表示部(例えば、第1特別図柄表示器8a、第2特別図柄表示器8b、演出表示装置9)を備え、・・・保留記憶手段が記憶する保留記憶の数を視認可能に表示する保留記憶表示手段(例えば、演出表示装置9における第1保留記憶表示部18cおよび第2保留記憶表示部18d)と、・・・
遊技に対する興趣を向上させることができる。」
オ 「【0040】
また、演出表示装置9の表示画面の下部には、第1保留記憶数を表示する第1保留記憶表示部18cと、第2保留記憶数を表示する第2保留記憶表示部18dとが設けられている。なお、第1保留記憶数と第2保留記憶数との合計である合計数(合算保留記憶数)を表示する領域(合算保留記憶表示部)が設けられるようにしてもよい。そのように、合計数を表示する合算保留記憶表示部が設けられているようにすれば、可変表示の開始条件が成立していない実行条件の成立数の合計を把握しやすくすることができる。」
カ 「【0043】
なお、擬似連や「図柄変動時の変動形態の変化」の演出態様の連続予告演出が実行される場合に、第1保留記憶数および第2保留記憶数を全く認識不能となるようにしてもよい。この場合、例えば、可動部材78を可動させるときに、演出表示装置9の表示画面から第1保留記憶表示部18cおよび第2保留記憶表示部18dを消去する(映像として表示しない状態とする)ことによって、第1保留記憶数および第2保留記憶数を全く認識不能としてもよい。そのように構成すれば、遊技者が第1保留記憶数および第2保留記憶数を誤って認識してしまうことを防止することができる。」
キ 「【0069】
この実施の形態では、演出制御基板80に搭載されている演出制御手段(演出制御用マイクロコンピュータで構成される。)が、中継基板77を介して遊技制御用マイクロコンピュータ560から演出内容を指示する演出制御コマンドを受信し、演出図柄を可変表示する演出表示装置9の表示制御を行う。」
ク「【0099】
なお、この実施の形態では、リーチ演出は、演出表示装置9において可変表示される演出図柄を用いて実行される。また、特別図柄の表示結果を大当り図柄にする場合には、リーチ演出は常に実行される(ただし、突然確変大当りの場合には、リーチとはならずに突然確変大当り図柄(例えば「135」)が停止表示される場合もある)。特別図柄の表示結果を大当り図柄にしない場合には、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、乱数を用いた変動パターン種別や変動パターンを決定する抽選を行うことによって、リーチ演出を実行するか否か決定する。ただし、実際にリーチ演出の制御を実行するのは、演出制御用マイクロコンピュータ100である。」
ケ 「【0119】
また、図6に示すように、この実施の形態では、特別図柄の可変表示結果が大当り図柄または小当り図柄になる場合に対応した変動パターンとして、ノーマルPA2-3~ノーマルPA2-4、ノーマルPB2-3~ノーマルPB2-4、スーパーPA3-3~スーパーPA3-4、スーパーPB3-3~スーパーPB3-4、特殊PG1-1~特殊PG1-3、特殊PG2-1~特殊PG2-2の変動パターンが用意されている。なお、図6において、特殊PG1-1~特殊PG1-3、特殊PG2-1~特殊PG2-2の変動パターンは、突然確変大当りまたは小当りとなる場合に使用される変動パターンである。また、図6に示すように、突然確変大当りまたは小当りでない場合に使用され擬似連の演出を伴う変動パターンのうち、ノーマルPB2-3を用いる場合には、再変動が1回行われる。また、リーチする場合に使用され擬似連の演出を伴う変動パターンのうち、ノーマルPB2-4を用いる場合には、再変動が2回行われる。さらに、リーチする場合に使用され擬似連の演出を伴う変動パターンのうち、スーパーPA3-3~スーパーPA3-4を用いる場合には、再変動が3回行われる。また、突然確変大当りまたは小当りの場合に使用され擬似連の演出を伴う特殊PG1-3の変動パターンについては、再変動が1回行われる。」
コ「【0324】
次に、演出制御手段の動作を説明する。図35は、演出制御基板80に搭載されている演出制御手段としての演出制御用マイクロコンピュータ100(具体的には、演出制御用CPU101)が実行するメイン処理を示すフローチャートである。
・・・
【0348】
受信した演出制御コマンドが第1保留記憶数加算指定コマンドであれば(ステップS651)、演出制御用CPU101は、第1保留記憶数保存領域に格納する第1保留記憶数の値を1加算する(ステップS652)。また、演出制御用CPU101は、更新後の第1保留記憶数に従って、第1保留記憶表示部18cにおける第1保留記憶数の表示を更新する(ステップS653)。
【0349】
受信した演出制御コマンドが第2保留記憶数加算指定コマンドであれば(ステップS654)、演出制御用CPU101は、第2保留記憶数保存領域に格納する第2保留記憶数の値を1加算する(ステップS655)。また、演出制御用CPU101は、更新後の第2保留記憶数に従って、第2保留記憶表示部18dにおける第2保留記憶数の表示を更新する(ステップS656)。
【0350】
受信した演出制御コマンドが第1保留記憶数減算指定コマンドであれば(ステップS657)、演出制御用CPU101は、第1保留記憶数保存領域に格納する第1保留記憶数の値を1減算する(ステップS658)。また、演出制御用CPU101は、更新後の第1保留記憶数に従って、第1保留記憶表示部18cにおける第1保留記憶数の表示を更新する(ステップS659)。
【0351】
受信した演出制御コマンドが第2保留記憶数減算指定コマンドであれば(ステップS660)、演出制御用CPU101は、第2保留記憶数保存領域に格納する第2保留記憶数の値を1減算する(ステップS661)。また、演出制御用CPU101は、更新後の第2保留記憶数に従って、第2保留記憶表示部18dにおける第2保留記憶数の表示を更新する(ステップS662)。」
サ 「【0503】
また、例えば、変動表示中の特定のタイミング(例えば、スーパーリーチ中)に、第1保留記憶表示部18cおよび第2保留記憶表示部18dを遮蔽して、保留記憶数を認識しにくくしてもよい。この場合、例えば、ノーマルリーチの発生タイミングで、第1保留記憶表示部18cおよび第2保留記憶表示部18dを遮蔽するようにしてもよい。また、例えば、ノーマルリーチからスーパーリーチに発展するタイミングで、第1保留記憶表示部18cおよび第2保留記憶表示部18dを遮蔽するようにしてもよい。
・・・
【0505】
また、この実施の形態では、図62に示すように、可動部材78を可動させることによって第1保留記憶表示部18cおよび第2保留記憶表示部18dを遮蔽する場合を示しているが、第1保留記憶表示部18cおよび第2保留記憶表示部18dを遮蔽するの遮蔽の仕方は、この実施の形態で示したものにかぎられない。例えば、図63に示すように、可動部材78などを用いて遮蔽するのではなく、演出図柄の変動開始や擬似連における再変動開始のタイミングで、演出表示装置9の表示画面から第1保留記憶表示部18cおよび第2保留記憶表示部18dの表示を消去することによって、保留記憶数を認識不能または認識困難としてもよい。」
シ 刊行物1には、上記キに「演出制御手段(演出制御用マイクロコンピュータで構成される。)」(【0069】)ことが記載され、上記クに「特別図柄の表示結果を大当り図柄にする場合には、リーチ演出は常に実行され」、及び、「特別図柄の表示結果を大当り図柄にしない場合には、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、乱数を用いた変動パターン種別や変動パターンを決定する抽選を行うことによって、リーチ演出を実行するか否か決定する。」(【0099】)ことが記載され、上記ケに「特別図柄の可変表示結果が大当り図柄または小当り図柄になる場合に対応した変動パターンとして、・・・の変動パターンが用意されている。」(【0119】)ことが記載されている。
そして、【0099】の記載から、決定される「変動パターン」には、リーチパターンを実行するパターンと、リーチパターンを実行しないパターンの二通りあることが導かれる。
したがって、刊行物1には、「特別図柄の表示結果に基づいて、リーチ演出を実行する変動パターン、または、リーチ演出を実行しない変動パターンによる演出の制御を実行する演出制御手段」について記載されていると認められる。
ス 刊行物1には、上記ウに「前記保留記憶手段が記憶する保留記憶の数を視認可能に表示する保留記憶表示手段」(【請求項1】)ことが記載され、上記カに「可動部材78を可動させるときに、演出表示装置9の表示画面から第1保留記憶表示部18cおよび第2保留記憶表示部18dを消去する(映像として表示しない状態とする)」(【0043】)ことが記載され、上記エに「可変表示部(例えば、第1特別図柄表示器8a、第2特別図柄表示器8b、演出表示装置9)」(【0010】)ことが記載され、上記コに「次に、演出制御手段の動作を説明する。図35は、演出制御基板80に搭載されている演出制御手段としての演出制御用マイクロコンピュータ100(具体的には、演出制御用CPU101)が実行するメイン処理を示すフローチャートである。」(【0324】)こと、「・・・演出制御用CPU101は、更新後の第1保留記憶数に従って、第1保留記憶表示部18cにおける第1保留記憶数の表示を更新する(ステップS653)。」(【0348】)こと、及び、「・・・演出制御用CPU101は、更新後の第2保留記憶数に従って、第2保留記憶表示部18dにおける第2保留記憶数の表示を更新する(ステップS656)。」(【0349】)ことが記載されている。
したがって、刊行物1には、「保留記憶手段が記憶する保留記憶の数の映像を、可変表示部(演出表示装置9)の第1保留記憶表示部18cおよび第2保留記憶表示部18dに視認可能に表示する演出制御手段」について記載されていると認められる。
セ 刊行物1には、上記サに「例えば、変動表示中の特定のタイミング(例えば、スーパーリーチ中)に、第1保留記憶表示部18cおよび第2保留記憶表示部18dを遮蔽して、保留記憶数を認識しにくくしてもよい。この場合、・・・例えば、ノーマルリーチからスーパーリーチに発展するタイミングで、第1保留記憶表示部18cおよび第2保留記憶表示部18dを遮蔽するようにしてもよい。」(【0503】)こと、及び、「演出表示装置9の表示画面から第1保留記憶表示部18cおよび第2保留記憶表示部18dの表示を消去することによって、保留記憶数を認識不能または認識困難としてもよい。」(【0505】)ことが記載されている。
したがって、刊行物1には、「変動表示(可変表示)中に、ノーマルリーチからスーパーリーチに発展するタイミングで、可変表示部(演出表示装置9)の表示画面から第1保留記憶表示部18cおよび第2保留記憶表示部18dの表示を消去することによって、保留記憶数を認識不能または認識困難とした」ことが記載されていると認められる。
さらに、当該認定事項のうち、「可変表示部(演出表示装置9)の表示画面から第1保留記憶表示部18cおよび第2保留記憶表示部18dの表示を消去する」制御は、「スーパーリーチ中」に行われることが特定されていることからみて、リーチ演出でない場合、及び、リーチ演出であってもスーパーリーチでない場合に行わないものである。
そして、「第1保留記憶表示部18cおよび第2保留記憶表示部18dの表示を消去する」制御が行われないことは、表示の消去に伴う表示を再表示(非表示から表示への切り替え)する制御が行われないことを意味するものである。
したがって、刊行物1には、「リーチ演出でない場合、及び、リーチ演出であってもスーパーリーチでない場合は、可変表示部(演出表示装置9)の表示画面から第1保留記憶表示部18cおよび第2保留記憶表示部18dの表示を消去する制御は行われない」ことが記載されていると認められる。
ソ 上記ア~サの記載事項、及び、上記シ~セの認定事項を総合すると、刊行物1には次の発明(以下「刊行物発明」という。)が記載されていると認められる(a~jは、本件補正発明のA~Jに対応させて付与した。)。
「a 始動領域を遊技媒体が通過したときに、特定遊技状態決定用数値データを含む数値データを抽出する抽出手段(【請求項1】)と、
b 抽出手段により抽出された特定遊技状態決定用数値データを含む数値データにより特定遊技状態に移行させるか否かを決定し(【請求項1】)、
c 抽出手段が抽出した数値データを所定の上限数を限度として保留記憶として記憶する保留記憶手段(【請求項1】)と、
d 識別情報が可変表示される可変表示部において、識別情報の可変表示を開始してから表示結果を導出するまでの演出を制御する演出制御手段(【請求項1】)とを備え、
e 演出制御手段は、
特別図柄の表示結果に基づいて、リーチ演出を実行する変動パターン、または、リーチ演出を実行しない変動パターンによる演出の制御を実行し(認定シ)、
f 保留記憶手段が記憶する保留記憶の数の映像を、可変表示部(演出表示装置9)の第1保留記憶表示部18cおよび第2保留記憶表示部18dに視認可能に表示し(認定ス)、
g 変動表示(可変表示)中に(認定セ)、
g1 リーチ演出でない場合、可変表示部(演出表示装置9)の表示画面から第1保留記憶表示部18cおよび第2保留記憶表示部18dの表示を消去する制御は行われず(認定セ)、
g2 ノーマルリーチからスーパーリーチに発展するタイミングで、可変表示部(演出表示装置9)の表示画面から第1保留記憶表示部18cおよび第2保留記憶表示部18dの表示を消去することによって、保留記憶数を認識不能または認識困難とし(認定セ)、
g3 リーチ演出であってもスーパーリーチでない場合は、可変表示部(演出表示装置9)の表示画面から第1保留記憶表示部18cおよび第2保留記憶表示部18dの表示を消去する制御は行われない(認定セ)
遊技機。」
(2)対比
本件補正発明と刊行物発明とを、分説に従い対比する。
(a)刊行物発明における構成aの
「始動領域を遊技媒体が通過したとき」、
「特定遊技状態決定用数値データを含む数値データ」、
「抽出する」ことは、
それぞれ、本件補正発明における構成Aの
「始動条件の成立により」、
「判定情報」、
「取得する」ことに相当する。
したがって、刊行物発明における構成aの「抽出手段」は、本件補正発明における構成Aの「判定情報取得手段」に相当する。
(b)刊行物発明における構成bの「特定遊技状態に移行させるか否かを決定」することは、本件補正発明における構成Bの「特別遊技を行うか否かを判定する」ことに相当する。
したがって、刊行物発明における構成bの「抽出手段により抽出された特定遊技状態決定用数値データを含む数値データにより特定遊技状態に移行させるか否かを決定」することは、本件補正発明における構成Bの「前記判定情報取得手段により取得された判定情報に基づいて、特別遊技を行うか否かを判定する」ことに相当するから、刊行物発明も「特別遊技判定手段」を備えているといえる。
(c)刊行物発明における構成cの「所定の上限数を限度として保留記憶として記憶する」ことは、本件補正発明における構成Cの「所定数まで保留して記憶可能な」構成により実現するものである。
したがって、刊行物発明における構成cの「保留記憶手段」は、本件補正発明における構成Cの「判定情報記憶手段」に相当する。
(d)刊行物発明における構成dの「可変表示部」、「識別情報の可変表示を開始してから表示結果を導出するまでの演出」は、それぞれ、本件補正発明における構成Dの「画像表示手段」、「演出」に相当する。
したがって、刊行物発明における構成dの「演出制御手段」は、本件補正発明における構成Dの「演出制御手段」に相当する。
(e)刊行物発明における構成eの「特別図柄の表示結果」は、本件補正発明の「特別遊技判定手段による判定結果」に相当する。
そして、刊行物発明における「リーチ演出を実行する変動パターン」「による演出」は、リーチ演出が通常演出からリーチ演出という段階に発展する演出である。
また、刊行物発明における「変動パターン」には、リーチ演出を実行する場合と、リーチ演出を実行しない場合があるものである。
一方、本件補正発明における「段階的に進行する第2パターンの報知演出」に関して、本願の発明の詳細な説明の欄には、「図18は、第2の実施形態に係る保留画像表示制御処理を示すフローチャートであり、図12の演出制御処理のステップS109及びS110の報知演出実行後に行う保留画像表示制御処理を示すフローチャートの一例である。」(【0177】)こと、及び、「まず、図18のステップS130において、CPU401は、図12のステップS109またはS110で実行された演出が所定の演出であるか否かを判定する。この所定の演出は、特に限定されないが、一例として、リーチ演出を挙げることができる。リーチ演出の中でも、図18の保留画像表示制御は、アニメーション映像や実写映像の再生、可動役物の作動、大当たり期待度の低い演出から大当たり期待度の高い演出への発展等を伴い、相対的に演出実行時間が長いリーチ演出に好適である。ステップS130での判定がYESの場合、処理はステップS131へ進む。一方、ステップS130での判定がNOの場合、保留表示処理を終了する。」(【0178】)ことが記載されている。
上記本願の発明の詳細な説明の欄の記載から、実行される演出が、「所定の演出」である場合と、「所定の演出」でない場合があること、「所定の演出」の一例として、リーチ演出を挙げることができることがいえるから、本件補正発明における「段階的に進行する第2パターンの報知演出」には、変動してからリーチ演出に発展する段階に進行するパターンを含むものである。
したがって、刊行物発明における「リーチ演出を実行する変動パターン」「による演出」は、本件補正発明における「段階的に進行する第2パターンの報知演出」に相当する。
同様に、刊行物発明における「リーチ演出を実行しない変動パターンによる演出」は、本件補正発明における「段階的に進行しない第1パターンの報知演出」に相当する。
よって、刊行物発明における構成eの「演出制御手段」は、本件補正発明における構成Eの「特別遊技判定手段による判定結果に基づいて、段階的に進行しない第1パターンの報知演出と、段階的に進行する第2パターンの報知演出とのいずれかを実行可能な報知演出制御手段」としての機能を有するものである。
(f)刊行物発明における構成fの「保留記憶の数の映像」は、本件補正発明における構成Fの「判定情報記憶手段により記憶されている判定情報があることを示す保留画像」に相当する。
そして、刊行物発明における「保留記憶手段が記憶する保留記憶の数」は、本件補正発明における「判定情報記憶手段により記憶される判定情報の数」に相当する。
また、刊行物発明における「可変表示部(演出表示装置9)の第1保留記憶表示部18cおよび第2保留記憶表示部18dに視認可能に表示」することは、本件補正発明における「画像表示手段に表示させる」ことに相当する。
したがって、刊行物発明における構成fの「演出制御手段」は、本件補正発明における構成Fの「保留画像表示制御手段」としての機能を有するものである。
(g)刊行物発明における構成gと本件補正発明における構成Gとを対比する。
まず、刊行物発明における構成gの「変動表示(可変表示)中」と、本件補正発明における構成Gの「保留画像表示制御手段は、報知演出制御手段により表示制御される1変動中」とを対比する。
刊行物発明における「変動表示(可変表示)中」の演出制御は、「演出制御手段」により行われ、「演出制御手段」は、本件補正発明の「報知演出制御手段」の機能を有する(上記(e)を参照。)から、刊行物発明における「変動表示(可変表示)中」は、本件補正発明における「報知演出制御手段により表示制御される1変動中」に相当する。
また、刊行物発明における「演出制御手段」は、本件補正発明における「保留画像表示制御手段」の機能を有する(上記(f)を参照。)ものである。
したがって、刊行物発明における構成gの「変動表示(可変表示)中」は、本件補正発明における構成Gの「保留画像表示制御手段は、報知演出制御手段により表示制御される1変動中」に相当する。
次に、刊行物発明における構成g1、g3と本件補正発明における構成G1、G3とを対比する。
刊行物発明における「リーチ演出でない場合」は、本件補正発明における「報知演出制御手段が前記第1パターンの報知演出を実行する場合」に相当する。
そして、刊行物発明における「可変表示部(演出表示装置9)の表示画面から第1保留記憶表示部18cおよび第2保留記憶表示部18dの表示を消去する制御は行われない」ことは、本件補正発明における「保留画像の表示から非表示の切り替えと、保留画像の非表示から表示への切り替えとを行わ」ないことに相当する。
したがって、刊行物発明における構成g1は、本件補正発明における構成G1に相当する。
さらに、刊行物発明におけるg3の「リーチ演出であってもスーパーリーチでない場合」は、本件補正発明における「保留画像の表示から非表示の切り替えと、保留画像の非表示から表示への切り替えとを行わ」ない場合に相当する。
したがって、刊行物発明における構成g3は、本件補正発明における構成G3に相当する。
最後に刊行物発明における構成g2と本件補正発明における構成G2とを対比する。
刊行物発明における「変動表示中(可変表示)中」の「第1保留記憶表示部18cおよび第2保留記憶表示部18dの表示」制御は、「演出制御手段」により行われ、上記したように「演出制御手段」は、本件補正発明における「保留画像表示制御手段」(上記(f)を参照。)の機能を有するものである。
また、刊行物発明における「スーパーリーチ」は、スーパーリーチが「リーチ演出」に含まれる演出であることから、本件補正発明における「第2パターンの報知演出のうち、特定の報知演出」に相当する。
また、刊行物発明における「ノーマルリーチからスーパーリーチに発展するタイミング」は、本件補正発明における「報知演出の段階が進行するとき」に相当する。
さらに、刊行物発明における「可変表示部(演出表示装置9)の表示画面から第1保留記憶表示部18cおよび第2保留記憶表示部18dの表示を消去する」ことは、本件補正発明における「保留画像の表示から非表示への切り替え」「を行」うことに相当する。
したがって、刊行物発明における構成g2と本件補正発明におけるG2とは、「保留画像表示制御手段は、報知演出制御手段により表示制御される1変動中において、報知演出制御手段が第2パターンの報知演出のうち、特定の報知演出を実行する場合には、報知演出の段階が進行するときに、保留画像の表示から非表示への切り替えを行」うことで共通する。
よって、刊行物発明における構成gと本件補正発明における構成Gとは、
「G 前記保留画像表示制御手段は、前記報知演出制御手段により表示制御される1変動中において、
G1 前記報知演出制御手段が前記第1パターンの報知演出を実行する場合には、前記保留画像の表示から非表示の切り替えと、前記保留画像の非表示から表示への切り替えとを行わず、
G2’ 前記報知演出制御手段が前記第2パターンの報知演出のうち、特定の報知演出を実行する場合には、前記報知演出の段階が進行するときに、前記保留画像の表示から非表示への切り替えを行い、
G3 前記報知演出制御手段が前記第2パターンの報知演出のうち、前記特定の報知演出以外の報知演出を実行する場合には、前記保留画像の表示から非表示への切り替えと、前記保留画像の非表示から表示への切り替えとを行わない」ことで共通する。
上記(a)~(g)によれば、本件補正発明と刊行物発明は、
「A 始動条件の成立により判定情報を取得する判定情報取得手段と、
B 前記判定情報取得手段により取得された判定情報に基づいて、特別遊技を行うか否かを判定する特別遊技判定手段と、
C 前記判定情報取得手段により取得された判定情報を所定数まで保留して記憶可能な判定情報記憶手段と、
D 画像表示手段に表示される演出を制御する演出制御手段とを備え、
E 前記演出制御手段は、
前記特別遊技判定手段による判定結果に基づいて、段階的に進行しない第1パターンの報知演出と、段階的に進行する第2パターンの報知演出とのいずれかを実行可能な報知演出制御手段と、
F 前記判定情報記憶手段により記憶されている判定情報があることを示す保留画像を、前記判定情報記憶手段により記憶される判定情報の数だけ前記画像表示手段に表示させる保留画像表示制御手段とを有し、
G 前記保留画像表示制御手段は、前記報知演出制御手段により表示制御される1変動中において、
G1 前記報知演出制御手段が前記第1パターンの報知演出を実行する場合には、前記保留画像の表示から非表示の切り替えと、前記保留画像の非表示から表示への切り替えとを行わず、
G2’前記報知演出制御手段が前記第2パターンの報知演出のうち、特定の報知演出を実行する場合には、前記報知演出の段階が進行するときに、前記保留画像の表示から非表示への切り替えを行い、
G3 前記報知演出制御手段が前記第2パターンの報知演出のうち、前記特定の報知演出以外の報知演出を実行する場合には、前記保留画像の表示から非表示への切り替えと、前記保留画像の非表示から表示への切り替えとを行わない、遊技機。」
の点で一致し、構成Gのうち、構成G2に関して次の点で一応相違する。
[相違点]
1変動中に報知演出制御手段が第2パターンの報知演出のうち、特定の報知演出を実行する場合に、
本件補正発明は、報知演出の段階が進行するときに、保留画像の表示から非表示への切り替えと、保留画像の非表示から表示への切り替えとを行うのに対して、
刊行物発明は、報知演出の段階が進行するときに、保留画像の表示から非表示への切り替えを行うが、保留画像の非表示から表示への切り替えとを行うか否か明らかでない点。
(3)当審の判断
ア 相違点について
上記相違点について検討する。
遊技機の技術分野において、1変動のリーチ中に保留画像の表示→非表示に加え、非表示→表示の切替も行うことは本願出願前に周知の技術事項である(例えば、特開2011-115329号公報の【0174】~【0176】、【図14】には、所定のリーチ変動において、リーチ状態の開始から所定時間後(ノーマルリーチからSPリーチに発展する際)に飾り特図始動記憶領域610を非表示に切り替え、はずれ結果態様で仮停止したとき、飾り特図始動記憶領域610を再表示に切り替えることについて記載され、特開2012-217546号公報の【0034】、【0066】~【0069】、【0088】、【0089】、【図3】、【図12】には、リーチ変動パターンによる変動において、リーチシナリオ(ノーマルリーチシナリオ1、スーパーリーチシナリオ1、ノーマルリーチシナリオ2+スーパーリーチシナリオ2)の実行が開始されると保留非表示に切り替え、確定シナリオの実行が開始されると再度、保留表示に切り替えることについて記載されている。)。
そして、刊行物発明と上記周知の技術事項とは、リーチ演出中に保留を消去可能な演出を実行する点で共通するものである。
したがって、刊行物発明において実行される特定の報知演出に上記周知の技術事項を適用して、報知演出の段階が進行するとき(スーパーリーチに発展するタイミング)に、1変動中に保留画像の表示から非表示への切り替えのみならず、非表示から表示への切り替えをも行い、上記相違点に係る本件補正発明の構成とすることは当業者が容易になし得たものである。
また、本件補正発明により奏される効果は、当業者が、刊行物発明及び周知の技術事項から予測し得た範囲内のものであって、格別のものではない。
イ 請求人の主張について
請求人は、平成28年5月31日付けの審判請求書において、「しかしながら、引用文献1の構成は、疑似連を伴う(つまり、段階的に進行する)変動表示の場合に保留記憶表示部を遮蔽し、疑似連を伴わない(つまり、段階的に進行しない)変動表示の場合に保留記憶表示部を遮蔽しないものであるのに対し、本願発明の構成は、段階的に進行する第2パターンの報知演出のうち、特定の報知演出を実行する場合に保留画像の表示・非表示の切り替えを行い、段階的に進行する第2パターンの報知演出であっても、当該特定の報知演出以外を実行する場合には、保留画像の表示・非表示の切り替えを行わないものである。したがって、本願発明は、引用文献1に記載された発明とは異なるものである。」(4頁第10~18行)と主張する。
しかしながら、審決では、刊行物発明を認定するに際し、請求人が主張する疑似連を伴う変動表示を段階的に進行する報知演出として認定を行うものではなく、リーチ演出を伴う変動表示を「段階的に進行する報知演出」として認定を行うものである(前記第2 3(2)(e)を参照。)から、請求人の上記主張を採用することはできない。
ウ 小括
上記ア、イにおいて検討したように、本件補正発明は、刊行物発明及び周知の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。
4 むすび
上記3において検討したことからみて、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成28年1月14日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「始動条件の成立により判定情報を取得する判定情報取得手段と、
前記判定情報取得手段により取得された判定情報に基づいて、特別遊技を行うか否かを判定する特別遊技判定手段と、
前記判定情報取得手段により取得された判定情報を所定数まで保留して記憶可能な判定情報記憶手段と、
画像表示手段に表示される演出を制御する演出制御手段とを備え、
前記演出制御手段は、
前記特別遊技判定手段による判定結果に基づいて、段階的に進行しない第1パターンの報知演出と、段階的に進行する第2パターンの報知演出とのいずれかを実行可能な報知演出制御手段と、
前記判定情報記憶手段により記憶されている判定情報があることを示す保留画像を、
前記判定情報記憶手段により記憶される判定情報の数だけ前記画像表示手段に表示させる保留画像表示制御手段とを有し、
前記保留画像表示制御手段は、前記報知演出制御手段により表示制御される1変動中において、前記報知演出制御手段が前記第1パターンの報知演出を実行する場合には、前記保留画像の表示から非表示の切り替えと、前記保留画像の非表示から表示への切り替えとを行わず、前記報知演出制御手段が前記第2パターンの報知演出を実行する場合には、前記報知演出の段階が進行するときに、前記保留画像の表示から非表示への切り替えと、前記保留画像の非表示から表示への切り替えとを行う、遊技機。」
2 刊行物
刊行物1の記載事項、刊行物発明は、前記「第2 3(1)」に記載したとおりである。
3 対比・判断
本願発明は、前記「第2 2 補正の目的」において検討したとおり、本件補正発明において、「第2パターンの報知演出」に関して、「前記報知演出制御手段が前記第2パターンの報知演出のうち、特定の報知演出を実行する場合には、前記報知演出の段階が進行するときに、前記保留画像の表示から非表示への切り替えと、前記保留画像の非表示から表示への切り替えとを行い、前記報知演出制御手段が前記第2パターンの報知演出のうち、前記特定の報知演出以外の報知演出を実行する場合には、前記保留画像の表示から非表示への切り替えと、前記保留画像の非表示から表示への切り替えとを行わない」とあったものを「前記報知演出制御手段が前記第2パターンの報知演出を実行する場合には、前記報知演出の段階が進行するときに、前記保留画像の表示から非表示への切り替えと、前記保留画像の非表示から表示への切り替えとを行う」と下線部の限定を省くものである。
これは、報知演出に関して、本件補正後に(イ)「第1パターンの報知演出を実行する場合」、(ロ)「第2パターンの報知演出のうち、特定の報知演出を実行する場合」、(ハ)「第2パターンの報知演出のうち、特定の報知演出以外の報知演出を実行する場合」の3通りのパターンを限定していたものを、本件補正前の(イ)「第1パターンの報知演出を実行する場合」、(ロ)’「第2パターンの報知演出を実行する場合」の2通りのパターンを限定したものに戻すものであることから、本願発明は、本件補正発明における(ロ)に関する「のうち、特定の報知演出を実行する場合」という限定を省くと共に、(ハ)の構成を削除したものといえる。
そうすると、本願発明の発明特定事項(構成要件)をすべて含み、さらに、他の発明特定事項(構成要件)を付加したものに相当する本件補正発明が、前記「第2 3(3)当審の判断」に記載したとおり、刊行物発明及び周知の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様に、刊行物発明及び周知の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
なお、原査定(平成28年2月23日付けの拒絶査定)の備考欄には、「請求項1に係る発明と引用文献1に記載された発明を対比すると、両者の発明特定事項の間に差異はない。仮にそうでないとしても、引用文献1に記載された発明に基づいて請求項1に係る発明とすることは当業者が容易になし得ることである。」ことが記載されている。ここで、上記「引用文献1に記載された発明に基づいて」には、引用文献1に記載された発明に周知技術を考慮して、設計変更を加えたものが含まれるといえる。
4 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2016-007945