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特許拒絶査定不服審判

2016-007338

ゴム組成物およびそれを用いた空気入りタイヤ

審判番号
2016-007338
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2014-066373外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2016年05月19日
審決日
2017年09月19日
公報発行日
2017年12月28日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-WZ (C08L)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2014- 66373「ゴム組成物およびそれを用いた空気入りタイヤ」拒絶査定不服審判事件〔平成27年11月 2日出願公開、特開2015-189798〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 本願は、平成26年3月27日を出願日とする特許出願であって、平成27年11月26日付けで拒絶理由が通知され、平成28年2月1日に意見書とともに手続補正書が提出されたが、同年2月16日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、同年5月19日に拒絶査定不服審判が請求されたが、当審において、平成29年5月16日付けで拒絶理由が通知され、その指定期間内の同年7月24日付けで意見書及び手続補正書が提出されものである。 第2 本願発明 本願の請求項1及び2に係る発明は、平成29年7月24日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、以下のとおりのものである。 「(A)天然ゴムおよびブタジエンゴムを含むジエン系ゴム100質量部に対し、(B)カーボンブラック30~70質量部、(C)ポリアミドエラストマー1~50質量部および(D)スルフェンアミド系加硫遅延剤0.01~1.2質量部を配合してなり、 前記(C)ポリアミドエラストマーおよび前記(D)スルフェンアミド系加硫遅延剤の質量比が、前者:後者として、100:1~100:4であり、 前記(D)スルフェンアミド系加硫遅延剤が、N-シクロヘキシルチオフタルイミドである ことを特徴とするゴム組成物。」 第3 当審における拒絶理由の概要 当審における平成29年5月16日付けで通知した拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)の概要は、本願発明は、刊行物1(国際公開第2009/093695号)及び刊行物2(「便覧」編集室編,「便覧 ゴム・プラスチック配合薬品」株式会社ポリマーダイジェスト 平成15年12月2日発行)に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないというものを含むものである。 第4 本願発明に対する判断 1.本願発明 本願発明は、上記第2で認定のとおりのものである。 2.刊行物 刊行物1:国際公開第2009/093695号(当審拒絶理由で引用した刊行物1。) 刊行物2:「便覧」編集室編,「便覧 ゴム・プラスチック配合薬品」株式会社ポリマーダイジェスト 平成15年12月2日発行(当審拒絶理由で引用した刊行物2。) 3.刊行物の記載事項 (1)刊行物1の記載事項 本願の出願日前に頒布された刊行物である刊行物1には、以下のとおりのことが記載されている(下線は当審による。)。 ア「請求の範囲 [1] 加硫可能なゴム(A)100重量部に対し、融点が100~180℃のポリアミドエラストマー(B)0.1~50重量部と無機補強剤(C)1~100重量部を含有することを特徴とするゴム組成物。 ・・・ [4] 無機補強剤(C)がカーボンブラック(C-a)又はシリカ(C-b)を少なくとも含むことを特徴とする請求項1乃至3いずれか記載のゴム組成物。 ・・・ [7] 加硫可能なゴム(A)は、シンジオタクチック1,2-ポリブタジエンが含有されたシス-1,4-ポリブタジエンであるビニル・シス-ブタジエンゴムを含むことを特徴とする請求項1乃至6いずれか記載のゴム組成物。 ・・・ [9] 請求項1乃至8いずれか記載のゴム組成物がタイヤに用いられることを特徴とするタイヤ用ゴム組成物。」(請求項1、4、7及び9) イ「[0112] 〔その他の成分〕 本発明に係るゴム組成物には、必要に応じて、加硫剤、加硫助剤、活性剤、スコーチ防止剤、老化防止剤、充填剤、プロセスオイル、亜鉛華、及びステアリン酸など、通常ゴム業界で用いられる配合剤を混練してもよい。 ・・・ [0115] スコーチ防止剤(リターダー)としては、有機酸やニトロソ化合物、N-シクロヘキシルチオフタルイミド、及びスルホンアミド誘導体などが用いられる。」(段落[0112]、[0115]) ウ「[0174] 加硫特性(t90)はJSR社製キュラストメーターIIF型を用いて、150℃で加硫トルクが90%に達するまでの時間を測定した、数値が小さいほど加硫時間が短くなることを示す。 ・・・ [0176] 引張応力は、JIS-K6251に準拠して100%引張応力を測定した。数値が大きいほど引張応力が高いことを示す。 ・・・ [0178] 破断伸びは、JIS-K6251に準拠して、破断時の伸びを測定した。数値が大きいほど破断伸びが大きいことを示す。」(段落[0174]、[0176]、[0178]) エ「 」(段落[0206]の[表1]) オ「 」(段落[0209]の[表2]) (2)刊行物2の記載事項 本願の出願日前に頒布された刊行物である刊行物2には、以下のとおりのことが記載されている(下線は当審による。)。 ア 「4.スコーチ防止剤(Retarders or Anti-scorch agents) スコーチ防止剤(リターダ)は、焼け防止剤あるいは加硫遅延剤とも呼ばれている。ゴムに少量添加して早期加硫(スコーチ)を防止する薬品である。加硫剤および加硫促進剤が配合された練りゴムは、カレンダー工程,押し出し工程など様々な熱履歴を受けると、加硫工程前に練りゴムの粘度が上昇し流動性が低下し(スコーチ現象),加硫成形が不能になる。 ・・・現在,-S-N-結合を持つ化合物のN-シクロヘキシルチオフタルイミドが少量で効果があり,物性に及ぼす影響も少ないため最も多く使用されている。配合量は、0.05~0.5phrである。」(63頁1行~14行) イ「◆(2)N-(シクロヘキシルチオ)フタルイミド(N-(cyclohexylthio)phthalimide) ・・・ [作用]強力な早期加硫防止剤で,加硫特性や加硫物の物性に影響をおよぼさず,発泡性,汚染性もない。また,未加硫生地の貯蔵安定性をいちじるしく改良する。」(64頁下から2行~65頁8行) 4.刊行物に記載された発明 刊行物1には、上記摘示3(1)アより、 「シンジオタクチック1,2-ポリブタジエンが含有されたシス-1,4-ポリブタジエンであるビニル・シス-ブタジエンゴムを含む加硫可能なゴム(A)100重量部に対し、融点が100~180℃のポリアミドエラストマー(B)0.1~50重量部とカーボンブラック(C)1~100重量部を含有するゴム組成物。」(以下、「引用発明」という。)が記載されているといえる。 5.対比 引用発明の「シンジオタクチック1,2-ポリブタジエンが含有されたシス-1,4-ポリブタジエンであるビニル・シス-ブタジエンゴムを含む加硫可能なゴム(A)」、「融点が100~180℃のポリアミドエラストマー(B)」、「カーボンブラック(C)」は、それぞれ、本願発明における「(A)ブタジエンゴムを含むゴム100質量部」、「(C)ポリアミドエラストマー」、「(B)カーボンブラック」、に相当する。 また、本願発明と引用発明とは、ゴム成分100質量部に対し、カーボンブラックを30~70質量部配合し、ポリアミドエラストマーを1~50質量部配合する点で、その配合量が重複一致するものである。 したがって、本願発明と引用発明とを対比すると、両者は以下の点で一致し、以下の相違点1及び2で相違する。 [一致点] 「(A)ブタジエンゴムを含むゴム100質量部に対し、(B)カーボンブラック30~70質量部、(C)ポリアミドエラストマー1~50質量部を配合してなるゴム組成物。」 [相違点1] 本願発明では、ゴムが、天然ゴムを含むジエン系ゴムと特定されているのに対し、引用発明では、そのような特定はなされていない点。 [相違点2] 本願発明では、ゴム組成物に、N-シクロヘキシルチオフタルイミドである(D)スルフェンアミド系加硫遅延剤0.01~1.2質量部を配合し、(C)ポリアミドエラストマ-及び(D)スルフェンアミド系加硫遅延剤の質量比を、前者:後者として、100:1~100:4とするのに対し、引用発明では、そのような特定はなされていない点。 6.判断 上記相違点1及び2について検討する。 (1)相違点1について 相違点1について検討すると、引用発明の具体的な実施態様である実施例6には、ゴムとして、ブタジエンゴム(BR150L)及び天然ゴム(NR)を含むジエン系ゴムを使用することが開示されている(摘示3(1)オ)ことから、相違点1は、実質的な相違点ではない。 仮にそうでないとしても、引用発明において、上記摘示に基づいて、相違点1に係る発明特定事項とすることは、当業者が容易になし得たものである。 (2)相違点2について ア 引用発明にN-シクロヘキシルチオフタルイミドを配合することの容易想到性 引用発明の具体的な実施態様である刊行物1の実施例1~3及び比較例1(摘示3(1)ウ及びエ)からは、ゴム組成物中のポリアミドエラストマー(PAE-1)の配合量を増やすにしたがって(比較例1:0重量部、実施例1:5重量部、実施例2:10重量部、実施例3:15重量部)、加硫特性(t90)が小さくなる(比較例1、実施例1:52、実施例2:42、実施例3:32)こと、すなわち、加硫時間が短くなっていることが読み取れるから、当業者であれば、引用発明において、加硫時間が早期化されることに伴い、早期加硫を意味するスコーチが発生することが予期できる。 そして、引用発明の技術分野において、スコーチの発生を抑制・防止することは、技術常識であるといえる。 また、刊行物1には、必要に応じ、ゴム組成物にスコーチ防止剤を配合すること、及びスコーチ防止剤として、N-シクロヘキシルチオフタルイミドが例示されている(上記摘示3(1)イ)。 さらに、刊行物2には、スコーチ防止剤として、N-シクロヘキシルチオフタルイミドが強力であり少量で効果があり、最も多く使用されていること、及び、その配合量は0.05~0.5phrであることが記載されている。 そうすると、ポリアミドエラストマーを配合したことによって、スコーチの発生が予期される引用発明のゴム組成物に、スコーチの発生を抑制・防止するために、強力なスコーチ防止剤であり、最も多く使用されているとされ、かつ刊行物1にも例示されている、刊行物2に記載のN-シクロヘキシルチオフタルイミドを、ゴム成分100質量部に対して、0.05~0.5質量部の範囲内で配合することは、当業者が容易に推考できることである。 イ ポリアミドエラストマーとN-シクロヘキシルチオフタルイミドの配合比率について まず、本願発明において、ポリアミドエラストマーとN-シクロヘキシルチオフタルイミドの質量比の数値範囲を100:1~100:4とすることの技術的意義について検討すると、上記数値範囲の上限を超えると、本願明細書の比較例4、5(質量比100:10)に示されるように、45分を過ぎてもT5に達しないことから、加硫時間の遅延を招くものであり、上記数値範囲の下限を下回ると、平成28年2月1日付け意見書の表1の追加比較例6(質量比100:0.5)に示されるように、スコーチの発生防止効果が不十分であることから、上記のように数値範囲を設定した技術的意義は、スコーチの発生を防止しつつ、加硫時間の遅延を招かないというものを含むものであると認められる。 一方、アで検討したように、刊行物1の実施例1~3及び比較例1(摘示3(1)ウ及びエ)からは、ゴム組成物中のポリアミドエラストマー(PAE-1)の配合量を増やすにしたがって、加硫特性(t90)が小さくなること、すなわち、加硫時間が短くなり、よりスコーチの早期化が予期されることが読み取れる。 そうすると、引用発明において、スコーチ防止剤であるN-シクロヘキシルチオフタルイミドを配合する際に、多くなるにしたがってスコーチの早期化が予期されるポリアミドエラストマーの配合量と、スコーチ防止剤の配合量とを、適切な加硫時間となるように、その配合比を調節すること、より具体的には、ポリアミドエラストマーの配合量を増やした場合には、スコーチの更なる早期化が予想されるから、それに対応する形でスコーチ防止剤を増量し、逆の場合には減量することによって、両者の配合比率を、ある一定程度の比率とすることは、当業者が容易に想到することができたものである。 そして、スコーチの発生を防止すること、及び、加硫時間の遅延を招かないようにすることは、当業者にとっては自明の技術事項にすぎないから、ポリアミドエラストマーとN-シクロヘキシルチオフタルイミドの具体的な配合比率は、スコーチの発生を防止しつつ、加硫時間の遅延を招かないような数値範囲となるよう、当業者が適切な配合量を適宜決定することができる技術的事項にすぎず、両者の比率を100:1~100:4の範囲内とすることは、当業者が適宜なし得たものである。 (3)本願発明の効果について 次に、本願発明の効果について検討する。 ア スコーチについて スコーチ防止剤を添加すれば、スコーチ(T5)が遅延することは、スコーチ防止剤としての本来の役割を果たしたにすぎず当然の効果であり、また、N-シクロヘキシルチオフタルイミドは、刊行物2に記載されるように、強力な加硫防止剤であることが知られていることから、本願明細書の実施例において、N-シクロヘキシルチオフタルイミドを配合することにより、スコーチ(T5)が遅延することは、当業者が予測し得た範囲内の効果にすぎない。 イ 破断伸びについて 本願発明の破断伸びの効果について、その具体的な実験データである明細書の実施例及び比較例に基づいて検討する。 まず、実施例2、3、6、7と、基準となる比較例1とを比較すると、N-シクロヘキシルチオフタルイミドの配合の有無以外に、ポリアミドエラストマーの配合量が異なるし、そもそも実施例2、3、6及び7は、比較例1よりも破断伸びが同等か低いことから、これらの実験データから、本願発明の破断伸びに関する効果を直ちに認めることはできない。 次に、実施例1、4及び5と、比較例1の破断伸びを比較すると、比較例が108であり、N-シクロヘキシルチオフタルイミドを0.15重量部配合した実施例4が109であり、0.3重量部配合した実施例1が108であり、0.6重量部配合した実施例5は110であるから、実施例4及び5については、基準となる比較例1よりもわずかに破断伸びが良い。 しかしながら、刊行物2に記載されるように、N-シクロヘキシルチオフタルイミドは、物性に及ぼす影響が少ないことが知られているところ、上記実施例1、4及び5の108~110の数値範囲は、比較例1の108に対し、数値範囲の変動としてはわずかであり、また、実施例1のように、N-シクロヘキシルチオフタルイミドの配合量によっては、その効果を認めることができないものも存在することから、物性に及ぼす影響が少ないという知見から予測することのできる範囲内であり、これらの実施例から、破断伸びに関する効果について、格別顕著な効果であると認めることはできない。 ウ M100(伸び100%時の引張応力)について 本願発明の破断伸びの効果について、その具体的な実験データである明細書の実施例及び比較例に基づいて検討する。 まず、実施例2、3、6、7と、基準となる比較例1とを比較すると、実施例2、3、6及び7と、比較例1とは、N-シクロヘキシルチオフタルイミドの配合の有無以外に、ポリアミドエラストマーの配合量も異なり、複数の実験条件を変えていることから、これらの実験データから、N-シクロヘキシルチオフタルイミドの配合によるM100の向上効果を認めることができない。 なお、ポリアミドエラストマーの配合量を5重量部(実施例2、3)、15重量部(実施例4、5)、30重量部と増加させるにしたがって、M100の数値は増加する傾向が認められるから、実施例6及び7のM100が146及び150であり良好である点は、主にポリアミドエラストマーの配合量が多いことに起因するものであると考えられる。 次に、実施例1、4及び5と、比較例1のM100を比較すると、比較例1のM100の指標が119に対し、N-シクロヘキシルチオフタルイミドを0.15重量部配合した実施例4が121であり、0.3重量部配合した実施例1が132であり、0.6重量部配合した実施例5は118であるから、比較例1に比して、実施例1はM100向上効果が認められる一方、実施例4はM100の向上はわずかであり、実施例5にいたっては、M100が悪化しているものである。 刊行物2に記載されるように、N-シクロヘキシルチオフタルイミドは、物性に及ぼす影響が少ないことが知られているところ、上記実施例4及び5のM100の数値は、比較例1に比して数値範囲の変動としてはわずかであるか、N-シクロヘキシルチオフタルイミドを配合しないものに比して悪化するであるから、これらのについては、その効果を格別顕著なものと認めることはできない。 そうすると、実施例1の実験条件の近傍の条件、すなわち、N-シクロヘキシルチオフタルイミドの配合割合を100:2にし、配合量を0.3重量部とした実験条件の近傍の条件においては、M100向上効果が認められると考えられる一方、本願発明の実施態様のうち、例えば実施例4及び5のように、N-シクロヘキシルチオフタルイミドの配合量によっては、その効果が格別顕著であると認めることができないものが存在することから、M100に関する効果について、N-シクロヘキシルチオフタルイミドを0.01~1.2質量部を配合し、ポリアミドエラストマーとN-シクロヘキシルチオフタルイミドの質量比を、100:1~100:4に特定した、本願発明の実施態様の範囲の全般にわたって、顕著であると認めることはできない。 エ 小括 したがって、本願発明の効果は、刊行物1ないし2から予測し得る範囲内のものであるか、本願発明の実施態様の範囲の全般にわたって、格別顕著なものとはいえない。 7.まとめ 上記検討のとおり、本願発明は、引用発明、すなわち刊行物1に記載された発明及び刊行物2に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。 第5 審判請求人の主張について 審判請求人は、平成29年7月24日付け意見書において、本願発明では、スコーチを防止するだけでなく、剛性および破断伸びをも改善することを目的とし、刊行物1、2は、N-シクロヘキシルチオフタルイミドの使用によって、剛性及び破断伸びが向上することは開示されておらず、当業者であれば、スコーチ防止だけでなく、剛性および破断伸びをも改善することを目的として、加硫後のゴム物性に影響を及ぼさないとされているN-シクロヘキシルフタルイミドを採用する動機付けはない旨を主張(以下、「主張1」という。)している。また、本願発明の効果について、本願発明の効果は顕著である旨(以下、「主張2」という。)しているので、以下検討する。 ・主張1について 上記6(2)アで検討したように、スコーチの発生が予期され得る引用発明のゴム組成物に、刊行物2において、強力なスコーチ防止剤であり、最も多く使用されていると記載され、かつ刊行物1にも例示されている、N-シクロヘキシルチオフタルイミドを採用することの動機付けは存在し、それにより、引用発明のゴム組成物に、N-シクロヘキシルチオフタルイミドを配合することは、当業者が容易になし得たものであることから、出願人の主張1は、採用することができない。 ・主張2について 上記6(3)において検討したように、本願発明の効果は、刊行物1ないし2から予測し得る範囲内のものであるか、本願発明の実施態様の範囲の全般にわたって、格別顕著なものとはいえないから、出願人の上記主張2も、採用することができない。 第6 むすび 以上のとおり、本願発明、すなわち、平成29年7月24日提出の手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項1に係る発明は、刊行物1及び2に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、他の請求項に係る発明について更に検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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