特許拒絶査定不服審判
2016-007096
遊技機
- 審判番号
- 2016-007096
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2014-149337外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2016年05月16日
- 審決日
- 2017年01月23日
- 公報発行日
- 2017年04月28日
- 結論
- 請求不成立
- 分類
- P18 .121-WZ (A63F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第6項、特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第3項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2014-149337号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成26年12月4日出願公開、特開2014-223496号〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、平成21年12月9日に出願した特願2009-279299号(優先権主張 平成21年10月30日)の一部を平成26年7月23日に新たな特許出願としたものであって、平成27年9月18日付けで拒絶理由通知がなされ、これに対し平成27年11月30日付けで手続補正がなされたが平成28年2月5日付けで拒絶査定がなされ、これに対し平成28年5月16日付けで拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに手続補正(以下、「本件補正」という。)がなされたものである。
第2 本件補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
本件補正を却下する。
[理由]
1 本件補正の概要
本件補正は、特許請求の範囲を補正する内容を含んでおり、本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、
(補正前:平成27年11月30日付け手続補正)
「【請求項1】
遊技球を発射する発射手段と、
発射された遊技球が案内される遊技領域と、
前記遊技領域内に配置された入球手段と、
前記入球手段への遊技球の入球に基づき、所定の遊技価値を付与する遊技価値付与手段とを備えた遊技機であって、
遊技球を検出する複数の球検出手段と、
電波を検出する複数の電波検出手段と、
前記電波検出手段によって検出した電波の周波数及び強度を判別する判別手段と、
前記判別手段による判別結果に応じて異なる処理を実行可能な制御手段とを備えたことを特徴とする遊技機。」
から、
(補正後:本件補正である平成28年5月16日付け手続補正)
「【請求項1】
遊技球を発射する発射手段と、
発射された遊技球が案内される遊技領域と、
前記遊技領域内に配置された入球手段と、
前記入球手段への遊技球の入球に基づき、所定の遊技価値を付与する遊技価値付与手段とを備えた遊技機であって、
遊技球を検出する複数の球検出手段と、
電波を検出する複数の電波検出手段と、
前記電波検出手段によって電波を検出した場合に、該電波の発信態様を判別する処理として、前記電波の周波数を判別する処理と、前記電波の強度を判別する処理と、前記電波の発信継続時間を判別する処理とを実行可能な判別手段と、
前記判別手段による判別結果に応じて異なる処理を実行可能な制御手段とを備えたことを特徴とする遊技機。」
に補正された(下線は、補正箇所を明示するために当審で付した。)。
2 本件補正の適否
本件補正は、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「判別手段」について、補正前に「検出した電波の周波数及び強度を判別する」とされていた点を、補正後の「電波を検出した場合に、該電波の発信態様を判別する処理として、前記電波の周波数を判別する処理と、前記電波の強度を判別する処理と、前記電波の発信継続時間を判別する処理とを実行可能な」とするものである。
補正前の「周波数及び強度」を判別する点について、本願の願書に最初に添付された明細書(以下、「当初明細書」という。)に、「・・・実施形態では、電波の発信態様として、所定の周波数帯域の電波の発信継続時間を判別し、それに応じて適切な処理を行う構成となっているが、これに限らず、電波の周波数、電波の発信周期、電波強度などを判別し、その結果に応じて異なる処理を実行するようにしてもよい」(【0345】)、「ここでいう「電波の発信態様」には、電波の周波数、電波の発信周期、電波の発信継続時間、電波強度などが含まれる」(【0361】)と記載されているのみであり、「周波数」と「強度」を判別するための具体的な処理については何ら記載されていない。そうすると、「周波数」と「強度」は、判別の対象として列挙されているのみであるから、補正前の「周波数及び強度」を判別するという記載は、単に、判別手段が電波の「周波数」と「強度」をそれぞれ判別の対象とし得ることを特定しているのみであるといえる。
また、補正後の「周波数」と「強度」と「発信継続時間」を判別するという記載についても、当初明細書には、「発信継続時間」に関しては判別する処理が【0201】~【0215】に記載されているが、「周波数」と「強度」に関しては上記のとおり【0345】、【0361】に記載されているのみである。そうすると、補正後の記載も、単に、判別手段が電波の「周波数」と「強度」と「発信継続時間」をそれぞれ判別の対象とし得ることを特定しているのみであるといえる。
したがって、本件補正は、判別の対象とし得る事項として「発信継続時間」を加えることで、判別手段が、何を判別の対象とし得る手段なのかをさらに特定するものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題は同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
また、特許法第17条の2第3項に違反するところはない。
3 独立特許要件
そこで、本件補正後の上記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について以下に検討する。
(1) 本願補正発明
本願補正発明は、上記1の本件補正の概要において示した次のとおりのものである(A~Hは本願補正発明を分説するため当審で付与した。)。
「【請求項1】
A 遊技球を発射する発射手段と、
B 発射された遊技球が案内される遊技領域と、
C 前記遊技領域内に配置された入球手段と、
D 前記入球手段への遊技球の入球に基づき、所定の遊技価値を付与する遊技価値付与手段とを備えた遊技機であって、
E 遊技球を検出する複数の球検出手段と、
F 電波を検出する複数の電波検出手段と、
G 前記電波検出手段によって電波を検出した場合に、該電波の発信態様を判別する処理として、前記電波の周波数を判別する処理と、前記電波の強度を判別する処理と、前記電波の発信継続時間を判別する処理とを実行可能な判別手段と、
H 前記判別手段による判別結果に応じて異なる処理を実行可能な制御手段とを備えたことを特徴とする遊技機。」
(2) 刊行物に記載された事項
原査定の拒絶の理由に引用された特開2006-75455号公報(以下、「刊行物1」という。)には、次の事項が記載されている(下線は当審で付した。)。
ア 「【0002】
パチスロ機、パチンコ機等の遊技機は、内蔵されている制御基板によって、遊技状態等が制御されている。遊技者の中には、不正な電波により、この制御基板に設けられた各素子を不正に制御して、遊技者に有利な状態にする不正行為を行うものがおり、近年、このような不正行為を未然に防止したり、発見したりするための様々な装置や遊技機が提案されている。・・・
【0004】
ところが、略一人一台の割合で携帯電話を所有している近年では、携帯電話を使用しながら遊技を行う遊技者も多いため、特許文献1の遊技機では、携帯電話の電波に反応して、不正行為を働いていると報知するなどの誤作動が生じてしまい、遊技場管理者が混乱してしまうおそれがある。
【0005】
そこで、本発明の目的は、携帯電話の電波による誤作動を低減することができる不正電波感知装置及びそれを備えた遊技機を提供することである。」
イ 「【0043】
スタートレバー6とC/Pスイッチ14との間には、不正電波感知装置24が取り付けられている。不正電波感知装置24は、電波を感知するアンテナ27(電波感知手段)、感知した電波が携帯電話の電波である場合に点灯する青LED25a、感知した電波が不正電波である場合に点灯する赤LED25bを有している。」
ウ 「【0047】
・・・CPU31は、ROM32に予め記憶された携帯電話の使用周波数帯域と、アンテナ27が感知した電波の周波数帯域とを比較して、一致か否かを判定する手段を有している。そして、感知した電波の周波数帯域と携帯電話の使用周波数帯域とが一致の場合は、青LED25aを点灯し、感知した電波の周波数帯域と携帯電話の使用周波数帯域とが不一致の場合は、赤LED25bを点灯するように制御信号を出力する。」
エ 「【0096】
そして、不正行為報知処理が実行される(S10)。具体的には、図19に示す不正行為報知処理ルーチンを実行し、アンテナ27が電波を感知したか否かを判定する(S301)。電波を感知していない場合(S301:NO)、本ルーチンを終了する。電波を感知した場合(S301:YES)、感知した電波が不正電波か否かを判定する(S302)。即ち、感知した電波の周波数帯域がROM32に記憶された携帯電話の使用周波数帯域と一致するか否かを判定する。感知した電波が不正電波の場合(S302:YES)、次に、青LED25aが点灯しているか否かを判定する(S303)。
【0097】
青LED25aが点灯している場合(S303:YES)、青LED25aを消灯する(S304)。そして、赤LED25bを点灯する(S305)。そして、本ルーチンを終了する。青LED25aが点灯していない場合(S303:NO)、赤LED25bを点灯する(S305)。そして、本ルーチンを終了する。また、S302で、感知した電波が不正電波でない場合(S302:NO)、即ち、感知した電波の周波数帯域が予め記憶された携帯電話の使用周波数帯域と一致する場合、青LED25aを点灯する(S306)。そして、本ルーチンを終了する。尚、本ルーチンは、停止テーブル群選択処理後に実行するようにしているが、アンテナ27が電波を受信したら割り込みによって実行するようにしても良い。」
以上イ~エの記載事項から、刊行物1には、次の発明が記載されていると認められる(以下、「引用発明」という。)(f~hは引用発明を分説するため当審で付与した。)。
「f 電波を感知するアンテナ27と、
g CPU31は、前記アンテナ27が電波を感知した場合に、感知した電波の周波数帯域がROM32に記憶された携帯電話の使用周波数帯域と一致するか否かを判定し、
h 感知した電波の周波数帯域と携帯電話の使用周波数帯域とが一致の場合は、青LED25aを点灯し、感知した電波の周波数帯域と携帯電話の使用周波数帯域とが不一致の場合は、赤LED25bを点灯するように制御信号を出力する
遊技機。」
(3) 対比
本願補正発明と引用発明とを対比する。対比の見出しとしての(f)~(h)は引用発明の分説構成と対応させた。
(f) 引用発明の「電波を感知」すること、「アンテナ27」は、それぞれ、本願補正発明の「電波を検出」すること、「電波検出手段」に相当する。
したがって、引用発明の「電波を感知するアンテナ27」は、本願補正発明の「電波を検出」する「電波検出手段」に相当する。
(g) 引用発明の「前記アンテナ27が電波を感知した場合」は、本願補正発明の「前記電波検出手段によって電波を検出した場合」に相当する。
また、引用発明において「感知した電波の周波数帯域がROM32に記憶された携帯電話の使用周波数帯域と一致するか否か」の「判定」は、アンテナ27が感知した電波の周波数について、CPU31が行う処理であって、当該CPU31は、電波の発信態様を判別する処理として、電波の周波数を判別する処理を実行可能であることは明らかである。
したがって、引用発明における「前記アンテナ27が電波を感知した場合に、感知した電波の周波数帯域がROM32に記憶された携帯電話の使用周波数帯域と一致するか否かを判定」する機能を有する「CPU31」は、本願補正発明における「前記電波検出手段によって電波を検出した場合に、該電波の発信態様を判別する処理として、前記電波の周波数を判別する処理」を「実行可能な判別手段」に相当する。
(h) 引用発明における「感知した電波の周波数帯域と携帯電話の使用周波数帯域と」の「一致」、「不一致」は、本願補正発明における「前記判別手段による判別結果」に相当する。
また、引用発明において「一致の場合は、青LED25aを点灯」し、「不一致の場合は、赤LED25bを点灯」するように「制御信号を出力する」ことは、本願補正発明において「判別結果に応じて異なる処理を実行可能」であることに相当する。
したがって、引用発明における「感知した電波の周波数帯域と携帯電話の使用周波数帯域とが一致の場合は、青LED25aを点灯し、感知した電波の周波数帯域と携帯電話の使用周波数帯域とが不一致の場合は、赤LED25bを点灯するように制御信号を出力する」機能を有する「CPU31」は、本願補正発明における「前記判別手段による判別結果に応じて異なる処理を実行可能な制御手段」に相当する。
以上(f)~(h)の検討より、本願補正発明と引用発明とは、
「F’ 電波を検出する電波検出手段と、
G’ 前記電波検出手段によって電波を検出した場合に、該電波の発信態様を判別する処理として、前記電波の周波数を判別する処理を実行可能な判別手段と、
H 前記判別手段による判別結果に応じて異なる処理を実行可能な制御手段とを備えたことを特徴とする遊技機。」の点で一致し、以下の点で相違する。
[相違点1]:本願補正発明では「遊技球を発射する発射手段と、発射された遊技球が案内される遊技領域と、前記遊技領域内に配置された入球手段と、前記入球手段への遊技球の入球に基づき、所定の遊技価値を付与する遊技価値付与手段と」、「遊技球を検出する複数の球検出手段」を備えるのに対して、引用発明ではそのような特定がない点。(A)~(E)
[相違点2]:電波検出手段を、本願補正発明では「複数」備えるのに対して、引用発明ではそのような特定がない点。(F)
[相違点3]:判別手段が、本願補正発明では「前記電波の周波数を判別する処理と、前記電波の強度を判別する処理と、前記電波の発信継続時間を判別する処理」とを実行可能であるのに対して、引用発明では電波の周波数を判別する処理のみ実行可能である点。(G)
(4) 判断
上記相違点について検討する。
ア 相違点1について
遊技機分野において、パチンコ機に「遊技球を発射する発射手段と、発射された遊技球が案内される遊技領域と、前記遊技領域内に配置された入球手段と、前記入球手段への遊技球の入球に基づき、所定の遊技価値を付与する遊技価値付与手段と」、「遊技球を検出する複数の球検出手段」を備えることは、本願の遡及出願日前に例示するまでもなく周知、慣用の技術(以下、「周知技術1」という。)である。
また、刊行物1には、上記「(2) ア」に示したとおり、「パチスロ機、パチンコ機等の遊技機」(【0002】)について、「携帯電話の電波による誤作動を低減することができる不正電波感知装置及びそれを備えた遊技機を提供する」(【0005】)と記載されており、引用発明をパチンコ機において実現することが示唆されているといえる。
そして、当該示唆に基づいて、引用発明をパチンコ機において実現する際に、周知技術1を適用し、上記相違点1に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者であれば適宜行い得たことである。
イ 相違点2について
遊技機分野において、不正電波を検出するために電波検出手段を「複数」備えることは、本願の遡及出願日前に周知の技術(以下、「周知技術2」という。)である(例えば、特開2000-33167号公報(【0007】、【0020】、【0021】及び【図3】参照。)には、パチンコ機において、電磁波等による不正操作によって作動する監視センサ15を複数備えることが記載され、特開平2-271887号公報(第5頁右下欄第8行~第6頁左上欄第2行及び第1図参照。)には、パチンコ遊技機において、不正電波などの不正信号を検出する外的不正作用検出手段を複数(第1~第8の外的不正作用検出手段1001~1008)備えることが記載されている。)。
そして、引用発明と周知技術2は、遊技機において電波による不正を防止するために電波検出手段を必要な位置に配置するという共通の課題を有するといえるから、引用発明において不正電波の検出を行う際に、周知技術2を適用し、上記相違点2に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者であれば適宜行い得たことである。
ウ 相違点3について
本願補正発明において、判別手段が、「前記電波の強度を判別する処理と、前記電波の発信継続時間を判別する処理」とを実行可能という特定は、上記2に示したとおり、単に、判別手段が電波の「強度」と「発信継続時間」をそれぞれ判別の対象とし得ることを特定しているのみである。
また、遊技機分野において、不正電波を検出するために、電波の「強度」と「発信継続時間」をそれぞれ判別の対象とし得ることは、本願の遡及出願日前に周知の技術(以下、「周知技術3」という。)である(例えば、特開平3-21284号公報(第3頁右下欄第2行~第4頁左上欄第2行及び第1図参照。)には、パチンコ遊技機において、アンテナ13が受信した電波が所要周波数で、所定の電界「強度」以上であるか否かを判断し、遊技球検出装置31を誤作動させる恐れのある(不正な)電波である場合に警告を行うことが記載され、特開平3-32685号公報(第13頁左上欄第1行~右下欄第4行及び第1図参照。)には、パチンコ遊技機において、アンテナ901を介して検出した不正電波の「強さ」が一定レベル以上であってかつその「持続時間」が一定時間以上であれば、不正遊技であることを報知することが記載され、特開2008-194337号公報(【0036】~【0039】、【図1】、【図2】及び【図4】参照。)には、パチンコ遊技機のCRユニットにおいて、電波センサ部16が検知した不正電波の真偽を判定するために、電波センサのON/OFF監視を行い、判定基準「時間」を超えて電波センサがONになっている場合には、電波ゴト等による不正電波が放射されたと考えられるので、エラーを表示したりすることが記載されている。)。
そして、引用発明と周知技術3は、遊技機において、不正とは無関係の電波を検出することなく、検出することが必要な不正電波のみを検出するという共通の課題を有するといえるから、引用発明において不正電波の検出を行う際に、周知技術3を適用し、上記相違点3に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者であれば適宜行い得たことである。
エ 請求人の主張及び本願補正発明が奏する効果について
請求人は本願補正発明について、請求の理由において、「(2)「判別手段」について・・・本願発明1,2に係る「判別手段」は、既に「電波検出手段によって検出した電波」の発信態様を判別するソフト的な「判別処理」を実行するものであって、アンテナ等によるハード的なものとは異なる。・・・本願発明1,2によれば、電波検出手段により検出した電波の発信態様を判別するといったソフト的な処理により不正電波の検出精度を高めることができ、ハード構成の簡素化を図ることができる。」と主張する。
しかしながら、本願補正発明における「判別手段」は、上記2に示したとおり、電波の「周波数」と「強度」と「発信継続時間」をそれぞれ判別の対象とし得る手段であることを特定しているのみであって、「ソフト的な処理」であることは、請求項の記載にも当初明細書の記載にも基づかないから、請求人の上記主張は採用することができない。
請求人は、さらに、「(3)「複数の電波検出手段」について・・・本願発明1,2によれば、複数の電波検出手段を備えることにより、各電波検出手段の検出範囲を狭くしたとしても、複数の入球手段(球検出手段)すべてをカバーすることができる。」、「(4)「電波の周波数を判別する処理」及び「電波の強度を判別する処理」について・・・検出した電波の周波数を判別することにより、電波ゴトとは無関係の電波を不正検出対象から外すことができると共に、検出した電波の強度を判別することにより、遠くからくる微弱な不正電波を不正検出対象から外すことができる。」、「(5)「電波の発信継続時間を判別する処理」について・・・本願発明1,2によれば、「電波の発信継続時間を判別する処理」を実行することにより、上記「電波の周波数を判別する処理」等によって不正電波ではないと判別された電波のうち、上記不具合を生じさせる電波についても不正電波として取り扱うことができる。結果として、不正電波の検出精度の向上を図ることができる。」と主張する。
しかしながら、請求人が主張するこれらの点については、上記イ、ウで検討したとおり、当業者が引用発明及び周知技術2、3に基づいて適宜なし得たことであるし、本願補正発明について請求人が主張する効果についても、当業者が引用発明及び周知の技術2、3から予測し得る程度のものであって、格別のものではない。
(5) まとめ
以上のように、本願補正発明は、当業者が引用発明及び周知技術1~3に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。
4 補正却下の決定についてのむすび
上記3より、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、平成27年11月30日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲に記載された請求項1、2に特定されるとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は次のとおりである。(A~Hは本願発明を分説するため当審で付与した。)。
「【請求項1】
A 遊技球を発射する発射手段と、
B 発射された遊技球が案内される遊技領域と、
C 前記遊技領域内に配置された入球手段と、
D 前記入球手段への遊技球の入球に基づき、所定の遊技価値を付与する遊技価値付与手段とを備えた遊技機であって、
E 遊技球を検出する複数の球検出手段と、
F 電波を検出する複数の電波検出手段と、
G’ 前記電波検出手段によって検出した電波の周波数及び強度を判別する判別手段と、
H 前記判別手段による判別結果に応じて異なる処理を実行可能な制御手段とを備えたことを特徴とする遊技機。」
2 刊行物に記載された事項
刊行物1に記載された事項及び周知技術1~3ついては、上記「第2 3 (2)及び(4)」に示したとおり。
3 対比・判断
本願発明は、「判別手段」について、上記「第2 3 (1)」に示した本願補正発明において「電波を検出した場合に、該電波の発信態様を判別する処理として、前記電波の周波数を判別する処理と、前記電波の強度を判別する処理と、前記電波の発信継続時間を判別する処理とを実行可能」とされていたところ、「発信継続時間」に係る事項を省いて、「検出した電波の周波数及び強度を判別する」としたものである。
そうすると、本願発明と引用発明の相違点は、上記「第2 2 (3)」に示した相違点1、2、及び、相違点3の一部(電波の「強度」に係る事項)のみであって、これらの相違点については、上記「第2 3 (4)」に示したとおり、当業者が引用発明及び周知技術1~3に基づいて適宜なし得たことである。
したがって、本願発明は、当業者が引用発明及び周知技術1~3に基づいて容易に発明をすることができたものである。
4 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
したがって、その余の請求項について検討するまでもなく、本願は、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2016-007096